(個人事業者と給与所得者の区分)

111 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

2節 法人の納税義務

(法人でない社団の範囲)

121 法第2条第1項第7((人格のない社団等の意義))に規定する「法人でない社団」とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。

(1) 民法第667((組合契約))の規定による組合

(2) 商法第535((匿名組合契約))の規定による匿名組合(以下131及び132において「匿名組合」という。)

(法人でない財団の範囲)

122 法第2条第1項第7((人格のない社団等の意義))に規定する「法人でない財団」とは、一定の目的を達成するために出えんされた財産の集合体で、特定の個人又は法人の所有に属さないで一定の組織による統一された意志の下にその出えん者の意図を実現すべく独立して活動を行うもののうち、法人格を有しないものをいう。

(人格のない社団等についての代表者又は管理人の定め)

123 法第2条第1項第7((人格のない社団等の意義))に規定する「代表者又は管理人の定めがあるもの」とは、社団又は財団の定款、寄附行為、規則、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、当該社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で資産の譲渡等を行うものには、代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。

(福利厚生等を目的として組織された従業員団体に係る資産の譲渡等)

124 事業者の役員又は使用人をもって組織した団体(以下125において「従業員団体」という。)が、これらの者の親睦、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該事業者が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業の全部を当該事業者が行ったものとする。

(1) 事業者の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることになっていること。

(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について、当該事業者の許諾を要する等当該事業者がその事業の運営に参画していること。

(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該事業者が提供していること。

(従業員負担がある場合の従業員団体の資産の譲渡等の帰属)

125 従業員団体について、例えば、その団体の課税仕入れ等が、当該事業者から拠出された部分と構成員から収入した会費等の部分とであん分する等の方法により適正に区分されている場合には、124にかかわらず、その団体が行った事業のうちその区分されたところにより当該構成員から収入した会費等の部分に対応する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、当該事業者が行ったものとすることはできないものとする。

3節 共同事業に係る納税義務

(共同事業に係る消費税の納税義務)

131 共同事業(人格のない社団等又は匿名組合が行う事業を除く。以下131及び9128において同じ。)に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、当該共同事業の構成員が、当該共同事業の持分の割合又は利益の分配割合に対応する部分につき、それぞれ資産の譲渡等又は課税仕入れ等を行ったことになるのであるから留意する。

(匿名組合に係る消費税の納税義務)

132 匿名組合の事業に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、商法第535((匿名組合契約))に規定する営業者が単独で行ったことになるのであるから留意する。

4節 納税義務の免除

(納税義務が免除される課税期間)

141 法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合に、当該課税期間について消費税の納税義務を免除するものであるから、当該課税期間における課税売上高が1,000万円以下の場合であっても、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超えているときは、当該課税期間について同項本文の規定は適用されないことに留意する。

(15課消137、平27課消117改正)

() 当該課税期間について消費税の納税義務が免除されない事業者であっても、当該課税期間において、国内における課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。11212から112201157及び1241を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れがなく、かつ、納付すべき消費税額がない場合には、法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))の規定により、確定申告書の提出は要しない。

(基準期間における課税売上高等に含まれる範囲)

142 基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高には、法第4条第5((資産のみなし譲渡))の規定により資産の譲渡とみなされる場合及び第7((輸出免税等))、第8((輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税))若しくは租特法第85((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))から第86条の2((海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税))まで又はその他の法律又は条約の規定により消費税が免除される場合の課税資産の譲渡等に係る対価の額を含み、消費税額等、特定資産の譲渡等の対価の額、法第31((非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定により課税資産の譲渡等とみなされるものの対価の額及び法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))に規定する売上げに係る対価の返還等の金額(当該売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に78分の100を乗じて算出した金額を除く。)は含まないのであるから留意する。

(9課消25、平23課消135、平24課消17、平25課消134、平27課消117、令元課消218改正)

()

1 特定期間における課税売上高は、法第9条の23((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))の規定により、1523における給与等の金額の合計額とすることができることに留意する。

2 法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除等))に規定する事実が生じたため領収することができなくなった課税資産の譲渡等の対価の額は、当該基準期間及び当該特定期間に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から控除しない。

3 法第5条第1項括弧書((納税義務者))により、法第9条第2((基準期間における課税売上高の意義))における課税資産の譲渡等には特定資産の譲渡等は含まれないことから、基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高には特定資産の譲渡等の対価の額は含まれないことに留意する。

4 消費税の課税標準とされる特定課税仕入れに係る支払対価の額は、当該特定課税仕入れの提供を受けた事業者における課税資産の譲渡等の対価の額ではないことから、当該特定課税仕入れを行った事業者の基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高には含まれないことに留意する。

(原材料等の支給による加工等の場合の課税売上高の計算)

143 事業者が原材料等の支給を受けて加工等を行った場合の基準期間における課税売上高に算入される国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額は、原則として、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる対価の額となることに留意する。

(1) 製造販売契約の方式により原材料等の有償支給を受けている場合 加工等を行った製品の譲渡の対価の額

(2) 賃加工契約の方式により原材料等の無償支給を受けている場合 加工等に係る役務の提供の対価の額

(基準期間における課税売上高の算定単位)

144 基準期間における課税売上高は事業者単位で算定するのであるから、例えば、事業として食料品の販売を行っている事業者がその有する建物を事務所用として賃貸する場合のように、一の事業者が異なる種類の事業を行う場合又は2以上の事業所を有している場合であっても、それらの事業又は事業所における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額により基準期間における課税売上高を算定することに留意する。

(基準期間が免税事業者であった場合の課税売上高)

145 基準期間である課税期間において免税事業者であった事業者が、当該基準期間である課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については消費税等が課されていない。したがって、その事業者の基準期間における課税売上高の算定に当たっては、免税事業者であった基準期間である課税期間中に当該事業者が国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の全額が当該事業者のその基準期間における課税売上高となることに留意する。

(9課消25改正)

(新規開業等した場合の納税義務の免除)

146 法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用があるかどうかは、事業者の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であるかどうかによって判定するのであるから、例えば、新たに開業した個人事業者又は新たに設立された法人のように、当該課税期間について基準期間における課税売上高がない場合又は基準期間がない場合には、納税義務が免除される。

ただし、新たに開業した個人事業者又は新たに設立された法人が次のいずれかの規定の適用を受ける場合には、当該課税期間における納税義務は免除されないことに留意する。

(9課消25、平13課消15、平15課消137、平22課消19、平23課消135、平25課消134、平28課消157、令2課消25改正)

(1) 個人事業者

イ 法第9条第4((課税事業者の選択))の規定の適用を受ける者

ロ 法第9条の21((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける者

ハ 法第10((相続があった場合の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける者

ニ 法第12条の41項又は第2((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける者

(2) 法人

イ 法第9条第4項の規定の適用を受ける法人

ロ 法第9条の21項の規定の適用を受ける法人

ハ 法第11条第3項又は第4((合併があった場合の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける法人

ニ 法第12条第1項又は第2((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける法人

ホ 法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける法人

ヘ 法第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受ける法人

ト 法第12条の41項又は第2項の規定の適用を受ける法人

() 個人事業者のいわゆる法人成りにより新たに設立された法人であっても、当該個人事業者の基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高は、当該法人の基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高とはならないのであるから留意する。

(法人における課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間の範囲)

147 その事業者が法人である場合の令第20条第1((事業を開始した日の属する課税期間等の範囲))に規定する「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」とは、原則として、当該法人の設立の日の属する課税期間をいうのであるが、例えば、非課税資産の譲渡等に該当する社会福祉事業のみを行っていた法人又は国外取引のみを行っていた法人が新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間もこれに含まれるのであるから留意する。

なお、設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合には、当該課税期間等もこれに含むものとして取り扱う。

(過去2年以上課税資産の譲渡等がない場合の令第20条第1号の適用)

148 令第20条第1((事業を開始した日の属する課税期間等の範囲))に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」には、その課税期間開始の日の前日まで2年以上にわたって国内において行った課税資産の譲渡等又は課税仕入れ及び保税地域からの課税貨物の引取りがなかった事業者が課税資産の譲渡等に係る事業を再び開始した課税期間も該当するものとして取り扱う。

(個人事業者の基準期間における課税売上高の判定)

149 個人事業者の基準期間における課税売上高については、次に掲げる場合のように当該基準期間において事業を行っていた期間が1年に満たないときであっても、当該基準期間における課税売上高によって法第9条第2項第1((個人事業者に係る課税売上高))の規定を適用するのであるから留意する。

(1) 基準期間の中途で新たに事業を開始した場合

(2) 基準期間の中途で事業を廃止した場合

(3) 基準期間の中途で事業を廃止し、その後当該基準期間中に廃止前と同一又は異なる種類の事業を開始した場合において、これらの事業を行った期間が通算して1年に満たないとき

(課税事業者選択届出書を提出できる事業者)

1410 法第9条第4((課税事業者の選択))に規定する届出書(以下この章、441及び1711において「課税事業者選択届出書」という。)は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下となる課税期間について課税事業者を選択することを届け出るものであるから、当該届出書を提出しようとする課税期間において免税事業者である事業者に限らず、課税事業者である事業者も提出できるのであるから留意する。

(15課消137、平19課消118改正)

(課税事業者選択届出書の効力)

1411 課税事業者選択届出書は、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である課税期間について課税事業者となることを選択するものであるから、当該届出書を提出したことにより課税事業者となった後において基準期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合であっても、法第9条第5((課税事業者の選択不適用))に規定する届出書(以下この章において「課税事業者選択不適用届出書」という。)を提出しない限り課税事業者選択届出書の効力は存続し、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の課税期間については、同条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定にかかわらず課税事業者となるのであるから留意する。

(15課消137、平22課消19改正)

() 課税事業者選択不適用届出書を提出した事業者が、当該届出書の提出日以後、当該届出書を提出した日の属する課税期間中に法第9条第7((調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の課税事業者選択不適用の制限))に規定する調整対象固定資産の仕入れ等(以下この章、13142及び13143において「調整対象固定資産の仕入れ等」という。)を行ったことにより同項の規定の適用を受けることとなった場合には、同項後段の規定により、当該届出書の提出がなかったものとみなされ、引き続き課税事業者選択届出書は、その効力が存続することに留意する。

(相続があった場合の課税事業者選択届出書の効力等)

1412 相続(法第2条第4((相続等の意義))に規定する相続をいう。以下同じ。)があった場合における法第9条第4((課税事業者の選択))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15改正)

(1) 被相続人が提出した課税事業者選択届出書の効力は、相続により当該被相続人の事業を承継した相続人には及ばない。したがって、当該相続人が法第9条第4項の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税事業者選択届出書を提出しなければならない。

(2) 事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合又は個人事業者である相続人が相続により法第9条第4項の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合において、当該相続人が相続があった日の属する課税期間中に課税事業者選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第20条第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第2((相続があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

(合併があった場合の課税事業者選択届出書の効力等)

1413 合併があった場合における法第9条第4((課税事業者の選択))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15、平15課消137改正)

(1) 被合併法人が提出した課税事業者選択届出書の効力は、吸収合併(法第11条第1((吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する合併をいう。以下同じ。)又は新設合併(法第11条第3((新設合併があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する合併をいう。以下同じ。)により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が法第9条第4項の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税事業者選択届出書を提出しなければならない。

(2) 法人が、新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により法第9条第4項の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、当該法人が合併があった日の属する課税期間中に課税事業者選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第20条第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第3((合併があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

(分割があった場合の課税事業者選択届出書の効力等)

14132 分割があった場合における法第9条第4((課税事業者の選択))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15追加)

(1) 分割法人が提出した課税事業者選択届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が法第9条第4項の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税事業者選択届出書を提出しなければならない。

() 法第12条第7項第2号又は第3((分割等の意義))に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。

(2) 法人が、新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により法第9条第4項の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、当該法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する課税期間中に課税事業者選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第20条第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第4((吸収分割があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

(事業を開始した課税期間の翌課税期間からの課税事業者の選択)

1414 事業者が課税事業者選択届出書を提出した場合には、当該課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える課税期間を除く。)について、課税事業者を選択できるのであるから、当該課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間が令第20条各号((事業を開始した日の属する課税期間等の範囲))に規定する課税期間に該当する場合であっても、当該課税期間の翌課税期間から課税事業者を選択することもできることに留意する。

(15課消137改正)

() この場合、事業者は、当該課税事業者選択届出書において適用開始課税期間の初日の年月日を明確にしなければならない。

(事業を廃止した場合の届出書の取扱い)

1415 課税事業者選択届出書を提出している事業者で、法第19条第1項第3号から第4号の2まで((課税期間の特例))、第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))、第42条第8((任意の中間申告))又は第45条の21項若しくは第2((法人の確定申告書の提出期限の特例))の規定の適用を受けている者が事業を廃止した場合における届出書の取扱いについては、次による。

(9課消25、平15課消137、平23課消135、平25課消134、平30課消25、令2課消25改正)

(1) 法第9条第5((課税事業者の選択不適用))、第19条第3((課税期間の特例の選択不適用))、第37条第5((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の選択不適用))、第42条第9((任意の中間申告書の提出の取りやめ))又は第45条の23((法人の確定申告書の提出期限の特例の不適用))のいずれかに規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があったときは、他の規定による事業を廃止した旨の届出書の提出があったものとして取り扱う。

(2) 法第57条第1項第3((事業を廃止した場合の届出))に規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があったときは、法第9条第5項、第19条第3項、第37条第5項、第42条第9項又は第45条の23項に規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があったものとして取り扱う。

(調整対象固定資産を売却等した場合の法第9条第7項の適用関係)

14152 法第9条第7((調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の課税事業者選択不適用届出の制限))の規定は、課税事業者選択届出書を提出した事業者が、同項に規定する各課税期間(法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の適用を受ける課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合に適用されるのであるから、その後に当該調整対象固定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、法第9条第7項の規定は継続して適用されることに留意する。

(22課消19追加)

(「やむを得ない事情」の範囲)

1416 法第9条第9((届出書の提出時期に係る特例))に規定する「やむを得ない事情」とは、次に掲げるところによる。

(10課消29追加、平22課消19改正)

(1) 震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人的災害で自己の責任によらないものに基因する災害が発生したことにより、法第9条第4項及び第5((課税事業者の選択及び選択不適用))の届出書(以下1416において「届出書」という。)の提出ができない状態になったと認められる場合

(2) (1)に規定する災害に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することができない状態にあることにより、届出書の提出ができない状態になったと認められる場合

(3) その課税期間の末日前おおむね1月以内に相続があったことにより、当該相続に係る相続人が新たに法第9条第4項の届出書を提出できる個人事業者となった場合

この場合には、その課税期間の末日にやむを得ない事情がやんだものとして取り扱う。

(4) (1)から(3)までに準ずる事情がある場合で、税務署長がやむを得ないと認めた場合

(「事情がやんだ後相当の期間内」の意義)

1417 令第20条の23((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))に規定する「当該事情がやんだ後相当の期間内」とは、法第9条第9((届出書の提出時期に係る特例))に規定する「やむを得ない事情」がやんだ日から2月以内の期間とする。

(10課消29追加、平22課消19改正)

5節 納税義務の免除の特例

(納税義務が免除されない相続人の範囲)

151 法第10条第1((相続があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「その年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である相続人」には、相続のあった日において現に事業を行っている相続人で当該相続のあった日の属する年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者及び相続があった日の属する年の基準期間において事業を行っていない相続人が該当するのであるから留意する。

(15課消137改正)

(包括遺贈)

152 法第2条第4((相続等の範囲))に規定する「包括遺贈」とは、遺贈する財産を特定しないで、財産の全部又は財産の一定の割合として他人に遺贈することをいう。

(被相続人の事業を承継したとき)

153 法第10条第1((相続があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「被相続人の事業を承継したとき」とは、相続により被相続人の行っていた事業の全部又は一部を継続して行うため財産の全部又は一部を承継した場合をいう。

() 特定遺贈又は死因贈与により受遺者又は受贈者が遺贈者又は贈与者の事業を承継したときは、法第10条第1項又は第2項の規定は適用されないから、当該受遺者又は受贈者のその課税期間について法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用があるかどうかは、当該受遺者又は受贈者のその課税期間に係る基準期間における課税売上高のみによって判定するのであるから留意する。

(相続があった場合の納税義務)

154 法第10条各項((相続があった場合の納税義務の免除の特例))の規定は、相続により被相続人の事業を承継した相続人について、次に掲げる場合に該当するときには、納税義務を免除しないとする趣旨であることに留意する。

(15課消137、平27課消117改正)

(1) 相続があった年においては、相続人又は被相続人の基準期間における課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合

() 相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても被相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、当該相続人の当該相続のあった日の翌日からその年の1231日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務が免除されない。

(2) 相続のあった年の翌年及び翌々年においては、相続人の基準期間における課税売上高と被相続人のそれとの合計額が1,000万円を超える場合

(共同相続の場合の納税義務)

155 法第10条第1項又は第2((相続があった場合の納税義務の免除の特例))の規定を適用する場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱う。この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、当該被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の民法第900条各号((法定相続分))(同法第901((代襲相続人の相続分))から第903((特別受益者の相続分))までの規定の適用を受ける場合には、これらの各条)に規定する相続分に応じた割合を乗じた金額とする。

(17課消122改正)

(合併があった場合の納税義務)

156 法第11条各項((合併があった場合の納税義務の免除の特例))の規定は、合併により被合併法人の事業を承継した合併法人について、次に掲げる場合に該当するときは、納税義務を免除しないとする趣旨であることに留意する。

(13課消15、平15課消137、平27課消117改正)

(1) 合併があった日の属する事業年度においては、合併法人の基準期間における課税売上高又は各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合

() 合併法人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、当該合併法人の当該合併があった日から当該合併があった日の属する事業年度終了の日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務が免除されない。

(2) 合併があった日の属する事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度においては、合併法人の基準期間における課税売上高と各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合

(分割等があった場合の納税義務)

1562 法第12条第1項から第6項まで((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定の趣旨は、次のとおりであるから留意する。

(13課消15追加、平15課消137、平25課消134改正)

(1) 分割等があった日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度

イ 新設分割子法人の納税義務

新設分割子法人の基準期間に対応する期間における各新設分割親法人の課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 新設分割親法人の納税義務

新設分割親法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(2) 分割等(新設分割親法人が一の場合に限る。)があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後

イ 新設分割子法人の納税義務

新設分割子法人が特定要件(法第12条第3((特定要件の意義))に規定する特定要件をいう。以下1562及び1513において同じ。)に該当し、かつ、新設分割子法人の基準期間における課税売上高と当該新設分割子法人の基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 新設分割親法人の納税義務

新設分割子法人が特定要件に該当し、かつ、新設分割親法人の基準期間における課税売上高と当該新設分割親法人の基準期間に対応する期間における新設分割子法人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

(3) 吸収分割があった日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度

イ 分割承継法人

分割承継法人の基準期間における課税売上高又は当該分割承継法人の基準期間に対応する期間における各分割法人の課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 分割法人

分割法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(4) 吸収分割があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後

イ 分割承継法人

分割承継法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

ロ 分割法人

分割法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(合併があった日)

157 法第11条第1((吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「合併があった日」とは、合併の効力を生ずる日をいい、同条第3((新設合併があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「合併があった日」とは、法人の設立の登記をした日をいう。

(13課消15、平14課消112、平19課消118改正)

158 削除

(13課消15)

(分割等があった日)

159 法第12条第1((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「分割等があった日」とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次の日とする。

(13課消15、平14課消112改正)

(1) 当該分割等が法第12条第7項第1号又は第2((分割等の意義))に該当する場合 同条第1項に規定する新設分割子法人の設立の登記の日

(2) 当該分割等が法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する場合 同号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡が行われた日

(吸収分割があった日)

1510 法第12条第5((吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する「吸収分割があった日」とは、分割の効力を生ずる日をいう。

(13課消15追加、平14課消112、平19課消118改正)

1511及び1512 削除

(13課消15)

(株式等の所有割合に異動があった場合の適用関係)

1513 法第12条第1((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))に規定する新設分割子法人又は新設分割親法人のその課税期間について同条第3項又は第4((分割等があった場合の納税義務の免除の不適用))の規定の適用があるかどうかを判定する場合において、特定要件に該当するかどうかは、当該課税期間の基準期間の末日の現況による。したがって、例えば、新設分割親法人が新設分割子法人の株式を譲渡し、いったん特定要件に該当しないこととなった場合であっても、その後再び株式を取得することにより、その課税期間の基準期間の末日において特定要件に該当することとなったときは、同条第3項又は第4項の規定の適用があるのであるから留意する。

(13課消15改正)

1514 削除

(13課消15)

(「新設法人」の意義)

1515 法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))に規定する「新設法人」には、基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人が該当するのであるから、法人を新規に設立した事業年度に限らず当該設立した事業年度の翌事業年度以後の事業年度であっても、基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である場合には、新設法人に該当することとなるのであるから留意する。

(10課消29追加、平18課消116、平22課消19、平25課消134改正)

(法第12条の31項に規定する特定要件の判定時期)

15152 法第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用があるかどうかを判定する場合において、同項に規定する新規設立法人が特定要件(同項に規定する特定要件をいう。)に該当するかどうかは、その基準期間がない事業年度開始の日の現況による。

(25課消134追加)

() 同項の規定の適用があるかどうかの判定は、法人を新規に設立した事業年度に限らず、当該設立した事業年度の翌事業年度以後の事業年度であっても、基準期間がない事業年度について行う必要があることに留意する。

(出資の金額の範囲)

1516 法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))に規定する「出資の金額」には、営利法人である合名会社、合資会社又は合同会社に係る出資の金額に限らず、農業協同組合及び漁業協同組合等の協同組合に係る出資の金額、特別の法律により設立された法人で出資を受け入れることとしている当該法人に係る出資の金額、地方公営企業法第18((出資))に規定する地方公共団体が経営する企業に係る出資の金額及びその他の法人で出資を受け入れることとしている場合の当該法人に係る出資の金額が該当するのであるから留意する。

(10課消29追加、平18課消116、平21課消110、平22課消19、平25課消134改正)

(合併又は分割等により設立された法人における基準期間がない課税期間の納税義務の判定)

1517 合併又は分割等により設立された法人については、法第11((合併があった場合の納税義務の免除の特例))又は第12((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定が適用されない場合であっても、基準期間がない課税期間については、法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))、第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))又は第12条の41項若しくは第2((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定により納税義務の有無を判定する必要があることに留意する。

(10課消29追加、平13課消15、平22課消19、平25課消134、平28課消157、令2課消25改正)

(新設法人等の3年目以後の取扱い)

1518 法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))又は第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定は、基準期間がない法人について適用されるのであるから、基準期間ができた以後の課税期間(法第12条の22((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例))、第12条の33((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))又は第12条の41項若しくは第2((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定により法第9条第1((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定が適用されないこととなる課税期間を除く。)における納税義務の有無の判定は、法第9条第1項の規定によることとなるのであるから留意する。

(10課消29追加、平13課消15、平18課消116、平22課消19、平23課消135、平25課消134、平28課消157、令2課消25改正)

()

1 当該法人が、法第9条第1項の規定により納税義務が免除されることとなる場合であっても、特定期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条の21((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))の規定の適用があることに留意する。

2 当該法人が、合併又は分割等により設立された法人である場合には、基準期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条第1項又は第9条の21項の規定によるほか、法第11((合併があった場合の納税義務の免除の特例))又は第12((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定によることとなるのであるから留意する。

(新設法人又は特定新規設立法人の簡易課税制度の適用)

1519 法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))の規定が適用される新設法人又は第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定が適用される特定新規設立法人であっても、法第37条第3項第2((調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税制度選択届出書の提出制限))に該当する場合、同項第3((高額特定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税制度選択届出書の提出制限))に該当する場合又は同条第4項が適用される場合を除き、法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)の選択はできるのであるから留意する。

(10課消29追加、平22課消19、平25課消134、平28課消157改正)

(法人設立届出書の提出があったときの取扱い)

1520 法法第148((内国普通法人等の設立の届出))の規定による届出書の提出があった場合において、当該届出書に法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用がある新設法人に該当する旨及び規則第26条第5項各号((新設法人に該当する旨の届出書の記載事項))に規定する事項の記載がある場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出があったものとして取り扱う。

(10課消29追加、平22課消19、平25課消134改正)

(法第12条の22項の規定が適用される新設法人)

1521 法第12条の22((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例))の規定が適用される新設法人は、その基準期間がない事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である同条第1((新設法人の納税義務の免除の特例))に規定する新設法人をいうのであるから、同項の規定により法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定が適用されない新設法人に限られないことに留意する。

(22課消19追加、平25課消134改正)

(法第12条の33項の規定が適用される特定新規設立法人)

15212 法第12条の33((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定が適用される特定新規設立法人は、同条第1((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))に規定する特定新規設立法人をいうのであるから、同項の規定により法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定が適用されない特定新規設立法人に限られないことに留意する。

(25課消134追加)

(調整対象固定資産を売却等した場合の法第12条の22項及び第12条の33項の適用関係)

1522 法第12条の22((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例))の規定は、同条第1((新設法人の納税義務の免除の特例))に規定する新設法人が、同条第2項に規定する各課税期間(法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の適用を受ける課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合に適用されるのであるから、その後に当該調整対象固定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、法第12条の22項の規定は継続して適用されることに留意する。

(22課消19追加、平25課消134改正)

() 法第12条の22項の規定を準用することとしている法第12条の33((基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定についても同様である。

(高額特定資産等を売却等した場合の法第12条の41項及び第2項の適用関係)

15222 法第12条の41((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定は、法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定が適用されない事業者が、法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用を受けない課税期間中に法第12条の41項に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合に適用されるのであるから、その後に当該高額特定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、同項の規定は継続して適用されることに留意する。

また、法第12条の42項の規定は、法第36条第1項又は第3((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定の適用を受けた高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産をその後に廃棄、売却等により処分したとしても、継続して適用されることに留意する。

(28課消157追加、令2課消25改正)

(特定期間における課税売上高とすることができる給与等の金額)

1523 特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定は、特定期間における課税売上高又は法第9条の21((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))の個人事業者若しくは法人が特定期間中に支払った所法第231条第1((給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書))に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額のいずれかによることができる。

この場合の、給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものとは、所得税法施行規則(昭和40年大蔵省令第11)100条第1項第1号に規定する給与等の金額をいうことから、当該給与等の金額とは、所得税の課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当、旅費等は該当しないことに留意する。

(23課消135追加)

() 特定期間中において支払った給与等の金額には、未払額は含まれないことに留意する。

(法第12条の41項に規定する高額特定資産の支払対価)

1524 資産が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合における令第25条の51項第1((高額特定資産の範囲等))に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」とは当該資産に係る支払対価の額をいい、当該資産の購入のために要する引取運賃、荷役費等又は当該資産を事業の用に供するために必要な課税仕入れに係る支払対価の額は含まれないのであるから留意する。

(28課消157追加)

(共有に係る高額特定資産)

1525 事業者が他の者と共同で購入した資産(以下1525及び1224において「共有物」という。)が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合において、令第25条の51((高額特定資産の範囲等))に規定する金額が1,000万円以上であるかどうかは、当該事業者の共有物に係る持分割合に応じて判定する。

(28課消157追加)

(自己建設資産が調整対象固定資産である場合の高額特定資産の判定)

1526 高額特定資産に該当するかどうかは、自己建設資産が調整対象固定資産である場合には、令第5条各号((調整対象固定資産の範囲))に掲げる資産について、その資産ごとに、その建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額(令第25条の51項第2((高額特定資産の範囲等))に規定する「仕入れ等に係る支払対価の額」をいう。以下1528までにおいて同じ。)の合計額を基礎として判定することに留意する。

(28課消157追加)

(自己建設資産が棚卸資産である場合の高額特定資産の判定)

1527 令第5条各号((調整対象固定資産の範囲))に掲げる資産であっても、棚卸資産の原材料として仕入れるものは、調整対象固定資産に該当しないのであるから、当該原材料を自ら建設等する棚卸資産の原材料として使用した場合には、その原材料の仕入れに係る支払対価の額についても、当該棚卸資産の建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額の合計額に含まれることに留意する。

(28課消157追加)

(保有する棚卸資産を自己建設資産の原材料として使用した場合)

1528 自己が保有する建設資材等の棚卸資産を自己建設資産の原材料として使用した場合には、当該棚卸資産の仕入れに係る支払対価の額は、当該自己建設資産の建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額に含まれることに留意する。

(28課消157追加)

(調整対象自己建設高額資産に係る法第12条の42項の適用関係)

1529 法第12条の42((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定は、高額特定資産である棚卸資産若しくは課税貨物又は調整対象自己建設高額資産について法第36条第1項又は第3((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定の適用を受けた場合に適用されるのであるから、これらの規定の適用を受けた課税期間の初日(相続、合併又は分割があったことにより、法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用を受けないこととなった場合には、その受けないこととなった日をいう。以下1529において同じ。)の前日において建設等に要した費用の額(法第12条の42項に規定する建設等に要した費用の額をいう。以下1529において同じ。)1,000万円未満である棚卸資産について、当該課税期間の初日以後において当該棚卸資産の建設等に要した費用の額が1,000万円以上となったとしても、法第12条の42項の規定は適用されないことに留意する。

(2課消25追加)

() 法第12条の42項の規定が適用されない場合であっても、棚卸資産について法第36条第1項又は第3項の規定の適用を受け、当該棚卸資産が仕掛品等であったことにより、これらの規定の適用を受けた課税期間の初日以後において当該棚卸資産に係る課税仕入れ等を行った場合には、法第12条の41項の規定が適用される場合があることに留意する。

(高額特定資産等が居住用賃貸建物である場合の法第12条の4の適用関係)

1530 高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産について法第30条第10((居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限))の規定が適用された場合であっても、法第12条の41項又は第2((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))の規定は適用されることに留意する。

(2課消25追加)

(調整対象自己建設高額資産の判定)

1531 調整対象自己建設高額資産の建設等に要した費用の額には、当該調整対象自己建設高額資産の原材料として使用する令第5条各号((調整対象固定資産の範囲))に掲げる資産及び自己が保有する建設資材等の棚卸資産に係るものも含まれることに留意する。

(2課消25追加)

6節 国外事業者

(27課消117追加)

(国外事業者の範囲)

161 国外事業者とは、所法第2条第1項第5((定義))に規定する非居住者である個人事業者及び法法第2条第4((定義))に規定する外国法人をいうのであるから、例えば、これらの事業者が、国内に電気通信利用役務の提供を行う事務所等を有していたとしても国外事業者に該当することに留意する。

(27課消117追加)

2章 納税地

1節 個人事業者の納税地

(住所)

211 法第20((個人事業者の納税地))に規定する「住所」とは、各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。

(事業所その他これらに準ずるもの)

212 法第20条第3((個人事業者の納税地))に規定する「その他これらに準ずるもの」とは、事務所、事業所に準ずるものをいい、工場、農園、養殖場、植林地、展示即売場、貸ビル、貸倉庫又は事業活動の拠点となっているホテルの一室等名称のいかんを問わず、資産の譲渡等に係る事業を行う一定の場所をいう。

2節 法人の納税地

(人格のない社団等の本店又は主たる事務所の所在地)

221 人格のない社団等の本店又は主たる事務所の所在地は、次に掲げる場合の区分に応じ、次による。

(1) 定款、寄附行為、規則、規約等(以下221において「定款等」という。)に本店又は主たる事務所の所在地の定めがある場合 その定款等に定められている所在地

(2) (1)以外の場合 その事業の本拠として代表者又は管理人が駐在し、当該人格のない社団等の行う業務が企画されている場所(当該場所が転々と移転する場合には、代表者又は管理人の住所)

(被合併法人の消費税に係る納税地)

222 法人が合併した場合において、当該合併に係る被合併法人のその合併の日後における消費税の納税地は、当該合併に係る合併法人の納税地によるのであるから留意する。

3章 課税期間

1節 個人事業者の課税期間

(個人事業者の開業に係る課税期間の開始の日)

311 個人が新たに事業を開始した場合における最初の課税期間の開始の日は、その事業を開始した日がいつであるかにかかわらず、その年の11日となることに留意する。

(9課消25、平13課消15改正)

(事業を廃止した場合の課税期間)

312 個人事業者が年の中途で事業を廃止した場合の課税期間は、その事業を廃止した日の属する年の11日から1231日までの期間(当該個人事業者が法第19条第1項第3号又は第3号の2((課税期間の特例))の規定の適用を受けている場合には、その事業を廃止した日を含むこれらの規定に規定する課税期間の開始の日からその末日までの期間)となることに留意する。

(15課消137改正)

2節 法人の課税期間

(新たに設立された法人の最初の課税期間開始の日)

321 新たに設立された法人の最初の課税期間の開始の日は、法人の設立の日となることに留意する。この場合において、設立の日は、設立の登記により成立する法人にあっては設立の登記をした日、行政官庁の認可又は許可によって成立する法人にあってはその認可又は許可の日をいう。

(9課消25、平13課消15、平14課消112改正)

(組織変更等の場合の課税期間)

322 法人が会社法その他の法令の規定によりその組織又は種類の変更(以下「組織変更等」という。)をして他の組織又は種類の法人となった場合には、組織変更等前の法人の解散の登記、組織変更等後の法人の設立の登記にかかわらず、当該法人の課税期間は、その組織変更等によって区分されず継続することに留意する。

(10課消29、平18課消116、平19課消118、平22課消19、平25課消134改正)

() 基準期間ができた以後の課税期間において組織変更等した法人については、法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))又は第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用を受けないのであるから留意する。

(課税期間の特例適用法人等が解散した場合の課税期間)

323 内国法人(連結子法人を除く。以下323において同じ。)が課税期間の中途において解散した場合には、当該解散した内国法人の課税期間は、その事業年度開始の日から法法第14条第1項第1((解散の場合のみなし事業年度))に規定する解散の日までの期間となり、当該課税期間の翌課税期間は、当該解散の日の翌日からその事業年度終了の日(同日までに残余財産が確定した場合は、その確定した日)までの期間となることに留意する。この場合において、当該解散した内国法人が法第19条第1項第4号又は第4号の2((課税期間の特例))の規定の適用を受けているときの課税期間は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次の期間となることに留意する。

(13課消15、平15課消137、平23課消135改正)

(1) 法第19条第1項第4号の規定の適用を受けている場合 その期間が3月を超える場合は3月ごとに区分した各期間(最後に3月未満の期間を生じたときは、その3月未満の期間)

(2) 法第19条第1項第4号の2の規定の適用を受けている場合 その期間が1月を超える場合は1月ごとに区分した各期間(最後に1月未満の期間を生じたときは、その1月未満の期間)

()

1 内国法人が法法第14条第1項第22((継続))に掲げる場合又は外国法人が同項第23号、第24号若しくは第25((みなし事業年度))に掲げる場合に該当し、当該各号に掲げる期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなされた場合においても同様である。

2 「解散の日」又は「継続の日」とは、株主総会その他これに準ずる総会等において解散又は継続の日を定めたときはその定めた日、解散又は継続の日を定めなかったときは解散又は継続の決議の日、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日をいうものとする。

(更生会社等の課税期間)

324 更生会社等(会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(以下324において「更生特例法」という。)の適用を受けている法人をいう。以下324において同じ。)の事業年度は、会社更生法第232条第2((事業年度の特例))又は更生特例法第148条の22項若しくは第321条の22((事業年度の特例))の規定により、更生計画認可の時(その時までに更生手続が終了したときは、その終了の日。以下324において同じ。)に終了するのであるから、法第19((課税期間))に規定する課税期間の末日は、当該更生計画認可の時となることに留意する。

なお、更生手続が終了したときの、その終了の日とは、次に掲げる日をいうものとする。

(16課消125、平21課消110改正)

(1) 会社更生法第44条第3((抗告))(更生特例法第31条又は第196((更生手続開始の決定))の規定において準用する場合を含む。)の規定による更生手続開始決定の取消しの決定があった日

(2) 会社更生法第199条第4((更生計画認可の要件等))(更生特例法第120条第2項又は第290条第2((更生計画認可の要件等))の規定において準用する場合を含む。)の規定による更生計画の不認可の決定があった日

(3) 会社更生法第236条又は第237((更生が困難な場合の更生手続廃止等))(更生特例法第152条第1項又は第325条第1((更生が困難な場合の更生手続廃止等))の規定において準用する場合を含む。)の規定による更生手続の廃止の決定があった日

() 更生計画の認可決定後における更生会社等の事業年度は、会社更生法第239((更生手続終結の決定))(更生特例法第153条若しくは第326((更生手続終結の決定))の規定において準用する場合を含む。)の規定による更生手続の終結の決定又は会社更生法第241((更生計画認可後の更生手続の廃止))(更生特例法第155条若しくは第328((更生計画認可後の更生手続の廃止))の規定において準用する場合を含む。)の規定による更生手続の廃止の決定とは関係なく、当該更生会社等の定款に定める事業年度の終了の日において終了することに留意する。

(設立無効等の判決を受けた場合の清算)

325 法人が設立無効又は設立取消しの判決により会社法の規定に従って清算をする場合には、当該判決の確定の日において解散したものとする。

(18課消116改正)

(人格のない社団等が財産の全部を分配した場合の課税期間の末日)

326 人格のない社団等が課税期間の中途においてその事業を行わないこととしてその有する財産の全部を分配した場合には、当該人格のない社団等については、その分配をした日に解散し、残余財産の確定があったものとする。したがって、分配をした日がその分配をした日を含む課税期間の末日となることに留意する。

3節 課税期間の特例

(課税期間特例選択等届出書の効力)

331 法第19条第1項第3号から第4号の2まで((課税期間の特例))に規定する届出書(以下334までにおいて「課税期間特例選択等届出書」という。)を提出して課税期間の特例制度を適用している事業者は、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となったことにより、免税事業者となった場合においても、同条第3((課税期間の特例の選択不適用))に規定する届出書を提出した場合を除き、課税期間特例選択等届出書の効力は失われないのであるから留意する。

(13課消15、平15課消137改正)

(相続があった場合の課税期間特例選択等届出書の効力等)

332 相続があった場合における法第19条第1項第3号又は第3号の2((課税期間の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15追加、平15課消137改正)

(1) 被相続人が提出した課税期間特例選択等届出書の効力は、相続により当該被相続人の事業を承継した相続人には及ばない。したがって、当該相続人が法第19条第1項第3号又は第3号の2の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税期間特例選択等届出書を提出しなければならない。

(2) 事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合又は個人事業者である相続人が相続により法第19条第1項第3号又は第3号の2の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合において、当該相続人が相続があった日の属する期間(法第19条第1項第3号又は第3号の2に定める期間をいう。以下332において同じ。)中に課税期間特例選択等届出書を提出したときは、当該期間は、令第41条第1項第1((事業を開始した日の属する期間))又は第2((相続があった日の属する期間))に規定する期間に該当する。

(合併があった場合の課税期間特例選択等届出書の効力等)

333 合併があった場合における法第19条第1項第4号又は第4号の2((課税期間の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15追加、平15課消137改正)

(1) 被合併法人が提出した課税期間特例選択等届出書の効力は、吸収合併又は新設合併により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が法第19条第1項第4号又は第4号の2の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税期間特例選択等届出書を提出しなければならない。

(2) 法人が、新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により法第19条第1項第4号又は第4号の2の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、当該法人が合併があった日の属する期間(法第19条第1項第4号又は第4号の2に定める期間をいう。以下334までにおいて同じ。)中に課税期間特例選択等届出書を提出したときは、当該期間は、令第41条第1項第1((事業を開始した日の属する期間))又は第3((合併があった日の属する期間))に規定する期間に該当する。

(分割があった場合の課税期間特例選択等届出書の効力等)

334 分割があった場合における法第19条第1項第4号又は第4号の2((課税期間の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消15追加、平15課消137改正)

(1) 分割法人が提出した課税期間特例選択等届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が法第19条第1項第4号又は第4号の2の規定の適用を受けようとするときは、新たに課税期間特例選択等届出書を提出しなければならない。

() 法第12条第7項第2号又は第3((分割等の意義))に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。

(2) 法人が、新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により法第19条第1項第4号又は第4号の2の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、当該法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する期間中に課税期間特例選択等届出書を提出したときは、当該期間は、令第41条第1項第1((事業を開始した日の属する期間))又は第4((吸収分割があった日の属する期間))に規定する期間に該当する。

4章 実質主義、信託財産に係る譲渡等の帰属

1節 実質主義

(資産の譲渡等に係る対価を享受する者の判定)

411 事業に係る事業者がだれであるかは、資産の譲渡等に係る対価を実質的に享受している者がだれであるかにより判定する。

(親子間、親族間における事業主の判定)

412 生計を一にしている親族間における事業に係る事業者がだれであるかの判定をする場合には、その事業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該事業の事業主に該当するものと推定する。

(委託販売等の場合の納税義務者の判定)

413 資産の譲渡等が委託販売の方法その他業務代行契約に基づいて行われるのであるかどうかの判定は、当該委託者等と受託者等との間の契約の内容、価格の決定経緯、当該資産の譲渡に係る代金の最終的な帰属者がだれであるか等を総合判断して行う。

2節 信託財産に係る譲渡等の帰属

(信託行為に基づき財産を受託者に移転する行為等)

421 受益者等課税信託(法第14条第1((信託財産に係る資産の譲渡等の帰属))に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産を有するものとみなされる信託をいう。以下第3節及び9129において同じ。)においては、次に掲げる移転は資産の譲渡等には該当しないことに留意する。

(12課消210、平13課消15、平19課消118改正)

(1) 信託行為に基づき、その信託の委託者から受託者へ信託する資産の移転

(2) 信託の終了に伴う、その信託の受託者から受益者又は委託者への残余財産の給付としての移転

() 事業者が事業として行う令第2条第1項第3((資産の譲渡等の範囲))に定める行為は、資産の譲渡等に該当する。

(集団投資信託等の信託財産に係る取扱い)

422 法第14条第1項ただし書((信託財産に係る資産の譲渡等))に規定する集団投資信託、法人課税信託、退職年金等信託又は特定公益信託等(以下9130において「集団投資信託等」という。)の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、受託者が当該信託財産に属する資産を有し、かつ、資産等取引を行ったものとなるのであるから留意する。

(19課消118改正)

3節 受益者等課税信託に関する取扱い

(信託財産に属する資産及び資産等取引の帰属)

431 受益者等課税信託における受益者は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託財産に属する資産の全部を有するものとみなされ、かつ、資産等取引の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。

(19課消118追加)

(権利の内容に応ずることの例示)

432 令第26条第4((信託財産に係る資産の譲渡等の帰属))の規定の適用に当たっては、例えば、その信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が2以上の受益者の有する受益権の目的となっているときは、当該目的となっている部分(以下432において「受益者共有独立部分」という。)については、受益者共有独立部分ごとに、当該受益者共有独立部分につき受益権を有する各受益者(法第14条第2((信託財産に係る資産の譲渡等の帰属))の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下433及び9129において「受益者等」という。)が、各自の有する受益権の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用する。

(19課消118追加)

(信託の受益者としての権利の譲渡)

433 受益者等課税信託の受益者等が有する権利の譲渡が行われた場合には、その権利の目的となる信託財産の譲渡が行われたこととなるのであるから留意する。

(19課消118追加)

(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)

434 法第14条第1((信託財産に係る資産の譲渡等の帰属))に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。

(19課消118追加)

(1) その信託が終了するまでの間における同法第182条第1項第2((残余財産の帰属))に規定する帰属権利者(以下435までにおいて「帰属権利者」という。)

(2) 委託者が生存している間において、委託者の死亡の時に受益権を取得する信託法第90条第1項第1((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に掲げる受益者となるべき者として指定された者

(3) 委託者が生存している間において、委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者

(受益者とみなされる委託者)

435 法第14条第2((信託財産に係る資産の譲渡等の帰属))の規定により受益者とみなされる者には、同項に掲げる信託の変更をする権限を有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。

(19課消118追加、平23課消135改正)

(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

(2) 信託法第182条第2項に掲げる信託行為に残余財産受益者又は帰属権利者(以下435において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合

4節 法人課税信託に関する取扱い

(法人課税信託の受託者の納税義務)

441 法人課税信託(法人税法第2条第29号の2((定義))に規定する法人課税信託をいう。以下この節において同じ。)の受託者は、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等ごとに、それぞれ別の者とみなして消費税法が適用されるのであるが、受託事業者における法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用については、その課税期間の初日の属する固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高により判定する。

ただし、当該初日の属する固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合であっても、当該固有事業者が課税事業者選択届出書を提出する等により、当該課税期間につき同項本文の規定の適用を受けない場合には、当該受託事業者にも同項本文の規定の適用がないことに留意する。

(19課消118追加)

(受託事業者の簡易課税制度の適用関係)

442 受託事業者のその課税期間における簡易課税制度の適用の有無は、当該課税期間の初日において固有事業者の同制度の適用の有無により判定するから、当該初日において、当該固有事業者が同制度の適用を受ける事業者である場合に限り、当該受託事業者のその課税期間についても適用される。

(19課消118追加)

() 固有事業者が法第37条の21項又は第6((災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例))の承認を受けたことにより、受託事業者のその課税期間の初日における固有事業者の簡易課税制度の適用の有無に変動が生じた場合には、次のとおりとなる。

なお、固有事業者が令第57条の21項又は第2((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用を受ける旨の届出等に関する特例))の承認を受けた場合も同様である。

(1) 当該固有事業者が法第37条の21項の承認を受けた場合

当該受託事業者のその課税期間につき簡易課税制度が適用される。

(2) 当該固有事業者が法第37条の26項の承認を受けた場合

当該受託事業者のその課税期間につき簡易課税制度が適用されない。

(法人課税信託の受託者が提出する届出書等)

443 法第9条第4項又は第5((小規模事業者に係る納税義務の免除))、法第37条第1項又は第5((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))、法第37条の21項又は第6((災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例))、法第57((小規模事業者の納税義務の免除が適用されなくなった場合等の届出))、令第20条の21項又は第2((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))及び令第57条の21項又は第2((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用を受ける旨の届出等に関する特例))の届出又は申請に関する規定が適用されるのは固有事業者に限られるから、受託事業者はこれらの規定に関する届出書又は申請書は提出できない。

ただし、法第19条第1項第3号から第4号の2((課税期間))及び法第30条第3((仕入れに係る消費税額の控除))の規定は、固有事業者における適用の有無にかかわらず、受託事業者においても適用されるので、受託事業者がこれらの規定の適用を受ける場合には、受託事業者ごとにこれらの規定に関する届出書又は申請書を提出する必要がある。

(19課消118追加、平22課消19、平30課消25改正)

(信託事務を主宰する受託者の意義)

444 法第15条第12((法人課税信託の受託者に関するこの法律の適用))に規定する「信託事務を主宰する受託者」とは、中心となって信託事務の全体を取りまとめる受託者をいう。

この場合、全体を取りまとめているかは、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に判定する。

(19課消118追加)

5章 課税範囲

1節 通則

(事業としての意義)

511 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。

(23課消135改正)

()

1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。

2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

(対価を得て行われるの意義)

512 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対して反対給付を受けることをいうから、無償による資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、資産の譲渡等に該当しないことに留意する。

(27課消117改正)

() 個人事業者が棚卸資産若しくは棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、若しくは使用した場合における当該消費若しくは使用又は法人が資産をその役員に対して贈与した場合における当該贈与は、法第4条第5((資産のみなし譲渡))の規定により、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされることに留意する。

(資産の意義)

513 法第2条第1項第8号及び第12((資産の譲渡等の意義等))に規定する「資産」とは、取引の対象となる一切の資産をいうから、棚卸資産又は固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれることに留意する。

(代物弁済の意義)

514 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する「代物弁済による資産の譲渡」とは、債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する場合の資産の譲渡をいうのであるから、例えば、いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。

(負担付き贈与の意義)

515 令第2条第1項第1((負担付き贈与による資産の譲渡))に規定する「負担付き贈与」とは、その贈与に係る受贈者に一定の給付をする義務を負担させる資産の贈与をいうのであるから留意する。

なお、事業者が他の事業者に対して行った広告宣伝用の資産の贈与は、同号に規定する負担付き贈与には該当しない。

() 事業者が資産を贈与(法人のその役員に対する贈与を除く。)した場合において、当該資産の贈与が負担付き贈与に該当しない限り、当該資産の贈与は、資産の譲渡等に該当しない。

(金銭以外の資産の出資の範囲)

516 令第2条第1項第2((金銭以外の資産の出資))に規定する「金銭以外の資産の出資」には、法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する金銭出資により設立した法人に同号の契約に基づく金銭以外の資産を譲渡する形態により行われるものは含まれないのであるから留意する。

したがって、この場合における当該金銭以外の資産の譲渡に係る対価の額は、当該譲渡について現実に対価として収受し、又は収受すべき金額となる。

(13課消15改正)

(付随行為)

517 令第2条第3((付随行為))に規定する「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」には、例えば、事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる次に掲げるようなものが該当することに留意する。

(1) 職業運動家、作家、映画・演劇等の出演者等で事業者に該当するものが対価を得て行う他の事業者の広告宣伝のための役務の提供

(2) 職業運動家、作家等で事業者に該当するものが対価を得て行う催物への参加又はラジオ放送若しくはテレビ放送等に係る出演その他これらに類するもののための役務の提供

(3) 事業の用に供している建物、機械等の売却

(4) 利子を対価とする事業資金の預入れ

(5) 事業の遂行のための取引先又は使用人に対する利子を対価とする金銭等の貸付け

(6) 新聞販売店における折込広告

(7) 浴場業、飲食業等における広告の掲示

(事業に関して行う家事用資産の譲渡)

518 個人事業者が行う資産の譲渡のうち、例えば、次に掲げるものは、事業のために行うものであっても、令第2条第3((付随行為))に規定する「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡」には含まれないのであるから留意する。

(1) 事業用資金の取得のために行う家事用資産の譲渡

(2) 事業用資産の仕入代金に係る債務又は事業用に借り入れた資金の代物弁済として行われる家事用資産の譲渡

(リース取引の実質判定)

519 事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定するものとし、この場合には、次のことに留意する。

(20課消18改正)

(1) 所法第67条の21((売買とされるリース取引))又は法法第64条の21((売買とされるリース取引))の規定により売買があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産の引渡しの時に資産の譲渡があったこととなる。

() この場合の資産の譲渡の対価の額は、当該リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間(以下9363及び9364において「リース期間」という。)中に収受すべきリース料の額の合計額となる。

(2) 所法第67条の22((金銭の貸借とされるリース取引))又は法法第64条の22((金銭の貸借とされるリース取引))の規定により金銭の貸借があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産に係る譲渡代金の支払の時に金銭の貸付けがあったこととなる。

(親族間の取引)

5110 個人事業者が生計を一にする親族との間で行った資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であっても、それが事業として対価を得て行われるものであるときは、これらの行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

(非居住者が行う取引)

5111 非居住者(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6((定義))に規定する非居住者をいう。以下同じ。)が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であっても、それが事業として対価を得て行われるものであるときは、これらの行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

(10課消29改正)

2節 資産の譲渡の範囲

(資産の譲渡の意義)

521 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう。

() 資産の交換は、資産の譲渡に該当する。

(保証債務等を履行するために行う資産の譲渡)

522 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する事業として対価を得て行われる資産の譲渡は、その原因を問わないのであるから、例えば、他の者の債務の保証を履行するために行う資産の譲渡又は強制換価手続により換価された場合の資産の譲渡は、同号に規定する事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当することに留意する。

(会報、機関紙()の発行)

523 同業者団体、組合等が対価を得て行う会報又は機関紙()(以下523において「会報等」という。)の発行(会報等の発行の対価が会費又は組合費等の名目で徴収されていると認められる場合の当該会報等の発行を含む。)は、資産の譲渡等に該当するのであるが、会報等が同業者団体、組合等の通常の業務運営の一環として発行され、その構成員に配布される場合には、当該会報等の発行費用がその構成員からの会費、組合費等によって賄われているときであっても、その構成員に対する当該会報等の配布は、資産の譲渡等に該当しない。

() 同業者団体、組合等が、その構成員から会費、組合費等を受け、その構成員に会報等を配布した場合に、当該会報等が書店等において販売されているときであっても、当該会報等が当該同業者団体、組合等の業務運営の一環として発行されるものであるときは、その構成員に対する配布は、資産の譲渡等に該当しないものとして取り扱う。

(保険金、共済金等)

524 保険金又は共済金(これらに準ずるものを含む。)は、保険事故の発生に伴い受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

(損害賠償金)

525 損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

(1) 損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下525において同じ。)に引き渡される場合で、当該棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに当該加害者から当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

(3) 不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

(容器保証金等の取扱い)

526 びん・缶又は収納ケース等(以下526において「容器等」という。)込みで資産を譲渡する場合に、容器等込みで資産を引き渡す際に収受し、当該資産を消費等した後に空の容器等を返却したときは返還することとされている保証金等は、資産の譲渡等の対価に該当しない。

なお、当該容器等が返却されないことにより返還しないこととなった保証金等の取扱いについては、次による。

(1) 当事者間において当該容器等の譲渡の対価として処理することとしている場合 資産の譲渡等の対価に該当する。

(2) 当事者間において損害賠償金として処理することとしている場合 当該損害賠償金は資産の譲渡等の対価に該当しない。

() (1)又は(2)のいずれによるかは、当事者間で授受する請求書、領収書その他の書類で明らかにするものとする。

(建物賃貸借契約の解除等に伴う立退料の取扱い)

527 建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃貸人から収受する立退料(不動産業者等の仲介を行う者を経由して収受する場合を含む。)は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。

() 建物等の賃借人たる地位を賃貸人以外の第三者に譲渡し、その対価として立退料等として収受したとしても、これらは建物等の賃借権の譲渡に係る対価として受領されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当することになるのであるから留意する。

(剰余金の配当等)

528 剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。以下528において同じ。)は、株主又は出資者たる地位に基づき、出資に対する配当又は分配として受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

(18課消116改正)

() 事業者が、法法第60条の21項第1((協同組合等の事業分量配当等の損金算入))に掲げる事業分量配当(当該事業者が協同組合等から行った課税仕入れに係るものに限る。)を受けた場合には、法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定が適用されることになる。

(自己株式の取扱い)

529 法人が自己株式を取得する場合(証券市場での買入れによる取得を除く。)における株主から当該法人への株式の引渡し及び法人が自己株式を処分する場合における他の者への株式の引渡しは、いずれも資産の譲渡等に該当しない。

(18課消116改正)

(対価補償金等)

5210 令第2条第2((資産の譲渡等の範囲))に規定する「補償金」とは、同項の規定により譲渡があったものとみなされる収用の目的となった所有権その他の権利の対価たる補償金(以下5210において「対価補償金」という。)をいうのであり、当該補償金の収受により権利者の権利が消滅し、かつ、当該権利を取得する者から支払われるものに限られるから、次に掲げる補償金は、対価補償金に該当しないことに留意する。

(23課消135改正)

(1) 事業について減少することとなる収益又は生ずることとなる損失の補填に充てるものとして交付を受ける補償金

(2) 休廃業等により生ずる事業上の費用の補填又は収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産について実現した損失の補填に充てるものとして交付を受ける補償金

(3) 資産の移転に要する費用の補填に充てるものとして交付を受ける補償金

(4) その他対価補償金たる実質を有しない補償金

() 公有水面埋立法の規定に基づく公有水面の埋立てによる漁業権又は入漁権の消滅若しくはこれらの価値の減少に伴う補償金は、補償金を支払う者はこれらの権利を取得せず、資産の移転がないことから、資産の譲渡等の対価に該当しない。

(譲渡担保等)

5211 事業者が債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その譲渡につき所基通332((譲渡担保に係る資産の移転))又は法基通2118((固定資産を譲渡担保に供した場合))の取扱いの適用を受けているときは、その取扱いの例によるものとする。

(自社使用等)

5212 事業者が自己の広告宣伝又は試験研究等のために商品、原材料等の資産を消費し、又は使用した場合の当該消費又は使用は、資産の譲渡に該当しないことに留意する。

(資産の廃棄、盗難、滅失)

5213 棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していた若しくは供すべき資産について廃棄をし、又は盗難若しくは滅失があった場合のこれらの廃棄、盗難又は滅失は、資産の譲渡等に該当しないことに留意する。

(寄附金、祝金、見舞金等)

5214 寄附金、祝金、見舞金等は原則として資産の譲渡等に係る対価に該当しないのであるが、例えば、資産の譲渡等を行った事業者がその譲渡等に係る対価を受領するとともに別途寄附金等の名目で金銭を受領している場合において、当該寄附金等として受領した金銭が実質的に当該資産の譲渡等の対価を構成すべきものと認められるときは、その受領した金銭はその資産の譲渡等の対価に該当する。

(補助金、奨励金、助成金等)

5215 事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金若しくは助成金等又は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第2条第1((定義))に掲げる補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

(23課消135改正)

() 雇用保険法の規定による雇用調整助成金、雇用対策法の規定による職業転換給付金又は障害者の雇用の促進等に関する法律の規定による身体障害者等能力開発助成金のように、その給付原因となる休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の支出に当たり、あらかじめこれらの雇用調整助成金等による補填を前提として所定の手続をとり、その手続のもとにこれらの経費の支出がされることになるものであっても、これらの雇用調整助成金等は、資産の譲渡等の対価に該当しない。

(下請先に対する原材料等の支給)

5216 事業者が外注先等に対して外注加工に係る原材料等を支給する場合において、その支給に係る対価を収受することとしているとき(以下5216において「有償支給」という。)は、その原材料等の支給は、対価を得て行う資産の譲渡に該当するのであるが、有償支給の場合であっても事業者がその支給に係る原材料等を自己の資産として管理しているときは、その原材料等の支給は、資産の譲渡に該当しないことに留意する。

() 有償支給に係る原材料等についてその支給をした事業者が自己の資産として管理しているときには支給を受ける外注先等では当該原材料等の有償支給は課税仕入れに該当せず、また、当該支給をした事業者から収受すべき金銭等のうち原材料等の有償支給に係る金額を除いた金額が資産の譲渡等の対価に該当する。

3節 みなし譲渡

1款 個人事業者の家事消費等

(家事消費等の意義)

531 法第4条第5項第1((個人事業者の家事消費等))に規定する「棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、又は使用した場合」とは、同号に規定する資産を個人事業者又は当該個人事業者と生計を一にする親族の用に消費し、又は使用した場合をいう。

(27課消117改正)

(使用の意義)

532 法第4条第5項第1((個人事業者の家事消費等))に規定する「使用」とは、同号に規定する資産の全部又は一部を家事のためにのみ使用することをいうのであるから、例えば、事業の用に供している自動車を家事のためにも利用する場合のように、家事のためにのみ使用する部分を明確に区分できない資産に係る利用は、同号に規定する「使用」に該当しないことに留意する。

(27課消117改正)

2款 役員に対するみなし譲渡

(役員の範囲)

533 法第4条第5項第2((役員に対するみなし譲渡))に規定する役員(法法第2条第15((定義))に規定する役員をいう。以下535までにおいて同じ。)の範囲につき法法令第7条第1((役員の範囲))の規定を適用する場合において、同号に規定する「使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」には、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが含まれることに留意する。

(27課消117改正)

(同順位の株主グループ)

534 法第4条第5項第2((役員に対するみなし譲渡))に規定する役員の範囲につき法法令第71条第1項第5号イからハまで((使用人兼務役員とされない役員))の規定を適用する場合において、第1順位の株主グループと同順位の株主グループがあるときは当該同順位の株主グループを含めたものが第1順位の株主グループに該当し、これに続く株主グループが第2順位の株主グループに該当することに留意する。

(18課消116、平27課消117改正)

() 例えば、A株主グループ及びB株主グループの所有割合(法法令第71条第3項に規定する所有割合をいう。以下同じ。)がそれぞれ20%、C株主グループ及びD株主グループの所有割合がそれぞれ15%の場合には、A株主グループ及びB株主グループが第1順位の株主グループに該当してその割合は40%となり、C株主グループ及びD株主グループが第2順位の株主グループに該当してその所有割合は30%となる。

(役員に対する無償譲渡等)

535 法第4条第5項第2((役員に対するみなし譲渡))又は第28条第1項ただし書((課税標準))の規定により、法人がその役員に対し、資産を無償で譲渡した場合又は資産の譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低い対価の額で譲渡した場合には、当該譲渡の時における価額に相当する金額がその対価の額とされるのであるが、法人がその役員に対し無償で行った資産の貸付け又は役務の提供については、これらの規定が適用されないことに留意する。

(27課消117改正)

() 所基通3621((課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等))又は3622((課税しない経済的利益……創業記念品等))において給与として課税しなくて差し支えないものとされている記念品等については、役員に対して無償支給する場合であっても、法第4条第5項第2号に該当しないものとして取り扱って差し支えない。

4節 資産の貸付け

(資産に係る権利の設定の意義)

541 法第2条第2((資産の貸付けの意義))に規定する「資産に係る権利の設定」とは、例えば、土地に係る地上権若しくは地役権、特許権等の工業所有権に係る実施権若しくは使用権又は著作物に係る出版権の設定をいう。

(資産を使用させる一切の行為の意義)

542 法第2条第2((資産の貸付けの意義))に規定する「資産を使用させる一切の行為(当該行為のうち、電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。)」とは、例えば、次のものをいう。

(27課消117改正)

(1) 工業所有権等(特許権等の工業所有権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権をいう。)の使用、提供又は伝授

(2) 著作物の複製、上演、放送、展示、上映、翻訳、編曲、脚色、映画化その他著作物を利用させる行為

(3) 工業所有権等の目的になっていないが、生産その他業務に関し繰り返し使用し得るまでに形成された創作(特別の原料、処方、機械、器具、工程によるなど独自の考案又は方法についての方式、これに準ずる秘けつ、秘伝その他特別に技術的価値を有する知識及び意匠等をいう。)の使用、提供又は伝授

(借家保証金、権利金等)

543 建物又は土地等の賃貸借契約等の締結又は更改に当たって受ける保証金、権利金、敷金又は更改料(更新料を含む。)のうち賃貸借期間の経過その他当該賃貸借契約等の終了前における一定の事由の発生により返還しないこととなるものは、権利の設定の対価であるから資産の譲渡等の対価に該当するが、当該賃貸借契約の終了等に伴って返還することとされているものは、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

(福利厚生施設の利用)

544 事業者が、その有する宿舎、宿泊所、集会所、体育館、食堂その他の施設を、対価を得て役員又は使用人等に利用させる行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

(資産の無償貸付け)

545 個人事業者又は法人が、資産の貸付けを行った場合において、その資産の貸付けに係る対価を収受しないこととしているときは、当該資産の貸付けを受けた者が当該個人事業者の家族又は当該法人の役員であっても、資産の譲渡等に該当しないことに留意する。

5節 役務の提供

(役務の提供の意義)

551 法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供することをいい、弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手、映画監督、棋士等によるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供もこれに含まれる。

(解約手数料、払戻手数料等)

552 予約の取消し、変更等に伴って予約を受けていた事業者が収受するキャンセル料、解約損害金等は、逸失利益等に対する損害賠償金であり、資産の譲渡等の対価に該当しないが、解約手数料、取消手数料又は払戻手数料等を対価とする役務の提供のように、資産の譲渡等に係る契約等の解約又は取消し等の請求に応じ、対価を得て行われる役務の提供は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

例えば、約款、契約等において解約等の時期にかかわらず、一定額を手数料等として授受することとしている場合の当該手数料等は、解約等の請求に応じて行う役務の提供の対価に該当する。

なお、解約等に際し授受することとされている金銭のうちに役務の提供の対価である解約手数料等に相当する部分と逸失利益等に対する損害賠償金に相当する部分とが含まれている場合には、その解約手数料等に相当する部分が役務の提供の対価に該当するのであるが、これらの対価の額を区分することなく、一括して授受することとしているときは、その全体を資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱う。

(会費、組合費等)

553 同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

()

1 同業者団体、組合等がその団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、その団体の存立を図るというようないわゆる通常会費については、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない。

2 名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料又は施設の利用料等と認められるときは、その会費等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

3 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な会費、組合費等について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

(入会金)

554 同業者団体、組合等がその構成員から収受する入会金(返還しないものに限る。)については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものにつき、当該同業者団体、組合等が同号に規定する資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その入会金を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

() 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な入会金について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

(ゴルフクラブ等の入会金)

555 ゴルフクラブ、宿泊施設その他レジャー施設の利用又は一定の割引率で商品等を販売するなど会員に対する役務の提供を目的とする事業者が会員等の資格を付与することと引換えに収受する入会金(返還しないものに限る。)は、資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

(公共施設の負担金等)

556 特定の事業を実施する者が当該事業への参加者又は当該事業に係る受益者から受ける負担金、賦課金等については、当該事業の実施に伴う役務の提供との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、例えば、その判定が困難な国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のための負担金について、国、地方公共団体又は同業者団体等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その負担金を支払う事業者がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

()

1 公共的施設の負担金等であっても、例えば、専用側線利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、電気通信施設利用権等の権利の設定に係る対価と認められる場合等の、その負担金等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

2 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な公共的施設の負担金等について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、国、地方公共団体又は同業者団体等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

(共同行事に係る負担金等)

557 同業者団体等の構成員が共同して行う宣伝、販売促進、会議等(以下557において「共同行事」という。)に要した費用を賄うために当該共同行事の主宰者がその参加者から収受する負担金、賦課金等については、当該主宰者において資産の譲渡等の対価に該当する。ただし、当該共同行事のために要した費用の全額について、その共同行事への参加者ごとの負担割合が予め定められている場合において、当該共同行事の主宰者が収受した負担金、賦課金等について資産の譲渡等の対価とせず、その負担割合に応じて各参加者ごとにその共同行事を実施したものとして、当該負担金、賦課金等につき仮勘定として経理したときは、これを認める。

() この取扱いによる場合において、当該負担金、賦課金等により賄われた費用のうちに課税仕入れ等に該当するものがあるときは、各参加者がその負担割合に応じて当該課税仕入れ等について法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定を適用することになる。

(賞金等)

558 他の者から賞金又は賞品(以下558において「賞金等」という。)の給付を受けた場合において、その賞金等が資産の譲渡等の対価に該当するかどうかは、当該賞金等の給付と当該賞金等の対象となる役務の提供との間の関連性の程度により個々に判定するのであるが、例えば、次のいずれの要件をも満たす場合の賞金等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

(27課消117改正)

(1) 受賞者が、その受賞に係る役務の提供を業とする者であること。

(2) 賞金等の給付が予定されている催物等に参加し、その結果として賞金等の給付を受けるものであること。

() 当該資産の譲渡等が特定役務の提供である場合には、当該役務の提供を受けた事業者の特定課税仕入れとなることに留意する。

(滞船料)

559 海上運送業を営む事業者が船舶による運送に関連して受ける滞船料(貨物の積卸期間が当初契約で予定した期間を超過して運送期間が長期にわたることとなった場合に徴収する割増運賃をいう。)は、資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

() 当該事業者が船舶による運送に関連して支払う早出料(貨物の積卸期間が短縮され運送期間が短縮したために運賃の割戻しを行う場合の割戻運賃をいう。以下1411において同じ。)は、法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に該当する。

(出向先事業者が支出する給与負担金)

5510 事業者の使用人が他の事業者に出向した場合において、その出向した使用人(以下5510において「出向者」という。)に対する給与を出向元事業者(出向者を出向させている事業者をいう。以下5510において同じ。)が支給することとしているため、出向先事業者(出向元事業者から出向者の出向を受けている事業者をいう。以下5510において同じ。)が自己の負担すべき給与に相当する金額(以下5510において「給与負担金」という。)を出向元事業者に支出したときは、当該給与負担金の額は、当該出向先事業者におけるその出向者に対する給与として取り扱う。

() この取扱いは、出向先事業者が実質的に給与負担金の性質を有する金額を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用する。

(労働者派遣に係る派遣料)

5511 労働者の派遣(自己の雇用する労働者を当該雇用関係の下に、かつ、他の者の指揮命令を受けて、当該他の者のために労働に従事させるもので、当該他の者と当該労働者との間に雇用関係のない場合をいう。)を行った事業者が当該他の者から収受する派遣料等の金銭は、資産の譲渡等の対価に該当する。

(電気通信役務に係る回線使用料等)

5512 電気通信事業法第2条第5((定義))に規定する電気通信事業者が同条第3号に規定する電気通信役務の提供に伴って収受する対価は「回線使用料」等と称している場合であっても、役務の提供の対価に該当する。

したがって、電気通信設備を使用させることが電気通信役務に該当する場合において、当該電気通信設備が国内と国内以外にわたって敷設等されているものであるときは、法第7条第1項第3((国際輸送等に対する輸出免税))に規定する国内及び国内以外の地域にわたって行われる通信に該当することとなる。

(14課消112、平16課消125改正)

6節 保税地域からの引取り

(保税地域から引き取られる外国貨物の範囲)

561 法第4条第2((課税の対象))に規定する「保税地域から引き取られる外国貨物」には、輸徴法第5((保税地域からの引取り等とみなす場合))の規定により保税地域からの引取りとみなされる貨物も含まれることに留意する。

(無償による貨物の輸入等)

562 保税地域から引き取られる外国貨物については、国内において事業者が行った資産の譲渡等の場合のように、「事業として対価を得て行われる」ものには限られないのであるから、保税地域から引き取られる外国貨物に係る対価が無償の場合、又は保税地域からの外国貨物の引取りが事業として行われるものではない場合のいずれについても法第4条第2((外国貨物に対する消費税の課税))の規定が適用されるのであるから留意する。

(無体財産権の伴う外国貨物に係る課税標準)

563 特許権等の無体財産権の使用の対価を支払う外国貨物を保税地域から引き取る場合には、その外国貨物のみが課税の対象となり、この場合の課税標準は、当該外国貨物に対する関税の課税価格に消費税以外の消費税等(通則法第2条第3((定義))に規定する消費税等をいう。)の額(通則法第2条第4((定義))に規定する附帯税に相当する額を除く。)及び関税額(関税法第2条第1項第4号の2((定義))に規定する附帯税の額に相当する額を除く。)を加算した金額となる。この場合において、当該特許権等の無体財産権(複製権を除く。)の使用に伴う対価の支払が当該外国貨物の輸入取引の条件となっているときは、当該対価の額は、関税の課税価格に含めることに留意する。

(11課消25改正)

() 保税地域から引き取られる外国貨物が消費税の課税の対象となり、外国から特許権等の無体財産権の譲受け又は貸付けを併せて受ける場合であっても、輸入取引の条件となっていないときは、その無体財産権は、保税地域から引き取る外国貨物には該当しないことから、消費税の課税の対象とはならない。

(保税地域において外国貨物が亡失又は滅失した場合)

564 保税地域にある外国貨物が災害等により亡失し、又は滅失した場合には、法第4条第6((保税地域における外国貨物の消費等))の規定は適用されないのであるから留意する。

(27課消117改正)

(保税作業により製造された貨物)

565 保税地域における保税作業(外国貨物についての加工若しくはこれを原料とする製造(混合を含む。)又は外国貨物に係る改装、仕分その他の手入れをいう。)により、内国貨物が課税貨物に該当する貨物の材料又は原料として使用され、又は消費された場合には、法第4条第6項本文((保税地域における外国貨物の消費等))の規定は適用されないのであるが、これにより製造された貨物は、関税法第59条第1((内国貨物の使用等))の規定により外国貨物とみなされることとなり、当該製造された貨物を保税地域から引き取る時には、法第4条第2((課税の対象))の規定の適用を受けることに留意する。

なお、関税法第59条第2項の規定により税関長の承認を受けて、外国貨物と内国貨物を混じて使用したときは、前段の規定にかかわらず、これによりできた製品のうち、当該外国貨物の数量に対応するものを外国貨物とみなすこととなるのであるから留意する。

(27課消117改正)

(輸入外航機等の課税関係)

566 船舶運航事業を営む者(海上運送法第2条第2((船舶運航事業の意義))に規定する船舶運航事業を営む者をいう。)若しくは船舶貸渡業を営む者(同条第7((船舶貸渡業の意義))に規定する船舶貸渡事業を営む者をいう。)又は航空運送事業を営む者(航空法第2条第18((航空運送事業の意義))に規定する航空運送事業を営む者をいう。)が、専ら国内と国内以外の地域又は国内以外の地域間において行われる旅客若しくは貨物の輸送の用に供される船舶又は航空機を保税地域から引き取る場合には、輸徴法第13条第2((免税等))の規定により、その引取りに係る消費税は免除されることに留意する。

(18課消11、平21課消110改正)

7節 国内取引の判定

(国外と国外との間における取引の取扱い)

571 事業者が国外において購入した資産を国内に搬入することなく他へ譲渡した場合には、その経理処理のいかんを問わず、その譲渡は、法第4条第1((課税の対象))に規定する「国内において事業者が行った資産の譲渡等」に該当しないのであるから留意する。

(船舶の登録をした機関の所在地等)

572 令第6条第1項第1((船舶の所在地))に規定する「船舶の登録をした機関の所在地」とは、同号に規定する日本船舶にあっては、船舶法第5条第1((登録、船舶国籍証書))に規定する船籍港を管轄する管海官庁の所在地、小型船舶登録規則第5((登録の申請))に規定する小型船舶の所在地を管轄する地方運輸局の所在地又は漁船法第10条第1((漁船の登録))に規定する主たる根拠地を管轄する都道府県知事が統轄する都道府県庁の所在地をいい、令第6条第1項第1号に規定する日本船舶以外の船舶にあっては、外国における船舶の登録に類する事務を行う機関の所在地をいう。

(14課消112改正)

()

1 小型船舶の登録に関する法律第2条第1項第2((定義))並びに漁船法第10条第1項かっこ書((漁船原簿への登録を必要としない漁船))に規定する総トン数1トン未満の無動力漁船は登録が行われないので、令第6条第1項第1号に規定する船舶に該当せず、また、日本船舶にも当たらないことに留意する。

2 外国で登録された船舶であっても、小型船舶の登録等に関する法律第2((定義))に規定する船舶に該当する場合には、同法第6条第2項の規定による登録が行われることから、日本船舶に当たることに留意する。

(航空機の登録をした機関の所在地)

573 令第6条第1項第3((航空機の所在地))に規定する「航空機の登録をした機関の所在地」とは、我が国の航空機については航空法第3((登録))に規定する登録機関の所在地をいい、外国の航空機については、当該航空機の国籍の所在地をいう。

(鉱業権等の範囲)

574 令第6条第1項第4((鉱業権等の所在地))に規定する「鉱業権」、「租鉱権」、「採石権」又は「樹木採取権」とは、次のものをいう(外国におけるこれらの権利を含む。)

(2課消25改正)

(1) 鉱業権 鉱業法第5((鉱業権))に規定する鉱業権をいう。

(2) 租鉱権 鉱業法第6((租鉱権))に規定する租鉱権をいう。

(3) 採石権 採石法第4((採石権の内容及び性質))に規定する採石権をいう。

(4) 樹木採取権 国有林野の管理経営に関する法律第8条の5((樹木採取権の設定))に規定する樹木採取権をいう。

(特許権等の範囲)

575 令第6条第1項第5((特許権等の所在地))に規定する「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」、「回路配置利用権」又は「育成者権」とは、次のものをいう(外国に登録されているこれらの権利を含む。)

(11課消25改正)

(1) 特許権 特許法第66((特許権の設定の登録))に規定する特許権をいう。

(2) 実用新案権 実用新案法第14((実用新案権の設定の登録))に規定する実用新案権をいう。

(3) 意匠権 意匠法第20((意匠権の設定の登録))に規定する意匠権をいう。

(4) 商標権 商標法第18((商標権の設定の登録))に規定する商標権をいう。

(5) 回路配置利用権 半導体集積回路の回路配置に関する法律第10((回路配置利用権の発生及び存続期間))に規定する回路配置利用権をいう。

(6) 育成者権 種苗法第19((育成者権の発生及び存続期間))に規定する育成者権をいう。

(著作権等の範囲)

576 令第6条第1項第7((著作権等の所在地))に規定する「著作権」、「出版権」又は「著作隣接権」とは、次のものをいう(外国におけるこれらの権利を含む。)

(23課消135改正)

(1) 著作権 著作権法の規定に基づき著作者が著作物に対して有する権利をいう。

(2) 出版権 著作権法第3((出版権))に規定する出版権をいう。

(3) 著作隣接権 著作権法第89((著作隣接権))に規定する著作隣接権をいう。

(特別の技術による生産方式の範囲)

577 令第6条第1項第7((著作権の所在地))に規定する「特別の技術による生産方式」とは、特許に至らない技術、技術に関する附帯情報等をいい、いわゆるノウハウと称されるものがこれに該当する。

(23課消135改正)

(営業権の範囲)

578 令第6条第1項第8((営業権等の所在地))に規定する営業権には、例えば、繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のいわゆるナンバー権のように、法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等に基づく権利(外国におけるこれらの権利を含む。)が該当する。

(12課消210、平23課消135改正)

(漁業権等の範囲)

579 令第6条第1項第8((漁業権等の所在地))に規定する「漁業権」又は「入漁権」とは、次のものをいう(外国におけるこれらの権利を含む。)

(23課消135改正)

(1) 漁業権 漁業法第6条第1((漁業権の定義))に規定する定置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権をいう。

(2) 入漁権 漁業法第7((入漁権の定義))に規定する入漁権をいう。

(資産の所在場所が国外である場合の取扱い)

5710 国内の事業者が、国内の他の事業者に対し、対価を得て法第4条第3項第1号又は令第6条第1((資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定))の規定により国外に所在するものとされる資産の譲渡又は貸付けをした場合には、当該譲渡又は貸付けは国外において行われたこととなり、消費税の課税の対象とはならないのであるから留意する。

(船荷証券の譲渡に係る内外判定)

5711 船荷証券の譲渡は、当該船荷証券に表彰されている貨物の譲渡であるから、原則として当該船荷証券の譲渡が行われる時において当該貨物が現実に所在している場所により国内取引に該当するかどうかを判定するのであるが、その船荷証券に表示されている「荷揚地」(PORT OF DISCHARGE)が国内である場合の当該船荷証券の譲渡については、その写しの保存を要件として国内取引に該当するものとして取り扱って差し支えない。

なお、本邦からの輸出貨物に係る船荷証券の譲渡は、当該貨物の荷揚地が国外であることから、国外取引に該当する。

(貸付けに係る資産の所在場所が変わった場合の内外判定)

5712 資産の貸付けが国内取引に該当するかどうかについては、当該貸付けの時において当該資産が所在していた場所で判定するのであるが、賃貸借に関する契約において貸付けに係る資産(特許権等の無形資産を除く。以下5712において同じ。)の使用場所が特定されている場合で、当該契約に係る当事者間の合意に基づき、当該資産の使用場所を変更した場合には、変更後の当該資産の使用場所が国内にあるかどうかにより当該資産の貸付けが国内において行われたかどうかを改めて判定することとなるのであるから留意する。

(国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送等)

5713 事業者が対価を得て行う令第6条第2項第1号から第3号まで((資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定))に規定する国内及び国外にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送、通信又は郵便若しくは信書便(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第2((定義))に規定する「信書便」をいう。以下7223までにおいて同じ。)については、国内を出発地若しくは発送地、発信地又は差出地とするもの及び国内を到着地、受信地又は配達地とするものの全てが国内において行われた課税資産の譲渡等に該当し、法第7条第1項第3((国際輸送等に係る輸出免税等))又は令第17条第2項第5号若しくは第7((国際郵便等に係る輸出免税))の規定の適用を受けることになるのであるから留意する。

(15課消113、平23課消135改正)

(事務所の意義)

5714 令第6条第1項第2((船籍のない船舶の所在地))に規定する「譲渡又は貸付けを行う者の当該譲渡又は貸付けに係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの」とは、当該譲渡又は貸付けを行う者に係る事務所等で、当該譲渡又は貸付けに係る契約の締結、資産の引渡し、代金の回収等の事業活動を行う施設をいい、自らの資産を保管するためにのみ使用する一定の場所又は自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者に係る事務所等は、これに含まれない。

(役務の提供に係る内外判定)

5715 法第4条第3項第2((課税の対象))に規定する役務の提供が行われた場所とは、現実に役務の提供があった場所として具体的な場所を特定できる場合にはその場所をいうのであり、具体的な場所を特定できない場合であっても役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所があるときは、その場所をいうものとする。

したがって、法第4条第3項第2号、令第6条第2項第1号から第5号まで((資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定))の規定に該当する場合又は役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所がある場合には、これらに定められた場所により国内取引に該当するかどうかを判定することとなり、役務の提供の場所が明らかにされていないもののほか、役務の提供が国内と国外の間において連続して行われるもの及び同一の者に対して行われる役務の提供で役務の提供場所が国内と国外の双方で行われるもののうち、その対価の額が合理的に区分されていないものについて、令第6条第2項第6((役務の提供が国内、国外にわたるものの内外判定))の規定により判定することに留意する。

(27課消117改正)

(電気通信利用役務の提供に係る内外判定)

57152 電気通信利用役務の提供が国内において行われたかどうかの判定は、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて1年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地(以下57152において「住所等」という。)が国内にあるかどうかにより判定するのであるから、事業者が行う次のような電気通信利用役務の提供であっても、国内取引に該当する。

なお、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所等が国内にあるかどうかについては、電気通信利用役務の提供を行う事業者が、客観的かつ合理的な基準に基づいて判定している場合にはこれを認める。

(27課消117追加)

(1) 国内に住所を有する者に対して、その者が国外に滞在している間に行うもの

(2) 内国法人の国外に有する事務所に対して行うもの

(国外事業者の恒久的施設で行う特定仕入れに係る内外判定)

57153 国外事業者の恒久的施設(法第4条第4項ただし書((課税の対象))に規定する恒久的施設をいう。)で行う特定仕入れ(他の者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するものに限る。以下57154までにおいて同じ。)について、当該特定仕入れが国内において行う資産の譲渡等及び国内以外の地域において行う資産の譲渡等に共通して要するものである場合には、国内において行われたものに該当するのであるから留意する。

(28課消157追加)

(国内事業者の国外事業所等で行う特定仕入れに係る内外判定)

57154 事業者(国外事業者を除く。以下57154において同じ。)の国外事業所等(法第4条第4項ただし書((課税の対象))に規定する国外事業所等をいう。以下112132において同じ。)で行う特定仕入れが国内において行われたかどうかの判定は、当該特定仕入れを行った日の状況により行うのであるから、当該特定仕入れを行った日において、国内以外の地域において行う資産の譲渡等にのみ要するものであることが明らかなもののみが国外取引に該当することに留意する。

(28課消157追加)

8節 特定資産の譲渡等

(27課消117追加)

(特定資産の譲渡等に係る納税義務)

581 特定資産の譲渡等については、当該特定資産の譲渡等を行う国外事業者が課税事業者であるかどうかにかかわらず、当該特定資産の譲渡等を受けた事業者が、当該特定資産の譲渡等に係る特定課税仕入れについて納税義務者となることに留意する。

(27課消117追加)

() 所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9)附則第42((特定課税仕入れに関する経過措置))及び第44条第2((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例に関する経過措置))により、当分の間、課税売上割合が100分の95以上の課税期間(簡易課税制度が適用されない課税期間に限る。)及び簡易課税制度が適用される課税期間については、その課税期間に行った特定課税仕入れはなかったものとして消費税法の規定が適用されるのであるから留意する。

(特定資産の譲渡等の表示義務)

582 特定資産の譲渡等(国内において他の者が行う特定課税仕入れに該当するものに限る。以下582において同じ。)を行う国外事業者は、当該国外事業者が課税事業者であるかどうかにかかわらず、当該特定資産の譲渡等に係る特定課税仕入れを行う事業者が法第5条第1((納税義務者))の規定により消費税を納める義務がある旨を表示しなければならないことに留意する。

(27課消117追加、平28課消157改正)

() 当該表示義務の履行の有無は、当該特定資産の譲渡等を受ける事業者の納税義務には影響しない。

(電気通信利用役務の提供)

583 電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。

(27課消117追加)

(1) インターネットを介した電子書籍の配信

(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供

(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供

(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供

(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供

(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング

() 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。

1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メール(以下583において「インターネット等」という。)を利用して依頼者に報告するもの

2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについてインターネット等を利用して依頼者に送信するもの

(事業者向け電気通信利用役務の提供)

584 事業者向け電気通信利用役務の提供とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供で、その役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。

(27課消117追加)

(1) インターネットのウエブサイト上への広告の掲載のようにその役務の性質から通常事業者向けであることが客観的に明らかなもの

(2) 役務の提供を受ける事業者に応じて、各事業者との間で個別に取引内容を取り決めて締結した契約に基づき行われる電気通信利用役務の提供で、契約において役務の提供を受ける事業者が事業として利用することが明らかなもの

() 消費者に対しても広く提供されるような、インターネットを介して行う電子書籍・音楽の配信又は各種ソフトウエアやゲームを利用させるなどの役務の提供は、インターネットのウエブサイト上に掲載した規約等で事業者のみを対象とするものであることを明示していたとしても、消費者からの申込みが行われ、その申込みを事実上制限できないものについては、その取引条件等からは事業者向け電気通信利用役務の提供に該当しないのであるから留意する。

(職業運動家の範囲)

585 令第2条の2((特定役務の提供の範囲))に規定する「職業運動家」には、運動家のうち、いわゆるアマチュア、ノンプロ等と称される者であっても、競技等の役務の提供を行うことにより報酬・賞金を受ける場合には、これに含まれることに留意する。

(27課消117追加)

() 運動家には、陸上競技などの選手に限られず、騎手、レーサーのほか、大会などで競技する囲碁、チェス等の競技者等が含まれることに留意する。

(特定役務の提供から除かれるもの)

586 特定役務の提供は、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供であっても不特定かつ多数の者に対して行うものは除かれるのであるから、例えば、国外事業者である音楽家自身が国内で演奏会等を主催し、不特定かつ多数の者に役務の提供を行う場合において、それらの者の中に事業者が含まれていたとしても、当該役務の提供は特定役務の提供には該当しないことに留意する。

(27課消117追加)

(特定役務の提供を行う者の仲介等)

587 特定役務の提供は、令第2条の2((特定役務の提供の範囲))に規定する役務の提供が該当するのであるから、例えば、次に掲げるものは特定役務の提供には該当しないことに留意する。

(27課消117追加)

(1) 特定役務の提供を受ける者が、特定役務の提供を行う者との契約の締結等のために、特定役務の提供を行う者以外の者に依頼する仲介等

(2) 特定役務の提供を受ける者が、特定役務の提供を行う者の所属していた法人その他の者に支払う移籍料等と称するものを対価とする取引で、権利の譲渡又は貸付けに該当するもの

6章 非課税範囲

1節 土地等の譲渡及び貸付け関係

(土地の範囲)

611 「土地」には、立木その他独立して取引の対象となる土地の定着物は含まれないのであるが、その土地が宅地である場合には、庭木、石垣、庭園(庭園に附属する亭、庭内神し()その他これらに類する附属設備を含む。)その他これらに類するもののうち宅地と一体として譲渡するもの(建物及びその附属施設を除く。)は含まれる。

(土地の上に存する権利の意義)

612 「土地の上に存する権利」とは、地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権等の土地の使用収益に関する権利をいうのであり、例えば、鉱業権、土石採取権、温泉利用権及び土地を目的物とした抵当権は、これに含まれない。

なお、土地の賃貸借の形態により行われる土石、砂利等の採取が、採石法第33((採取計画の認可))、砂利採取法第16((採取計画の認可))等の規定により認可を受けて行われるべきものである場合には、その対価は、土石、砂利等の採取の対価であり、非課税とされる土地の貸付けの対価には該当しないことに留意する。

(借地権に係る更新料、名義書換料)

613 借地権に係る更新料(更改料を含む。)又は名義書換料は、土地の上に存する権利の設定若しくは譲渡又は土地の貸付けの対価に該当する。

(土地の貸付期間の判定)

614 令第8((土地の貸付けから除外される場合))に規定する「土地の貸付けに係る期間が1月に満たない場合」に該当するかどうかは、当該土地の貸付けに係る契約において定められた貸付期間によって判定するものとする。

(土地付建物等の貸付け)

615 令第8((土地の貸付けから除外される場合))の規定により、施設の利用に伴って土地が使用される場合のその土地を使用させる行為は土地の貸付けから除かれるから、例えば、建物、野球場、プール又はテニスコート等の施設の利用が土地の使用を伴うことになるとしても、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれないことに留意する。

()

1 事業者が駐車場又は駐輪場として土地を利用させた場合において、その土地につき駐車場又は駐輪場としての用途に応じる地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしていないとき(駐車又は駐輪に係る車両又は自転車の管理をしている場合を除く。)は、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれる。

2 建物その他の施設の貸付け又は役務の提供(以下615において「建物の貸付け等」という。)に伴って土地を使用させた場合において、建物の貸付け等に係る対価と土地の貸付けに係る対価とに区分しているときであっても、その対価の額の合計額が当該建物の貸付け等に係る対価の額となることに留意する。

(土地等の譲渡又は貸付けに係る仲介手数料)

616 土地又は土地の上に存する権利の譲渡又は貸付け(令第8((土地の貸付けから除外される場合))の規定に該当する貸付けを除く。)に係る対価は非課税であるが、土地等の譲渡又は貸付けに係る仲介料を対価とする役務の提供は、課税資産の譲渡等に該当することに留意する。

(公有水面使用料、道路占用料、河川占用料)

617 国又は地方公共団体等がその有する海浜地、道路又は河川敷地(地上及び地下を含む。)の使用許可に基づき収受する公有水面使用料、道路占用料又は河川占用料は、いずれも土地の貸付けに係る対価に該当するものとして取り扱う。

2節 有価証券等及び支払手段の譲渡等関係

(非課税の対象となる有価証券等の範囲)

621 法別表第一第2((有価証券等の譲渡))の規定によりその譲渡が非課税となる有価証券等には、おおむね次のものが該当するのであるから留意する。

(11課消28、平13課消15、平14課消112、平15課消113、平18課消116、平19課消118、平20課消18、平21課消110、平27課消19、平29課消25、令2課消25改正)

(1) 金融商品取引法第2条第1((定義))に規定する有価証券

イ 国債証券

ロ 地方債証券

ハ 農林中央金庫の発行する農林債券その他の特別の法律により法人の発行する債券(ニ及びルに掲げるものを除く。)

ニ 資産の流動化に関する法律(以下621において「資産流動化法」という。)に規定する特定社債券

ホ 社債券(相互会社の社債券を含む。)

ヘ 日本銀行その他の特別の法律により設立された法人の発行する出資証券(ト、チ及びルに掲げるものを除く。)

ト 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(以下621において「優先出資法」という。)に規定する優先出資証券

チ 資産流動化法に規定する優先出資証券又は新優先出資引受権を表示する証券

リ 株券又は新株予約権証券

ヌ 投資信託及び投資法人に関する法律(以下621において「投資信託法」という。)に規定する投資信託又は外国投資信託の受益証券

ル 投資信託法に規定する投資証券、新投資口予約権証券若しくは投資法人債券又は外国投資証券

ヲ 貸付信託の受益証券

ワ 資産流動化法に規定する特定目的信託の受益証券

カ 信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券

ヨ コマーシャル・ペーパー(金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令第2((コマーシャル・ペーパー))に規定するコマーシャル・ペーパー(以下「CP」という。))

タ 抵当証券法に規定する抵当証券

レ 外国債、海外CPなど外国又は外国の者の発行する証券又は証書でイからリまで又はヲからタまでの性質を有するもの

ソ 外国の者の発行する証券又は証書で銀行業を営む者その他の金銭の貸付けを業として行う者の貸付債権を信託する信託の受益権又はこれに類する権利を表示するもの

ツ オプションを表示する証券又は証書

ネ 預託証券

ナ 譲渡性預金(払戻しについて期限の定めがある預金であって、民法第三編第一章第七節第一款に規定する指図証券、同節第二款に規定する記名式所持人払証券、同節第三款に規定するその他の記名証券又は同節第四款に規定する無記名証券に係る債権であるもの)の預金証書のうち外国法人が発行するもの

(2) (1)に類するもの

イ (1)イからヨまで及びレ(タに掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)に掲げる有価証券に表示されるべき権利で有価証券が発行されていないもの

ロ 合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人(人格のない社団等、匿名組合及び民法上の組合を含む。)の出資者の持分

ハ 株主又は投資主(投資信託法第2条第16項に規定する投資主をいう。)となる権利、優先出資者(優先出資法第13条第1項の優先出資者をいう。)となる権利、特定社員(資産流動化法第2条第5項に規定する特定社員をいう。)又は優先出資社員(同法第26条に規定する優先出資社員をいう。)となる権利その他法人の出資者となる権利

ニ 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権

()

1 居住者が発行する譲渡性預金証書は預金に該当する。

2 (2)イには、例えば、令第1条第2項第3((登録国債))に規定する登録国債、社債、株式等の振替に関する法律(以下631において「社債等振替法」という。)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるもの、株券の発行がない株式、新株予約権、優先出資法又は資産流動化法に規定する優先出資証券の発行がない優先出資及び投資信託法に規定する投資証券の発行がない投資口が該当する。

(船荷証券等)

622 法別表第一第2((有価証券等の譲渡))に規定する有価証券等には、船荷証券、倉荷証券、複合運送証券又は株式、出資若しくは預託の形態によるゴルフ会員権等は含まれないことに留意する。

(31課消29改正)

(支払手段の範囲)

623 法別表第一第2((有価証券等の譲渡))に規定する「外国為替及び外国貿易法第6条第1項第7((定義))に規定する支払手段」とは、次のものをいうのであるから留意する。

(10課消29、平22課消19改正)

(1) 銀行券、政府紙幣、小額紙幣及び硬貨

(2) 小切手(旅行小切手を含む。)、為替手形、郵便為替及び信用状

(3) 約束手形

(4) (1)(3)に掲げるもののいずれかに類するもので、支払のために使用することができるもの

(5) 証票、電子機器その他の物に電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により入力されている財産的価値であって、不特定又は多数の者相互間でその支払のために使用することができるもの(その使用の状況が通貨のそれと近似しているものに限る。)

()

1 これらの支払手段であっても、収集品及び販売用のものは、課税の対象となる。

2 (5)の具体的範囲については、外国為替令において定めることとされている。

3節 利子を対価とする貸付金等関係

(金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等)

631 法別表第一第3((利子を対価とする貸付金等))の規定においては、おおむね次のものを対価とする資産の貸付け又は役務の提供が非課税となるのであるから留意する。

(11課消28、平13課消15、平14課消112、平15課消113、平19課消118、平20課消18、平22課消19改正)

(1) 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券、貸付金、預金、貯金又は令第9条第4((支払手段に類するもの))に規定する特別引出権の利子

(2) 信用の保証料

(3) 所法第2条第1項第11((定義))に規定する合同運用信託、同項第15号に規定する公社債投資信託又は同項第15号の2に規定する公社債等運用投資信託の信託報酬

(4) 保険料(厚生年金基金契約等に係る事務費用部分を除く。)

(5) 法法第2条第29((定義))に規定する集団投資信託、同条第29号の2に規定する法人課税信託又は同法第12条第4項第1((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する退職年金信託若しくは同項第2号に規定する特定公益信託等の収益の分配金

(6) 相互掛金又は定期積金の給付補填金及び無尽契約の掛金差益

(7) 抵当証券(これに類する外国の証券を含む。)の利息

(8) 割引債(利付債を含む。)の償還差益

(9) 手形の割引料

(10) 金銭債権の買取又は立替払に係る差益

(11) 割賦販売法第2条第1((割賦販売の定義))に規定する割賦販売、同法第2条第2((ローン提携販売の定義))に規定するローン提携販売、同条第3((包括信用購入あっせんの定義))に規定する包括信用購入あっせん又は同条第4((個別信用購入あっせん))に規定する個別信用購入あっせんの手数料(契約においてその額が明示されているものに限る。)

(12) 割賦販売等に準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の利子又は保証料相当額(その額が契約において明示されている部分に限る。)

(13) 有価証券(その権利の帰属が社債等振替法の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるもの及び令第1条第2項第3((登録国債))に規定する登録国債を含み、ゴルフ場利用株式等を除く。)の賃貸料

(14) 物上保証料

(15) 共済掛金

(16) 動産又は不動産の貸付けを行う信託で、貸付期間の終了時に未償却残額で譲渡する旨の特約が付けられたものの利子又は保険料相当額(契約において明示されている部分に限る。)

(17) 所法第67条の23((リース取引の範囲))又は法法第64条の23((リース取引の範囲))に規定するリース取引でその契約に係るリース料のうち、利子又は保険料相当額(契約において利子又は保険料の額として明示されている部分に限る。)

(保険代理店報酬等)

632 保険料(令第10条第2((事務費相当額を課税の対象とする保険契約等))に規定する契約に係る保険料のうち法別表第一第3((利子を対価とする貸付金等))に規定する事務に要する費用の額に相当する部分を除く。)を対価とする役務の提供は非課税となるのであるが、保険代理店が収受する役務の提供に係る代理店手数料又は保険会社等の委託を受けて行う損害調査又は鑑定等の役務の提供に係る手数料は、課税資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

(償還有価証券に係る償還差益)

6322 令第10条第3項第6((償還差益を対価とする資産の貸付け))に規定する償還差益を対価とする国債等の取得は非課税となるのであるが、当該国債等が法法令第139条の21((償還有価証券の調整差益又は調整差損の益金又は損金算入))に規定する償還有価証券に該当する場合の償還差益には、当該償還有価証券を取得した日の属する事業年度から償還の日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度における法人の所得の金額の計算において、益金の額に算入した同項の調整差益の全てが含まれるのであるから留意する。

(12課消210追加、平23課消135改正)

(保険料に類する共済掛金の範囲)

633 令第10条第3項第13((保険料に類するものを対価とする役務の提供))に規定する「保険料に類する共済掛金」には、法令等により組織されている団体が法令等の規定に基づき、当該団体の構成員のために行う共済制度(人の生死若しくは傷害又は資産の損失その他偶発的事由の発生を共済金の保険事故とする共済制度に限る。以下633において同じ。)に基づいて当該構成員が負担する共済掛金のほか、任意の互助組織による団体が当該団体の構成員のために行う任意の共済制度に基づいて当該構成員が負担する共済掛金が含まれる。

(15課消113改正)

() 所法令第167条の2((特定の損失等に充てるための負担金の必要経費算入))若しくは法法令第136((特定の損失等に充てるための負担金の損金算入))に規定する負担金又は租特法第28条第1項各号((特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例))若しくは第66条の111項各号((特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例))に掲げる負担金又は掛金(これらの負担金又は掛金のうち令第10条第3項第13号以外の各号((利子を対価とする貸付金等))に該当するものを除く。)は、令第10条第3項第13号に規定する保険料に類する共済掛金その他の保険料に類するものに含まれる。

(売上割引又は仕入割引)

634 資産の譲渡等の相手先に対する売掛金その他の債権(以下634において「売掛金等」という。)の支払期日前に当該売掛金等の支払いを受けた場合に当該相手先に支払う売上割引又は資産の譲受け等の相手先に対する買掛金その他の債務(以下634において「買掛金等」という。)の支払期日前に当該買掛金等を支払った場合に当該相手先から受ける仕入割引については、法第38((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))に規定する売上げに係る対価の返還等又は法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する仕入れに係る対価の返還等に該当するものとして取り扱う。

(前渡金等の利子)

635 前渡金等に係る利子のようにその経済的実質が貸付金であるものに係る利子は、法別表第一第3((利子を対価とする貸付金等))に規定する利子を対価とする資産の貸付けに該当するものとして取り扱う。

(賦払金の支払回数)

636 令第10条第3項第10((割賦販売等に準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の金利又は保証料相当額))の規定により非課税となる役務の提供は、賦払金を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領することを要件とするのであるが、契約時に申込金又は頭金等(以下636において「申込金等」という。)を受領し、残金を2回払とする場合も3回以上に分割して受領するものに該当するものとして取り扱う。

申込金等の受領者と残金の受領者が異なることとなるローン提携販売及び割賦購入あっせんについても申込金等の支払を除いた賦払回数が2回以上の場合は、この取扱いにより、3回以上の分割払に該当することとなり、同号の他の要件に該当するものは非課税の対象となる。

4節 郵便切手類等及び物品切手等の譲渡関係

(郵便切手類の譲渡)

641 法別表第一第4号イ((郵便切手類等の譲渡))の規定により非課税とされる郵便切手類又は印紙の譲渡は、日本郵便株式会社が行う譲渡及び簡易郵便局法第7条第1((簡易郵便局の設置及び受託者の呼称))に規定する委託業務を行う施設又は郵便切手類販売所等一定の場所における譲渡に限られるから、これら以外の場所における郵便切手類又は印紙の譲渡については、同号の規定が適用されないのであるから留意する。

(20課消18、平25課消134改正)

(郵便切手類の範囲)

642 法別表第一第4号イ((郵便切手類等の譲渡))の規定により非課税となる「郵便切手類」とは次のものをいい、郵便切手類販売所等に関する法律第1((定義))に規定する郵便切手を保存用の冊子に収めたものその他郵便に関する料金を示す証票に関し周知し、又は啓発を図るための物は、これに含まれないのであるから留意する。

(15課消113、平20課消18改正)

(1) 郵便切手

(2) 郵便葉書

(3) 郵便書簡

(請求権を表彰する証書の意義)

643 法別表第一第4号ハ((物品切手等の譲渡))及び令第11((物品切手に類するものの範囲))に規定する「請求権を表彰する証書」とは、証書の所持人に対してその作成者又は給付義務者がこれと引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供をすることを約する証書をいい、記名式であるかどうか、又は当該証書の作成者と給付義務者とが同一であるかどうかを問わない。

() 資産の寄託者が倉庫業者あてに作成する出荷依頼書等又はこれらに類する文書は、物品切手等に該当しない。

(物品切手等に該当するかどうかの判定)

644 法別表第一第4号ハ((物品切手等の譲渡))に規定する「物品切手等」とは、次のいずれにも該当する証書及び資金決済に関する法律(平成21年法律第59)3条第1((定義))に規定する前払式支払手段に該当する同項各号に規定する番号、記号その他の符号(以下644において「証書等」という。)をいうものとして取り扱う。

(15課消113、平20課消18、平22課消19改正)

(1) 当該証書等と引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供(以下644において「給付等」という。)を約するものであること。

(2) 給付等を受けようとする者が当該証書等と引換えに給付等を受けたことによって、その対価の全部又は一部の支払債務を負担しないものであること。

() いわゆるプリペイドカードは、物品切手等に該当する。

(物品切手等の発行)

645 事業者が、法別表第一第4号ハ((物品切手等の譲渡))に規定する物品切手等を発行し、交付した場合において、その交付に係る相手先から収受する金品は、資産の譲渡等の対価に該当しない。

(物品切手等の取扱手数料)

646 事業者が法別表第一第4号ハ((物品切手等の譲渡))に規定する物品切手等を譲渡した場合において、当該譲渡が他の者からの委託によるものであるときは、当該事業者における物品切手等の譲渡は法第2条第1項第8((資産の譲渡等の意義))に規定する資産の譲渡に該当しないが、当該譲渡に関して受ける取扱手数料は、課税資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

5節 国等の手数料及び外国為替業務等関係

(非課税となる行政手数料等の範囲等)

651 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が徴収する手数料等で法別表第一第5号イ及びロ((国、地方公共団体等が行う役務の提供))の規定により非課税となるのは、次のものであるから留意する。

(14課消112、平17課消122、平28課消157、平30課消25改正)

(1) 法令(法律、政令、省令又は大臣告示のほか条例及び規則を含み、業務方法書又は定款等は含まない。以下652までにおいて同じ。)に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金(以下651において「手数料等」という。)で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの

イ 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定

ロ 検査、検定、試験、審査及び講習(令第12条第1項第1号イからニまで((非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供))に掲げる事務のいずれにも該当しないものを除く。)

ハ 証明(令第12条第1項第2((非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供))に掲げるものを除く。)

ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第2号に掲げるものを除く。)

ホ 裁判その他の紛争の処理

ヘ 旅券の発給(旅券法第20条第1((手数料))に掲げる渡航先の追加、記載事項の訂正、再発給、旅券の合冊又は査証欄の増補及び渡航書の発給を含む。)

ト 裁定、裁決、判定及び決定

チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第1号に掲げる事務に係るものを除く。)

リ 審査請求その他これに類するものの処理

(2) 法令に基づいて行われる登録、認定、確認、指定、検査、検定、試験、審査及び講習(以下651において「登録等」という。)で法令に手数料等の徴収の根拠となる規定がないもののうち、次に掲げる登録等の手数料等

イ 法令において、弁護士その他の法令に基づく資格を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うための要件とされている登録等

()

1 「資格」とは、法令において、その資格を有しない者はその資格に係る業務若しくは行為を行うこと若しくはその資格に係る名称を使用することができないこととされていること又は一定の場合にはその資格を有する者を使用すること若しくはその資格を有する者にその資格に係る行為を依頼することが義務付けられている場合のその資格をいう。

2 「要件とされている」とは、登録等に係る役務の提供を受けない場合には、その資格が取得できない若しくは維持できない又はその資格に係る業務若しくは行為を行うことができない場合をいう。

ロ 法令において、輸出その他の行為を行う場合にはその対象となる資産又は使用する資産について登録等を受けることが要件とされている登録等

ハ 法令において、登録等により一定の規格に該当するものとされた資産でなければ一定の規格についての表示を付し、又は一定の名称を使用することができないこととされている登録等

ニ 法令において、登録等を受けることが義務付けられている登録等

ホ 証明、公文書及び公文書に類するものの交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(イからニまでに該当しない登録等に係るものを除く。)

(3) 国又は地方公共団体が、法令に基づき行う他の者の徴収すべき料金、賦課金その他これらに類するものの滞納処分について、法令に基づき他の者から徴収する手数料等

(4) 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下651において「独法等情報公開法」という。)2条第1((定義))に規定する独立行政法人等又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下651において「独法等個人情報保護法」という。)2条第1((定義))に規定する独立行政法人等のうち法別表第三に掲げる法人以外の法人が独法等情報公開法第17条第1((手数料))又は独法等個人情報保護法第26条第1((手数料))若しくは第44条の131((手数料))に基づき徴収する手数料

() 法別表第三に掲げる法人が独法等情報公開法第17条第1((手数料))又は独法等個人情報保護法第26条第1((手数料))若しくは第44条の131((手数料))に基づき徴収する手数料は(1)ニ又はチに該当する。

(非課税とならない行政手数料等)

652 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が行う事務で、次に掲げる手数料等(手数料、その他の料金をいう。以下652において同じ。)を対価とするものは、法別表第一第5号イ又はロ((国、地方公共団体等が行う役務の提供))に掲げる役務の提供に該当しないのであるから留意する。

(14課消112改正)

(1) 法令にその事務が定められていない手数料等

(2) 法令にその事務が定められている手数料等で、法令にその徴収の根拠となる規定がないもののうち、令第12条第2項第2((国、地方公共団体等の役務の提供))に規定する役務の提供の対価のいずれにも該当しないもの

() 「その徴収の根拠となる規定」とは、「手数料を徴収することができる」又は「手数料を支払わなければならない」等の規定をいい、「別途手数料に関する事項を定める」又は「手数料の額は〇〇〇円とする」との規定は含まれない。

(3) 法令に定められている検査、検定、試験、審査及び講習の手数料等で、法令にその徴収の根拠となる規定があるもののうち、令第12条第1項第1号イからニまで((非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供))に掲げる事務のいずれにも該当しないものの手数料等及びその該当しない事務に係る証明並びに公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写の手数料等

(4) 法別表第一第5号イの(1)から(4)まで及び令第12条第2項第1号、第3号又は第4号に掲げる事務以外の事務に係る役務の提供の手数料等

(非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供の範囲)

653 法別表第一第5号ニ((外国為替業務等))の規定により非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供は、次に掲げる業務に係るもの(当該業務の周辺業務として行われる役務の提供を除く。)が該当するのであるから留意する。

(10課消29、平20課消18改正)

(1) 外国為替取引

(2) 対外支払手段の発行

(3) 対外支払手段の売買又は債権の売買(本邦通貨をもって支払われる債権の居住者間の売買を除く。)

なお、居住者による非居住者からの証券(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第11号に規定する「証券」をいう。以下653において同じ。)の取得又は居住者による非居住者に対する証券の譲渡に係る媒介、取次ぎ又は代理については、非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供から除かれていることに留意する。

6節 医療の給付等関係

(医療関係の非課税範囲)

661 法別表第一第6((医療等の給付))の規定による医療関係の非課税範囲は、次のようになるのであるから留意する。

(12課消210、平18課消111、平18課消143、平19課消118、平20課消18、平22課消19、平25課消134改正)

(1) 健康保険法、国民健康保険法等の規定に基づく療養の給付及び入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、家族療養費又は特別療養費の支給に係る療養並びに訪問看護療養費又は家族訪問看護療養費の支給に係る指定訪問看護

(2) 高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づく療養の給付及び入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費又は特別療養費の支給に係る療養並びに訪問看護療養費の支給に係る指定訪問看護

(3) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定に基づく医療、生活保護法の規定に基づく医療扶助のための医療の給付及び医療扶助のための金銭給付に係る医療、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定に基づく医療の給付及び医療費又は一般疾病医療費の支給に係る医療並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の規定に基づく自立支援医療費、療養介護医療費又は基準該当療養介護医療費の支給に係る医療

(4) 公害健康被害の補償等に関する法律の規定に基づく療養の給付及び療養費の支給に係る療養

(5) 労働者災害補償保険法の規定に基づく療養の給付及び療養の費用の支給に係る療養並びに同法の規定による社会復帰促進等事業として行われる医療の措置及び医療に要する費用の支給に係る医療

(6) 自動車損害賠償保障法の規定による損害賠償額の支払(同法第72条第1((業務))の規定による損害を填補するための支払を含む。)を受けるべき被害者に対する当該支払に係る療養

(7) その他これらに類するものとして、例えば、学校保健安全法の規定に基づく医療に要する費用の援助に係る医療、母子保健法の規定に基づく養育医療の給付又は養育医療に要する費用の支給に係る医療等、国又は地方公共団体の施策に基づきその要する費用の全部又は一部を国又は地方公共団体により負担される医療及び療養(いわゆる公費負担医療)

(医療品、医療用具の販売)

662 医療品又は医療用具の給付で、健康保険法、国民健康保険法等の規定に基づく療養、医療若しくは施設療養又はこれらに類するものとしての資産の譲渡等は非課税となるが、これらの療養等に該当しない医薬品の販売又は医療用具の販売等(法別表第一第10((身体障害者用物品の譲渡等))に規定する身体障害者用物品に係る資産の譲渡等に該当するものを除く。)は課税資産の譲渡等に該当する。

(保険外併用療養費、療養費等の支給に係る療養)

663 健康保険法等の規定に基づく保険外併用療養費、医療費等の支給に係る療養は非課税となるが、これには、被保険者又は被保険者の家族の療養に際し、被保険者が負担する一部負担金に係る療養も含まれるのであるから留意する。

(12課消162、平18課消143改正)

() 平成元年大蔵省告示第7号「消費税法別表第一第6号に規定する財務大臣の定める資産の譲渡等及び金額を定める件」の規定により定められた金額を超える部分の金額については、非課税とされる療養の対価に該当しないことに留意する。

7節 社会福祉事業等関係

(介護保険関係の非課税の範囲)

671 法別表第一第7号イ((非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等))の規定による介護保険関係の非課税範囲は次のようになるのであるから留意する。

(12課消210追加、平12課消162、平14課消112、平17課消160、平18課消111、平18課消143、平21課消110、平24課消17、平27課消19、平28課消157、平29課消25、平30課消25改正)

(1) 介護保険法の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス

イ 居宅要介護者の居宅において介護福祉士等が行う訪問介護(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ロ 居宅要介護者の居宅を訪問し、浴槽を提供して行われる訪問入浴介護(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等及び特別な浴槽水等の提供を除く。)

ハ 居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)の居宅において看護師等が行う訪問看護(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ニ 居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)の居宅において行う訪問リハビリテーション(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ホ 居宅要介護者について病院、診療所又は薬局の医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士等が行う居宅療養管理指導

ヘ 居宅要介護者について特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人福祉センター、老人デイサービスセンター等の施設に通わせて行う通所介護(居宅要介護者の選定による送迎を除く。)

ト 居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について介護老人保健施設、病院、診療所等に通わせて行う通所リハビリテーション(居宅要介護者の選定による送迎を除く。)

チ 居宅要介護者について特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人短期入所施設等に短期間入所させて行う短期入所生活介護(居宅要介護者の選定による、特別な居室の提供、特別な食事の提供及び送迎を除く。)

リ 居宅要介護者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。)について介護老人保健施設及び療養病床を有する病院等に短期間入所させて行う短期入所療養介護(居宅要介護者の選定による特別な療養室等の提供、特別な食事の提供及び送迎を除く。)

ヌ 有料老人ホーム、養護老人ホーム及び軽費老人ホーム((4)トに該当するものを除く。)に入居している要介護者について行う特定施設入居者生活介護(要介護者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(2) 介護保険法の規定に基づく施設介護サービス費の支給に係る施設サービス

イ 特別養護老人ホーム((4)チに該当するものを除く。)に入所する要介護者について行われる介護福祉施設サービス(要介護者の選定による特別な居室の提供及び特別な食事の提供を除く。)

ロ 介護保険法の規定により都道府県知事の許可を受けた介護老人保健施設に入所する要介護者について行われる介護保健施設サービス(要介護者の選定による特別な療養室の提供及び特別な食事の提供を除く。)

ハ 介護保険法の規定により都道府県知事の許可を受けた介護医療院に入所する要介護者について行われる介護医療院サービス(要介護者の選定による特別な療養室の提供及び特別な食事の提供を除く。)

(3) 介護保険法の規定に基づく特例居宅介護サービス費の支給に係る訪問介護等(令第14条の21((居宅サービスの範囲等))に規定する訪問介護等をいう。)又はこれに相当するサービス(要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等、特別な浴槽水等の提供、送迎、特別な居室の提供、特別な療養室等の提供、特別な食事の提供又は介護その他の日常生活上の便宜に要する費用を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(4) 介護保険法の規定に基づく地域密着型介護サービス費の支給に係る地域密着型サービス

イ 居宅要介護者の居宅において介護福祉士、看護師等が行う定期巡回・随時対応型訪問介護看護(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ロ 居宅要介護者の居宅において介護福祉士等が行う夜間対応型訪問介護((4)イに該当するもの及び居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ハ 居宅要介護者について特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人福祉センター、老人デイサービスセンター等の施設に通わせて行う地域密着型通所介護((4)ニに該当するもの及び居宅要介護者の選定による送迎を除く。)

ニ 居宅要介護者であって、脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態(以下671において「認知症」という。)であるものについて、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人福祉センター、老人デイサービスセンター等の施設に通わせて行う認知症対応型通所介護(居宅要介護者の選定による送迎を除く。)

ホ 居宅要介護者の居宅において、又は機能訓練等を行うサービスの拠点に通わせ若しくは短期間宿泊させて行う小規模多機能型居宅介護(居宅要介護者の選定による送迎及び交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

ヘ 要介護者であって認知症であるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営む住居において行う認知症対応型共同生活介護

ト 有料老人ホーム、養護老人ホーム及び軽費老人ホーム(その入居定員が29人以下のものに限る。)に入居している要介護者について行う地域密着型特定施設入居者生活介護(要介護者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用を対価とする資産の譲渡等を除く。)

チ 特別養護老人ホーム(その入所定員が29人以下のものに限る。)に入所する要介護者について行う地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(要介護者の選定による特別な居室の提供及び特別な食事の提供を除く。)

リ 居宅要介護者について(1)イからリまでに該当するもの及び(4)イからホまでに該当するものを2種類以上組み合わせて行う複合型サービス(居宅要介護者の選定による送迎及び交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(5) 介護保険法の規定に基づく特例地域密着型介護サービス費の支給に係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護等(令第14条の23項第2((居宅サービスの範囲等))に規定する定期巡回・随時対応型訪問介護看護等をいう。)又はこれに相当するサービス(要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等、送迎、特別な居室の提供、特別な食事の提供又は介護その他の日常生活上の便宜に要する費用を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(6) 介護保険法の規定に基づく特例施設介護サービス費の支給に係る施設サービス及び健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83)附則第130条の21((健康保険法等の一部改正に伴う経過措置))の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第26条の規定による改正前の介護保険法の規定に基づく施設介護サービス費又は特例施設介護サービス費の支給に係る介護療養施設サービス(要介護者の選定による特別な居室の提供、特別な療養室の提供、特別な病室の提供又は特別な食事の提供を除く。)

(7) 介護保険法の規定に基づく介護予防サービス費の支給に係る介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護及び介護予防特定施設入居者生活介護(以下671において「介護予防訪問入浴介護等」といい、要支援者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等、特別な浴槽水等の提供、送迎、特別な居室の提供、特別な療養室等の提供、特別な食事の提供又は介護その他の日常生活上の便宜に要する費用を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(8) 介護保険法の規定に基づく特例介護予防サービス費の支給に係る介護予防訪問入浴介護等又はこれに相当するサービス

(9) 介護保険法の規定に基づく地域密着型介護予防サービス費の支給に係る介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護(以下671において「介護予防認知症対応型通所介護等」といい、居宅要支援者の選定による送迎及び交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(10) 介護保険法の規定に基づく特例地域密着型介護予防サービス費の支給に係る介護予防認知症対応型通所介護等又はこれに相当するサービス(居宅要支援者の選定による送迎及び交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)

(11) 介護保険法の規定に基づく居宅介護サービス計画費の支給に係る居宅介護支援及び同法の規定に基づく介護予防サービス計画費の支給に係る介護予防支援

(12) 介護保険法の規定に基づく特例居宅介護サービス計画費の支給に係る居宅介護支援又はこれに相当するサービス及び同法の規定に基づく特例介護予防サービス計画費の支給に係る介護予防支援又はこれに相当するサービス

(13) 介護保険法の規定に基づく市町村特別給付として要介護者又は居宅要支援者に対して行う食事の提供

() 食事の提供とは、平成12年厚生省告示第126号「消費税法施行令第14条の23項第11号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する資産の譲渡等」に規定するものをいう。

(14) 介護保険法の規定に基づく地域支援事業として居宅要支援被保険者等に対して行う介護予防・日常生活支援総合事業に係る資産の譲渡等

() 介護予防・日常生活支援総合事業に係る資産の譲渡等とは、平成24年厚生労働省告示第307号「消費税法施行令第14条の23項第12号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する資産の譲渡等」に規定する資産の譲渡等に限られる。

(15) 生活保護法又は中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律若しくは中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第106)附則第2条第1項若しくは第2((支援給付の実施に関する経過措置))の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の規定に基づく介護扶助又は介護支援給付のための次に掲げる介護

イ 居宅介護(生活保護法第15条の22((介護扶助))に規定する訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び複合型サービス並びにこれらに相当するサービスに限る。)

ロ 施設介護(生活保護法第15条の24項に規定する地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護福祉施設サービス及び介護保健施設サービス並びに健康保険法等の一部を改正する法律附則第130条の21項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第91((生活保護法の一部改正))の規定による改正前の生活保護法の規定に基づく介護扶助のための介護(同条の規定による改正前の生活保護法第15条の21項第4((介護扶助))に掲げる施設介護のうち同条第4項に規定する介護療養施設サービスに限る。)をいう。)

ハ 介護予防(生活保護法第15条の25項に規定する介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護並びにこれらに相当するサービスに限る。)

ニ 介護予防・日常生活支援(生活保護法第15条の27((介護扶助))に規定する第一号訪問事業、第一号通所事業及び第一号生活支援事業による支援に相当する支援に限る。)

() イ及びハのこれらに相当するサービス並びにニの相当する支援とは、平成12年厚生省告示第190号「消費税法施行令第14条の23項第13号の規定に基づき厚生労働大臣が指定するサービス」に規定するものに限られる。

(「居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」等の範囲)

672 法別表第一第7号イ((非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等))に規定する「居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」及び「施設介護サービス費の支給に係る施設サービス」には、介護保険法の規定により要介護被保険者に対して支給されるこれらの介護サービス費に対応する部分の居宅サービス及び施設サービスのみが該当するのではなく、同法に規定する居宅サービス及び施設サービスとして提供されるサービスの全部が該当するのであるから留意する。

したがって、例えば、次のサービスも非課税となる。

(12課消210追加、平12課消162改正)

(1) 介護保険法第43((居宅介護サービス費等に係る支給限度額))に規定する居宅介護サービス費等に係る支給限度額を超えて同法第41((居宅介護サービス費の支給))に規定する指定居宅サービス事業者が提供する指定居宅サービス

(2) 介護保険法第41条第1((居宅介護サービス費の支給))又は同法第48条第1((施設介護サービス費の支給))の規定において介護保険給付の対象から除かれる日常生活に要する費用として、介護保険法施行規則第61((日常生活に要する費用))又は同規則第79((日常生活に要する費用))に定める費用に係る資産の譲渡等

() 平成12年大蔵省告示第27号「消費税法施行令第14条の21項、第2項及び第3項の規定に基づき財務大臣が指定する資産の譲渡等を定める件」に規定する資産の譲渡等については、非課税となる介護保険サービスから除かれることに留意する。

(福祉用具の取扱い)

673 介護保険法の規定により居宅要介護者又は居宅要支援者が福祉用具の貸与を受け又は購入した場合に、その貸与又は購入に要した費用の一部が介護保険により支給される場合であっても、当該福祉用具の貸付け又は譲渡は、法別表第一第7号イ((非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等))に規定する資産の譲渡等に該当しないが、当該福祉用具が法別表第一第10((身体障害者用物品の譲渡等))に規定する身体障害者用物品に該当するときは、同号の規定により非課税となるのであるから留意する。

(12課消210追加)

() 当該福祉用具を保税地域から引き取った場合において、当該福祉用具が法別表第二第6((身体障害者用物品の保税地域からの引取り))に規定する身体障害者用物品に該当するときには、同号の規定により非課税となる。

(介護サービスの委託に係る取扱い)

674 介護保険法に規定する居宅サービス事業者、居宅介護支援事業者又は介護保険施設等(以下674において「居宅サービス事業者等」という。)からの委託により、他の事業者が、法別表第一第7号イ((非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等))に規定する資産の譲渡等に係る業務の一部(以下674において「委託業務」という。)を行う場合における当該委託業務は、居宅サービス事業者等に対して行われるものであるから、同号に規定する資産の譲渡等に該当しないことに留意する。

(12課消210追加)

(社会福祉関係の非課税範囲)

675 法別表第一第7号ロ((社会福祉事業等に係る資産の譲渡等))に規定する非課税範囲は、次のようになるのであるから留意する。

(10課消29、平11課消28、平12課消210、平13課消15、平14課消112、平15課消113、平17課消160、平18課消111、平18課消143、平22課消19、平24課消17、平25課消134、平27課消19、平28課消157、平31課消29改正)

() 同号イ((非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等))の規定に該当する資産の譲渡等は除かれることに留意する。

(1) 第一種社会福祉事業

イ 生活保護法に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業

ロ 児童福祉法に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業

ハ 老人福祉法に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業

ニ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設を経営する事業(障害者支援施設を経営する事業において生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除く。)

ホ 売春防止法に規定する婦人保護施設を経営する事業

ヘ 授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業(授産施設を経営する事業において生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除く。)

(2) 第二種社会福祉事業

イ 生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業

ロ 生活困窮者自立支援法に規定する認定生活困窮者就労訓練事業(認定生活困窮者就労訓練事業において生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除く。)

ハ 児童福祉法に規定する障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、小規模保育事業、病児保育事業又は子育て援助活動支援事業、同法に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設又は児童家庭支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業

ニ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77)に規定する幼保連携型認定子ども園を経営する事業

ホ 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律に規定する養子縁組あっせん事業

ヘ 母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定する母子家庭日常生活支援事業、父子家庭日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業及び同法に規定する母子・父子福祉施設を経営する事業

ト 老人福祉法に規定する老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業又は複合型サービス福祉事業及び同法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター又は老人介護支援センターを経営する事業

チ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定相談支援事業又は移動支援事業及び同法に規定する地域活動支援センター又は福祉ホームを経営する事業(障害福祉サービス事業(同法第5条第7項、第13項又は第14項に規定する生活介護、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)又は地域活動支援センターを経営する事業において生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除く。)

リ 身体障害者福祉法に規定する身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業又は介助犬訓練事業若しくは聴導犬訓練事業、同法に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設又は視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業

ヌ 知的障害者福祉法に規定する知的障害者の更生相談に応ずる事業

ル 生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業

ヲ 生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業

ワ 生計困難者に対して、無料又は低額な費用で介護保険法に規定する介護老人保健施設又は介護医療院を利用させる事業

カ 隣保事業(隣保館等の施設を設け、無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行うものをいう。)

ヨ 福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(第一種社会福祉事業及びイ~カの事業において提供されるものに限る。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)

タ (1)及び(2)の事業に関する連絡又は助成を行う事業

(3) 更生保護事業法第2条第1((定義))に規定する更生保護事業

(生産活動等の意義)

676 法別表第一第7号ロかっこ書((社会福祉事業等に係る資産の譲渡等))に規定する「生産活動」及び当該「生産活動」が行われる事業の意義は次のとおりである。

(12課消210、平18課消143、平24課消17、平25課消134、平27課消19改正)

(1) 生産活動とは、(2)に掲げる事業において行われる身体上若しくは精神上又は世帯の事情等により、就業能力の限られている者(以下676において「要援護者」という。)の「自立」、「自活」及び「社会復帰」のための訓練、職業供与等の活動において行われる物品の販売、サービスの提供その他の資産の譲渡等をいう。

なお、(2)に掲げる事業では、このような生産活動のほか、要援護者に対する養護又は援護及び要援護者に対する給食又は入浴等の便宜供与等も行われているが、当該便宜供与等は生産活動には該当しないのであるから留意する。

(2) 「生産活動」が行われる事業とは、要援護者に対して、就労又は技能の習得のために必要な訓練の提供や職業の供与等を行い、要援護者の自立を助長し、自活させることを目的とする次に掲げる事業及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第7項、第13項又は第14((定義))に規定する生活介護、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業をいう。

イ 社会福祉法第2条第2項第4号又は第7((定義))に規定する障害者支援施設又は授産施設を経営する事業

ロ 社会福祉法第2条第3項第1号の2((定義))に規定する認定生活困窮者就労訓練事業

ハ 社会福祉法第2条第3項第4号の2((定義))に規定する地域活動支援センターを経営する事業

() 上記事業において行われる就労又は技能の習得のために必要な訓練等の過程において製作等される物品の販売その他の資産の譲渡等は、法別表第一第7号ロかっこ書の規定により課税されることとなる。

(児童福祉施設の取扱い)

677 児童福祉法第7条第1((児童福祉施設))に規定する児童福祉施設を経営する事業のうち、社会福祉法第2条第2項第2号及び第3項第2((定義))の規定に該当するものについては、法別表第一第7号ロ((社会福祉事業等に係る資産の譲渡等))の規定に該当し、また、社会福祉法第2条第4項第4((社会福祉事業から除かれるものの範囲))の規定により社会福祉事業に含まれないものについては、令第14条の31((社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲))の規定に該当することとなるのであるから留意する。

(12課消210、平13課消15、平24課消17改正)

(保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等)

6772 令第14条の31((社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲))に規定する「児童福祉法第7条第1項に規定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等として厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するもの」に該当する資産の譲渡等とは、次に掲げるものをいうのであり、同法に規定する保育所において行われる乳児又は幼児を保育する業務と同様の業務として行われる資産の譲渡等に限られることに留意する。

(17課消122追加、平24課消17、平25課消134、平27課消19、令2課消25改正)

(1) 児童福祉法第59条の21((認可外保育施設の届出))の規定による届出を行っている施設が、平成17年厚生労働省告示第128号「消費税法施行令第14条の31号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等」に定める要件を満たし、都道府県知事等から当該要件を満たしている旨の証明書の交付を受けている場合に、当該施設において乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等

()

1 都道府県知事等とは、都道府県知事又は地方自治法第252条の191項の指定都市若しくは同法第252条の221項の中核市の長をいう。

2 当該施設が都道府県知事等から当該証明書を返還することを求められた日以後の乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等は、非課税とされる資産の譲渡等に該当しない。

(2) 児童福祉法施行規則第49条の23((厚生労働省令で定める施設))に規定する施設であって、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第3((教育、保育等を総合的に提供する施設の認定等))の認定を受けているもの又は同条第9項の規定による公示がされているもの(同条第1項の条例で定める要件に適合していると認められるものを除く。)において、乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等

(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設において行う施設障害福祉サービス等の範囲)

678 令第14条の34((社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲))に規定する独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設において行う障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第1((定義))に規定する施設障害福祉サービス及び知的障害者福祉法第16条第1項第2((障害者支援施設等への入所等の措置))に規定する更生援護には、生産活動として行われる資産の譲渡等は含まれないのであるから留意する。

(12課消210、平15課消137、平18課消143、平25課消134改正)

(社会福祉事業の委託に係る取扱い)

679 社会福祉法人等が地方公共団体等から当該地方公共団体等が設置した社会福祉施設の経営を委託された場合に、当該社会福祉法人等が行う当該社会福祉施設の経営は、法別表第一第七号ロ((社会福祉事業等に係る資産の譲渡等))に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に該当し、非課税となる。

(12課消210追加)

() 事業者が社会福祉施設に係る業務の一部を当該社会福祉施設を設置した地方公共団体等又は設置者である地方公共団体等から当該社会福祉施設の経営を委託された社会福祉法人等の委託により行う場合(当該業務の一部を行うことが社会福祉事業に該当する場合を除く。)、当該事業者が行う業務は、同号に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等には該当しないことに留意する。

(包括的支援事業の委託に係る取扱い)

6710 市町村が包括的支援事業(介護保険法第115条の461((地域包括支援センター))に規定する包括的支援事業をいう。以下6710において同じ。)を委託した場合の取扱いは、次のとおりとなる。

(18課消111追加、平22課消19、平24課消17改正)

(1) 老人介護支援センターの設置者である法人に委託した場合

老人介護支援センター(老人福祉法第20条の721((老人介護支援センター))に規定する老人介護支援センターをいう。以下6710において同じ。)の設置者である法人が包括的支援事業として行う資産の譲渡等は、老人介護支援センターを経営する事業として行う資産の譲渡等として法別表第一第7号ロ((社会福祉事業等に係る資産の譲渡等))に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に該当し、非課税となる。

(2) (1)以外の法人に委託した場合

(1)以外の法人が包括的支援事業として行う資産の譲渡等が、平成18年厚生労働省告示第311号「消費税法施行令第14条の35号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する資産の譲渡等」に規定する事業として行われる資産の譲渡等に該当するときは、令第14条の35((社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲))の規定により、非課税となる。

8節 助産に係る資産の譲渡等関係

(助産に係る資産の譲渡等の範囲)

681 法別表第一第8((助産に係る資産の譲渡等))に規定する「助産に係る資産の譲渡等」には、次のものが該当する。

(1) 妊娠しているか否かの検査

(2) 妊娠していることが判明した時以降の検診、入院

(3) 分娩の介助

(4) 出産の日以後2月以内に行われる母体の回復検診

(5) 新生児に係る検診及び入院

(妊娠中及び出産後の入院の取扱い)

682 妊娠中及び出産後の入院については、次のとおりとなるのであるから留意する。

(1) 妊娠中の入院については、産婦人科医が必要と認めた入院(妊娠中毒症、切迫流産等)及び他の疾病(骨折等)による入院のうち産婦人科医が共同して管理する間の入院は、助産に係る資産の譲渡等に該当する。

(2) 出産後の入院のうち、産婦人科医が必要と認めた入院及び他の疾病による入院のうち産婦人科医が共同して管理する間については、出産の日から1月を限度として助産に係る資産の譲渡等に該当する。

(3) 新生児については、(2)の取扱いに準ずる。

(妊娠中及び出産後の入院に係る差額ベッド料等の取扱い)

683 助産に係る資産の譲渡等については、平成元年126日付大蔵省告示第7号「消費税法別表第一第6号に規定する財務大臣の定める資産の譲渡等及び金額を定める件」の規定により定められた金額を超える場合であっても非課税となるのであるから留意する。

したがって、妊娠中の入院及び出産後の入院(682に掲げる入院に限るものとし、異常分娩に伴う入院を含む。)における差額ベッド料及び特別給食費並びに大学病院等の初診料についても全額が非課税となる。

(12課消162改正)

9節 埋葬料又は火葬料を対価とする役務の提供関係

(埋葬、火葬の意義)

691 埋葬とは、墓地、埋葬等に関する法律第2条第1((定義))に規定する埋葬をいい、火葬とは、同条第2項に規定する火葬をいう。

(改葬の取扱い)

692 埋葬又は火葬には、墓地、埋葬等に関する法律第2条第3((定義))に規定する改葬の際に行われる埋葬又は火葬を含むのであるから留意する。

10節 身体障害者用物品の譲渡等関係

(身体障害者用物品の範囲)

6101 法別表第一第10((身体障害者用物品の譲渡等))に規定する身体障害者用物品(以下この節において「身体障害者用物品」という。)に該当するのは、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造又は機能を有する物品として、令第14条の41((身体障害者用物品の範囲等))の規定により厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するものに限られる。したがって、これ以外の物品については、身体障害者が購入する場合であっても非課税とならないのであるから留意する。

(12課消210、平12課消162改正)

(部分品の取扱い)

6102 身体障害者用物品の一部を構成する部分品については、身体障害者用物品には該当しないのであるから留意する。

(改造の取扱い)

6103 他の者から委託を受けて身体障害者用物品以外の物品を身体障害者用物品に改造する行為は、令第14条の42((身体障害者用物品の範囲等))に規定する製作の請負に該当するのであるから留意する。

(12課消210改正)

(身体障害者用物品に該当する自動車の修理の取扱い)

6104 身体障害者用物品に該当する自動車の修理で令第14条の42((身体障害者用物品の範囲等))に規定する身体障害者用物品の修理に該当するものは、平成3年厚生省告示第130号「消費税法施行令第14条の4の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する身体障害者用物品及びその修理を定める件」第2((身体障害者用物品の修理))の規定により同告示第1((身体障害者用物品))37号に定める補助手段に係る修理及び第38号に定める車椅子等昇降装置及び必要な手段に係る修理に限られる。

したがって、補助手段等の修理と他の部分の修理とを併せて行った場合には、補助手段等の修理のみが身体障害者用物品の修理に該当することに留意する。

(12課消210、平12課消162、平23課消135改正)

11節 学校教育関係

(学校教育関係の非課税範囲)

6111 教育関係の非課税範囲は、次に掲げる役務の提供のうち授業料、入学金及び入園料、施設設備費、入学又は入園のための試験に係る検定料及び在学証明、成績証明その他学生、生徒、児童又は幼児の記録に係る証明に係る手数料及びこれに類する手数料を対価とするものであることに留意する。

(11課消28、平12課消162、平13課消15、平18課消111、平21課消110、平23課消135、平27課消19、平28課消157改正)

(1) 学校教育法第1((学校の範囲))に規定する学校を設置する者が当該学校における教育として行う役務の提供

(2) 学校教育法第124((専修学校))に規定する専修学校を設置する者が当該専修学校の高等課程、専門課程又は一般課程における教育として行う役務の提供

(3) 学校教育法第134条第1((各種学校))に規定する各種学校を設置する者が当該各種学校における教育として行う役務の提供で、次の要件に該当するもの

イ 修業年限が1年以上であること。

ロ その1年間の授業時間数(普通科、専攻科その他これらに準ずる区別がある場合には、それぞれの授業時間数)680時間以上であること。

ハ その施設(教員数を含む。)が同時に授業を受ける生徒数に比し十分であること。

ニ その授業が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること。

ホ その生徒について学年又は学期ごとにその成績の評価が行われ、その結果が成績考査に関する表簿その他の書類に登載されていること。

ヘ その生徒について所定の技術等を習得したかどうかの成績の評価が行われ、その評価に基づいて卒業証書又は修了証書が授与されていること。

() 各種学校には、外国学校法人も含まれている。

(4) 次に掲げる施設を設置する者が当該施設における教育(職業訓練を含む。)として行う役務の提供で、(3)のイからヘまでの要件に該当するもの

イ 国立研究開発法人水産研究・教育機構法に規定する国立研究開発法人水産研究・教育機構の施設、独立行政法人海技教育機構法に規定する独立行政法人海技教育機構の施設、独立行政法人航空大学校法に規定する独立行政法人航空大学校及び高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律に規定する国立研究開発法人国立国際医療研究センターの施設

ロ 職業能力開発促進法に規定する職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校及び職業能力開発校(職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校及び職業能力開発校にあっては、国若しくは地方公共団体又は職業訓練法人が設置するものに限る。)

() イに掲げる施設にあっては、(3)のニの「年2回」は「年4回」とされている。

(施設設備費の意義)

6112 令第14条の53((教育に係る役務の提供の範囲))に規定する施設設備費とは、学校等の施設設備の整備・維持を目的として学生等から徴収するものをいい、例えば、次の名称で徴収するものが該当する。

施設設備費()、施設設備資金、施設費、設備費、施設拡充費、設備更新費、拡充設備費、図書館整備費、施設充実費、設備充実費、維持整備資金、施設維持費、維持費、図書費、図書拡充費、図書室整備費、暖房費

(12課消210改正)

(在学証明等に係る手数料の範囲)

6113 令第14条の55((教育に係る役務の提供の範囲))に規定する「在学証明、成績証明その他学生、生徒、児童又は幼児の記録に係る証明に係る手数料及びこれに類する手数料」とは、指導要録、健康診断票等に記録されている学生、生徒、児童又は幼児の記録に係る証明書の発行手数料及びこれに類する手数料をいい、例えば、次の発行手数料等が該当する。

在学証明書、卒業証明書、卒業見込証明書、成績証明書、健康診断書、転学部・転学科に係る検定手数料、推薦手数料

(12課消210改正)

(学校等が行う役務の提供で課税されるもの)

6114 学校等が行う役務の提供で非課税とされるのは、法別表第一第11((教育に係る役務の提供の範囲))に規定する教育に関する役務の提供に限られるから、例えば、学校給食又は他の者からの委託による調査・研究等の役務の提供は、非課税とはならないのであるから留意する。

(幼稚園の範囲)

6115 幼稚園には、学校教育法第2((学校の設置者、国立・公立・私立学校))に規定する者が設置するもののほか、同法附則第6((学校法人の経過措置))に規定する者が設置するものも含まれる。

(21課消110改正)

(公開模擬学力試験に係る検定料)

6116 入学者(入園者)を選抜するための学力試験に備えるため広く一般に参加者を募集し、その学力試験にその内容及び方法を擬して行われる、いわゆる公開模擬学力試験に係る検定料を対価とする役務の提供は、課税資産の譲渡等に該当する。

12節 教科用図書の譲渡関係

(教科用図書の範囲)

6121 法別表第一第12((教科用図書の譲渡))に規定する教科用図書は、学校教育法第34((小学校の教科用図書))(同法第49((中学校))、第49条の8((義務教育学校))、第62((高等学校))、第70条第1((中等教育学校))及び第82((特別支援学校))において準用する場合を含む。以下6121において同じ。)に規定する文部科学大臣の検定を経た教科用図書(いわゆる検定済教科書)及び同法第34条に規定する文部科学省が著作の名義を有する教科用図書に限られるのであるから留意する。

したがって、同法附則第9((教科用図書の経過措置))の規定により当分の間使用することができることとされている教科用図書は、法別表第一第12号に規定する教科用図書には該当しないのであるから留意する。

(11課消28、平12課消162、平19課消118、平21課消110、平28課消157改正)

(教科用図書の供給手数料の取扱い)

6122 教科用図書の供給業者等が教科用図書の配送等の対価として収受する手数料については、非課税とはならないのであるから留意する。

(補助教材の取扱い)

6123 参考書又は問題集等で学校における教育を補助するためのいわゆる補助教材の譲渡については、当該補助教材を学校が指定した場合であっても非課税とはならないのであるから留意する。

13節 住宅の貸付け関係

(住宅の貸付けの範囲)

6131 法別表第一第13((住宅の貸付け))に規定する「住宅の貸付け」には、庭、塀その他これらに類するもので、通常、住宅に付随して貸し付けられると認められるもの及び家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備その他これらに類するもので住宅の附属設備として、住宅と一体となって貸し付けられると認められるものは含まれる。

なお、住宅の附属設備又は通常住宅に付随する施設等と認められるものであっても、当事者間において住宅とは別の賃貸借の目的物として、住宅の貸付けの対価とは別に使用料等を収受している場合には、当該設備又は施設の使用料等は非課税とはならない。

(プール、アスレチック施設等付き住宅の貸付け)

6132 プール、アスレチック施設等を備えた住宅の貸付けにおいて、例えば当該施設等を居住者以外の者も利用でき、かつ、当該居住者以外の者が利用する場合に利用料(月決め又は年決めの会費等を含む。)を徴収している場合等には、居住者について家賃の一部としてその利用料に相当する額が収受されていても、当該施設等の貸付けは住宅の貸付けには含まれないのであるから留意する。

(駐車場付き住宅の貸付け)

6133 駐車場付き住宅としてその全体が住宅の貸付けとされる駐車場には、一戸建住宅に係る駐車場のほか、集合住宅に係る駐車場で入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等の場合で、住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものが該当する。

(旅館業に該当するものの範囲)

6134 令第16条の2((住宅の貸付けから除外される場合))に規定する旅館業法第2条第1((定義))に規定する旅館業には、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業及び下宿営業が該当するのであるから留意する。

したがって、ホテル、旅館のほか同法の適用を受けるリゾートマンション、貸別荘等は、たとえこれらの施設の利用期間が1月以上となる場合であっても非課税とはならない。なお、貸家業及び貸間業(学生等に部屋等を提供して生活させるいわゆる「下宿」と称するものを含む。)については、同法第2条第1項に規定する旅館業には該当しないのであるから留意する。

(30課消25改正)

() 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65)2条第3((定義))に規定する住宅宿泊事業は、旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に該当することから、非課税とはならないことに留意する。

(店舗等併設住宅の取扱い)

6135 住宅と店舗又は事務所等の事業用施設が併設されている建物を一括して貸し付ける場合には、住宅として貸し付けた部分のみが非課税となるのであるから留意する。

() この場合は、建物の貸付けに係る対価の額を住宅の貸付けに係る対価の額と事業用の施設の貸付けに係る対価の額とに合理的に区分することとなる。

(住宅の貸付けと役務の提供が混合した契約の取扱い)

6136 1の契約で非課税となる住宅の貸付けと課税となる役務の提供を約している場合には、この契約に係る対価の額を住宅の貸付けに係る対価の額と役務の提供に係る対価の額に合理的に区分するものとする。

() この契約に該当するものとして、例えば、有料老人ホーム、ケア付住宅、食事付の貸間、食事付の寄宿舎等がある。

(転貸する場合の取扱い)

6137 住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、当該賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合には、当該住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれるのであるから留意する。

() この場合において、賃借人が行う住宅の転貸も住宅の貸付けに該当する。

(用途変更の場合の取扱い)

6138 貸付けに係る契約において住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後の当該建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当することとなる。

() 貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しないのであるから留意する。

(家賃の範囲)

6139 家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(61316132又は6133の規定により住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれることに留意する。

(貸付けに係る用途が明らかにされていない場合の意義)

61310 法別表第一第13((住宅の貸付け))に規定する「当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合」には、例えば、住宅の貸付けに係る契約において、住宅を居住用又は事業用どちらでも使用することができることとされている場合が含まれるのであるから留意する。

(2課消25追加)

(貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合の意義)

61311 法別表第一第13((住宅の貸付け))に規定する「当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合」とは、住宅の貸付けに係る契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付けに係る賃借人や住宅の状況その他の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合をいうのであるから、例えば、住宅を賃貸する場合において、次に掲げるような場合が該当する。

(2課消25追加)

(1) 住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合

(2) 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合

(3) 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において貸付けに係る用途が明らかにされていないが、当該転借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合

7章 輸出免税等

1節 通則

(輸出免税の適用範囲)

711 資産の譲渡等のうち法第7条第1((輸出免税等の範囲))の規定により消費税が免除されるのは、次の要件を満たしているものに限られるのであるから留意する。

(1) その資産の譲渡等は、課税事業者によって行われるものであること。

(2) その資産の譲渡等は、国内において行われるものであること。

(3) その資産の譲渡等は、法第31条第1項及び第2((非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の適用がある場合を除き、課税資産の譲渡等に該当するものであること。

(4) その資産の譲渡等は、法第7条第1項各号に掲げるものに該当するものであること。

(5) その資産の譲渡等は、法第7条第1項各号に掲げるものであることにつき、証明がなされたものであること。

2節 輸出免税等の範囲

(輸出免税等の具体的範囲)

721 法第7条第1項及び令第17条各項((輸出免税等の範囲))の規定により輸出免税とされるものの範囲は、おおむね次のようになるのであるから留意する。

(15課消113、平18課消11、平22課消19、平23課消135、平25課消134改正)

(1) 本邦からの輸出(原則として関税法第2条第1項第2((定義))に規定する輸出をいう。)として行われる資産の譲渡又は貸付け

(2) 外国貨物の譲渡又は貸付け

(3) 国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送(国際輸送の一環として行われる国内輸送区間における輸送を含む。)

(4) 外航船舶等(専ら国内及び国外にわたって又は国外と国外との間で行われる旅客又は貨物の輸送の用に供される船舶又は航空機をいう。以下同じ。)の譲渡又は貸付けで船舶運航事業者等(令第17条第2項第2((輸出免税等の範囲))に規定する船舶運航事業者等をいう。以下同じ。)に対するもの

() 外航船舶等には、日本国籍の船舶又は航空機も含まれる。

(5) 外航船舶等の修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの

(6) 専ら国内と国外又は国外と国外との間の貨物の輸送の用に供されるコンテナーの譲渡、貸付けで船舶運航事業者等に対するもの又は当該コンテナーの修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの

(7) 外航船舶等の水先、誘導、その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊若しくは駐機のための施設の提供に係る役務の提供等で船舶運航事業者等に対するもの

(8) 外国貨物の荷役、運送、保管、検数又は鑑定等の役務の提供

() 特例輸出貨物(関税法第30条第1項第5((外国貨物を置く場所の制限))に規定する特例輸出貨物をいう。以下72132において同じ。)に係るこれらの役務の提供にあっては、次のものに限られる。

(1) 指定保税地域等(関税法第29((保税地域の種類))に規定する指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場及び総合保税地域をいう。以下721及び7213において同じ。)及び当該特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所におけるもの

(2) 指定保税地域等相互間の運送

(9) 国内と国外との間の通信又は郵便若しくは信書便

(10) 非居住者に対する令第6条第1項第4号から第8号まで((無形固定資産等の所在場所))に掲げる無形固定資産等の譲渡又は貸付け

(11) 非居住者に対する役務の提供で次に掲げるもの以外のもの

イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管

ロ 国内における飲食又は宿泊

ハ イ又はロに準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

(輸出物品の下請加工等)

722 法第7条第1((輸出免税等))の規定による輸出免税の適用が受けられるのは、同項各号に掲げる取引及び令第17条各項((輸出取引等の範囲))に掲げる取引に限られるのであるから、例えば、次の取引については法第7条第1項の規定の適用はないことに留意する。

(1) 輸出する物品の製造のための下請加工

(2) 輸出取引を行う事業者に対して行う国内での資産の譲渡等

(国外で購入した貨物を国内の保税地域を経由して国外へ譲渡した場合の取扱い)

723 国外で購入した貨物を国内の保税地域に陸揚げし、輸入手続を経ないで再び国外へ譲渡する場合には、関税法第75((外国貨物の積みもどし))の規定により内国貨物を輸出する場合の手続規定が準用されることから、当該貨物の譲渡は、法第7条第1項第1((輸出免税))の規定により輸出免税の対象となる。

(旅客輸送に係る国際輸送の範囲)

724 法第7条第1項第3((国際輸送等に対する輸出免税))に規定する国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客又は貨物の輸送は、国内から国外への旅客若しくは貨物の輸送又は国外から国内への旅客若しくは貨物の輸送(以下「国際輸送」という。)をいうのであるが、国際輸送として行う旅客輸送の一部に国内における輸送(以下「国内輸送」という。)が含まれている場合であっても、次の全ての要件を満たす場合の国内輸送は、国際輸送に該当するものとして取り扱う。

(23課消135改正)

(1) 当該国際輸送に係る契約において国際輸送の一環としてのものであることが明らかにされていること。

(2) 国内間の移動のための輸送と国内と国外との間の移動のための国内乗継地又は寄港地における到着から出発までの時間が定期路線時刻表上で24時間以内である場合の国内輸送であること。

(貨物輸送に係る国際輸送の範囲)

725 国際輸送として行う貨物の輸送の一部に国内輸送が含まれている場合であっても、当該国内輸送が国際輸送の一環としてのものであることが国際輸送に係る契約において明らかにされているときは、当該国内輸送は国際輸送に該当するものとして取り扱う。

(旅行業者が主催する海外パック旅行の取扱い)

726 旅行業者が主催する海外パック旅行に係る役務の提供は、当該旅行業者と旅行者との間の包括的な役務の提供契約に基づくものであり、国内における役務の提供及び国外において行う役務の提供に区分されるから、次の区分に応じ、それぞれ次のように取り扱うものとする。

(1) 国内における役務の提供 国内輸送又はパスポート交付申請等の事務代行に係る役務の提供については、国内において行う課税資産の譲渡等に該当するが、法第7条第1((輸出免税等))の規定の適用を受けることができない。

(2) 国外における役務の提供 国内から国外、国外から国外及び国外から国内への移動に伴う輸送、国外におけるホテルでの宿泊並びに国外での旅行案内等の役務の提供については、国内において行う資産の譲渡等に該当しない。

(国外の港等を経由して目的港等に到着する場合の輸出免税の取扱い)

727 日本を出発地又は到着地とする国際輸送のうち、国外の港又は空港(以下727において「港等」という。)を経由する場合の取扱いは、次による。

(1) 国内の港等を出発地とし、国外の港等を経由して国外の港等を最終到着地(以下727において「到着地」という。)とする場合

イ 国内の港等を出発し、経由する国外の港等で入国手続をすることなく国外の到着地まで乗船又は搭乗(以下727において「乗船等」という。)する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。

ロ 国内の港等から経由する国外の港等まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。

ハ 経由する国外の港等から国外の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国外取引に該当し、輸出免税の対象とはならない。

(2) 国外の港等を出発地とし、国外の港等を経由して国内の港等を到着地とする場合

イ 国外の港等を出発し、経由する国外の港等で入国手続をすることなく国内の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。

ロ 国外の港等から経由する国外の港等まで乗船等する旅客の輸送 国外取引に該当し、輸出免税の対象とはならない。

ハ 経由する国外の港等から国内の到着地まで乗船等する旅客の輸送 国内取引に該当し、輸出免税の対象となる。

(船舶運航事業を営む者等の意義)

728 令第17条第1項及び第2((輸出取引等の範囲))に規定する「船舶運航事業を営む者」、「船舶貸渡業を営む者」又は「航空運送事業を営む者」は、海上運送法又は航空法において規定する「船舶運航事業」若しくは「船舶貸渡事業」又は「航空運送事業」を営む者をいい、我が国において支店等を設けてこれらの事業を営む外国の事業者を含むほか、我が国に支店等を有していない外国の事業者で我が国との間で国際間輸送を行う者も含まれることに留意する。

(船舶の貸付けの意義)

729 令第17条第1項第1((国際輸送用船舶等の貸付け))に規定する「船舶の貸付け」には、裸傭船契約に基づく傭船のほか定期傭船契約に基づく傭船が含まれる。

(31課消29改正)

(船舶運航事業者等の求めに応じて行われる修理の意義)

7210 令第17条第1項第3号又は第2項第1号ハ((外航船舶等の修理))の規定の適用に当たって、「船舶運航事業者等」の求めに応じて行われる修理は、船舶運航事業者等からの直接の求めに応じて行う修理に限られるのであるから、船舶運航事業者等から修理の委託を受けた事業者の求めに応じて行う修理は、これに含まれないことに留意する。

() 船舶運航事業者等から修理の委託を受けた事業者の求めに応じて修理として行う役務の提供は、課税資産の譲渡等に該当し、当該修理の委託をした事業者にとっては課税仕入れとなる。

(水先等の役務の提供に類するもの)

7211 令第17条第2項第3((輸出取引等の範囲))に規定する「その他これらに類する役務の提供」には、例えば、外航船舶等の清掃、廃油の回収、汚水処理等が含まれる。

(外国貨物の荷役等に類する役務の提供)

7212 令第17条第2項第4((輸出取引等の範囲))に規定する「その他これらに類する外国貨物に係る役務の提供」には、例えば、外国貨物に係る検量若しくは港湾運送関連事業に係る業務又は輸入貨物に係る通関手続若しくは青果物に係るくんじょう等の役務の提供が含まれる。

(指定保税地域等における役務の提供の範囲等)

7213 令第17条第2項第4((輸出取引等の範囲))に規定する「指定保税地域……における輸出しようとする貨物及び輸入の許可を受けた貨物に係るこれらの役務の提供」には、指定保税地域等にある輸出しようとする貨物又は輸入の許可を受けた貨物に係る荷役、運送、保管、検数、鑑定、検量又は通関手続等の役務の提供が含まれる。

(18課消11改正)

() 指定保税地域等には、関税法第30条第1項第2((外国貨物を置く場所の制限))の規定により税関長が指定した場所を含むものとして取り扱う。

(特例輸出貨物に対する役務の提供)

72132 令第17条第2項第4((輸出取引等の範囲))に規定する「特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所におけるもの」とは、特例輸出貨物を輸出するための船舶又は航空機へ積み込む場所及び当該特例輸出貨物を積み込んだ船舶又は航空機における当該特例輸出貨物の荷役、検数、鑑定又は検量等の役務の提供をいう。

(18課消11追加、平23課消135改正)

(その他これらに類する役務の提供)

7214 関税法第40((貨物の取扱い))の規定により指定保税地域において行うことができる行為として関税法基本通達401(1)(4)に定めるものについては、令第17条第2項第4((輸出取引等の範囲))に規定するその他これらに類する役務の提供に含まれる。

(22課消19改正)

(非居住者の範囲)

7215 法第8条第1((輸出物品販売場における輸出免税の特例))及び令第1条第2項第2((定義))に規定する「非居住者」には、本邦内に住所又は居所を有しない自然人及び本邦内に主たる事務所を有しない法人がこれに該当し、非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上の代理権があるかどうかにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなされるのであるから留意する。

(非居住者に対する役務の提供で免税とならないものの範囲)

7216 令第17条第2項第7((非居住者に対する役務の提供のうち免税となるものの範囲))において輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、例えば、次のものが該当する。

(15課消113改正)

(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管

(2) 国内に所在する不動産の管理や修理

(3) 建物の建築請負

(4) 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送

(5) 国内における飲食又は宿泊

(6) 理容又は美容

(7) 医療又は療養

(8) 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供

(9) 国内間の電話、郵便又は信書便

(10) 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供

(国内に支店等を有する非居住者に対する役務の提供)

7217 事業者が非居住者に対して役務の提供を行った場合に、当該非居住者が支店又は出張所等を国内に有するときは、当該役務の提供は当該支店又は出張所等を経由して役務の提供を行ったものとして、令第17条第2項第7((非居住者に対する役務の提供))の規定の適用はないものとして取り扱う。

ただし、国内に支店又は出張所等を有する非居住者に対する役務の提供であっても、次の要件の全てを満たす場合には、令第17条第2項第7号に規定する役務の提供に該当するものとして取り扱って差し支えない。

(23課消135改正)

(1) 役務の提供が非居住者の国外の本店等との直接取引であり、当該非居住者の国内の支店又は出張所等はこの役務の提供に直接的にも間接的にもかかわっていないこと。

(2) 役務の提供を受ける非居住者の国内の支店又は出張所等の業務は、当該役務の提供に係る業務と同種、あるいは関連する業務でないこと。

(外航船等への積込物品に係る輸出免税)

7218 本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機に内国貨物を積み込む場合において、当該積込みが外国籍の船舶又は航空機(外国籍の船舶又は航空機で、日本人が船主との契約によって船体だけを賃借(いわゆる裸傭船)し、日本人の船長又は乗組員を使用している場合等実質的に日本国籍を有する船舶又は航空機と同様に使用されていると認められる場合における船舶又は航空機を除く。以下732において同じ。)へのものであるときは、法第7条第1((輸出免税等))の規定が適用され、輸出免税の対象となる内国貨物に限定がないのに対し、本邦の船舶又は航空機への積込みであるときは、租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品の免税))の規定が適用され、同項に規定する指定物品のみが免税の対象となるのであるから留意する。

(31課消29改正)

(合衆国軍隊の調達機関を通じて輸出される物品の輸出免税)

7219 本邦にあるアメリカ合衆国軍隊の公認調達機関に納入する物品で、当該公認調達機関により、本法施行地外にあるアメリカ合衆国が公認し、かつ、規制する海軍販売所及びピー・エックスに輸出されるものについては、当該物品を納入する事業者が、当該物品を当該公認調達機関に納入した時に輸出したものとして、法第7((輸出免税等))の規定を適用するものとする。

() 本法施行地内にある海軍販売所及びピー・エックスに対する物品の譲渡については、租特法第86条の2((海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税))の規定が適用されることに留意する。

(海外旅行者が出国に際して携帯する物品の輸出免税)

7220 出入国管理及び難民認定法第25((出国の手続))又は同法第60((日本人の出国))の規定により海外旅行等のため出国する者(非居住者を除く。)が渡航先において贈答用に供するものとして出国に際して携帯する物品(その物品の1個当たりの対価の額が1万円を超えるものに限る。)で、帰国若しくは再入国に際して携帯しないことの明らかなもの又は渡航先において使用若しくは消費をするものについては、当該物品を当該出国する者に譲渡した事業者(法第8条第6((輸出物品販売場の定義))の規定による輸出物品販売場の許可を受けている者に限る。)が輸出するものとして法第7条第1((輸出免税等))の規定を適用する。ただし、当該海外旅行等のため出国する者が、渡航先において贈答用に供し帰国若しくは再入国に際して携帯しないものであること、又は渡航先において2年以上使用し、若しくは消費するものであることを誓約した書類を当該事業者に提出した場合及び当該出国する者が出国時に税関長(沖縄地区税関長を含む。以下同じ。)に申請して輸出証明書の交付を受け、これを事業者が保存する場合に限り適用するものとする。

() 消費税が免除された物品を携帯して出国した者が、当該免除された物品を携帯して帰国又は再入国した場合(当該物品を携帯して出国した時から2年を経過したものであるときを除く。)には、当該物品について、他の法律により特に消費税を免除することとされているときを除き、消費税が課税される。

(保税蔵置場の許可を受けた者が海外旅行者に課税資産の譲渡を行う場合の輸出免税)

7221 関税法第42((保税蔵置場の許可))の規定により保税蔵置場の許可を受けた者が、その経営する保税地域に該当する店舗で、出入国管理及び難民認定法第25((出国の手続))又は第60((日本人の出国))の規定により出国の確認を受けた者(以下7221及び7223において「出国者」という。)に対して課税資産の譲渡を行った場合において、当該出国者が帰国若しくは再入国に際して当該課税資産を携帯しないことが明らかなとき又は渡航先において当該課税資産を使用若しくは消費をすることが明らかなときは、当該課税資産を当該保税蔵置場の許可を受けた者が輸出するものとして法第7条第1((輸出免税等))の規定を適用する。

(加工又は修繕のため輸出された課税物品に係る消費税の軽減)

7222 輸徴法第15条の2((加工又は修繕のため輸出された課税物品に係る消費税の軽減))の規定の取扱いについては、関税定率法基本通達の111から116((加工又は修繕のため輸出された貨物の減税等))の規定を準用するものとする。

(輸出証明書等)

7223 法第7条第2((輸出証明))に規定する「その課税資産の譲渡等が……、財務省令で定めるところにより証明されたもの」又は租特法規則第36条第1((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))に規定する「承認を受けた事実を証明する書類」は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次の帳簿又は書類となるのであるから留意する。

(12課消162、平15課消113、平23課消135改正)

(1) 法第7条第1項第1((輸出免税))に掲げる輸出として行われる資産の譲渡又は貸付けである場合

イ 関税法第67((輸出又は輸入の許可))の規定により輸出の許可を受ける貨物である場合(船舶又は航空機の貸付けである場合を除く。) 輸出許可書

() 電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第3((情報通信技術利用法の適用))の規定に基づき、電子情報処理組織を使用して輸出申告し、輸出の許可があったものにあっては、「輸出許可通知書(輸出申告控)」又は「輸出申告控」及び「輸出許可通知書」が輸出許可書に該当するものとする。

ロ 郵便物として当該資産を輸出(以下7223において「郵便による輸出」という。)した場合において、当該輸出の時における当該資産の価額が20万円を超えるとき 規則第5条第1項第1((輸出取引の輸出証明))に規定する税関長が証明した書類

() 輸出の時における当該資産の価額が20万円を超えるかどうかの判定は、原則として郵便物一個当たりの価額によるが、郵便物を同一受取人に2個以上に分けて差し出す場合には、それらの郵便物の価額の合計額による。

ハ 郵便による輸出のうち当該輸出の時における輸出される資産の価額が20万円以下の場合 規則第5条第1項第2((郵便物を輸出した場合の輸出証明))に規定する帳簿又は書類

ニ 出国者が出国に際し携帯輸出する物品を、関税法第42((保税蔵置場の許可))の規定により保税蔵置場の許可を受けた者が当該出国者に譲渡する場合 規則第5条第1項第1号に規定する税関長が証明した書類

ホ 7220の規定の適用がある場合 規則第5条第1項第1号に規定する税関長が証明した書類

ヘ 外国籍の船舶又は航空機に内国貨物を積み込むために資産を譲渡する場合 船()用品積込承認書

ト 船舶又は航空機の貸付けである場合 規則第5条第1項第4((輸出免税等の輸出証明))に規定する書類

(2) 法第7条第1項第3((輸出免税等))に掲げる輸送若しくは通信又は令第17条第2項第5((輸出取引等の範囲))に掲げる郵便若しくは信書便である場合 規則第5条第1項第3((国際輸送等の輸出証明))に規定する帳簿又は書類

(3) 法第7条第1項各号((輸出免税等))に掲げる資産の譲渡等のうち、(1)及び(2)に掲げる資産の譲渡等以外の資産の譲渡等である場合 規則第5条第1項第4号に規定する書類

(4) 租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))に掲げる外航船等に船用品又は機用品として積み込むために指定物品を譲渡する場合 船()用品積込承認書

3節 租税特別措置法関係

(外航船等に積み込む物品の範囲)

731 租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))の規定により消費税が免除される指定物品は、消費税の課税の対象となる物品で関税法第2条第9号及び第10((定義))に規定する船用品又は機用品に該当する物品と同じ範囲のものであるから留意する。

(外航船等の範囲)

732 租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品等に係る免税))の規定が適用される外航船等は、本邦と外国との間を往来する本邦の船舶(これに準ずる租特法令第45条第2((外航船等に準ずる船舶の範囲))及び租特法規則第32((遠洋漁業船等の範囲))に規定する遠洋漁業船等を含む。)又は航空機(7218において、外国籍の船舶又は航空機から除かれるものを含む。)に限られるのであるから留意する。

() 外国籍の船舶又は航空機に内国貨物を積み込む場合には、法第7条第1((輸出免税等))の規定が適用され、当該外国籍の船舶又は航空機に船用品又は機用品として積み込むために外国貨物を保税地域から引き取る場合には、輸徴法第12条第1((船用品又は機用品の積込み等の場合の免税))の規定が適用される。

(外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税の手続)

733 租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品等に係る免税))に規定する消費税の免除の手続等については、関税法基本通達2311から2317まで((船用品又は機用品の積込みの手続き等))の規定を準用するものとする。

(18課消11改正)

() この場合の輸出証明については、7223に規定するところにより行うこととなるのであるが、外航船等に積み込む指定物品が酒類又は製造たばこである場合において、酒税法又はたばこ税法の証明手続によって積込承認書を製造場の所轄税務署長に提出しているときは、消費税の証明要件も満たしているものとして取り扱う。

(外航船等について資格の変更があった場合の取扱い)

734 租特法第85条第1((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))に規定する外航船等について、関税法第25((船舶又は航空機の資格の変更))の規定による資格の変更があった場合における船用品又は機用品の取扱いについては、関税法基本通達253((船舶の資格内変の際における残存船用品の取扱い))の規定を準用するものとする。

(30課消25改正)

8章 輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税

1節 適用範囲等

(輸出物品販売場における輸出免税の特例の適用範囲)

811 法第8条第1((輸出物品販売場における輸出免税の特例))の規定は、輸出物品販売場(同項に規定する輸出物品販売場をいう。以下この章において同じ。)を経営する事業者が、同項に規定する非居住者に対し、免税対象物品(令第18条第1((輸出物品販売場で譲渡する物品の範囲))に規定する免税対象物品をいう。以下832において同じ。)で、輸出するため同条第2((購入手続))に規定する方法により購入されるものの譲渡を行った場合に適用されるのであるから、一般物品(同項第1号に規定する一般物品をいう。以下8110までにおいて同じ。)の譲渡については、非居住者が、国内において生活の用に供した後に、輸出するため購入する場合であっても法第8条第1項の規定により消費税が免除されることに留意する。

(26課消18、平28課消157、平30課消25、令2課消25改正)

() 非居住者が、国内において生活の用に供するために購入する消耗品等(令第18条第1項第2号に規定する消耗品並びに同条第3((消耗品として免税販売手続を行う資産))の規定により消耗品として同条第1項、第2項、第12項、第13項及び第18条の31((免税手続カウンターにおける手続等の特例))の規定が適用される資産をいう。以下8110までにおいて同じ。)の譲渡については、法第8条第1項の規定の適用はない。

(「対価の額の合計額」の意義)

812 法第8条第1((輸出物品販売場における輸出免税の特例))及び令第18条第1項第2((輸出物品販売場で譲渡する物品の範囲))に規定する「対価の額の合計額」は、同一の輸出物品販売場において、同一の日に、同一の非居住者に対して複数の一般物品又は消耗品等を譲渡した場合は、一般物品又は消耗品等の区分に応じたそれぞれの「対価の額の合計額」をいうことに留意する。

なお、同一の輸出物品販売場において、同一の日に、同一の非居住者に対して時間又は売場を異にして、複数の一般物品又は消耗品等を譲渡した場合も同様である。

(26課消18、平28課消157、令2課消25改正)

(一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合)

813 令第18条第3項第1((消耗品として免税販売手続を行う資産))に規定する「一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合」とは、一般物品と消耗品(同条第1項第2((輸出物品販売場で譲渡する物品の範囲))に規定する消耗品をいう。以下8112までにおいて同じ。)を組み合わせて一の商品としている場合をいう。

なお、一般物品の機能を発揮するために通常必要な消耗品が当該一般物品に付属されている場合は、「一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合」に該当せず、一の一般物品に該当することに留意する。

(26課消18追加、平28課消157、平30課消25、令2課消25改正)

(災害その他やむを得ない事情の範囲)

814 法第8条第2項ただし書((輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等))に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義は、次の各号に掲げるところによる。

(2課消25改正)

(1) 「災害」とは、震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに基因する災害をいう。

(2) 「やむを得ない事情」とは、前号に規定する災害に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することができない状況にある事態をいう。

(免税購入した消耗品等を国内において生活の用に供した場合)

815 輸出物品販売場において、令第18条第2((購入手続))に規定する方法により消耗品等を購入した非居住者が、当該消耗品等を国内において消費等生活の用に供した場合には、法第8条第3((輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収))に規定する「当該物品を輸出しないとき」に該当することに留意する。

(26課消18追加、平30課消25、令2課消25改正)

(輸出免税物品につき国内で譲渡等があった場合の消費税の即時徴収)

816 法第8条第5((輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収))の規定は、同条第1((輸出物品販売場における輸出免税の特例))に規定する物品で非居住者が輸出物品販売場において同項に規定する方法により購入したもの(以下817までにおいて「輸出免税物品」という。)を、当該非居住者が国内において譲り渡した場合(譲渡の委託を受けた者又は媒介をする者に所持させた場合を含む。)、当該輸出免税物品を当該非居住者から譲り受けた場合及び当該輸出免税物品を当該非居住者から引渡しを受けて所持した場合(譲渡若しくは譲受けの委託を受け、又は媒介のための当該輸出免税物品の引渡しを受けて所持した場合をいう。)に適用される。この場合において、当該輸出免税物品を譲渡した者(輸出免税物品を所持させた者を含む。)が判明せず、かつ、当該輸出免税物品を譲り受けた者と当該譲渡に関して所持した者とがあるときは、当該所持した者から同条第5項の規定により消費税を徴収するのであるから留意する。

(28課消157、令2課消25改正)

(即時徴収する場合の法定納期限及び延滞税の起算日)

817 法第8条第3((輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収))及び同条第5((輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収))の規定により直ちにその消費税を徴収する場合の法定納期限は、次に掲げる日であり、延滞税の計算は当該法定納期限の翌日から起算することとなるのであるから留意する。

(28課消157、令2課消25改正)

(1) 法第8条第3項の規定によるもの((2)に掲げるものを除く。) 同項に規定する非居住者が本邦から出国する日(その者が居住者となる場合には当該居住者となる日)

(2) 令第18条第16((国際第二種貨物利用運送事業者が輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収))の規定により読み替えて適用する法第8条第3項の規定によるもの 令第18条第2項第3((購入手続))に規定する国際第二種貨物利用運送事業者が同号の規定に基づき非居住者から引渡しを受けた輸出免税物品を輸出しないこととなった日(当該輸出しないこととなった日が明らかでないときは、当該輸出免税物品の輸出に係る運送契約を締結した日)

(3) 法第8条第5項の規定によるもの 同項に規定する譲渡若しくは所持させた日又は譲受け若しくは所持をした日

(輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等)

818 法第8条第2項ただし書((輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等))に規定する「既に次項本文若しくは第5項本文の規定の適用があった場合」とは、既に同条第3項本文((輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収))又は第5項本文((輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収))の規定を適用して賦課決定が行われた場合をいう。

同条第3項ただし書又は第5項ただし書に該当する場合も同様とする。

(2課消25改正)

(購入者誓約書の記載を省略する場合の明細書等の貼付方法)

819 基地内輸出物品販売場(令第18条第2項第4((購入手続))に規定する基地内輸出物品販売場をいう。以下821までにおいて同じ。)において、規則第6条第6((購入者誓約書の記載事項の省略))の規定により、購入者誓約書(令第18条第2項第4((購入手続))に規定する購入後において輸出する旨を誓約する書類及び同項第5号に規定する購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約する書類をいう。以下8110までにおいて同じ。)又は運送契約書の写し(同項第6号に規定する書類をいう。以下819及び8111において同じ。)に明細書等(規則第6条第6項に規定する明細書等をいう。以下819において同じ。)を貼り付ける場合は、最初に貼り付ける明細書等は、当該購入者誓約書又は運送契約書の写しと割印できるようにのり付け等の方法により貼り付けた上で割印し、以後に貼り付ける明細書等は、その直前に貼り付けた明細書等と割印できるようにのり付け等の方法により貼り付け、割印する。

なお、この場合の印の形式は次の形式による。

(26課消18追加、平27課消19、平28課消157、令2課消25改正)

イメージ

(一般物品と消耗品等を譲渡する場合の購入者誓約書の作成方法)

8110 同一の基地内輸出物品販売場において、同一の日に、同一の合衆国軍隊の構成員等(令第18条第2項第4号に規定する合衆国軍隊の構成員等をいう。)に対して一般物品と消耗品等を譲渡する場合に作成することとなる購入者誓約書は、一の書類として作成することができる。

この場合において、その記載事項のうち、例えば、購入者の氏名、所属、機関など、同一の記載内容については、重複して記載することを要しないが、同一の記載内容でない「一般物品の品名、品名ごとの数量及び価額並びに当該一般物品の価額の合計額」及び「消耗品の品名、品名ごとの数量及び価額並びに当該消耗品の価額の合計額」については、それぞれ区分して記載する必要があることに留意する。

(26課消18追加、令2課消25改正)

(手続委託型輸出物品販売場における免税販売手続)

8111 手続委託型輸出物品販売場(令第18条の22項第2((手続委託型輸出物品販売場の定義))に規定する手続委託型輸出物品販売場をいう。以下835までにおいて同じ。)における免税販売手続(令第18条第6((購入記録情報の提供))に規定する免税販売手続をいう。以下835までにおいて同じ。)は、免税販売手続(購入記録情報(令第18条第6項に規定する購入記録情報をいう。以下835までにおいて同じ。)の提供に係るものを除く。)の代理に関する契約に基づき、承認免税手続事業者(令第18条の27((承認免税手続事業者の定義))に規定する承認免税手続事業者をいう。以下835までにおいて同じ。)が当該販売場を経営する事業者に代わって行うこととなるから、令第18条第2項第1号若しくは第2((購入手続))の規定により非居住者が輸出物品販売場を経営する事業者に対して行うこととされている旅券等(同項第1号イに規定する旅券等をいう。以下8111において同じ。)の提示及び当該旅券等に記載された情報の提供(当該輸出物品販売場が基地内輸出物品販売場に該当する場合を除く。)又は同項第3号の規定により非居住者が輸出物品販売場を経営する事業者に対して行うこととされている旅券等の提示、当該旅券等に記載された情報の提供(当該輸出物品販売場が基地内輸出物品販売場に該当する場合を除く。)及び運送契約書の写しの提出は、承認免税手続事業者に対して行うこととなることに留意する。

なお、同条第10((非居住者に対する説明義務))の規定により非居住者に対して行うこととされている説明は、承認免税手続事業者が行うことに留意する。

(27課消19追加、平28課消157、平31課消29、令2課消25改正)

(承認免税手続事業者が設置する免税手続カウンターにおける合算の取扱い)

8112 令第18条の31((免税手続カウンターにおける手続等の特例))の規定は、令第18条第13((輸出物品販売場における輸出免税の最低限度額))に定める金額以上となるかどうかの判定にのみ適用されるものであることに留意する。

(27課消19追加、平28課消157、令2課消25改正)

() 消耗品の譲渡に係る対価の額の合計額が50万円を超えるかどうかの判定は、販売場ごとに行うこととなることに留意する。

2節 輸出物品販売場の許可等

(輸出物品販売場の許可)

821 法第8条第6((輸出物品販売場の定義))に規定する輸出物品販売場に係る許可は、一般型輸出物品販売場(令第18条の22項第1((一般型輸出物品販売場の許可要件))に規定する一般型輸出物品販売場をいう。以下821において同じ。)又は手続委託型輸出物品販売場の区分に応じ、原則として、それぞれに定める要件の全てを満たしている場合に限り与えるものとする。ただし、基地内輸出物品販売場の許可は、(1)ロ又は(2)ロに掲げる要件を満たす必要はない。

(23課消135、平26課消18、平27課消19、平28課消157、令2課消25改正)

(1) 一般型輸出物品販売場

イ 次に掲げる要件の全てを満たす事業者(課税事業者に限る。)が経営する販売場であること。

() 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。

() 法第8条第7((輸出物品販売場の許可の取消し))の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

ロ 現に非居住者が利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること。

ハ 免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること。

(2) 手続委託型輸出物品販売場

イ 次に掲げる要件の全てを満たす事業者(課税事業者に限る。)が経営する販売場であること。

() 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。

() 法第8条第7項の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

ロ 現に非居住者が利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること。

ハ 当該販売場を経営する事業者と当該販売場の所在する特定商業施設(令第18条の24((特定商業施設の定義))に規定する特定商業施設をいう。以下825までにおいて同じ。)内に免税手続カウンター(令第18条の22項第2((手続委託型輸出物品販売場の許可要件))に規定する免税手続カウンターをいう。以下827までにおいて同じ。)を設置する一の承認免税手続事業者との間において、次に掲げる要件の全てを満たす関係があること。

() 当該販売場において譲渡する物品に係る免税販売手続(購入記録情報の提供に係るものを除く。)につき、代理に関する契約が締結されていること。

() 当該販売場において譲渡した物品と当該免税手続カウンターにおいて免税販売手続を行う物品とが同一であることを確認するための措置が講じられていること。

() 当該販売場において譲渡した物品に係る免税販売手続につき、必要な情報を共有するための措置が講じられていること。

(輸出物品販売場を移転した場合)

822 輸出物品販売場を移転した場合には、移転前の当該販売場についての許可の効力は移転後の販売場に及ばないことから、移転後の販売場につき改めて輸出物品販売場の許可を受ける必要があることに留意する。

なお、手続委託型輸出物品販売場の所在する特定商業施設内でその販売場を移転する場合には、改めて手続委託型輸出物品販売場の許可を受ける必要はないが、その移転する日の前日までに、令第18条の23((特定商業施設内における手続委託型輸出物品販売場移転の届出))の規定による届出書を提出する必要があることに留意する。

(27課消19追加、令2課消25改正)

() 手続委託型輸出物品販売場に係る免税販売手続の代理を行う承認免税手続事業者が他の承認免税手続事業者に変更となる場合には、改めて手続委託型輸出物品販売場の許可を受ける必要があることに留意する。

(承認免税手続事業者の承認)

823 承認免税手続事業者に係る承認は、次に掲げる要件の全てを満たす事業者(課税事業者に限る。)に与えるものとする。

なお、承認免税手続事業者がその承認に係る特定商業施設内において免税手続カウンターを移転するとき若しくは新たに設置するとき、又は当該特定商業施設内に設置する免税手続カウンターを一部廃止するときは、その移転する日、設置する日、又は一部廃止する日の前日までに、令第18条の214((特定商業施設内における免税手続カウンター設置場所変更の届出))の規定による届出書を提出する必要があることに留意する。

(27課消19追加、平28課消157、令2課消25改正)

(1) 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。

(2) 免税手続カウンターに免税販売手続に必要な人員を配置すること。

(3) 法第8条第7((輸出物品販売場の許可の取消し))の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、又は令第18条の210((承認免税手続事業者の承認の取消し))若しくは令第18条の47((承認送信事業者の承認の取消し))の規定により承認免税手続事業者若しくは承認送信事業者(同条第4((承認送信事業者の定義))に規定する承認送信事業者をいう。以下835までにおいて同じ。)の承認を取り消され、かつ、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

(承認送信事業者の承認)

824 承認送信事業者に係る承認は、次に掲げる要件の全てを満たす事業者(課税事業者に限る。)に与えるものとする。

(2課消25追加)

(1) 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。

(2) 購入記録情報を国税庁長官に提供することに関する契約に係る市中輸出物品販売場(令第18条第2((購入手続))に規定する輸出物品販売場をいう。以下835までにおいて同じ。)を経営する事業者(手続委託型輸出物品販売場にあっては、当該手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者又は当該手続委託型輸出物品販売場に係る承認免税手続事業者)との間において必要な情報を共有するための措置が講じられ、購入記録情報を規則第6条の24((購入記録情報の提供方法))に規定する方法により適切に国税庁長官に提供できること。

(3) 法第8条第7((輸出物品販売場の許可の取消し))の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、又は令第18条の210((承認免税手続事業者の承認の取消し))若しくは令第18条の47((承認送信事業者の承認の取消し))の規定により承認免税手続事業者若しくは承認送信事業者の承認を取り消され、かつ、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他購入記録情報を提供する承認送信事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

(臨時販売場を設置する事業者に係る承認)

825 臨時販売場(法第8条第8((臨時販売場設置の届出))に規定する臨時販売場をいう。以下829までにおいて同じ。)を設置しようとする事業者(輸出物品販売場を経営する事業者に限る。)に係る同条第9項の規定に基づく承認は、次に掲げる要件の全てを満たす事業者に与えるものとする。

(27課消19追加、平31課消29、令2課消25改正)

(1) 臨時販売場における免税販売手続に係る事務を的確に遂行するための必要な体制が整備されている事業者として以下の要件を満たす者であること。

イ 臨時販売場において行った免税販売手続について検証を行うための必要な体制が整備されていること。

ロ 手続委託型輸出物品販売場のみを経営する事業者にあっては、臨時販売場において自ら免税販売手続を行うための必要な体制が整備されていること。

(2) 法第8条第7((輸出物品販売場の許可の取消し))の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、又は令第18条の53((臨時販売場を設置する事業者に係る承認の取消し))の規定により臨時販売場を設置する事業者に係る承認を取り消され、かつ、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他臨時販売場を設置する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

() 臨時販売場を設置する事業者に係る承認は、当該事業者が経営する輸出物品販売場の許可の区分にかかわらず与えることができるが、手続委託型輸出物品販売場のみを経営する事業者にあっては、上記(1)ロの要件を満たす必要があることに留意する。

なお、法第8条第8項の規定により輸出物品販売場とみなされる臨時販売場は、その臨時販売場を設置する際の届出書に記載した免税販売手続の区分により免税販売手続を行うこととなる。この場合において、手続委託型輸出物品販売場として免税販売手続を行うには、設置する臨時販売場が特定商業施設内にあり(特定商業施設が令第18条の25項に規定する地区等である場合は、同条第4項第1項及び第2号に規定する組合員が経営する販売場に限る。)、かつ、821(2)ハの要件を満たしている必要があることに留意する。

(輸出物品販売場の許可を取り消すことができる場合)

826 法第8条第7((輸出物品販売場の許可の取消し))の規定により輸出物品販売場の許可を取り消すことができる場合の取扱いは、次による。

(2課消25改正)

(1) 「消費税に関する法令の規定に違反した場合」とは、法第64((罰則))の規定に該当して告発を受けた場合をいう。

(2) 「輸出物品販売場として施設その他の状況が特に不適当と認められる場合」とは、非居住者に対する販売場としての施設等が十分なものでなくなった場合、経営者の資力及び信用が薄弱となった場合等、輸出物品販売場として物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が生じた場合をいう。

(承認免税手続事業者の承認を取り消すことができる場合)

827 令第18条の210((承認免税手続事業者の承認の取消し))の規定により承認免税手続事業者の承認を取り消すことができる場合の取扱いは、次による。

(27課消19追加、平28課消157、令2課消25改正)

(1) 「消費税に関する法令の規定に違反した場合」とは、法第64((罰則))の規定に該当して告発を受けた場合をいう。

(2) 「免税手続カウンターにおける免税販売手続その他の状況が特に不適当と認められる場合」とは、免税手続カウンターの施設等が十分なものでなくなった場合、承認免税手続事業者の資力及び信用が薄弱となった場合等、承認免税手続事業者として物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が生じた場合をいう。

(承認送信事業者の承認を取り消すことができる場合)

828 令第18条の47((承認送信事業者の承認の取消し))の規定により承認送信事業者の承認を取り消すことができる場合の取扱いは、次による。

(2課消25追加)

(1) 「消費税に関する法令の規定に違反した場合」とは、法第64((罰則))の規定に該当して告発を受けた場合をいう。

(2) 「購入記録情報の提供その他の状況が特に不適当と認められる場合」とは、購入記録情報を規則第6条の24((購入記録情報の提供方法))に規定する方法により適切に国税庁長官に提供していないと認められる場合、承認送信事業者の資力及び信用が薄弱となった場合等、承認送信事業者として物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が生じた場合をいう。

(臨時販売場を設置する事業者の承認を取り消すことができる場合)

829 令第18条の53((臨時販売場を設置する事業者に係る承認の取消し))の規定により臨時販売場を設置する事業者の承認を取り消すことができる場合の取扱いは、次による。

(27課消19追加、平31課消29、令2課消25改正)

(1) 「消費税に関する法令の規定に違反した場合」とは、法第64((罰則))の規定に該当して告発を受けた場合をいう。

(2) 「臨時販売場における免税販売手続その他の状況が特に不適当と認められる場合」とは、臨時販売場において行った免税販売手続について検証を行うための体制が十分なものでなくなった場合、設置する臨時販売場の場所が不適当と認められる場合及び臨時販売場を設置する事業者の資力及び信用が薄弱となった場合等、臨時販売場を設置する事業者として物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が生じた場合をいう。

3節 購入記録情報の提供等

(2課消25追加)

(輸出物品販売場の許可を受けていない販売場に係る購入記録情報の提供方法等の届出書の提出)

831 令第18条第6((購入記録情報の提供))の規定により、購入記録情報を国税庁長官へ提供する場合に市中輸出物品販売場を経営する事業者が、あらかじめ提出すべき規則第6条の21((購入記録情報の提供に係る届出))に規定する届出書は、事業者が新たに輸出物品販売場の許可を受けようとする場合においては、令第18条の21((輸出物品販売場の許可))の規定による申請書の提出に併せて提出できるものとする。

(2課消25追加)

() この場合の規則第6条の22((識別符号の通知))に規定する識別符号の通知は、当該販売場に係る輸出物品販売場の許可があった日以後に行われることになる。

(購入記録情報の国税庁長官への提供の時期)

832 購入記録情報の国税庁長官への提供は、令第18条第6((購入記録情報の提供))の規定により、免税販売手続の際、遅滞なく行わなければならないため、原則として、免税対象物品の譲渡に係る免税販売手続の都度、購入記録情報を国税庁長官に提供しなければならないことに留意する。

(2課消25追加)

(手続委託型輸出物品販売場に係る国税庁長官への購入記録情報の提供)

833 手続委託型輸出物品販売場に係る購入記録情報の国税庁長官への提供は、免税販売手続を行う承認免税手続事業者以外の当該手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者又は当該事業者若しくは当該承認免税手続事業者から委託を受けた承認送信事業者も行うことが可能であることに留意する。

(2課消25追加)

()

1 手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者は、令第18条第6((購入記録情報の提供))の規定に基づいて、あらかじめその納税地を所轄する税務署長に購入記録情報の提供方法を届け出る必要がある。

2 手続委託型輸出物品販売場に係る購入記録情報の提供を承認免税手続事業者が行う場合は、当該承認免税手続事業者は、承認送信事業者に係る承認を受ける必要がある。

3 手続委託型輸出物品販売場に係る購入記録情報の提供は、例えば、当該手続委託型輸出物品販売場に係る承認免税手続事業者以外の承認送信事業者に委託することも可能であるが、この場合であっても、原則として、当該承認免税手続事業者が行う免税販売手続の都度、購入記録情報の提供が行われる必要がある。

(承認送信事業者から市中輸出物品販売場を経営する事業者への購入記録情報の提供)

834 令第18条の41項後段((電子情報処理組織による購入記録情報の提供の特例))の規定に基づき承認送信事業者が市中輸出物品販売場を経営する事業者に対して行う購入記録情報の提供は、例えば、次のような方法がこれに該当するのであるから留意する。

(2課消25追加)

(1) 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの

イ 承認送信事業者の使用に係る電子計算機と市中輸出物品販売場を経営する事業者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて提供すべき購入記録情報を送信し、当該市中輸出物品販売場を経営する事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法

ロ 当該承認送信事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された当該市中輸出物品販売場に係る購入記録情報を電気通信回線を通じて当該市中輸出物品販売場を経営する事業者の閲覧に供する方法

(2) 光ディスク、磁気ディスクその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに購入記録情報を記録したものを交付する方法

() (1)ロに従って当該承認送信事業者が当該市中輸出物品販売場に係る購入記録情報を当該市中輸出物品販売場を経営する事業者の閲覧に供し、かつ、当該承認送信事業者が当該購入記録情報を規則第10条の62((承認送信事業者の購入記録情報の保存方法))の規定に従って保存しているときは、当該閲覧に供している期間に限り、当該市中輸出物品販売場を経営する事業者は、当該承認送信事業者から提供を受けた購入記録情報を規則第7条第2((輸出物品販売場を経営する事業者の購入記録情報の保存方法))の規定に従って保存しているものとして取り扱う。

(購入記録情報の提供時における災害その他やむを得ない事情の範囲)

835 令第18条第8((災害等の場合の購入記録情報の提供方法))(令第18条の43((承認送信事業者が購入記録情報を提供する場合の準用))の規定において準用する場合を含む。)に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義は、次に掲げるところによる。

(2課消25追加)

(1) 「災害」とは、震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに基因する災害をいう。

(2) 「やむを得ない事情」とは、(1)に規定する災害に準ずるような状況又は市中輸出物品販売場を経営する事業者若しくは承認送信事業者が令第18条第6((購入記録情報の提供))の規定により行う購入記録情報の国税庁長官への提供を、免税販売手続の際に遅滞なく行うことができなかったことにつき、これらの事業者(手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者の場合は、承認免税手続事業者を含む。)の責めに帰することができない状況にある事態をいう。

() 令第18条第6項に規定する電子情報処理組織で国税庁が運用するものの使用不能についても、「災害その他やむを得ない事情」に含まれる。

9章 資産の譲渡等の時期

1節 通則

1款 棚卸資産の譲渡の時期

(棚卸資産の譲渡の時期)

911 棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とする。

(棚卸資産の引渡しの日の判定)

912 棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等、当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して棚卸資産の譲渡を行ったこととしている日によるものとする。この場合において、当該棚卸資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。

(1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日

(2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日

(委託販売による資産の譲渡の時期)

913 棚卸資産の委託販売に係る委託者における資産の譲渡をした日は、その委託品について受託者が譲渡した日とする。ただし、当該委託品についての売上計算書が売上げの都度作成されている場合において、事業者が継続して当該売上計算書の到着した日を棚卸資産の譲渡をした日としているときは、これを認める。

() 受託者が週、旬、月を単位として一括して売上計算書を作成しているときは、「売上げの都度作成されている場合」に該当する。

(船荷証券等の譲渡の時期)

914 荷送人が運送品の譲渡について為替手形を振出し、その為替手形を金融機関において割引をする際に船荷証券又は複合運送証券(以下914において「船荷証券等」という。)を提供する場合の当該提供は、資産の譲渡等には該当しないが、荷受人が船荷証券等を他に譲渡した場合には、その引渡しの日に当該船荷証券等に係る資産の譲渡が行われたことになることに留意する。

(31課消29改正)

() 寄託者の行う倉荷証券の譲渡は、当該倉荷証券に係る資産の譲渡に該当する。

2款 請負による譲渡等の時期

(請負による資産の譲渡等の時期)

915 請負による資産の譲渡等の時期は、別に定めるものを除き、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日とする。

(建設工事等の引渡しの日の判定)

916 請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等、当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して資産の譲渡等を行ったこととしている日によるものとする。

(値増金に係る資産の譲渡等の時期)

917 事業者が請負った建設工事等に係る工事代金につき資材の値上り等に応じて一定の値増金を収入することが契約において定められている場合には、その収入すべき値増金の額はその建設工事等の引渡しの日の属する課税期間の課税標準額に算入するのであるが、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入する。

(部分完成基準による資産の譲渡等の時期の特例)

918 事業者が請負った建設工事等(法第17条第1項若しくは第2((工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定の適用を受けるものを除く。以下918において同じ。)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その課税期間において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事代金に係る資産の譲渡等の時期については、その引渡しを行った日とする。

(11課消25改正)

(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

(機械設備の販売に伴う据付工事による資産の譲渡等の時期の特例)

919 事業者が機械設備等の販売(法第17条第1項若しくは第2((工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定の適用を受けるものを除く。以下919において同じ。)をしたことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき資産の譲渡等を行ったものとすることができるものとする。

(11課消25改正)

() 事業者がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額を対価とする資産の譲渡となり、その資産の譲渡等の時期は911による。

 

(不動産の仲介あっせんに係る譲渡等の時期)

9―1―10 土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下9―1―10において「売買等」という。)の仲介又はあっせんに係る資産の譲渡等の時期は、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日とする。ただし、事業者が売買又は交換の仲介又はあっせんに係る資産の譲渡等の時期を継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額を収受した日)としているときは、これを認める。

(技術役務の提供に係る資産の譲渡等の時期)

9―1―11 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術に係る役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、原則として、その約した役務の全部の提供を完了した日であるが、その技術に係る役務の提供について次に掲げるような事実がある場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定した日にその確定した金額に係る役務の提供を行ったものとする。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了するまで又は1年を超える相当の期間が経過するまで支払を受けることができないこととされている部分については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日を資産の譲渡等の時期とすることができる。

(1) 報酬の額が現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合

(2) 例えば、基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されている場合のように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合

() 技術に係る役務の提供についての契約に関連してその着手費用に充当する目的で相手方から収受する仕度金、着手金等の額は、後日清算して剰余金があれば返還することとなっているものを除き、その収受した日の属する課税期間において行った役務の提供に係るものとすることができる。

(運送収入に係る資産の譲渡等の時期)

9―1―12 運送業における運送収入に係る資産の譲渡等の時期は、原則として、その運送に係る役務の提供を完了した日とする。ただし、事業者が運送契約の種類、性質、内容等に応じ、例えば、次に掲げるような方法のうちその運送収入に係る資産の譲渡等の時期として合理的であると認められるものにより継続してその資産の譲渡等を行ったものとしている場合には、これを認める。

(1) 乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日(自動販売機によるものについては、その集金をした時)にその発売に係る運送収入を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする方法

(2) 船舶、航空機等が積地を出発した日に当該船舶、航空機等に積載した貨物又は乗客に係る運送収入を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする方法

(3) 一航海(船舶が発港地を出発してから帰港地に到着するまでの航海をいう。以下9―1―12において同じ。)に通常要する期間がおおむね4月以内である場合において当該一航海を完了した日に当該一航海に係る運送収入を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする方法

(4) 一の運送に通常要する期間又は運送を約した期間の経過に応じて日割又は月割等により一定の日にその運送収入を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする方法

()

1 運送業を営む2以上の事業者が運賃の交互計算又は共同計算を行っている場合における当該交互計算又は共同計算により当該2以上の事業者が配分を受けるべき収益の額を対価とする資産の譲渡等については、その配分額が確定した日に資産の譲渡等を行ったものとすることができる。

2 海上運送事業を営む事業者が船舶による運送に関連して受払する滞船料又は早出料を対価とする資産の譲渡等については、その額が確定した日に資産の譲渡等又は売上げに係る対価の返還等を行ったものとすることができる。

3款 固定資産の譲渡の時期

(固定資産の譲渡の時期)

9―1―13 固定資産の譲渡の時期は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日とする。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは、これを認める。

() 本文の取扱いによる場合において、固定資産の引渡しの日がいつであるかについては、9―1―2の例による。

(農地の譲渡の時期の特例)

9―1―14 農地の譲渡があった場合において、当該農地の譲渡に関する契約が農地法上の許可を受けなければその効力を生じないものであるため、事業者がその譲渡の時期をその許可のあった日としているときは、これを認める。

() 事業者が農地の取得に関する契約を締結した場合において、農地法上の許可を受ける前に当該契約に基づく契約上の権利を他に譲渡したときにおけるその譲渡の時期については、9―1―13による。この場合において、当該権利の譲渡に関する契約において農地法上の許可を受けることを当該契約の効力発生の条件とする旨の定めがあったとしても、当該定めは、当該許可を受けることができないことを契約解除の条件とする旨の定めであるものとして9―1―13のただし書を適用する。

(工業所有権等の譲渡等の時期)

9―1―15 工業所有権等(特許権、実用新案権、意匠権、商標権又は回路配置利用権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権をいう。以下9―1―21において同じ。)の譲渡又は実施権の設定については、その譲渡又は設定に関する契約の効力発生日に行われたものとする。ただし、その譲渡又は設定に関する契約の効力が登録により生ずることとなっている場合で、事業者がその登録日によっているときは、これを認める。

() 実施権の設定による資産の譲渡等に関して受ける対価の額は、それが使用料等に充当されることとされている場合であっても、前受金等として繰延べることはできないことに留意する。

(ノウハウの頭金等に係る資産の譲渡等の時期)

9―1―16 ノウハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該ノウハウの開示を完了した日とする。ただし、ノウハウの開示が2回以上にわたって分割して行われ、かつ、その一時金又は頭金の支払がほぼこれに見合って分割して行われることとなっている場合には、その開示をした日に資産の譲渡等があったものとする。

()

1 その一時金又は頭金の額がノウハウの開示のために現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合には、その支払を受けるべき金額が確定する都度資産の譲渡等が行われたものとする。

2 9―1―15()は、ノウハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金について準用する。

4款 有価証券の譲渡の時期

(有価証券等の譲渡の時期)

9―1―17 有価証券(金融商品取引法第2条第1((定義))に規定する有価証券をいう。)及び令第9条第1項第2号及び第4((有価証券に類するものの範囲等))に規定する有価証券に類するもののうち証券又は証書が発行されているものの譲渡の時期は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日とする。

(11課消2―8、平13課消1―5、平14課消1―12、平18課消1―16、平19課消1―18改正)

() 法人が有価証券(法法第2条第21((定義))に規定する有価証券をいう。)を譲渡した場合の資産の譲渡の時期について、法法第61条の21((有価証券の譲渡損益の益金算入等))に規定する「その譲渡に係る契約をした日」としている場合には、これを認める。

(株券の発行がない株式等の譲渡の時期)

9―1―172 令第9条第1項第1号及び第3((有価証券に類するものの範囲等))に規定する有価証券に類するものの譲渡の時期は、証券の代用物が発行されている場合はその引渡しがあった日、証券の代用物が発行されていない場合は譲渡の意思表示があった日とする。

(11課消2―8追加、平14課消1―12、平18課消1―16改正)

(登録国債の譲渡の時期)

9―1―173 令第1条第2項第3((登録国債))に規定する登録国債の譲渡の時期は、名義変更の登録に必要な書類の引渡し等があった日とする。

(11課消2―8追加、平20課消1―8改正)

(持分会社の社員の持分等の譲渡の時期)

9―1―174 合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員又は会員の持分その他これらに類する法人(人格のない社団等、匿名組合及び民法上の組合を含む。)の出資者の持分(証券が発行されていないものに限る。)の譲渡の時期は、譲渡の意思表示があった日とする。

(11課消2―8追加、平18課消1―16改正)

(株式の信用取引等をした場合の譲渡の時期)

9―1―18 事業者が金融商品取引法第161条の21((信用取引等における金銭の預託))の規定による信用取引又は発行日取引の方法により株式の売付けを行った場合におけるその売付けに係る株式の譲渡の時期は、当該売付けに係る取引の決済を行った日とする。

(11課消2―5、平19課消1―18改正)

5款 利子、使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期

(貸付金利子等を対価とする資産の譲渡等の時期)

9―1―19 貸付金、預金、貯金又は有価証券(以下9―1―19において「貸付金等」という。)から生ずる利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該課税期間に係る金額を当該課税期間の資産の譲渡等の対価の額とする。ただし、主として金融及び保険業を営む事業者以外の事業者が、その有する貸付金等(当該事業者が金融及び保険業を兼業する場合には、当該金融及び保険業に係るものを除く。)から生ずる利子で、その支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額としている場合には、これを認める。

(償還差益を対価とする資産の譲渡等の時期)

9―1―192 令第10条第3項第6((償還差益を対価とする資産の貸付け))に規定する償還差益を対価とする国債等の取得に係る資産の譲渡等の時期は、同号に規定する国債等の償還が行われた日とする。ただし、当該国債等が、法法令第139条の21((償還有価証券の調整差益又は調整差益の益金又は損金算入))に規定する償還有価証券に該当する場合において、法人が消費税の計算上も同項の調整差益の額を各事業年度の償還差益の額としているときには、これを認める。

(12課消2―10追加)

(賃貸借契約に基づく使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期)

9―1―20 資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除く。)を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とする。ただし、当該契約について係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該課税期間においてその支払を受けていないときは、相手方が供託したかどうかにかかわらず、その係争が解決して当該使用料等の額が確定しその支払を受けることとなる日とすることができるものとする。

() 使用料等の額の増減に関して係争がある場合には本文の取扱いによるのであるが、この場合には、契約の内容、相手方が供託をした金額等を勘案してその使用料等の額を合理的に見積るものとする。

(工業所有権等の使用料を対価とする資産の譲渡等の時期)

9―1―21 工業所有権等又はノウハウを他の者に使用させたことにより支払を受ける使用料の額を対価とする資産の譲渡等の時期は、その額が確定した日とする。ただし、事業者が継続して契約により当該使用料の額の支払を受けることとなっている日としている場合には、これを認める。

6款 その他の資産の譲渡等の時期

(物品切手等と引換給付する場合の譲渡等の時期)

9―1―22 物品切手等と引換えに物品の給付若しくは貸付け又は役務の提供(以下9―1―22において「物品の給付等」という。)を行う場合には、当該物品切手等が自ら発行したものであるか他の者が発行したものであるかにかかわらず、当該物品の給付等を行う時に当該物品の給付等に係る資産の譲渡等を行ったこととなるのであるから留意する。

(保証金等のうち返還しないものの額を対価とする資産の譲渡等の時期)

9―1―23 資産の賃貸借契約等に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、当該金額のうち期間の経過その他当該賃貸借契約等の終了前における一定の事由の発生により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する課税期間において行った資産の譲渡等に係る対価となるのであるから留意する。

(先物取引に係る資産の譲渡等の時期)

9―1―24 商品先物取引法の規定により商品の先物取引を行った場合で、一定の期日までに反対売買することにより差金の授受によって決済したときは、当該先物取引は資産の引渡しを伴わない取引であるから資産の譲渡等には該当しないのであるが、現物の引渡しを行う場合には、当該引渡しを行う日に資産の譲渡等が行われたことになるのであるから留意する。

(23課消1―35改正)

9―1―25 削除

(10課消2―9)

(強制換価手続による換価による資産の譲渡等の時期)

9―1―26 事業者が所有する資産が強制換価手続により換価された場合には、当該換価により買受代金が納入された時に当該事業者が資産の譲渡等を行ったものとする。

(前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期)

9―1―27 資産の譲渡等に係る前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期は、法第18((小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例))の規定の適用を受ける事業者を除き、現実に資産の譲渡等を行った時となることに留意する。

(共同事業の計算期間が構成員の課税期間と異なる場合の資産の譲渡等の時期)

9―1―28 共同事業において、1―3―1により各構成員が行ったこととされる資産の譲渡等については、原則として、当該共同事業として資産の譲渡等を行った時に各構成員が資産の譲渡等を行ったこととなる。

ただし、各構成員が、当該資産の譲渡等の時期を、当該共同事業の計算期間(1年以内のものに限る。)の終了する日の属する自己の課税期間において行ったものとして取り扱っている場合には、これを認める。

(受益者等課税信託の資産の譲渡等の時期)

9―1―29 受益者等課税信託において、受益者等が行ったとみなされる資産等取引については、当該受益者の課税期間に対応させて消費税額を計算することとなるのであるから留意する。

(19課消1―18追加)

(集団投資信託等の資産の譲渡等の時期)

9―1―30 集団投資信託等については、委託者から信託を受けた受託者が資産等取引を行ったこととなるから、当該受託者の資産等取引については、当該受託者の課税期間に対応させて消費税額を計算することとなる。

ただし、法人課税信託を除き、当該受託者の課税期間と当該受託者における個々の信託の計算期間とが異なる場合において、当該課税期間中にその計算期間の末日が到来した信託についてその計算期間中に行われた資産等取引の全てを当該課税期間における資産等取引としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。

(13課消1―5、平19課消1―18、平23課消1―35改正)

2節 削除

(10課消2―9)

3節 リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

(10課消2―9、平30課消2―5改正)

(リース譲渡に係る特例の適用関係)

9―3―1 法第16((リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定は、同条第1項に規定するリース譲渡(以下この節において「リース譲渡」という。)につき所法第65条第1項若しくは第2((リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期))又は法法第63条第1項若しくは第2((リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度))の規定の適用を受ける場合に限って適用することができるのであるが、これらの規定の適用を受ける場合であっても、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期をその引渡し等のあった日によることとすることは差し支えないことに留意する。

(10課消2―9、平13課消1―5、平20課消1―8、平30課消2―5改正)

() 所法第132条第1((延払条件付譲渡に係る所得税額の延納))に規定する山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡に該当する資産の譲渡等に係る法第16条の規定の適用についても同様である。

9―3―2 削除

(30課消2―5)

9―3―3 削除

(30課消2―5)

(契約の変更があった場合の取扱い)

9―3―4 法第16条第1((リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定によりその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期につき特例を適用しているリース譲渡についてその後契約の変更があり、賦払金の支払期日又は各支払期日ごとの賦払金の額が異動した場合には、その変更後の支払期日及び各支払期日ごとの賦払金の額に基づいて同項に規定するその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期の特例の計算を行う。ただし、その変更前に既に支払期日の到来した賦払金の額については、この限りでない。

(10課消2―9、平20課消1―8、平30課消2―5改正)

() 令第36条の21項又は第2((リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定の適用についても同様とする。

(対価の額に異動があった場合の調整)

9―3―5 法第16条第1((リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定によりその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期につき特例を適用しているリース譲渡に係る対価の額につきその後値増し、値引等があったため当該リース譲渡に係る賦払金の額に異動が生じた場合には、その異動を生じた日の属する課税期間(以下9―3―5において「異動課税期間」という。)以後の各課税期間における当該賦払金の額に係る延払基準の方法の適用については、その異動後の賦払金の額(異動課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等が行われた部分の金額を除く。)及び異動課税期間開始の日以後に受けるべき賦払金の額の合計額を基礎として9―3―4によりその計算を行うものとする。ただし、事業者がその値増し、値引等に係る金額をこれらの事実の生じた日の属する課税期間において行った資産の譲渡等に係るものとしているときは、これを認める。

(10課消2―9、平20課消1―8、平30課消2―5改正)

() 令第36条の21項又は第2((リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定の適用についても同様とする。

(資産を下取りした場合の対価の額)

9―3―6 事業者がリース譲渡を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産を下取りした場合において、当該資産の価額をその下取りをした時における価額を超える価額としているときは、その超える部分の金額については、当該下取りをした資産の譲受けに係る支払対価の額に含めないものとし、そのリース譲渡をした資産につき、値引きをしたものとして取り扱う。

(10課消2―9、平30課消2―5改正)

() 下取りに係る資産を有していた事業者におけるその下取りに係る資産の譲渡に係る対価の額は、当該頭金等とされた金額となる。

(支払期日前に受領した手形)

9―3―62 リース譲渡に係る賦払金のうち当該課税期間において支払期日が到来しないものについて事業者が手形を受領した場合には、その受領した手形の金額は、法第16条第1項括弧書((リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))に規定する当該課税期間において支払を受けたものには含まれない。

(10課消2―9追加、平30課消2―5改正)

(債務不履行に伴うリース譲渡に係る資産の取戻し)

9―3―63 事業者がリース譲渡をした後において、相手方の代金の支払遅延等の理由により契約を解除し、リース期間の中途において当該リース譲渡をした資産を取り戻した場合には、その取戻しは、その取戻しをした時における当該資産の価額を支払対価とする課税仕入れを行ったことになるのであるから留意する。

(10課消2―9追加、平20課消1―8、平30課消2―5改正)

() 当該相手方は、当該資産につき代物弁済による資産の譲渡を行ったことになる。

(リース期間の終了に伴い返還を受けた資産)

9―3―64 リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引(所法第67条の21((売買とされるリース取引))又は法法第64条の21((売買とされるリース取引))の規定により売買があったものとされるリース取引をいう。以下9―3―64及び11―3―2において同じ。)の目的物であった資産の返還を受けた場合における当該資産の返還は、資産の譲渡等に該当しない。

なお、この場合において、当該資産に係るリース契約の残価保証額の定めに基づき賃貸人が賃借人から収受する金銭は、その収受すべき金額が確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算するものとする。

(20課消1―8追加、平30課消2―5改正)

() 残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産(所法第67条の21((売買とされるリース取引))又は法法第64条の21((売買とされるリース取引))に規定するリース資産をいう。)の処分価額がリース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リース取引に係る賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいう。

(個人事業者が行う延払条件付譲渡の範囲)

9―3―7 法第16条第5((個人事業者の山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例))に規定する延払条件付譲渡に該当する資産の譲渡等には、個人事業者が行う所法令第79((資産の譲渡とみなされる行為))に規定する行為が含まれるものとする。

(10課消2―9改正)

4節 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例

(10課消2―9改正)

(工事の請負に係る特例の適用関係)

9―4―1 法第17((工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定は、工事の請負に係る譲渡等につき所法第66((工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期))又は法法第64((工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度))の規定の適用を受ける場合に限って適用することができるのであるが、これらの規定の適用を受ける場合であっても、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期をその引渡しのあった日によることとすることは差し支えないことに留意する。

(10課消2―9、平13課消1―5改正)

() 所得税又は法人税の所得金額の計算上、工事進行基準によらなければならない長期大規模工事の場合であっても、資産の譲渡等の時期をその引渡しのあった日によることとすることは差し支えない。

(損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用)

9―4―2 所基通66―9((損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用))又は法基通2―4―19((損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用))により所法第66条第2((工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期))又は法法第64条第2((工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度))に定める「工事進行基準の方法により経理したとき」に該当しないとは取り扱わない工事については、法第17条第2項本文((工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例))の規定を適用することができる。

(21課消1―10追加)

5節 小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期の特例

(小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例の適用関係)

9―5―1 法第18((小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例))の規定は、その事業者が所法第67((小規模事業者の収入及び費用の帰属時期))の規定の適用を受ける場合に限って適用することができるのであるが、同条の規定の適用を受ける場合であっても、当該事業者が全ての資産の譲渡等につきその譲渡等の時期をその実際の引渡しのあった日によることとすることは差し支えないのであるから留意する。

(10課消2―9、平23課消1―35改正)

(手形又は小切手取引に係る資産の譲渡等及び課税仕入れの時期)

9―5―2 法第18条第1((小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例))の規定の適用を受けている小規模事業者が資産の譲渡等に係る対価の額及び課税仕入れに係る支払対価の額を手形又は小切手で受取り又は支払った場合における当該資産の譲渡等及び課税仕入れを行った時期は、次に掲げる区分に応じ、次によるものとする。

(1) 手形取引

イ 受取手形にあっては、その手形の支払を受けたものについてはその支払を受けた時にその金額を対価とする資産の譲渡等を行ったものとし、割引したものについてはその割引した時にその手形金額を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする。この場合において、当該割引した手形の不渡りにより、その割引に係る対価をそ求に応じて支払ったときは、その支払った時の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額からその支払った金額に相当する金額を減額する。

ロ 支払手形にあっては、その手形の支払をした時にその金額に係る課税仕入れを行ったものとする。

(2) 小切手取引

小切手取引にあっては、その受取り又は振出しの時にその小切手金額に係る資産の譲渡等又は課税仕入れを行ったものとする。この場合において、その小切手が不渡りとなったときは、その不渡りとなった時の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れに係る支払対価の額からその小切手金額に相当する金額を減額する。

6節 その他

(法人の設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れの帰属)

9―6―1 法人の設立期間中に当該設立中の法人が行った資産の譲渡等及び課税仕入れは、当該法人のその設立後最初の課税期間における資産の譲渡等及び課税仕入れとすることができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れ又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該個人事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、この限りでない。

() 本文の取扱いによる場合であっても、当該法人の設立後最初の課税期間の開始の日は、当該法人の設立の日となるのであるから留意する。

(資産の譲渡等の時期の別段の定め)

9―6―2 資産の譲渡等の時期について、所得税又は法人税の課税所得金額の計算における総収入金額又は益金の額に算入すべき時期に関し、別に定めがある場合には、それによることができるものとする。

10章 課税標準及び税率

1節 課税資産の譲渡等

(27課消1―17追加)

(譲渡等の対価の額)

10―1―1 法第28条第1項本文((課税標準))に規定する「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、課税資産の譲渡等に係る対価につき、対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他の経済的利益の額をいい、消費税額等を含まないのであるが、この場合の「収受すべき」とは、別に定めるものを除き、その課税資産の譲渡等を行った場合の当該課税資産等の価額をいうのではなく、その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいうのであるから留意する。

(9課消2―5、平27課消1―17改正)

() 同条第1項ただし書又は第3((資産のみなし譲渡))の規定により、法人が役員に対して著しく低い価額で資産の譲渡若しくは贈与を行った場合又は個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費若しくは使用した場合には、当該譲渡等の時におけるその資産の価額により譲渡があったものとされる。

(著しく低い価額)

10―1―2 法第28条第1項ただし書((課税標準))に規定する「資産の価額に比し著しく低いとき」とは、法人のその役員に対する資産の譲渡金額が、当該譲渡の時における資産の価額に相当する金額のおおむね50%に相当する金額に満たない場合をいうものとする。

なお、当該譲渡に係る資産が棚卸資産である場合において、その資産の譲渡金額が、次の要件のいずれをも満たすときは、「資産の価額に比し著しく低いとき」に該当しないものとして取り扱う。

(1) 当該資産の課税仕入れの金額以上であること。

(2) 通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上であること。

ただし、法人が資産を役員に対し著しく低い価額により譲渡した場合においても、当該資産の譲渡が、役員及び使用人の全部につき一律に又は勤続年数等に応ずる合理的な基準により普遍的に定められた値引率に基づいて行われた場合は、この限りでない。

(経済的利益)

10―1―3 法第28条第1項かっこ書((課税標準))に規定する「金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益」とは、例えば、課税資産の譲渡等の対価として金銭以外の物若しくは権利の給付を受け、又は金銭を無償若しくは通常の利率よりも低い利率で借受けをした場合のように、実質的に資産の譲渡等の対価と同様の経済的効果をもたらすものをいう。

(印紙税等に充てられるため受け取る金銭等)

10―1―4 事業者が課税資産の譲渡等に関連して受け取る金銭等のうち、当該事業者が国又は地方公共団体に対して本来納付すべきものとされている印紙税、手数料等に相当する金額が含まれている場合であっても、当該印紙税、手数料等に相当する金額は、当該課税資産の譲渡等の金額から控除することはできないのであるから留意する。

(11課消2―8改正)

() 課税資産の譲渡等を受ける者が本来納付すべきものとされている登録免許税、自動車重量税、自動車取得税及び手数料等(以下10―1―4において「登録免許税等」という。)について登録免許税等として受け取ったことが明らかな場合は、課税資産の譲渡等の金額に含まれないのであるから留意する。

(建物と土地等とを同一の者に対し同時に譲渡した場合の取扱い)

10―1―5 事業者が令第45条第3((一括譲渡した場合の課税標準の計算の方法))に規定する課税資産の譲渡等に係る資産(以下「課税資産」という。)と同項に規定する課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に係る資産(以下「非課税資産」という。)とを同一の者に対し同時に譲渡した場合には、それぞれの資産の譲渡の対価について合理的に区分しなければならないのであるが、建物、土地等を同一の者に対し同時に譲渡した場合において、それぞれの対価につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときは、その区分したところによる。

() 合理的に区分されていない場合には、同項の規定により、それぞれの譲渡に係る通常の取引価額を基礎として区分することに留意する。

(未経過固定資産税等の取扱い)

10―1―6 固定資産税、自動車税等(以下10―1―6において「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。

() 資産の譲渡を受けた者に対して課されるべき固定資産税等が、当該資産の名義変更をしなかったこと等により当該資産の譲渡をした事業者に対して課された場合において、当該事業者が当該譲渡を受けた者から当該固定資産税等に相当する金額を収受するときには、当該金額は資産の譲渡等の対価に該当しないのであるから留意する。

(外貨建取引に係る対価)

10―1―7 外貨建ての取引に係る資産の譲渡等の対価の額は、所得税又は法人税の課税所得金額の計算において外貨建ての取引に係る売上金額その他の収入金額につき円換算して計上すべきこととされている金額によるものとする。

(9課消2―5、平13課消1―5、平18課消1―16、平18課消1―43改正)

()

1 外貨建取引の円換算に係る法人税の取扱いについては、法基通132―1―1から132―2―18まで((外貨建取引の換算等))において定められている。

2 外貨建取引の円換算に係る所得税の取扱いについては、所基通573―1から573―7まで((外貨建取引の換算等))において定められている。

3 法法第61条の91項第1((外貨建資産等の期末換算差益又は期末換算差損の益金又は損金算入等))に規定する外貨建債権、債務に係る為替換算差損益又は為替差損益は、資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れに係る支払対価の額に含まれないことに留意する。

(交換資産の時価)

10―1―8 交換の当事者が交換に係る資産の価額を定め、相互に等価であるとして交換した場合において、その定めた価額が通常の取引価額と異なるときであっても、その交換がその交換をするに至った事情に照らし正常な取引条件に従って行われたものであると認められるときは、令第45条第2項第4((交換の場合の対価の額))の規定の適用上、これらの資産の価額は当該当事者間において合意されたところによるものとする。

(物品切手等の評価)

10―1―9 次に掲げる資産を課税資産の譲渡等の対価として取得した場合には、それぞれ次に掲げる金額が当該課税資産の譲渡等の金額となる。

(1) 物品切手等(法別表第一第4号に規定する物品切手等をいう。) 券面金額(券面金額がない場合には、当該物品切手等により引換給付される物品又は役務について取得し又は提供を受けるために通常要する金額)

(2) 定期金に関する権利又は信託の受益権 相続税法又は相続税評価通達に定めるところに準じて評価した価額

(3) 生命保険契約に関する権利 その取得した時においてその契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配等がある場合には、これらの金額との合計額)

(他の事業者の資産の専属的利用による経済的利益の額)

10―1―10 事業者が課税資産の譲渡等の対価として他の者の有する資産を専属的に利用する場合のその利用に係る法第28条第1((課税標準))に規定する経済的な利益の額は、その資産の利用につき通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額(その利用者がその利用の対価として支出する金額があるときは、これを控除した額)とする。

(個別消費税の取扱い)

10―1―11 法第28条第1((課税標準))に規定する課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税等が含まれるが、軽油引取税、ゴルフ場利用税及び入湯税は、利用者等が納税義務者となっているのであるから対価の額に含まれないことに留意する。ただし、その税額に相当する金額について明確に区分されていない場合は、対価の額に含むものとする。

(12課消2―10、平15課消1―37改正)

(委託販売等に係る手数料)

10―1―12 委託販売その他業務代行等(以下10―1―12において「委託販売等」という。)に係る資産の譲渡等を行った場合の取扱いは、次による。

(23課消1―35改正)

(1) 委託販売等に係る委託者については、受託者が委託商品を譲渡等したことに伴い収受した又は収受すべき金額が委託者における資産の譲渡等の金額となるのであるが、その課税期間中に行った委託販売等の全てについて、当該資産の譲渡等の金額から当該受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額としているときは、これを認める。

(2) 委託販売等に係る受託者については、委託者から受ける委託販売手数料が役務の提供の対価となる。

なお、委託者から課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合の委託販売等に係る受託者については、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としても差し支えないものとする。

(源泉所得税がある場合の課税標準)

10―1―13 事業者が課税資産の譲渡等に際して収受する金額が、源泉所得税に相当する金額を控除した残額である場合であっても、源泉徴収前の金額によって消費税の課税関係を判定するのであるから留意する。

(資産の貸付けに伴う共益費)

10―1―14 建物等の資産の貸付けに際し賃貸人がその賃借人から収受する電気、ガス、水道料等の実費に相当するいわゆる共益費は、建物等の資産の貸付けに係る対価に含まれる。

(返品、値引等の処理)

10―1―15 事業者が、その課税期間において行った課税資産の譲渡等につき、当該課税期間中に返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした場合に、当該課税資産の譲渡等の金額から返品額又は値引額若しくは割戻額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。

() この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。

(別途収受する配送料等)

10―1―16 事業者が、課税資産の譲渡等に係る相手先から、他の者に委託する配送等に係る料金を課税資産の譲渡の対価の額と明確に区分して収受し、当該料金を預り金又は仮受金等として処理している場合の、当該料金は、当該事業者における課税資産の譲渡等の対価の額に含めないものとして差し支えない。

(下取り)

10―1―17 課税資産の譲渡等に際して資産の下取りを行った場合であっても当該課税資産の譲渡等の金額について、その下取りに係る資産の価額を控除した後の金額とすることはできないのであるから留意する。

() 課税資産の下取りをした場合には、その下取りは課税仕入れに該当し、法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定を適用することとなる。

(自家消費等における対価)

10―1―18 個人事業者が法第4条第5項第1((個人事業者の家事消費等))に規定する家事消費を行った場合又は法人が同項第2((役員に対するみなし譲渡))に規定する贈与を行った場合(棚卸資産について家事消費又は贈与を行った場合に限る。)において、次の(1)及び(2)に掲げる金額以上の金額を法第28条第3((みなし譲渡に係る対価の額))に規定する対価の額として法第45((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する確定申告書を提出したときは、これを認める。

(27課消1―17改正)

(1) 当該棚卸資産の課税仕入れの金額

(2) 通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額

(家事共用資産の譲渡)

10―1―19 個人事業者が、事業と家事の用途に共通して使用するものとして取得した資産を譲渡した場合には、その譲渡に係る金額を事業としての部分と家事使用に係る部分とに合理的に区分するものとする。この場合においては、当該事業としての部分に係る対価の額が資産の譲渡等の対価の額となる。

(譲渡等に係る対価が確定していない場合の見積り)

10―1―20 事業者が資産の譲渡等を行った場合において、その資産の譲渡等をした日の属する課税期間の末日までにその対価の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算し、又は当該対価の額から減算するものとする。

(別払運賃がある場合における課税標準に算入すべき運賃の計算の特例)

10―1―21 法第28条第4((保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準))に掲げる課税標準に含まれるべき運賃の一部に、運送の終了後相当の期間が経過しなければ確定しない部分(以下10―1―21において「別払運賃」という。)の発生が通常見込まれている場合において、課税貨物を保税地域から引き取る者が、その引き取ろうとする課税貨物の数量に相当する数値に別払運賃の平均額を乗じた額を別払運賃以外の運賃の額に加算し、当該加算後の金額を当該課税標準に算入しているときは、その者が次のいずれにも該当する場合に限り、当該金額を当該課税標準に算入すべき運賃の額として取り扱って差し支えない。

(27課消1―17改正)

(1) 別払運賃の平均額を用いる運賃の計算方法を継続的に採用して納税申告する旨及び届出の日の属する月の翌月から3か月間、6か月間又は1年間の納税申告において用いる別払運賃の平均額を納税地を管轄する税関長(沖縄地区税関長を含む。以下10―1―21において同じ。)に届け出ること。

(2) 前号の届出の日から3か月、6か月又は1年を経過するごとにそれぞれその後3か月間、6か月間又は1年間の納税申告において用いる別払運賃の平均額を同号の税関長に届け出ること。

(3) (1)の届出の日から1年を経過するごとに、当該1年間における別払運賃の確定額を同号の税関長に報告すること。

()

1 別払運賃の平均額とは、原則として、(1)又は(2)の届出の日の属する月の前月以前1年間における別払運賃の確定額を当該期間における課税貨物の運送数量に相当する数値で除して得た額をいうものとする。

2 現実に確定した運賃の額と別払運賃の平均額により計算した金額とが相当程度に相違することとなった場合には、修正申告書の提出又は更正により課税標準を是正することができるのであるから留意する。

2節 特定課税仕入れ

(27課消1―17追加)

(特定課税仕入れに係る支払対価の額)

10―2―1 法第28条第2項本文((特定課税仕入れに係る消費税の課税標準))に規定する「特定課税仕入れに係る支払対価の額」とは、特定課税仕入れに係る支払対価につき、対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいい、この場合の「支払うべき」とは、その特定課税仕入れを行った場合の当該特定課税仕入れの価額をいうのではなく、その特定課税仕入れに係る当事者間で授受することとした対価の額をいうのであるから留意する。

また、法第28条第2項括弧書に規定する「金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益」は、10―1―3と同様に、実質的に特定課税仕入れに係る支払対価と同様の経済的効果をもたらすものをいう。

なお、特定課税仕入れが他の者から受けた特定役務の提供に係るものである場合に、事業者が支払う金額が、源泉所得税に相当する金額を控除した残額である場合であっても、特定課税仕入れに係る支払対価の額は、源泉徴収前の金額となるのであるから留意する。

(27課消1―17追加)

(外貨建取引に係る支払対価の額)

10―2―2 外貨建ての取引に係る特定課税仕入れに係る支払対価の額の取扱いについては、10―1―7に準ずるものとする。

(27課消1―17追加)

(国外事業者のために負担する旅費等)

10―2―3 特定役務の提供を受ける事業者が、当該役務の提供を行う者の当該役務の提供を行うために要する往復の旅費、国内滞在費等の費用を負担する場合のその費用は、特定課税仕入れに係る支払対価の額に含まれることに留意する。

ただし、当該費用について、当該役務の提供を行う者に対して交付せずに、当該役務の提供を受ける事業者から航空会社、ホテル、旅館等に直接支払われている場合において、当該費用を除いた金額を特定課税仕入れに係る支払対価の額としているときは、その処理を認める。

(27課消1―17追加)

(芸能人の役務の提供の対価に含まれないもの)

10―2―4 事業者が特定役務の提供を受けた場合における法第28条第2((特定課税仕入れに係る消費税額の課税標準))に規定する特定課税仕入れに係る支払対価の額には、例えば、芸能人の実演の録音、録画、放送又は有線放送につき著作隣接権の対価として支払われるもので、契約その他において明確に区分されているものは含まれないことに留意する。

(27課消1―17追加)

() 著作隣接権の対価は資産の譲渡又は貸付けの対価に該当する。

11章 仕入れに係る消費税額の控除

1節 通則

(課税仕入れ)

11―1―1 課税仕入れとは、事業者が、事業として資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいうから、個人事業者が家事消費又は家事使用をするために資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることは、事業として行われるものではないから、課税仕入れに該当しないことに留意する。

(27課消1―17改正)

() 課税仕入れには特定課税仕入れも含まれることに留意する。

(給与等を対価とする役務の提供)

11―1―2 法第2条第1項第12((課税仕入れの意義))の規定により、課税仕入れの範囲から除かれる「給与等を対価とする役務の提供」とは、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき給与等を対価として労務を提供することをいうのであるが、この場合の給与等には、俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与のほか、過去の労務の提供を給付原因とする退職金、年金等も該当することに留意する。

(課税仕入れの相手方の範囲)

11―1―3 法第2条第1項第12((課税仕入れの意義))に規定する「他の者」には、課税事業者及び免税事業者のほか消費者が含まれる。

(27課消1―17改正)

()

1 令第57条第6((事業の種類))に規定する「他の者」についても同様である。

2 所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9)附則第38条第1((国外事業者から受けた電気通信利用役務の提供に係る税額控除に関する経過措置))により、事業者向け電気通信利用役務の提供以外の電気通信利用役務の提供で、同法附則第39条第1((国外事業者の登録等))に規定する国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者以外の国外事業者から受けたものは、当分の間、消費税法第30条から第36((仕入れに係る消費税額の控除等))までの規定は適用されない。

(家事共用資産の取得)

11―1―4 個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家事使用に係る部分は課税仕入れに該当しないことに留意する。この場合において、当該資産の取得に係る課税仕入れに係る支払対価の額は、当該資産の消費又は使用の実態に基づく使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算するものとする。

なお、個人事業者が、課税仕入れに係る資産を一時的に家事使用しても、当該家事使用について法第4条第5項第1((みなし譲渡))の規定の適用はないのであるから留意する。

(27課消1―17改正)

(水道光熱費等の取扱い)

11―1―5 個人事業者が支出する水道光熱費等の支払対価の額のうち課税仕入れに係る支払対価の額に該当するのは、所法令第96条各号((家事関連費))に掲げる経費に係る部分に限られるのであるから留意する。

(実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取扱い)

11―1―6 課税貨物について、関税定率法第9条の2((関税割当制度))の規定により割当てを受け又は関税暫定措置法の規定により関税の軽減若しくは免除を受ける場合には、当該割当てを受けた者又は軽減若しくは免除を受けようとする者(当該課税貨物を使用又は消費する者)の名をもって輸入申告をしなければならないこととされている(いわゆる「限定申告」)が、当該輸入申告を行う者(以下「輸入申告者」という。)が単なる名義人であって当該課税貨物を実質的に輸入する者(以下「実質的な輸入者」という。)が別に存在する場合において、次の全てに該当するときは、実質的な輸入者が当該課税貨物を保税地域から引き取ったものとして法第30条から第36((仕入れに係る消費税額の控除等))の規定を適用する。

(9課消2―5、平23課消1―35改正)

(1) 実質的な輸入者が、輸入申告者が引き取ったものとされる当該課税貨物を輸入申告後において輸入申告者に有償で譲渡する。

(2) 実質的な輸入者が、当該課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額を負担する。

(3) 実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存する。

(新規に開業をした事業者の仕入税額控除)

11―1―7 法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定の適用があるのは、課税事業者に限られるのであるが、新たに事業を開始した個人事業者又は新たに設立した法人は、法第9条の2((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))から法第12条の4((高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例))までの規定により納税義務が免除されない者を除き、法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により納税義務が免除されることとなるため、法第9条第4((課税事業者の選択))の規定により課税事業者を選択しない限り、課税仕入れ等の税額を控除することはできないのであるから留意する。

(9課消2―5、平13課消1―5、平22課消1―9、平23課消1―35、平25課消1―34、平28課消1―57改正)

(相続等により課税事業者となった場合の仕入税額控除)

11―1―8 法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、法第10条第1((相続があった場合の納税義務の免除の特例))、第11条第1((合併があった場合の納税義務の免除の特例))又は第12条第1項若しくは第5((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定により、その課税期間の中途において法第9条第1項本文の規定の適用を受けないこととなった場合には、その適用を受けないこととなった日から同日の属する課税期間の末日までの期間について、法第30((仕入れに係る消費税額の控除))及び法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定を適用することとなるのであるから留意する。

(13課消1―5追加)

() 法第12条第1項の規定により、その課税期間の中途において法第9条第1項本文の規定の適用を受けないこととなった場合とは、法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する分割等による設立がこれに該当する。

2節 課税仕入れの範囲

(出張旅費、宿泊費、日当等)

11―2―1 役員又は使用人(以下「使用人等」という。)が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族(以下11―2―1において「退職者等」という。)がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。

()

1 「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通9―3((非課税とされる旅費の範囲))の例により判定する。

2 海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。

(通勤手当)

11―2―2 事業者が使用人等で通勤者である者に支給する通勤手当(定期券等の支給など現物による支給を含む。)のうち、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。

(現物給付する資産の取得)

11―2―3 事業者が使用人等に金銭以外の資産を給付する場合の当該資産の取得が課税仕入れに該当するかどうかは、その取得が事業としての資産の譲受けであるかどうかを基礎として判定するのであり、その給付が使用人等の給与として所得税の課税の対象とされるかどうかにかかわらないのであるから留意する。

(使用人等の発明等に係る報償金等の支給)

11―2―4 事業者が、業務上有益な発明、考案等をした自己の使用人等に支給する報償金、表彰金、賞金等の金銭のうち次に掲げる金銭については、課税仕入れに係る支払対価に該当する。

(1) 業務上有益な発明、考案又は創作をした使用人等から当該発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を承継したことにより支給するもの

(2) 特許権、実用新案権又は意匠権を取得した使用人等にこれらの権利に係る実施権の対価として支給するもの

(3) 事務若しくは作業の合理化、製品の品質改良又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限り、その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合を除く。)をした使用人等に支給するもの

(外交員等の報酬)

11―2―5 外交員、集金人、電力量計等の検針人その他これらに類する者に対して支払う報酬又は料金のうち、所法第28条第1((給与所得))に規定する給与所得に該当する部分については、課税仕入れに係る支払対価には該当しないのであるから留意する。

() この場合において、給与所得に該当する部分とその他の部分との区分は、所基通204―22((外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金))の例による。

(会費、組合費等)

11―2―6 事業者がその同業者団体、組合等に対して支払った会費又は組合費等(以下11―2―6において「会費等」という。)について、当該同業者団体、組合等において、5―5―3((会費、組合費等))により、団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用を賄い、それによって団体の存立を図るものとして資産の譲渡等の対価に該当しないとしているときは、当該会費等は課税仕入れに係る支払対価に該当しないのであるから留意する。

5―5―4((入会金))に掲げる同業者団体、組合等に支払う入会金についても、同様とする。

(ゴルフクラブ等の入会金)

11―2―7 事業者が支払う入会金のうち、ゴルフクラブ、宿泊施設、体育施設、遊戯施設その他レジャー施設の利用又は一定の割引率で商品等を販売するなど会員に対する役務の提供を目的とする団体の会員資格を得るためのもので脱退等に際し返還されないものは、課税仕入れに係る支払対価に該当する。

(公共的施設の負担金等)

11―2―8 国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のため、国若しくは地方公共団体又は同業者団体等がこれらの施設の利用者又は受益者から受ける負担金、賦課金等で、当該国若しくは地方公共団体又は同業者団体等において、資産の譲渡等の対価に該当しないこととしているものについては、当該負担金、賦課金等を支払う事業者においても、課税仕入れに係る支払対価に該当しないのであるから留意する。

() 負担金等が例えば専用側線利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、電気通信施設利用権等の権利の設定等に係る対価と認められる等の場合には、当該負担金等は、それを支払う事業者において課税仕入れに係る支払対価に該当する。

(共同行事等に係る負担金)

11―2―9 同業者団体等の構成員が共同して行う宣伝、販売促進、会議等に要した費用を賄うために当該同業者団体等が構成員から受ける負担金等について、当該費用の全額について構成員ごとの負担割合が予め定められ、かつ、当該同業者団体等において当該宣伝等をその負担割合に応じて構成員が実施したものとして取り扱っている場合は、それを支払う構成員において当該負担金等の費途ごとに、法第2条第1項第12((課税仕入れの意義))の規定を適用することとなる。

(保険金等による資産の譲受け等)

11―2―10 法第2条第1項第12((課税仕入れの意義))に規定する「他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること」(以下11―2―10において「資産の譲受け等」という。)が課税仕入れに該当するかどうかは、資産の譲受け等のために支出した金銭の源泉を問わないのであるから、保険金、補助金、損害賠償金等を資産の譲受け等に充てた場合であっても、その資産の譲受け等が課税仕入れに該当するときは、その課税仕入れにつき法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

(滅失等した資産に係る仕入税額控除)

11―2―11 課税仕入れ等に係る資産が事故等により滅失し、若しくは亡失した場合又は盗難にあった場合などのように、結果的に資産の譲渡等を行うことができなくなった場合であっても、当該課税仕入れ等について法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

(課税資産の譲渡等にのみ要するものの意義)

11―2―12 法30条第2項第1((個別対応方式による仕入税額控除))に規定する課税資産の譲渡等にのみ要するもの(以下「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」という。)とは、課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、次に掲げるものの課税仕入れ等がこれに該当する。

なお、当該課税仕入れ等を行った課税期間において当該課税仕入れ等に対応する課税資産の譲渡等があったかどうかは問わないことに留意する。

(1) そのまま他に譲渡される課税資産

(2) 課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料、容器、包紙、機械及び装置、工具、器具、備品等

(3) 課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等

(国外取引に係る仕入税額控除)

11―2―13 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合は、当該課税仕入れ等について法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。

(国内事業者の国外支店が受けた電気通信利用役務の提供)

11―2―132 電気通信利用役務の提供が国内において行われたかどうかについては、役務の提供を受けた者が法人である場合には、当該法人の本店又は主たる事務所の所在地が国内にあるかどうかにより判定するのであるから、例えば、内国法人の国外事業所等において受けた電気通信利用役務の提供であっても、原則として国内において行った課税仕入れに該当することに留意する。

(27課消1―17追加、平28課消1―57改正)

() 内国法人の国外事業所等で受けた事業者向け電気通信利用役務の提供に係る特定仕入れについては、法第4条第4項ただし書((課税の対象))の規定の適用があることに留意する。

(国外事業者が行う特定資産の譲渡等のための仕入税額控除)

11―2―133 国外事業者が行った課税仕入れであっても法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるが、当該課税仕入れが特定資産の譲渡等(法第6条第1((非課税))の規定により非課税とされるものを除く。)のための課税仕入れである場合に、国外事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れは課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。

(27課消1―17追加)

(試供品、試作品等に係る仕入税額控除)

11―2―14 課税資産の譲渡等に係る販売促進等のために得意先等に配布される試供品、試作品等に係る課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。

(課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものの意義)

11―2―15 法第30条第2項第1((個別対応方式による仕入税額控除))に規定する課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するもの(以下「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」という。)とは、法第6条第1((非課税))の規定により非課税となる資産の譲渡等(以下「非課税資産の譲渡等」という。)を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、販売用の土地の造成に係る課税仕入れ、賃貸用住宅の建築に係る課税仕入れがこれに該当する。

(不課税取引のために要する課税仕入れの取扱い)

11―2―16 法第30条第2項第1((個別対応方式による仕入税額控除))に規定する課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは、原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのであるが、例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。

(金銭以外の資産の贈与)

11―2―17 事業者がした金銭による寄附は課税仕入れに該当しないが、金銭以外の資産を贈与した場合の当該資産の取得が課税仕入れ等に該当するときにおける個別対応方式の適用に当たっては、当該課税仕入れ等は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。

(個別対応方式の適用方法)

11―2―18 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合には、その課税期間中において行った個々の課税仕入れ等について、必ず、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとに区分しなければならない。したがって、例えば、課税仕入れ等の中から課税資産の譲渡等にのみ要するものを抽出し、それ以外のものを全て課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして区分することは認められないのであるから留意する。

(23課消1―35改正)

(共通用の課税仕入れ等を合理的な基準により区分した場合)

11―2―19 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当する課税仕入れ等であっても、例えば、原材料、包装材料、倉庫料、電力料等のように生産実績その他の合理的な基準により課税資産の譲渡等にのみ要するものとその他の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分することが可能なものについて当該合理的な基準により区分している場合には、当該区分したところにより個別対応方式を適用することとして差し支えない。

(課税仕入れ等の用途区分の判定時期)

11―2―20 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物を課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分は、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日の状況により行うこととなるのであるが、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日において、当該区分が明らかにされていない場合で、その日の属する課税期間の末日までに、当該区分が明らかにされたときは、その明らかにされた区分によって法第30条第2項第1((個別対応方式による仕入税額控除))の規定を適用することとして差し支えない。

(一括比例配分方式から個別対応方式への変更)

11―2―21 一括比例配分方式を適用した事業者は、法第30条第5((仕入控除方式の変更))の規定により一括比例配分方式を2年間以上継続した後でなければ、個別対応方式に変更できないのであるが、一括比例配分方式を適用した課税期間の翌課税期間以後の課税期間における課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上となり、同条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用される場合も、一括比例配分方式を継続適用したこととなるのであるから留意する。

(24課消1―7改正)

(災害その他やむを得ない事情の意義)

11―2―22 法第30条第7項ただし書((災害等その他やむを得ない事情により帳簿等を保存しなかった場合))及び同条第11項ただし書((災害その他やむを得ない事情により本人確認書類を保存しなかった場合))に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義については8―1―4による。

(31課消2―9、令2課消2―5改正)

(費途不明の交際費等)

11―2―23 事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合(法第30条第7項ただし書((災害等により保存できなかった場合))に該当する場合を除く。)には、その保存がない課税仕入れ等の税額について法第30条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定を適用することができないのであるから、例えば、課税仕入れに関する記録がない場合のほか、事業者が交際費、機密費等の名義をもって支出した金額でその費途が明らかでないものについても同項の規定の適用を受けることができないのであるから留意する。

(9課消2―5改正)

3節 課税仕入れ等の時期

(課税仕入れを行った日の意義)

11―3―1 法第30条第1項第1((仕入れに係る消費税額の控除))に規定する「課税仕入れを行った日」及び同項第2号に規定する「特定課税仕入れを行った日」とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうのであるが、これらの日がいつであるかについては、別に定めるものを除き、第9((資産の譲渡等の時期))の取扱いに準ずる。

(13課消1―5、平27課消1―17改正)

(割賦購入の方法等による課税仕入れを行った日)

11―3―2 割賦購入の方法又はリース取引による課税資産の譲り受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日は、当該資産の引渡し等を受けた日となるのであるから、当該課税仕入れについては、当該資産の引渡し等を受けた日の属する課税期間において法第30条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定を適用するのであるから留意する。

(20課消1―8改正)

() リース取引において、賃借人が支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する課税期間の賃借料等として経理している場合であっても同様である。

(減価償却資産に係る仕入税額控除)

11―3―3 課税仕入れ等に係る資産が減価償却資産に該当する場合であっても、当該課税仕入れ等については、当該資産の課税仕入れ等を行った日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

(繰延資産に係る課税仕入れ等の仕入税額控除)

11―3―4 創立費、開業費又は開発費等の繰延資産に係る課税仕入れ等については、その課税仕入れ等を行った日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

(19課消1―18改正)

(未成工事支出金)

11―3―5 事業者が、建設工事等に係る目的物の完成前に行った当該建設工事等のための課税仕入れ等の金額について未成工事支出金として経理した場合においても、当該課税仕入れ等については、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるが、当該未成工事支出金として経理した課税仕入れ等につき、当該目的物の引渡しをした日の属する課税期間における課税仕入れ等としているときは、継続適用を条件として、これを認める。

(建設仮勘定)

11―3―6 事業者が、建設工事等に係る目的物の完成前に行った当該建設工事等のための課税仕入れ等の金額について建設仮勘定として経理した場合においても、当該課税仕入れ等については、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるが、当該建設仮勘定として経理した課税仕入れ等につき、当該目的物の完成した日の属する課税期間における課税仕入れ等としているときは、これを認める。

(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)

11―3―7 法別表第一第4号イ又はハ((郵便切手類等の非課税))に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。

(短期前払費用)

11―3―8 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した課税仕入れに係る支払対価のうち当該課税期間の末日においていまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)につき所基通37―302又は法基通2―2―14((短期前払費用))の取扱いの適用を受けている場合は、当該前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱う。

(課税貨物を引き取った日の意義)

11―3―9 法第30条第1項第3((仕入れに係る消費税額の控除))に規定する「課税貨物を引き取った日」とは、関税法第67((輸出又は輸入の許可))に規定する輸入の許可を受けた日をいう。

なお、関税法第73条第1((輸入の許可前における貨物の引取り))に規定する承認を受けて課税貨物を引き取った場合における法第30条第1項の規定の適用は、実際に当該課税貨物を引き取った日の属する課税期間となるのであるが、令第46条第1((輸入の許可前に引き取る課税貨物に係る消費税額の控除の時期の特例))の規定によることもできるのであるから留意する。また、関税法第77条第6((郵便物の関税の納付等))の規定の適用を受ける郵便物を引き取った場合も同様である。

(13課消1―5、平30課消2―5改正)

() 保税地域から引き取る課税貨物につき特例申告書(法第2条第1項第18((定義))に規定する特例申告書をいう。以下11―3―9及び15―4―6において同じ。)を提出した場合には、当該特例申告書を提出した日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるから留意する。

(許可前引取りに係る見積消費税額の調整)

11―3―10 事業者が、関税法第73条第1((輸入の許可前における貨物の引取))に規定する税関長の承認を受けて輸入の許可前に課税貨物を引き取り、当該引取りに係る見積消費税額(輸入申告書の金額を基に計算する等の方法により合理的に見積もった課税貨物の引取りに係る消費税額をいう。以下11―3―10において同じ。)について当該課税貨物の引取りを行った日の属する課税期間において法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定の適用を受けた場合において、その後確定した引取りに係る消費税額が見積消費税額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額に加算し、又は課税仕入れ等の税額から控除するものとする。

なお、関税法第77条第6((郵便物の関税の納付等))の規定の適用を受ける郵便物を引き取った場合も同様とする。

(電子申告の場合の輸入の許可があったことを証する書類)

11―3―11 電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第3((情報通信技術利用法の適用))の規定に基づき、電子情報処理組織を使用して輸入申告したものについて、輸入の許可があった場合における令第49条第5項第1((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等))に規定する輸入の許可があったことを証する書類は、「輸入申告控」及び「輸入許可通知書」とする。

(9課消2―5、平23課消1―35改正)

4節 課税仕入れに係る支払対価の額

(現物出資に係る資産の取得)

11―4―1 事業者が現物出資(令第2条第1項第2((資産の譲渡等の範囲))に規定する金銭以外の資産の出資をいう。)により資産を取得した場合において、当該資産の取得が課税仕入れに該当するときにおけるその課税仕入れに係る支払対価の額は、現物出資を行った者との間で授受することとした株式(出資を含む。)の交付(持分を明らかにして株券等を交付しない場合を含む。)の時における当該株式の価額に相当する金額(課税資産に対応する部分に限る。)となる。

(13課消1―5改正)

() 法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する分割等により設立された新設分割子法人が、同号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡を受けた場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、新設分割親法人との間で授受することとした金額のうち課税資産に対応する部分の金額となる。

(建物と土地等とを同一の者から同時に譲り受けた場合の取扱い)

11―4―2 事業者が、課税資産と非課税資産とを同一の者から同時に譲り受けた場合には、当該譲受けに係る支払対価の額を課税仕入れに係る支払対価の額とその他の仕入れに係る支払対価の額とに合理的に区分しなければならないのであるが、建物と土地等を同一の者から同時に譲り受けた場合において、その支払対価の額につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときは、その区分したところによる。

(郵便切手類又は物品切手等の引換給付を受けた場合の課税仕入れに係る支払対価の額)

11―4―3 法別表第一第4号イ又はハ((郵便切手類等の非課税))に規定する郵便切手類又は物品切手等による引換給付として課税仕入れを行った場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者が当該郵便切手類又は物品切手等の取得に要した金額とする。

(課税資産の譲渡等に係る為替差損益の取扱い)

11―4―4 支払対価を外貨建てとする課税仕入れを行った場合において、課税仕入れを行った時の為替相場(外国為替の売買相場をいう。以下同じ。)と当該外貨建てに係る対価を決済した時の為替相場が異なることによって、為替差損益が生じたとしても、当該課税仕入れに係る支払対価の額は課税仕入れを行った時において当該課税仕入れの支払対価の額として計上した額となるのであるから留意する。

(課税仕入れに係る支払対価の額が確定していない場合の見積り)

11―4―5 事業者が課税仕入れを行った場合において、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除するものとする。

(特定課税仕入れに係る消費税額)

11―4―6 特定課税仕入れについても法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用されるのであるが、その場合における特定課税仕入れに係る消費税額は、当該特定課税仕入れに係る支払対価の額に100分の7.8を乗じて算出した金額であることに留意する。

(27課消1―17追加、令元課消2―18改正)

() 簡易課税制度が適用されない課税期間において、当該課税期間の課税売上割合が100分の95以上の事業者は、特定課税仕入れを行ったとしても、当分の間、当該特定課税仕入れはなかったものとされるのであるから、当該特定課税仕入れについては、法第30条の規定は適用されないことに留意する。

5節 課税売上割合の計算等

(24課消1―7改正)

(課税売上割合の計算単位)

11―5―1 課税売上割合は、事業者が当該課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額の合計額に占める課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の割合をいうのであるから、課税売上割合の計算を事業所単位又は事業部単位等で行うことはできないことに留意する。

(免税事業者であった課税期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等)

11―5―2 免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等につき課税事業者となった課税期間において売上げに係る対価の返還等を行った場合であっても、当該売上げに係る対価の返還等の金額については、課税売上割合の計算上、「資産の譲渡等の対価の額」及び「課税資産の譲渡等の対価の額」から控除するのであるから留意する。

なお、当該売上げに係る対価の返還等の金額には、消費税額等はないことから当該対価の返還等の金額の全額を控除することとなる。

(9課消2―5改正)

(相続等により課税事業者となった場合の課税売上割合の計算)

11―5―3 法第10条第1((相続があった場合の納税義務の免除の特例))、第11条第1((合併があった場合の納税義務の免除の特例))、第12条第1項又は第5((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定の適用により、課税期間の中途において法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用を受けないこととなった場合の相続人、合併法人、新設分割子法人又は分割承継法人の課税売上割合の計算については、次のとおり行うのであるから留意する。

(13課消1―5、平15課消1―37改正)

(1) 相続があった日の属する課税期間における相続人の課税売上割合は、当該相続があった日の翌日から当該課税期間の末日までの間における資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を基礎として計算する。

(2) 吸収合併があった日の属する課税期間における合併法人の課税売上割合は、当該合併があった日から当該課税期間の末日までの間における資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を基礎として計算する。

(3) 法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する分割等があった日の属する課税期間における新設分割子法人の課税売上割合は、同号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡が行われた日から当該課税期間の末日までの間における資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を基礎として計算する。

(4) 吸収分割があった日の属する課税期間における分割承継法人の課税売上割合は、当該吸収分割があった日から当該課税期間の末日までの間における資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を基礎として計算する。

(国内において行った資産の譲渡等の対価の額)

11―5―4 法第30条第6項後段((課税売上割合))に規定する「資産の譲渡等の対価の額」及び「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、いずれも国内において行う取引に係る資産の譲渡等の対価の額をいうのであるから、法第7((輸出免税等))に規定する輸出取引に係る対価の額は含まれるが、国外において行う取引に係る対価の額は含まれないのであるから留意する。

(輸出取引に係る対価の返還等があった場合の取扱い)

11―5―5 課税売上割合の計算に当たって、その課税期間中に課税資産の輸出取引(法第31条第1((非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定により、法第30((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用される輸出取引等を含む。)に係る対価の返還等を行った場合には、当該対価の返還等の金額は、課税売上割合の計算上、法第30条第6項後段((課税売上割合))に規定する「資産の譲渡等の対価の額の合計額」及び「課税資産の譲渡等の対価の額の合計額」から控除するのであるから留意する。

(課税売上割合の端数計算)

11―5―6 課税売上割合については、原則として、端数処理は行わないのであるが、事業者がその生じた端数を切り捨てているときは、これを認める。

(課税売上割合に準ずる割合)

11―5―7 法第30条第3((課税売上割合に準ずる割合))に規定する課税売上割合に準ずる割合(以下11―5―9までにおいて「課税売上割合に準ずる割合」という。)とは、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出した割合をいう。

(課税売上割合に準ずる割合の適用範囲)

11―5―8 課税売上割合に準ずる割合の適用に当たっては、その事業者が行う事業の全部について同一の割合を適用する必要はなく、例えば、次の方法によることもできるのであるから留意する。

ただし、この場合には、適用すべき課税売上割合に準ずる割合の全てについて税務署長の承認を受けなければならないのであるから留意する。

(23課消1―35改正)

(1) 当該事業者の営む事業の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法

(2) 当該事業者の事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法

(3) 当該事業者の事業に係る事業場の単位ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法

(課税売上割合が95%未満であるかどうかの判定)

11―5―9 法第30条第2項本文((仕入控除税額の計算))に規定する「課税売上割合が100分の95に満たないとき」に該当するかどうかは、事業者が課税売上割合に準ずる割合につき税務署長の承認を受けているかどうかにかかわらず、課税売上割合によって判定することに留意する。

(課税期間における課税売上高が5億円を超えるかどうかの判定)

11―5―10 法第30条第2項本文((仕入控除税額の計算))に規定する「課税期間における課税売上高が5億円を超えるとき」に該当するかどうかは、課税期間における課税売上高(同条第6((課税期間における課税売上高))に規定する課税期間における課税売上高をいう。以下11―5―10において同じ。)によって判定するのであるが、当該課税期間が1年に満たない場合には、当該課税期間における課税売上高を当該課税期間の月数(当該月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。)で除し、これに12を乗じて計算した金額となることに留意する。

なお、課税期間における課税売上高に含まれる範囲は、1―4―2((基準期間における課税売上高等に含まれる範囲))と同様である。

(24課消1―7追加)

6節 仕入税額の控除に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例

(9課消2―5改正)

(仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例)

11―6―1 法第30条第7((仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存))に規定する課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等に関して同条第8項第1((仕入税額控除に係る帳簿))及び同条第9項第1((仕入税額控除に係る請求書等))に規定する記載事項については、次により取り扱って差し支えない。

(9課消2―5、平27課消1―17改正)

(1) 法第30条第8項第1号及び第2((仕入税額控除に係る帳簿))に規定する記載事項

イ 同項各号イに規定する課税仕入れの相手方の氏名又は名称 取引先コード等の記号、番号等による表示

ロ 同項各号ハに規定する課税仕入れに係る資産又は役務の内容 当該仕入れが課税仕入れかどうかの判別が明らかである場合の商品コード等による表示

() 帳簿とは、第1号イからニ及び第2号イからホに規定する記載事項を記録したものであればよいのであるから、商業帳簿のほか、所得税又は法人税の申告の基礎となる帳簿でも差し支えない。

(2) 法第30条第9項第1((仕入税額控除に係る請求書等))に規定する記載事項

イ 同号イに規定する作成者の氏名又は名称及びホに規定する書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称 取引先コード等の記号、番号等による表示

ロ 同号ハに規定する課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容 当該資産の譲渡等が課税資産の譲渡等かどうかの判別が明らかである場合の商品コード等による表示

(3) 法第30条第9項第2((仕入税額控除に係る請求書等))に規定する記載事項

イ 同号イに規定する作成者の氏名又は名称及びロに規定する課税仕入れの相手方の氏名又は名称 取引先コード等の記号、番号等による表示

ロ 同号ニに規定する課税仕入れに係る資産又は役務の内容 当該仕入れが課税仕入れかどうかの判別が明らかである場合の商品コード等による表示

(支払対価の額の合計額が3万円未満の判定単位)

11―6―2 令第49条第1項第1((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等))に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満である場合」に該当するか否かは、一回の取引の課税仕入れに係る税込みの金額が3万円未満かどうかで判定するのであるから、課税仕入れに係る一商品ごとの税込金額等によるものではないことに留意する。

(10課消2―9追加)

(請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときの範囲)

11―6―3 令第49条第1項第2((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等))に規定する「請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」は、次による。

なお、請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない理由があるときに該当する場合であっても、11―6―4に該当する取引でない限り、当該やむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を帳簿に記載する必要があるから留意する。

(10課消2―9追加)

(1) 自動販売機を利用して課税仕入れを行った場合

(2) 入場券、乗車券、搭乗券等のように課税仕入れに係る証明書類が資産の譲渡等を受ける時に資産の譲渡等を行う者により回収されることとなっている場合

(3) 課税仕入れを行った者が課税仕入れの相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合

(4) 課税仕入れを行った場合において、その課税仕入れを行った課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していない場合

なお、この場合には、その後支払対価の額が確定した時に課税仕入れの相手方から請求書等の交付を受け保存するものとする。

(5) その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合

(課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載しなくてもよいものとして国税庁長官が指定する者の範囲)

11―6―4 令第49条第1項第2((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等))に規定する「国税庁長官が指定する者」は次による。

(10課消2―9追加)

(1) 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。)を支払って役務の提供を受けた場合の一般乗合旅客自動車運送事業者又は航空運送事業者

(2) 郵便役務の提供を受けた場合の当該郵便役務の提供を行った者

(3) 課税仕入れに該当する出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当(以下11―6―4において「出張旅費等」という。)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等

(4) 令第49条第2((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等))の規定に該当する課税仕入れを行った場合の当該課税仕入れの相手方

(課税仕入れの相手方の確認を受ける方法)

11―6―5 法第30条第9項第2((請求書等の範囲))に規定する「課税仕入れの相手方の確認を受けたもの」とは、保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が明らかにされているもののほか、例えば、次のものがこれに該当する。

(10課消2―9追加)

(1) 仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの

(2) 仕入明細書等の写し等を課税仕入れの相手方に交付した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

(元請業者が作成する出来高検収書の取扱い)

11―6―6 建設工事等を請け負った事業者(以下11―6―6において「元請業者」という。)が、建設工事等の全部又は一部を他の事業者(以下11―6―6において「下請業者」という。)に請け負わせる場合において、元請業者が下請業者の行った工事等の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額等を記載した書類(以下11―6―6において「出来高検収書」という。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っているときは、当該出来高検収書は、法第30条第9項第2((請求書等の範囲))に規定する書類に該当するものとして取り扱う(当該出来高検収書の記載事項が同号に規定する事項を記載しており、その内容について下請業者の確認を受けているものに限る。)

なお、元請業者は、当該出来高検収書を作成し下請業者に記載事項の確認を受けることにより、当該出来高検収書に記載された課税仕入れを行ったこととなり、法第30条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定が適用できるものとして取り扱う。

(10課消2―9追加)

() この取扱いは下請業者の資産の譲渡等の計上時期により影響されるものではないことに留意する。

(帳簿及び請求書等の保存期間)

11―6―7 法第30条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定の適用を受けようとする事業者は、令第50条第1項ただし書((課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等))、規則第15条の3((帳簿等の保存期間の特例))の規定により、帳簿及び請求書等の保存期間のうち6年目及び7年目は、法第30条第7((仕入れに係る消費税額の控除に係る帳簿及び請求書等の保存))に規定する帳簿又は請求書等のいずれかを保存すればよいのであるから留意する。

(10課消2―9追加、平12課消2―10改正)

7節 居住用賃貸建物

(2課消2―5追加)

(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲)

11―7―1 居住用賃貸建物は、住宅の貸付け(法別表第一第13((住宅の貸付け))に掲げる住宅の貸付けをいう。以下この節において同じ。)の用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この節において同じ。)以外の建物であることが要件となるが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。

(2課消2―5追加)

(1) 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物

(2) 旅館又はホテルなど、旅館業法第2条第1((定義))に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物

(3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの

(居住用賃貸建物の判定時期)

11―7―2 居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産にあっては、法第12条の41項第2((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))に定める日。以下11―7―2において同じ。)の状況により判定し、同日において住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物(高額特定資産及び調整対象自己建設高額資産に限る。)については、居住用賃貸建物に該当するのであるが、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えない。

(2課消2―5追加)

(合理的区分の方法)

11―7―3 令第50条の21((仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲))に規定する「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物」とは、例えば、建物の一部が店舗用の構造等となっている居住用賃貸建物をいい、同項に規定する「合理的に区分している」とは、使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、その建物の実態に応じた合理的な基準により区分していることをいう。

(2課消2―5追加)

(居住用賃貸建物が自己建設高額特定資産である場合)

11―7―4 法第12条の41((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))に規定する自己建設高額特定資産である居住用賃貸建物に係る法第30条第10((居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限))の規定の適用は、令第50条の22((仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲))の規定により、令第25条の52((高額特定資産の範囲等))に規定する累計額が1,000万円以上となった課税期間以後の当該建物に係る課税仕入れ等の税額について適用されることから、当該課税期間の前課税期間以前に行われた当該建物に係る課税仕入れ等の税額は、法第30条第1((仕入れに係る消費税額の控除))の規定の適用があることに留意する。

(2課消2―5追加)

(居住用賃貸建物に係る資本的支出)

11―7―5 法第30条第10((居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限))に規定する「居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額」には、当該建物に係る資本的支出(事業の用に供されている資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額をいう。以下11―7―5及び12―2―5において同じ。)に係る課税仕入れ等の税額が含まれるのであるから留意する。

なお、例えば、以下に掲げる場合のように、建物に係る資本的支出自体が居住用賃貸建物の課税仕入れ等に該当しない場合、同項の規定は適用されないことに留意する。

(2課消2―5追加)

(1) 建物に係る資本的支出自体が高額特定資産の仕入れ等を行った場合(法第12条の41((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合をいう。)に該当しない場合

(2) 建物に係る資本的支出自体が住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物に係る課税仕入れ等に該当する場合

8節 非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例

(2課消2―5改正)

(国内以外の地域における自己の使用のための資産の輸出等)

11―8―1 法第31条第2((海外支店等で自己使用する資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する「国内以外の地域における……自己の使用のため、資産を輸出した場合」とは、例えば、事業者が国外にある支店において使用するための事務機器等を当該支店あてに輸出する場合がこれに該当する。

(2課消2―5改正)

12章 仕入れに係る消費税額の調整

1節 仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の控除の特例

1款 対価の返還等の範囲

(事業者が収受する早出料)

12―1―1 事業者が海上運送事業を営む他の事業者から船舶による運送に関連して収受する早出料は、仕入れに係る対価の返還等に該当する。

(事業者が収受する販売奨励金等)

12―1―2 事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税仕入れの相手方のほか、その課税資産の製造者、卸売業者等の取引関係者を含む。)から金銭により支払を受ける販売奨励金等は、仕入れに係る対価の返還等に該当する。

(事業者が収受する事業分量配当金)

12―1―3 法法第60条の21項第1((協同組合等の事業分量配当等の損金算入))に掲げる協同組合等から事業者が収受する事業分量配当金のうち課税仕入れの分量等に応じた部分の金額は、当該事業者の仕入れに係る対価の返還等に該当することに留意する。

(18課消1―16改正)

(仕入割引)

12―1―4 課税仕入れに係る対価をその支払期日よりも前に支払ったこと等を基因として支払いを受ける仕入割引は、仕入れに係る対価の返還等に該当する。

(輸入品に係る仕入割戻し)

12―1―5 保税地域からの引取りに係る課税貨物について、当該課税貨物の購入先から当該課税貨物の購入に係る割戻しを受けた場合の当該割戻しは、仕入れに係る対価の返還等に該当しない。

(13課消1―5改正)

(課税仕入れとそれ以外の取引を一括して対象とする仕入割戻し)

12―1―6 事業者が、一の取引先との間で課税仕入れに係る取引と課税仕入れに該当しない取引を行った場合において、これらの取引につき、一括して割戻しを受けたときは、割戻金額を課税仕入れに係る部分とそれ以外の取引に係る部分に合理的に区分したところにより法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定を適用することとなるのであるから留意する。

(債務免除)

12―1―7 事業者が課税仕入れの相手方に対する買掛金その他の債務の全部又は一部について債務免除を受けた場合における当該債務免除は、仕入れに係る対価の返還等に該当しないことに留意する。

(免税事業者であった課税期間において行った課税仕入れについて対価の返還等を受けた場合)

12―1―8 免税事業者であった課税期間において行った課税仕入れについて、課税事業者となった課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、当該対価の返還等の金額について法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用はないことに留意する。

ただし、法第36((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れについてはこの限りではない。

(免税事業者等となった後の仕入れに係る対価の返還等)

12―1―9 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間における課税仕入れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その返還等の金額に係る消費税額について、法第32((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定は適用されないのであるから留意する。

2款 対価の返還等の時期

(仕入割戻しを受けた日)

12―1―10 資産の譲渡等に係る仕入割戻しについては、次の区分に応じ、次に掲げる日に当該仕入割戻しを受けたものとする。

(1) その算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により明示されている仕入割戻し 資産の譲渡等を受けた日

(2) (1)に該当しない仕入割戻し その仕入割戻しの金額の通知を受けた日

(一定期間支払を受けない仕入割戻しに係る仕入割戻しを受けた日)

12―1―11 事業者が仕入割戻しの金額につき相手方との契約等により特約店契約の解約、災害の発生等特別の事実が生ずるときまで又は5年を超える一定の期間が経過するまで相手方に保証金等として預けることとしているため、当該仕入割戻しに係る利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、当該仕入割戻しの金額については、12―1―10にかかわらず、現実に支払(買掛金等への充当を含む。)を受けた日に仕入割戻しを受けたものとして取り扱う。

ただし、現実に支払を受ける日の前に実質的にその利益を享受することとなったと認められる次のような場合には、その享受することとなった日に仕入割戻しを受けたものとして取り扱う。

(1) 相手方との契約等に基づいてその仕入割戻しの金額に通常の金利を付けるとともに、その金利相当額については現実に支払を受けているか、又は相手方に請求すれば支払を受けることができることとされている場合

(2) 相手方との契約等に基づいて仕入割戻しを受ける事業者が保証金等に代えて有価証券その他の資産を提供することができることとされている場合

(3) 保証金等として預けている金額が仕入割戻しの金額の概ね50%以下である場合

(4) 相手方との契約等に基づいて仕入割戻しの金額が仕入割戻しを受ける事業者名義の預金若しくは貯金又は有価証券として相手方において保管されている場合

なお、事業者が課税仕入れを行った日又は相手方から通知を受けた日に仕入割戻しを受けたものとして処理している場合には、これを認める。

(仕入れに係る対価の返還等の処理)

12―1―12 事業者が、課税仕入れ(免税事業者であった課税期間において行ったものを除く。以下12―1―12において同じ。)につき返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けた場合に、当該課税仕入れの金額から返品額又は値引額若しくは割戻額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。

() この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、法第32条第1((仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用はないことに留意する。

3款 課税貨物に係る消費税額の還付

(他の法律の規定により、還付を受ける場合の意義)

12―1―13 法第32条第4((保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する「他の法律の規定により、還付を受ける場合」には、例えば、輸徴法第14条第1((相殺関税等が還付される場合の消費税の還付))、第15条第2((変質、損傷等の場合の軽減又は還付))、第16条の3((輸入時と同一状態で再輸出される場合の還付))又は第17((違約品等の再輸出又は廃棄の場合の還付))の規定により消費税の還付を受ける場合が該当する。

(13課消1―5、平14課消1―12改正)

(還付を受ける日の意義)

12―1―14 法第32条第4項本文((保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する「還付を受ける日」とは、還付を受けることができる事実が発生した後において、当該事実について還付を受ける消費税額が確定した日をいうものとする。

(13課消1―5改正)

2節 調整対象固定資産の範囲

(調整対象固定資産に含まれるものの範囲)

12―2―1 令第5条第11((調整対象固定資産の範囲))に掲げる「前各号に掲げる資産に準ずるもの」には、例えば、次に掲げるものが含まれる。

(25課消1―34改正)

(1) 回路配置利用権

(2) 預託金方式のゴルフ会員権

(3) 課税資産を賃借するために支出する権利金等

(4) 令第6条第1項第7((著作権等の所在地))に規定する著作権等

(5) 他の者からのソフトウエアの購入費用又は他の者に委託してソフトウエアを開発した場合におけるその開発費用

(6) 書画・骨とう

(調整対象固定資産の支払対価)

12―2―2 資産が調整対象固定資産に該当するかどうかを判定する場合における令第5((調整対象固定資産の範囲))に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」とは、当該資産に係る支払対価の額をいい、当該資産の購入のために要する引取運賃、荷役費等又は当該資産を事業の用に供するために必要な課税仕入れに係る支払対価の額は含まれないのであるから留意する。

(一の取引の判定単位)

12―2―3 令第5((調整対象固定資産の範囲))に規定する「一の取引の単位(通常一組又は一式をもって取引の単位とされるものにあっては一組又は一式とする。)」であるかどうかは、例えば、機械及び装置にあっては1台又は1基、工具、器具及び備品にあっては1個、1組又は1そろい、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものにあっては社会通念上一の効果を有すると認められる単位ごとに判定する。

() この場合において、同条各号に規定する資産に係る課税仕入れであれば、課税仕入れを行った時において同号に掲げる資産として完成されているかどうかを問わないのであるから留意する。

(共有に係る調整対象固定資産)

12―2―4 事業者が他の者と共同で購入した共有物が調整対象固定資産に該当するかどうかを判定する場合において、令第5((調整対象固定資産の範囲))に規定する金額が100万円以上であるかどうかは、当該事業者の共有物に係る持分割合に応じて判定する。

(28課消1―57改正)

(調整対象固定資産に係る資本的支出)

12―2―5 令第5条各号((調整対象固定資産の範囲))に規定する資産に係る資本的支出は同条に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」に含まれるのであるから留意する。この場合において、その資本的支出とされる課税仕入れに係る支払対価の額の110分の100に相当する金額が100万円以上であるかどうかは、同条各号に掲げる資産で一のものについて行う修理、改良等(以下「一の修理、改良等」という。)のために要した課税仕入れに係る支払対価の額(その一の修理、改良等が2以上の課税期間にわたって行われるときは、課税期間ごとに要した課税仕入れに係る支払対価の額とする。)によって判定する。

(9課消2―5、平25課消1―34、令元課消2―18、令2課消2―5改正)

() 土地の造成、改良のために要した課税仕入れに係る支払対価の額のように、同条各号に規定する資産に該当しない資産に係る資本的支出については、この取扱いの適用はないのであるから留意する。

3節 課税売上割合が著しく変動した場合の調整

(通算課税売上割合の計算)

12―3―1 法第33条第1((課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、同項に規定する仕入れ等の課税期間(以下12―3―2において「仕入れ等の課税期間」という。)と同条第2((比例配分法の意義等))の規定する第三年度の課税期間(以下この節において「第三年度の課税期間」という。)との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合にも適用されるのであるから留意する。

() 免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間における資産の譲渡等の対価の額及び課税資産の譲渡等の対価の額は、同項に規定する通算課税売上割合の計算の基礎となる金額に含まれる。

(課税売上割合が著しく増加した場合)

12―3―2 令第53条第1((課税売上割合が著しく増加した場合))の規定の適用に当たり、仕入れ等の課税期間においては課税資産の譲渡等の対価の額がなく、仕入れ等の課税期間の翌課税期間から第三年度の課税期間までの期間においては課税資産の譲渡等の対価の額がある場合には、当該通算課税売上割合が100分の5以上であるときは、法第33条第1((課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整))に規定する課税売上割合が著しく増加した場合に該当するものとして取り扱う。

(調整対象固定資産を中途で売却した場合等の不適用)

12―3―3 法第33条第1((課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に係る消費税額の調整))の規定は、調整対象固定資産を同項に規定する第三年度の課税期間の末日において有している場合に適用があるのであるから、当該調整対象固定資産について除却、廃棄、滅失又は譲渡があったため、当該第三年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を有していない場合には、同項の規定の適用はないことに留意する。

4節 課税業務用から非課税業務用に転用した場合の調整

(調整対象固定資産を一部非課税業務用に転用した場合等の調整)

12―4―1 法第34((課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、課税業務用(法第30条第2項第1((個別対応方式による課税仕入れ等の税額の控除))に規定する「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」をいう。以下12―4―1及び12―5―1において同じ。)に該当する調整対象固定資産(以下12―4―1において「課税業務用調整対象固定資産」という。)を非課税業務用(法第30条第2項第1((個別対応方式による課税仕入れ等の税額の控除))に規定する「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」をいう。以下12―4―1及び12―5―1において同じ。)に使用した場合に適用があるのであるから、次に掲げる場合には、同条の規定の適用はないことに留意する。

(27課消1―17改正)

(1) 課税業務用調整対象固定資産を課税非課税共通用(法第30条第2項第1((個別対応方式による課税仕入れ等の税額の控除))に規定する「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」をいう。以下12―4―1及び12―5―1において同じ。)に供した場合

(2) 課税非課税共通用に該当する調整対象固定資産(以下12―4―1及び12―5―1において「課税非課税共通用調整対象固定資産」という。)を非課税業務用に供した場合

()

1 課税業務用調整対象固定資産をいったん課税非課税共通用に供した場合でも、その後非課税業務用に供したときは、法第34条が適用される。

2 個人事業者が課税業務用調整対象固定資産を家事のために使用した場合には、法第4条第5項第1((棚卸資産等の自家消費等の場合の課税の特例))及び法第28条第3項第1((棚卸資産等の自家消費等の場合の課税標準))の規定により、その使用の時における価額で譲渡があったものとみなされる。

(免税事業者となった課税期間等が含まれている場合)

12―4―2 法第34((課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、課税仕入れ等を行った日の属する課税期間と同条第1項に規定する業務の用に供した日の属する課税期間との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合にも適用されるのであるから留意する。

5節 非課税業務用から課税業務用に転用した場合の調整

(調整対象固定資産を一部課税業務用に転用した場合等の調整)

12―5―1 法第35((非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、非課税業務用に該当する調整対象固定資産(以下12―5―1において「非課税業務用調整対象固定資産」という。)を課税業務用に使用した場合に適用があるのであるから、次に掲げる場合には、同条の規定の適用はないことに留意する。

(1) 非課税業務用調整対象固定資産を課税非課税共通用に供した場合

(2) 課税非課税共通用調整対象固定資産を課税業務用に供した場合

() 非課税業務用調整対象固定資産を課税非課税共通用に転用した後に課税業務用に供した場合でも、同条が適用される。

(免税事業者となった課税期間等が含まれている場合)

12―5―2 法第35((非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、課税仕入れ等を行った日の属する課税期間と同条第1項に規定する業務の用に供した日の属する課税期間との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合にも適用されるのであるから留意する。

6節 居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整

(2課消2―5追加)

(課税賃貸用の意義)

12―6―1 法第35条の21((居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、居住用賃貸建物の全部又は一部を住宅の貸付け(法別表第一第13((住宅の貸付け))に掲げる住宅の貸付けをいう。以下12―6―1において同じ。)以外の貸付けの用に供した場合にのみ適用されるのであるから、当該建物に関連する資産の譲渡等が別にあったとしても、当該建物の全部又は一部を住宅の貸付け以外の貸付けの用に供しない限り、当該規定は適用されないのであるから留意する。

(2課消2―5追加)

(居住用賃貸建物を中途で売却した場合等の法第35条の21項の不適用)

12―6―2 法第35条の21((居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整))の規定は、居住用賃貸建物を同項に規定する第三年度の課税期間の末日において有している場合に適用があるのであるから、当該居住用賃貸建物について除却又は譲渡等があったため、当該第三年度の課税期間の末日において当該居住用賃貸建物を有していない場合には、同項の規定の適用はないことに留意する。

(2課消2―5追加)

() 居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間(同項に規定する調整期間をいう。)に他の者に譲渡した場合は、法第35条の22項の規定が適用されるのであるから留意する。

7節 納税義務の免除を受けないこととなった場合等の調整

(2課消2―5改正)

(課税事業者となった場合の棚卸資産の取得価額)

12―7―1 法第36条第1((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定により、課税事業者となった課税期間の課税仕入れ等の税額とみなされる消費税額は、当該課税期間の初日の前日において有する棚卸資産(以下12―7―1において「期末棚卸資産」という。)のうち免税事業者であった課税期間において取得したものについて、令第54条第1((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産の取得価額))の規定により、個々の期末棚卸資産の課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。以下12―7―1において同じ。)に係る支払対価の額の合計額により算出する。この場合において、事業者が当該個々の期末棚卸資産の課税仕入れに係る支払対価の額について、所法第47条又は法法第29((棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法))の規定に基づく評価の方法(所法令第99条第1項第2号又は法法令第28条第1項第2((低価法))に規定する低価法を除く。)により評価した金額としているときは、これを認める。

(27課消1―17、令2課消2―5改正)

(課税仕入れ等により取得した棚卸資産の取得価額)

12―7―2 令第54条第1項第1号又は第2((棚卸資産の取得価額))に規定する国内で譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は保税地域から引き取った課税貨物に係る棚卸資産の取得価額の算出に当たり、当該課税仕入れ又は課税貨物の引き取りに係る次に掲げる費用については、その費用の額が少額であるものとしてその取得価額に含めないこととしているときは、それによる。

(2課消2―5改正)

(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額

(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額

(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額

(製作等に係る棚卸資産の取得価額)

12―7―3 令第54条第1項第3((製作等に係る棚卸資産の取得価額))に規定する自己の製作等に係る棚卸資産の取得価額の算出に当たり、当該製作等のための課税仕入れ等に係る次に掲げる費用については、その費用の額が少額であるものとしてその取得価額に含めないこととしているときは、それによる。

(2課消2―5改正)

(1) 製造等の後において要した検査、検定、整理、選別、手入れ等の費用の額

(2) 製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額

(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額

(免税事業者となる場合の棚卸資産に係る消費税額の調整規定の不適用の場合)

12―7―4 法第36条第5((納税義務の免除を受けることとなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定は、事業者が、免税事業者となる課税期間の前課税期間において、簡易課税制度の適用を受ける場合には適用されないことに留意する。

(2課消2―5改正)

(金銭出資により設立した法人が課税事業者となる場合の棚卸資産に係る消費税額の調整)

12―7―5 法第36条第1((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))の規定は、法第12条第7項第3((分割等の意義))に該当する分割等により設立された新設分割子法人が、同条第1((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定により法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定の適用を受けないこととなった日の前日において、消費税を納める義務が免除されていた期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は当該期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物で棚卸資産に該当するもの(これらの棚卸資産を原材料として製作され、又は建設された棚卸資産を含む。)を有している場合にも適用がある。

(13課消1―5追加、平22課消1―9、平25課消1―34、令2課消2―5改正)

() 法第12条第7項第3号に該当する分割等により設立された新設分割子法人は、法第9条第4((課税事業者の選択))の規定の適用を受ける場合又は法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))若しくは第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定の適用がある場合を除き、その設立の日から法第12条第7項第3号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡が行われた日の前日までの間は、消費税の納税義務が免除される。

13章 簡易課税制度による仕入れに係る消費税額の控除

1節 通則

13―1―1 削除

(13課消1―5)

(合併法人等が簡易課税制度を選択する場合の基準期間の課税売上高の判定)

13―1―2 吸収合併又は吸収分割があった場合において、当該吸収合併に係る合併法人又は当該吸収分割に係る分割承継法人の法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する基準期間における課税売上高が5,000万円を超えるかどうかは、当該合併法人又は当該分割承継法人の基準期間における課税売上高のみによって判定するのであるから留意する。

(13課消1―5、平15課消1―37改正)

(簡易課税制度選択届出書の効力)

13―1―3 法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定による届出書(以下「簡易課税制度選択届出書」という。)は、課税事業者の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について簡易課税制度を選択するものであるから、当該届出書を提出した事業者のその課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えることにより、その課税期間について同制度を適用することができなくなった場合又はその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となったときには、当該課税期間の初日の前日までに同条第5((簡易課税制度の選択不適用))に規定する届出書を提出している場合を除き、当該課税期間について再び簡易課税制度が適用されるのであるから留意する。

(9課消2―5、平15課消1―37、平22課消1―9、令2課消2―5改正)

(相続があった場合の簡易課税制度選択届出書の効力等)

13―1―32 相続があった場合における法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消1―5追加、平15課消1―37、平22課消1―9改正)

(1) 被相続人が提出した簡易課税制度選択届出書の効力は、相続により当該被相続人の事業を承継した相続人には及ばない。したがって、当該相続人が法第37条第1項の規定の適用を受けようとするときは、新たに簡易課税制度選択届出書を提出しなければならない。

(2) 事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合又は個人事業者である相続人が相続により法第37条第1項の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合において、当該相続人が相続があった日の属する課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第56条第1項第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第2((相続があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

ただし、当該課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超え、課税事業者に該当する個人事業者が相続により法第37条第1項の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合の当該課税期間は、令第56条第1項第2号に規定する課税期間には該当しない。

(合併があった場合の簡易課税制度選択届出書の効力等)

13―1―33 合併があった場合における法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消1―5追加、平15課消1―37、平22課消1―9改正)

(1) 被合併法人が提出した簡易課税制度選択届出書の効力は、吸収合併又は新設合併により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が法第37条第1項の規定の適用を受けようとするときは、新たに簡易課税制度選択届出書を提出しなければならない。

(2) 法人が新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により法第37条第1項の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、当該法人が合併があった日の属する課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第56条第1項第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第3((合併があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

ただし、当該課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超え、課税事業者に該当する法人が吸収合併により法第37条第1項の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合の当該課税期間は、令第56条第1項第3号に規定する課税期間には該当しない。

(分割があった場合の簡易課税制度選択届出書の効力等)

13―1―34 分割があった場合における法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用は、次のようになるのであるから留意する。

(13課消1―5追加、平15課消1―37、平22課消1―9改正)

(1) 分割法人が提出した簡易課税制度選択届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が法第37条第1項の規定の適用を受けようとするときは、新たに簡易課税制度選択届出書を提出しなければならない。

() 法第12条第7項第2号又は第3((分割等の意義))に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。

(2) 法人が、新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により法第37条第1項の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、当該法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、当該課税期間は、令第56条第1項第1((事業を開始した日の属する課税期間))又は第4((吸収分割があった日の属する課税期間))に規定する課税期間に該当する。

ただし、当該課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超え、課税事業者に該当する法人が吸収分割により法第37条第1項の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合の当該課税期間は、令第56条第1項第4号に規定する課税期間には該当しない。

() (2)の本文の場合においては、当該課税期間から法第37条第1項の規定が適用されるのであるが、分割等に係る新設分割子法人については、簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、当該課税期間が令第55((仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用がない分割等に係る課税期間))に規定するいずれかの課税期間に該当するときは、法第37条第1項の規定は適用されないのであるから留意する。

(簡易課税制度選択届出書を提出することができる事業者)

13―1―4 簡易課税制度を適用できる事業者は、簡易課税制度選択届出書を提出した事業者で、当該課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者に限られるのであるが、当該簡易課税制度選択届出書の提出は免税事業者であってもできるのであるから留意する。

(9課消2―5、平15課消1―37改正)

(簡易課税制度選択届出書提出後に法第37条第3項各号に規定する場合に該当する場合の当該届出書の取扱い)

13―1―42 簡易課税制度選択届出書を提出した事業者が、当該届出書の提出日以後、その提出した日の属する課税期間中に調整対象固定資産の仕入れ等又は高額特定資産の仕入れ等を行ったことにより、法第37条第3項各号((調整対象固定資産又は高額特定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税制度選択届出書の提出制限))に規定する場合に該当することとなった場合には、同条第4項の規定により当該届出書の提出がなかったものとみなされることに留意する。

(22課消1―9追加、平28課消1―57改正)

(調整対象固定資産又は高額特定資産を売却等した場合の法第37条第3項の適用関係)

13―1―43 法第37条第3((調整対象固定資産の仕入れ等又は高額特定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税制度選択届出書の提出制限))の規定は、同項各号に規定する事業者が当該各号に規定する場合に該当するときに適用されるのであるから、当該事業者が調整対象固定資産の仕入れ等又は高額特定資産の仕入れ等を行った後に当該調整対象固定資産又は高額特定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、法第37条第3項の規定は継続して適用されることに留意する。

(22課消1―9追加、平28課消1―57改正)

(事業を開始した課税期間の翌課税期間からの簡易課税制度の選択)

13―1―5 事業者が簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、当該簡易課税制度選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が5,000万円を超える課税期間及び令第55条各号((仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用がない分割等に係る課税期間))に規定する課税期間を除く。以下13―1―5において同じ。)について、簡易課税制度を選択できるのであるから、当該簡易課税制度選択届出書を提出した日の属する課税期間が令第56条第1項各号((事業を開始した日の属する課税期間等の範囲))に規定する課税期間に該当する場合であっても、当該課税期間の翌課税期間から簡易課税制度を選択することもできることに留意する。

(9課消2―5、平13課消1―5、平15課消1―37、平22課消1―9改正)

() この場合、事業者は、当該簡易課税制度選択届出書において適用開始課税期間の初日の年月日を明確にしなければならない。

(「やむを得ない事情」の範囲等)

13―1―52 法第37条第8((届出書の提出時期に係る特例))に規定する「やむを得ない事情」の意義については、1―4―16による。

また、令第57条の23((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用を受ける旨の届出等に関する特例))に規定する「当該事情がやんだ後相当の期間内」の意義については、1―4―17による。

(10課消2―9追加、平22課消1―9、平28課消1―57改正)

(貸倒れがあった場合の適用関係)

13―1―6 簡易課税制度を適用している事業者の行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等について法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除等))に規定する事実が生じたこと(以下「貸倒れ」という。)により同項の規定の適用がある場合又は同項の規定の適用を受けた貸倒れに係る売掛金等を回収した場合における消費税額の計算は、次によるのであるから留意する。

(9課消2―5、平25課消1―34、令元課消2―18改正)

(1) その貸倒れとなった売掛金等に係る消費税額(当該売掛金等の金額に法第39条第1項に規定する割合を乗じて算出した金額をいう。以下13―1―6において同じ。)は、当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から、法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定により当該課税期間における仕入控除税額とみなされる金額を控除した後の金額から控除する。

(2) 回収した売掛金等に係る消費税額は、その回収した日の属する課税期間における課税標準額に対する消費税額に加算され、加算後の金額を基に同項の規定により仕入控除税額を計算する。

(災害その他やむを得ない理由の範囲)

13―1―7 法第37条の21項又は第6((災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例))に規定する「災害その他やむを得ない理由」とは、おおむね次に掲げるところによる。

(18課消1―11追加)

(1) 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりその他の自然現象の異変による災害

(2) 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、その他の人為による異常な災害

(3) (1)又は(2)に掲げる災害に準ずる自己の責めに帰さないやむを得ない事実

(災害等特例申請書の提出期限)

13―1―8 法第37条の22((災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例))(同条第7項において準用する場合を含む。)に規定する申請書の提出期限は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日(以下13―1―8及び13―1―9において「災害等のやんだ日」という。)から2月以内となるが、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げるとおりとなることに留意する。

(18課消1―11追加、平27課消1―17、令2課消2―5改正)

(1) 災害等のやんだ日が法第37条の21項に規定する選択被災課税期間又は同条第6項に規定する不適用被災課税期間の末日の翌日(当該課税期間が、課税事業者に該当する法人の法第45条の21項若しくは第2((法人の確定申告書の提出期限の特例))の規定の適用を受ける課税期間又は課税事業者に該当する個人事業者のその年の1231日を含む課税期間である場合は、当該末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合 法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))の規定による申告書の提出期限

(2) (1)の場合で、通則法第11((災害等による期限の延長))の規定により当該申告書の提出期限が延長された場合 当該延長された申告書の提出期限

(簡易課税制度の不適用の特例申請ができる課税期間)

13―1―9 法第37条の26((災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例))の規定により災害その他やむを得ない理由の生じた日(以下13―1―9において「災害等の生じた日」という。)の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間において簡易課税制度の適用を受けることをやめることができる課税期間は、令第57条の31項各号((災害等があった場合の簡易課税制度の届出等に関する特例))に規定する要件の全てに該当する課税期間のうち、いずれか一の課税期間に限られることに留意する。

(18課消1―11追加、平23課消1―35改正)

() 災害等の生じた日の属する課税期間において法第37条の26項の承認を受けたときは、令第57条の31項第2号に規定する要件に該当しないことから、その災害等を理由とするこの特例の対象となる翌課税期間以後の課税期間はないこととなる。

2節 事業区分の判定

(事業者が行う事業の区分)

13―2―1 事業者が行う事業が第一種事業(令第57条第5項第1((事業の種類))に規定する第一種事業をいう。以下同じ。)、第二種事業(同項第2号に規定する第二種事業をいう。以下同じ。)、第三種事業(同項第3号に規定する第三種事業をいう。以下同じ。)、第四種事業(同項第6号に規定する第四種事業をいう。以下同じ。)、第五種事業(同項第4号に規定する第五種事業をいう。以下同じ。)又は第六種事業(同項第5号に規定する第六種事業をいう。以下同じ。)のいずれに該当するかの判定は、原則として、その事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行うのであるから留意する。

ただし、資産の譲渡に伴い通常役務の提供が併せて行われる取引の場合で、当該譲渡を行う事業者が当該役務の提供の対価を受領していないと認められるときには、当該取引の全体が資産の譲渡に係る事業に該当するものとして第一種事業から第六種事業までのいずれの事業に該当するかを判定して差し支えない。

(9課消2―5、平10課消2―9、平26課消1―8改正)

(性質及び形状を変更しないことの意義)

13―2―2 令第57条第5項第1号に規定する第一種事業(卸売業)及び同項第2号に規定する第二種事業(小売業)は、同条第6項の規定により「他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業」をいうものとされているが、この場合の「性質及び形状を変更しないで販売する」とは、他の者から購入した商品をそのまま販売することをいう。

なお、商品に対して、例えば、次のような行為を施したうえでの販売であっても「性質及び形状を変更しないで販売する」場合に該当するものとして取り扱う。

(23課消1―35改正)

(1) 他の者から購入した商品に、商標、ネーム等を貼付け又は表示する行為

(2) 運送の利便のために分解されている部品等を単に組み立てて販売する場合、例えば、組立て式の家具を組み立てて販売する場合のように仕入商品を組み立てる行為

(3) 2以上の仕入商品を箱詰めする等の方法により組み合わせて販売する場合の当該組合せ行為

(食料品小売店舗において行う販売商品の加工等の取扱い)

13―2―3 事業者が他から購入した食料品を、その性質及び形状を変更しないで専ら消費者に販売する店舗において、当該販売に供される商品に軽微な加工をして販売する場合で、当該加工が当該加工前の食料品を販売している店舗において一般的に行われると認められるもので、当該加工後の商品が当該加工前の商品と同一の店舗において販売されるものであるときの当該加工後の商品の譲渡を行う事業は、第二種事業に該当するものとして取り扱って差し支えない。

(第三種事業、第五種事業及び第六種事業の範囲)

13―2―4 令第57条第5項第3((事業の種類))の規定により第三種事業に該当することとされている農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業(自己の製造した商品を直接消費者に販売する事業をいう。以下13―2―6及び13―2―82において同じ。)を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業(以下「製造業等」という。)並びに同項第4号の規定により第五種事業に該当することとされている運輸通信業、金融業、保険業及びサービス業(以下「サービス業等」という。)並びに同項第5号の規定により第六種事業に該当することとされている不動産業の範囲は、おおむね日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げる分類を基礎として判定する。

この場合において、サービス業等とは、日本標準産業分類の大分類に掲げる次の産業をいうものとし、また、不動産業とは、日本標準産業分類の大分類に掲げる「不動産業、物品賃貸業」のうち、不動産業に該当するものをいう。

(10課消2―9、平14課消1―40、平20課消1―8、平26課消1―8改正)

(1) 情報通信業

(2) 運輸業、郵便業

(3) 金融業、保険業

(4) 不動産業、物品賃貸業(不動産業に該当するものを除く。)

(5) 学術研究、専門・技術サービス業

(6) 宿泊業、飲食サービス業(飲食サービス業に該当するものを除く。)

(7) 生活関連サービス業、娯楽業

(8) 教育、学習支援業

(9) 医療、福祉

(10) 複合サービス事業

(11) サービス業(他に分類されないもの)

なお、日本標準産業分類の大分類の区分では製造業等、サービス業等又は不動産業に該当することとなる事業であっても、他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業は、第一種事業又は第二種事業に該当するのであるから留意する。

また、製造業等に該当する事業であっても、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業は、第四種事業に該当するのであるから留意する。

() 例えば、建売住宅を販売する建売業のうち、自ら建築施工しないものは、日本標準産業分類の大分類では「不動産業、物品賃貸業」に該当するが、他の者が建築した住宅を購入してそのまま販売するものであるから、第一種事業又は第二種事業に該当し、また、自ら建築した住宅を販売するものは、第三種事業の建設業に該当することとなる。

(製造業等に含まれる範囲)

13―2―5 次の事業は、第三種事業に該当するものとして取り扱う。

(14課消1―40改正)

(1) 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件に従って下請加工させて完成品として販売する、いわゆる製造問屋としての事業

なお、顧客から特注品の製造を受注し、下請先(又は外注先)等に当該製品を製造させ顧客に引き渡す事業は、顧客から当該特注品の製造を請け負うものであるから、原則として第三種事業に該当する。

(2) 自己が請け負った建設工事(第三種事業に該当するものに限る。)の全部を下請に施工させる元請としての事業

(3) 天然水を採取して瓶詰等して人の飲用に販売する事業

(4) 新聞、書籍等の発行、出版を行う事業

(製造小売業の取扱い)

13―2―6 製造小売業は、日本標準産業分類において小売業に分類されているが、法第37((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用上は、令第57条第5項第3号へ((事業の種類))の製造業に含まれ、第三種事業に該当するのであるから留意する。

(加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供の意義)

13―2―7 令第57条第5項第3((事業の種類))に規定する「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」とは、13―2―4本文の規定により判定した結果、製造業等に該当することとなる事業に係るもののうち、対価たる料金の名称のいかんを問わず、他の者の原料若しくは材料又は製品等に加工等を施して、当該加工等の対価を受領する役務の提供又はこれに類する役務の提供をいう。

なお、当該役務の提供を行う事業は第四種事業に該当することとなる。

(10課消2―9改正)

() 13―2―4により判定した結果がサービス業等に該当することとなる事業に係るものは、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であっても第五種事業に該当するのであるから留意する。

(廃材()、加工くず等の売却収入の事業区分)

13―2―8 第三種事業に該当する建設業、製造業等に係る事業に伴い生じた加工くず、副産物等の譲渡を行う事業は、第三種事業に該当するのであるから留意する。

なお、第一種事業又は第二種事業から生じた段ボール等の不要物品等(当該事業者が事業の用に供していた固定資産等を除く。以下13―2―8において「不要物品等」という。)の譲渡を行う事業は、第四種事業に該当するのであるが、当該事業者が当該不要物品等が生じた事業区分に属するものとして処理しているときには、これを認める。

(旅館等における飲食物の提供)

13―2―82 令第57条第5項第4号ハ((第五種事業の種類))の規定により、サービス業から除くこととされている「飲食店業に該当するもの」とは、例えば、旅館、ホテル等の宿泊施設を経営する事業者が、宿泊者に対して宿泊に係る役務の提供に併せて当該宿泊施設において飲食物の提供を行う場合又は宿泊者以外の者でも利用することができる当該宿泊施設内の宴会場、レストラン、バー等において飲食物の提供を行う場合において、請求書、領収書等により当該飲食物の提供に係る対価の額を宿泊に係る役務の提供に係る対価の額と明確に区分して領収することとしているときの当該飲食物の提供が該当する。

なお、食堂、レストラン、喫茶店、そば店、バー、キャバレー、酒場等(以下13―2―82において「食堂等」という。)のように、飲食のための設備を設けて、主として客の注文に応じその場所で飲食させる事業(以下13―2―82において「食堂等としての事業」という。)は、日本標準産業分類の大分類の区分も飲食サービス業とされており、同号ハの規定の適用を待つまでもなく、第四種事業に該当する。

(10課消2―9追加、平20課消1―8改正)

()

1 食堂等が行う飲食物(店舗において顧客に提供するものと同種の調理済みのものに限る。)の出前は食堂等としての事業であり、第四種事業に該当するが、食堂等が自己の製造した飲食物を持ち帰り用として販売する事業は、製造小売業として第三種事業に該当するのであるから留意する。

2 飲食のための設備を設けずに、自己の製造した飲食物を専ら宅配の方法により販売する事業は、製造小売業として第三種事業に該当することとなる。

(第四種事業に該当する事業)

13―2―83 令第57条第5項第6((第四種事業の種類))に規定する第四種事業には、例えば、同項第3((第三種事業の種類))の規定により第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業及び同項第4((第五種事業の種類))の規定により第五種事業のサービス業から除かれる飲食店業に該当する事業が含まれることとなる。

(10課消2―9追加、平20課消1―8、平26課消1―8改正)

(固定資産等の売却収入の事業区分)

13―2―9 事業者が自己において使用していた固定資産等の譲渡を行う事業は、第四種事業に該当するのであるから留意する。

(売上げに係る対価の返還等を行った場合の事業区分)

13―2―10 簡易課税制度を適用する事業者が、売上げに係る対価の返還等を行った場合において、当該対価の返還等に係る金額につき、第一種事業から第六種事業に係る事業の区分をしていない部分があるときは、当該区分していない部分については、当該事業者の課税売上げに係る帳簿等又は対価の返還等に係る帳簿等を基に合理的に区分するものとする。

(9課消2―5、平26課消1―8改正)

3節 事業の区分及び区分記載の方法

(事業の種類が区分されているかどうかの判定)

13―3―1 第一種事業から第六種事業のうち二以上の種類の事業を行っている事業者は、令第57条第2項又は第3((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用に当たって課税資産の譲渡等につきこれらの事業の種類ごとに区分しなければならないが、この場合の区分方法としては、当該事業者の帳簿に事業の種類を記帳する方法のほか、次の方法によることとしても差し支えない。

(9課消2―5、平26課消1―8改正)

(1) 取引の原始帳票等である納品書、請求書、売上伝票又はレジペーパー等に事業の種類又は事業の種類が区分できる資産の譲渡等の内容を記載する方法

(2) 事業場ごとに一の種類の事業のみを行っている事業者にあっては、当該事業場ごとに区分する方法

(事業の種類の判定方法)

13―3―2 第一種事業から第六種事業までのうちいずれの事業に係るものであるかの区分は、課税資産の譲渡等ごとに行うのであるが、第一種事業から第六種事業のうち二以上の種類の事業を行っている事業者が、当該二以上の種類の事業のうち一の種類の事業に係る課税売上げのみを区分していない場合には、当該課税期間における課税売上高(令第57条第3項第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))に規定する当該課税期間における課税売上高をいう。以下13―4―2までにおいて同じ。)から事業の種類を区分している事業に係る課税売上高の合計額を控除した残額を、当該区分していない種類の事業に係る課税売上高として取り扱って差し支えない。

例えば、第一種事業、第二種事業及び第三種事業を行っている事業者が、帳簿上、第一種事業と第二種事業に係る課税売上げを区分している場合には、区分していない残りの課税売上げは第三種事業として区分しているものとして取り扱うこととなる。

(9課消2―5、平26課消1―8改正)

4節 二以上の事業を営む場合のみなし仕入率の適用関係

(二以上の種類の事業がある場合の令第57条第2項及び第3項の適用関係)

13―4―1 事業者が第一種事業から第六種事業までのうち二以上の種類の事業を行っている場合において、当該事業者の当該課税期間における課税売上高に占める一の種類の事業に係る当該課税期間における課税売上高の割合又は二の種類の事業に係る当該課税期間における課税売上高の合計額の割合が100分の75以上である場合には、令第57条第2項又は第3((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))のいずれかを選択して適用することができるのであるから留意する。

(9課消2―5、平26課消1―8改正)

(三以上の種類の事業がある場合の令第57条第3項の適用関係)

13―4―2 事業者が第一種事業から第六種事業までのうち三以上の種類の事業を行っている場合において、当該事業者の当該課税期間における課税売上高に占める一の種類の事業に係る当該課税期間における課税売上高の割合が100分の75以上である場合には、令第57条第3項第1号イからヘまで((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))のいずれかの規定に該当するとともに、同項第2号イからホまでのいずれかの規定にも該当することになるのであるが、この場合、事業者は該当する二以上の規定のうちいずれか一の規定を選択して適用することができるのであるから留意する。

なお、当該課税期間における課税売上高に占める二の種類の事業に係る当該課税期間における課税売上高の合計額の割合が100分の75以上の場合で、同項第2号イからホまでの二以上の規定に該当する場合についても、同様である。

(9課消2―5、平26課消1―8改正)

14章 課税標準額に対する消費税額の調整

1節 売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除等

1款 売上げに係る対価の返還等の範囲

(27課消1―17改正)

(海上運送事業者が支払う船舶の早出料)

14―1―1 海上運送事業を営む事業者が船舶による運送に関連して支払う早出料は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(事業者が支払う販売奨励金等)

14―1―2 事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(協同組合等が支払う事業分量配当金)

14―1―3 法法第60条の21項第1((協同組合等の事業分量配当等の損金算入))に掲げる協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分の金額は、当該協同組合等の売上げに係る対価の返還等に該当することに留意する。

(18課消1―16改正)

(売上割引)

14―1―4 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

(課税売上げと非課税売上げを一括して対象とする売上割戻し)

14―1―5 事業者が、一の取引先に対して課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等を行った場合において、これらの資産の譲渡等の対価の額につき、一括して売上げに係る割戻しを行ったときは、それぞれの資産の譲渡等に係る部分の割戻金額を合理的に区分したところにより法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定を適用することとなるのであるから留意する。

(免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等について対価の返還等をした場合)

14―1―6 免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等について、課税事業者となった課税期間において売上げに係る対価の返還等を行った場合には、当該対価の返還等については法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定の適用はないことに留意する。

なお、この場合の法第9条第2項第1((小規模事業者に係る納税義務の免除))、令第48条第1項第2((課税売上割合の計算方法))又は第53条第3項第2((課税売上割合が著しく変動した場合等))の規定の適用に当たっては、これらの各号に規定する消費税額に78分の100を乗じて算出した金額はないことに留意する。

(9課消2―5、平25課消1―34、令元課消2―18改正)

(免税事業者等となった後の売上げに係る対価の返還等)

14―1―7 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、売上げに係る対価の返還等を行った場合には、その返還等の金額に係る消費税額について、法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定は適用されないのであるから留意する。

(売上げに係る対価の返還等の処理)

14―1―8 事業者が、売上げに係る対価の返還等(免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係るものを除く。以下14―1―8において同じ。)を行った場合において、当該課税期間に国内において行った課税資産の譲渡等の金額から当該売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、これを認める。

() この場合、当該売上げに係る対価の返還等の金額については、別途法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。

(特定資産の譲渡等に係る対価の返還等)

14―1―82 特定資産の譲渡等は法第38((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))における「課税資産の譲渡等」に含まれないことから、特定資産の譲渡等に係る対価の返還等を行ったとしても、同条の規定の適用はないことに留意する。

(27課消1―17追加)

2款 対価の返還等を行った時期

(売上割戻しを行った日)

14―1―9 課税資産の譲渡等に係る売上割戻しについては、次に掲げる区分に応じ、次に掲げる日に当該売上割戻しを行ったものとする。

(1) その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、当該算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し 課税資産の譲渡等をした日。ただし、事業者が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日に売上割戻しを行ったこととしている場合には、これを認める。

(2) (1)に該当しない売上割戻し その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日。ただし、各課税期間終了の日までに、その課税資産の譲渡等の対価の額について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、事業者がその基準により計算した金額を当該課税期間において未払金として計上するとともに確定申告書の提出期限までに相手方に通知したときは、継続適用を条件に当該課税期間において行った売上割戻しとしてこれを認める。

(一定期間支払わない売上割戻しに係る売上割戻しを行った日)

14―1―10 事業者が売上割戻しの金額につき相手方との契約等により特約店契約の解約、災害の発生等の特別な事実が生ずるときまで又は5年を超える一定の期間が経過するまで当該相手方名義の保証金等として預かることとしているため、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、その売上割戻しの金額については、14―1―9にかかわらず、現実に支払(売掛金等への充当を含む。)を行った日における売上割戻しとして取り扱う。

ただし、相手方がその日の前に実質的にその利益を享受できることとなったと認められる次のような場合には、その享受できることとなった日に売上割戻しを行ったものとして取り扱う。

(1) 相手方との契約等に基づいてその売上割戻しの金額に通常の金利を付けるとともに、その金利相当額については現実に支払っているか、又は相手方からの請求があれば支払うこととしている場合

(2) 相手方との契約等に基づいて保証金等に代えて有価証券その他の財産を提供することができることとしている場合

(3) 保証金等として預っている金額が売上割戻しの金額の概ね50%以下である場合

(4) 相手方との契約等に基づいて売上割戻しの金額を相手方名義の預金若しくは貯金又は有価証券として保管している場合

(取引が無効又は取消しとなった場合の資産の譲渡等の取扱い)

14―1―11 課税資産の譲渡等を行った後に、当該課税資産の譲渡等が無効であった場合又は取消しをされた場合には、当該課税資産の譲渡等はなかったものとする。

なお、当該課税資産の譲渡等の時が当該無効であったことが判明した日又は取消しをされた日の属する課税期間前の課税期間である場合において、当該判明した日又は取消しをされた日に売上げに係る対価の返還等をしたものとして、法第38条第1((売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除))の規定を適用しているときは、これを認める。

3款 特定課税仕入れに係る対価の返還等の範囲

(27課消1―17追加)

(免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れに係る対価の返還等)

14―1―12 免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れにつき課税事業者となった課税期間において法第38条の21((特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除))に規定する特定課税仕入れに係る対価の返還等(以下14―1―14までにおいて「特定課税仕入れに係る対価の返還等」という。)を受けた場合には、当該対価の返還等の金額について同項の規定の適用はないことに留意する。

(27課消1―17追加)

() 課税売上割合が100分の95以上である課税期間(簡易課税制度の適用がない課税期間に限る。)及び簡易課税制度が適用される課税期間については、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9)附則第42((特定課税仕入れに関する経過措置))及び第44条第2((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例に関する経過措置))の規定により、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされるので、これらの課税期間において行った特定課税仕入れに係る支払対価について、その後の課税期間に対価の返還等を受けた場合についても同様である。

(免税事業者等となった後の特定課税仕入れに係る対価の返還等)

14―1―13 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間における特定課税仕入れにつき特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その返還等の金額については、法第38条の21((特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除))の規定は適用されないのであるから留意する。

(27課消1―17追加)

(特定課税仕入れに係る対価の返還等の処理)

14―1―14 特定課税仕入れに係る対価の返還等の処理について、12―1―12により処理する場合には、特定課税仕入れに係る課税仕入れと特定課税仕入れ以外の課税仕入れとに区分して行う必要があることに留意する。

(27課消1―17追加)

2節 貸倒れに係る消費税額の控除

(取引を停止した時の意義)

14―2―1 規則第18条第3号イ((貸倒れの範囲))に規定する「取引を停止した時」とは、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産の状況、支払能力等が悪化したためその取引を停止するに至った時をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る債権について同号に規定する経理を行ったとしても、法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除等))の規定は適用されない。

(21課消1―10改正)

14―2―2 削除

(10課消2―9)

(貸倒額の区分計算)

14―2―3 法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除等))の規定の適用に当たり、課税資産の譲渡等に係る売掛金等の債権とその他の資産の譲渡等に係る売掛金等の債権について貸倒れがあった場合において、これらを区分することが著しく困難であるときは、貸倒れとなったときにおけるそれぞれの債権の額の割合により課税資産の譲渡等に係る貸倒額を計算することができる。

() 当該区分計算をした貸倒額についてその全部又は一部を領収した場合には、当該区分計算した割合に基づき同条第3((貸倒回収額に係る消費税額の調整))の規定を適用するものとする。

(免税事業者であった課税期間における売掛金等の貸倒れ)

14―2―4 課税事業者が、免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等につき貸倒れが生じ、当該課税資産の譲渡等の価額の全部又は一部の領収をすることができなくなった場合であっても、当該領収をすることができなくなった金額については法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除))の規定の適用はないのであるから留意する。

() 同項の規定の適用を受けない貸倒額については、当該貸倒額の全部又は一部の領収をした場合であっても法第39条第3((貸倒回収に係る消費税額の調整))の規定の適用はない。

(免税事業者等となった後における売掛金等の貸倒れ)

14―2―5 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等につき貸倒れが生じ、当該課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなった場合であっても、当該領収をすることができなくなった金額については、法第39条第1((貸倒れに係る消費税額の控除等))の規定の適用はないのであるから留意する。

() 課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後に、課税事業者であった課税期間において同項の規定の適用を受けた貸倒額についてその全部又は一部を領収した場合であっても法第39条第3((貸倒回収額に係る消費税額の調整))の規定の適用はない。

15章 申告、納付、還付等

1節 中間申告

(相続等があった場合の中間申告)

15―1―1 課税事業者である個人事業者(法第19条第1項第3号又は第3号の2((課税期間の特例))の規定による届出書を提出した個人事業者を除く。以下15―1―1において同じ。)が、相続により被相続人の事業を承継した場合であっても、当該個人事業者については、当該個人事業者の当該直前の課税期間に係る確定消費税額(法第42条第1項第1号、第4項第1号又は第6項第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))に規定する消費税額をいう。以下この節において同じ。)に基づき法第42条第1項、第4項又は第6項の規定が適用されるのであるから留意する。

(13課消1―5、平15課消1―37、平27課消1―17改正)

() 分割があった場合の分割承継法人についても同様である。

(前課税期間の確定消費税額がない場合の任意の中間申告)

15―1―12 法第42条第8((任意の中間申告))に規定する「第6項第1号に掲げる金額が24万円以下であること」には、例えば、その課税期間の直前の課税期間において免税事業者であることにより法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する確定申告書を提出すべき義務がない場合や、法第46条第1((還付を受けるための申告))に規定する申告書を提出している場合のように、法第42条第6項第1((六月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により計算した消費税額がない場合が含まれることに留意する。

(25課消1―34追加、平27課消1―17改正)

() 法第42条第6項第1号の規定により計算した消費税額がない場合の六月中間申告対象期間(同項に規定する「六月中間申告対象期間」をいう。以下15―1―9までにおいて同じ。)に係る同項の規定による中間申告書(以下15―1―7までにおいて「六月中間申告書」という。)の提出は、同項第1号により計算した消費税額を零円とする六月中間申告書又は法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定による中間申告書により行うこととなる。

なお、これらの中間申告書の提出がその提出期限までになかった場合には、法第42条第11((任意の中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により、当該六月中間申告対象期間の末日に同条第9((任意の中間申告の取りやめ))に規定する届出書(以下この節において「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」という。)の提出があったものとみなされることに留意する。

(任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力)

15―1―13 法第42条第8((任意の中間申告))に規定する届出書(以下この節において「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」という。)の効力は、任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書を提出(法第42条第11((任意の中間申告書の提出がない場合の特例))により任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書を提出したとみなされる場合を含む。)しない限り存続する。

したがって、例えば、任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出している事業者が、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え課税事業者となったときは、六月中間申告対象期間(法第42条第6項第1((六月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により計算した消費税額が24万円以下であるものに限る。)について、六月中間申告書を提出することができることに留意する。

(25課消1―34追加、平27課消1―17改正)

() 免税事業者となった課税期間については、そもそも法第42((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))に規定する中間申告書や法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する確定申告書を提出する義務がないことから、六月中間申告書の提出がないとしても法第42条第11項の規定は適用されず、任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書を提出したものとみなされないことに留意する。

(相続、合併又は分割があった場合の任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力)

15―1―14 相続、合併又は分割があった場合の任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力は、次のようになるのであるから留意する。

(25課消1―34追加)

(1) 被相続人が提出した任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力は、相続により当該被相続人の事業を承継した相続人には及ばない。したがって、当該相続人が法第42条第8((任意の中間申告))の規定の適用を受けようとするときは、新たに任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出しなければならない。

(2) 被合併法人が提出した任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力は、吸収合併又は新設合併により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が同項の規定の適用を受けようとするときは、新たに任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出しなければならない。

(3) 分割法人が提出した任意の中間申告書を提出する旨の届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が同項の規定の適用を受けようとするときは、新たに任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出しなければならない。

() 法第12条第7項第2号又は第3((分割等の意義))に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。

(中間申告における法第42条と第43条の併用)

15―1―2 法第42条第1項又は第4((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))の規定により中間申告書を提出すべき事業者は、一月中間申告対象期間(同条第1項に規定する「一月中間申告対象期間」をいう。以下15―1―9までにおいて同じ。)又は三月中間申告対象期間(同条第4項に規定する「三月中間申告対象期間」をいう。以下15―1―11までにおいて同じ。)の末日の翌日(当該一月中間申告対象期間がその課税期間開始の日以後1月の期間である場合には、当該課税期間開始の日から2月を経過した日)から2月以内(令第63条の21((申告期限延長法人に係る中間申告等の特例))若しくは第76条第3((国、地方公共団体等の申告期限の特例))又は租特法令第46条の21((個人事業者に係る中間申告等の特例))の規定の適用がある場合には、その規定による期限内)に中間申告書を提出しなければならないのであるが、各中間申告対象期間について、それぞれ法第42((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))又は法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定のいずれかを適用して中間申告書を提出することができるのであるから留意する。

(15課消1―37、平27課消1―17、平29課消2―5、令2課消2―5改正)

(中間申告における簡易課税制度の適用)

15―1―3 簡易課税制度を適用すべき事業者が法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定により、同項に規定する中間申告対象期間について仮決算をして中間申告書を提出する場合には、簡易課税制度を適用して納付すべき消費税額を計算するのであるから留意する。

(15課消1―37改正)

(仮決算による申告額が400万円、100万円又は24万円以下である場合の中間申告の要否)

15―1―4 事業者が法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定により中間申告を行う場合において、法第42条第1項第1((一月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により計算した消費税額が400万円を超えるとき、同条第4項第1((三月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により計算した消費税額が100万円を超えるとき又は同条第6項第1((六月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により計算した消費税額が24万円を超えるときは、仮決算により計算した法第43条第1項に規定する中間申告対象期間の同項第4号に規定する消費税額が400万円以下、100万円以下又は24万円以下となるときであっても中間申告書を提出しなければならないのであるから留意する。

(9課消2―5、平15課消1―37改正)

(申告期限が同一の日となる一月中間申告書の取扱い)

15―1―42 法第42条第1((一月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定により中間申告書(法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定に基づく中間申告書を含む。以下15―1―42において同じ。)を提出する場合において、その課税期間開始の日から2月を経過した日の前日までの間に終了した各一月中間申告対象期間に係る中間申告書の提出期限は同一の日となるのであるが、それぞれの一月中間申告対象期間ごとに中間申告書を提出しなければならないのであるから留意する。

なお、令第63条の21((申告期限延長法人に係る中間申告等の特例))若しくは第76条第3((国、地方公共団体等の申告期限の特例))又は租特法令第46条の21((個人事業者に係る中間申告等の特例))の規定により提出期限が同一の日とされる各一月中間申告対象期間についても同様である。

(15課消1―37追加、令2課消2―5改正)

(仮決算において控除不足額(還付額)が生じた場合)

15―1―5 事業者が法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告))の規定により仮決算をして中間申告書を提出する場合において、同項第2((課税標準額に対する消費税額))に掲げる金額から同項第3((控除されるべき消費税額))に掲げる金額を控除して控除不足額が生じるとしても、当該控除不足額につき還付を受けることはできないことに留意する。

() 控除不足額が生じた場合の中間納付額は、零円となる。

(中間申告書の提出がない場合の特例)

15―1―6 法第42条第1項、第4項又は第6((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))の規定により中間申告書を提出すべき事業者が、その提出期限までに中間申告書又は法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))に規定する申告書を提出しなかった場合には、その事業者については、それぞれの提出期限において中間申告書の提出があったものとして、法第42条第1項第1号、第4項第1号又は第6項第1号の規定により計算した消費税額が直ちに確定することになるのであるから留意する。

(15課消1―37、平25課消1―34、平27課消1―17改正)

() 任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出している事業者が、当該提出をした日以後にその末日が最初に到来する六月中間申告対象期間以後の六月中間申告対象期間に係る六月中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、法第42条第11((任意の中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により、当該六月中間申告対象期間の末日に任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書の提出があったものとみなされ、法第44((中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により中間申告書の提出があったものとはみなされないことに留意する。

(中間申告書を提出した者の意義)

15―1―7 法第45条第1項第6((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))、法第48((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告による納付))、法第53条第1((中間納付額の控除不足額の還付))及び法第55条第1((確定申告書等に係る更正又は決定による中間納付額の控除不足額の還付))に規定する「中間申告書を提出した事業者」又は「中間申告書を提出した者」には、法第44((中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により中間申告書の提出があったものとみなされる事業者を含むのであるから留意する。

(25課消1―34、平27課消1―17改正)

() 任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出している事業者が、当該提出をした日以後にその末日が最初に到来する六月中間申告対象期間以後の六月中間申告対象期間に係る六月中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、法第42条第11((任意の中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により、当該六月中間申告対象期間の末日に任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書の提出があったものとみなされ、法第44((中間申告書の提出がない場合の特例))の規定により中間申告書の提出があったものとはみなされないことに留意する。

(中間納付額の意義)

15―1―8 法第2条第1項第20((中間納付額の意義))に規定する「中間納付額」とは、法第48((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告による納付))の規定により納付すべき法第42条第1項第1号、第4項第1号及び第6項第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))に掲げる金額又は法第43条第1項第4((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))に掲げる残額に相当する消費税額をいい、事業者が納付した消費税額ではないことに留意する。

(14課消1―12、平15課消1―37、平27課消1―17改正)

(中間申告書の提出義務)

15―1―9 法第42条第1項、第4項又は第6((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))の規定による中間申告書の提出義務は、前課税期間の確定消費税額の増減の有無にかかわらず、それぞれ次に掲げる区分に応じ、それぞれ次の場合に生ずることに留意する。

(9課消2―5、平15課消1―37、平25課消1―34、平27課消1―17改正)

(1) 法第42条第1((一月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定による中間申告書

一月中間申告対象期間の末日(当該一月中間申告対象期間がその課税期間開始の日以後1月の期間である場合には、当該課税期間開始の日から2月を経過した日の前日)までに確定した前課税期間の確定消費税額を前課税期間の月数で除した金額が400万円を超える場合

(2) 法第42条第4((三月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定による中間申告書

三月中間申告対象期間の末日までに確定した前課税期間の確定消費税額を前課税期間の月数で除し、これに3を乗じて計算した金額が100万円を超える場合((1)に該当する場合を除く。)

(3) 法第42条第6((六月中間申告対象期間に係る申告義務))の規定による中間申告書

イ 六月中間申告対象期間の末日までに確定した前課税期間の確定消費税額を前課税期間の月数で除し、これに6を乗じて計算した金額が24万円を超える場合((1)又は(2)に該当する場合を除く。)

ロ 任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出している事業者で、六月申告対象期間の末日までに確定した前課税期間の確定消費税額を前課税期間の月数で除し、これに6を乗じて計算した金額が24万円以下の場合((1)又は(2)に該当する場合を除く。)

(災害等による期限の延長により中間申告書の提出を要しない場合の法第42条第11項の適用関係)

15―1―10 任意の中間申告書を提出する旨の届出書を提出している事業者が、法第42条の2((災害等による期限の延長により中間申告書の提出を要しない場合))の規定の適用を受ける場合には、法第42((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))の規定による中間申告書の提出を要しないことから、法第42条第11((任意の中間申告書の提出がない場合の特例))の規定は適用されず、任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書を提出したものとはみなされないことに留意する。

(29課消2―5追加)

(中間申告書の提出期限のみが同一となった場合の取扱い)

15―1―11 法第42条の2((災害等による期限の延長により中間申告書の提出を要しない場合))の規定により、提出を要しないこととなる消費税の中間申告書とは、通則法第11((災害等による期限の延長))の規定に基づき申告等の期限が延長されたことにより、法第42((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))の規定による中間申告書の提出期限とその課税期間に係る法第45((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))の確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合の当該中間申告書をいうのであるから、例えば、法第42条第4項の中間申告書で同一課税期間内の異なる三月中間申告対象期間の提出期限が同一の日となった場合のように、中間申告書の提出期限のみが同一の日となっても、法第42条の2の規定の適用はないのであるから留意する。

(29課消2―5追加)

() 中間申告書の提出期限のみが同一となる場合には、それぞれの中間申告対象期間について、それぞれ申告書の提出が必要となる。これは、法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定に基づき、仮決算による中間申告書を提出する場合も同様である。

2節 確定申告

(その他の法律等により消費税が免除されるものの範囲)

15―2―1 法第45条第1項第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する「その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの」には、例えば、次の規定が適用される課税資産の譲渡等が該当する。

(27課消1―17改正)

(1) 租特法第85((外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税))

(2) 租特法第86((外国公館等に対する課税資産の譲渡等に係る免税))

(3) 租特法第86条の2((海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税))

(4) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条の規定に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7((消費税法の特例))

(5) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第6((内国消費税の免税))

(6) 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第3((所得税法等の特例))

15―2―215―2―4 削除

(16課消1―8)

(納付すべき税額がない場合の確定申告の要否)

15―2―5 法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する「第4号に掲げる消費税額がない課税期間」には、同項第4((課税仕入れ等に係る消費税額の控除))に掲げる消費税額が100円未満となることにより、通則法第119条第1((国税の確定金額の端数計算等))の規定によりその全額が切り捨てられることとなる課税期間が含まれるが、このような課税期間であっても課税資産の譲渡等又は特定課税仕入れがあるときは、確定申告書を提出しなければならないのであるから留意する。

(27課消1―17改正)

(残余財産の確定)

15―2―6 法第45条第4((清算中の法人の確定申告))に規定する「残余財産が確定した場合」とは、一切の資産、負債の額が具体的に確定したことをいうが、解散した法人の資産、負債の一切を当該法人の首脳者等が引き継いで事業を承継し、実質的に事業の譲渡をしたと認められるような場合には、その引継ぎがあったときに残余財産が確定したものとして取り扱う。

(18課消1―16改正)

(個別対応方式と一括比例配分方式の適用関係)

15―2―7 法第43条第1((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))の規定により中間申告を行う事業者が当該中間申告において仕入控除税額の計算を個別対応方式又は一括比例配分方式によった場合の法第30条第5((一括比例配分方式から個別対応方式への変更の期間制限))の規定の適用関係は、次のとおりとなる。

(1) 当該課税期間の前課税期間に個別対応方式を適用していた場合又は当該課税期間の前課税期間まで2年以上継続して一括比例配分方式を適用し、当該課税期間から個別対応方式を適用する場合において、当該課税期間に係る中間申告で一括比例配分方式を適用したときでも、当該課税期間分に係る確定申告については、個別対応方式を適用して差し支えない。

(2) 当該課税期間について法第30条第5項の規定の適用がある場合にも、当該課税期間に係る中間申告において個別対応方式を適用して差し支えない。ただし、当該課税期間に係る確定申告については、一括比例配分方式を適用しなければならないのであるから留意する。

() 事業者が既に提出している確定申告書において、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの計算方式により仕入控除税額を計算した場合には、当該申告について通則法第19条第3((修正申告))に規定する修正申告書を提出するときにおいても、当該確定申告書で選択した計算方式により仕入控除税額を計算することとなるのであるから留意する。

(消費税申告期限延長届出書を提出できる場合)

15―2―8 法第45条の21((法人の確定申告書の提出期限の特例))の規定による消費税申告書(同項に規定する消費税申告書をいう。以下15―2―8において同じ。)の提出期限の延長を受けることができる法人は、延長届出書(同項に規定する延長届出書をいう。以下15―2―9までにおいて同じ。)を提出した法人で、法法第75条の21((確定申告書の提出期限の延長の特例))(法法第144条の8((確定申告書の提出期限の延長の特例))において準用する場合を含む。以下15―2―8において同じ。)の規定の適用を受けた法人であって、法第60条第8((国、地方公共団体等の申告期限の特例等))の規定の適用により消費税申告書の提出期限が延長される法人以外の法人に限られるのであるが、法法第75条の21項の提出期限の延長の処分を受けていない場合(同条第8項の規定により読み替えて準用する法法第75条第5((確定申告書の提出期限の延長))の規定によりみなされていない場合を含む。)であっても、当該延長届出書は提出できることに留意する。

(2課消2―5追加)

() 法第45条の22項の規定の適用についても同様である。

(合併又は分割があった場合の消費税申告期限延長届出書の効力)

15―2―9 合併又は分割があった場合の延長届出書の効力は、次のようになるのであるから留意する。

(2課消2―5追加)

(1) 被合併法人が提出した延長届出書の効力は、吸収合併又は新設合併により当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が法第45条の21項又は第2((法人の確定申告書の提出期限の特例))の規定の適用を受けようとするときは、新たに延長届出書を提出しなければならない。

(2) 分割法人が提出した延長届出書の効力は、分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が同条第1項又は第2項の規定の適用を受けようとするときは、新たに延長届出書を提出しなければならない。

() 法第12条第7項第2号又は第3((分割等の意義))に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。

3節 還付を受けるための申告

(還付を受けるための申告書に係る更正の請求)

15―3―1 法第46((還付を受けるための申告))に規定する申告書についても、通則法第23((更正の請求))の規定の適用があることに留意する。この場合において、同条第1項に規定する「当該申告書に係る国税の法定申告期限」とあるのは、「当該申告書を提出した日」と読み替えるものとする。

(27課消1―17、平28課消1―57改正)

4節 引取りに係る課税貨物についての申告及び納期限

(引取りに係る課税貨物についての申告)

15―4―1 法第47条第1項及び第2((引取りに係る課税貨物についての申告等))に規定する引取りに係る課税貨物についての申告は、関税法第67((輸出又は輸入の許可))に規定する輸入申告に併せて行うことになる。

ただし、法第47条第1項に規定する者が、その引取りに係る課税貨物について関税法第7条の22((特例申告))に規定する特例申告を行う場合には、法第47条第1項に規定する申告は、当該特例申告と併せて当該課税貨物の引取りの日の属する月の翌月末日までに行うことになる。

(13課消1―5改正)

(引取りに係る課税貨物についての課税標準額及び税額の申告等の特例)

15―4―2 保税地域から引き取ろうとする課税貨物につき、1品目(関税率表の適用上の所属区分及び統計品目表の適用上の所属区分のいずれも同一である貨物を一つの物品として取りまとめたものをいう。)の価格(関税定率法第4条から第4条の8まで((課税価格の決定の原則))に規定する課税価格をいう。ただし、従量税率が適用される品目の場合には、これに準じて算出した価格とする。)20万円以下となる品目が2以上ある場合において、申告書に係る品目の全部又は一部につき、当該品目数以下に取りまとめて申告した場合は、これを認めて差し支えない。この場合において輸入申告書の品名欄には、代表的な品目の品名に「等」を付して記載し、数量欄には、記載を要しないものとする。

(郵便により外国貨物を受け取る場合の課税標準額等)

15―4―3 郵便物として引き取ろうとする課税貨物について課税標準額及び税額の決定をする場合には、15―4―2に準じて取り扱って差し支えない。

(引取りに係る課税貨物についての納期限の延長)

15―4―4 法第51条第1((納期限の延長))に規定する引取りに係る課税貨物の納期限の延長については、次によるのであるから留意する。

(13課消1―5改正)

(1) 法第51条第1項の規定により引取りに係る課税貨物についての納期限を延長する期間は、当該課税貨物を保税地域から引き取った日の翌日から起算して計算する。

(2) 法第51条第1項の規定は、課税貨物を保税地域から引き取ろうとする者が、法第47条第1((引取りに係る課税貨物についての申告等))の規定による申告書を同項の税関長に提出した場合において、その引取りの日までに納期限の延長を受けたい旨の申請書を当該税関長に提出し、かつ、当該申告書に記載した納付すべき消費税額の全部又は一部に相当する額の担保を提供したときに限り、当該提供された担保の額を超えない範囲内において適用される。

(特定月において引き取る課税貨物の納期限の延長)

15―4―5 法第51条第2((特定月において引き取る課税貨物の納期限の延長))に規定する特定月において引き取ろうとする課税貨物に係る消費税の納期限の延長については、次によるのであるから留意する。

(1) 同項の規定の適用を受ける場合には、特定月において引き取ろうとする課税貨物に係る消費税の納期限は、個々の取引に係る納期限を一括して、特定月の末日の翌日から3月以内の期間延長することができる。

(2) 同項の規定は、特定月において課税貨物を引き取ろうとする者が、特定月の前月末日までに納期限の延長についての申請書を同項の税関長に提出し、かつ、特定月において引き取ろうとする課税貨物に係る消費税額の合計額に相当する額の担保を提供した場合に、当該特定月において、引き取った課税貨物に係る法第47条第1((引取りに係る課税貨物についての申告書))の規定による申告書に記載した消費税額の累計額について、その担保の額を限度として適用される。

(特例申告書を提出した場合の引取りに係る課税貨物についての納期限の延長)

15―4―6 法第51条第3((特例申告書を提出する場合の納期限の延長))に規定する引取りに係る課税貨物の納期限の延長については、次によるのであるから留意する。

(13課消1―5追加)

(1) 法第51条第3項の規定により引取りに係る課税貨物についての納期限を延長する期間は、当該課税貨物を保税地域から引き取った日の属する月の翌月末日の翌日から起算して計算する。

(2) 法第51条第3項の規定は、特例申告書をその提出期限までに法第47条第1((引取りに係る課税貨物についての申告等))の税関長に提出した者が、当該特例申告書の提出期限までに納期限の延長を受けたい旨の申請書を当該税関長に提出し、かつ、当該特例申告書に記載した納付すべき消費税額の全部又は一部に相当する額の担保を当該税関長に提供したときに限り、当該提供された担保の額を超えない範囲内において適用される。

5節 仕入控除不足額の還付

(相続があった場合の還付申告に係る還付加算金)

15―5―1 被相続人の死亡した日の属する課税期間の消費税につき、法第52条第1((仕入れに係る消費税額の還付))の規定による還付を受けるための確定申告書等が相続人から提出された場合における、当該還付金に係る還付加算金の計算の基礎となる期間は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる期限又は日の翌日から還付のための支払決定をした日までの期間となることに留意する。

(23課消1―35、平27課消1―17改正)

(1) 当該確定申告書等が法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する申告書により還付を受ける場合で当該申告書が同条第2項又は第3((相続があった場合の申告期限))に規定する提出期限内に提出された場合 当該申告書の提出期限

(2) 当該確定申告書等が法第46条第1((還付を受けるための申告))に規定する申告書により還付を受ける場合で、当該申告書が、死亡の日の翌日から2月を経過する日の前日までに提出された場合 死亡の日の翌日から2月を経過する日

(3) (1)に掲げる申告書が(1)に掲げる提出期限の翌日以後に提出された場合又は(2)に掲げる申告書が(2)に掲げる日の翌日以後に提出された場合 これらの申告書が提出された日の属する月の末日

16章 国、地方公共団体等に対する特例

1節 通則

(一般会計とみなされる特別会計の範囲)

16―1―1 令第72条第1((一般会計とみなされる特別会計の範囲等))に規定する「専ら当該特別会計を設ける国又は地方公共団体の一般会計に対して資産の譲渡等を行う特別会計」とは、経常的に一般会計に対して資産の譲渡等を行うために設けられた特別会計をいい、例えば、次のような特別会計がこれに該当する。

(1) 専ら、一般会計の用に供する備品を調達して、一般会計に引渡すことを目的とする特別会計

(2) 専ら、庁用に使用する自動車を調達管理して一般会計の用に供することを目的とする特別会計

(3) 専ら、一般会計において必要とする印刷物を印刷し、一般会計に引き渡すことを目的とする特別会計

(令第72条第2項に規定する用語の意義等)

16―1―2 令第72条第2((一部事務組合の一般会計・特別会計の区分))に規定する用語の意義等は、次のとおりである。

(18課消1―11、平20課消1―8、平23課消1―35、平24課消1―7、平28課消1―57改正)

(1) 地方自治法第285((相互に関連する事務の共同処理))の一部事務組合 市町村の一部事務組合で、市町村の事務又は市町村長若しくは市町村の委員会若しくは委員の権限に属する国、他の地方公共団体その他の公共団体の事務に関し相互に関連するものを共同処理するために設けられた地方自治法第284条第1((地方公共団体の組合の種類))に規定する一部事務組合をいう。

(2) 当該事業に係る事件の議決の方法について、特別の規定を設けたとき 地方自治法第287条の31((285条の一部事務組合に関する特則))の規定により、その一部事務組合を組織する市町村の一部に係る事業に関して生じた事件等について、当該一部事務組合の議会において議決する場合における議決の方法を、他の事件に関する議決の方法と異なる方法によることについて、当該一部事務組合の規約において定めるときのことをいう。

()

1 地方自治法第285条においては市町村の一部事務組合については、市町村の共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合であっても、当該事務が相互に関連するものである場合には、そのような一部事務組合を設けることができるとしている。したがって、例えば、一部事務組合の構成市町村が、ABCDであり、ABで消防事務を共同処理し、市町村CDでごみ処理事務を共同処理する場合がある。

2 この場合の議決の方法としては、例えば、関係市町村の一部に係るものの事件については、当該事件に関係する市町村から選出されている議員の出席者の過半数の賛成を含む出席議員の過半数でこれを決する方法等がある。

(3) 地方財政法施行令第46条各号((公営企業))に掲げる事業

イ 水道事業

ロ 工業用水道事業

ハ 交通事業

ニ 電気事業

ホ ガス事業

ヘ 簡易水道事業

ト 港湾整備事業(埋立事業並びに荷役機械、上屋、倉庫、貯木場及び船舶の離着岸を補助するための船舶を使用させる事業に限る。)

チ 病院事業

リ 市場事業

ヌ と畜場事業

ル 観光施設事業

ヲ 宅地造成事業

ワ 公共下水道事業

(4) その他法令において特別会計を設けることが義務付けられている事業

地方公営企業法第17((特別会計))、高齢者の医療の確保に関する法律第49((特別会計))、国民健康保険法第10((特別会計))に係る事業等が含まれる。

(「国又は地方公共団体の会計の処理に準ずるもの」の範囲)

16―1―22 令第74条第1((国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例))に規定する「会計の処理の方法が国又は地方公共団体の会計の処理の方法に準ずるもの」とは、国又は地方公共団体の会計の処理の方法に準じて、収入・支出の所属会計年度について発生主義以外の特別な会計処理により行うこととされている場合の当該会計の処理の方法をいう。

(10課消2―9追加)

() 社団法人、財団法人等のように発生主義により経理することとされている法人は、本特例の対象にはならないことに留意する。

(特別の法律により設立された法人の範囲)

16―1―3 令第75条第1項第6((国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例))に規定する「特別の法律により設立された法人」とは、総務省設置法第4条第9((所掌事務))に規定する「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」をいうものとする。

(13課消1―5、平29課消2―5改正)

2節 特定収入の取扱い

(特定収入の意義)

16―2―1 法第60条第4((国、地方公共団体等に対する仕入れに係る消費税額の計算の特例))に規定する「特定収入」とは、資産の譲渡等の対価に該当しない収入のうち、令第75条第1項各号((特定収入に該当しない収入))に掲げる収入以外の収入をいうのであるから、例えば、次の収入(令第75条第1項第6((特定収入に該当しない収入))に規定する特定支出のためにのみ使用することとされているものを除く。)がこれに該当する。

(1) 租税

(2) 補助金

(3) 交付金

(4) 寄附金

(5) 出資に対する配当金

(6) 保険金

(7) 損害賠償金

(8) 資産の譲渡等の対価に該当しない負担金、他会計からの繰入金、会費等、喜捨金等

(国又は地方公共団体の特別会計が受け入れる補助金等の使途の特定方法)

16―2―2 国又は地方公共団体の特別会計において、資産の譲渡等の対価以外の収入がある場合における令第75条第1項第6号及び同条第4((国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例))の規定による使途の特定の方法は、次による。

(14課消1―48、平20課消1―2、平23課消1―35改正)

() 「使途の特定」とは、同条第1項第6号及び同条第4項に規定する「……のためにのみ使用することとされている……」に該当することとなる場合をいう。

(1) 法令又は交付要綱等により補助金等の使途が明らかにされている場合

法令又は交付要綱等(令第75条第1項第6号イに規定する法令又は交付要綱等をいう。以下16―2―2において同じ。)に基づく補助金等(補助金、負担金、他会計からの繰入金その他これらに類するものをいう。以下16―2―2において同じ。)で当該法令又は交付要綱等において使途が明らかにされているもの 当該法令又は交付要綱等で明らかにされているところにより使途を特定する。

この場合の交付要綱等には、補助金等を交付する者が作成した補助金等交付要綱、補助金等交付決定書のほか、これらの附属書類である補助金等の積算内訳書、実績報告書を含むものとする。

() 令第75条第1項第1号に規定する借入金等(以下16―2―2において「借入金等」という。)を財源として行った事業について、当該借入金等の返済又は償還のための補助金等が交付される場合において、当該補助金等の交付要綱等にその旨が記載されているときは、当該補助金等は当該事業に係る経費のみに使用される収入として使途を特定する。なお、免税事業者であった課税期間に行った事業の経費に使途が特定された当該補助金等は、特定収入(法第60条第4((国、地方公共団体等に対する仕入れに係る消費税額の計算の特例))に規定する特定収入をいう。以下16―2―5までにおいて同じ。)に該当しないことに留意する。

(2) 国又は地方公共団体が合理的な方法により補助金等の使途を明らかにした文書において使途を特定する場合

(1)により使途が特定されない補助金等については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる方法により使途を特定することができる。

イ 法令又は交付要綱等がある補助金等で当該法令又は交付要綱等においてその使途の細部は不明であるが、その使途の大要が判明するもの 国(特別会計の所管大臣。以下16―2―2において同じ。)又は地方公共団体の長(地方公営企業法第7条の適用がある公営企業にあっては管理者。以下16―2―2において同じ。)が令第75条第1項第6号ロに規定する文書においてその使途の大要の範囲内で合理的計算に基づき細部の使途を特定する。

ロ イにより使途が特定できない場合で、補助金等の使途が予算書若しくは予算関係書類又は決算書若しくは決算関係書類で明らかなもの 国又は地方公共団体の長がこれらの書類で明らかにされるところにより、令第75条第1項第6号ロに規定する文書においてその使途を特定する。

ハ 「法令又は交付要綱等」又は「予算書、予算関係書類、決算書、決算関係書類」において、借入金等の返済費又は償還費のための補助金等とされているもの((1)の注に該当するものを除く。) 当該補助金等の額に、当該借入金等に係る事業が行われた課税期間における支出((1)又はイ若しくはロにより使途が特定された補助金等の使途としての支出及び借入金等の返済費又は償還費を除く。)のうちの課税仕入れ等の支出の額とその他の支出の額の割合を乗じて、課税仕入れ等の支出に対応する額とその他の支出に対応する額とにあん分する方法によりその使途を特定し、これらの計算過程を令第75条第1項第6号ロに規定する文書において明らかにする。

なお、地方公営企業法第20((計理の方法))の適用がある公営企業については、同法施行令第9条第3((会計の原則))の損益的取引、資本的取引の区分ごとにこの計算を行うものとする。

() 当該借入金等に係る事業が行われた課税期間が免税事業者であった場合の当該補助金等は、特定収入に該当しないことに留意する。

ニ イからハまでによっては使途が特定できない補助金等 当該補助金等の額に、当該課税期間における支出((1)又はイ若しくはロにより使途が特定された補助金等の使途としての支出及び借入金等の返済費又は償還費のうちハにおいて処理済みの部分を除く。)のうちの課税仕入れ等の支出の額とその他の支出の額の割合を乗じて、課税仕入れ等の支出に対応する額とその他の支出に対応する額とに按あん分する方法によりその使途を特定する。

この場合、これらの計算過程を令第75条第1項第6号ロに規定する文書において明らかにする。

また、この按あん分計算において、借入金等の返済費又は償還費でハにおいて処理済みの部分以外の部分に使途が特定されていることとなった補助金等の部分については、更にハの方法で当該借入金等に係る事業が行われた課税期間に遡って使途を特定する。

なお、地方公営企業法第20条の適用がある公営企業については、同法施行令第9条第3項の損益的取引、資本的取引の区分ごとにこの計算を行うものとする。

(課税仕入れ等に係る特定収入の意義)

16―2―3 令第75条第4項第1((国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例))に規定する「課税仕入れ等に係る特定収入」には、特定収入の金額が課税仕入れ等に係る支出のみに充てることとされているもののほか、特定収入のうちの一定金額が課税仕入れ等に係る支出に充てることとされている場合における当該一定金額もこれに該当するのであるから留意する。

(地方公営企業の減価償却費に充てるための補助金の使途の特定)

16―2―4 地方公営企業法第20((計理の方法))の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業が一般会計等から減価償却費を対象とする補助金を収受する場合の当該補助金は、令第75((国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例))に規定する特定支出のためにのみ使用することとされている収入に該当するものとして取り扱う。

(基金に係る金銭の受入れ)

16―2―5 国、地方公共団体(特別会計を設けて事業を行う場合に限る。)、法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等(以下「公共法人等」という。)が、一定の事業の財源(以下「基金」という。)に充てるために他の者から受け入れる金銭が特定収入に該当するかどうかは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。

(1) 一定の事業目的のために設立された公共法人等の活動の原資となる金銭で当該法人等の解散の際には当該金銭の支出者に残余財産が帰属するなど、出資としての性格を有し、かつ、公共法人等の貸借対照表上資本勘定又は正味財産の部に計上される金銭 出資金としての性格を有するものであり、特定収入に該当しない。

(2) 基金として受け入れる金銭で、一定期間又は事業の終了により当該金銭の支出者に返済することとなり、借入金としての性格を有し、かつ、公共法人等の貸借対照表上負債勘定で計上される金銭 借入金としての性格を有するものであり、特定収入に該当しない。

(3) 基金として受け入れる金銭((1)及び(2)に該当するものを除く。)で、法令において、事業は当該基金を運用した利益で行い、元本については取り崩しができないこととされている金銭 公共法人等の解散等一定の事実の下に当該基金が取り崩される課税期間に当該取り崩し額の収入があったものとして取り扱い、当該取り崩す基金の使途により特定収入に該当するかどうかの判定を行うものとする。

(4) 基金として受け入れる金銭のうち(1)(2)及び(3)に該当しない金銭 当該基金を受け入れた課税期間において、特定収入となる。

3節 申告関係

(国、地方公共団体の中間申告)

16―3―1 国又は地方公共団体が行った資産の譲渡等、課税仕入れ等については、令第73((国又は地方公共団体が行った資産の譲渡等の時期の特例))の規定により、その対価を収納すべき、又はその費用の支払をすべき会計年度の末日においてそれぞれ行われたものとすることができるのであるが、中間申告書を提出すべき事業者である国又は地方公共団体が、法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))に規定する中間申告書を提出する場合には、当該中間申告対象期間を一会計年度として令第73条の規定を適用するのであるから留意する。

(15課消1―37改正)

() 国又は地方公共団体が法第19条第1項第4号又は第4号の2((課税期間の特例の適用を受けた場合の課税期間))の規定の適用を受けて行う確定申告についても当該課税期間を一会計年度として令第73条の規定を適用することとなる。

(国等に準ずる法人の中間申告)

16―3―2 令第74条第1((国又は地方公共団体に準ずる法人の承認))の規定の適用を受ける法人が行った資産の譲渡等、課税仕入れ等については、同条第2((国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例))の規定により、その対価を収納すべき、又はその費用の支払をすべき課税期間の末日においてそれぞれ行われたものとすることができるのであるが、中間申告書を提出すべき事業者である当該承認を受けた法人が、法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))に規定する中間申告書を提出する場合には、当該中間申告対象期間を一課税期間として令第74条の規定を適用するのであるから留意する。

(15課消1―37改正)

() 当該承認を受けた法人が法第19条第1項第4号又は第4号の2((課税期間の特例の適用を受けた場合の課税期間))の規定の適用を受けて行う確定申告についても当該課税期間を一課税期間として令第74条第2項の規定を適用することとなる。

(「その他特別な事情があるもの」の範囲)

16―3―22 令第76条第1((国、地方公共団体に準ずる法人の申告期限の特例))に規定する「その他特別な事情があるもの」とは、次の各号に掲げる場合とする。

(10課消2―9追加)

(1) 法令によりその決算を完結する日が会計年度の末日の翌日から2月を経過する日と定められている場合

(2) (1)以外の場合で、法令により事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日以後に当該法人の決算について所管官庁の承認を受けることとされているもののうち、決算関係書類の所管官庁への提出期限が定められている場合

() 法令において単に、決算書等を所管官庁へ提出することが義務付けられている場合は含まれないのであるから留意する。

(3) (1)及び(2)以外で、令第74条第1((国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例))に規定する「国又は地方公共団体に準ずる法人の資産の譲渡等の時期の特例」の承認を受けた法人

() (1)から(3)までに該当する場合においても次のイ又はロに該当するときは、特例の対象とはならないことに留意する。

イ 法令又はその法人の定款、寄附行為、規則若しくは規約において財務諸表が事業年度終了後2月以内に作成されることが明らかな場合

ロ 決算が総会等の議決に付されることとされており、かつ、その総会の期日又は期限が事業年度終了の日の翌日から2月以内と定められている場合

16―3―3 削除

(15課消1―37)

(国、地方公共団体等の申告期限の特例の承認が取り消された場合の中間申告の取扱い)

16―3―4 令第76条第1((国、地方公共団体等の申告期限の特例))の規定により、法第42条第1項、第4項若しくは第6((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))又は第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する申告書の提出期限の特例を受けることについて承認を受けている事業者が、令第76条第7((申告期限の特例の取消し))の規定により当該承認を取り消された場合には、同条第9項の規定により、確定申告については当該事業者の当該取消しがあった日の属する課税期間に係るものから同条第1項及び第2項の規定の適用がなくなるのであるが、中間申告については当該取消しがあった日の属する課税期間の翌課税期間に係るものから同項の規定の適用がなくなるのであるから留意する。

(15課消1―37、平27課消1―17改正)

(申告期限の特例を受けている事業者が仮決算による中間申告を行う場合の中間申告対象期間)

16―3―5 令第76条第1項及び第2((国、地方公共団体等の申告期限の特例))の規定により、法第42条第1項、第4項若しくは第6((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告))又は第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する申告書の提出期限の特例を受けている事業者が、法第43((仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等))に規定する中間申告書を提出する場合において、前課税期間の確定申告書の提出期限が通則法第10条第2((期間の計算及び期限の特例))の規定の適用を受ける場合であっても、中間申告対象期間(法第43条第1項に規定する中間申告対象期間をいう。)は、法第42条第1項、第4項若しくは第6項に規定する期間となるのであるから留意する。

(15課消1―37、平27課消1―17改正)

17章 雑則

1節 納税義務の免除が適用されなくなった場合等の届出

(課税事業者選択届出書を提出している場合)

17―1―1 課税事業者選択届出書を提出している事業者は、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるかどうかにかかわらず課税事業者となるのであるから、法第57条第1項第1((基準期間における課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合の届出))に規定する届出書は提出しなくて差し支えない。

(9課消2―5、平15課消1―37改正)

(事業を廃止した場合)

17―1―2 法第57条第1項第3((事業を廃止した場合の届出))に規定する「事業を廃止した場合」には、事業の全部を相当期間休止した場合、事業の全部を譲渡した場合又は清算中法人の残余財産が確定した場合が含まれる。

(9課消2―5、平18課消1―16改正)

(死亡した個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書の提出があった場合の死亡届出書の取扱い)

17―1―3 法第45条第2項若しくは第3((確定申告書を提出すべき個人事業者が死亡した場合の確定申告))又は法第46条第1項若しくは第2((還付申告書を提出することができる個人事業者が死亡した場合の還付申告))の規定により相続人から申告書の提出があった場合において、令第63条第1((死亡の場合の確定申告等の特例))の規定により当該申告書に法第45条第1項各号((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告書の記載事項))に掲げる事項のほかに併せて記載すべきこととされている事項を記載した明細書の提出があった場合には、法第57条第1項第4((個人事業者が死亡した場合の届出))に規定する個人事業者が死亡した旨の届出書の提出があったものとして取り扱う。

(2課消2―5追加)

2節 申告義務の承継

(相続人の申告義務)

17―2―1 法第59((申告義務等の承継))に規定する相続人の申告義務の承継は、相続があったことにより生ずるものであるから、相続により相続人の事業を承継したかどうかは問わないことに留意する。

(提出期限後に死亡した場合の相続人の申告)

17―2―2 法第45条第1((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告))に規定する申告書を提出すべき個人事業者が、同項に規定する申告書を提出しないで当該確定申告書の提出期限後に死亡した場合には、法第45条第2((確定申告書を提出すべき個人事業者が死亡した場合の確定申告))の規定の適用はなく、相続人が提出する当該申告書は、通則法第18((期限後申告書))に規定する期限後申告書となることに留意する。

(27課消1―17改正)

() 個人事業者につき災害その他やむを得ない理由があったため、通則法第11((災害等による期限の延長))の規定により法第45条第1項に規定する申告書の提出期限が延長されていた場合において、当該個人事業者がその延長された提出期限までの間に死亡したときは、その相続人が法第45条第2項の規定により確定申告書を提出することとなる。

(被相続人又は被合併法人に係る還付を受けるための申告)

17―2―3 相続人又は合併法人は、法第59((申告義務等の承継))の規定により被相続人又は被合併法人の申告義務等を承継するのであるから、被相続人の死亡した年分又は被合併法人の合併事業年度における消費税について法第46条第1((還付を受けるための申告))の規定による還付請求申告書を提出することができることに留意する。

3節 帳簿等

(保存すべき帳簿)

17―3―1 法第58((帳簿の備付け等))に規定する帳簿は、規則第27((帳簿の記載事項等))に規定する記載事項を記録した帳簿であればよいのであるから、商業帳簿のほか、所得税又は法人税の申告の基礎となる帳簿書類でも差し支えない。

18章 消費税と地方消費税との関係

(10課消2―9追加)

(消費税と地方消費税の申告の取扱い)

18―1―1 譲渡割(地方税法第72条の772((地方消費税に関する用語の意義))に規定する「譲渡割」をいう。以下18―1―1において同じ。)の申告は、地方税法附則第9条の5((譲渡割の申告の特例))の規定により、消費税の申告と併せて、税務署長にしなければならないのであるから、譲渡割の納税義務者は、消費税の申告と同時に譲渡割の申告も納税地を所轄する税務署長にしなければならないのであるから留意する。

(10課消2―9追加)

(消費税と地方消費税の申告に係る税額の更正等の取扱い)

18―1―2 事業者が平成71225日付課消2―26ほか4課共同「消費税関係申告書等の様式の制定について」通達の別紙様式27―(1)「消費税及び地方消費税の(確定、中間(仮決算)、還付、修正)申告書(一般用)」又は別紙様式27―(2)「消費税及び地方消費税の(確定、中間(仮決算)、還付、修正)申告書(簡易課税用)」を提出した場合において、消費税及び地方消費税の両税について記載すべきであるにもかかわらず、これらの税のうちいずれかの税について記載がないとき又は納付すべき税額が過少であるときにおける税額の是正に当たっては、記載がない又は納付税額が過少である税目に限らず納付税額に変動がない税目についても併せて修正申告(国税通則法第19((修正申告))に規定する修正申告をいう。)又は更正(同法第24((更正))に規定する更正をいう。)によることとなるのであるから留意する。

(10課消2―9追加)

19章 特定非常災害の被災事業者からの届出等に関する特例

(29課消2―5追加)

(被災事業者の意義)

19―1―1 租特法第86条の51((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))に規定する被災事業者とは、特定非常災害の被災者である事業者をいうのであるから、例えば、次に掲げる事業者は被災事業者に該当することとなる。

(29課消2―5追加)

(1) その特定非常災害に係る通則法令第3条第1項又は第3((災害等による期限の延長))の規定の適用を受けた事業者

(2) (1)に掲げる事業者以外の事業者で、その特定非常災害に係る通則法令第3条第1項に基づく国税庁長官の指定した地域(以下19―1―1において「指定地域」という。)以外の地域に納税地を有する事業者のうち、指定地域内に所在する支店等が当該特定非常災害により被災した事業者

(指定日の意義)

19―1―2 租特法第86条の51((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))に規定する指定日(以下この章において「指定日」という。)とは、通則法令第3条第1項から第3項まで((災害等による期限の延長))の規定に基づき指定される期日とは別に、国税庁長官がその特定非常災害の状況及び当該特定非常災害に係る通則法第11((災害等による期限の延長))の規定による申告に関する期限の延長の状況を勘案して定める日をいうのであるから留意する。

(29課消2―5追加)

(通則法第11条の規定の適用を受けない新設法人等に対する租特法第86条の54項から第6項の適用)

19―1―3 通則法第11((災害等による期限の延長))の規定の適用を受けた者でない被災事業者が、租特法第86条の54項、第5項又は第6((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))の規定の適用を受けようとする場合には、次に掲げる場合の区分に応じ、次に掲げる日までに、それぞれ同条第4項括弧書、第5項括弧書又は第6項括弧書に規定する届出書を納税地を所轄する税務署長へ提出する必要があることに留意する。

(29課消2―5追加、令2課消2―5改正)

(1) 新設法人(法第12条の21((新設法人の納税義務の免除の特例))に規定する新設法人をいう。以下19―1―4において同じ。)又は特定新規設立法人(法第12条の31((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))に規定する特定新規設立法人をいう。以下19―1―4において同じ。)が被災事業者となった場合 当該新設法人又は当該特定新規設立法人の基準期間がない事業年度のうち最後の事業年度終了の日と指定日とのいずれか遅い日

(2) 被災事業者が、被災日(事業者が被災事業者となった日をいう。以下19―1―3において同じ。)前又は被災日から指定日以後2年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に、法第12条の41((高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例))に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合に該当していた又は該当することとなった場合 当該該当していた又は該当することとなった場合における高額特定資産の仕入れ等の日(同項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める日をいう。)の属する課税期間の末日と指定日とのいずれか遅い日

(3) 被災事業者が、被災日前又は被災日から指定日以後2年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に、租特法第86条の56((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))に規定する高額特定資産等に係る棚卸資産の調整を受けることとなった場合に該当することとなった場合 当該調整を受けることとなった場合に該当することとなった日の属する課税期間の末日と指定日とのいずれか遅い日

(調整対象固定資産の仕入れ等を行った新設法人等である被災事業者の納税義務の判定)

19―1―4 被災事業者のうち通則法第11((災害等による期限の延長))の規定の適用を受けた新設法人若しくは特定新規設立法人又は租特法第86条の54((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))に規定する届出書を同項括弧書に規定する日までに提出した新設法人若しくは特定新規設立法人は、同項の規定により法第12条の22((新設法人の納税義務の免除の特例))又は法第12条の33((特定新規設立法人の納税義務の免除の特例))の規定が適用されないこととなる。

したがって、これら新設法人又は特定新規設立法人の基準期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条第1((小規模事業者に係る納税義務の免除))又は法第9条の21((前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例))の規定によることとなるのであるから留意する。

(29課消2―5追加)

() 当該新設法人又は当該特定新規設立法人が、合併又は分割等により設立された法人である場合には、基準期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条第1項又は法第9条の21項の規定によるほか法第11((合併があった場合の納税義務の免除の特例))又は法第12((分割等があった場合の納税義務の免除の特例))の規定によることとなる。

(届出書の記載事項等)

19―1―5 租特法第86条の51項、第3項、第10項及び第12((納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例))の規定の適用を受けようとする事業者に係るこれらの項に規定する届出書については、法第9条第4((課税事業者の選択))及び法第37条第1((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用を受け又は適用を受けることをやめようとする開始課税期間を所定の欄に明記するとともに、届出書の参考事項欄又は余白に「特定非常災害の被災事業者である」旨を記載するものとする。

(29課消2―5追加、令2課消2―5改正)