〔居住者、非永住者及び非居住者(第345号関係)

(住所の意義)

21 法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。

(注) 国の内外にわたって居住地が異動する者の住所が国内にあるかどうかの判定に当たっては、令第14《国内に住所を有する者と推定する場合》及び第15《国内に住所を有しない者と推定する場合》の規定があることに留意する。

(再入国した場合の居住期間)

22 国内に居所を有していた者が国外に赴き再び入国した場合において、国外に赴いていた期間(以下この項において「在外期間」という。)中、国内に、配偶者その他生計を一にする親族を残し、再入国後起居する予定の家屋若しくはホテルの一室等を保有し、又は生活用動産を預託している事実があるなど、明らかにその国外に赴いた目的が一時的なものであると認められるときは、当該在外期間中も引き続き国内に居所を有するものとして、法第2条第1項第3号及び第4号の規定を適用する。

(国内に居住する者の非永住者等の区分)

23 国内に居住する者については、次により非居住者、非永住者等の区分を行うことに留意する。(平18課個27、課資32、課審489改正)

(1) 入国後1年を経過する日まで住所を有しない場合  入国後1年を経過する日までの間は非居住者、1年を経過する日の翌日以後は居住者

(2) 入国直後には国内に住所がなく、入国後1年を経過する日までの間に住所を有することとなった場合  住所を有することとなった日の前日までの間は非居住者、住所を有することとなった日以後は居住者

(3) 日本の国籍を有していない居住者で、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超える場合  5年以内の日までの間は非永住者、その翌日以後は非永住者以外の居住者

(居住期間の計算の起算日)

24 法第2条第1項第3号に規定する「1年以上」の期間の計算の起算日は、入国の日の翌日となることに留意する。(平18課個27、課資32、課審489改正)

(過去10年以内の計算)

242 法第2条第1項第4号に規定する「過去10年以内」とは、判定する日の10年前の同日から、判定する日の前日までをいうことに留意する。(平18課個27、課資32、課審489追加)

(国内に住所又は居所を有していた期間の計算)

243 法第2条第1項第4号に規定する「国内に住所又は居所を有していた期間」は、暦に従って計算し、1月に満たない期間は日をもって数える。
 また、当該期間が複数ある場合には、これらの年数、月数及び日数をそれぞれ合計し、日数は30日をもって1月とし、月数は12月をもって1年とする。
 なお、過去10年以内に住所又は居所を有することとなった日
(以下この項において「入国の日」という。)と住所又は居所を有しないこととなった日(以下この項において「出国の日」という。)がある場合には、当該期間は、入国の日の翌日から出国の日までとなることに留意する。 (平18課個27、課資32、課審489追加)

 

 

〔人格のない社団等(第8号関係)

(法人でない社団の範囲)

25 法第2条第1項第8号に規定する法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。

1 民法第667《組合契約》の規定による組合

2 商法第535《匿名組合契約》の規定による匿名組合

(法人でない財団の範囲)

26 法第2条第1項第8号に規定する法人でない財団とは、一定の目的を達成するために出えんされた財産の集合体のうち法人格を有しないもので、特定の個人又は法人の所有に属さないで一定の組織による統一された意思の下にその出えん者の意図を実現するために独立して活動を行うものをいう。

(法人でない社団又は財団の代表者又は管理人)

27 法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、その社団又は財団の定款、寄附行為、規則、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、その社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理するなどの業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。

(福利厚生等を目的として組織された従業員団体の収入及び支出)

28 法人(法別表第1《公共法人等の表》に掲げる法人を除く。以下この項において同じ。)の役員(法人税法第2条第15《定義》に規定する役員をいう。以下同じ。)又は使用人をもって組織した団体(以下29において「従業員団体」という。)がこれらの者の親ぼく、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該法人が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業に係る収入及び支出は、その全額が当該法人の収入及び支出の額に含まれるものとする。(昭46直審(所)19改正)

(1) 法人の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることとなっていること。

(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について当該法人の許諾を要するなど、当該法人がその業務の運営に参画していること。

(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該法人が提供していること。

(従業員団体の収入及び支出の特例)

29 28の場合において、当該従業員団体の収入及び支出が、例えば、当該法人からきょ出された部分と構成員から収入した会費等の部分とであん分するなど適正に区分経理されているときは、28にかかわらず、その区分されたところにより当該法人の収入及び支出に含められる収入及び支出の額を計算することができる。

 

〔公社債(第9号関係)

(公債の範囲)

210 法第2条第1項第9号に規定する公債には、外国及び外国の地方公共団体の発行した債券が含まれる。

(社債の範囲)

211 法第2条第1項第9号に規定する社債とは、会社が会社法(平成17年法律第86)その他の法律の規定により発行する債券及び会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券並びに外国法人が発行する債券でこれらに準ずるものをいうのであるから、債券の発行につき法律の規定をもたない会社以外の内国法人が発行するいわゆる学校債又は組合債のようなものは、これに該当しない。(平18課個218、課資310、課審4114、平22課個216、課法91、課審430改正)

() いわゆる学校債、組合債等の利子は、雑所得に該当する。


〔預貯金(第10号関係)

(金融機関の範囲)

212 令第2条本文《預貯金の範囲》に規定する「銀行その他の金融機関」とは、法律の規定により預金又は貯金の受入れの業務を行うことが認められている銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合等をいう。(平15課法83、課個213、課審319、平19課法916、課個227、課審440改正)

(注) 金融機関以外のものに対する寄託金につき受ける利子は、令第2条各号に掲げるものにつき受けるものを除き、雑所得に該当する。


〔棚卸資産(第16号関係)

(棚卸資産に含まれるもの)

213 令第3条第7《棚卸資産の範囲》に掲げる「前各号に掲げる資産に準ずるもの」には、例えば、事業所得を生ずべき事業に係る次に掲げるような資産で一般に販売(家事消費を含む。)の目的で保有されるものが含まれる。(平23課個233、課法99、課審446改正)

1 飼育又は養殖中の牛、馬、豚、家きん、魚介類等の動物

2 定植前の苗木

3 育成中の観賞用の植物

4 まだ収穫しない水陸稲、麦、野菜等の立毛及び果実

5 養殖中ののり、わかめ等の水産植物でまだ採取されないもの

6 仕入れ等に伴って取得した空き缶、空き箱、空き瓶等

 

〔減価償却資産(第19号関係)

(美術品等についての減価償却資産の判定)

214 「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。(昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38、平26課個220、課審526改正)

1 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの

2 1以外の美術品等で、取得価額が1100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)

(注)

1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として個人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。

2 取得価額が1100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。

(貴金属の素材の価額が大部分を占める固定資産)

215 ガラス繊維製造用の白金製溶解炉、光学ガラス製造用の白金製るつぼ、か性カリ製造用の銀製なべのように、素材となる貴金属の価額が取得価額の大部分を占め、かつ、一定期間使用後は素材に還元の上鋳直して再使用することを常態としているものは、減価償却資産に該当しない。(昭55直所319、直法68改正)

(注)

1 これらの資産の鋳直しに要する費用(地金の補給のために要する費用を含む。)は、鋳直しの時において必要経費に算入する。

2 白金ノズルは減価償却資産に該当するのであるが、これに類する工具で貴金属を主体とするものについても、白金ノズルに準じて減価償却をすることができるものとする。

(現にか動していない資産)

216 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供される令第6《減価償却資産の範囲》に規定する資産は、現にか動していない場合であっても、これらの業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでもか動し得る状態にあるときは、減価償却資産に該当する。(昭55直所319、直法68改正)

(注) 他の場所においてこれらの業務の用に供するために移設中の資産については、その移設期間がその移設のために通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができる。

(建設又は製作中の資産)

217 建設又は製作中の建物、機械及び装置等の資産は、減価償却資産に該当しないのであるが、その完成した部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されている場合には、その部分は減価償却資産に該当する。

(温泉利用権)

218 温泉を利用する権利は、令第6条第8号ニに掲げる水利権に準ずる減価償却資産とする。

(注) この権利の取得価額については499、償却費の計算については4926参照

(工業所有権の実施権等)

2182 他の者の有する工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権をいう。以下同じ。)について実施権又は使用権を取得した場合におけるその取得のために要した金額については、当該工業所有権に準じて取り扱う。(昭55直所319、直法68追加)

(注) 償却費の計算については、49262参照

(出漁権等)

219 許可漁業の出漁権、繊維工業における織機の登録権利、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく許可、認可、登録、割当て等に係る権利は、令第6条第8号ヲに掲げる営業権に該当するものとし、これらの権利に基づいて業務の活動を開始した日において業務の用に供されたものとする。この場合において、これらの権利を取得した者がその取得により可能となった業務の拡大のために必要な設備等を新たに取得することとなるときは、例えば、許可漁業の出漁権については当該許可に基づく出漁の用に供する船舶を発注するなど、当該業務の拡大に具体的に着手した日から業務の用に供されたものとする。(昭55直所319、直法68、平11課所41、平11課所425、平13課個230、課資33、課法89、令2課個212、課法113、課審56改正)

(注) これらの権利の取得価額については、4910参照

(無形固定資産の業務の用に供した時期)

220 令第6条第8号に掲げる無形固定資産のうち、現に営む業務の遂行上必要な漁業権、工業所有権及び樹木採取権については、その取得の日から業務の用に供されたものとして差し支えない。(昭55直所319、直法68、令2課個212、課法113、課審56改正)

(公共下水道施設の使用のための負担金)

221 下水道法第2条第3《公共下水道の定義》に規定する公共下水道を使用する排水設備の新設又は拡張をする者が、その新設又は拡張により必要となる公共下水道の改築に要する費用を負担して取得する当該公共下水道を使用する権利は、令第6条第8号タに掲げる水道施設利用権に準ずる減価償却資産とする。(昭49直所223、平11課所41、平12課所430改正)

(電気通信施設利用権の範囲)

222 令第6条第8号ソに掲げる電気通信施設利用権とは、電気通信事業法施行規則第2条第2項第1号から第3号まで((用語))に規定する電気通信役務の提供を受ける権利のうち電話加入権(加入電話契約に基づき加入電話の提供を受ける権利をいう。)及びこれに準ずる権利を除く全ての権利をいうのであるから、例えば「電信役務」、「専用役務」、「データ通信役務」、「デジタルデータ伝送役務」、「無線呼出し役務」等の提供を受ける権利は、これに該当する。(昭49直所223、昭60直所31、直法61、直資31、昭60直所321、直資35、平2直所39、直法67、平8課所410、課資34、平11課所41、平12課所430、平16課個223、課資37、課法88、課審433、平23課個233、課法99、課審446、平28課個222、課審518、令2課個212、課法113、課審56改正)

223 削除(昭49直所223、昭51直所31、直法61、直資31、昭60直所321、直資35改正)

 

〔繰延資産(第20号関係)

(公共的施設の設置又は改良のために支出する費用)

224 令第7条第1項第3号イ《公共的施設等の負担金》に掲げる「自己が便益を受ける公共的施設……の設置又は改良のために支出する費用」とは、次に掲げる費用をいう。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 自己の必要に基づいて行う道路、堤防、護岸、その他の施設又は工作物(以下この項において「公共的施設」という。)の設置又は改良(以下この項において「設置等」という。)のために要する費用(自己の利用する公共的施設につきその設置等を国又は地方公共団体(以下この項において「国等」という。)が行う場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金を含む。)又は自己の有する道路その他の施設又は工作物を国等に提供した場合における当該施設又は工作物の帳簿価額に相当する金額

(注) 国等に資産を提供した場合には、措置法第40条第1《国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税》の規定により、法第59条第1項第1《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》の規定の適用については、当該資産の提供がなかったものとみなされる。

2 国等の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金(土地所有者又は借地権を有する者が土地の価格の上昇に基因して納付するものを除く。)

3 鉄道業を営む法人の行う鉄道の建設に当たり支出するその施設に連絡する地下道等の建設に要する費用の一部の負担金

(共同的施設の設置又は改良のために支出する費用)

225 令第7条第1項第3号イに掲げる「自己が便益を受ける……共同的施設の設置又は改良のために支出する費用」とは、その者の所属する協会、組合、商店街等の行う共同的施設の建設又は改良に要する費用の負担金をいう。この場合において、共同的施設の相当部分が貸室に供されるなど協会等の本来の用以外の用に供されているときは、その部分に係る負担金は、協会等に対する寄附金となることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(簡易な施設の負担金の必要経費算入)

226 国、地方公共団体、商店街等の行う街路の簡易舗装、街灯、がんぎ等の簡易な施設で主として一般公衆の便益に供されるもののために充てられる負担金は、これを繰延資産としないでその支出の日の属する年分の必要経費に算入することができる。

(資産を賃借するための権利金等)

227 令第7条第1項第3号ロ《資産を賃借するための権利金等》に掲げる費用には、次のようなものが含まれる。(昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用

(注) 建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する年分の必要経費に算入することができる。

2 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用

(ノーハウの頭金等)

228 ノーハウの設定契約に際して支出する一時金又は頭金の費用は、令第7条第1項第3号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に掲げる費用に該当する。ただし、ノーハウの設定契約において、頭金の全部又は一部を使用料に充当する旨の定めがある場合又は頭金の支払により一定期間は使用料を支払わない旨の定めがある場合には、当該頭金の額のうちその使用料に充当される部分の金額又はその支払わないこととなる使用料の額に相当する部分の金額は、これを繰延資産としないで前払費用として処理することができる。(昭49直所223、昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) 前払費用として処理した頭金の額についてその使用料に充当すべき期間又は使用料を支払わない期間を経過してなお残額があるときは、その残額は当該期間を経過した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

(ソフトウェアの開発費用)

2282 削除(昭55直所319、直法68追加、平12課所430改正)

(広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用)

229 令第7条第1項第3号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に掲げる「製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用」とは、自己の製品等の広告宣伝等のため、特約店等に対し広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳、陳列棚、自動車のような資産(展示用モデルハウスのように見本としての性格を併せ有するものを含む。以下この項において同じ。)を贈与した場合(その資産を取得することを条件として金銭を贈与した場合又はその贈与した資産の改良等に充てるために金銭等を贈与した場合を含む。)又は著しく低い対価で譲渡した場合における当該資産の価額又は当該資産の価額からその対価の額を控除した金額に相当する費用をいう。(昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) 当該資産を自己の用に供しないで贈与又は譲渡したものである場合には、「当該資産の価額」は「当該資産の取得価額」とすることができる。

(スキー場のゲレンデ整備費用)

2292 積雪地帯におけるスキー場(その土地が主として他の者の所有に係るものに限る。)においてリフト、ロープウエイ等の索道事業を営む者が当該スキー場に係る土地をゲレンデとして整備するために立木の除去、地ならし、沢の埋立て、芝付け等の工事を行った場合には、その工事に要した費用は、令第7条第1項第3号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に掲げる費用に該当するものとする。
 当該スキー場において旅館、食堂、土産物店等を経営する者が当該費用の額の全部又は一部を負担した場合のその負担した額についても、同様とする。
(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注)

1 既存のゲレンデについて支出する次のような費用の額は、その支出した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

1 おおむねシーズンごとに行う傾斜角度の変更その他これに類する工事のために要する費用

2 崩落地の修復、補強等の工事のために要する費用

3 シーズンごとに行うブッシュの除去、芝の補植その他これらに類する作業のために要する費用

2 自己の土地をスキー場として整備するための土工工事(他の者の所有に係る土地を有料のスキー場として整備するための土工工事を含む。)に要する費用の額は、構築物の取得価額に算入する。

(出版権の設定の対価)

2293 著作権法第79条第1《出版権の設定》に規定する出版権の設定の対価として支出した金額は、令第7条第1項第3号ホに掲げる費用に該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) 例えば、漫画の主人公を商品のマーク等として使用する等他人の著作物を利用することについて著作権者等の許諾を得るために支出する一時金の費用は、出版権の設定の対価に準じて取り扱う。

(同業者団体等の加入金)

2294 同業者団体等(社交団体を除く。)に対して支出した加入金(その構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金を除く。)は、令第7条第1項第3号ホに掲げる費用に該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(職業運動選手等の契約金等)

2295 職業運動選手等との専属契約をするために支出する契約金等は、令第7条第1項第3号ホに規定する繰延資産に該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) セールスマン、ホステス等の引抜料、仕度金等の額は、その支出をした日の属する年分の必要経費に算入することができる。

 

〔変動所得(第23号関係)

(漁獲の意義)

230 令第7条の2《変動所得の範囲》に規定する漁獲とは、水産動物を捕獲することをいう。したがって、例えば、こんぶ、わかめ、てんぐさ等の水産植物の採取又はこい等の水産動物の養殖は、これに含まれない。(昭49直所223、昭57直所315、直法613、直資38改正)

(漁獲、採取又は養殖から生ずる所得の意義)

231 令第7条の2の漁獲、採取又は養殖から生ずる所得とは、自己が捕獲、採取又は養殖をした水産動物又はのりをそのまま販売することにより生ずる所得をいうのであるが、自己が捕獲、採取又は養殖をした水産動物又はのりに切断、乾燥、冷凍、塩蔵等の簡易な加工を施して販売することにより生ずる所得も、これに含まれるものとする。(昭49直所223改正)

(著作権の使用料に係る所得)

232 令第7条の2に規定する「著作権の使用料に係る所得」には、著作権者以外の者が著作権者のために著作物の出版等による利用に関する代理若しくは媒介をし、又は当該著作物を管理することにより受ける対価に係る所得は含まれない。(昭49直所223改正)


〔臨時所得(第24号関係)

(契約の範囲)

233 令第8条第1号又は第2《臨時所得の範囲》に規定する契約には、最初に締結する契約のほか、その契約を更新し又は更改する契約も含まれる。

(報酬年額又は使用料年額の意義)

234 令第8条第1号又は第2号に規定する「報酬の年額」又は「使用料の年額」とは、契約締結の際において見積もった報酬又は使用料のいわゆる平年額をいうものとする。

(使用料年額の2倍以上かどうかの判定)

235 令第8条第2号に規定する「権利金、頭金その他の対価」が同号に規定する「使用料の年額の2倍に相当する金額以上」であるかどうかは、契約ごとに判定する。

(補償金に係る所得)

236 令第8条第3号及び第4号に掲げる補償金に係る所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額には、いわゆる収益補償金のほか、経費補償金、棚卸資産の対価補償金、固定資産の遊休期間中における減耗補償金等も含まれるのであるが、固定資産(法第33条第2項第1《譲渡所得に含まれないもの》に掲げる所得の基因となる資産を除く。以下この項において同じ。)の除却若しくは譲渡に係る対価補償金又は資産の移転若しくは移築の費用に充てるための費用補償金は、これに含まれない。

() 固定資産の除却又は譲渡に係る対価補償金は譲渡所得の収入金額となり、資産の移転又は移築の費用に充てるための費用補償金は、法第44《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》の規定に該当するものを除き、一時所得の収入金額となる。

(臨時所得に該当するもの)

237 次に掲げるものに係る所得は、令第8条の臨時所得に該当する。(昭49直所223改正)

1 3年以上の期間にわたる不動産の貸付けの対価の総額として一括して支払を受ける賃貸料で、その全額がその年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきもの

2 不動産の賃貸人が、賃借人の交替又は転貸により賃借人又は転借人(前借人を含む。)から支払を受けるいわゆる名義書換料、承諾料その他これらに類するもの(その交替又は転貸後の貸付期間が3年以上であるものに限る。)で、その金額がその交替又は転貸後に当該賃貸人が支払を受ける賃貸料の年額の2倍に相当する金額以上であるもの(譲渡所得に該当するものを除く。)

3 令第8条第2号に規定する不動産、不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものに係る損害賠償金その他これに類するもので、その金額の計算の基礎とされた期間が3年以上であるもの(譲渡所得に該当するものを除く。)

4 金銭債権の債務者から受ける債務不履行に基づく損害賠償金及び通則法第58条第1《還付加算金》又は地方税法第17条の41《還付加算金》に規定する還付加算金で、その金額の計算の基礎とされた期間が3年以上であるもの

 

〔障害者(第28号関係)

(障害者として取り扱うことができる者)

238 身体障害者手帳の交付を受けていない者又は戦傷病者手帳の交付を受けていない者であっても、次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、令第10条第1項第3号又は第4《障害者及び特別障害者の範囲》に掲げる者に該当するものとして差し支えない。この場合において、その障害の程度が明らかに同条第2項第3号又は第4号に規定する障害の程度であると認められる者は、法第2条第1項第29号に掲げる特別障害者に該当するものとして差し支えない。(平元直所314、直法69、直資38、平26課個2-9、課審5-14改正)

1 その年分の法第112条第1《予定納税額の減額の承認の申請手続》に規定する申請書、確定申告書、給与所得者の扶養控除等申告書、退職所得の受給に関する申告書又は公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出する時において、これらの手帳の交付を申請中であること、又はこれらの手帳の交付を受けるための身体障害者福祉法第15条第1《身体障害者手帳》若しくは戦傷病者特別援護法施行規則第1条第4《手帳の交付の請求》に規定する医師の診断書を有していること。

2 その年1231日その他障害者であるかどうかを判定すべき時の現況において、明らかにこれらの手帳に記載され、又はその交付を受けられる程度の障害があると認められる者であること。

(常に就床を要し複雑な介護を要する者)

239 令第10条第1項第6号に掲げる「常に就床を要し、複雑な介護を要する者」とは、その年1231日その他障害者であるかどうかを判定すべき時の現況において、引き続き6月以上にわたり身体の障害により就床を要し、介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる者をいうものとする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)


〔寡婦及びひとり親(30、第31号関係)

(寡婦の要件としての扶養親族の有無)

240 法第2条第1項第30号イ(1)に掲げる要件については、その者が扶養控除の規定の適用を受ける控除対象扶養親族又はその者の控除対象扶養親族以外の扶養親族(法第85条第5項の規定の適用がある場合には、同項の規定によりその者の扶養親族に該当する者に限る。)を有することをいうのであるから留意する。(昭49直所223、平16課個223、課資37、課法88、課審433、平22課個216、課法91、課審430、令2課個212、課法113、課審56改正)

(合計所得金額の計算)

241 法第2条第1項第30号イ(2)に規定する合計所得金額の計算に当たっては、次のことに留意する。(平16課個223、課資37、課法88、課審433追加、平18課個27、課資32、課審489、平19課法916、課個227、課審440、令2課個212、課法113、課審56改正)

1 法第9((非課税所得))、第10((障害者等の少額預金の利子所得等の非課税))その他の法令に規定する非課税所得の金額は、含まれないものであること。

2 法その他の法令に規定する所得計算の特例の適用を受けた場合には、その適用後の所得の金額により計算すること。

 () 措置法に規定する課税長期譲渡所得金額又は課税短期譲渡所得金額を計算する場合における特別控除額の控除は、 上記の所得計算の特例には当たらないことに留意する。

(生死が明らかでない者の範囲)

242 令第11条第3号又は第4《寡婦の範囲》に規定する危難に遭遇した者で、同一の危難に遭遇した者について既に死亡が確認されているなど、当該危難の状況からみて生存していることが期待できないと認められるものについては、当該危難があった時からこれらの号に掲げる者に該当するものとして差し支えない。この場合において、後日その者の生存が確認されたときにおいても、その確認された日前の寡婦又はひとり親の判定については影響がないものとする。(昭49直所223、昭57直所31、令2課個212、課法113、課審56改正)


〔勤労学生(第32号関係)

(通信教育生)

243 学校教育法第1《学校の範囲》に規定する学校の学生又は生徒には、通信教育生でその課程を履修した後は通信教育生以外の一般の学生等と同一の資格を与えられるものも含まれる。

(給与所得等以外の所得に係る部分の金額が10万円以下であるかどうかの判定)

244 合計所得金額の計算上法第69《損益通算》の規定の適用がある場合には、法第2条第1項第32号本文に規定する「合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が10万円以下」であるかどうかは、合計所得金額から同号に規定する給与所得等(以下この項において「給与所得等」という。)の金額の合計額を控除した残額により判定する。この場合において、同号に規定する事業所得に損失が生じているときは、その損失の金額を同号に規定する給与所得、退職所得及び雑所得の金額の合計額から控除した残額を給与所得等の金額の合計額とする。(昭60直所31、直法61、直資31、平23課個233、課法99、課審446改正)

(注) 上記の取扱いは、例えば、

 不動産所得の損失の金額

△55万円

 事業所得の損失の金額

△10万円

 給与所得の金額

50万円

 山林所得の金額

60万円

 総所得金額

0

 山林所得金額

45万円

 合計所得金額

45万円

の場合のように損益通算の結果、合計所得金額の全てが山林所得金額(給与所得等以外の所得に係る部分の金額)からなるものとされる場合であっても、法第2条第1項第32号の規定の適用に当たっては、次に掲げる算式により給与所得等以外の所得に係る部分の金額を求めることとしたものである。

 給与所得の金額50万円-事業所得の損失の金額10万円=給与所得等の金額40万円

 合計所得金額45万円-給与所得等の金額40万円=給与所得等以外の所得に係る部分の金額5万円

(職業に必要な技術の教授をする課程の意義)

245 令第11条の32項第1《勤労学生の範囲》に規定する「職業に必要な技術の教授をする」課程とは、一定の資格、特殊な技能又は専門的な知識を必要とする職業におけるその一定の資格の取得又は特殊な技能若しくは専門的な知識の習得に必要な学科、実技等の教授をする課程をいうものとする。(昭46直審(所)19、昭60直所321、直資35改正)


〔同一生計配偶者等(第33号から第33号の4まで関係)

(配偶者)

246 法に規定する配偶者とは、民法の規定による配偶者をいうのであるから、いわゆる内縁関係にある者は、たとえその者について家族手当等が支給されている場合であっても、これに該当しない。(平18課個218、課資310、課審4114改正)

(注) 外国人で民法の規定によれない者については、法の適用に関する通則法(平成18年法律第78)の規定によることに留意する。

(生計を一にするの意義)

247 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

1 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

 イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

 ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

2 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

(青色事業専従者等の範囲)

248 法第2条第1項第33号に規定する「青色事業専従者等」とは、その配偶者が居住者の同一生計配偶者に該当するかどうかを判定する場合における当該居住者又は当該居住者と生計を一にする居住者の青色事業専従者等をいうのであるから、例えば年の中途までこれらの者以外の者の青色事業専従者等であった場合であっても、これらの者の青色事業専従者等に該当しないときは、同号の青色事業専従者等に含まれないことに留意する。(昭63直所33、直法62、直資32追加、平元直所314、直法69、直資38、平29課法1013、課個222、課審58改正)

〔扶養親族(第34号関係)

(青色事業専従者に該当する者で給与の支払を受けるもの及び事業専従者に該当するものの範囲)

2482 法第2条第1項第34号かっこ内に規定する「第57条第1項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第3項に規定する事業専従者に該当するもの」については、248の取扱いに準ずる。(平29課法1013、課個222、課審58追加)

(里親に委託された児童及び養護受託者に委託された老人の範囲)

249 法第2条第1項第34号に規定する「里親に委託された児童」は、扶養親族であるかどうかを判定すべき時の現況において、原則として、年齢が18歳未満の者に限られ、また、同号に規定する「養護受託者に委託された老人」は、当該判定すべき時の現況において、原則として、年齢が65歳以上の者に限られることに留意する。(平2直所39、直法67、平5課所41、平15課個223、課資37、課法811、課審437、平19課個211、課資31、課法95、課審426、平19課個231、課審444改正)

(注)

1 児童福祉法第4条第1《児童の定義》、同法第31条第2《在所年齢の延長等》、老人福祉法第5条の41《福祉の措置の実施者》及び同法第11条第1項第3《老人ホームへの入所等》参照

2 当該児童の委託を受けた里親又は当該老人の委託を受けた養護受託者であるかどうかは、それぞれ各都道府県に備え付けてある里親登録簿又は市町村に備え付けてある養護受託者登録簿に記載されているところにより判定することができる。


〔特別農業所得者(第35号関係)

(たばこ耕作者についての特別農業所得者の判定)

250 たばこ耕作者が特別農業所得者に該当するかどうかの判定に当たっては、葉たばこの刈取り後の農家における通常の熟成の過程の完了する時期が91日以後となるものについては、その所得は91日以後に生ずるものとして差し支えない。この場合において、通常の熟成の過程の完了する時期とは、葉たばこを積み重ねて発酵させ、化学変化を起こさせるいわゆる堆積発酵の過程の完了する時期をいい、その時期が明らかでない場合には、刈取り時からおおむね2月の期間を経過した時期とする。

 

法第3《居住者及び非居住者等の区分》関係

(船舶、航空機の乗組員の住所の判定)

31 船舶又は航空機の乗組員の住所が国内にあるかどうかは、その者の配偶者その他生計を一にする親族の居住している地又はその者の勤務外の期間中通常滞在する地が国内にあるかどうかにより判定するものとする。

(学術、技芸を習得する者の住所の判定)

32 学術、技芸の習得のため国内又は国外に居住することとなった者の住所が国内又は国外のいずれにあるかは、その習得のために居住する期間その居住する地に職業を有するものとして、令第14条第1《国内に住所を有する者と推定する場合》又は第15条第1《国内に住所を有しない者と推定する場合》の規定により推定するものとする。

(国内に居住することとなった者等の住所の推定)

33 国内又は国外において事業を営み若しくは職業に従事するため国内又は国外に居住することとなった者は、その地における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、それぞれ令第14条第1項第1号又は第15条第1項第1号の規定に該当するものとする。

 

〔法第7《課税所得の範囲》関係〕

(特定有価証券の意義)

71 令第17条第1項((非永住者の課税所得の範囲))に規定する「特定有価証券」とは、有価証券で次に掲げるものをいうことに留意する。(平29課個213、課資33、課審55追加)

1 譲渡(令第17条第1項に規定する譲渡をいう。以下この項において同じ。)の日の10年前の日以前に取得をしたもの

2 譲渡の日の10年前の日の翌日から当該譲渡の日までの期間に取得をしたもので、その者が非永住者でなかった期間に取得をしたもの

3 平成29年3月31日以前に取得をしたもの(1)又は(2)に該当するものを除く。)

(非永住者に係る課税標準の計算……送金を受領しなかった場合)

72 非国外源泉所得(令第17条第4項第1号ただし書に規定する非国外源泉所得をいう。以下75までにおいて同じ。)及び国外源泉所得(同項に規定する国外源泉所得をいう。以下75までにおいて同じ。)を有する非永住者で国外から送金を受領しなかったものに係る課税標準は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次により計算する。(昭46直審(所)19、平23課個233、課法99、課審446改正、平2824、課法118、課審55、平29課個213、課資33、課審55改正)

1 国外源泉所得に係る所得で国内の支払に係るものがない場合
非国外源泉所得に係る全ての所得について法第2編第2章第1
《課税標準》から第3《損益通算及び損失の繰越控除》までの規定により総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。

2 国外源泉所得に係る所得で国内の支払に係るものがある場合

イ 非国外源泉所得及び国外源泉所得の別ごとに法第23《利子所得》から第35《雑所得》まで(令第17条第4項第2号後段に規定する所得については、同号後段)の規定により各種所得の金額(各種所得のうち損失を生じているものについては、その損失の金額。以下73までにおいて同じ。)を計算する。

ロ イにより計算した各種所得の金額のうち国外源泉所得に係るものについては、令第17条第4項第3号の規定を適用して国内の支払に係る各種所得の金額を計算する。

ハ イにより計算した非国外源泉所得に係る各種所得の金額とロにより計算した国外源泉所得に係る各種所得で国内の支払に係るものの金額とを同種類のものごとに合計する。

ニ ハにより合計したそれぞれの各種所得の金額で令第17条第4項第2号後段に規定する所得に係るものについては、その所得の種類に応じ、それぞれ次により計算する。

(イ) 給与所得又は退職所得については、それぞれ法第28条第2項及び第4《給与所得》又は第30条第2《退職所得》の規定により給与所得の金額又は退職所得の金額を計算する。

(ロ) 山林所得、譲渡所得又は一時所得については、それぞれ法第32条第4《山林所得》、第33条第4《譲渡所得》又は第34条第3《一時所得》に規定する特別控除額を控除し、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は一時所得の金額を計算する。

ホ ハ及びニにより計算した各種所得の金額を基として、法第22《課税標準》の規定により総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。

(非永住者に係る課税標準の計算……送金を受領した場合)

73 非国外源泉所得及び国外源泉所得を有する非永住者で国外から送金を受領したものに係る課税標準は、次により計算する。(平2824、課法118、課審55、平29課個213、課資33、課審55改正)

1 非国外源泉所得及び国外源泉所得の別ごとに法第23条から第35条まで(令第17条第4項第2号後段に規定する所得については、同号後段)の規定により各種所得の金額を計算する。

2 1により計算した非国外源泉所得及び国外源泉所得の別ごとの各種所得の金額を、令第17条第4項第3号の規定により、それぞれ国内の支払に係るものと国外の支払に係るものとに区分する。

3 2により区分した国外の支払に係る各種所得の金額について、非国外源泉所得及び国外源泉所得の別ごとに令第17条第4項第2号前段に規定する合計額(以下この項において「国外払の合計額」という。)を計算する。この場合において、国外源泉所得に係る国外払の合計額が赤字となるときは、送金があったものとみなされる金額はないものとして、次の(4)の計算は行わない。

4 送金の受領額から3により計算した非国外源泉所得に係る国外払の合計額を控除した残額(当該国外払の合計額が赤字の場合には、当該送金の受領額に相当する金額)(3)により計算した国外源泉所得に係る国外払の合計額とのうちいずれか少ない金額の送金があったものとみなし、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次によりその送金があったものとみなされる各種所得の金額を計算する。

イ 国外源泉所得に係る各種所得で国外の支払に係るものが1種類だけの場合  送金があったものとみなされる金額を当該各種所得の金額とする。

ロ 国外源泉所得に係る各種所得で国外の支払に係るものが2種類以上ある場合  令第17条第4項第4号の規定を適用して送金があったものとみなされる当該各種所得の金額を計算する。

5 1により計算した非国外源泉所得に係る各種所得の金額、(2)により区分した国外源泉所得に係る各種所得で国内の支払に係るものの金額及び(4)のイ又はロにより求めた各種所得の金額を同種類のものごとに合計する。

6 5により合計したそれぞれの各種所得の金額で令第17条第4項第2号後段に規定する所得に係るものについては、722のニと同様に当該各種所得の金額を計算する。

7 5及び6により計算した各種所得の金額を基として、法第22条の規定により総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。

(国内において支払われたものの意義)

74 法第7条第1項第2号に掲げる「国内において支払われ……たもの」とは、次に掲げるようなものをいう。(平29課個213、課資33、課審55改正)

1 その非永住者の国外にある営業所等と国外の顧客との間に行われた商取引の対価で、為替等によりその非永住者の国内にある営業所等に直接送付され、若しくは当該国内にある営業所等に係る債権と相殺され、又は当該国内にある営業所等の預金口座に直接振り込まれたもの

2 その非永住者の国外にある不動産等の貸付けによる賃貸料で、為替等によりその非永住者に直接送付され、又はその非永住者の国内にある預金口座に直接振り込まれたもの

(確定申告等の時までに支払がない所得の支払地の推定)

75 非国外源泉所得又は国外源泉所得でその年分の確定申告書の提出又は更正若しくは決定を行う時までにまだ支払われていないものがある場合において、これらの所得が国内又は国外のいずれにおいて支払われるか明らかでないときは、例えば、同種の取引に係る所得の過去における支払地、国外にある営業所等、国外における受領者とみられる家族等又は国外にある預金口座の有無等の具体的事情に応じ、国内又は国外のいずれにおいて支払われることとなるかを適正に推定するものとする。(平2824、課法118、課審55、平29課個213、課資33、課審55改正)

(送金の範囲)

76 法第7条第1項第2号に規定する送金には、国内への通貨の持込み又は小切手、為替手形、信用状その他の支払手段による通常の送金のほか、次に掲げるような行為が含まれる。(平19課法916、課個227、課審440、平29課個213、課資33、課審55改正)

1 貴金属、公社債券、株券その他の物を国内に携行し又は送付する行為で、通常の送金に代えて行われたと認められるもの

2 国内において借入れをし又は立替払を受け、国外にある自己の預金等によりその債務を弁済することとするなどの行為で、通常の送金に代えて行われたと認められるもの

 

〔傷病者の恩給等(第3号関係)

(労働基準法による遺族補償及び葬祭料)

9-1 労働基準法第8《災害補償》の規定により受ける補償のうち、同法第79《遺族補償》及び第80《葬祭料》の規定により受ける遺族補償(同法第82《分割補償》に規定する分割補償のうち遺族補償に係る部分を含む。)及び葬祭料は、令第30《非課税とされる保険金、損害賠償金等》に規定する非課税所得に該当する。

(非課税とされる年金の範囲)

9-2 法第9条第1項第3号ロに掲げる年金には、次に掲げるものが含まれる。(昭63直法6-1、直所3-1改正)

1 死亡した者の勤務に基づき、使用者であった者から当該死亡した者の遺族に支給される年金

2 死亡した者がその勤務に直接関連して加入した社会保険又は共済に関する制度、退職年金制度等に基づき、当該死亡した者の遺族に支給される年金で、当該死亡した者が生存中に支給を受けたとすれば法第35条第3《雑所得》の規定によりその者の公的年金等とされるもの


〔旅費(第4号関係)

(非課税とされる旅費の範囲)

9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

1 その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

2 その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

(非課税とされる旅費の範囲を超えるものの所得区分)

9-4 法第9条第1項第4号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な支出に充てるものとして支給される金品の額が、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲の金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その超える部分の金額を生じた旅行の区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得の収入金額又は総収入金額に算入する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30改正)

1 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するためにした旅行 給与所得

2 給与所得を有する者が転任に伴う転居のためにした旅行 給与所得

3 就職をした者がその就職に伴う転居のためにした旅行 雑所得

4 退職をした者がその退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得

5 死亡による退職をした者の遺族がその死亡による退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得(法第9条第1項第16号の規定により非課税とされる。)

(非常勤役員等の出勤のための費用)

9-5 給与所得を有する者で常には出勤を要しない次に掲げるようなものに対し、その勤務する場所に出勤するために行う旅行に必要な運賃、宿泊料等の支出に充てるものとして支給される金品で、社会通念上合理的な理由があると認められる場合に支給されるものについては、その支給される金品のうちその出勤のために直接必要であると認められる部分に限り、法第9条第1項第4号に掲げる金品に準じて課税しなくて差し支えない。

1 国、地方公共団体の議員、委員、顧問又は参与

2 会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与

(災害地に派遣された職員に支給される災害派遣手当)

9-6 災害対策基本法第31条《職員の派遣義務》の規定により災害地に派遣された職員に対し、その派遣を受けた都道府県又は市町村から同法第32条《派遣職員の身分取扱い》の規定により支給される災害派遣手当については、その職員が本来の勤務地を離れて災害地に滞在するために必要な宿泊等の費用を弁償するものであると認められる部分に限り、法第9条第1項第4号に掲げる金品に準じて課税しなくて差し支えない。


〔通勤手当(第5号関係)

9-62 削除(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46削除)

(新幹線通勤の場合の非課税とされる通勤手当)

9-63 令第20条の2に規定する「その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も含まれるものとする。(平14課法8-5、課個2-7、課審3-142追加)

(注) 「最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」の中には、令第167条の31 項第1号に規定する「特別車両料金等」は含まれないことに留意する。


〔現物給与(第6号関係)

(船員法第80条第1項の規定の適用がない漁船の乗組員に支給される食料)

9-7 船員法第80条第1項《食料の支給》の規定の適用がない漁船の乗組員に対しその乗船中に支給される食料については、その乗組員の勤務がその漁船の操業区域において操業する他の同項の規定の適用がある漁船の乗組員の勤務に類すると認められる場合に支給されるものに限り、令第21条第1号《非課税とされる職務上必要な給付》に掲げる食料に準じて課税しなくて差し支えない。(平25課個2-8、課法9-3、課審5-28改正)

(制服に準ずる事務服、作業服等)

9-8 専ら勤務場所のみにおいて着用する事務服、作業服等については、令第21条第2号及び第3号に規定する制服に準じて取り扱って差し支えない。

(職務の遂行上やむを得ない必要に基づき貸与を受ける家屋等)

9-9 令第21条第4号に規定する「職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するため」に貸与を受ける家屋には、次に掲げるようなものが該当する。(平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)

1 船舶乗組員に対し提供した船室

2 常時交替制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するため常時早朝又は深夜に出退勤をする使用人に対し、その作業に従事させる必要上提供した家屋又は部屋

3 通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする看護師、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な使用人に対し、その職務に従事させる必要上提供した家屋又は部屋

4 次に掲げる家屋又は部屋

イ 早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの使用人に対し提供した部屋

ロ 季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に対し提供した部屋

ハ 鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含む。)に勤務する使用人に対し提供した家屋又は部屋

ニ 工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋

 

(公邸)

9-10 国家公務員宿舎法第10条《公邸》の規定により無料で公邸の貸与を受けることによる利益については、令第21条第4号に掲げる利益に準じて課税しなくて差し支えない。


〔外国公務員等の給与等(第8号関係)

(人的非課税)

9-11 国内に居住する外国の大使、公使及び外交官である大公使館員並びにこれらの配偶者に対しては、課税しないものとする。

(外国政府等に勤務する者の給与)

9-12 法第9条第1項第8号の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。(昭50直所3-4、平5課法8-2、課所4-6改正)

1 その勤務先は、外国政府若しくは外国の地方公共団体又は昭和47128日付大蔵省告示第152号に定める国際機関(以下この項においてこれらを「外国政府等」という。)に限られるのであるから、外国政府等に該当しない法人から受ける給与は、たとえその法人が外国政府等の全額出資に係るものであっても、非課税とならないこと。

(注) 上記の告示に定める国際機関以外の国際機関からその職員が受ける給与についても、条約(例えば、国際連合の特権及び免除に関する条約第5条第18(b)《課税の免除》、専門機関の特権及び免除に関する条約第6条第19(b)《課税の免除》、アジア開発銀行を設立する協定第56条第2《課税の免除》等)により非課税とされる場合があることに留意する。

2 外国政府等に勤務する者で令第24《給与が非課税とされる外国政府職員等の要件》に規定する要件に該当するものが、その勤務により受けるものであっても、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与は、非課税とならないこと。

(注) これらの給与についても、租税条約により非課税とされる場合があることに留意する。

3 その勤務が外国政府又は外国の地方公共団体のために行われるものであっても、例えば、その外国政府又は外国の地方公共団体が舞踊、サーカス、オペラ等の芸能の提供を行っている場合のその業務のように、我が国若しくは我が国の地方公共団体の行う業務以外の業務又は収益を目的とする業務に従事したことにより受ける給与は、非課税とならないこと。

 

 

〔強制換価等による譲渡(第10号関係)

(「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合の意義)

9122 法第9条第1項第10号及び令第26《非課税とされる資力喪失による譲渡所得》に規定する「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合とは、債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合をいい、これに該当するかどうかは、これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する。(昭50直資311、直所319追加、平元直所314、直法69、直資38改正)

(非課税とされる山林の伐採又は譲渡による所得)

9123 法第9条第1項第10号の規定により非課税とされる所得は、資産の譲渡による所得のうち棚卸資産(令第81条各号《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に掲げる資産を含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得以外の所得に限られるから、山林の伐採又は譲渡による所得であっても、営利を目的として継続的に行われる山林の伐採又は譲渡による所得については、法第9条第1項第10号の規定は適用されない。(昭50直資311、直所319追加)

(譲渡対価が債務の弁済に充てられたかどうかの判定)

9124 令第26条に規定する「その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられた」かどうかは、同条に規定する資産の譲渡の対価(当該資産の譲渡に要した費用がある場合には、当該費用に相当する部分を除く。)の全部が当該譲渡の時において有する債務の弁済に充てられたかどうかにより判定する。(昭50直資311、直所319追加、平元直所314、直法69、直資38改正)

(代物弁済)

9125 次に掲げる代物弁済による資産の譲渡に係る所得は、令第26条に規定する「その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたもの」に該当する。(昭50直資311、直所319追加、平元直所314、直法69、直資38改正)

1 債権者から清算金を取得しない代物弁済

2 債権者から清算金を取得する代物弁済で当該清算金の全部を当該代物弁済に係る債務以外の債務の弁済に充てたもの

(注) 清算金とは、代物弁済に係る資産の価額が当該代物弁済に係る債務の額を超える場合におけるその超える金額に相当する金額として債権者から債務者に対し交付される金銭その他の資産をいう。

 

〔証券投資信託の収益の分配(第11号関係)

(収益調整金の意義)

913 令第27《オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち非課税とされるもの》に規定する収益調整金とは、オープン型の証券投資信託の追加信託が行われる際に、黒字の収益調整金として経理された金額をいう。(平元直所314、直法69、直資38改正)

(注) オープン型の証券投資信託の経理処理においては、元本固定方式がとられているため、場合によっては赤字の収益調整金を生ずることもあるが、赤字の収益調整金は、実際に信託された金額が元本額及び黒字の収益調整金として経理した金額の合計額に対して不足していること、すなわち、実際には信託されなかった金額があることを示すものである。

〔学資金(15号関係)

(通常の給与に加算して受ける学資に充てるため給付される金品)

914 法第9条第1項第15号の規定の適用において、学資に充てるため給付される金品(以下9-16までにおいて「学資金」という。)で、給与その他対価の性質を有するもののうち、給与所得を有する者がその使用者から受けるものについて非課税となるのは、通常の給与に加算して受けるものに限られるのであるから、同号イからニまでに掲げる場合に該当しない給付であっても、通常の給与に代えて給付されるものは、非課税とならないことに留意する。(平元直所314、直法69、直資38、平22課個216、課法91、課審430、平28課法101、課個26、課審57改正)

(使用人等に給付される学資金)

915 学資金のうち、法第9条第1項第15号イからニまでに規定する給付(同号ロ及びニに規定する給付にあっては、それぞれ同号ロ及びニに規定する特別の関係がある者に直接支払われるものを含む。)は、原則として、給与所得を有する者に対する給与に該当するのであるから、当該給与所得を有する者に対する給与等(法第28条第1《給与所得》に規定する給与等をいう。917において同じ。)として課税することに留意する。(平元直所314、直法69、直資38、平28課法101、課個26、課審57改正)

(特別の関係がある者が使用人である場合の取扱い)

916 学資金の給付を受ける者が、法第9条第1項第15号ロ又はニに規定する特別の関係がある者であり、かつ、当該給付をする者の使用人(同号イに規定する役員又は同号ハに規定する親族を除く。)である場合には、当該給付が当該特別の関係がある者のみを対象としているときを除き、当該給付は同号ロ又はニに規定する給付には該当しないものとして取り扱って差し支えない。(昭51直所31、直法61、直資31追加、平元直所314、直法69、直資38、平28課法101、課個26、課審57改正)

〔国等の子育て支援金等の助成(16号関係)

(費用の範囲)

9162 法第9条第1項第16号に規定する業務又は施設の利用に要する費用には、当該業務又は施設の利用料そのもののほか、主食費、副食費、交通費、教材費等の費用も含まれることに留意する。(令3課個2-10、課法11-28、課審5-4追加)

(非課税とされる金品の範囲)

9163 法第9条第1項第16号に規定する事業により国又は地方公共団体から、他の者から受ける役務提供の対価の支払又は物品の購入に利用することのできる証券等の交付を受け、その受けた証券等を同号に規定する費用(以下この項において「子育て費用」という。)に充てた場合において、その充てた部分と子育て費用に充てた部分以外の部分とを区分しているときには、その充てた部分に係る証券等は同条第1項の規定の適用があることに留意する。(令3課個2-10、課法11-28、課審5-4追加)

〔相続等により取得するもの(第17号関係)

(相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等)

917 死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等(法第30条第1《退職所得》に規定する退職手当等をいう。)で、その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税しないものとする。(昭63直所33、直法62、直資32、平元直所314、直法69、直資38改正)

(注) 上記の給与等、公的年金等及び退職手当等の支給期については、3693610及び3614(1)に定めるところによる。

(年金の総額に代えて支払われる一時金)

918 死亡を年金給付事由とする令第183条第3《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》に規定する生命保険契約等の給付事由が発生した場合で当該生命保険契約等に係る保険料又は掛金がその死亡をした者によって負担されたものであるときにおいて、当該生命保険契約等に基づく年金の受給資格者が当該年金の受給開始日以前に年金給付の総額に代えて一時金の支払を受けたときは、当該一時金については課税しないものとする。(昭49直所223追加、平元直所314、直法69、直資38改正)

〔保険金、損害賠償金等(第18号関係)

(必要経費に算入される金額をほてんするための金額の範囲)

919 令第30条本文かっこ内に規定する「必要経費に算入される金額を補てんするための金額」とは、例えば、心身又は資産の損害に基因して休業する場合にその休業期間中における使用人の給料、店舗の賃借料その他通常の維持管理に要する費用をほてんするものとして計算された金額のようなものをいい、法第51条第1項又は第4《資産損失の必要経費算入》の規定によりこれらの項に規定する損失の金額の計算上控除される保険金、損害賠償金その他これらに類するものは、これに含まれない。(平元直所314、直法69、直資38、平23課個233、課法99、課審446改正)

(身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等)

920 令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。(昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38、平23課個233、課法99、課審446改正)

(注) いわゆる死亡保険金は、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」には該当しないのであるから留意する。

(高度障害保険金等)

921 疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。(昭55直所319、直法68、昭57直所38、平元直所314、直法69、直資38改正)

(所得補償保険金)

922 被保険者の傷害又は疾病により当該被保険者が勤務又は業務に従事することができなかったことによるその期間の給与又は収益のほてんとして損害保険契約に基づき当該被保険者が支払を受ける保険金は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加、平元直所314、直法69、直資38、平23課個233、課法99、課審446改正)

(注) 業務を営む者が自己を被保険者として支払う当該保険金に係る保険料は、当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することができないのであるから留意する。

(葬祭料、香典等)

923 葬祭料、香典又は災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、令第30条の規定により課税しないものとする。(平元直所314、直法69、直資38改正)

(失業保険金に相当する退職手当、休業手当金等の非課税)

924 次に掲げる給付については、課税しないものとする。(昭60直所321、直資35、平元直所314、直法69、直資38、平10課法82、課所45改正、平14課法85、課個27、課審3142、平15課個223、課資37、課法811、課審437改正)

1 国家公務員退職手当法第10《失業者の退職手当》の規定による退職手当

2 次に掲げる休業手当金で、組合員、その配偶者又は被扶養者の傷病、葬祭又はこれらの者に係る災害により受けるもの

イ 国家公務員共済組合法第68《休業手当金》の規定による休業手当金

ロ 地方公務員等共済組合法第70《休業手当金》の規定による休業手当金

ハ 私立学校教職員共済法第25《国家公務員共済組合法の準用》の規定によるイに準ずる休業手当金

3 労働基準法第76条第1《休業補償》に定める割合を超えて休業補償を行った場合の当該休業補償

 

法第10《障害者等の少額預金の利子所得等の非課税》関係

(委託者と受益者とが異なる合同運用信託についての非課税規定の適用)

10-1 法第10条第1項に規定する合同運用信託については、委託者以外の者が受益者となっている場合であっても、その委託者が同項に規定する預入等(以下10-24までにおいて「預入等」という。)をしたものとして、同項の規定を適用する。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8改正)

(利子計算期間の中途で購入した有価証券の利子についての非課税規定の適用)

10-2 その利子について法第10条第1項の規定が適用される有価証券をその発行の日後において購入した場合には、その最初に支払を受ける利子の全額につき同項の規定を適用する。(昭46直審(所)19、昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8改正)

(同一金融機関の営業所等において一般の預貯金と勤務先預け金とについて非課税の規定の適用を受けようとする場合の手続)

10-3 一般の預貯金の受入れをするとともに令第2条第1《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金の受入れをする金融機関の営業所等は、その受け入れる当該預貯金又は当該貯蓄金の別ごとにそれぞれ別個の金融機関の営業所等に該当するものとし、当該金融機関の営業所等に勤務する者が当該預貯金の利子と当該貯蓄金の利子との双方について法第10条第1項の規定の適用を受けようとする場合には、それぞれ別個に非課税貯蓄申告書を提出しなければならないものとする。この場合において、当該貯蓄金につき提出する非課税貯蓄申告書には、当該貯蓄金に係るものであることを適宜表示するものとする。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8改正)

(本邦通貨で表示されたものの意義)

10-4 令第33条第4項本文《利子所得等について非課税とされる預貯金等の範囲》に規定する「本邦通貨で表示されたもの」には、本邦通貨で表示され、確定換算率により外国通貨で支払を行うべき旨の特約がある債券は、含まれないことに留意する。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)

(非課税貯蓄申込書の特例が認められる預貯金等の範囲)

10-5 規則第6条第1項第7号又は第8《非課税貯蓄申込書の特例が認められる預貯金等の範囲等》に掲げる契約には、次に掲げる預貯金等に係る契約で1口座ごとに1通帳とし、かつ、その通帳ごとに限度管理を行うものも含まれるものとする。(昭60直法6-8、直所3-12追加、昭63直法6-7、直所3-8改正)

1通帳式の定期預金(定期貯金を含むものとし、同項第4号に掲げるものを除く。)又は通知預金(通知貯金を含む。)

2通帳式の指定金銭信託及び貸付信託

(普通預金又は普通貯金に相当するもの)

10-6 規則第6条の22《障害者等に該当しないこととなった日以後に預入等をした預貯金等の利子等の計算等》に規定する「令第32条第2号又は第3《金融機関等の範囲》に掲げる者が受入れをする預貯金で普通預金又は普通貯金に相当するもの」に該当するかどうかは、その預貯金の満期日の定めがあるかどうか、利息は毎日又は一定の日の残高を基に累積計算により算出され、毎年一定の時期に支払うこととされているかどうか等を勘案して判定するものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215改正、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32

(同じ日に預入等と払出しが行われた場合の普通預金等に係る限度額の判定)

10-7 令第35条第1《普通預金契約等についての非課税貯蓄申込書の特例》に規定する限度額(以下10-9までにおいて「限度額」という。)を記載した非課税貯蓄申込書に係る預貯金等の口座につき、追加して預入等が行われたため、その現在高が一時的に当該限度額を超えても、その預入等と同じ日に払出しが行われ、その日の最終の現在高が当該限度額以下となっている場合には、当該限度額を超えた預入等はなかったものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

(注) したがって、この場合には、当該限度額を変更するための非課税貯蓄申込書は提出しなくて差し支えないこととなる。

(国外勤務者が追加預入等をした場合の非課税規定の適用関係)

10-8 非課税貯蓄申込書は、国内に住所を有する者(法第3条第1《居住者及び非居住者の区分》の規定により国内に住所を有するものとみなされる国家公務員又は地方公務員(以下この項において「国外勤務の公務員」という。)を除く。)で障害者等(法第10条第1《障害者等の少額預金の利子所得等の非課税》に規定する障害者等をいう。以下10-26までにおいて同じ。)に該当する者だけが提出できるのであるから、国内に住所を有しないこととなった者(障害者等に該当しないこととなった者を除き、障害者等のうち国外勤務の公務員となった者を含む。)に対する法第10条第1項の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平19課法9-16、課個2-27、課審4-40改正)

1その者が国内に住所を有する間に非課税貯蓄申込書を提出して預入等をした預貯金等につき受ける利子、収益の分配又は剰余金の配当(以下10-26までにおいて「利子等」という。)については、国内に住所を有しなくなった後に当該預貯金等の口座にその利子等の繰入れ又は留守宅渡しの給与の振込み等による追加預入等が行われない限り、引き続き同項の規定を適用すること。

2その者が国内に住所を有する間に非課税貯蓄申込書を提出して預入等をした預貯金等の口座に、国内に住所を有しなくなった後に追加預入等をした場合において、その追加預入等が行われた後に当該預貯金等につき受ける利子等については、次によること。

イ その預貯金等が限度額を記載した非課税貯蓄申込書に係るものであるときは、その追加預入等が行われた後の残高が当該限度額以下である限り、同項の規定を適用する。

ロ その預貯金等がイ以外のものであるときは、同項の規定は適用しない。

3その者が国内に住所を有しないこととなってから新規に預入等をする預貯金等の利子等については、その預入等の際に非課税貯蓄申込書を提出しても同項の規定は適用しない。

(元本等の合計額が一時的に非課税貯蓄限度額を超えた預貯金等の利子等の課税関係)

10-9 非課税貯蓄申込書に係る預貯金等の元本等の合計額が利子等の計算期間内のいずれかの日において当該金融機関の営業所等における法第10条第3項第3号に掲げる最高限度額(非課税貯蓄限度額変更申告書が提出されている場合には、その提出の日以後においては、変更後の同号に掲げる最高限度額。以下10-27までにおいて「非課税貯蓄限度額」という。)を超えた場合には、当該預貯金等に係る当該計算期間に対応する利子等については法第10条第1項の規定を適用しないことはいうまでもないが、当該非課税貯蓄限度額を超える部分の金額を引き出したことなどによりその後に開始する利子等の計算期間を通じてその元本等の合計額が当該非課税貯蓄限度額を超えないこととなった場合には、当該利子等の計算期間に対応する利子等については同項の規定を適用することに留意する。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8改正)

(注) 限度額を記載した非課税貯蓄申込書に係る預貯金等の元本等の金額は、当該限度額をいうことに留意する。

(確認書類の範囲)

10-10 法第10条第2項又は第5項に規定する書類(当該書類の写しを含む。以下1025までにおいて「確認書類」という。)には、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる書類を含むものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平19課法9-1、課審4-11、平19課法9-16、課個2-27、課審4-40、平20課個2-17、課審4-186、課法9-3、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平24課法9-6、課個2-44、課審5-40、平25課法9-7、課個2-16、課審5-32、平27課法10-11、課審5-8、平27課法10-16、課審5-13、平28課法10-5、課審5-15、平30課個2-19、課審5-2、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

1 規則第7条第1項各号《障害者等に該当する旨を証する書類の範囲等》に掲げる「障害者等の身体障害者手帳、遺族基礎年金の年金証書その他の財務省令で定める書類」(同項第2号に規定する「妻であることを証する書類」及び同項第13号に規定する「児童の母であることを証する事項の記載がある住民票の写し又は住民票の記載事項証明書」を除く。以下この項において「身体障害者手帳等」という。)

イ 令第31条の28《障害者等の範囲》に規定する障害補償費又は遺族補償費に係る市の長(公害健康被害の補償等に関する法律第4条第3《認定等》に規定する市の長(同項に規定する特別区の長を含む。)をいう。以下この1において同じ。)の支給決定通知書

ロ 公害健康被害の補償等に関する法律第4条第3項の規定に基づく、市の長の同条第2項の規定による認定をした旨を証する書類

ハ 身体障害者手帳等が通知書である場合における当該通知書の改定通知書又は非改定通知書

ニ 身体障害者手帳等が証書である場合における当該証書の改定証書

2 規則第7条第1項第2号に規定する「妻であることを証する書類」

イ 身体障害者手帳等のうち、妻である旨の記載又は妻である旨の略称若しくは記号の記載があるもの

ロ 身体障害者手帳等以外の書類で当該身体障害者手帳等の発行者等が発行したもののうち、妻として年金を受給している旨等が確認できる事項の記載があるもの

ハ 消除された住民票の写し又は消除された住民票に記載された事項に関する証明書

ニ 戸籍(改製原戸籍を含む。)の謄本、抄本若しくは戸籍に記載された事項に関する証明書又は除かれた戸籍の謄本、抄本若しくは除かれた戸籍に記載された事項に関する証明書

ホ 妻である者がいわゆる内縁関係にあった者である場合には、住民票の写し若しくは住民票の記載事項証明書(上記のハの書類を含む。)のうちその旨が確認できるもの、又は年金の裁定を受けるために提出した書類の写しその他の書類で事実上婚姻関係と同様の事情にあった旨が確認できるもの

3 規則第7条第1項第13号に規定する「児童の母であることを証する事項の記載がある住民票の写し又は住民票の記載事項証明書」
 規則第7条第2項第4号に掲げる書類
(次の(4のイからタまでに掲げる書類を含む。)のうち、当該書類の被扶養者欄等に子がいる旨(児童の母である旨)の記載があるもの

4 規則第7条第2項第9号に規定する「官公署から発行され、又は発給された書類その他これらに類するもの」

イ 国民健康保険高齢受給者証
(国民健康保険法施行規則 様式第1号の4、様式第1号の42、様式第1号の5、様式第1号の52

ロ 国民健康保険の退職被保険者に係る被保険者証
(国民健康保険法施行規則 様式第7号、様式第7号の2

ハ 国民健康保険特別療養証明書
(国民健康保険法施行規則 様式第2、様式第2号の2

ニ 健康保険特例退職被保険者証
(健康保険法施行規則 様式第9号(3)(4

ホ 健康保険高齢受給者証
(健康保険法施行規則 様式第10号(1)(2

ヘ 健康保険特別療養証明書
(健康保険法施行規則 様式第12号)

ト 健康保険被保険者受給資格者票
(健康保険法施行規則 様式第16号)

チ 船員保険高齢者受給者証
(船員保険法施行規則 様式第2号)

リ 共済組合組合員被扶養者証
(国家公務員共済組合法施行規則 別紙様式第15号)
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第19号)

ヌ 共済組合高齢受給者証
(国家公務員共済組合法施行規則 別紙様式第15号の3
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第20号)

ル 共済組合特別療養証明書
(国家公務員共済組合法施行規則 別紙様式第24号の2
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第23号)

ヲ 共済組合船員組合員被扶養者証
(国家公務員共済組合法施行規則 別紙様式第40号)
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第41号)

ワ 共済組合任意継続組合員証
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第46号)

カ 共済組合任意継続組合員被扶養者証
(地方公務員等共済組合法施行規程 別紙様式第46号の2

ヨ 私立学校教職員共済資格喪失後継続給付証明書
(日本私立学校振興・共済事業団共済運営規則 様式第16号)

タ 自衛官診療証
(防衛省職員療養及び補償実施規則 別紙様式第12

レ 規則第7条第2項第4号に掲げる書類(上記イからタまでに掲げる書類を含む。)に記載されている被扶養者又は療養者等から提示された当該書類(当該書類に記載されている被保険者又は組合員等と同居している被扶養者又は療養者等から提示されたものに限る。)

ソ 老齢福祉年金の受給者に交付されている国民年金証書
(老齢福祉年金支給規則 様式第4号)

ツ 老人の医療費の助成に関する条例等に基づき、規則第7条第2項第4号に規定する後期高齢者医療の被保険者証に準じて交付される当該助成を受ける資格を証する医療証

ネ 規則第7条第1項第16号に規定する療育手帳の交付を受けることができる者に対し、当該手帳に代えて福祉事務所長等が発行する知的障害者である旨を証する書類

(注)

1

上記4イからネに掲げる書類は、告知等の日(規則第7条第2項第1号に規定する「告知等の日」をいう。以下この項において同じ。)6月以内に作成されたもの(有効期間又は有効期限のあるものにあっては、告知等の日において有効なもの)に限られることに留意する。

2

法第10条第2項の非課税貯蓄申込書の提出をしようとする際、令第41条の21((障害者等に該当する旨を証する書類の範囲等))に規定する障害者等確認書類(以下この項において「障害者等確認書類」という。)に当該障害者等の氏名、生年月日及び住所の記載がされている場合には、金融機関の営業所等の長に当該記載がされた障害者等確認書類を提示することで、同条第1項に規定する住所等確認書類の提示又は当該住所等確認書類の提示に代えて行う法第10条第2項に規定する署名用電子証明書等の送信は要しないことに留意する。

3

法第10条第5項の非課税貯蓄申告書又は同条第4項に規定する非課税貯蓄限度額変更申告書の提出をしようとする際、障害者等確認書類(告知等の日前6月以内に作成されたもの(有効期間又は有効期限のあるものにあっては、告知等の日において有効なもの)に限る。)に当該障害者等の氏名、生年月日及び住所の記載がされている場合には、金融機関の営業所等の長に当該記載がされた障害者等確認書類を提示することで、規則第7条第4項第2号又は第3号の住所等確認書類の提示は要しないこととして差し支えない。

4

令第41条の21項に規定する住所等確認書類の様式が改訂された場合において、当面の間旧様式を使用することができることとされているときは、当該住所等確認書類には当該旧様式を含むものとする。

(有価証券の預入等をする日の意義)

10-11 法第10条第3項に規定する「有価証券の預入等をする日」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日をいうものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平13課法8-2、課個2-7改正)

1 いわゆる新発債 その発行日

2 いわゆる既発債 その受渡日

3 投資信託の受益権 その設定日又は追加設定日

4 特定目的信託の社債的受益権 その設定日又は受渡日

(注) 特定公募公社債等運用投資信託の受益権については、上記3に掲げる日による。

(非課税貯蓄申告書の効力)

10-12 非課税貯蓄申告書(既に非課税貯蓄限度額変更申告書が提出されている場合には、当該非課税貯蓄限度額変更申告書を含む。以下10-13までにおいて同じ。)は、その提出に係る預貯金等の残高がないこととなった場合においても引き続き有効であるから、非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えるかどうかは、非課税貯蓄申告書の提出に係る預貯金等の残高の有無に関係なく当該非課税貯蓄申告書に記載された非課税貯蓄限度額の合計額を基として判定する。(昭46直審(所)19、昭49直所2-23、昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平5課法8-2、課所4-6、平27課法10-16、課審5-13改正)

(注)

1

令第45条第4《非課税貯蓄廃止申告書》の規定により非課税貯蓄廃止申告書の提出があったものとみなされる場合には、既に提出された非課税貯蓄申告書はその効力を失うので、その効力を失った非課税貯蓄申告書に記載されている非課税貯蓄限度額は、非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えるかどうかの判定上除外することに留意する。

2

上記本文及び(注)1中「300万円」とあるのは、租税特別措置法第3条の4の規定により「350万円」とされていることに留意する。以下10-27までにおいて同じ。

(非課税貯蓄限度額の引上げによりその合計額が300万円を超えることとなった非課税貯蓄申告書の効力)

10-13 非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えることとなるにもかかわらず、非課税貯蓄限度額を引き上げるための非課税貯蓄限度額変更申告書が提出された場合には、当該非課税貯蓄限度額変更申告書の提出に係る非課税貯蓄申告書は、当該非課税貯蓄限度額変更申告書の提出の日以後においては、その効力を有しないものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

(郵便等により非課税貯蓄申告書等の提出があった場合)

10-14 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)2条第6((定義))に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便(以下10-15までにおいて「信書便」という。)により金融機関の営業所等に非課税貯蓄申告書、非課税貯蓄限度額変更申告書、非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄に関する異動申告書、非課税貯蓄廃止申告書又は非課税貯蓄相続申込書(以下10-17までにおいて「非課税貯蓄申告書等」という。)の提出があった場合には、当該非課税貯蓄申告書等はその発信の日(郵便物又は同法第2条第3項に規定する信書便物(以下この項において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日)に受理されたものとする。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平15課法8-3、課個2-13、課審3-19、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(注) 金融機関の営業所等の長は、郵便又は信書便による非課税貯蓄申告書等を受理した場合には、当該非課税貯蓄申告書等に当該営業所等における受理日付のほか、郵便又は信書便によって受理した旨及びその郵便物又は信書便物の通信日付印の日付を付記することを要する。

(郵便等により提示された確認書類によって氏名等を確認する場合)

10-15 金融機関の営業所等の長は、郵便又は信書便により確認書類の提示を受けて、氏名、生年月日、住所及び個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)2条第5《定義》に規定する個人番号をいう。以下1026までにおいて同じ。)並びに障害者等に該当する旨を確認した場合には、当該確認書類又はその写しをその確認した日の属する年の翌年から5年間保存しておくものとする。(昭60直法6-8、直所3-12追加、昭63直法6-7、直所3-8、平15課法8-3、課個2-13、課審3-19、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平27課法10-16、課審5-13改正)

(個人の住所と確認書類に記載されている住所とが異なる場合)

10-16 非課税貯蓄申告書等を提出する個人の生活の本拠地である住所と確認書類に記載されている住所とが異なる場合には、当該非課税貯蓄申告書等に記載する住所は規則第7条第2項第1号に掲げる「個人番号カード」又は同項第2号若しくは同条第4項第2号に掲げる「住民票の写し又は住民票の記載事項証明書」に記載されている住所によることとする。(昭60直法6-8、直所3-12追加、昭63直法6-7、直所3-8、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平19課法9-16、課個2-27、課審4-40、平27課法10-16、課審5-13、平28課法10-5、課審5-15、令2課個212、課法113、課審56改正)

(非課税貯蓄申告書等に記載する氏名等)

10-17 非課税貯蓄申告書等には確認書類に記載されている氏名を記載すべきものであるから、預金取引等に雅号、芸名、通称等を使用している場合には、当該非課税貯蓄申告書等には必ず確認書類に記載されている氏名を記載するほか、その預金取引等に使用したその雅号等を付記し、取引名義人と申告者とが同一人であることを明らかにしておかなければならないことに留意する。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8改正)

(預貯金等の移管と非課税貯蓄申告書の効力)

10-18 2以上の金融機関の営業所等を経由して非課税貯蓄申告書を提出した者(移管の時において障害者等に該当する者に限る。)が、その提出後当該金融機関の営業所等の間で法第10条第1項の規定の適用を受ける預貯金等を移管し、当該移管に係る預貯金等につき引き続き同項の規定の適用を受けるため令第43条第2項又は第3《非課税貯蓄に関する異動申告書》の規定により非課税貯蓄に関する異動申告書を提出した場合には、移管前の営業所等を経由して提出した非課税貯蓄申告書はその効力を失うものとする。この場合において、当該非課税貯蓄に関する異動申告書には、移管先の営業所等を経由して既に非課税貯蓄申告書を提出している旨を付記させるものとする。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平10課法8-2、課所4-5、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215改正)

(障害者等に該当しないこととなった者が預貯金等の移管を行った場合)

10-19 2以上の金融機関の営業所等を経由して非課税貯蓄申告書を提出した者でその後障害者等に該当しないこととなった者が、その後当該金融機関の営業所等の間で法第10条第1項の規定の適用を受ける預貯金等を移管して、当該移管に係る預貯金等につき引き続き同項の規定の適用を受けようとする場合には、令第43条第2項から第5項の規定に基づき非課税貯蓄に関する異動申告書及び非課税貯蓄限度額変更申告書を提出する必要があることに留意する。
 この場合、非課税貯蓄限度額変更申告書の「障害者等に該当する事実」欄は記載しないものとする。
(昭63直法6-7、直所3-8追加、平10課法8-2、課所4-5、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平27課法10-16、課審5-13改正)

(注) 非課税貯蓄申告書を提出した個人で障害者等に該当しないこととなった者が、その後、その氏名、住所又は個人番号の変更をした場合には、令第43条第1項に規定する非課税貯蓄に関する異動申告書を提出しなければならないことに留意する。

(住所等の変更と預貯金等の移管とが同時に行われた場合の非課税貯蓄に関する異動申告書)

10-20 非課税貯蓄申告書を提出した者につき、その提出後当該非課税貯蓄申告書に記載した住所又は氏名の変更と当該非課税貯蓄申告書に係る預貯金等の預入先等の移管とが同時に行われた場合には、令第43条第1項及び第2項の規定により提出する非課税貯蓄に関する異動申告書は、それぞれの異動事由に応じて各別に作成することなくその異動事由を一括して作成するものとする。
 この場合において、当該非課税貯蓄に関する異動申告書は、同項に規定する移管前の営業所等及び移管先の営業所等を経由して、異動前の住所地の所轄税務署長に提出させるものとする。
(昭60直法6-8、直所3-12改正)

(非課税規定の適用を受けていた者が死亡した場合の課税関係)

10-21 その利子等について法第10条第1項の規定の適用を受ける預貯金等を有する者が死亡した場合には、当該預貯金等についてその死亡後に支払を受けるべき利子等に対する課税関係は、次によることに留意する。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平7課法8-7、課所4-14、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215、平28課法10-5、課審5-15改正)

1その者の相続人(障害者等に限る。以下10-24までにおいて同じ。)から当該預貯金等について令第47《非課税貯蓄相続申込書》の規定による非課税貯蓄相続申込書の提出があった場合には、当該非課税貯蓄相続申込書を提出した日に当該相続人が非課税貯蓄申込書を提出して当該預貯金等の預入等をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

2 1以外の場合には、令第46条第1《非課税貯蓄者死亡届出書等》の規定による非課税貯蓄者死亡届出書又は同条第2項の規定による書類10-28において「非課税貯蓄者死亡通知書」という。)が提出されたかどうかにかかわらず、次に掲げる預貯金等の利子等を除き、法第10条第1項の規定を適用しない。

イ 当該預貯金等(ロに掲げるものを除く。)については、その死亡した日を含む利子等の計算期間に対応する利子等のうち、死亡した日までの期間に対応する利子等

ロ 令第36条第3《障害者等の少額預金の利子所得等が非課税とされない場合等》に規定する普通預金等については、その死亡した日を含む利子等の計算期間に対応する利子等

(非課税貯蓄者死亡届出書又は非課税貯蓄相続申込書の提出期限等)

10-22 令第46条第1項又は第47条第1項に規定する「支払がされる日」とは、利子等がその元本等に繰り入れられる預貯金等及び利子等がその契約者に送金される預貯金等については当該繰入れ又は送金が行われる日をいい、その他の預貯金等については現実にその支払が行われる日をいう。(昭46直審(所)19、昭60直法6-8、直所3-12改正)

(注) 「利子等がその元本等に繰り入れられる預貯金等」には、普通預貯金、自動継続定期預貯金、その収益を金銭信託口座に振り込むこととしている貸付信託及び累積投資に係る証券投資信託があり、「利子等がその契約者に送金される預貯金等」には、その収益をその生じた都度送金することとしている貸付信託がある。

(非課税貯蓄相続申込書を提出することができる者)

10-23 令第47条第1項に規定する「非課税貯蓄申込書を提出することができる障害者等である者」には、被相続人の預貯金等を相続により取得した相続人のうち、当該相続の開始前に当該預貯金等の受入れをしている金融機関の営業所等を経由して既に当該預貯金等と同一種類の預貯金等につき非課税貯蓄申告書を提出していた者のほか、当該相続の開始後非課税貯蓄相続申込書を提出する時までに当該金融機関の営業所等を経由して当該預貯金等と同一種類の預貯金等につき非課税貯蓄申告書を提出した者も含まれる。(昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平17課法8-9、課個2-33、課審4-215改正)

(非課税貯蓄相続申込書の提出の効果)

10-24 令第47条の規定により相続人が非課税貯蓄相続申込書を提出した場合には、当該非課税貯蓄相続申込書に係る預貯金等は、当該非課税貯蓄相続申込書を提出した日に当該相続人が非課税貯蓄申込書を提出して預入等をしたものとみなされるのであるから、当該預貯金等につき非課税貯蓄相続申込書を提出した日以後最初に支払を受ける利子等に係る預貯金等の元本等の合計額が当該利子等の計算期間を通じて非課税貯蓄限度額を超えないかどうかは、当該利子等の計算期間のうち非課税貯蓄相続申込書の提出の日以後の期間について判定することに留意する。(昭60直法6-8、直所3-12改正)

(非課税貯蓄限度額変更申告書等の提出があった場合の非課税貯蓄申告書写しの訂正)

10-25 非課税貯蓄限度額変更申告書又は非課税貯蓄に関する異動申告書を受理した金融機関の営業所等の長は、これらの申告書を基として、その営業所等において保管する非課税貯蓄申告書写しの記載事項をその都度訂正し、その異動の年月日を付記するとともに、令第41条の32((非課税貯蓄申告書への確認をした旨の記載等》の規定による確認をした旨を記載した事実の記録及び規則第12条第2項((金融機関の営業所等における非課税貯蓄申告書等の写しの作成》の規定による確認書類の名称の記載又は記録をすることにより、当該非課税貯蓄限度額変更申告書又は非課税貯蓄に関する異動申告書の写しの作成を省略することができるものとする。(昭60直法6-8、直所3-12、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(違反預貯金等が発見された場合)

10-26 次に掲げるような事実が発見された場合の法第10条第1項の規定の適用に当たっては、それぞれ次によるものとする。(昭46直審(所)19、昭49直所2-22、昭60直法6-8、直所3-12、昭63直法6-7、直所3-8、平19課法9-1、課審4-11、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平27課法10-16、課審5-13改正)

1非課税貯蓄申告書に記載された氏名、生年月日、住所、個人番号又は障害者等に該当する旨が虚偽である場合  当該非課税貯蓄申告書の提出に係る預貯金等の利子等は、全て課税する。

2非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えている場合  非課税貯蓄申告書(非課税貯蓄限度額変更申告書が提出されているものについては、当該非課税貯蓄限度額変更申告書。以下この項において同じ。)の受理日付の早い順に非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えるかどうかを判定し、それを超えて提出されたこととなる非課税貯蓄申告書の提出に係る預貯金等の利子等10-13によりその効力を有しないこととされた非課税貯蓄申告書の提出に係る預貯金等の利子等については、その効力を有しないこととされた日以後において支払を受けるべきもの)は、全て課税する。

(注) 非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えるかどうかの判定に当たっては、10-12及び10-27参照

(非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えることとなる非課税貯蓄申告書等の効力)

10-27 法第10条第7項の規定に反して提出された非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄限度額変更申告書(以下この項において「非課税貯蓄申告書等」という。)は、その効力を有しないことに留意する。この場合、その効力を有しない非課税貯蓄申告書等に記載された最高限度額は、非課税貯蓄廃止申告書を提出するまでもなく、非課税貯蓄限度額の合計額が300万円を超えることとなるかどうかの判定上除外する。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

 

 

(非課税貯蓄みなし廃止通知書等の書式)

10-28 令第45条第5項に規定する書類(以下この項において「非課税貯蓄みなし廃止通知書」という。)及び非課税貯蓄者死亡通知書の標準的な様式は、それぞれ次の様式1及び様式2とする。(昭60直法6-8、直所3-12追加、昭63直法6-7、直所3-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平10課法8-2、課所4-5改正、平13課法8-2、課個2-7、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平28課法10-5、課審5-15、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

[様式1]

様式1の非課税貯蓄みなし廃止通知書の図

(用紙 規格 A6

 

[様式2]

様式2の非課税貯蓄者死亡通知書の図

(用紙 規格 A6

 

 

法第11《公共法人等及び公益信託等に係る非課税》関係

(非課税申告書の包括的記載及び継続的効力)

11-1 法第11条第3項に規定する申告書(以下11-4までにおいて「非課税申告書」という。)は、同条第1項及び第2項の規定の適用を受けようとする利子、収益の分配又は剰余金の配当(以下11-2までにおいて「利子等」という。)につき、公社債又は貸付信託、公社債投資信託若しくは公社債等運用投資信託の受益権若しくは法第6条の34((受託法人等に関するこの法律の適用))に規定する社債的受益権(以下11-2までにおいてこれらを「公社債等」という。)の債券又は受益権の異なるごと(振替公社債の場合には、その名称及び回号の異なるごと)に提出するものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平11課法8-1、課所4-3、平13課法8-2、課個2-7、平15課法8-3、課個2-13、課審3-19、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平20課個2-26、課法9-6、課審4-210、平21課法9-3、課個2-17、課審4-31、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

この場合において、一の金融機関等の営業所等(令第51条の32項 ((公社債等に係る有価証券の記録等)) に規定する金融機関等の営業所等をいう。以下11-2までにおいて同じ。)を経由して支払を受ける種別、名称及び回号を同一とする2以上の公社債等の利子等につき非課税申告書を同時に提出するときは、これらの非課税申告書は、一の非課税申告書によることができる。
 なお、非課税申告書の提出は当初の1回で足り、当該非課税申告書に係る公社債等につきその提出の時以後にその収入すべき日が到来する利子等の全てについて法第11条第1項及び第2項の規定の適用があることに留意する。

(注) 金融機関等の営業所等の長は、非課税申告書の提出を受けて、法第11条第1項及び第2項の規定を適用する場合には、当該非課税申告書の異なるごとの各別に、当該非課税申告書に係る公社債等の異動状況及び利子等の支払状況等について帳簿を備え常時管理するものとし、当該非課税申告書の写しとともに、その帳簿の閉鎖の日の属する年の翌年から5年間保存しておくものとする。

(非課税申告書の効力)

11-2 令第51条の41((公社債等の利子等に係る非課税申告書の提出))に規定する公共法人等又は公益信託等の受託者(以下11-3までにおいて「公共法人等又は公益信託等の受託者」という。)が、11-1の取扱いによる非課税申告書を提出した後に金融機関等の営業所等に当該非課税申告書に係る利子等につき法第11条第1項及び第2項の規定の適用を受けることを取りやめる旨の申出を行った場合、又は公共法人等若しくは公益信託等の受託者が非課税申告書を提出した後に当該非課税申告書に係る公社債等につき振替口座簿への記載若しくは記録(以下11-3までにおいて「振替記載等」という。)の抹消又は保管の委託の取りやめを行った場合には、これらの非課税申告書は、その申出又は振替記載等の抹消若しくは保管の委託の取りやめがあった日以後に収入すべき日の到来する利子等につき効力を失う。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平11課法8-1、課所4-3、平13課法8-2、課個2-7、平15課法8-3、課個2-13、課審3-19、平20課個2-26、課法9-6、課審4-210、平21課法9-3、課個2-17、課審4-31、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

(振替記載等の期間の通算)

11-3 公共法人等又は公益信託等の受託者が自ら所有する貸付信託の受益権につき支払を受ける収益の分配で、当該支払を受ける収益の分配の計算期間のうちに、その収益の分配の支払を受ける公共法人等又は公益信託等の受託者以外の者が振替記載等を受け、又は保管の委託をした期間がある場合には、その者が次に掲げる者であり、当該期間((3に掲げる者が保管の委託をしていた期間を除く。)がその収益の分配の支払を受ける公共法人等又は公益信託等の受託者が振替記載等を受け、又は保管の委託をした期間と引き続いているときに限り、当該期間も令第51条第2((貸付信託の受益権の収益の分配のうち公共法人等が引き続き所有していた期間の金額)) に規定する「振替口座簿に記載若しくは記録を受け、又は保管の委託をしている期間」に含まれるものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平3直法6-1、直所3-3、平4課法8-5、課所4-3改正、平13課法8-2、課個2-7改正、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正、平15課法8-3、課個2-13、課審3-19改正、平17課法8-2、課個2-19、課審4-89、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平24課法9-6、課個2-44、課審5-40、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

1.      1  公共法人等又は公益信託等の受託者

2.      2  国

3.      3  措置法第8条第1((金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用)) に規定する金融機関

4.      4  法第2条第1項第5号に規定する非居住者又は同項第7号に規定する外国法人で、租税条約の規定により所得税が免除されるその租税条約のわが国以外の締約国の居住者又は法人とされるもの(外国政府、外国中央銀行、外国の地方公共団体又は外国政府若しくは外国の地方公共団体の所有する機関を含み、貸付信託の受益権の収益の分配に係る所得税が免除されるものに限る。)

5.      5  アジア開発銀行又は国際復興開発銀行などその設立に関する協定によりわが国の租税が免除されている国際機関等

(非課税申告書等の税務署長への送付等)

11-4 令第51条の41項に規定する「支払者」が非課税申告書を受理した場合には、その受理した日の属する月の翌月10日までに、当該申告書を同項に規定する所轄税務署長に送付するものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平13課法8-2、課個2-7改正、平13課法8-2、課個2-7、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

 

法第12《実質所得者課税の原則》関係

(資産から生ずる収益を享受する者の判定)

121 法第12条の適用上、資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する。

(事業から生ずる収益を享受する者の判定)

122 事業から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その事業を経営していると認められる者(以下125までにおいて「事業主」という。)がだれであるかにより判定するものとする。

(夫婦間における農業の事業主の判定)

123 生計を一にしている夫婦間における農業の事業主がだれであるかの判定をする場合には、両者の農業の経営についての協力度合、耕地の所有権の所在、農業の経営についての知識経験の程度、家庭生活の状況等を総合勘案して、その農業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該農業の事業主に該当するものと推定する。この場合において、当該支配的影響力を有すると認められる者がだれであるかが明らかでないときには、生計を主宰している者が事業主に該当するものと推定する。ただし、生計を主宰している者が会社、官公庁等に勤務するなど他に主たる職業を有し、他方が家庭にあって農耕に従事している場合において、次に掲げる場合に該当するときは、その農業(次の(4)に掲げる場合に該当するときは、特有財産に係る部分に限る。)の事業主は、当該家庭にあって農耕に従事している者と推定する。

1 家庭にあって農耕に従事している者がその耕地の大部分につき所有権又は耕作権を有している場合(婚姻後に生計を一にする親族から耕作権の名義の変更を受けたことにより、その耕地の大部分につき所有権又は耕作権を有するに至ったような場合を除く。)

2 農業が極めて小規模であって、家庭にあって農耕に従事している者の内職の域を出ないと認められる場合

3 (1)又は(2)に該当する場合のほか、生計を主宰している者が、主たる職業に専念していること、農業に関する知識経験がないこと又は勤務地が遠隔であることのいずれかの事情により、ほとんど又は全く農耕に従事していない場合(その農業が相当の規模であって、生計を主宰している者を事業主とみることを相当とする場合を除く。)

4 (1)から(3)までに掲げる場合以外の場合において、家庭にあって農耕に従事している者が特有財産である耕地を有している場合

(注) 「家庭にあって農耕に従事している場合」には、従来家庭にあって農耕に従事していた夫婦の一方が、病気療養に専念するため、たまたまその年の農耕に従事しなかったような場合も含まれる。

(親子間における農業の事業主の判定)

124 生計を一にしている親子間における農業の事業主がだれであるかの判定をする場合には、両者の年齢、農耕能力、耕地の所有権の所在等を総合勘案して、その農業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該農業の事業主に該当するものと推定する。この場合において、当該支配的影響力を有すると認められる者がだれであるかが明らかでないときには、次に掲げる場合に該当する場合はそれぞれ次に掲げる者が事業主に該当するものと推定し、その他の場合は生計を主宰している者が事業主に該当するものと推定する。

1 親と子が共に農耕に従事している場合  当該従事している農業の事業主は、親。ただし、子が相当の年齢に達し、生計を主宰するに至ったと認められるときは、子

2 生計を主宰している親が会社、官公庁等に勤務するなど他に主たる職業を有し、子が主として農耕に従事している場合  当該従事している農業の事業主は、子。ただし、子が若年であるとき、又は親が本務の傍ら農耕に従事しているなど親を事業主とみることを相当とする事情があると認められるときは、親

3 生計を主宰している子が会社、官公庁等に勤務するなど他に主たる職業を有し、親が主として農耕に従事している場合  当該従事している農業の事業主は、123のただし書に準じて判定した者

(親族間における事業主の判定)

125 生計を一にしている親族間における事業(農業を除く。以下この項において同じ。)の事業主がだれであるかの判定をする場合には、その事業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該事業の事業主に該当するものと推定する。この場合において、当該支配的影響力を有すると認められる者がだれであるかが明らかでないときには、次に掲げる場合に該当する場合はそれぞれ次に掲げる者が事業主に該当するものと推定し、その他の場合は生計を主宰している者が事業主に該当するものと推定する。

1 生計を主宰している者が一の店舗における事業を経営し、他の親族が他の店舗における事業に従事している場合又は生計を主宰している者が会社、官公庁等に勤務し、他の親族が事業に従事している場合において、当該他の親族が当該事業の用に供されている資産の所有者又は賃借権者であり、かつ、当該従事する事業の取引名義者(その事業が免許可事業である場合には、取引名義者であるとともに免許可の名義者)である場合  当該他の親族が従事している事業の事業主は、当該他の親族

2 生計を主宰している者以外の親族が医師、歯科医師、薬剤師、弁護士、税理士、公認会計士、あん摩マッサージ指圧師等の施術者、映画演劇の俳優その他の自由職業者として、生計を主宰している者とともに事業に従事している場合において、当該親族に係る収支と生計を主宰している者に係る収支とが区分されており、かつ、当該親族の当該従事している状態が、生計を主宰している者に従属して従事していると認められない場合  当該事業のうち当該親族の収支に係る部分の事業主は、当該親族

3 (1)又は(2)に該当する場合のほか、生計を主宰している者が遠隔地において勤務し、その者の親族が国もとにおいて事業に従事している場合のように、生計を主宰している者と事業に従事している者とが日常の起居を共にしていない場合  当該親族が従事している事業の事業主は、当該親族

 

法第13《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》関係

(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)

131 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下136までにおいて同じ。)における受益者(同条第2項の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下136までにおいて同じ。)は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、残余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

132 受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該信託の受益者のその年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入することに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の額の計算)

133 受益者等課税信託の受益者の当該受益者等課税信託に係る各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する額は、当該信託の信託財産から生ずる利益又は損失をいうのではなく、当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該受益者のこれらの金額として計算したところによることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(権利の内容に応ずることの例示)

134 令第52条第4《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定の適用に当たって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が2以上の受益者の有する権利の目的となっているときは、当該目的となっている部分については、当該各受益者が、各自の有する権利の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用することに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(信託による資産の移転等)

135 委託者と受益者がそれぞれ一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

1 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該信託の受託者への移転

2 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転

(注) これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。

(信託の受益者としての権利の譲渡等)

136 受益者等課税信託の受益者がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)

137 法第13条第1項に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1《残余財産の帰属》に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(1) 同項第2号に規定する帰属権利者(以下138において「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)

(2) 委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1《委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例》に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(3) 委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(受益者とみなされる委託者)

138 法第13条第2項の規定により受益者とみなされる者には、同項に規定する信託の変更をする権限を現に有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

(2) 信託法第182条第2項に掲げる信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下この項において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合

 

 

 

法第23《利子所得》関係

(預貯金の利子に該当するもの)

23-1 次に掲げる金額又は利子は、法第23条第1項に規定する預貯金の利子に該当する。(平5課法8-2、課所4-6、平8課法8-2、課所4-5、平18課個2-7、課資3-2、課審4-89改正)

1.   1 法人税法第2条第7《定義》に規定する協同組合等で預貯金の受入れをするものがその預貯金につき支払う同法第60条の21項第1《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》に掲げる金額

2.   2 いわゆる金融債を発行する銀行その他の金融機関がその発行に係る払込金を払込期日前に受け入れた場合においてその払込期日前の期間に対応して支払う利子

3.   3 銀行その他の金融機関がいわゆる定期積金契約の中途解約前の期間又は満期後の期間に対応して支払う利子

4.   4 銀行が銀行法第2条第4《定義等》の契約の中途解約前の期間又は満期後の期間に対応して支払う利子

5.   5 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第1条第1《兼営の認可》に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関が信託業務として引き受けた財産の整理又は債権の取立て等の代理事務に関連して取得管理する金銭につき支払う利子

(注) 信託銀行が貸付信託契約の募集期間中の期間又は満期後の期間に対応して支払う収益の分配は、法第23条第1項に規定する合同運用信託の収益の分配に該当する。


法第24《配当所得》関係

(剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配に含まれるもの)

24-1 法第24条第1項に規定する「剰余金の配当」、「利益の配当」及び「剰余金の分配」には、剰余金又は利益の処分により配当又は分配をしたものだけでなく、法人が株主等に対しその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益が含まれる。(平13課法8-2、課個2-7改正、課法8-6、課個2-17、課審3-89、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)

(配当等に含まれないもの)

24-2 法人が株主等に対してその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であっても、法人の利益の有無にかかわらず供与することとしている次に掲げるようなもの(これらのものに代えて他の物品又は金銭の交付を受けることができることとなっている場合における当該物品又は金銭を含む。)は、法人が剰余金又は利益の処分として取り扱わない限り、配当等(法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下同じ。)には含まれないものとする。(平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)

1.   1 旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券等

2.   2 映画、演劇等の興行業を営む法人が自己の興行場等において上映する映画の鑑賞等をさせるために交付する株主優待入場券等

3.   3 ホテル、旅館業等を営む法人が自己の施設を利用させるために交付する株主優待施設利用券等

4.   4 法人が自己の製品等の値引販売を行うことにより供与する利益

5.   5 法人が創業記念、増資記念等に際して交付する記念品

(注) 上記に掲げる配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。

24-3 削除(昭46直審(所)19、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平3直法6-1、直所3-3、平4課法8-5、課所4-3改正、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89改正、平17課法8-2、課個2-19、課審4-89改正、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114削除)

24-4 削除(昭46直審(所)19、平3直法6-1、直所3-3改正、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89削除)

(株式等を取得するために要した負債の利子)

24-5 法第24条第2項ただし書に規定する「株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子」については、次のことに留意する。

1.   1 株式その他配当所得を生ずべき元本(以下24-10までにおいて「株式等」という。)を取得するために要した負債の利子で、その年中における当該株式等の所有期間に対応して計算された金額は、当該負債によって取得した株式等の配当等からだけでなく、他の株式等の配当等からも控除できること。

2.   2 負債によって取得した株式等を処分した場合には、その処分した時までの期間の利子に限り控除できること。

(株式等の譲渡による所得がある場合の負債の利子)

24-6 その年において措置法第37条の101項又は第37条の111項の規定の適用を受ける所得(以下24-62までにおいて「株式等に係る譲渡所得等」という。)又は法第22《課税標準》若しくは第165《総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算》の規定の適用を受ける株式等の譲渡による所得で事業所得又は雑所得に該当するもの(以下24-62までにおいて「総合課税の株式等に係る事業所得等」という。)を有する者が負債により取得した株式等を有する場合において、当該負債をこれらの所得の基因となった株式等を取得するために要したものとその他のものとに明確に区分することが困難なときは、次の算式により計算した金額を配当所得の金額の計算上控除すべき負債の利子の額とすることができるものとする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平11課所4-25、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

株式等の取得するために要した負債の利子の総額×配当所得の収入金額÷(配当所得の収入金額+その利子の額を差し引く前の株式等に係る譲渡所得等の金額及び総合課税の株式等に係る事業所得等の金額)

(配当所得の収入金額を超える負債の利子)

24-6224-6の場合において、24-6に掲げる算式により計算した金額が配当所得の収入金額を超えるときは、その超える部分の金額を、株式等に係る譲渡所得等の金額又は総合課税の株式等に係る事業所得等の金額の計算上控除して差し支えない。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平11課所4-25改正)

(負債を借り換えた場合)

24-7 株式等を取得するために要した負債を借り換えた場合には、借換え前の負債の額と借換え後の負債の額とのうち、いずれか少ない金額を借換え後の当該株式等を取得するために要した負債の額とする。

(負債により取得した株式等の一部を譲渡した場合)

24-8 負債により取得した株式等の一部を譲渡した場合には、その譲渡後の残余の株式等に係る負債の額は、その負債によって取得した株式等の銘柄ごとに次の算式により計算した金額とするものとする。

当該譲渡直前における当該銘柄の株式等を所得するために要した負債の額×当該譲渡直後の当該銘柄の株式等の数÷当該譲渡直前に有していた当該銘柄の株式等の総数

(注) その譲渡後その負債の一部を弁済したときは、その弁済はその譲渡した株式等に係る負債から順次行われたものとする。

(負債により取得した株式等を買い換えた場合)

24-9 負債により取得した株式等の全部又は一部を譲渡し、更に他の株式等を取得した場合には、当該他の株式等を取得するために要した負債の額は、当該譲渡した株式等を取得するために要した負債の残存額(その額が当該譲渡した株式等の譲渡代金を超える場合には、当該超える部分の金額を除く。)と当該他の株式等を取得するに際し新たに借り入れた負債の額との合計額(当該合計額が当該他の株式等を取得するために要した金額を超える場合には、当該超える部分の金額を除く。)とする。

(負債の利子につき月数あん分を行う場合)

24-10 令第59条第1((配当所得の金額の計算上控除する負債の利子))の規定による負債の利子の月数あん分は、株式等を年の中途において取得し又は譲渡した場合で、当該株式等に係る負債の利子がその年11日から1231日までの期間について計算されたものであるときに限り行うことに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

24-11 削除(昭49直所2-23追加、平15課個2-23、課資3-7、課法8-11、課審4-37改正、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114削除)

 

法第26《不動産所得》関係

(船舶の範囲等)

261 法第26条第1項に規定する船舶には、船舶法第20《小型船舶及び櫓擢船に対する適用除外》に規定する船舶及び舟は含まれないものとする。したがって、総トン数20トン未満の船舶及び端舟その他ろかいのみで運転し、又は主としてろかいで運転する舟の貸付けによる所得は、事業所得又は雑所得に該当する。

(ケース貸し)

262 いわゆるケース貸しは、不動産の貸付けに該当する。

(用船契約に係る所得)

263 いわゆる裸用船契約に係る所得は、法第26条第1項に規定する船舶の貸付けによる所得に該当し、船員とともに利用させるいわゆる定期用船契約又は航海用船契約に係る所得は、事業所得又は雑所得に該当する。
 航空機の貸付けに係る所得についても、これに準ずる。

(アパート、下宿等の所得の区分)

264 アパート、下宿等の所得の区分については、次による。

1 アパート、貸間等のように食事を供さない場合の所得は、不動産所得とする。

2 下宿等のように食事を供する場合の所得は、事業所得又は雑所得とする。

(広告等のため土地等を使用させる場合の所得)

265 広告等のため、土地、家屋の屋上又は側面、塀等を使用させる場合の所得は、不動産所得に該当する。

(借地権の存続期間の更新の対価等)

266 借地権、地役権等の存続期間の更新の対価として支払を受けるいわゆる更新料に係る所得及び借地権者等の変更に伴い支払を受けるいわゆる名義書換料に係る所得は、その実質が契約の更改に係るものであり、かつ、令第79《資産の譲渡とみなされる行為》の規定の適用があるものを除き、不動産所得に該当する。

(不動産業者が販売の目的で取得した不動産を一時的に貸し付けた場合の所得)

267 不動産業者が販売の目的で取得した土地、建物等の不動産を一時的に貸し付けた場合における当該貸付けによる所得は、不動産業から生ずる事業所得に該当する。この場合において、その貸し付けた不動産が建物その他使用又は時の経過により減価する資産であるときは、当該資産につき減価償却資産に準じて計算した償却費の額に相当する金額を当該事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるものとする。

(寄宿舎等の貸付けによる所得)

268 事業所得を生ずべき事業を営む者が、当該事業に従事している使用人に寄宿舎等を利用させることにより受ける使用料に係る所得は、当該事業から生ずる所得に該当する。

(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)

269 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。

1 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。

2 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。


法第27《事業所得》関係

(貸衣装等の譲渡による所得)

271 貸衣装業における衣装類の譲渡、パチンコ店におけるパチンコ器の譲渡、養豚業における繁殖用又は種付用の豚の譲渡、養鶏業における採卵用の鶏の譲渡のように、事業の用に供された固定資産を反復継続して譲渡することが当該事業の性質上通常である場合における当該固定資産の譲渡による所得は、事業所得に該当する。(昭51直所31、直法61、直資31、昭55直所319、直法68、平11課所41改正)

(注) 当該固定資産が令第81条第2号又は第3《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に規定する「その者の業務の性質上基本的に重要なもの」であっても、上記の場合に該当するときは、当該固定資産の譲渡による所得は、事業所得に該当する。
 なお、「その者の業務の性質上基本的に重要なもの」の意義については、3312参照

(有料駐車場等の所得)

272 いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する。

(バンガロー等の貸付けによる所得)

273 観光地、景勝地、海水浴場等におけるバンガロー等で季節の終了とともに解体、移設又は格納することができるような簡易な施設の貸付けによる所得は、事業所得又は雑所得に該当する。

(金融業者が担保権の実行等により取得した資産の譲渡等による所得)

274 金融業を営む者が担保権の実行又は代物弁済等により取得した土地、建物、機械又は車両等の資産を譲渡した場合における当該譲渡による所得及び当該資産を一時的に貸し付けたことによる所得は、金融業から生ずる事業所得に該当する。この場合において、その一時的に貸し付けた資産が建物その他使用又は時の経過により減価する資産であるときは、当該資産につき減価償却資産に準じて計算した償却費の額に相当する金額を当該事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるものとする。

(注)

1 担保権の実行又は代物弁済等により資産を取得(いわゆる譲渡担保のような債権を担保するための形式的な取得を除く。)した場合において、当該資産の取得時における価額が貸金等の額を超えるときは、その超える部分に相当する金額は、その資産の取得の時において事業所得の金額の計算上総収入金額に算入することとなる。

2 機械、車両等の動産の貸付けによる所得は、その貸付けが一時的なものでない場合でも、事業所得となる。

(事業の遂行に付随して生じた収入)

275 事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた次に掲げるような収入は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38、平13課個230、課資33、課法89改正)

1 事業の遂行上取引先又は使用人に対して貸し付けた貸付金の利子

2 事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品

3 新聞販売店における折込広告収入

4 浴場業、飲食業等における広告の掲示による収入

5 医師又は歯科医師が、休日、祭日又は夜間に診療等を行うことにより地方公共団体等から支払を受ける委嘱料等

(注) 地方公共団体等から支給を受ける委嘱料等で給与等に該当するものについては、2892参照

6 事業用固定資産に係る固定資産税を納期前に納付することにより交付を受ける地方税法第365条第2《固定資産税に係る納期前の納付》に規定する報奨金

(金銭の貸付けから生ずる所得が事業所得であるかどうかの判定)

276 金銭の貸付け(手形の割引、譲渡担保その他これらに類する方法による金銭の交付を含む。以下この項において同じ。)による所得が事業所得に該当するかどうかは、その貸付口数、貸付金額、利率、貸付けの相手方、担保権の設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況その他諸般の状況を総合勘案して判定する。

(競走馬の保有に係る所得が事業所得に該当するかどうかの判定)

277 その年の競走馬の保有に係る所得が事業所得に該当するかどうかは、その規模、収益の状況その他の事情を総合勘案して判定するのであるが、次の(1)又は(2)のいずれかに該当する場合には、その年の競走馬の保有に係る所得は、事業所得に該当するものとする。(昭49直所223追加)

1 その年において、競馬法第14《馬の登録》(同法第22《準用規定》において準用する場合を含む。)の規定による登録を受けている競走馬(以下この項において「登録馬」という。)でその年における登録期間が6月以上であるものを5頭以上保有している場合

2 次のイ及びロの事実のいずれにも該当する場合

イ その年以前3年以内の各年において、登録馬(その年における登録期間が6月以上であるものに限る。)2頭以上保有していること。

ロ その年の前年以前3年以内の各年のうちに、競走馬の保有に係る所得の金額が黒字の金額である年が1年以上あること。

(注) 競走馬の生産その他競走馬の保有に直接関連する事業を営む者がその事業に関連して保有している競走馬の保有に係る所得は、事業所得に該当する。

 

法第28《給与所得》関係

(宿日直料)

281 宿直料又は日直料は給与等(法第28条第1項に規定する給与等をいう。以下同じ。)に該当する。ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につき支給される金額(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事の価額を除く。)のうち4,000(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しないものとする。(昭45直審(所)55、昭48直法529、直所270、昭49直法68、直所330、昭51直法612、直所327、昭61直法612、直所320、平3課法84、課所43、平4課法88、課所410、平6課法88、課所412、平7課法86、課所412、平8課法84、課所49、平9課法84、課所412、平10課法85、課所49改正)

1 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料

2 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料

3 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を「給与比例額」という。)により支給される宿直料又は日直料(当該宿直料又は日直料が給与比例額とそれ以外の金額との合計額により支給されるものである場合には、給与比例額の部分に限る。)

(同一人が宿直と日直とを引き続いて行った場合)

282 同一人が宿直と日直とを引き続いて行った場合(土曜日等通常の勤務時間が短い日の宿直で、宿直としての勤務時間が長いため、通常の日の宿直料よりも多額の宿直料が支給される場合を含む。)には、通常の宿直又は日直に相当する勤務時間を経過するごとに宿直又は日直を1回行ったものとして、281のただし書の取扱いを適用する。

(年額又は月額により支給される旅費)

283 職務を遂行するために行う旅行の費用に充てるものとして支給される金品であっても、年額又は月額により支給されるものは、給与等とする。ただし、その支給を受けた者の職務を遂行するために行う旅行の実情に照らし、明らかに法第9条第1項第4《非課税所得》に掲げる金品に相当するものと認められる金品については、課税しない。

(役員等に支給される交際費等)

284 使用者から役員又は使用人に交際費、接待費等として支給される金品は、その支給を受ける者の給与等とする。ただし、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、課税しない。

(雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等)

285 使用者から役員又は使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とする。ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない。

286 削除(昭63直法61、直所31改正)

(委員手当等)

287 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。(平2直法65、直所36改正)

(地方自治法の規定による費用の弁償)

288 地方自治法第203条第2((議員報酬、費用弁償及び期末手当))及び同法第203条の23((報酬及び費用弁償))の規定により受ける費用の弁償は、法第9条第1項第4号に掲げる金品に該当するものその他その職務を行うために要した費用の弁償であることが明らかなものを除き、給与等とする。(昭46直審(所)19、平22課個216、課法91、課審430改正)

(非常勤の消防団員が支給を受ける各種の手当等)

289 消防組織法第18《消防団》の規定に基づき市町村に設置された消防団に勤務する非常勤の消防団員が当該市町村から支給を受ける各種の手当等については、次による。(昭46直審(所)19追加、昭60直法65、直所36、昭63直法67、直所38、平19課法99、課個220、課審432改正)

1 当該非常勤の消防団員が、消防、水防等のために出動した場合に支給を受ける出動手当、警戒手当、訓練手当等で、その者の出動の回数に応じて支給されるもの(以下この項において「出動手当等」という。)については、288の「その職務を行うために要した費用の弁償」に該当するものとして差し支えない。

2 当該非常勤の消防団員が、その者の出動の回数に関係なくあらかじめ定められている年額、月額等によって支給を受ける報酬については、その年中の支給額が5万円以下であるものに限り、課税しなくて差し支えない。

(医師又は歯科医師が支給を受ける休日、夜間診療の委嘱料等)

2892 医師又は歯科医師が、地方公共団体等の開設する救急センター、病院等において休日、祭日又は夜間に診療等を行うことにより地方公共団体等から支給を受ける委嘱料等は、給与等に該当する。(昭55直所319、直法68追加)

(注) 地方公共団体等から支払を受ける委嘱料等に係る所得で、事業所得に該当するものについては、275(5)参照

(派遣医が支給を受ける診療の報酬等)

2893 大学病院の医局等若しくは教授等又は医療機関のあっせんにより派遣された医師又は歯科医師が、派遣先の医療機関において診療等を行うことにより当該派遣先の医療機関から支給を受ける報酬等は、給与等に該当する。(昭55直所319、直法68、追加、平19課法916、課個227、課審440改正)

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1.   大学病院の医局等とは、大学の医学部、歯学部若しくはその附属病院又はこれらの教室若しくは医局をいう。

2.   教授等とは、大学病院の医局等の教授、准教授、講師、助教又は助手をいう。

(給与等の受領を辞退した場合)

2810 給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。

(注) 既に支給期が到来した給与等の受領を辞退した場合については、181223共-2及び181223共-3参照

 

法第30《退職所得》関係

(退職手当等の範囲)

301 退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しないことに留意する。

(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)

302 引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、301にかかわらず、退職手当等とする。(昭51直所31、直法61、直資31、平16課個223、課資37、課法88、課審433改正)

1 新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度若しくは確定拠出年金制度への移行等相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合において、使用人に対し当該制定又は改正前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

(注)

1 上記の給与は、合理的な理由による退職金制度の実質的改変により精算の必要から支払われるものに限られるのであって、例えば、使用人の選択によって支払われるものは、これに当たらないことに留意する。

2 使用者が上記の給与を未払金等として計上した場合には、当該給与は現に支払われる時の退職手当等とする。この場合において、当該給与が2回以上にわたって分割して支払われるときは、令第77((退職所得の収入の時期))の規定の適用があることに留意する。

2 使用人から役員になった者に対しその使用人であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与(退職給与規程の制定又は改正をして、使用人から役員になった者に対しその使用人であった期間に係る退職手当等を支払うこととした場合において、その制定又は改正の時に既に役員になっている者の全員に対し当該退職手当等として支払われる給与で、その者が役員になった時までの期間の退職手当等として相当なものを含む。)

3 役員の分掌変更等により、例えば、常勤役員が非常勤役員(常時勤務していない者であっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められるものを除く。)になったこと、分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上減少)したことなどで、その職務の内容又はその地位が激変した者に対し、当該分掌変更等の前における役員であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

4 いわゆる定年に達した後引き続き勤務する使用人に対し、その定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

5 労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その延長前の定年(以下この(5)において「旧定年」という。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもの

6 法人が解散した場合において引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

(使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金)

30-22 使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。)からいわゆる執行役員に就任した者に対しその就任前の勤続期間に係る退職手当等として一時に支払われる給与(当該給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上当該給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものに限る。)のうち、例えば、次のいずれにも該当する執行役員制度の下で支払われるものは、退職手当等に該当する。(平19課法99、課個220、課審432追加)

1 執行役員との契約は、委任契約又はこれに類するもの(雇用契約又はこれに類するものは含まない。)であり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと

2 執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為又は執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償する責任を負うこと

(注) 上記例示以外の執行役員制度の下で支払われるものであっても、個々の事例の内容から判断して、使用人から執行役員への就任につき、勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係があると認められる場合には、退職手当等に該当することに留意する。

(受給者が掛金を拠出することにより退職に際しその使用者から支払われる一時金)

303 在職中に使用者に対し所定の掛金を拠出することにより退職に際して当該使用者から支払われる一時金は、退職手当等とする。この場合において、その退職手当等の収入金額は、その一時金の額から受給者が拠出した掛金(支給日までにその掛金の運用益として元本に繰り入れられた金額を含む。)の額を控除した金額による。(昭63直法61、直所31、平14課個222、課資35、課法810、課審3197改正)

(注) 上記後段のかっこ内の掛金の運用益として元本に繰り入れられた金額とは、各人ごとの掛金の額が区分経理されている場合において、当該掛金に対応する運用益としてその者に係る一時金の原資に繰り入れられたものをいい、当該運用益に係る所得は、当該掛金が令第2条第1《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金として管理されている場合にはその繰り入れられた時の利子所得とし、その他の場合にはその繰り入れられた時の法第35条第2項第2《雑所得》に規定する雑所得として課税することとなる。

(過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金に代えて支払われる一時金)

304 法第35条第3項第2号に規定する過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるものは退職手当等とする。
 なお、年金の受給開始日後に支払われる一時金であっても、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる年分の退職手当等として差し支えない。
(昭63直法61、直所31追加)

1 退職の日以後当該退職に基因する退職手当等の支払を既に受けている者に支払われる当該一時金  当該退職手当等のうち最初に支払われたものの支給期の属する年分

2 (1)以外の当該一時金  当該一時金の支給期の属する年分

(注)

1 年金の受給開始日後に支払われる一時金で、上記なお書に該当しないものは、法第35条第3項第2号に規定する公的年金等に該当する。

2 年金の受給開始日までの間に支払われる一時金で退職手当等とされるものについては、令第77《退職所得の収入の時期》の規定が適用されることに留意する。

(解雇予告手当)

305 労働基準法第20《解雇の予告》の規定により使用者が予告をしないで解雇する場合に支払う予告手当は、退職手当等に該当する。(昭63直法61、直所31改正)

(退職手当等の支払金額の計算の基礎となった期間と勤続年数との関係)

306 令第69条第1項第1号本文《退職所得控除額に係る勤続年数の計算》の勤続年数は、当該退職手当等の支払者(その者が相続人である場合にはその被相続人を含み、その者が合併後存続する法人又は合併により設立された法人である場合には合併により消滅した法人を含み、その者が法人の分割により資産及び負債の移転を受けた法人である場合にはその分割により資産及び負債の移転を行った法人を含む。)の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間により計算するのであるから、退職手当等の支払金額の計算の基礎となった期間がその引き続き勤務した期間の一部である場合又はその期間に一定の率を乗ずるなどにより換算をしたものである場合であっても、同号本文の勤続年数は、その引き続き勤務した実際の期間により計算することに留意する。(昭63直法61、直所31改正、平13課法86、課個217、課審389改正)

(長期欠勤又は休職中の期間)

307 令第69条第1項第1号に規定する勤務した期間には、長期欠勤又は休職(他に勤務するためのものを除く。)の期間も含まれる。(昭63直法61、直所31改正)

(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とされるものに係る勤続年数)

308 302により退職手当等とされる給与に係る勤続年数は、当該給与の計算の基礎とされた勤続期間の末日において退職したものとして計算するものとする。(昭63直法61、直所31改正)

(日々雇い入れられる期間)

309 法第185条第1項第3《日額表丙欄の適用を受ける給与等》に掲げる給与等の支払を受けていた期間は、令第69条第1項第1号に規定する「引き続き勤務した期間」及び「他の者の下において勤務した期間」に含まれない。(昭63直法61、直所31改正)

(前に勤務した期間を通算して支払われる退職手当等に係る勤続年数の計算規定を適用する場合)

3010 令第69条第1項第1号ロ及びハただし書の規定は、法律若しくは条例の規定により、又は令第153《退職給与規程の範囲》若しくは旧法人税法施行令第105《退職給与規程の範囲》に規定する退職給与規程において、他の者の下において勤務した期間又は前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間(以下30-11においてこれらの期間を「前に勤務した期間」という。)を含めた期間により退職手当等の支払金額の計算をする旨が明らかに定められている場合に限り、適用するものとする。(昭63直法61、直所31、平15課個223、課資37、課法811、課審437改正)

(前に勤務した期間の一部等を通算する場合の勤続年数の計算)

3011 令第69条第1項第1号ロ及びハただし書に規定する場合において、退職手当等の支払金額の計算の基礎とする期間のうちに、前に勤務した期間のうちの一部の期間又は前に勤務した期間に一定の率を乗ずるなどにより換算をした期間を含めて計算するときは、それぞれ当該一部の期間又は当該前に勤務した期間を同号本文に規定する勤続期間(以下3013において「勤続期間」という。)に加算して勤続年数を計算するものとする。(昭63直法61、直所31改正)

(復職等に際し退職手当等を返還した場合)

3012 既往における退職に際し退職手当等の支払を受けた場合であっても、その後復職又は再就職に際し、その復職又は再就職のための条件として定められたところに従い、当該退職手当等の全額を当該退職手当等の支払者に返還したときは、令第69条第1項第1号ハに規定する「前に退職手当等の支払を受けたことがある場合」に該当しないものとする。(昭63直法61、直所31改正)

(勤続年数の計算の基礎となる期間の計算)

3013 勤続期間、令第69条第1項第1号イ若しくはロの規定により加算する期間又は同号ハただし書の規定により含まれるものとされる期間は、それぞれ暦に従って計算し、1月に満たない期間は日をもって数え、これらの年数、月数及び日数をそれぞれ合計し、日数は30日をもって1月とし、月数は12月をもって1年とする。
 同項第2号に規定する組合員等であった期間についても同様とする。
(昭63直法61、直所31改正)

(その年に支払を受ける2以上の退職手当等のうちに前の退職手当等の計算期間を通算して支払われるものがある場合の控除期間)

3014 その年に支払を受ける2以上の退職手当等のうちに、その支払金額がその年の前年以前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間(以下この項において「前の退職手当等の計算期間」という。)を含めた期間により計算されたものがある場合には、令第70条第1項第1《退職所得控除額の計算の特例》に掲げる金額の計算の基礎となる同号に規定する期間(以下この項において「控除期間」という。)の計算については、次による。(昭63直法61、直所31、平元直所314、直法69、直資38改正)

1 一の退職手当等に係る前の退職手当等の計算期間のうちに、他の退職手当等に係る令第69条第1項第3号ただし書に規定する勤続期間等(当該他の退職手当等の支払金額が前の退職手当等の計算期間を含めた期間により計算されたものである場合には、当該前の退職手当等の計算期間を除く。)と重複する部分がある場合には、当該重複する部分の期間は控除期間に含まれないものとする。

2 一の退職手当等に係る前の退職手当等の計算期間(1)により控除期間に含まれないものとされる期間を除く。以下この項において同じ。)のうちに他の退職手当等に係る前の退職手当等の計算期間と重複する部分がある場合には、一の退職手当等に係る前の退職手当等の計算期間に、他の退職手当等に係る前の退職手当等の計算期間のうち当該重複する部分以外の期間を加算した期間により控除期間を計算するものとする。

(注) したがって、図のように、同一年中においてABC3社から支払を受ける退職手当等の支払金額が、それぞれ前の退職手当等の計算期間(図の斜線で表示した期間)を含めた期間により計算したものである場合には、上記(1)によりA′+C′の期間は控除期間に含まれないこととなり、(2)によりABCの期間が控除期間となる。

その年に支払を受ける2以上の退職手当等のうちに前の退職手当等の計算期間を通算して支払われるものがある場合の控除期間の図

(障害による退職に該当する場合) 

3015 次に掲げる場合は、障害者に該当することとなったことに基づいて退職したものでないことが明らかな場合を除き、法第30条第6項第3号に掲げる場合に該当するものとする。(昭63直法61、直所31、平24課法96、課個244、課審540、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正) 

1 障害者に該当することとなった後一応勤務には復したが、平常の勤務に復することができないままその勤務に復した後おおむね6月以内に退職した場合(常勤の役員又は使用人が非常勤の役員又は使用人となったことにより退職手当等の支払を受け、常勤の役員又は使用人としては退職したと同様の状態となった場合を含む。以下この項において同じ。) 

2 障害者に該当することとなった後一応平常の勤務には復したが、その勤務に耐えられないで、その勤務に復した後おおむね2月以内に退職した場合

 

法第31《退職手当等とみなす一時金》関係

(確定給付企業年金法等の規定に基づいて支払われる一時金)

311  法第31条第3号に規定する「加入者の退職により支払われるものその他これに類する一時金として政令で定めるもの」又は令第72条第2項に規定する「加入員の退職に基因して支払われるもの」には、確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる退職一時金、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号。以下「平成25年厚生年金等改正法」という。)1((厚生年金保険法の一部改正))の規定による改正前の厚生年金保険法第9((厚生年金基金及び企業年金連合会))の規定に基づいて支払われる退職一時金、法人税法附則第20条第3((退職年金等積立金に対する法人税の特例))に規定する適格退職年金契約に基づいて支払われる退職一時金、平成25年厚生年金等改正法附則の規定に基づいて支払われる退職一時金、平成25年厚生年金等改正法第2((確定給付企業年金法の一部改正))の規定による改正前の確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる退職一時金又は確定拠出年金法の規定に基づいて老齢給付金として支払われる一時金のうち、次に掲げる一時金がそれぞれ含まれるものとする。(昭63直法61、直所31追加、平14課個222、課資35、課法810、課審3197、平17課個239、課資311、課審4220、平19課法99、課個220、課審432、平26課法1014、課個222、課審527改正)

1 確定給付企業年金規約、厚生年金基金規約又は適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)

(注) 上記一時金の課税年分については、304の取扱いに準ずる。

2 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約又は個人型年金規約に基づく年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの

(注) 上記一時金の課税年分については、当該一時金の支給期の属する年分とし、令第77条の規定の適用はないことに留意する。

3 確定給付企業年金規約の加入者又は厚生年金基金(企業年金連合会を含む。)若しくは適格退職年金契約の加入員に対し、302(2)及び(4)から(6)まで並びに30-22に掲げる退職に準じた事実等が生じたことに伴い加入者又は加入員(厚生年金基金の場合の加算適用加入員を含む。)としての資格を喪失したことを給付事由として支払われる一時金(当該事実等が生じたことを給付事由として、使用者から302(2)及び(4)から(6)まで並びに30-22に掲げる退職手当等が支払われる場合に限る。)

(注) 上記の場合において、加入者又は加入員に支払われる退職手当等が確定給付企業年金規約又は厚生年金基金規約若しくは適格退職年金契約に基づいて支払われるもののみである場合には、上記かっこ書は適用しない。

(退職一時金等に係る勤続年数の計算)

312 令第69条第1項第1号《退職所得控除額に係る勤続年数の計算》に規定する退職一時金等に係る勤続年数の計算に当たっては、次のことに留意する。(昭63直法61、直所31、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

1 当該退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間が、例えば、休職又は停職の期間を2分の1とするなど、時の経過に従って計算した期間に一定の率を乗ずるなどにより短縮して計算されている場合には、その短縮をしない期間により勤続年数を計算すること。

2 当該退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間が、例えば、休職若しくは停職の期間又は掛金等を負担しなかった期間等を除外するなど、一部の期間を全く除外して計算されている場合には、その除外された期間を除いて勤続年数を計算すること。

3 当該退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間が当該退職一時金等の給付の基因となった制度等に加入する前の勤務期間を含めて計算されている場合には、その含められた期間を通算して勤続年数を計算すること。

4 当該退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間が、例えば、いわゆる任意継続組合員であった期間を含めるなど、退職の時以後においてその受給者が保険料又は掛金を負担した期間を含めて計算されている場合には、その含められた期間を通算して勤続年数を計算すること。

(退職金共済契約の範囲)

313 令第73条第1項第1《特定退職金共済団体の要件》に規定する退職金共済契約には、使用人の退職について退職給付金を支給するほか、使用人の慶弔、災害について金品を支給するなど他の給付をも併せて行うことを約する契約は含まれない。ただし、退職給付金の給付事業に関する経理とその他の経理とが明確に区分されている場合には、その退職給付金の給付に係る部分の契約に限り、退職金共済契約に該当する。(昭63直法61、直所31改正)

(注) 使用人の退職につき退職給付金を支給する契約で退職金共済契約に該当しないものは、令第65条第1《不適格退職金共済契約等に基づく掛金の取扱い》に規定する退職金共済契約に類する契約に該当する。

(被共済者間の公平な取扱い)

314 令第73条第1項第10号に掲げる要件は、特定の事業に従事する被共済者又は役付の被共済者等特定の者だけについて掛金の額を減額し又は退職給付金の額を増額するなどの取扱いをしてはならないことを定めたものであるが、次に掲げるような特別の事情がある者に対する給付に差を設けても不当に差別的な取扱いをすることにはならないことに留意する。(昭63直法61、直所31、平11課所425、平28課法10-5、課審5-15改正)

1 窃取、横領、傷害その他刑罰法規に触れる行為により、事業主に重大な損害を加え、その名誉若しくは信用を著しくき損し、又は職場規律を著しく乱した者

2 秘密の漏えいその他の行為により職務上の義務に著しく違反した者

3 正当な理由がない欠勤その他の行為により職場規律を乱した者又は雇用契約に関し著しく信義に反する行為があった者

(退職給付金支給事業とその他の事業とを併せて行う団体に対して支出した掛金)

315 令第65条の規定の適用に当たり、事業主が同条各号に規定する契約に基づき退職給付金を支給する事業(以下この項において「退職給付金支給事業」という。)とその他の事業とを併せて行う団体に対して、被共済者又はこれに類する者のために支出した掛金で損金の額又は必要経費に算入される金額は、退職給付金支給事業以外の事業に充てられる部分の金額が明らかに区分されている場合を除き、その全額を被共済者又はこれに類する者に対する給与等とする。(昭63直法61、直所31改正)

 

法第32《山林所得》関係

(山林の伐採又は譲渡による所得)

321 法第32条第1項に規定する「山林の伐採又は譲渡による所得」とは、山林を伐採して譲渡したことにより生ずる所得又は山林を伐採しないで譲渡したことにより生ずる所得をいう。

(山林とともに土地を譲渡した場合)

322 山林をその生立する土地とともに譲渡した場合における当該土地の譲渡から生ずる所得は、山林所得に該当しない。

(山林の取得の日)

323 法第32条第2項に規定する取得の日は、次による。

1 他から取得した山林については3612に準じて判定した日とする。

2 自ら植林した山林については、当該植林の完了した日とし、他に請け負わせて植林した山林については当該山林の引渡しを受けた日とする。この場合において、植林の完了した日又は引渡しを受けた日の判定は、当該植林した山林の林分ごとに行う。

(注) 林分とは、林相が一様で周囲のものと区分できる山林経営上の単位となる立木の集団をいう。

(山林所得の基因となる山林とその他の山林とがある場合の収入金額等の区分)

324 伐採又は譲渡した山林のうちに、山林所得の基因となる山林とその他の山林とがある場合のそれぞれの山林の収入金額及び譲渡に要した費用の額は、3311に準じて計算するものとする。

 

法第33《譲渡所得》関係

(譲渡所得の基因となる資産の範囲)

33-1 譲渡所得の基因となる資産とは、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産をいい、当該資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる。

(少額重要資産の範囲)

33-12 令第81条第2号又は第3《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》かっこ内に規定する「その者の業務の性質上基本的に重要なもの」とは、製品の製造、農産物の生産、商品の販売、役務の提供等その者の目的とする業務の遂行上直接必要な減価償却資産で当該業務の遂行上欠くことのできないもの(以下この項において「少額重要資産」という。)をいう。(昭50直資3-11、直所3-1911課所4-1改正追加)

(注) 少額重要資産であっても、貸衣装業における衣装類、パチンコ店におけるパチンコ器、養豚業における繁殖用又は種付用の豚のように、事業の用に供された後において反復継続して譲渡することが当該事業の性質上通常である少額重要資産の譲渡による所得は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当する27-1参照)

(使用可能期間が1年未満である減価償却資産)

33-13 使用可能期間が1年未満である減価償却資産で令第138《少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入》の規定に該当するものの譲渡による所得は、当該減価償却資産がその者の業務の性質上基本的に重要なものに該当する場合であっても、譲渡所得には該当しない。(昭50直資3-11、直所3-19追加)

(財産分与による資産の移転)

33-14 民法第768《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭50直資3-11、直所3-19追加、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

(注)

1 財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であり、贈与ではないから、法第59条第1《みなし譲渡課税》の規定は適用されない。

2 財産分与により取得した資産の取得費については、38-6参照

(代償分割による資産の移転)

33-15 遺産の代償分割(現物による遺産の分割に代え共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させる方法により行う遺産の分割をいう。以下同じ。)により負担した債務が資産の移転を要するものである場合において、その履行として当該資産の移転があったときは、その履行をした者は、その履行をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭52直資3-14、直所3-22追加)

(注) 代償分割に係る資産の取得費については、38-7参照

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)

33-16 民法第1046条第1項《遺留分侵害額の請求》の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の基因となった遺贈又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる。(令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3追加)

(注) 当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求をした者が取得した資産の取得費については、38-7の2参照

(共有地の分割)

33-17 個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。(昭56直資3-2、直所3-3追加、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

(注)

1

その分割に要した費用の額は、その土地が業務の用に供されるもので当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、その土地の取得費に算入する。

2

分割されたそれぞれの土地の面積の比と共有持分の割合とが異なる場合であっても、その分割後のそれぞれの土地の価額の比が共有持分の割合におおむね等しいときは、その分割はその共有持分に応ずる現物分割に該当するのであるから留意する。

(受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡等)

33-18 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)の信託財産に属する資産が譲渡所得の基因となる資産である場合における当該資産の譲渡又は受益者等課税信託の受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する資産が譲渡所得の基因となる資産である場合における当該権利の譲渡による所得は、原則として譲渡所得となり、法第33条の規定その他の所得税に関する法令の規定を適用することとなる。なお、この場合においては次の点に留意する。(平19課資3-5、課個2-15、課審6-9追加、平19課資3-12、課個2-35、課審6-17、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

1.   1 受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合において、当該資産の譲渡に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」に含まれる。

2.   2 委託者と受益者等がそれぞれ一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合又は当該受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合における当該資産又は当該権利に係る資産の法第33条第3項第1号に規定する「取得の日」は、当該委託者が当該資産の取得をした日となる。

(注) 当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産が信託期間中に信託財産に属することとなったものである場合には、当該資産が信託財産に属することとなった日となる。

3.   3 受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合において、当該受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する債務があるため、当該譲渡の対価の額が当該債務の額を控除した残額をもって支払われているときは、当該譲渡による収入すべき金額は、法第36条第1項の規定により、その支払を受けた対価の額に当該控除された債務の額に相当する金額を加算した金額となる。

(注) 譲渡された受益者等としての権利の目的となっている資産(金銭及び金銭債権を除く。)の譲渡収入金額は、当該受益者等としての権利の譲渡により収入すべき金額からその信託財産に属する金銭及び金銭債権の額を控除した残額を基礎として、当該受益者等としての権利の譲渡の時における当該受益者等としての権利の目的となっている各資産(金銭及び金銭債権を除く。)の価額の比によりあん分して算定するものとする。

4.   4 委託者が受益者等課税信託の受益者等となる信託の設定により信託財産に属することとなった資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、当該委託者が当該資産を引き続き有しているものとして、法第38条及び第61条の規定を適用して計算した金額となる。

(注) 当該受益者等課税信託の信託期間中に、当該受益者等課税信託に係る信託財産に属することとなった資産の取得費は、受益者等が、当該資産を当該受益者等課税信託の受託者がその取得のために要した金額をもって取得し、引き続き有しているものとして、法第38条及び第61条の規定を適用して計算する。この場合において、当該資産の取得に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に含まれる。

5.   5 譲渡所得に関する課税の特例等の規定の適用を受けようとする受益者等が確定申告書に添付すべき書類については、昭和551226日付直所3-20ほか1課共同「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)284-53《信託の受益者における書類の添付》に準ずる。

(譲渡担保に係る資産の移転)

33-2 債務者が、債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにしており、かつ、当該譲渡が債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び債権者の連署に係る申立書を提出したときは、当該譲渡はなかったものとする。この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じた時において譲渡があったものとする。(昭52直資3-14、直所3-22改正)

1.   1  当該担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること。

2.   2  通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払に関する定めがあること。

(注) 形式上、買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、上記のような要件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。

(極めて長期間保有していた不動産の譲渡による所得)

33-3 固定資産である不動産の譲渡による所得であっても、当該不動産を相当の期間にわたり継続して譲渡している者の当該不動産の譲渡による所得は、法第33条第2項第1号に掲げる所得に該当し、譲渡所得には含まれないが、極めて長期間(おおむね10年以上をいう。以下33-5において同じ。)引き続き所有していた不動産(販売の目的で取得したものを除く。)の譲渡による所得は、譲渡所得に該当するものとする。

(固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得)

33-4 固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設け宅地等として譲渡した場合又は固定資産である土地に建物を建設して譲渡した場合には、当該譲渡による所得は棚卸資産又は雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得として、その全部が事業所得又は雑所得に該当する。(昭48直資4-6、直所2-22、昭56直資3-2、直所3-3改正)

(注) 固定資産である土地につき区画形質の変更又は水道その他の施設の設置を行った場合であっても、次のいずれかに該当するときは、当該土地は、なお固定資産に該当するものとして差し支えない。

1.   1 区画形質の変更又は水道その他の施設の設置に係る土地の面積(当該土地の所有者が2以上いる場合には、その合計面積)が小規模(おおむね3,000m²以下をいう。)であるとき。

2.   2 区画形質の変更又は水道その他の施設の設置が土地区画整理法、土地改良法等法律の規定に基づいて行われたものであるとき。

(区画形質の変更等を加えた土地に借地権等を設定した場合の所得)

33-42 固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え又は水道その他の施設を設け宅地等とした後、その土地に令第79条第1《資産の譲渡とみなされる行為》に規定する借地権又は地役権(以下この項において「借地権等」という。)を設定した場合において、その借地権等の設定(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)が同項に規定する行為に該当するときは、当該借地権等の設定に係る対価の額の全部が譲渡所得に係る収入金額に該当することに留意する。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得)

33-5 土地、建物等の譲渡による所得が33-4により事業所得又は雑所得に該当する場合であっても、その区画形質の変更若しくは施設の設置又は建物の建設(以下この項において「区画形質の変更等」という。)に係る土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、33-4にかかわらず、当該土地の譲渡による所得のうち、区画形質の変更等による利益に対応する部分は事業所得又は雑所得とし、その他の部分は譲渡所得として差し支えない。この場合において、譲渡所得に係る収入金額は区画形質の変更等の着手直前における当該土地の価額とする。

(注) 当該土地、建物等の譲渡に要した費用の額は、すべて事業所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する。

(借家人が受ける立退料)

33-6 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料のうち、借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額は、令第95《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する。

(注) 上記に該当しない立退料については、34-17参照

(ゴルフ会員権の譲渡による所得)

33-62 ゴルフクラブ(ゴルフ場の所有又は経営に係る法人の株式又は出資を有することが会員となる資格の要件とされているゴルフクラブを除く。)の会員である個人が、その会員である地位(いわゆる会員権)を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(昭56直資3-2、直所3-3追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(ゴルフ場の利用権の譲渡に類似する株式等の譲渡による所得の所得区分)

33-63 措置法令第25条の82《一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》の規定に規定する株式又は出資者の持分を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平15課個2-23、課資3-7、課法8-11、課審4-37、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

(有価証券の譲渡所得が短期譲渡所得に該当するかどうかの判定)

33-64 譲渡所得の基因となる有価証券を譲渡した場合において、当該有価証券と同一銘柄の有価証券を当該譲渡の日前5年前及び当該譲渡の日前5年以内に取得しているときは、当該譲渡した有価証券は先に取得したものから順次譲渡したものとして、当該有価証券のうちに法第33条第3項第1号に掲げる所得の基因となる有価証券が含まれているかどうかを判定する。この場合において、株式の分割又は併合により取得した有価証券、株主割当てにより取得(令第111条第1項に規定する旧株の数に応じて割り当てられた株式を取得した場合及び同条第2項に規定する旧株を発行した法人の株式無償割当てにより割り当てられた株式を取得した場合をいう。)した有価証券及び法人の合併、法人の分割、株式分配(法人税法第2条第12号の152《定義》に規定する株式分配をいう。以下この項において同じ。)又は組織変更により取得した有価証券(措置法第37条の103項、第37条の113項又は第37条の1431項から第3項まで《合併等により外国親法人株式等の交付を受ける場合の課税の特例》の規定により一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされることとなる金額がある場合における法人の合併、法人の分割、株式分配又は組織変更により取得した有価証券を除く。)の取得の日は、その取得の基因となった有価証券の取得の日とする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平13課資3-2、課個2-24、課審5-5、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平18課資3-12、課個2-20、課審6-12、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

(注)

1

株式無償割当てのうち、旧株と異なる種類の株式の割当てを受けた場合の取得の日は、当該株式無償割当ての効力を生ずる日となることに留意する。

2

当該譲渡した有価証券の取得費は、令第118《譲渡所得の基因となる有価証券の取得費等》の規定により計算することに留意する。

(土石等の譲渡による所得)

33-65 土地の所有者が、その土地の地表又は地中の土石、砂利等(以下38-132において「土石等」という。)を譲渡(営利を目的として継続的に行われるものを除く。)したことによる所得は、譲渡所得に該当する。(昭56直資3-2、直所3-3追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注) 譲渡所得の金額の計算上控除する土石等の取得費については、38-132参照

(法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合)

33-66 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合(土地区画整理法、土地改良法等の法律の規定に基づいて行うものを除く。以下この項において同じ。)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、当該区域内にある土地の一部がその区画形質の変更に要する費用に充てるために譲渡されたときは、当該2以上の者が当該区域内に有していた土地の面積の比その他合理的な基準によりそれぞれその有していた土地の一部を譲渡したものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加、昭58直資3-2、直所3-11、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注)

1

当該交換分合により取得した土地の取得の日及び取得費は、譲渡がなかったものとされる土地の取得の日及び取得費(その土地の区画形質の変更に要した費用があるときは、その取得費に当該費用の額を加算した金額)となることに留意する。

2

この取扱いは、当該交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められるものについて適用できることに留意する。

(宅地造成契約に基づく土地の交換等)

33-67 一団の土地の区画形質の変更に関する事業(土地区画整理法、土地改良法等の規定に基づくものを除く。以下この項において同じ。)が施行される場合において、その事業の施行者とその一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する者(以下この項において「従前の土地の所有者」という。)との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者の有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得するときは、その従前の土地の所有者が有する土地とその取得する土地との位置が異なるときであっても、その土地の異動が当該事業の施行上必要最小限の範囲内のものであると認められるときは、その従前の土地の所有者の有する土地(金銭等とともに土地を取得するときは、従前の土地の所有者の有する土地のうちその金銭等に対応する部分を除く。以下この項において「従前の土地」という。)のうちその取得する土地(その取得する土地につき、金銭等の支払があるときは、その取得する土地のうちその金銭等で取得したと認められる部分を除く。以下この項において「換地」という。)の面積に相当する部分は譲渡がなかったものとして取り扱う。
 この場合において、換地の面積が従前の土地の面積に満たないときにおけるその満たない面積に相当する従前の土地
(以下この項において「譲渡する土地」という。)の譲渡に係る譲渡所得の収入金額は、取得した換地について行われる区画形質の変更に要する費用の額に相当する金額による。ただし、当該事業の施行に関する契約において譲渡する土地の面積が定められている場合には、課税上特に弊害がないと認められる限り、当該譲渡する土地の契約時における価額によることができる。
 なお、36-12の取扱いの適用については、同項中「引渡しがあった日」とあるのは「換地の取得の日」とする。
(昭56直資3-2、直所3-3追加、昭58直資3-2、直所3-11、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

(注)

1

「区画形質の変更に要する費用の額」は、当該契約において定められた金額がある場合にはその金額によるのであるが、その定めがないときは、当該事業の施行者が支出する当該区画形質の変更に要する工事の原価の額とその工事に係る通常の利益の額との合計額による。

2

当該契約により取得した換地の取得の日及び取得費は、従前の土地(譲渡がなかったものとされる部分に限る。)の取得の日及び取得費(従前の土地のうち譲渡があったものとされる部分があるときは、その取得費に当該部分の譲渡による譲渡所得の収入金額とされた金額に相当する金額を加算した金額)となることに留意する。

3

この取扱いの適用については、33-66(注)2の取扱いに準ずる。

(配偶者居住権等の消滅による所得)

33-68 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の消滅につき対価の支払を受ける場合における当該対価の額は、令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当することに留意する。(令2課資37、課個218、課法114、課審79追加)

(譲渡費用の範囲)

33-7 法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」(以下33-11までにおいて「譲渡費用」という。)とは、資産の譲渡に係る次に掲げる費用(取得費とされるものを除く。)をいう。

1.   1 資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用

2.   21に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。以下33-8までにおいて同じ。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用

(注) 譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないことに留意する。

(資産の譲渡に関連する資産損失)

33-8 土地の譲渡に際しその土地の上にある建物等を取壊し、又は除却したような場合において、その取壊し又は除却が当該譲渡のために行われたものであることが明らかであるときは、当該取壊し又は除却の時において当該資産につき令第142《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143《昭和271231日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定に準じて計算した金額(発生資材がある場合には、その発生資材の価額を控除した残額)に相当する金額は、当該譲渡に係る譲渡費用とする。

(資産の取得の日)

33-9 法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による。

1.   1 他から取得した資産については、36-12に準じて判定した日とする。

2.   2 自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」という。)をした資産については、当該建設等が完了した日とする。

3.   3 他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受けた日とする。

(借地権者等が取得した底地の取得時期等)

33-10 借地権その他の土地の上に存する権利(以下「借地権等」という。)を有する者が当該権利の設定されている土地(以下「底地」という。)を取得した場合には、その土地の取得の日は、当該底地に相当する部分とその他の部分とを各別に判定するものとする。
 底地を有する者がその土地に係る借地権等を取得した場合も、同様とする。
(昭56直資3-2、直所3-3改正)

(譲渡資産のうちに短期保有資産と長期保有資産とがある場合の収入金額等の区分)

33-11 一の契約により譲渡した資産のうちに短期保有資産(法第33条第3項第1号に掲げる所得の基因となる資産をいう。)と長期保有資産(同項第2号に掲げる所得の基因となる資産をいう。)とがある場合には、それぞれの譲渡資産の収入金額は、当該譲渡に係る収入金額の合計額をそれぞれの譲渡資産の当該譲渡の時の価額の比によりあん分して計算するものとし、当該譲渡資産に係る譲渡費用で個々の譲渡資産との対応関係の明らかでないものがあるときは、当該譲渡費用の額をそれぞれの資産に係る収入金額の比であん分するなど合理的な方法によりそれぞれの資産に係る当該譲渡費用の額を計算するものとする。この場合において、当事者の契約によりそれぞれの譲渡資産に対応する収入金額が区分されており、かつ、その区分がおおむねその譲渡の時の価額の比により適正に区分されているときは、これを認める。

(借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等の収入金額の区分)

33-112 借地権等の設定されている土地の所有者が、当該借地権等を消滅させた後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に新たな借地権等の設定(その設定による所得が譲渡所得とされる場合に限る。以下33-113までにおいて同じ。)をした場合には、当該土地のうち借地権等の消滅時に取得したものとされる部分(以下この項において「旧借地権部分」という。)及びその他の部分(以下この項において「旧底地部分」という。)をそれぞれ譲渡し、又はそれぞれの部分について借地権等の設定をしたものとして取り扱うものとし、この場合における旧借地権部分及び旧底地部分に係る収入金額は、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

1 旧借地権部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は新たに設定した借地権等の対価の額×(旧借地権等の消滅時の旧借地権等の価額)÷(旧借地権等の消滅時の当該土地の更地価額)

(注) 「旧借地権等の消滅時の旧借地権等の価額」は、その借地権等の消滅につき対価の支払があった場合において、その対価の額が適正であると認められるときは、その対価の額(手数料その他の附随費用の額を含まない。)によることができる。

2 旧底地部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は新たに設定した借地権等の対価の額-(1)の金額

(注) 借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額の区分については、38-42参照

(底地を取得した後、土地を譲渡した場合等の収入金額の区分)

33-113 借地権等を有する者が、当該借地権等に係る底地を取得した後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に借地権等の設定をした場合には、当該土地のうちその取得した底地に相当する部分(以下この項において「旧底地部分」という。)及びその他の部分(以下この項において「旧借地権部分」という。)をそれぞれ譲渡し、又はそれぞれの部分について借地権等の設定をしたものとして取り扱うものとし、この場合における旧底地部分及び旧借地権部分に係る収入金額は、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

1 旧底地部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は当該設定した借地権等の対価の額×(旧底地の取得時の旧底地の価額)÷(旧底地の取得時の当該土地の更地金額)

(注) 「旧底地の取得時の旧底地の価額」は、その底地の取得につき対価の支払があった場合において、その対価の額が適正であると認められるときは、その対価の額(手数料その他の附随費用の額を含まない。)によることができる。

2 旧借地権部分に係る収入金額

当該土地の譲渡の対価の額又は当額に設定した借地権等の対価の額-(1)の金額

(注) 底地を取得した後、土地を譲渡した場合等における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額の区分については、38-43参照

(特別高圧架空電線等の意義)

33-12 令第79条第1項かっこ内に規定する「特別高圧架空電線」又は「特別高圧地中電線」とは、電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)2条第1項第3《電圧の種別等》に規定する特別高圧(電圧が7,000ボルトを超えるもの)の電気を送電するための架空電線又は地中電線をいう。(昭56直資3-2、直所3-3、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17改正)

(借地権に係る土地を他人に使用させる行為等)

33-13 令第79条第1項かっこ内に規定する「その他他人に当該土地を使用させる行為」には、例えば、借地権に係る土地の地下に地下鉄等の構築物を建設させるためその土地の地下を使用させる行為又は特別高圧架空電線の架設等をさせるためその土地の上の空間を使用させる行為が該当し、同条第2項に規定する「その土地の所有者及びその借地権者がともにその土地の利用を制限されることとなるとき」には、例えば、これらの行為をさせることにより、その土地の上に建設する建造物の重量若しくは高さが制限されることとなる場合又は建造物の設置が制限されることとなる場合が該当する。

(複利の方法で計算した現在価値に相当する金額の計算)

33-14 令第80条第2《特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの》に規定する「通常の利率」は昭和39425日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)4-4に定める基準年利率、「貸付けを受ける期間」は1年を単位として計算した期間1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てて計算した期間)、「複利の方法で計算した現在価値」の計算の基礎となる複利現価率は小数点以下第3位まで計算した率(第4位を切り上げる。)による。(平11課資3-9、課所4-21改正、平13課資3-2、課個2-24、課審5-5改正、平14課資3-11、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17改正)

(注) 同条第1項に規定する金銭の貸付けを受けた日を含む月の基準年利率が公表されていない場合は最も近い月の利率とする。

(借地権の設定等に伴う保証金等)

33-15 借地権の設定等に当たり保証金、敷金等の名義による金銭を受け入れた場合においても、その受け入れた金額がその土地の存する地域において通常収受される程度の保証金等の額(その額が明らかでないときは、当該借地権の設定等に係る契約による地代のおおむね3月分相当額とする。)以下であるときは、当該受け入れた金額は、令第80条第1項に規定する「特に有利な条件による金銭の貸付け」には該当しないものとする。

(共同建築の場合の借地権の設定)

33-152 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の上に共同で建築した建物を区分所有し、又は共有する場合における令第79条の規定の適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱う。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

1.   1 各人の所有する土地の面積又は価額の比(以下この項において「土地の所有割合」という。)と各人の区分所有する部分の建物の床面積(当該建物の階その他の部分ごとに利用の効用が異なるときは、当該部分ごとに、その異なる効用に係る適正な割合を勘案して算定した床面積)の比又は共有持分の割合(以下この項において「建物の所有割合」という。)とがおおむね等しい場合相互に借地権の設定はなかったものとする。

2.   2 上記1以外の場合建物の所有割合が土地の所有割合に満たない者の当該満たない割合に対応する部分の土地についてのみ貸付けが行われたものとする。

(大深度事業と一体的に施行される事業により設置される施設等の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定)

33-153 令第79条第1項第3号の規定により資産の譲渡とみなされる場合は、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成12年法律第87号。以下33-154までにおいて「大深度地下法」という。)16《使用の認可の要件》の規定により使用の認可を受けた事業(以下33-154までにおいて「認可事業」という。)と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定の対価として支払を受ける金額が、次の算式により計算した金額を超える場合であるから留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(計算式)

その土地の価額(注1)× 1/2 ×認可事業と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権(A)の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さから大深度(注2、注3)までの距離/その土地における地表から大深度までの距離(注4)× 5/10

(注)

1

認可事業と一体的に施行される事業により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権Aの設定される土地について令第79条第1項に規定する借地権Bを設定している者(以下この項において「借地権者」という。)にあっては、当該借地権Bの価額による。

2

「大深度」とは、令第79条第1項第3号に規定する大深度をいい、具体的には、その土地の地表から大深度地下法第2条第1項各号《定義》に掲げる深さ(次の1及び2に掲げる深さ)のうちいずれか深い方の深さをいう。以下この項において同じ。

1.   1地表から40メートルの深さ

2.   2支持地盤(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法施行令(平成12年政令第500号)2条第1《通常の建築物の基礎ぐいを支持することができる地盤等》に規定する支持地盤をいう。)のうち最も浅い部分の深さから10メートルの深さ

3

借地権Aの設定される範囲より深い地下で、当該大深度よりも浅い地下において既に地下について上下の範囲を定めた他の借地権Cが設定されている場合は、当該他の借地権Cの範囲のうち最も浅い部分の深さとする。

4

借地権者も、借地権Bに係る土地における地表から大深度までの距離による。

(大深度事業認可前の借地権の設定)

33-154 資産の譲渡とみなされる行為とされる令第79条第1項第3号の規定は、認可事業と一体的に施行される事業に限り適用されるものであるから、その認可事業について大深度地下法第16条の使用の認可を受ける前に、施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権を設定した場合には、同号の規定の適用はないことに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(物納の撤回に係る資産を譲渡した場合)

33-16 相続税法第46条第1《物納の撤回》の規定により物納の撤回の承認を受けた資産を他に譲渡した場合における各種所得の金額の計算については、当該承認を受けた者が同法第43条第2項の規定により相続税の納付があったものとされた日前から引き続き所有していたものとする。この場合、当該資産の取得費の計算については、次によるものとする。(昭46直審(所)20、昭48直資4-6、直所2-22、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

1.   1 物納の撤回の承認を受けた者が同法第46条第9《国が支出した有益費の納付》の規定により有益費の額に相当する金銭を納付した場合には、当該有益費の額に相当する額は、物納の撤回の承認を受けた日において支出した法第38条第1《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》に規定する設備費及び改良費の額とする。

2.   2 当該資産につき法第38条第2項の規定により取得費を計算する場合には、相続税法第43条第2項の規定により相続税の納付があったものとされた日の翌日から当該物納の撤回の承認があった日までの期間は、法第38条第2項第2号に掲げる期間に該当する。

 

法第34《一時所得》関係

(一時所得の例示)

341 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。(昭49直所223、昭55直所319、直法68、平11課所41、平17課個223、課資35、課法86、課審4113、平18課個218、課資310、課審4114、平23課個233、課法99、課審446、平27課個28、課審59、平30課個217、課審51改正)

1 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)

2 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)

(注)

1.   1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。

2.   2 上記()1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。

3.   3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。

3 労働基準法第114《付加金の支払》の規定により支払を受ける付加金

4 令第183条第2《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金(業務に関して受けるものを除く。)及び令第184条第4《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等

5 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)

6 人格のない社団等の解散により受けるいわゆる清算分配金又は脱退により受ける持分の払戻金

7 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額をほてんするための金額及び令第95《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除く。)

(注)

1 収入金額又は必要経費に算入される金額をほてんするための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される。

2 令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する立退料については、336参照

8 民法第557《手付》の規定により売買契約が解除された場合に当該契約の当事者が取得する手付金又は償還金(業務に関して受けるものを除く。)

9 法第42条第1《国庫補助金等の総収入金額不算入》又は第43条第1《条件付国庫補助金等の総収入金額不算入》に規定する国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの及び第44《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》に規定する資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうちその交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

10 遺失物拾得者又は埋蔵物発見者が受ける報労金

11 遺失物の拾得又は埋蔵物の発見により新たに所有権を取得する資産

12 地方税法第41条第1《個人の道府県民税の賦課徴収》、同法第321条第2《個人の市町村民税の納期前の納付》及び同法第365条第2《固定資産税に係る納期前の納付》の規定により交付を受ける報奨金(業務用固定資産に係るものを除く。)

(注) 発行法人から株式等を取得する権利を与えられた場合(株主等として与えられた場合(2335共-8参照)を除く。)の経済的利益の所得区分については、2335共-6参照

(遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)

342 死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち917により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。(昭63直所33、直法62、直資32、平元直所314、直法69、直資38改正)

(一時所得の収入を得るために支出した金額)

343 法第34条第2項に規定する「収入を得るために支出した金額」には、例えば、懸賞クイズ等の当選金品の一部を公益施設等に寄附する定めがある場合に当該定めに基づき寄附した金品又は当該当選金品に係る所得が国外源泉所得である場合に当該所得について外国において課された外国税額(法第95((外国税額控除))又は第138条第1((源泉徴収税額等の還付))の規定の適用を受けるものを除く。)も含まれる。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(生命保険契約等に基づく一時金又は損害保険契約等に基づく満期返戻金等に係る所得金額の計算上控除する保険料等)

344 令第183条第2項第2号又は第184条第2項第2号に規定する保険料又は掛金の総額(令第183条第4項又は第184条第3項の規定の適用後のもの。)には、以下の保険料又は掛金の額が含まれる。(平11課所41、平24課個211、課審48改正)

(1) その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者が自ら支出した保険料又は掛金

(2) 当該支払を受ける者以外の者が支出した保険料又は掛金であって、当該支払を受ける者が自ら負担して支出したものと認められるもの

()

·         1 使用者が支出した保険料又は掛金で3632により給与等として課税されなかったものの額は、上記(2)に含まれる。

·         2 相続税法の規定により相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなされる一時金又は満期返戻金等に係る部分の金額は、上記(2)に含まれない。

 

法第35《雑所得》関係

(雑所得の例示)

35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、雑所得に該当する。(平8課法8-2、課所4-5、平11課所4-1、平22課個2-25、課審4-45、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

1.      1 法人の役員等の勤務先預け金の利子で利子所得とされないもの

2.      2 いわゆる学校債、組合債等の利子

3.      3 定期積金に係る契約又は銀行法第2条第4《定義等》の契約に基づくいわゆる給付ほてん

4.      4 通則法第58条第1《還付加算金》又は地方税法第17条の41《還付加算金》に規定する還付加算金

5.      5 土地収用法第90条の31項第3《加算金の裁決》に規定する加算金及び同法第90条の4《過怠金の裁決》に規定する過怠金

6.      6 人格のない社団等の構成員がその構成員たる資格において当該人格のない社団等から受ける収益の分配金(いわゆる清算分配金及び脱退により受ける持分の払戻金を除く。)

7.      7 法人の株主等がその株主等である地位に基づき当該法人から受ける経済的な利益で、24-2により配当所得とされないもの

8.      8 令第183条第1((生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等))、令第184条第1((損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等))、令第185((相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算))及び令第186((相続等に係る損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算))の規定の適用を受ける年金

9.      9 役務の提供の対価が給与等とされる者が支払を受ける法第204条第1項第7《源泉徴収義務》に掲げる契約金

10.   10 就職に伴う転居のための旅行の費用として支払を受ける金銭等のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲を超えるもの

11.   11 役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品

(事業から生じたと認められない所得で雑所得に該当するもの)

35-2 次に掲げるような所得は、事業から生じたと認められるものを除き、雑所得に該当する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)

1. 1 動産(法第26条第1《不動産所得》に規定する船舶及び航空機を除く。)の貸付けによる所得

2. 2 工業所有権の使用料(専用実施権の設定等により一時に受ける対価を含む。)に係る所得

3. 3 温泉を利用する権利の設定による所得

4. 4 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得

5. 5 採石権、鉱業権の貸付けによる所得

6. 6 金銭の貸付けによる所得

7. 7 不動産の継続的売買による所得

8. 8 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得

(年金に代えて支払われる一時金)

35-3 令第183条第1項、令第184条第1項、令第185条又は令第186条の規定の対象となる年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、当該年金の受給開始日以前に支払われるものは一時所得の収入金額とし、同日後に支払われるものは雑所得の収入金額とする。ただし、同日後に支払われる一時金であっても、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、一時所得の収入金額として差し支えない。(昭49直所2-23追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平22課個2-25、課審4-45改正)

(注) 死亡を給付事由とする生命保険契約等の給付事由が発生した場合において当該生命保険契約等に基づく年金の支払に代えて受給開始日以前に支払われる一時金については、9-18参照。

(生命保険契約等又は損害保険契約等に基づく年金に係る所得金額の計算上控除する保険料等)

35-4 令第183条第1項第2号ロ又は第184条第1項第2号ロに規定する保険料又は掛金の総額(令第183条第4項又は第184条第3項の規定の適用後のもの。)には、以下の保険料又は掛金の額が含まれる。(昭49直所2-23、平11課所4-1、平24課個2-11、課審4-8改正)

1. 1 その年金の支払を受ける者が自ら支出した保険料又は掛金

2. 2 当該支払を受ける者以外の者が支出した保険料又は掛金であって、当該支払を受ける者が自ら負担して支出したものと認められるもの

(注) 使用者が支出した保険料又は掛金で3632により給与等として課税されなかったものの額は、上記2に含まれる。

(年金の種類の判定)

35-42 令第185条の規定の適用において、その年に支払を受ける生命保険契約等に基づく年金が同条に規定する確定年金、終身年金、有期年金、特定終身年金又は特定有期年金であるかどうかは、当該年金の支払を受ける者の当該年金の令第185条第1項第1号に規定する支払開始日の現況において判定することに留意する。
 令第186条の規定の適用において、その年に支払を受ける損害保険契約等に基づく年金が同条に規定する確定型年金又は特定有期型年金であるかどうかの判定も同様であることに留意する。
(平22課個2-25、課審4-45追加)

(保証期間における当初年金受取人の契約年額と当初年金受取人以外の者の契約年額が異なる場合)

35-43 その年に支払を受ける生命保険契約等に基づく年金が令第185条第1項第4号に規定する特定終身年金又は同項第5号に規定する特定有期年金である場合において、支給総額見込額の計算の基礎となる年数が保証期間年数とされるもので、同項第8号に規定する当初年金受取人に係る契約年額と当初年金受取人の死亡後その親族その他の者(以下、この項において「当初年金受取人以外の者」という。)に係る契約年額とが異なるときにおける同条の規定の適用については、当該支給総額見込額は、当初年金受取人の契約年額に当初年金受取人に係る支払開始日余命年数を乗じて計算した金額と当初年金受取人以外の者の契約年額に保証期間年数と当該支払開始日余命年数との差に相当する年数を乗じて計算した金額の合計額とする。
 令第186条の規定の適用において、その年に支払を受ける損害保険契約等に基づく年金が同条第1項第2号に規定する特定有期型年金である場合も同様であることに留意する。
(平22課個2-25、課審4-45追加)

(受給者が掛金を拠出することにより退職後その使用者であった者から支給される年金)

35-5 在職中に使用者に対して所定の掛金を拠出することにより退職後当該使用者であった者から支給される年金は、法第35条第3項第2号に規定する公的年金等とする。この場合において、その公的年金等の収入金額は、その年中に支給される年金の額から受給者が拠出した掛金(支給開始日までにその掛金の運用益として元本に繰り入れられた金額を含む。)の額を基として令第82条の3《確定給付企業年金の額から控除する金額》の規定に準じて計算した金額を控除した金額による。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平14課個2-22、課資3-5、課法-10、課審3-197改正)

(注) 上記後段のかっこ内の「掛金の運用益として元本に繰り入れられた金額」については、30-3(注)参照

(年金の支給開始日以後に分配を受ける剰余金)

35-6 令第82条の31項本文かっこ内に規定する剰余金額については、当該金額そのままが法第35条第3項第3号に規定する公的年金等の収入金額となることに留意する。(昭63直法6-1、直所3-1追加)

(転籍前の法人から支給される較差ほてん金)

35-7 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金は、法第35条第3項第2号に規定する公的年金等となるのであるが、転籍者(他の法人に転籍した使用人をいう。)に対し転籍前の法人から転籍後の法人との給与条件の較差をほてんするために支給される較差ほてん(転籍後の法人を経由して支給されるものを含む。)は、法第28《給与所得》に規定する給与等に該当することに留意する。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額の計算について)

35-8 法第35条第4項各号に規定する「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」は、その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における合計所得金額をいうのであるから、措置法第41条の332((所得金額調整控除))の規定による所得金額調整控除の適用はないものとして計算することに留意する。(令2課個2-12、課法11-3、課審5-6追加)

 

法第23条から第35条まで(各種所得)共通関係

(使用人等の発明等に係る報償金等)

2335-1 業務上有益な発明、考案等をした役員又は使用人が使用者から支払を受ける報償金、表彰金、賞金等の金額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得に係る収入金額又は総収入金額に算入するものとする。(平17課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113改正)

1.   1 業務上有益な発明、考案又は創作をした者が当該発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を使用者に承継させたことにより支払を受けるもの これらの権利の承継に際し一時に支払を受けるものは譲渡所得、これらの権利を承継させた後において支払を受けるものは雑所得

2.   2 特許権、実用新案権又は意匠権を取得した者がこれらの権利に係る通常実施権又は専用実施権を設定したことにより支払を受けるもの 雑所得

3.   3 事務若しくは作業の合理化、製品の品質の改善又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限る。)をした者が支払を受けるもの その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得(その工夫、考案等の実施後の成績等に応じ継続的に支払を受けるときは、雑所得)

4.   4 災害等の防止又は発生した災害等による損害の防止等に功績のあった者が一時に支払を受けるもの その防止等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得

5.   5 篤行者として社会的に顕彰され使用者に栄誉を与えた者が一時に支払を受けるもの一時所得

(組合事務専従者以外の組合員が受ける金銭等)

2335-2 労働組合のいわゆる組合事務専従者以外の組合員が就業時間中に組合活動に従事し、又は遠隔地における組合大会に出席するなどのため、当該組合から手当、日当その他の名義をもって支払を受ける金銭等は、当該組合員の雑所得の総収入金額に算入する。ただし、当該組合員の組合活動に従事する状態及び組合から支払を受ける金銭の額が組合事務専従者の従事状態及び給与等の額に比して大差がないなど、組合事務専従者との権衡上雑所得とすることが適当でないと認められる場合には、組合事務専従者が支払を受ける給与等又は旅費に準じ、それぞれの内容に従い給与等又は旅費に該当するものとする。

(組合員に対し給与を支給する農事組合法人等の判定)

2335-3 令第62条第1項第3号又は第2《農事組合法人等の分配金》に規定する法人がその事業に従事する組合員に対し、給料、賃金、賞与その他これらの性質を有する給与を支給するものであるかどうかの判定に当たり、次に掲げることについては、次による。

1.   1 その事業に従事する組合員にはこれらの組合の役員又は事務に従事する使用人である組合員を含まないから、これらの役員又は使用人である組合員に対し給与を支給しても、給与を支給するものであるかどうかの判定には関係させない。

2.   2 その事業に従事する組合員に対し、その事業年度において当該事業年度分に係る従事分量配当金として確定すべき金額を見合いとして金銭を支給し、当該事業年度の剰余金処分によりその従事分量配当金が確定するまでの間仮払金、貸付金等として経理した場合には、当該仮払金等として経理した金額は、給与として支給されたものとはしない。

3.   3 その事業に従事する組合員に対し、通常の家事消費の程度を超えて生産物等を支給した場合において、その支給が給与の支給に代えてされたものと認められるときは、給与を支給するものに該当する。

(組合の事業に従事する組合員に対し給与を支給しない農事組合法人等から受ける従事分量配当の所得区分)

2335-4 令第62条第2項に規定する法人の組合員が当該法人から受ける同項に規定する分配金(以下この項において「従事分量配当」という。)については、おおむね次によるものとする。(昭50直所3-4、昭57直所3-15、直法6-13、直資3-8、平5課所4-1改正)

1.   1 農事組合法人から受ける従事分量配当のうち、農業の経営から生じた所得を分配したと認められるものは、事業所得に係る総収入金額に算入し、当該法人が農業の経営と併せて林業の経営を行っている場合において当該林業の経営から生じた所得を分配したと認められるものは、3による。

2.   2 漁業生産組合から受ける従事分量配当のうち漁業から生じた所得を分配したと認められるものは、事業所得に係る総収入金額に算入する。この場合において、当該分配金のうち漁獲若しくはのりの採取から生じた所得又ははまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生じた所得を分配したと認められる部分は、変動所得に係る総収入金額に算入する。

3.   3 生産森林組合から受ける従事分量配当のうちその組合のその事業年度中における山林の伐採又は譲渡から生じた所得の大部分を分配したと認められるものは、山林所得に係る総収入金額に算入する。ただし、当該山林の伐採又は譲渡がその取得の日から5年以内にされたものは雑所得(山林の売買を業とする者が受けるものは事業所得)に係る総収入金額に算入する。

(協同組合等から受ける事業分量配当の所得区分)

2335-5 法人税法第2条第7《定義》に規定する協同組合等の組合員その他の者(以下この項において「組合員等」という。)が、その取り扱った物の数量、価額その他協同組合等を利用した分量に応じて当該協同組合から受ける分配金で、次に掲げるものについては、おおむね次による。

1.   1 組合員等の事業の遂行上必要な資金の貸付業務、物資の供給に関する業務、共同利用施設に関する業務、組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵若しくは販売に関する業務又は組合員等が事業の用に供する建物、家畜、機械、器具等を目的とした共済事業等に関する業務に係る剰余金を分配したと認められるもの  事業所得に係る総収入金額に算入する。

2.   2 組合員等の貯金の受入れに関する業務に係る剰余金を分配したと認められるもの  利子所得に係る収入金額に算入する。

3.   3 組合員等の所有する農地、採草放牧地等の不動産を貸付けの方法により運用すること又は売り渡すことを目的とする信託の委託者に当該信託に関する業務に係る剰余金を分配したと認められるもの  不動産所得又は譲渡所得に係る総収入金額に算入する。

(特定譲渡制限付株式等の譲渡についての制限が解除された場合の所得区分)

2335-52 令第84条第1((譲渡制限付株式の価額等))に規定する特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式(以下2335共-54までにおいて「特定譲渡制限付株式等」という。)の同項に規定する譲渡についての制限(以下2335共-54までにおいて「譲渡制限」という。)が解除された場合の所得に係る所得区分は、当該特定譲渡制限付株式等を交付した法人(以下2335共-54までにおいて「交付法人」という。)と当該特定譲渡制限付株式等を交付された者との関係等に応じ、それぞれ次による。

1.   1 特定譲渡制限付株式等が、交付法人との間の雇用契約又はこれに類する関係に基因して交付されたと認められる場合は、給与所得とする。ただし、特定譲渡制限付株式等の譲渡制限が、当該特定譲渡制限付株式等を交付された者の退職に基因して解除されたと認められる場合は、退職所得とする。

2.   2 特定譲渡制限付株式等が、個人の営む業務に関連して交付されたと認められる場合は、事業所得又は雑所得とする。

3.   31及び2以外の場合は、原則として雑所得とする。

4.   (注) この取扱いは、交付法人が外国法人である場合においても同様であることに留意する。

(特定譲渡制限付株式等を交付された場合の所得の収入すべき時期等)

2335-53 交付法人から特定譲渡制限付株式等を交付された場合の当該特定譲渡制限付株式等に係る所得の収入金額の収入すべき時期は、当該特定譲渡制限付株式等の譲渡制限が解除された日(同日前に当該特定譲渡制限付株式等を交付された個人が死亡した場合において、当該個人の死亡の時に令第84条第2項第2号に規定する事由に該当しないことが確定している当該特定譲渡制限付株式等については、当該個人の死亡の日。2335共-54及び4812において同じ。)による。(令2課個2-12、課法11-3、課審5-6改正)

(注)

1 その確定した特定譲渡制限付株式等に係る所得の収入金額については、その死亡した個人の収入金額となることに留意する。

2 令第84条第2項第2号に規定する事由その他の事由により、交付法人が特定譲渡制限付株式等を無償で取得することとなった場合における当該特定譲渡制限付株式等については、課税しない。

(特定譲渡制限付株式等の価額)

2335-54 特定譲渡制限付株式等の譲渡制限が解除された日における価額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。

1.   1 特定譲渡制限付株式等が金融商品取引所に上場されている場合 当該特定譲渡制限付株式等につき金融商品取引法第130((総取引高、価格等の通知等))の規定により公表された最終の価格(同日に最終の価格がない場合には、同日前の同日に最も近い日における最終の価格とし、2以上の金融商品取引所に同一の区分に属する最終の価格がある場合には、当該価格が最も高い金融商品取引所の価格とする。以下この項において同じ。)

2.   2 令第84条第1項に規定する承継譲渡制限付株式(以下この項において「承継譲渡制限付株式」という。)に係る旧株が金融商品取引所に上場されている場合 当該旧株の最終の価格を基準として当該承継譲渡制限付株式につき合理的に計算した価額

3.   31の特定譲渡制限付株式等及び2の旧株が金融商品取引所に上場されていない場合において、当該特定譲渡制限付株式等又は当該旧株につき気配相場の価格があるとき 1又は2の最終の価格を気配相場の価格と読み替えて1又は2により求めた価額

4.   41から3までに掲げる場合以外の場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める価額

·     イ 売買実例のあるもの 最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額

·     ロ 公開途上にある特定譲渡制限付株式等で、当該特定譲渡制限付株式等の上場又は登録に際して特定譲渡制限付株式等の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。)が行われるもの(イに該当するものを除く。) 金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額

() 公開途上にある株式とは、金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式をいう。

·     ハ 売買実例のないもので交付法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの 当該価額に比準して推定した価額

·     ニ イからハまでに該当しないもの 譲渡制限が解除された日又は同日に最も近い日におけるその特定譲渡制限付株式等の交付法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額

(株式等を取得する権利を与えられた場合の所得区分)

2335-6 発行法人から令第84条第3項各号に掲げる権利を与えられた場合(同条項の規定の適用を受ける場合に限る。以下2335-62において同じ。)の当該権利の行使による株式(これに準ずるものを含む。 以下2335-9までにおいて同じ。)の取得に係る所得区分は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。(昭49直所2-23、平8課法8-2、課所4-5、平10課法8-2、課所4-5、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平28課個2-22、課審5-18、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個212、課法113、課審56改正)

1.   1 令第84条第3項第1号又は第2号に掲げる権利を与えられた者がこれを行使した場合発行法人(外国法人を含む。)と当該権利を与えられた者との関係等に応じ、それぞれ次による。

·     イ 発行法人と権利を与えられた者との間の雇用契約又はこれに類する関係に基因して当該権利が与えられたと認められるとき  給与所得とする。ただし、退職後に当該権利の行使が行われた場合において、例えば、権利付与後短期間のうちに退職を予定している者に付与され、かつ、退職後長期間にわたって生じた株式の値上り益に相当するものが主として供与されているなど、主として職務の遂行に関連を有しない利益が供与されていると認められるときは、雑所得とする。

(注) 例えば、措置法第29条の21((特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等))に規定する「取締役等」の関係については、雇用契約又はこれに類する関係に該当することに留意する。

·     ロ 権利を与えられた者の営む業務に関連して当該権利が与えられたと認められるとき 事業所得又は雑所得とする。

(注) 例えば、措置法第29条の2第1項に規定する「特定従事者」にその者の営む業務に関連して同項に規定する特定新株予約権が与えられた場合(雇用契約又はこれに類する関係にない場合に限る。)において同項の適用がないときは、上記に該当することに留意する。

·     ハ イ及びロ以外のとき原則として雑所得とする。

2.   2 令第84条第3項第3号に掲げる権利を与えられた者がこれを行使した場合  一時所得とする。 ただし、当該発行法人の役員又は使用人に対しその地位又は職務等に関連して株式を取得する権利が与えられたと認められるときは給与所得とし、これらの者の退職に基因して当該株式を取得する権利が与えられたと認められるときは退職所得とする。

(株式等を取得する権利を与えられた場合の所得の収入すべき時期)

2335-62 発行法人から令第84条第3項各号に掲げる権利を与えられた場合の当該権利に係る所得の収入金額の収入すべき時期は、当該権利の行使により取得した株式の取得についての申込みをした日(同項第3号に掲げる権利を与えられた者がこれを行使した場合において、当該権利に係る株式の取得についての申し込みをした日が明らかでないときは、当該株式についての申込期限の日)による。

(注)株式を取得する権利を与えられた者が当該株式の取得について申込みをしなかったこと若しくはその申込みを取り消したこと又は払込みをしなかったことにより失権した場合には、課税しない。(平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114追加、平28課個2-22、課審5-18、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個211、課法113、課審56改正)

(株式と引換えに払い込むべき額が有利な金額である場合)

2335-7 令第84条第3項第3号に規定する「株式と引換えに払い込むべき額が有利な金額である場合」とは、その株式と引換えに払い込むべき額を決定する日の現況におけるその発行法人の株式の価額に比して社会通念上相当と認められる価額を下る金額である場合をいうものとする。(昭49直所2-23追加、平10課法8-2、課所4-5、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平28課個2-22、課審5-18、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個211、課法113、課審56改正)

(注)

1

社会通念上相当と認められる価額を下る金額であるかどうかは、当該株式の価額と当該株式と引換えに払い込むべき額との差額が当該株式の価額のおおむね10%相当額以上であるかどうかにより判定する。

2

株式と引換えに払い込むべき額を決定する日の現況における株式の価額とは、決定日の価額のみをいうのではなく、決定日前1月間の平均株価等、当該株式と引換えに払い込むべき額を決定するための基礎として相当と認められる価額をいう。

(株主等として与えられた場合)

2335-8 令第84条第3項に規定する「株主等として与えられた場合(当該発行法人の他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に限る。)」とは、同項に規定する権利が株主等のその有する株式の内容及び数に応じて平等に与えられ、かつ、その株主等とその内容の異なる株式を有する株主等との間においても経済的な衡平が維持される場合をいうことに留意する。(昭49直所2-23追加、平10課法8-2、課所4-5、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26、平28課個2-22、課審5-18、令2課個211、課法113、課審56改正)

(注) 例えば、他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に該当するか否かの判定については、新株予約権無償割当てにつき会社法第322条の種類株主総会の決議があったか否かのみをもって判定するのではなく、その発行法人の各種類の株式の内容、当該新株予約権無償割当ての状況などを総合的に勘案して判断する必要があることに留意する。

(株式等を取得する権利の価額)

2335-9 令第84条第3項第1号及び第2号に掲げる権利の行使の日又は同項第3号に掲げる権利に基づく払込み若しくは給付の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当該払込み又は給付をした日。以下この項において「権利行使日等」という。)における同条第3項本文の株式の価額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。(昭49直所2-23、平10課法8-2、課所4-5、平11課所4-1、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平17課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26、平26課個2-9、課審5-14、平28課個2-22、課審5-18、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個212、課法113、課審56改正)

1.   1 これらの権利の行使により取得する株式が金融商品取引所に上場されている場合 当該株式につき金融商品取引法第130条の規定により公表された最終の価格(同日に最終の価格がない場合には、同日前の同日に最も近い日における最終の価格とし、2以上の金融商品取引所に同一の区分に属する最終の価格がある場合には、当該価格が最も高い金融商品取引所の価格とする。以下この項において同じ。)とする。

2.   2 これらの権利の行使により取得する株式に係る旧株が金融商品取引所に上場されている場合において、当該株式が上場されていないとき 当該旧株の最終の価格を基準として当該株式につき合理的に計算した価額とする。

3.   31の株式及び2の旧株が金融商品取引所に上場されていない場合において、当該株式又は当該旧株につき気配相場の価格があるとき 1又は2の最終の価格を気配相場の価格と読み替えて1又は2により求めた価額とする。

4.   41から3までに掲げる場合以外の場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める価額とする。

·     イ 売買実例のあるもの 最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額

·     ロ 公開途上にある株式で、当該株式の上場又は登録に際して株式の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。)が行われるもの(イに該当するものを除く。) 金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額

(注) 公開途上にある株式とは、金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式をいう。

·     ハ 売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの 当該価額に比準して推定した価額

·     ニ イからハまでに該当しないもの 権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額

(注) この取扱いは、令第354条第2((新株予約権の行使に関する調書))に規定する「当該新株予約権を発行又は割当てをした株式会社の株式の1株当たりの価額」について準用する。

(信用取引等に係る所得の帰属時期)

2335-10 信用取引若しくは発行日取引又は先物取引の方法による株式又は公社債の売買から生ずる所得及び令第119条の7に規定する暗号資産信用取引(以下3637共-22において同じ。)の方法による暗号資産(法第48条の2第1項に規定する暗号資産をいう。以下3637共-22及び第48条の2関係において同じ。)の売買から生ずる所得は、これらの取引の決済の日の属する年分の所得とする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平11課所4-1、平28課個2-22、課審5-18、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個212、課法113、課審56改正)

(有価証券の譲渡による所得の所得区分)

2335-11 有価証券の譲渡による所得が事業所得若しくは雑所得に該当するか又は譲渡所得に該当するかは、当該有価証券の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定することに留意する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、平11課所4-1、平11課所4-25、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

(注) 措置法第37条の102項に規定する株式等の譲渡に係る所得区分については、平成14624日付課資3-1ほか3課共同「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)37の10・37の11共-2((株式等の譲渡に係る所得区分))参照

(自己が育成した山林を伐採し製材して販売する場合の所得)

2335-12 製材業者が自ら植林して育成した山林(幼齢林を取得して育成した山林を含む。)を伐採し、製材して販売する場合には、植林から製品の販売までの全所得がその販売した時の製材業の所得となるのであるが、植林又は幼齢林の取得から伐採までの所得は、伐採した原木を当該製材業者の通常の原木貯蔵場等に運搬した時の山林所得とし、製材から販売までの所得は、その製品を販売した時の事業所得として差し支えないものとする。この場合において、山林所得の金額は当該運搬した時の当該原木貯蔵場等における原木の価額を基として計算するものとし、事業所得の金額は当該原木の価額に相当する金額を当該原木の取得価額として計算するものとする。(昭49直所2-23、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平11課所4-1改正)

 

 

 

〔収入金額〕

(収入金額)

361 法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。


〔収入金額の収入すべき時期〕

(利子所得の収入金額の収入すべき時期)

362 利子所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(平4課法85、課所43改正、平13課法86、課個217、課審389改正)

(1) 定期預金(貯金及び令第2条第1《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、次に掲げる日

イ その契約により定められた預入期間(以下この項において「契約期間」という。)の満了後に支払を受ける利子で、その契約期間が満了するまでの期間に係るものについてはその満了の日、その契約期間が満了した後の期間に係るものについてはその支払を受けた日

ロ  契約期間の満了前に既経過期間に対応して支払い又は元本に繰り入れる旨の特約のある利子については、その特約により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日

ハ  契約期間の満了前に解約された預金の利子については、その解約の日

(2) 普通預金又は貯蓄預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれらに類するものを含む。)の利子については、その約定により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日。ただし、その利子計算期間の中途で解約された預金の利子については、その解約の日

(3) 通知預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、その払出しの日

(4) 合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日

(5) 公社債の利子については、その利子につき支払開始日と定められた日

(振替記載等を受けた公社債)

363 社債、株式等の振替に関する法律の規定により振替記載等を受けた公社債及び国債に関する法律又は廃止前の社債等登録法の規定により登録した公社債は、法第36条第3項に規定する無記名の公社債には該当しない。(平15課法83、課個213、課審319、平21課法9-3、課個2-17、課審4-31改正)

(配当所得の収入金額の収入すべき時期)

364 配当所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭50直法67、直所316、平11課所425改正、平13課法82、課個27改正、課法86、課個217、課審389、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平18課個218、課資310、課審4114、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個213、課資33、課審55改正)

(1) 法第24条第1((配当所得))に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配又は基金利息(以下この項において「剰余金の配当等」という。)については、当該剰余金の配当等について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該剰余金の配当等を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。
 また、資産の流動化に関する法律第115条第1
《中間配当》の規定による金銭の分配に係る取締役の決定において、特にその決定の効力発生日(同項に規定する一定の日から3か月内に到来する日に限る。)を定めた場合には、当該効力発生日

(2) 法第13条第3項に規定する投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日

(3) 法第25《配当等とみなす金額》の規定により配当等とみなされる金額については、それぞれ次に掲げる日

イ 法第25条第1項第1号に掲げる合併によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設合併の場合は、新設合併設立会社の設立登記の日。
 なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日

ロ 法第25条第1項第2号に掲げる分割型分割によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設分割の場合は、新設分割設立会社の設立登記の日。
 なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日

ハ 法第25条第1項第3号に掲げる株式分配によるものについては、当該株式分配について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該株式分配を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。

ニ 法第25条第1項第4号に掲げる資本の払戻しによるものについては、資本の払戻しに係る剰余金の配当又は法第24条第1項に規定する出資等減少分配がその効力を生ずる日

ホ 法第25条第1項第4号に掲げる解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日

ヘ 法第25条第1項第5号に掲げる自己の株式又は出資の取得によるものについては、その法人の取得の日

ト 法第25条第1項第6号に掲げる出資の消却、出資の払戻し、社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は株式若しくは出資を法人が取得することなく消滅させることによるものについては、これらの事実があった日

チ 法第25条第1項第7号に掲げる組織変更によるものについては、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日。ただし、効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日

(4) いわゆる認定配当とされるもので、その支払をすべき日があらかじめ定められているものについてはその定められた日、その日が定められていないものについては現実にその交付を受けた日(その日が明らかでない場合には、その交付が行われたと認められる事業年度の終了の日)

(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)

365 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)

(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日

(注)

1 当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する237参照)

2 業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。

(頭金、権利金等の収入すべき時期)

366 不動産等の貸付け(貸付契約の更新及び地上権等の設定その他他人に不動産等を使用させる行為を含む。以下367までにおいて同じ。)をしたことに伴い一時に収受する頭金、権利金、名義書換料、更新料等に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、当該貸付けに係る契約に伴い当該貸付けに係る資産の引渡しを要するものについては当該引渡しのあった日、引渡しを要しないものについては当該貸付けに係る契約の効力発生の日によるものとする。ただし、引渡しを要するものについて契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(返還を要しなくなった敷金等の収入すべき時期)

367 不動産等の貸付けをしたことに伴い敷金、保証金等の名目により収受する金銭等(以下この項において「敷金等」という。)の額のうち、次に掲げる金額は、それぞれ次に掲げる日の属する年分の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入するものとする。

(1) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなっている部分の金額  366に定める日

(2) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に応じて返還を要しないこととなる部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなる部分の金額  当該貸付けに係る契約に定められたところにより当該返還を要しないこととなった日

(3) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間が終了しなければ返還を要しないことが確定しない部分の金額がある場合において、その終了により返還を要しないことが確定した金額  当該不動産等の貸付けが終了した日

(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)

368 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭49直所223改正)

(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日

(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日

(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日

(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日

(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日

(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)

(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日

イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息  その契約により定められている貸付元本の返済日

ロ その他の利息  その貸付けに係る契約の内容に応じ、365(1)に掲げる日

ハ 手形の割引料  その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)

(棚卸資産の引渡しの日の判定)

3682 368(1)の場合において、棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、船積みをした日、相手方に着荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所319、直法68追加、平30課個219、課審52改正)

(建設工事等の引渡しの日の判定)

3683 368(4)の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下この項において「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所319、直法68追加)

(機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収入すべき時期の特例)

3684 機械設備等を販売したことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき368(1)又は368(4)により収入金額に計上することができるものとする。(昭55直所319、直法68追加)

(注) その者がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額について368(1)による。

(利息制限法の制限超過利子)

3685 利息制限法に定める制限利率(以下この項において「制限利率」という。)を超える利率により金銭の貸付けを行っている場合におけるその貸付けに係る貸付金から生ずる利子の額の収入すべき時期については368(7)によるほか、次に定めるところによるものとする。(昭55直所319、直法68追加、昭60直所31、直法61、直資31、平19課個231、課審444、平22課個216、課法91、課審430、平30課個219、課審52改正)

(1) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該年分に係る金額は、原則としてその貸付けに係る約定利率により計算するものとするが、実際に支払を受けた利子の額を除き、その者が継続して制限利率によりその計算を行っている場合には、これを認める。

(2) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち実際に支払を受けたものについては、その支払を受けた金額を利子として総収入金額に算入する。

(3) (1)により当該年分に係る利子の額を計算する場合におけるその計算の基礎となる貸付金の額は、原則としてその貸付けに係る約定元本の額によるものとするが、その者が継続して既に支払を受けた利子の額のうち制限利率により計算した利子の額を超える部分の金額を元本の額に充当したものとして当該貸付金の額を計算している場合には、これを認める。

(注) この場合には、貸倒引当金の計算の基礎となるその年1231日における貸金の額についても斉一の方法によるものとする。

(割賦販売等に係る収入金額に含めないことができる利息相当部分)

3686 割賦販売等(月賦、年賦その他の賦払の方法により対価の支払を受けることを定型的に定めた約款に基づき行われる資産の販売等(棚卸資産の販売若しくは工事の請負又は役務の提供(法第66条第1((工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期))に規定する長期大規模工事の請負を除く。)をいう。以下この項において同じ。)及び延払条件が付された資産の販売等をいう。以下この項において同じ。)又は法第65条第1((リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期))に規定するリース譲渡(同条の規定の適用を受けるものを除く。以下この項において「リース譲渡」という。)を行った場合において、当該割賦販売等又はリース譲渡に係る販売代価又はリース料と賦払期間又はリース期間(法第67条の23((リース取引に係る所得の金額の計算))に規定するリース取引に係る契約において定められた同条第1項に規定するリース資産の賃貸借期間をいう。)中の利息に相当する金額とが区分されているときは、当該利息に相当する金額を当該割賦販売等又はリース譲渡に係る収入金額に含めないことができる。(課個219、課審52追加)

(注) 延払条件が付された資産の販売等とは、資産の販売等で次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われるものをいう。

(1) 月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払を受けること。

(2) その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の期日の翌日から最後の賦払金の支払期日までの期間が2年以上であること。

(3) 当該契約において定められているその資産の販売等の目的物の引渡しの期日までに支払の期日の到来する賦払金の額の合計額がその資産の販売等の対価の額の3分の2以下となっていること。

(給与所得の収入金額の収入すべき時期)

369 給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法61、直所31、平19課法91、課審411改正)

(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日

(2) 役員に対する賞与のうち、株主総会の決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるものについては、その決議等があった日。ただし、その決議等が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日

(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日

(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)

(退職所得の収入金額の収入すべき時期)

3610 退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭52直所333、直法610、直資315、昭63直法61、直所31、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197改正)

(1) 役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日

(2) 退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日

(3) 法第31《退職手当等とみなす一時金》に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約により定められた給付事由が生じた日

(4) 引き続き勤務する者に支払われる給与で302により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日

イ 302(1)に掲げる給与  その支給を受けた日

ロ 302(2)に掲げる給与  使用人から役員になった日。ただし、302(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日

ハ 302(4)に掲げる給与  その定年に達した日

ニ 302(5)に掲げる給与  旧定年に達した日

ホ 302(6)に掲げる給与  法人の解散の日

(5) 年金に代えて支払われる一時金で304及び311により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日

() 令第77《退職所得の収入の時期》の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。

(一の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合)

3611 令第77条に規定する「一の勤務先を退職することにより2以上の……退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合」とは、次に掲げるような場合をいう。(平元直所314、直法69、直資38、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197改正)

(1) 勤務先を退職することにより、当該勤務先から退職手当等の支払を受けるほか、法第31条各号に掲げる一時金(確定拠出年金法の規定に基づき老齢給付金として支給される一時金を除く。)の支払者からも当該一時金の支払を受けることとなる場合

(2) 退職により退職手当等の支払を受けた者が、その後退職給与規程の改訂等により退職手当等の差額の支払を受けることとなる場合

(注) 上記に掲げる場合であっても、(1)の一時金又は(2)の差額の支給期がその者の死亡後に到来したときは、これらの一時金又は差額については、令第77条の規定は適用しない917及び342参照)

(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)

3612 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第7号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。(平3課資31、課所45改正、平21課資38、課個224、課審623、令2課資37、課個218、課法114、課審79改正)

(注)

1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。

2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

(一時所得の総収入金額の収入すべき時期)

3613 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、令第183条第2《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金又は令第184条第4《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。(平11課所41改正)

(雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期)

3614 雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法61、直所31、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197改正)

(1) 法第35条第3《雑所得》に規定する公的年金等

イ 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日

ロ 法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日

(注) 裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。

(2) (1)以外のもの
  その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日

 

〔経済的利益〕

(経済的利益)

3615 法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下3650までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。

(1) 物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益

(2) 土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(3) 金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益

(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(5) 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益

(経済的利益の額を収入金額等に算入する時期)

3616 次に掲げる経済的利益の額を収入金額又は総収入金額に算入する時期は、当該経済的利益の額が令第80《特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの》の規定により譲渡所得に係る総収入金額に算入されるものである場合を除き、おおむね次に掲げる日によるものとする。

(1) 3615(2)に掲げる利益でその月中に受けるもの  各月ごとにその月の末日

(2) 3615(3)又は(4)に掲げる利益でその月中に受けるもの  各月ごとにその月の末日又は1年を超えない一定期間ごとにその期間の末日

3617 削除(26課個29、課審514改正)

(広告宣伝用資産等の贈与等を受けた場合の経済的利益)

3618 販売業者等が製造業者等から次に掲げるような広告宣伝用の資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又はその資産の価額に満たない対価により取得した場合には、その経済的利益の額は、その資産の価額(製造業者等が自己の用に供しないで贈与又は譲渡した資産については、その製造業者等の取得価額)3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは、当該金額の合計額)30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。(昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38改正)  

(1) 自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの

(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの

(3) 展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの

(注) 広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。

(広告宣伝用資産の取得のために金銭の交付を受けた場合)        

3619 販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合には、3618の取扱いに準ずる。

(事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の評価)

3620 法第204条第1項第8《源泉徴収義務》に規定する広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の額については、令第321《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》の規定により評価した金額によって差し支えない。

(注) 令第321条の規定による評価については、2059参照

 

〔給与等に係る経済的利益〕

(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)

3621 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭46直審(所)19改正)

(1) 当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。

(2) 当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。

(課税しない経済的利益……創業記念品等)

3622 使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものについては、この限りでない。(昭60直法65、直所36改正)

(1) その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)1万円以下のものであること。

(2) 創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。

(課税しない経済的利益……商品、製品等の値引販売)

3623 使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭51直所31、直法61、直資31改正)

(1) 値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。

(2) 値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。

(3) 値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。

(注) 食事については、36243638及び36382参照

(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)

3624 使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。(昭50直法64、直所38改正)

(課税しない経済的利益……掘採場勤務者に支給する燃料)

3625 鉱業を営む使用者が自己の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の付属設備を含む。)に勤務する使用人に対し、これらの者の保健衛生のため、社会通念上通常必要な厚生施設の設置に代えて支給すると認められる程度の石炭、薪等の燃料については、課税しなくて差し支えない。

(課税しない経済的利益……寄宿舎の電気料等)

3626 使用者が寄宿舎(これに類する施設を含む。以下この項において同じ。)の電気、ガス、水道等の料金を負担することにより、当該寄宿舎に居住する役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該料金の額がその寄宿舎に居住するために通常必要であると認められる範囲内のものであり、かつ、各人ごとの使用部分に相当する金額が明らかでない場合に限り、課税しなくて差し支えない。

3627 削除(昭50直法64、直所38改正)

(課税しない経済的利益……金銭の無利息貸付け等)

3628 使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は3649により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げるものについては、課税しなくて差し支えない。(平11課法811、課所423改正)

(1) 災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し、その資金に充てるために貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益

(2) 役員又は使用人に貸し付けた金額につき、使用者における借入金の平均調達金利(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益

(3) (1)及び2の貸付金以外の貸付金につき受ける経済的利益で、その年(使用者が事業年度を有する法人である場合には、その法人の事業年度)における利益の合計額が5,000(使用者が事業年度を有する法人である場合において、その事業年度が1年に満たないときは、5,000円にその事業年度の月数(1月未満の端数は1月に切り上げた月数)を乗じて12で除して計算した金額)以下のもの

(課税しない経済的利益……用役の提供等)

3629 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。

(課税しない経済的利益……使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品)

36292 使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。(平28課法101、課個26、課審57追加)

(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)

3630 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。

(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。

(使用者契約の養老保険に係る経済的利益)

3631 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、36313に定める定期付養老保険を含まない。以下36315までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第64《確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い》及び第65《不適格退職共済契約等に基づく掛金の取扱い》の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法67、直所38追加、平14課法85、課個27、課審3142改正)

(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下36312までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下この項において同じ。)の受取人が当該使用者である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合  その支払った保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該使用者である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(注)

1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36314参照

2 上記(3)のただし書については、次によることに留意する。

(1) 保険加入の対象とする役員又は使用人について、加入資格の有無、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により、普遍的に設けられた格差であると認められるときは、ただし書を適用しない。

(2) 役員又は使用人の全部又は大部分が同族関係者である法人については、たとえその役員又は使用人の全部を対象として保険に加入する場合であっても、その同族関係者である役員又は使用人については、ただし書を適用する。

(使用者契約の定期保険に係る経済的利益)

36312 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下36315までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法67、直所38追加)

(1) 死亡保険金の受取人が当該使用者である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(注)

1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36314参照

2 3631()2の取扱いは、上記(2)のただし書について準用する。

(使用者契約の定期付養老保険に係る経済的利益)

36313 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険(養老保険に定期保険を付したものをいう。以下36315までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法67、直所38追加)

(1) 当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険に係る保険料の額とに区分されている場合 それぞれの保険料の支払があったものとして、それぞれ3631又は36312の例による。

(2) (1)以外の場合 3631の例による。

()傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については,36314参照

(使用者契約の傷害特約等の特約を付した保険に係る経済的利益)

36314 使用者が、自己を契約者とし,役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする傷害特約等の特約を付した養老保険、定期保険又は定期付養老保険に加入し、当該特約に係る保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(63直法67、直所38追加)

() 3631()2の取扱いは,上記ただし書について準用する。

(使用者契約の生命保険契約の転換をした場合)

36315 使用者がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険又は定期付養老保険を他の養老保険、定期保険又は定期付養老保険(以下この項において「転換後契約」という。)に転換した場合には、その転換のあった日に転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(3631から36313までの取扱いにより,役員又は使用人に対する給与等とされている金額がある場合には当該金額を除く。)に相当する金額の保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて3631から36313までの例による。(63直法67、直所38追加)

(生命保険契約に係る取扱いの準用)

36316 3631から36315までの取扱いについては、法第76条第5項第2号に掲げる旧簡易生命保険契約及び同項第3号に掲げる生命共済契約等について準用する。(63直法67、直所38追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(使用者契約の保険契約等に係る経済的利益)

36317 使用者が自己を契約者とし、役員又は使用人のために次に掲げる保険契約又は共済契約(当該契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、当該給付の受取人を使用者としている契約に限る。)に係る保険料(共済掛金を含む。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えない。ただし、役員又は特定の使用人のみを対象として当該保険料を支払うこととしている場合には、その支払った保険料の額(その契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、支払った保険料の額から積立保険料に相当する部分の金額を控除した金額)に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(63直法67、直所38追加、平13課法86、課個217、課審389、平19課法91、課審411、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険の目的とする法第76条第6項第4号に掲げる保険契約及び同条第7項に規定する介護医療保険契約等

(2) 役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約

(3) 役員又は使用人に係る法第77条第1《地震保険料控除》に規定する家屋又は資産(役員又は使用人から賃借している建物等で当該役員又は使用人に使用させているものを含む。)を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約

(使用人契約の保険契約等に係る経済的利益)

36318 使用者が、役員又は使用人が負担すべき次に掲げるような保険料又は掛金を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等に該当することに留意する。(昭63直法67、直所38追加、平5課法82、課所46、平14課法85、課個27、課審3142、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 役員又は使用人が契約した法第76条第5項に規定する新生命保険契約等、同条第6項に規定する旧生命保険契約等及び同条第7項に規定する介護医療保険契約等(確定給付企業年金規約及び適格退職年金契約に係るものを除く。3632において「生命保険契約等」という。)又は法第77条第2項に規定する損害保険契約等(3632において「損害保険契約等」という。)に係る保険料又は掛金

(2) 法第74条第2《社会保険料控除》に規定する社会保険料

(3) 法第75条第2《小規模企業共済等掛金控除》に規定する小規模企業共済等掛金

(課税しない経済的利益……使用者が負担する少額な保険料等)

3632 使用者が役員又は使用人のために次に掲げる保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、その者につきその月中に負担する金額の合計額が300円以下である場合に限り、課税しなくて差し支えない。ただし、使用者が役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを対象として当該保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、この限りでない。(昭46直審()19、昭63直法67、直所38改正)

(1) 健康保険法、雇用保険法、厚生年金保険法又は船員保険法の規定により役員又は使用人が被保険者として負担すべき保険料

(2) 生命保険契約等又は損害保険契約等に係る保険料又は掛金(3631から36317までにより課税されないものを除く。)

() 使用者がその月中に負担する金額の合計額が300円以下であるかどうかを判定する場合において、上記の契約のうちに保険料又は掛金の払込みを年払、半年払等により行う契約があるときは、当該契約に係るその月中に負担する金額は、その年払、半年払等による保険料又は掛金の月割額とし、使用者が上記の契約に基づく剰余金又は割戻金の支払を受けたときは、その支払を受けた後に支払った保険料又は掛金の額のうちその支払を受けた剰余金又は割戻金の額に達するまでの金額は、使用者が負担する金額には含まれない。

(使用者が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等)

3633 使用者が役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金(慰謝料,示談金等他人に与えた損害をほてんするために支出する全てのもの及びこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含む。以下この項において「損害賠償金等」という。)を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) その損害賠償金等の基因となった行為が使用者の業務の遂行に関連するものであり、かつ、行為者の故意又は重過失に基づかないものである場合には、その役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

(2) その損害賠償金等の基因となった行為が(1)以外のものである場合には、その負担する金額は、その役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その負担した金額のうちに、その行為者の支払能力等からみてその者に負担させることができないためやむを得ず使用者が負担したと認められる部分の金額がある場合には、当該部分の金額については、(1)の場合に準ずる。

(使用者が負担するゴルフクラブの入会金)

3634 使用者がゴルフクラブの入会金を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(63直法67、直所38改正)

(1) 法人会員として入会した場合 記名式の法人会員で名義人である特定の役員又は使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、これらの者が負担すべきものであると認められるときは、その入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(2) 役員又は使用人が個人会員として入会した場合 入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、無記名式の法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

() この入会金は、ゴルフクラブに入会するために支出する費用であるから、他人の有する会員権を購入した場合には、その購入代価のほか他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する費用も含まれる。

(使用者が負担するゴルフクラブの年会費等)

36342 使用者がゴルフクラブの年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭63直法67、直所38追加)

(1) 使用者がゴルフクラブの年会費、年決めロッカ-料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレ-をする場合に直接要する費用を除く。)を負担する場合には、その入会金が法人の資産として計上されているときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その入会金が3634により給与等とされているときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(2) 使用者が、プレ-をする場合に直接要する費用を負担する場合には、その負担する金額は、そのプレ-をする役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

(使用者が負担するレジャ-クラブの入会金等)

36343 使用者がレジャ-クラブ(宿泊施設、体育施設その他のレジャ-施設を会員に利用させることを目的とするクラブでゴルフクラブ以外のものをいう。)の入会金、年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。( 昭63直法67、直所38追加 )

(1) 使用者が入会金を負担する場合には、3634の例による。

(2) 使用者が年会費その他の費用(レジャ-クラブの利用に応じて支払われる費用を除く。)を負担する場合には、36342(1)の例による。

(3) 使用者がレジャ-クラブの利用に応じて支払われる費用を負担する場合において、その費用が特定の役員又は使用人が負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(使用者が負担する社交団体の入会金等)

3635 使用者が社交団体(ゴルフクラブ、レジャ-クラブ、ロ-タリ-クラブ及びライオンズクラブを除く。)の入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭46直審()19、昭63直法67、直所38改正)

(1) 個人会員として入会した役員又は使用人に係る入会金及び経常会費を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、この限りでない。

(2) 経常会費以外の費用を負担する場合には、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その費用が特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

(使用者が負担するロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)

36-352 使用者がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(昭63直法67、直所38追加)

(1) 入会金又は経常会費を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。

(2) 経常会費以外の費用を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、その費用が会員である特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。

 

 

 

〔給与等とされる経済的利益の評価〕

(有価証券の評価)

36-36 使用者が役員又は使用人に対して支給する有価証券(令第84条第3項各号に掲げる権利で同項の規定の適用を受けるもの及び株主等として発行法人から与えられた株式(これに準ずるものを含む。)を取得する権利を除く。)については、その支給時の価額により評価する。この場合における支給時の価額については、2335-9及び昭和39425日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2《公社債》の取扱いに準じて評価する。(50直所3-4、昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、平4課法8-5、課所4-3、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26、平28課法10-5、課審5-15、令2課個212、課法113、課審56改正)

(保険契約等に関する権利の評価)

36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

(食事の評価)

36-38 使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。(50直法6-4、直所3-8改正)

(1) 使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額

(2) 使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額

(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)

36-382 使用者が役員又は使用人に対し支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。(昭50直法6-4、直所3-8追加、昭59直法6-4、直所3-7改正)

(商品、製品等の評価)

36-39 使用者が役員又は使用人に対して支給する商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の物については、その支給時における次に掲げる価額により評価する。

(1) 当該物が使用者において通常他に販売するものである場合には、当該使用者の通常の販売価額

(2) 当該物が使用者において通常他に販売するものでない場合には、当該物の通常売買される価額。ただし、当該物が、役員又は使用人に支給するため使用者が購入したものであり、かつ、その購入時からその支給時までの間にその価額にさして変動がないものであるときは、その購入価額によることができる。

(役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-40 使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。

役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

()

1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。

2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)

(小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-41 36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。

小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

() 敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。

(通常の賃貸料の額の計算に関する細目)

36-42 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。

(1) 例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。

(2) その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。

(3) その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。

(4) その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。

(通常の賃貸料の額の計算の特例)

36-43 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算する場合において、その住宅等が次に掲げるものに該当するときは、その使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額を定めるものとする。この場合において、使用者が当該住宅等につきそれぞれ次に掲げる金額をその賃貸料の額として徴収しているときは、その徴収している金額を当該住宅等に係る通常の賃貸料の額として差し支えない。

(1) 公的使用に充てられる部分がある住宅等 36-40又は36-41により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額

(2) 単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等 次の算式により計算した金額以上の金額

単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等の通常の賃貸料の額の算式

(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)

36-44 使用者が住宅等を貸与した全ての役員(令第21条第4号《非課税とされる職務上必要な給付》に規定する者を除く。以下この項において同じ。)からその貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が役員に貸与した全ての住宅等につき36-40から36-43までにより計算した通常の賃貸料の額の合計額以上であるときは、これらの全ての役員につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(使用人に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-45 使用者が使用人(公共法人等の役員を含む。以下36-48までにおいて同じ。)に対して貸与した住宅等(当該使用人の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-48までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額は、36-41に掲げる算式により計算した金額とする。この場合において、その計算に関する細目については、36-46に該当する場合を除き、36-42の取扱いに準ずるものとする。

(無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額)

36-452 使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-4036-4136-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

(通常の賃貸料の額の改算を要しない場合)

36-46 使用者が使用人に対して貸与した住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に通常の賃貸料の額の計算の基礎となっている課税標準額に比し20%以内の増減にとどまるときは、現にその計算の基礎となっている課税標準額を基として36-45の取扱いを適用して差し支えない。この場合において、使用者が徴収している賃貸料の額が36-48に該当するものであるときは、使用人(令第21条第4号に規定する者を除く。以下36-48までにおいて同じ。)に貸与した全ての住宅等を一括して、又は1か所若しくは数か所の事業所等ごとの区分により、20%以内であるかどうかを判定して差し支えない。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(徴収している賃貸料の額が通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合)

36-47 使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。

(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)

36-48 使用者が住宅等を貸与した全ての使用人から、その貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が使用人に貸与した全ての住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の合計額の50%相当額以上であるときは、これらの全ての使用人につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。この場合において、使用人に貸与した全ての住宅等につき一括してこれらの合計額を計算することが困難であるときは、1か所又は数か所の事業所等ごとにその所属する住宅等の全部を基として計算して差し支えない。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(利息相当額の評価)

36-49 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2《利子税の割合の特例》に規定する利子税特例基準割合による利率により評価する。(平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平25課法9-7、課個2-16、課審5-32、令2課法11-7、課審5-30改正)

(用役の評価)

36-50 使用者が役員又は使用人に提供した用役については、当該用役につき通常支払われるべき対価の額により評価する。ただし、36-30に定める行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。以下この項において同じ。)に対してその参加に代えて金銭が支給される場合に受けるものについては、その参加しなかった役員又は使用人に支給される金銭の額に相当する額とする。

 

〔債務が確定している費用〕

(売上原価等の費用の範囲)

371 法第37条第1項に規定する「売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用」は、別段の定めのあるものを除き、その年において債務の確定しているものに限るものとする。

(必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)

372 法第37条の規定によりその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき償却費以外の費用で、その年において債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(昭55直所319、直法68、昭57直所31、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) その年1231(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2) その年1231日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3) その年1231日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

(損害賠償金の必要経費算入の時期)

3722 業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合において、その年1231日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までにその額として相手方に申し出た金額(相手方に対する申出に代えて第三者に寄託した額を含む。)に相当する金額(保険金等によりほてんされることが明らかな部分の金額を除く。)を当該年分の必要経費に算入したときは、これを認める。(55直所319、直法68追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

() 損害賠償金を年金として支払う場合には、その年金の額は、これを支払うべき日の属する年分の必要経費に算入する。

(翌年以後の期間の賃貸料を一括して収受した場合の必要経費)

373 資産の貸付けの対価としてその年分の総収入金額に算入された賃貸料でその翌年以後の貸付期間にわたるものに係る必要経費については、その総収入金額に算入された年において生じた当該貸付けの業務に係る費用又は損失の金額とその年の翌年以後当該賃貸料に係る貸付期間が終了する日までの各年において通常生ずると見込まれる当該業務に係る費用の見積額との合計額をその総収入金額に算入された年分の必要経費に算入することができるものとする。この場合において、当該翌年以後において実際に生じた費用又は損失の金額が当該見積額と異なることとなったときは、その差額をその異なることとなった日の属する年分の必要経費又は総収入金額に算入する。

 

 

〔租税公課〕

(酒税等の両建経理)

374 酒税等は、消費者、利用者等から領収する金額を総収入金額に算入し、申告、更正若しくは決定又は賦課決定(以下376において「申告等」という。)により納付する金額を必要経費に算入する。(平元直所314、直法69、直資38、平13課個230、課資33、課法89改正)

(固定資産税等の必要経費算入)

375 業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税等は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭51直所31、直法61、直資31、平5課所41、平17課個223、課資35、課法86、課審4113改正)

(注)

1 上記の業務の用に供される資産には、相続、遺贈又は贈与により取得した資産を含むものとする。

2 その資産の取得価額に算入される登録免許税については、493参照

(その年分の必要経費に算入する租税)

376 法第37条第1項の規定によりその年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その年1231(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとする。ただし、次に掲げる税額については、それぞれ次による。(平元直所314、直法69、直資38、平5課所41、平13課個230、課資33、課法89改正)

1 製造場から移出された物品に係る酒税等でその年1231日までに申告等があったもののうち、同日までに販売されていない物品に係る税額 当該物品が販売された日の属する年分の必要経費に算入する。

2 その年分の総収入金額に算入された酒税等のうち、その年1231日までに申告期限が到来しない税額 当該税額として未払金に計上された金額のうち、その年分の確定申告期限までに申告等があった税額に相当する金額は、当該総収入金額に算入された年分の必要経費に算入することができる。

3 賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められている税額 各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

4 地価税 地価税法第28条第1項及び第3項並びに同条第5項の規定により読み替えて適用される通則法第35条第2項に定めるそれぞれの納期限の日(同日前に納付した場合には実際に納付した日)の属する年分の必要経費に算入することができる。

5 利子税 納付の日の属する年分の必要経費に算入する。ただし、その年1231日までの期間に対応する税額を未払金に計上した場合には、当該金額をその年分の必要経費に算入することができる。

(事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除)

377 事業税を課税される事業を営む者が当該事業を廃止した場合における当該廃止した年分の所得につき課税される事業税については、376にかかわらず、当該事業税の課税見込額を当該年分の当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することができるものとする。この場合において、当該事業税の課税見込額は、次の算式により計算した金額とする。

事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除の算式、(A+-B)R/1+R

A・・・事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額

B・・・事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

R・・・事業税の税率

(注) 事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税について上記の取扱いによらない場合には、当該事業税の賦課決定があった時において、法第63《事業を廃止した場合の必要経費の特例》及び第152《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》の規定の適用がある。

(受益者負担金の必要経費算入)

378 土地改良法、道路法、都市計画法、河川法、港湾法、水防法等の規定により賦課される受益者負担金で業務に係るものは、繰延資産に該当する部分の金額又は土地の価額の増加その他改良費に属する部分の金額を除き、その支出の日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

(農業協同組合等の賦課金)

379 農業協同組合、水産加工業協同組合、中小企業協同組合、商工会議所、医師会等の組合員又は会員が法令又は定款その他これに類するものの規定に基づき業務に関連して賦課される費用は、繰延資産に該当する部分の金額を除き、その支出の日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

(汚染負荷量賦課金等)

3792 次に掲げる賦課金等で業務に係るものは、それぞれ次に定める日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭52直所333、直法610、直資315追加、昭63直法67、直所38、平15課個223、課資37、課法811、課審437改正)

1 公害健康被害の補償等に関する法律第52条第1《汚染負荷量賦課金の徴収》に規定する汚染負荷量賦課金 当該汚染負荷量賦課金の額につき、汚染負荷量賦課金申告書が提出された日(決定に係る金額については、当該決定の通知があった日)

2 公害健康被害の補償等に関する法律第62条第1《特定賦課金の徴収》に規定する特定賦課金 当該特定賦課金の額につき、決定の通知があった日

3 障害者の雇用の促進等に関する法律第53条第1《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金 当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)

(負担金の使用期間)

3793 令第167条の2に規定する「公益法人等又は一般社団法人若しくは一般財団法人の当該業務に係る資金のうち短期間に使用されるもの」とは、当該公益法人等又は一般社団法人若しくは一般財団法人の定款、業務方法書等において、5年以内の期間を業務期間とし、当該期間内に使用されることが予定されている資金をいうものとする。(昭51直所31、直法61、直資31追加、昭52直所333、直法610、直資315、昭54直所32改正、平12官総83ほか10課共同、平16課個223、課資37、課法88、課審433、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(注)

1 業務計画期間が経過した場合において、引き続き同条の規定の適用を受けようとするときは、改めて同条に規定する指定を受ける必要があることに留意する。

2 5年を超える期間に使用されることが予定されているものについては、措置法第28((特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例))の規定により、財務大臣の指定を必要とすることに留意する。

(特定の損失又は費用をほてんするための業務の範囲)

3794 令第167条の2に規定する「その他の特定の損失又は費用を補てんするための業務」には、例えば次のようなものが含まれることに留意する。(昭51直所31、直法61、直資31追加、昭52直所333、直法610、直資315、平20課個217、課審4186、課法93、平23課個233、課法99、課審446改正)

1 水産物又は配合飼料の価格の変動による損失のほてんに係る業務

2 行政指導等に基づき公益法人等又は一般社団法人若しくは一般財団法人が行う構造改善事業

3 海面の油濁による損失のほてんに係る業務

(負担金の必要経費算入時期)

3795 令第167条の2に規定する負担金を支出した場合における当該負担金の必要経費算入時期は、当該負担金を現実に支払った日(国税庁長官の指定前に支払ったものについては、その指定のあった日)の属する年分となることに留意する。(昭51直所31、直法61、直資31追加、昭52直所333、直法610、直資315改正)

(注)

1 当該負担金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)の日は、現実に支払った日には該当しない。

2 国税庁長官の指定前に支払ったものについては、当該指定の日までの間は、仮払金として処理することとなる。

(災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等)

3796 業務を営む者が、その所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下この項において「同業団体等」という。)の構成員の有する業務の用に供されている資産について災害による損失が生じた場合に、その損失のほてんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等(災害の発生を機に新たに定めたものを含む。)に基づき合理的な基準に従って当該災害発生後に当該同業団体等から賦課され、拠出した分担金等は、その支出した日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(平7課所416追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

 

〔資本的支出と修繕費等〕

(資本的支出の例示)

3710 業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。(57直所31追加)

(1) 建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る金額

(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した金額

(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した金額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる金額を超える部分の金額

() 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。

(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)

37102 業務の用に供しているソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。(12課所430追加、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(注)

1 既に業務の用に供しているソフトウエア又は購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更するための費用のうち、49-8の2(注)2により取得価額になったもの49-8の3により取得価額に算入しないこととしたものを含む。)以外のものは、資本的支出に該当することに留意する。

2 本文の修正等に要した費用(修繕費に該当するものを除く。)又は上記(注)1の費用が研究開発費(自己の業務の用に供するソフトウエアに対する支出に係る研究開発費については、その自己の業務の用に供するソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費に限る。)に該当する場合には、資本的支出に該当しないこととすることができる。

(修繕費に含まれる費用)

3711 業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。(昭55直所319、直法68追加、昭57直所31改正)

(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。

(2) 機械装置の移設(495の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額

(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態(業務の用に供された時において既に沈下していた土地については、その業務の用に供された時の状態とする。)に回復するために行う地盛りに要した費用の額(その土地の沈下による損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該部分の金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。

(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。

(5) 現に使用している土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額

(少額又は周期の短い費用の必要経費算入)

3712 一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下3714までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、3710にかかわらず、これを認めるものとする。(昭57直所31追加、平元直所314、直法69、直資38改正)

(1) その一の修理、改良等のために要した金額(その一の修理、改良等が2以上の年にわたって行われるときは、各年ごとに要した金額。以下3714までにおいて同じ。)20万円に満たない場合

(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合

() 上記の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下3714までにおいて同じ。

(災害の復旧費用の必要経費算入)

37122 災害により被害を受けた固定資産(以下この項において「被災固定資産」という。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の額に算入された金額を除く。)を修繕費の額として当該業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、3710にかかわらず、これを認めるものとする。(平7課所416、平29課個213、課資33、課審55改正)

(注)

1 被災固定資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災固定資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産の取得又は特別の施設の設置は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の対価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。

2 この取扱いは、令第140《固定資産に準ずる資産の範囲》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。

(形式基準による修繕費の判定)

3713 一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。(昭57直所31追加、平元直所314、直法69、直資38、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(1) その金額が60万円に満たない場合

(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年1231日における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

(注)

1 前年以前の各年において、令第127条第4項の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一の減価償却資産の取得価額をいうのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産(同項に規定する追加償却資産をいう。以下この項において同じ。)の取得価額との合計額をいうことに留意する。

2 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。

(資本的支出と修繕費の区分の特例)

3714 一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額3712371223713又は37142の適用があるものを除く。)がある場合において、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前年1231日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。(昭57直所31追加、平7課所416、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注)

1 当該修理、改良等をした固定資産に係る除却損失につき、法第51条第1項又は第4項の規定の適用を受ける場合には、上記により計算された修繕費の額であっても、513により必要経費に算入されないものがあることに留意する。

2 当該固定資産の前年1231日における取得価額については、3713(2)(注)による。

(災害の場合の原状回復のための費用の特例)

37142 災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。(昭55直所319、直法68、昭57直所31、平7課所416改正)

() 当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、513により必要経費に算入されないものがあることに留意する。

(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)

37143 業務の用に供されている固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金(令第30条の規定により非課税とされるものを除く。以下この項において同じ。)の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として必要経費に算入することができる。 当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。(昭57直所31追加)

() 当該補償金の交付を受けた日の属する年の1231日までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。

(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上費)

3715 地盤沈下に基因して、業務の用に供されている防潮堤、防波堤、防水堤等の積上工事を行った場合において、数年内に再び積上工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。(昭55直所319、直法68、昭57直所31、平24課個211、課審48改正)

() 当該減価償却資産の耐用年数については、耐用年数通達2323参照

(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)

37152 耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出する金額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。(昭57直所31追加)

(損壊した賃借資産等に係る修繕費)

37153 居住者が、不動産所得、事業所得又は山林所得(以下この項において「事業所得等」という。)を生ずべき事業の用に供している賃借資産等(賃借若しくは賃貸をしている又は販売をした土地、建物、機械装置等をいう。)につき、契約により修繕等を行うこととされているものでない場合においても、当該賃借資産等が災害により被害を受けたため、当該賃借資産等の原状回復を行い、その費用の額を修繕費として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。(平29課個213、課資33、課審55追加)

(注)

1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用の額は、3637共-75の災害損失特別勘定への繰入れの対象とはならないことに留意する。

2 当該居住者が、その修繕費の額として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額に相当する金額につき賃貸人等から支払を受けた場合には、その支払を受けた日の属する年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。

3 居住者が賃借している法第67条の21((リ-ス取引に係る所得の金額の計算))に規定するリ-ス資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額及び災害のあった日の属する年の1231日までに支払った金額を除く。) については、災害のあった日の属する年分において必要経費に算入することができることに留意する。

 

〔海外渡航費〕

(事業を営む者等の海外渡航費)

3716 事業を営む者が自己の海外渡航に際して支出する費用は、その海外渡航が当該事業の遂行上直接必要であると認められる場合に限り、その海外渡航のための交通機関の利用、宿泊等の費用(家事上の経費に属するものを除く。)に充てられたと認められる部分の金額を必要経費に算入するものとする。
なお、事業を営む者と生計を一にする親族で法第57条第1項又は第3
《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》の規定の適用を受けないものの海外渡航のために事業を営む者が支出した費用又は支給した旅費についても、これに準ずる。

(使用人に支給する海外渡航旅費)

3717 事業を営む者がその使用人(事業を営む者と生計を一にする親族で法第57条第1項又は第3項の規定の適用を受けるものを含む。)の海外渡航に際し支給する旅費(支度金を含む。以下3722までにおいて同じ。)は、その海外渡航が事業を営む者の当該事業の遂行上直接必要であり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費として必要経費に算入する。

() 事業の遂行上直接必要と認められない海外渡航の旅費の額及び当該事業の遂行上直接必要であると認められる海外渡航の旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額は、その支給を受ける者に対して支給した給与等又は役務の報酬として必要経費に算入される。ただし、事業専従者に対して支給した給与とされるものの必要経費算入については、法第57条第1項又は第3項の規定の適用がある。

(旅行期間のおおむね全期間を通じて事業の遂行上直接必要と認められる場合)

3718 3716又は3717の場合において、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ明らかに当該事業の遂行上直接必要であると認められるものであるときは、その海外渡航のためにその事業を営む者が支出した費用又は支給した旅費については、社会通念上合理的な基準によって計算されているなど不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として必要経費に算入することができる。

(事業の遂行上直接必要な海外渡航の判定)

3719 事業を営む者又はその使用人(事業を営む者と生計を一にする親族を含む。以下3722までにおいて同じ。)の海外渡航が当該事業の遂行上直接必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として、当該事業の遂行上直接必要な海外渡航に該当しないものとする。

(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行

(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

(同伴者の旅費)

3720 事業を営む者が当該事業の遂行上直接必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその事業に常時従事していない者を同伴した場合において支出したその同伴者に係る費用は、必要経費に算入しないものとする。ただし、その同伴が、例えば、次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達するために必要な同伴と認められるときのその旅行について通常必要と認められる費用は、この限りでない。

(1) 自己が常時補佐を必要とする身体障害者であるため、補佐人を同伴する場合

(2) 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合

(3) その旅行の目的を遂行するため外国語にたんのうな者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、使用人のうちに適任者がいないため、自己の親族又は臨時に委嘱した者を同伴する場合

(事業の遂行上直接必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行った場合)

3721 事業を営む者又はその使用人が海外渡航をした場合において、その海外渡航の旅行期間にわたり当該事業の遂行上直接必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行ったものであるときは、その海外渡航に際して支出した費用又は支給した旅費を当該事業の遂行上直接必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によってあん分し、当該事業の遂行上直接必要と認められる旅行に係る部分の金額は、旅費として必要経費に算入する。ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等当該事業の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行ったものである場合には、その往復の旅費(当該取引先の所在地等その事業を遂行する場所までのものに限る。)は当該事業の遂行上直接必要と認められる旅費として必要経費に算入し、その海外渡航に際して支出した費用又は支給した旅費の額から当該往復の旅費を控除した残額につき本文の取扱いを適用する。

() 使用人に支給した旅費のうち、旅費として必要経費に算入されない金額については、3717(注)参照

(事業の遂行上直接必要と認められない海外渡航の旅費の特例)

3722 事業を営む者又はその使用人の海外渡航が3719に掲げる旅行に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、その仕事の内容等からみて、当該事業にとって直接関連があるものがあると認められるときは、その海外渡航に際し支出した費用又は支給した旅費のうち、当該事業に直接関連のある部分の旅行について直接要した部分の金額は、旅費として必要経費に算入する。

 

 

〔その他の共通費用〕

(不動産所得の基因となっていた建物の賃借人に支払った立退料)

3723 不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、当該建物の譲渡に際し支出するもの又は当該建物を取壊してその敷地となっていた土地等を譲渡するために支出するものを除き、その支出した日の属する年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する。

(技能の習得又は研修等のために支出した費用)

3724 業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。

(民事事件に関する費用)

3725 業務を営む者が当該業務の遂行上生じた紛争又は当該業務の用に供されている資産につき生じた紛争を解決するために支出した弁護士の報酬その他の費用は、次に掲げるようなものを除き、その支出をした日の属する年分(山林に関するもので、当該山林の管理費その他その育成に要した費用とされるものは、当該山林の伐採又は譲渡の日の属する年分)の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

(1) その取得の時において既に紛争の生じている資産に係る当該紛争又はその取得後紛争を生ずることが予想される資産につき生じた当該紛争に係るもので、これらの資産の取得費とされるもの

() これらの資産の取得費とされるものには、例えば、その所有権の帰属につき紛争の生じている資産を購入し、その紛争を解決してその所有権を完全に自己に帰属させた場合の費用や現に第三者が賃借している資産で、それを業務の用に供するため当該第三者を立ち退かせる必要があるものを購入して当該第三者を立ち退かせた場合の費用がある。

(2) 山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡に関する紛争に係るもの

() 譲渡契約の効力に関する紛争において当該契約が成立することとされた場合の費用は、その資産の譲渡に係る所得の金額の計算上譲渡に要した費用とされる。

(3) 法第45条第1《家事関連費等の必要経費不算入等》の規定により必要経費に算入されない同項第2号から第5号までに掲げる租税公課に関する紛争に係るもの

(4) 他人の権利を侵害したことによる損害賠償金(これに類するものを含む。)で、法第45条第1項の規定により必要経費に算入されない同項第8号に掲げるものに関する紛争に係るもの

(刑事事件に関する費用)

3726 業務を営む者が当該業務の遂行に関連する行為について刑罰法令違反の疑いを受けた場合における弁護士の報酬その他その事件の処理のため支出した費用は、当該違反がないものとされ、若しくはその違反に対する処分を受けないこととなり、又は無罪の判決が確定した場合に限り、必要経費に算入する。

() 必要経費に算入される費用は、その違反がないものとされ、若しくは処分を受けないこととなり、又は無罪の判決が確定した日の属する年分とその費用を支出すべきことが確定した日の属する年分とのいずれかの年分の必要経費に算入することができる。

(業務用資産の取得のために要した借入金の利子)

3727 業務を営んでいる者が当該業務の用に供する資産3728において「業務の用に供される資産」という。)の取得のために借り入れた資金の利子は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。ただし、当該資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については、当該資産の取得価額に算入することができる。(昭52直所333、直法610、直資315改正)

() 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を開始する前に、当該業務の用に供する資産を取得している場合の当該資産の取得のために借り入れた資金の利子のうち当該業務を開始する前の期間に対応するものは、この項の適用はなく、「388」の適用があることに留意する。

(賦払の契約により購入した資産に係る利息等相当部分)

3728 業務の用に供される資産を賦払の契約により購入した場合において、その契約において購入代価と賦払期間中の利息及び賦払金の回収のための費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合のその利息及び費用等に相当する金額は、当該賦払期間中の各年分の必要経費に算入する。ただし、当該資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については、当該資産の取得価額に算入することができる。(昭52直資314、直所322改正)

(退職金共済掛金等の必要経費算入の時期)

3729 令第64条第1項第1号から第6号まで《確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い》に掲げる掛金、保険料、事業主掛金又は信託金等(以下この項において「掛金等」という。)は、翌年分以後の掛金等を前納した場合を除き、現実に支払(中小企業退職金共済法第2条第5項に規定する特定業種退職金共済契約に係る掛金については、共済手帳への退職金共済証紙の貼付けを含む。)をした日の属する年分の必要経費に算入する。ただし、その年中において支払期限の到来した掛金等を未払金として計上している場合において、その年分の確定申告期限までに当該掛金等の支払をしたときは、当該支払期限の到来した日の属する年分の必要経費に算入することができる。(昭57直所31、昭63直所33、直法62、直資33、平13課個230、課資33、課法89、平14課個222、課資35、課法810、課審3197、平30課個219、課審52、令2課個2-23、課審512改正)

() これらの掛金等について現実に支払をするまで必要経費に算入しないこととするのは、これらの掛金等を所定の期日までに支払わない場合には、その契約が解除され、未払掛金等の支払を要しないこととなるからである。

(前納掛金等の必要経費算入)

3730 3729の掛金等を前納した場合において、当該前納した掛金等のうちに翌年以後の期間分の掛金等があるときは、その前納した期間の属するそれぞれの年分の必要経費に算入する金額は、次の算式により計算した金額とする。

前納した掛金等の総額(前年により割引された場合には、その割引後の金額)×(前納した掛金等に係るその年中に到来する支払期日の回数)÷(前納した掛金等に係る支払期日の総回数)

(短期の前払費用)

37302 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年1231日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。(昭55直所319、直法68追加)

(消耗品費等)

37303 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する年分の必要経費に算入するのであるが、その者が、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合には、これを認める。(昭55直所319、直法68追加)

() この取扱いにより必要経費に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

(繰延消費税額等につき相続があった場合の取扱い)

37304 令第182条の23項又は第4項に規定する繰延消費税額等につきこれらの規定の適用を受けている居住者が死亡し、これらの規定に従い計算される繰延消費税額等の金額のうち、その死亡した日の翌日以後の期間に対応する金額がある場合には、当該金額は当該死亡した者のその死亡した日の属する年分の必要経費に算入するものとする。

 ただし、当該死亡した者の業務を承継した者がある場合で、当該死亡した者のその死亡した日の属する年分の必要経費に、当該死亡した者の業務を行っていた期間に対応する繰延消費税額等の金額を算入し、かつ、当該業務を承継した者が、その業務を承継した日以後の業務を行っていた期間に対応する繰延消費税額等の金額を各年分の必要経費に算入している場合は、これを認める。(13課個230、課資33、課法89追加)

 

〔山林に係る費用〕

(災害等関連費用の必要経費算入の時期)

37-31 山林について支出した令第203条各号《被災事業用資産の損失に含まれる支出》に掲げる費用その他これに類する費用の額は、その支出をした日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入して差し支えない。

(間伐した山林に係る必要経費)

37-32 間伐により譲渡した山林に係る山林所得の金額の計算上必要経費に算入する費用の額には、当該山林の伐採及び譲渡に要した費用の額のほか、当該山林に係る植林費、取得に要した費用、管理費及び育成費の額が含まれる。

(林地賦課金)

37-33 国立研究開発法人森林総合研究・整備機構法(平成11年法律第198号)附則第7条第3項及び第8条第3項の規定により独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律(平成20年法律第8号)の施行後もなおその効力を有するものとされる廃止前の独立行政法人緑資源機構法第21条第1《賦課金》の規定により受益者が賦課徴収される賦課金(以下37-36までにおいて「受益者が賦課徴収される賦課金」という。)のうち、その受益地の所有者に対し受益面積に応じて賦課される金額(以下37-36において「林地賦課金」という。)は、元本相当部分を当該賦課の対象となった林地の改良費に、利息相当部分を当該林地に生立する山林の管理費にそれぞれ算入する(平16課資3-9、課個2-27、課審6-17、平20課資3-4、課個2-33、課審6-18、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11改正)

(立木賦課金)

37-34 受益者が賦課徴収される賦課金のうち、その受益地に生立する山林の所有者に対しその所有する山林の価額に応じて賦課される金額(以下37-36までにおいて「立木賦課金」という。)は、当該賦課の対象となった山林の管理費に算入する(平16課資3-9、課個2-27、課審6-17、平20課資3-4、課個2-33、課審6-18改正)

(立木賦課金の償却の特例)

37-35 立木賦課金の賦課の対象となった山林を毎年同程度の規模により伐採又は譲渡している場合には、37-34にかかわらず、当該立木賦課金を無形減価償却資産の減価償却に準ずる方法により、25年間に均等償却して差し支えない。

(立木賦課金の額が明らかでない場合)

37-36 受益者が賦課徴収される賦課金のうち、立木賦課金の額と林地賦課金の額との区分が明らかでないものについては、その賦課金の額の90%相当額を立木賦課金の額とし、その残額を林地賦課金の額とする。

(地方公共団体等が林道開設に伴い賦課する賦課金等)

37-37 地方公共団体、森林組合又は森林組合連合会が、林道の開設に伴いその開設費の全部又は一部を山林所有者又は林地所有者に賦課し、又は負担させた場合におけるその賦課金又は負担金については、37-33から37-36までの取扱いに準ずる。

(譲渡に要した費用)

37-38 法第37条第2項に規定する「譲渡に要した費用」については、33-7の取扱いに準ずる。

 

 

 

〔販売代金の額が未確定の場合の所得計算〕

(販売代金の額が確定していない場合の見積り)

3637共-1 事業を営む者がその販売に係る棚卸資産を引き渡した場合において、その引渡しの日の属する年の1231日までにその販売代金の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その後確定した販売代金の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する年分の総収入金額又は必要経費に算入する。(昭55直所319、直法68追加)


〔質屋営業の所得計算〕

(質屋営業の利息及び流質物)

3637共-12 質屋営業における利息及び流質物については、次によるものとする。(昭55直所319、直法68改正)

(1) 貸付金に対する利息については、現実に支払を受けるまでは総収入金額に算入することを要しない。

(2) 流質期限を経過したため流質物を取得した場合には、その流質物の価額に相当する金額を総収入金額に算入し、貸付金額に相当する金額を必要経費に算入する。この場合において、流質物の価額は、貸付金額に相当する金額として差し支えない。


〔請負による所得計算〕

(未成工事支出金勘定から控除する仮設材料の価額)

3637共-2 建設工事用の足場、型わく、山留用材、ロープ、シート、危険防止用金網のような仮設材料の取得価額を未成工事支出金勘定の金額に含めている建設業者等が、建設工事等の完了の場合又は他の建設工事等の用に供するためこれらの資材を転送した場合において、当該未成工事支出金勘定の金額から控除すべき仮設材料の価額につき次に掲げる金額のいずれかによっているときは、その計算が継続している限り、これを認める。(昭57直所31追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 当該仮設材料の取得価額から損耗等による減価の見積額を控除した金額

(2) 当該仮設材料の損耗等による減価の見積りが困難な場合には、工事の完了又は他の工事現場等への転送の時における当該仮設材料の価額に相当する金額

(3) 当該仮設材料の再取得価額に適正に見積もった残存率を乗じて計算した金額

() この取扱いは、その転送した仮設材料の全てについて適用することを条件とするのであるから留意する。

(木造の現場事務所等の取得に要した金額が未成工事支出金勘定の金額に含まれている場合の処理)

3637共-22 建設業者等が建設工事等の用に供した現場事務所、労務者用宿舎、倉庫等の仮設建物で木造のものの取得価額をその建設工事等に係る未成工事支出金勘定の金額に含めている場合には、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次の金額を当該未成工事支出金勘定の金額から控除し、又は雑収入として計上するものとする。(昭57直所31改正)

(1) 当該建設工事等の完成による引渡しの日以前に当該仮設建物を他に譲渡し、又は他の用途に転用した場合 その譲渡価額に相当する金額又はその転用の時における価額に相当する金額

(2) 当該建設工事等が完成して引き渡された際に当該仮設建物が存する場合 その引渡しの時における価額に相当する金額(当該仮設建物が取壊されるものである場合には、その取壊しによる発生資材の価額として見積もられる金額)

(金属造りの移動性仮設建物の取得価額の特例)

3637共-3 建設業者等が建設工事等の用に供する金属造りの移動性仮設建物については、その償却費を工事原価に算入する。この場合における当該建物の取得価額は、当該建物の構成部分のうち、その移設に伴い反復して組立て使用されるものの取得のために要した費用の額によることができる。

() 当該建物の取得価額に算入しなかった建物の組立て等の費用、電気配線等の附属設備で他に転用することができないと認められるものの費用及び当該建物の撤去に要する費用は、当該建物を利用して行う工事の工事原価に算入することに留意する。

(請負収益に対応する原価の額)

3637共-4 請負による収入金額に対応する原価の額には、その請負の目的となった物の完成又は役務の履行のために要した材料費、労務費、外注費及び経費の額の合計額のほか、その受注又は引渡しをするために直接要した全ての費用の額が含まれることに留意する。(昭55直所319、直法68追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

() 建設業を営む者が建設工事等の受注に当たり前渡金保証会社に対して支払う保証料の額は、前渡金を受領するために要する費用であるから、当該建設工事等に係る工事原価の額に算入しないことができる。

(工事収入又は工事原価の額が確定していない場合)

3637共-42 建設業者等が建設工事等を完成して引き渡した場合には、その工事収入又は工事原価の額が確定していないときにおいても、その引渡しの日の属する年の1231日の現況により、その金額を適正に見積もって計上するものとする。この場合において、その後確定した工事収入又は工事原価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する年分の総収入金額又は必要経費に算入する。(昭55直所319、直法68改正)

(値増金の総収入金額算入の時期)

3637共-5 建設業者等がその工事代金につき、資材の値上がり等に応じて値増金を収入すべきことを契約に定めている場合における値増金は、その建設工事等の引渡しの日の属する年分の工事収入に算入するのであるが、その他の場合に受ける値増金は、その収入すべき金額が確定した日の属する年分の総収入金額に算入する。

 

〔造成団地の分譲による所得計算〕

(造成団地の分譲による所得の計算)

3637共-6 一団地の宅地を造成して2以上の年にわたって分譲する場合のその分譲による事業所得又は雑所得に係る収入金額及びその原価の額は、次による。ただし原価の額の計算につきこれと異なる方法によっている場合においても、その方法が分譲価額に応ずる方法であるなど合理的であると認められるときは、継続的に適用することを条件としてこれを認めるものとする。(昭55直所319、直法68改正)

1 分譲が完了した年の前年までの各年分

イ 収入金額は、その年において分譲をした土地の対価の額の合計額とする。

ロ その収入金額に係る原価の額は、分譲をした土地の工事区域ごとに次の算式により計算した金額の合計額とする。

〔工事原価の見積額-その年の前年以前において必要経費に算入した工事原価の額の合計額〕×(その年において譲渡した分譲地の面積)÷(分譲総予定面積-その年の前年以前において分譲した面積の合計)

(注)

1 算式中「工事原価の見積額」は、その年1231日の現況によりその工事につき見積もられる工事原価の額とする。

2 算式中「分譲総予定面積」には、その者の使用する土地の面積を含む。

2 分譲が完了した年分

イ 収入金額は、その年において分譲をした土地の対価の額の合計額とする。

ロ その収入金額に係る原価の額は、全体の工事原価の額(その者の使用する土地に係る工事原価の額を除く。)から既に前年以前において必要経費に算入した原価の額の合計額を控除した金額とする。

(造成に伴って寄附する公共的施設等の建設費の原価算入)

3637共-7 一団地の宅地を造成して分譲する場合において、団地経営に必要とされる道路、公園、緑地、水道、排水路、街灯、汚水処理施設等の施設(その敷地に係る土地を含む。)については、たとえその者が将来にわたってこれらの施設を名目的に所有し、又はこれらの施設を公共団体等に帰属させることとしているときであっても、これらの施設の取得に要した費用の額(その者の所有名義とする施設については、これを処分した場合に得られるであろう価額に相当する金額を控除した金額とする。)は、その工事原価の額に算入する。(昭55直所319、直法68改正)


〔出版業の所得計算〕

(単行本在庫調整勘定の設定)

3637共-72 出版業を営む者が各年の1231日において有する単行本のうちにその最終刷後6か月以上を経過したもの(取次業者又は販売業者に寄託しているものを除く。以下この項において「売残り単行本」という。)がある場合には、次の算式により計算した金額に相当する金額以下の金額をその年において単行本在庫調整勘定に繰り入れ、その繰り入れた金額に相当する金額を当該年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるものとする。(昭55直所319、直法68追加、平3課所47改正)

(算式)

当該年の12月31日における売残り単行本の帳簿価額の合計額×次の表の売上比率及び発行部数のかく乱の区分に応じた繰入率

売上比率

発行部数

2,000部未満

2,000部以上
5,000
部未満

5,000部以上

以上

未満

繰入率

%

%

%

%

%

20%以上

0  

0  

0  

15

20

50  

0  

0  

10

15

60  

50  

0  

8

10

70  

60  

 50  

7

8

80  

60  

60  

5

7

80  

70  

60  

4

5

90  

70  

70  

2

4

90  

80  

70  

1

2

100  

90  

80  

0.5

1

100  

100  

90  

0.5%未満

100  

100  

100  

(備考)

1

 「売上比率」とは、発行部数に対する当該年の1231日以前6か月間に販売された部数から当該期間において返品された部数を控除した部数の割合をいう。

2

 「発行部数」とは、当該年の1231日前6か月以前における最終刷の部数をいう。

(注) 繰入率100%を適用する場合には、算式により計算した金額は、当該金額から当該売残り単行本の当該年の1231日における処分見込価額を控除した金額とする。

(単行本在庫調整勘定の金額の総収入金額算入)

3637共-73 単行本在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした年分の翌年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。(昭55直所319、直法68追加)

(単行本在庫調整勘定の明細書の添付)

3637共-74 単行本在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う年分の確定申告書に単行本在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。(昭55直所319、直法68追加)

 

〔災害損失特別勘定〕

(災害損失特別勘定の設定)

3637共-75 不動産所得、事業所得又は山林所得(以下3637共-79までにおいて「事業所得等」という。)を生ずべき事業を営む居住者が、被災資産の修繕等のために要する費用を見積もり、3637共-76に定める合計額以下の金額を被災年分(災害のあった日の属する年分をいう。以下3637共-79までにおいて同じ。)において災害損失特別勘定に繰り入れた場合は、その繰り入れた金額については、その者の被災年分の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することができるものとする。
 この場合、当該被災年分の確定申告書に災害損失特別勘定の必要経費算入に関する明細書を添付するものとする。
(平29課個213、課資33、課審55追加)

() 「被災資産」とは、次に掲げる資産で災害により被害を受けたものをいう(以下3637共-79までにおいて同じ。)

1.   (1) 居住者の有する棚卸資産

2.   (2) 居住者の有する固定資産で事業所得等を生ずべき事業の用に供するもの(その者が賃貸をしている資産で、契約により賃借人が修繕等を行うこととされているものを除く。)

3.   (3) 居住者が賃借をしている資産又は販売等をした資産で、契約によりその者が修繕等を行うこととされているもの

4.   (4) 山林

(災害損失特別勘定の繰入額)

3637共-76 3637共-75の災害損失特別勘定の繰入額は、被災資産について、災害のあった日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる次に掲げる費用その他これらに類する費用(以下3637共-79までにおいて「修繕費用等」という。)の見積額(災害のあった日の属する年(以下3637共-79までにおいて「被災年」という。)の翌年の11日以後に支出すると見込まれるものに限る。)の合計額(当該被災資産に係る保険金、損害賠償金、補助金その他これらに類するもの(以下3637共-79までにおいて「保険金等」という。)によりほてんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)とする。(平29課個213、課資33、課審55追加)

1.   (1) 被災資産の滅失、損壊又は価値の減少による当該被災資産の取壊し又は除去の費用その他の付随費用

2.   (2) 土砂その他の障害物を除去するための費用

3.   (3) 被災資産の原状回復のための修繕費(被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用を含む。)

4.   (4) 被災資産の損壊又はその価値の減少を防止するための費用

()

·       1 法令の規定、地方公共団体の定めた復興計画等により、一定期間修繕等の工事に着手できないこととされている場合におけるこの項の適用については、「災害のあった日から1年を経過する日」とあるのは、「修繕等の工事に着手できることとなる日から1年を経過する日」とすることができる。

·       2 5122の適用を受けた資産については、上記(1)及び(2)に掲げる費用に限り災害損失特別勘定への繰入れの対象とすることができることに留意する。

(被災資産の修繕費用等の見積りの方法)

3637共-77 3637共-76の修繕費用等の見積額は、その修繕等を行うことが確実な被災資産につき、例えば、次の額によるなど合理的に見積もるものとする。(平29課個213、課資33、課審55追加)

1.   (1) 建設業者、製造業者等による当該被災資産に係る修繕費用等の見積額

2.   (2) 相当部分が損壊等をした当該被災資産につき、次のイからロを控除した金額

1.   イ 再取得価額又は国土交通省建築物着工統計の工事費予定額から算定した建築価額等を基礎として、当該被災資産の取得の時から被災年の1231日まで償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額

2.   ロ 被災年の1231日における価額

(災害損失特別勘定の総収入金額算入)

3637共-78 居住者が、被災資産に係る修繕費用等の額として、被災年分の翌年分の事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額(保険金等によりほてんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)がある場合には、当該必要経費に算入した金額に相当する災害損失特別勘定の金額を取り崩し、当該金額をその者の被災年分の翌年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。
 また、被災年の翌年の1231日において災害損失特別勘定の残額
(災害損失特別勘定に繰り入れた金額から同日までに総収入金額に算入した金額を控除した残額をいう。3637共-79において同じ。)を有している場合には、当該残額をその者の被災年分の翌年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入するものとする。
 これらの場合、被災年分の翌年分の確定申告書に、災害損失特別勘定の総収入金額算入に関する明細書を添付するものとする。
(平29課個213、課資33、課審55追加)

(修繕等が遅れた場合の災害損失特別勘定の総収入金額算入の特例)

3637共-79 被災資産に係る修繕等がやむを得ない事情により被災年の翌年の1231日までに完了しなかったため、同日において災害損失特別勘定の残額を有している場合において、被災年分の翌年分に係る確定申告書の提出期限までに災害損失特別勘定の総収入金額算入年分の延長確認申請書を所轄税務署長に提出し、その確認を受けたときは、3637共-78にかかわらず、次に掲げる年分に応じ、それぞれ次に定める金額に相当する災害損失特別勘定の金額を取り崩し、当該金額をその者の当該年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入するものとする。この場合においては、各年分の確定申告書に、災害損失特別勘定の総収入金額算入に関する明細書を添付するものとする。(平29課個213、課資33、課審55追加)

1.   (1) 修繕等が完了すると見込まれる日の属する年分(以下この項において「修繕完了年分」という。) 当該見込まれる日の属する年の1231日における災害損失特別勘定の金額

2.   (2) 災害のあった日から2年を経過する日の属する年分以後の各年分(修繕完了年分前の各年分に限る。) 被災資産に係る修繕費用等の額としてその者の当該各年分の事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額があるときは、当該必要経費に算入した金額(保険金等によりほてんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)

() 上記の取扱いの適用を受ける場合には、各年分の災害損失特別勘定の残額から修繕費用等の見込額(翌年の11日から当該修繕等が見込まれる日の属する年の1231日までに支出することが見込まれる修繕費用等の額の合計額(保険金等によりほてんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、災害損失特別勘定の残額を限度とする。) をいう。)を控除した金額を、その者の当該各年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入することとなる。

(繰延資産の基因となった資産について損壊等の被害があった場合)

3637共-710 3637共-75から3637共-79までの取扱いは、災害により令第140((固定資産に準ずる資産の範囲))に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。(平29課個213、課資33、課審55追加)

 

〔売上割戻し〕

(売上割戻しの計上時期)

3637共-8 販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額を必要経費に算入し、又は売上高から控除する時期は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日とする。(昭57直所31改正)

(1) その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し 販売した日。ただし、その者が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日において必要経費に算入し、又は売上高から控除することとしている場合には、これらの日において必要経費に算入し、又は売上高から控除することができる。

(2) (1)以外の売上割戻し その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日。ただし、その年1231日までに、その販売した棚卸資産について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの金額の算定基準が内部的に決定されている場合において、その基準により計算した金額をその年において未払金として計上するとともにその年分の確定申告期限までに相手方に通知したときは、継続適用を条件としてその金額をその年分の必要経費に算入し、又は売上高から控除することができる。

(一定期間支払わない売上割戻しの計上時期)

3637共-9 売上割戻しの金額につき、相手方との契約等により、特約店契約の解約、災害の発生等特別な事実が生ずるときまで、又は相当長期の期間5年を超える一定の期間とする。)が経過するまで相手方名義の保証金等として預かることとしているため、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、その売上割戻しについては、3637共-8にかかわらず、これを現実に支払った日(その日前に実質的に相手方にその利益を享受させることとした場合には、その享受させることとした日)の属する年分の売上割戻しとする。

(実質的に利益を享受すること)

3637共-10 3637共-9の「相手がその利益の全部又は一部を実質的に享受すること」とは、次に掲げるような事実があることをいう。(昭51直所31、直法61、直資31改正)

(1) 相手方との契約等に基づいてその売上割戻しの金額に通常の金利を付けるとともに、その金利相当額については現実に支払っているか、又は相手方からの請求があれば支払うこととしていること。

(2) 相手方との契約等に基づいて保証金等に代えて有価証券その他の財産を提供することができることとしていること。

(3) 保証金等として預かっている金額が売上割戻しの金額のおおむね50%以下であること。

(4) 相手方との契約等に基づいて売上割戻しの金額を相手方名義の預金又は有価証券として保管していること。


〔仕入割戻し〕

(仕入割戻しの計上時期)

3637共-11 購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額を総収入金額に算入し、又は仕入高から控除する時期は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日とする。

(1) その算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により明示されている仕入割戻し 購入した日

(2) (1)以外の仕入割戻し その仕入割戻しの金額の通知を受けた日

(一定期間支払を受けない仕入割戻しの計上時期の特例)

3637共-12 3637共-9の適用のある売上割戻しに対応する仕入割戻しについては、3637共-11にかかわらず、現実に支払(買掛金等への充当を含む。)を受けた日(その日前に3637共-10に掲げるような実質的にその利益を享受することとなった場合には、その享受することとなった日)の属する年分の仕入割戻しとする。ただし、棚卸資産を購入した日の属する年分又は相手方から通知を受けた日の属する年分の仕入割戻しとしているときは、これを認める。

(仕入割戻しを計上しなかった場合の処理)

3637共-13 購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額を3637共-11又は3637共-12に定める日の属する年分において計上しなかった場合には、その仕入割戻しの金額は、当該年分の仕入高から控除しないで総収入金額に算入するものとする。

 

〔商品引換券等の発行に係る所得計算〕

(商品引換券等の発行に係る対価の額の収入すべき時期)

3637共-132 商品の引渡し又は役務の提供(以下この項において「商品の引渡し等」という。)を約した証券等(以下3637共-133において「商品引換券等」という。)を発行するとともにその対価を受領した場合における当該対価の額は、その商品引換券等を発行した日の属する年分の総収入金額に算入する。ただし、その者が、商品引換券等(その発行に係る年ごとに区分して管理するものに限る。)の発行に係る対価の額をその商品の引渡し等(商品引換券等に係る商品の引渡し等を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下この項において同じ。)に応じてその商品の引渡し等のあった日の属する年分の総収入金額に算入し、その発行に係る年以後4年を経過した年(同年前に有効期限が到来するものについては、その有効期限の翌日の属する年とする。)1231日において商品の引渡し等を了していない商品引換券等に係る対価の額をその1231日の属する年分の総収入金額に算入することにつきあらかじめ所轄税務署長の確認を受けるとともに、その確認を受けたところにより継続して総収入金額に算入している場合には、これを認める。(昭55直所319、直法68追加、平5課所41改正)

(商品引換券等を発行した場合の引換費用)

3637共-133 商品引換券等を発行するとともにその対価を受領した場合3637共-132のただし書の適用を受ける場合を除く。)において、その発行に係る年以後の各年の1231日において商品の引渡し又は役務の提供(商品引換券等に係る商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下この項において「商品の引渡し等」という。)を了していない商品引換券等(有効期限を経過したものを除く。以下この項において「未引換券」という。)があるときは、その未引換券に係る商品の引渡し等に要する費用の額の見積額として、次の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額に相当する金額を当該各年分の必要経費に算入することができるものとする。この場合において、その必要経費に算入した金額に相当する金額は、翌年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。(昭55直所319、直法68追加)

(1) 未引換券をその発行に係る年分ごとに区分して管理する場合 次の算式により計算した金額

(算式)

その年の12月31日における未引換券のうち、その年以前4年以内の各年において発行したものに係る対価の額の合計×原価率

(2) (1)以外の場合 次の算式により計算した金額

(算式)

〔その年以前4年以内の各年において発行した商品引換券等に係る対価の額の合計額-左の各年において商品の引渡し等を行った商品引換券等に係る対価の額の合計額〕×原価率

(注)

1 (1)及び(2)の算式の「原価率」は、次の区分に応じそれぞれ次により計算した割合とする。

イ 商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うこととなっている場合

(分母の商品引換券等と引換えに他の者に支払った金額の合計額)÷(その年において改修された商品引換券等に係るその発行の対価の額の合計額)

ロ イ以外の場合

(分母の金額に係るその年分の売上原価又は役務提供の原価の額)÷(その引渡し又は提供を約した商品又は役務と種類を同じくする商品又は役務の販売又は提供に係るその年分の収入金額に合計額)

2 種類等を同じくする商品又は役務に係る商品引換券等のうちにその発行の時期によってその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものがあるときは、当該商品引換券等をその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものごとに区分して(1)及び(2)の算式並びに原価率の計算を行うことができる。


〔商品等の販売に要する景品等の費用〕

(抽選券付販売に要する景品等の費用の必要経費算入の時期)

3637共-14 商品等の抽選券付販売により、当選者に金銭若しくは景品を交付し、又は当選者を旅行、観劇等に招待することとしている場合には、これらに要する費用の額は、当選者から抽選券の引換えの請求があった日又は旅行等を実施した日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する。ただし、当選者からの請求を待たないで、金銭又は景品を送付することとしている場合には、抽選の日の属する年分の必要経費に算入することができる。

(金品引換券付販売に要する費用の必要経費算入の時期)

3637共-15 商品等の金品引換券付販売により、金品引換券と引換えに金銭又は物品を交付することとしている場合には、その金銭又は物品の代価に相当する額は、その引き換えた日の属する年分の必要経費に算入する。

(金品引換費用の必要経費算入の時期の特例)

3637共-16 商品等の金品引換券付販売をした場合において、その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており、かつ、たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは、3637共-15にかかわらず、次の算式により計算した金額をその年において未払金に計上し、これを必要経費に算入することができる。

1枚又は1点について交付する金銭の額×その年12月31日現在においてまだ引き換えられていない枚数又は点数(既に引換期間を経過したもの及び前年以前に発行したもので引換期間の定めのないものを除く。)

() 算式中「1枚又は1点について交付する金銭の額」は、物品だけの引換えをすることとしている場合には、その物品の取得価額(2以上の物品のうちその一を選択することができることとなっている場合には、その取得価額が最も低いものの取得価額)による。

(金品引換費用の未払金の総収入金額算入)

3637共-17 3637共-16により必要経費に算入した未払金の額は、その年の翌年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。

(明細書の添付)

3637共-18 3637共-16により未払金に計上する場合には、その計上する年分の確定申告書に当該未払金の額の計算の基礎及び金品引換券の引換条件等に関する事項を記載した明細書を添付するものとする。

 

〔長期の損害保険契約に係る支払保険料等〕

(長期の損害保険契約に係る支払保険料)

3637共-182 保険期間が3年以上で、かつ、当該保険期間満了後に満期返戻金を支払う旨の定めのある損害保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下3637共-187までにおいて「長期の損害保険契約」という。)で業務の用に供されている建物等に係るものについて保険料(共済掛金を含む。以下3637共-186までにおいて同じ。)を支払った場合には、当該建物等のうちの業務の用に供されている部分に対応する保険料の金額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は保険期間の満了又は保険契約の解除若しくは失効の時までは、当該業務に係る所得の金額の計算上資産として取り扱うものとし、当該対応する保険料の金額のうち、その他の部分の金額は期間の経過に応じて当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭46直審(所)19追加)

() 支払った保険料の金額のうち、積立保険料に相当する部分の金額とその他の部分の金額との区分は、保険料払込案内書、保険証券添付書類等により区分されているところによる。

(賃借建物等を保険に付した場合の支払保険料)

3637共-183 賃借して業務の用に供している建物等(使用人から賃借しているもので当該使用人に使用させているもの及び自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有するものを除く。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。(昭46直審(所)19追加)

(1) 当該業務を営む者が保険契約者となり、当該建物等の所有者が被保険者となっている場合 3637共-182による。

(2) 当該建物等の所有者が保険契約者及び被保険者となっている場合 業務の用に供されている部分の保険料の金額を当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

() 業務を営む者が自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する建物等を業務の用に供している場合において、当該業務を営む者又は当該建物等を所有する親族が当該建物等に係る長期の損害保険契約の保険料を支払ったときは、当該業務に係る所得の金額の計算上、当該保険料については、法第56《事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例》の規定及び561の取扱いにより、3637共-182と同様に取り扱われることとなる。

(使用人の建物等を保険に付した場合の支払保険料)

3637共-184 業務を営む者がその使用人の所有する建物等(使用人から賃借しているもので当該使用人に使用させているものを含み、自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有するものを除く。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。(昭46直審(所)19追加、昭63直法67、直所38改正)

(1) 当該業務を営む者が保険契約者となり、当該使用人が被保険者となっている場合 3637共-182による。

(2) 当該使用人が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の全額を当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

() 当該業務を営む者が当該保険料を負担することによりその使用人が受ける利益については、36-317及び36-318参照

(賃借建物等を保険に付している場合の建物等の所有者の所得計算)

3637共-185 賃貸している建物等に係る長期の損害保険契約についてその建物等を賃借している者が保険料を支払っている場合における当該建物等の所有者の当該建物等の賃貸に係る所得の金額の計算上、当該保険料の金額については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。(昭46直審(所)19追加)

(1) 当該賃借している者が保険契約者となり、当該建物等の所有者が被保険者となっている場合 保険料の金額のうち積立保険料に相当する部分以外の部分の金額を総収入金額に算入し、当該金額を必要経費に算入する。

(2) 当該建物等の所有者が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の全額を総収入金額に算入し、積立保険料に相当する部分以外の部分の金額を必要経費に算入する。

(満期返戻金等の支払を受けた場合の一時所得の金額の計算)

3637共-186 長期の損害保険契約に基づく満期返戻金若しくは満期共済金又は解約返戻金の支払を受けた場合には、当該満期返戻金若しくは満期共済金又は解約返戻金に係る一時所得の金額の計算に当たっては、当該損害保険契約に係る保険料の総額からそのうちのその者の各年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入している部分の金額を控除した残額を、令第184条第2項第2《損害保険契約等に基づく満期返戻金等に係る一時所得の金額の計算》に規定する「保険料又は掛金の総額」として、同号の規定を適用する。(昭46直審(所)19追加、平11課所41改正)

(保険事故の発生により保険金の支払を受けた場合の積立保険料の処理)

3637共-187 保険事故又は共済事故の発生による保険金又は共済金(満期共済金を除く。以下この項において同じ。)の支払により長期の損害保険契約が失効した場合には、3637共-182により資産として取り扱うこととしている積立保険料に相当する部分の金額又は3637共-185(2)により総収入金額に算入することとされている金額のうち積立保険料に相当する部分の金額については、次による。(昭46直審(所)19追加)

(1) その者が所有する建物等(自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有するものを含む。)に係る保険金又は共済金の支払を受けた場合には、各種所得の金額の計算上必要経費又は支出した金額に算入しない。

(2) 3637共-183(1)又は3637共-184(1)に該当する長期の損害保険契約につき被保険者が保険金又は共済金の支払を受けた場合には、その業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

 

〔組合の所得計算〕

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属)

3637共-19 任意組合等の組合員の当該任意組合等において営まれる事業(以下3637共-20までにおいて「組合事業」という。)に係る利益の額又は損失の額は、当該任意組合等の利益の額又は損失の額のうち分配割合に応じて利益の分配を受けるべき金額又は損失を負担すべき金額とする。
 ただし、当該分配割合が各組合員の出資の状況、組合事業への寄与の状況などか らみて経済的合理性を有していないと認められる場合には、この限りではない。
(平17課個239、課資311、課審4220改正)

(注)

1 任意組合等とは、民法第667条第1《組合契約》に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条第1《投資事業有限責任組合契約》に規定する投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約に関する法律第3条第1《有限責任事業組合契約》に規定する有限責任事業組合契約により成立する組合並びに外国におけるこれらに類するものをいう。以下3637共-20までにおいて同じ。

2 分配割合とは、組合契約に定める損益分配の割合又は民法第674《組合員の損益分配の割合》、投資事業有限責任組合契約に関する法律第16《民法の準用》及び有限責任事業組合契約に関する法律第33《組合員の損益分配の割合》の規定による損益分配の割合をいう。以下 3637共-20までにおいて同じ。

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属の時期)

3637共-192 任意組合等の組合員の組合事業に係る利益の額又は損失の額は、その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。
 ただし、組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該組合員への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、当該任意組合等の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入するものとする。
(平17課個239、課資311、課審4220追加)

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の額の計算等)

3637共-20 3637共-19及び3637共-192により任意組合等の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額は、次の(1)の方法により計算する。ただし、その者が(1)の方法により計算することが困難と認められる場合で、かつ、継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には、その計算を認めるものとする。(平17課個239、課資311、課審4220、平24課個230、課審525改正)

(1) 当該組合事業に係る収入金額、支出金額、資産、負債等を、その分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法

(2) 当該組合事業に係る収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
 この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業に係る取引等について非課税所得、配当控除、確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はあるが、引当金、準備金等に関する規定の適用はない。

(3) 当該組合事業について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員にあん分する方法
 この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業に係る取引等について、非課税所得、引当金、準備金、配当控除、確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はなく、各組合員にあん分される利益の額又は損失の額は、当該組合事業の主たる事業の内容に従い、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得のいずれか一の所得に係る収入金額又は必要経費とする。

() 組合事業について計算される利益の額又は損失の額のその者への報告等の状況、その者の当該組合事業への関与の状況その他の状況からみて、その者において当該組合事業に係る収入金額、支出金額、資産、負債等を明らかにできない場合は、「(1)の方法により計算することが困難と認められる場合」に当たることに留意する。

(匿名組合契約による組合員の所得)

3637共-21 匿名組合契約(商法第535《匿名組合契約》の規定による契約をいう。以下この項及び3637共-212において同じ。)を締結する者で当該匿名組合契約に基づいて出資をする者(匿名組合契約に基づいて出資をする者のその匿名組合契約に係る地位の承継をする者を含む。以下この項及び3637共-212において「匿名組合員」という。)が当該匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得とする。
 ただし、匿名組合員が当該匿名組合契約に基づいて営業者の営む事業
(以下この 項及び3637共-212において「組合事業」という。)に係る重要な業務執行の決定を行っているなど組合事業を営業者と共に経営していると認められる場合には、当該匿名組合員が当該営業者から受ける利益の分配は、当該営業者の営業の内容に従い、事業所得又はその他の各種所得とする。(平17課個239、課資311、課審4220改正)

(注)

1 匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配とは、匿名組合員が当該営業者から支払を受けるものをいう(出資の払戻しとして支払を受けるものを除く。 ) 。以下3637共-212において同じ。

2 営業者から受ける利益の分配が、当該営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合によるものである場合には、その分配は金銭の貸付けから生じる所得となる。

 なお、当該所得が事業所得であるかどうかの判定については、276参照。

(匿名組合契約による営業者の所得)

3637共-212 3637共-21により営業者が匿名組合員に分配する利益の額は、当該営業者の当該組合事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。(平17課個239、課資311、課審4220追加)


〔信用取引に係る所得計算〕

(信用取引に係る金利等)

3637共-22 信用取引の方法により株式の買付け若しくは売付けを行った者又は暗号資産信用取引の方法により暗号資産の買付け若しくは売付けを行った者が、当該信用取引又は当該暗号資産信用取引に関し、証券会社に支払うべき、若しくは証券会社から支払を受けるべき金利若しくは品貸料又は令第119条の7に規定する暗号資産交換業を行う者(以下この項及び48の2-1において「暗号資産交換業者」という。)に支払うべき、若しくは暗号資産交換業者から支払を受けるべき金利若しくはいわゆる品貸料に相当する金額は、それぞれ次によるものとする。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8追加、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個212、課法113、課審56改正)

(1) 買付けを行った者が、証券会社に支払うべき金利は当該買付けに係る株式の取得価額に算入し、証券会社から支払を受けるべき品貸料は当該買付けに係る株式の取得価額から控除する。

(2) 売付けを行った者が、証券会社から支払を受けるべき金利は当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額に算入し、証券会社に支払うべき品貸料は当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額から控除する。

(3) 買付けを行った者が、暗号資産交換業者に支払うべき金利は当該買付けに係る暗号資産の取得価額に算入し、暗号資産交換業者から支払を受けるべきいわゆる品貸料は当該買付けに係る暗号資産の取得価額から控除する。

(4) 売付けを行った者が、暗号資産交換業者から支払を受けるべき金利は当該売付けに係る暗号資産の売買による収入金額に算入し、暗号資産交換業者に支払うべきいわゆる品貸料は当該売付けに係る暗号資産の売買による収入金額から控除する。

(信用取引に係る配当落調整額等)

3637共-23 信用取引に関し、株式の買付けを行った者が証券会社から支払を受けるべき次に掲げる金額は、当該買付けに係る株式の取得価額から控除するものとし、株式の売付けを行った者が証券会社に対し支払うべき次に掲げる金額は、当該売付けに係る株式の譲渡による収入金額から控除するものとする。(平元直所314、直法69、直資38追加、平18課個218、課資310、課審4114改正、平27課個211、課法1016、課審57改正)

(1) 配当落調整額(信用取引に係る株式につき配当が付与された場合において、証券会社が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいう。)に相当する金額

(2) 権利処理価額(信用取引に係る株式につき株式分割、株式無償割当て及び会社分割による株式を受ける権利、新株予約権(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第17((定義))に規定する新投資口予約権を含む。以下この項において同じ。)又は新株予約権の割当てを受ける権利が付与された場合において、証券会社が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該引受権に相当する金銭の額をいう。)に相当する金額

3637共-24 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-25 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-26 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-27 削除(平11課所41追加、平12官総83ほか10課共同改正、平19課個231、課審444削除)

3637共-28 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-29 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-30 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-31 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-32 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-33 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-34 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-35 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-36 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-37 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-38 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-39 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-40 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-41 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-42 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-43 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-44 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-45 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-46 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

3637共-47 削除(平11課所41追加、平19課個231、課審444削除)

 

 

 

 

〔その他〕

(法令に基づき交付を受ける給付金等の処理)

3637共-48 雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等(以下3637共-49において「雇用保険法等の規定等」という。)に基づき休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をほてんするために交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する年分においてその金額が具体的に確定しない場合であっても、その金額を見積もり、当該年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。この場合において、その給付の対象となった休業手当等を製造原価に算入しているときは、当該給付金額のうち製造原価に算入した休業手当等に対応する金額をその製造原価から控除することができる。(51直所31、直法61、直資3-1追加、昭55直所319、直法68、昭60直所31、直法61、直資31、平元直所314、直法69、直資38、平11課所41、平23課個233、課法99、課審446改正、平30課個2‐29、課法12104、課審5‐8改正)

(法令に基づき交付を受ける奨励金等の収入すべき時期)

3637共-49 定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったことなどにより雇用保険法等の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。(昭54直所32追加、昭55直所319、直法68、昭60直所31、直法61、直資31、平元直所314、直法69、直資38、平2直所39、直法67、平11課所41改正)


法第38《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》関係

(土地等と共に取得した建物等の取壊し費用等)

381 自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合又は建物等の存する土地(借地権を含む。以下この項において同じ。)をその建物等と共に取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手するなど、その取得が当初からその建物等を取壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取得に要した金額及び取壊しに要した費用の額の合計額(発生資材がある場合には、その発生資材の価額を控除した残額)は、当該土地の取得費に算入する。

(一括して購入した一団の土地の一部を譲渡した場合の取得費)

3812 一括して購入した一団の土地の一部を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、原則として当該土地のうち譲渡した部分の面積が当該土地の面積のうちに占める割合を当該土地の取得価額に乗じて計算した金額によるものであるが、当該土地のうち譲渡した部分の譲渡時の価額が当該土地の譲渡時の価額のうちに占める割合を当該土地の取得価額に乗じて計算した金額によっても差し支えない。(昭56直資32、直所33追加)

(所有権等を確保するために要した訴訟費用等)

382 取得に関し争いのある資産につきその所有権等を確保するために直接要した訴訟費用、和解費用等の額は、その支出した年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、資産の取得に要した金額とする。

() 各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるものについては、3725参照

(主たる部分を業務の用に供していない譲渡資産の取得費)

383 譲渡資産が業務の用と業務の用以外の用とに併せ供されていた場合において、当該譲渡資産の所有期間を通じ、当該業務の用以外の用に供されていた部分が当該譲渡資産の90%以上であるときは、その資産の全部が業務の用以外の用に供されていたものとして法第38条第2項の規定を適用して差し支えない。

(借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費)

384 借地権等の設定の対価による所得が譲渡所得とされる場合において、令第 174《借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費》の規定により当該譲渡所得に係る収入金額から控除する取得費は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところにより計算した金額となることに留意する。(昭56直資32、直所33改正)

(1) その土地について初めて借地権等を設定した場合

その土地について初めて借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費の算式

(2) 現に借地権等を設定している土地について更に借地権等を設定した場合

現に借地権等を設定している土地について更に借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費の算式

(3) 先に借地権等の設定があった土地で現に借地権等を設定していないものについて借地権等を設定した場合38-42の取扱いが適用される場合を除く。)

先に借地権等の設定があった土地で現に借地権等を設定していないものについて借地権等を設定した場合の譲渡所得に係る取得費の算式

() この算式により計算した金額が赤字となる場合は、その赤字はゼロとする。

(借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等の譲渡所得に係る取得費)

3842 借地権等の設定されている土地の所有者が、対価を支払って当該借地権等を消滅させ、又は当該借地権等の贈与を受けたことにより当該借地権等が消滅した後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に新たな借地権等の設定(その設定による所得が譲渡所得とされる場合に限る。以下3843までにおいて同じ。)をした場合における譲渡所得の金額の計算上控除する33112に定める旧借地権部分及び旧底地部分に係る取得費は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資32、直所33追加)

(1) 当該土地を譲渡した場合

イ 旧借地権部分に係る取得費

借地権等を消滅させた後当該土地を譲渡した場合、旧借地権部分に係る取得費の算式

() 「旧借地権等の消滅につき支払った対価の額」は、法第60条第1《贈与等により取得した資産の取得費等》の規定の適用がある場合には、同項の規定により計算した金額となる。

ロ 旧底地部分に係る取得費

借地権等を消滅させた後当該土地を譲渡した場合、旧低地部分に係る取得費の算式

(2) 当該土地につき新たに借地権等の設定をした場合

イ 旧借地権部分に係る取得費

借地権等を消滅させた後当該土地につき新たに借地権等の設定をした場合、旧借地権部分に係る取得費の算式

ロ 旧底地部分に係る取得費

借地権等を消滅させた後当該土地につき新たに借地権等の設定をした場合、旧低地部分に係る取得費の算式

(底地を取得した後、土地を譲渡した場合等の譲渡所得に係る取得費)

3843 借地権等を有する者が、当該借地権等に係る底地を取得した後に当該土地を譲渡し、又は当該土地に借地権等の設定をした場合における譲渡所得の金額の計算上控除する33113に定める旧底地部分及び旧借地権部分に係る取得費は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる算式により計算した金額によるものとする。(昭56直資32、直所33追加)

(1) 当該土地を譲渡した場合

イ 旧底地部分に係る取得費

底地を取得した後当該土地を譲渡した場合、旧低地部分に係る取得費の算式

() 「底地の取得のために要した金額」は、法第60条第1項の規定の適用がある場合には、同項の規定により計算した金額となる。

ロ 旧借地権部分に係る取得費

底地を取得した後当該土地を譲渡した場合、旧借地権部分に係る取得費の算式

(2) 当該土地につき借地権等の設定をした場合

イ 旧底地部分に係る取得費

底地を取得した後当該土地につき借地権等の設定をした場合、旧底地部分に係る取得費の算式

ロ 旧借地権部分に係る取得費

底地を取得した後当該土地につき借地権等の設定をした場合、旧借地権部分に係る取得費の算式

(価値の減少に対する補償金等に係る取得費)

385 令第95《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得の基因となる資産の価値が減少したことに伴い、当該価値の減少につき一時に受ける補償金その他これに類するものに係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、次に掲げる算式により計算する。

価値の減少に対する補償金等に係る取得費の算式

(分与財産の取得費)

386 民法第768《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与により取得した財産は、その取得した者がその分与を受けた時においてその時の価額により取得したこととなることに留意する。(平18課資36、課個211、課審65改正)

(代償分割に係る資産の取得費)

387 遺産の代償分割に係る資産の取得費については、次による。(昭52直資314、直所322追加)

(1) 代償分割により負担した債務に相当する金額は、当該債務を負担した者が当該代償分割に係る相続により取得した資産の取得費には算入されない。

(2) 代償分割により債務を負担した者から当該債務の履行として取得した資産は、その履行があった時においてその時の価額により取得したこととなる。

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて移転を受けた資産の取得費)

38-7の2 民法第1046条第1項の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは、その履行を受けた者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債権の額に相当する価額により当該資産を取得したこととなる。(令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3追加)

(取得費等に算入する借入金の利子等)

388 固定資産の取得のために借り入れた資金の利子(賦払の契約により購入した固定資産に係る購入代価と賦払期間中の利息及び賦払金の回収費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合におけるその利息及び回収費用等に相当する金額を含む。)のうち、その資金の借入れの日から当該固定資産の使用開始の日(当該固定資産の取得後、当該固定資産を使用しないで譲渡した場合においては、当該譲渡の日。以下3886において同じ。)までの期間に対応する部分の金額は、業務の用に供される資産に係るもので、3727又は3728により当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、当該固定資産の取得費又は取得価額に算入する。
 固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支出する公正証書作成費用、抵当権設定登記費用、借入れの担保として締結した保険契約に基づき支払う保険料その他の費用で当該資金の借入れのために通常必要と認められるものについても、同様とする。
(昭52直資314、直所322、昭54直資38、直所320、昭56直資32、直所33、昭60直所31、直法61、直資31改正)

()

1 その借り入れた資金が購入手数料等固定資産の取得費に算入される費用に充てられた場合には、その充てられた部分の借入金も「固定資産の取得のために借り入れた資金」に該当する。

2 「譲渡の日」は、3612に準じて判定した日による。

(使用開始の日の判定)

3882 38-8に定める「使用開始の日」は、次により判定する。(昭56直資32、直所33追加)

(1) 土地については、その使用の状況に応じ、それぞれ次に定める日による。

イ 新たに建物、構築物等の敷地の用に供するものは、当該建物、構築物等を居住の用、事業の用等に供した日

ロ 既に建物、構築物等の存するものは、当該建物、構築物等を居住の用、事業の用等に供した日(当該建物、構築物等が当該土地の取得の日前からその者の居住の用、事業の用等に供されており、かつ、引き続きこれらの用に供されるものである場合においては、当該土地の取得の日)

ハ 建物、構築物等の施設を要しないものは、そのものの本来の目的のための使用を開始した日(当該土地がその取得の日前からその者において使用されているものである場合においては、その取得の日)

(2) 建物、構築物並びに機械及び装置(次の(3)に掲げるものを除く。)については、そのものの本来の目的のための使用を開始した日(当該資産がその取得の日前からその者において使用されているものである場合においては、その取得の日)による。

(3) 書画、骨とう、美術工芸品などその資産の性質上取得の時が使用開始の時であると認められる資産については、その取得の日による。

(借入金により取得した固定資産を使用開始後に譲渡した場合)

3883 借入金により取得した固定資産を使用した後に譲渡した場合には、当該固定資産の使用開始があった日後譲渡の日までの間に使用しなかった期間があるときであっても、当該使用開始があった日後譲渡の日までの期間に対応する借入金の利子については当該固定資産の取得費又は取得価額に算入しない。(昭56直資32、直所33追加)

(固定資産を取得するために要した借入金を借り換えた場合)

3884 固定資産を取得するために要した借入金を借り換えた場合には、借換え前の借入金の額(借換え時までの当該借入金に係る未払利子を含む。)と借換え後の借入金の額とのうちいずれか低い金額は、借換え後もその固定資産の取得資金に充てられたものとして取り扱う。(昭56直資32、直所33追加)

(借入金で取得した固定資産の一部を譲渡した場合)

3885 借入金により取得した固定資産の一部を譲渡した場合には、当該固定資産のうち譲渡した部分の取得時の価額が当該固定資産の取得時の価額のうちに占める割合を当該借入金の額に乗じて計算した金額を当該譲渡した固定資産の取得のために借り入れたものとして388の取扱いを適用する。(昭56直資32、直所33追加)

(借入金で取得した固定資産を買換えた場合)

3886 借入金により取得した固定資産を譲渡し、その譲渡代金をもって他の固定資産を取得した場合には、その借入金(次に掲げる金額のうち最も低い金額に相当する金額に限る。)は、その譲渡の日において、新たに取得した固定資産の取得のために借り入れたものとして取り扱う。
 なお、借入金により取得した固定資産の譲渡につき措置法第33
《収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例》、第33条の22《交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》、第36条の2《特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例》、第37《特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例》又は第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受ける場合には、新たに取得した固定資産の取得のために借り入れたものとされる借入金の利子のうち当該譲渡した資産(以下この項において「譲渡資産」という。)の譲渡の日からこれらの規定に規定する代替資産又は買換資産(以下3888までにおいて「代替資産等」という。)の取得の日までの期間に対応する部分の金額は代替資産等の取得に要した金額に算入し、当該借入金の利子のうち、代替資産等の取得の日後使用開始の日までの期間に対応する部分の金額は、同法第33条の61《収用交換等により取得した代替資産等の取得価額の計算》、第36条の4《買換えに係る居住用財産の譲渡の場合の取得価額の計算等》、第37条の31《買換えに係る特定の事業用資産の譲渡の場合の取得価額の計算等》又は第37条の53項の規定により代替資産等の取得価額とされる金額に加算することができるものとする。(昭56直資32、直所33追加、昭57直所315、直法613、直資38、昭60直所321、直資35、平元直所314、直法69、直資38、平7課所41、課資31、平19課資35、課個215、課審69改正)

(1) 譲渡の日における借入金の残存額(譲渡資産が借入金により取得した固定資産の一部である場合においては、3885に定めるところにより計算した当該譲渡資産に対応する借入金の残存額。以下3887において同じ。)

(2) 譲渡資産の譲渡価額

(3) 新たに取得した固定資産の取得価額

(借入金で取得した固定資産を交換した場合等)

3887 借入金により取得した固定資産を交換により譲渡した場合には、交換の日におけるその借入金の残存額と交換取得資産の価額のうちいずれか低い金額は、その交換の日において、交換取得資産を取得するために借り入れたものとして取り扱う。
 措置法第33条の21項に規定する交換処分等又は同法第33条の3
《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》に規定する換地処分等があった場合も、同様である。(昭56直資32、直所33追加)

() 固定資産を交換した場合において、交換差金を支払うために借り入れた資金は、交換取得資産の取得のために借り入れたものとして取り扱われることに留意する。

(代替資産等を借入金で取得した場合)

3888 固定資産を借入金により取得した場合において、当該固定資産を代替資産等として措置法第33条、第33条の22項、第36条の2、第37条又は第37条の5の規定の適用を受けるときには、当該借入金の利子は代替資産等の取得費又は取得価額に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に掲げる借入金の利子については388の取扱いを適用する。(昭和56直資32、直所33追加、昭57直所315、直法613、直資38、平7課所41、課資31、平19課資35、課個215、課審69改正)

(1) これらの規定の適用を受ける譲渡資産の譲渡の日前に借入金により代替資産等を取得した場合  その借入れをした日から当該譲渡資産の譲渡の日までの期間に対応する部分の借入金の利子

(2) 譲渡資産の収入金額が代替資産等の取得価額に満たない場合  その満たない金額に対応する部分の借入金の利子

(被相続人が借入金により取得した固定資産を相続により取得した場合)

3889 被相続人が借入金により取得した固定資産(既に被相続人が使用していたものを除く。)を相続人が相続又は遺贈により取得した場合において、当該相続人がその借入金を承継したときは、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額に相当する借入金は、当該相続人が相続開始の日において、当該固定資産の取得のために借り入れたものとして取り扱う。
 なお、被相続人が固定資産を取得するために要した借入金の利子のうち、相続開始の日までの期間に対応する部分の金額は法第60条第1項の規定により計算した取得費又は取得価額に算入するのであるから留意する。
(昭56直資32、直所33追加)

(1) 当該相続人が承継した借入金の額

(2) 次の算式により計算した金額

被相続人が借入金により取得した固定資産を相続により取得した場合の算式

(非業務用の固定資産に係る登録免許税等)

389 固定資産(業務の用に供されるものを除く。以下この項において同じ。)に係る登録免許税(登録に要する費用を含む。)、不動産取得税等固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、当該固定資産の取得費に算入する。(昭51直所31、直法61、直資31、平17課資37、課個225、課審613改正)

()

1 法第60条第1項第1号に規定する贈与、相続又は遺贈による取得に伴い納付することとなる登録免許税等については、602参照

2 業務の用に供される資産に係る登録免許税等については、375及び493参照

(非事業用資産の取得費の計算上控除する減価償却費相当額)

3892 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合における当該資産の取得費は、法第38条第2項の規定により計算するのであるが、当該資産が各種所得(同項第1号に掲げる不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得をいう。以下この項において同じ。)を生ずべき業務の用に供されていない資産(以下この項において「非事業用資産」という。)であり、かつ、当該非事業用資産と同種の減価償却資産が令第6条第1号から第7号までに掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該非事業用資産の取得費の計算上控除する減価償却費相当額については、当該非事業用資産の法第38条第1項に規定する合計額に相当する金額の100分の95に相当する金額が限度となることに留意する。
 なお、譲渡した資産に係る各種所得を生ずべき業務の用に供されていた期間については、当該資産の法第38条第1項に規定する合計額に相当する金額から当該期間内の日の属する各年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額を控除して当該資産の取得費を計算するのであるが、当該資産を各種所得を生ずべき業務の用に供されなくなった後に譲渡した場合において、当該資産の償却費の額の累積額が当該資産の同項に規定する合計額に相当する金額の100分の95に相当する金額を超えているときは、当該資産の当該合計額に相当する金額から控除する減価償却費相当額は、当該償却費の額の累積額となることに留意する。
(平19課資35、課個215、課審69追加)

(契約解除に伴い支出する違約金)

3893 いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、当該取得した固定資産の取得費又は取得価額に算入する。(昭56直資32、直所33追加、平19課資35、課個215、課審69改正)

(土地についてした防壁、石垣積み等の費用)

3810 埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得費に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得費に算入しないで、構築物の取得費とすることができる。
 上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする。
(昭56直資32、直所33、平元直所314、直法69、直資38改正)

()

1 専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得費に算入する。

2 土地の測量費は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入する。

(土地、建物等の取得に際して支払う立退料等)

3811 土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等を使用していた者に支払う立退料その他その者を立ち退かせるために要した金額は、当該土地、建物等の取得費又は取得価額に算入する。

(借地権の取得費)

3812 借地権の取得費には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下この項において「借地契約」という。)をするに際して借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げる金額を含むものとする。ただし、(1) に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得費に含めることができる。(昭56直資32、直所33、平元直所314、直法69、直資38改正)

(1) 土地の上に存する建物等を取得した場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額

(2) 賃借した土地の改良のためにした土盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額

(3) 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額

(4) 建物等を増改築するに当たりその土地の所有者又は借地権者に対して支出した費用の額

(治山工事等の費用)

3813 天然林を人工林に転換するために必要な地ごしらえ又は治山の工事のために支出した金額は、構築物の取得費に算入されるものを除き、林地の取得費に算入する。

(土石等の譲渡に係る取得費)

38132 土地の地表又は地中にある土石等を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
 なお、その土地の所有者が当該土石等の譲渡後の土地について原状回復等を行った場合には、その原状回復等に要した費用の額はその土地の取得費に算入する。
(昭56直資32、直所33追加)

(1) 土石等の譲渡後におけるその土地の価額が、その土地の取得費に相当する金額以上である場合  土石等の譲渡に係る取得費はないものとする。

(2) 上記(1)以外の場合  その土地の取得費(土石等の譲渡前におけるその土地の価額が、その土地の取得費の額に満たない場合においては、当該価額)のうち、土石等の譲渡後におけるその土地の価額を超える部分の金額に相当する金額を土石等の譲渡に係る取得費とする。

() 土石等の譲受者が、土石等の採取後、その土地について原状回復を行う場合には、上記の「土石等の譲渡後におけるその土地の価額」は原状回復後のその土地の価額による。

(電話加入権の取得費)

3814 電話加入権の取得費には、電気通信事業者との加入電話契約に基づいて支出する工事負担金のほか、屋内配線工事に要した費用等電話機を設置するために支出する費用(当該費用の支出の目的となった資産を自己の所有とする場合のその設置のために支出するものを除く。)が含まれることに留意する。(昭60直所31、直法61、直資31、昭60直所321、直資35、平16課個223、課資37、課法88、課審433改正)

(借家権の取得費)

3815 借家権の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額は、借家権の取得に当たり支払った権利金の額から次の算式により計算した金額を控除した金額とする。(昭56直資32、直所33追加)

借家権の取得費の算式

(土地建物等以外の資産の取得費)

3816 土地建物等以外の資産(通常、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費がないものとされる土地の地表又は地中にある土石等並びに借家権及び漁業権等を除く。)を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、法第38条及び第61条の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、当該収入金額の 100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(平4課資31、課所412追加、令2課資37、課個218、課法114、課審79改正)

() 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の消滅につき対価の支払を受ける場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費については、605参照

 

 

法第39《たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入》関係

(家事消費又は贈与等をした棚卸資産の価額)

391 法第39条又は第40《たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入》に規定する消費又は贈与、遺贈若しくは譲渡の時における資産の価額に相当する金額は、その消費等をした資産がその消費等をした者の販売用の資産であるときは、当該消費等の時におけるその者の通常他に販売する価額により、その他の資産であるときは、当該消費等の時における通常売買される価額による。

(家事消費等の総収入金額算入の特例)

392 事業を営む者が法第39条若しくは第40条に規定する棚卸資産を自己の家事のために消費した場合又は同条第1項第1号に規定する贈与若しくは遺贈をした場合において、当該棚卸資産の取得価額以上の金額をもってその備え付ける帳簿に所定の記載を行い、これを事業所得の金額の計算上総収入金額に算入しているときは、当該算入している金額が、391に定める価額に比し著しく低額(おおむね70%未満)でない限り、391にかかわらず、これを認める。

(準棚卸資産を家事消費した場合の所得区分)

393 令第86《自家消費の場合のたな卸資産に準ずる資産の範囲》に規定する棚卸資産に準ずる資産(以下この項において「準棚卸資産」という。)を家事のために消費した場合には、当該資産の価額に相当する金額は、当該消費した準棚卸資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得の金額の計算上総収入金額に算入する。

1 事業所得を生ずべき事業に係る準棚卸資産 事業所得

2 不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係る準棚卸資産 雑所得

(山林を家事消費した場合の所得区分)

394 山林を伐採して家事のために消費した場合には、当該山林の価額に相当する金額は、保有期間が5年を超える山林にあっては、山林所得の金額の計算上総収入金額に算入し、保有期間が5年以内の山林にあっては、その消費した者が製材業者又は立木を売買することを業とする者であるときは事業所得、その他の者であるときは雑所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(平元直所314、直所69、直資38、平16課資39、課個227、課審617改正)

(注) 製材業者が保有期間が5年を超える山林を伐採し、製材その他の加工をして家事のために消費した場合には、当該家事のための消費は山林の家事消費ではなく、棚卸資産の家事消費に当たるのであるが、当該山林が自己の育成に係るものであるときの取扱いについては、2335共-12参照

(山林を伐採して事業用の建物等の建築のために使用した場合)

395 山林を所有する者がその山林を伐採し、製材その他の加工をして自己の業務の用に供する建物等の建築材料として使用したような場合は、法第39条第1項の規定は適用されない。
 この場合、当該山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成に要した費用
(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)及び当該伐採した立木の搬出費用又は製材費用等の額は当該建物等の取得費又は取得価額に算入する。(昭56直資32、直所33追加)


法第40《たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入》関係

(事業所得の基因となる山林の意義)

401 法第40条第1項本文かっこ内に規定する「事業所得の基因となる山林」とは、製材業者又は立木を売買することを業とする者が保有する山林で、その取得の日以後5年を経過していないものをいうものとする。

(著しく低い価額の対価による譲渡の意義)

402 法第40条第1項第2号に規定する「著しく低い価額の対価による譲渡」とは、同条に規定する棚卸資産の391に定める価額のおおむね70%に相当する金額に満たない対価により譲渡する場合の当該譲渡をいうものとする。

(注) 法第40条第1項第2号の規定の趣旨は、たとえ譲渡の形式をとっている場合でも、実質的に部分的な贈与をしたと認められる行為は、その実質に着目して課税処理をすることにあるから、棚卸資産を著しく低い対価で譲渡した場合であっても、商品の型崩れ、流行遅れなどによって値引販売が行われることが通常である場合はもちろん、実質的に広告宣伝の一環として、又は金融上の換金処分として行うようなときには、この規定の適用はないことに留意する。

(実質的に贈与をしたと認められる金額)

403 法第40条第1項第2号に規定する「実質的に贈与をしたと認められる金額」とは、同項に規定する棚卸資産の391に定める価額とその譲渡の対価の額との差額に相当する金額をいうのであるが、当該棚卸資産の391に定める価額のおおむね70%に相当する金額からその対価の額を控除した金額として差し支えない。


法第41《農産物の収穫の場合の総収入金額算入》関係

(農産物の収穫価額)

411 法第41条に規定する農産物の収穫価額は、当該農産物の収穫時における生産者販売価額により計算する。


法第41条の2《発行法人から与えられた株式を取得する権利の譲渡による収入金額》関係

(発行法人から与えられた株式を取得する権利を発行法人に譲渡した場合の所得区分)

4121 法第41条の2((発行法人から与えられた株式を取得する権利の譲渡による収入金額))に規定する権利をその発行法人に譲渡した場合の当該譲渡に係る所得区分は、2335共-6の取扱いに準ずる。(26課個29、課審514追加)


法第44《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》関係

(資産の移転等の費用の範囲)

441 法第44条の規定を適用する場合において、その交付を受けた金額を資産の移転等に際し通常行われる程度の腐朽又は損傷した部分の取替え又は修復に要する費用、通常行われる程度の模様替え又は造作の変更に要する費用その他これらに準ずる費用に充てたときは、その費用に充てた金額はその交付の目的に従って資産の移転等の費用に充てたものとする。

(資産の移転、移築の費用に充てるため交付を受けた金額を除却の費用に充てた場合等)

442 資産の移転又は移築の費用に充てるために交付を受けた金額をその資産の除却のために支出した場合又は資産の除却の費用に充てるために交付を受けた金額をその資産の移転又は移築のために支出した場合においても、その支出した金額は、法第44条の規定の適用上、その交付の目的に従って支出したものとする。


法第44条の2《免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入》関係

(「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合の意義)

4421 法第44条の2第1項((免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入))に規定する「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合とは、破産法(平成16年法律第75)の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法(平成11年法律第225)の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合をいうことに留意する。(26課個29、課審514追加)

 

〔家事関連費(第1号関係)

(主たる部分等の判定等)

451 令第96条第1《家事関連費》に規定する「主たる部分」又は同条第2号に規定する「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分」は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する。

(業務の遂行上必要な部分)

452 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。


〔附帯税(第2号関係)

(山林所得を生ずべき事業の意義)

453 山林所得を生ずべき事業とは、山林の輪伐のみによって通常の生活費を賄うことができる程度の規模において行う山林の経営をいうものとする。

(必要経費に算入される利子税の計算の基礎となる各種所得の金額)

454 令第97条第1項第1《必要経費に算入される利子税の計算》に規定する各種所得の金額並びに同項第3号及び第4号に規定する事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額とは、いわゆる黒字の金額をいい、また、当該各種所得の金額のうち長期保有資産(法第33条第3項第2《譲渡所得》に掲げる所得の基因となる資産をいう。)に係る譲渡所得の金額又は一時所得の金額については、それぞれ法第33条第3項又は第34条第2《一時所得》に規定する「特別控除額を控除した金額」の2分の1に相当する金額をいうものとする。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

2以上の所得を生ずべき事業を営んでいる場合の各種所得の金額の計算上控除する利子税の計算)

455 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業のうち2以上の所得を生ずべき事業を営む者が納付する利子税で、不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入するそれぞれの所得に係る利子税の額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入する場合にあっては、当該利子税の額の計算の基礎となった所得税に係る年分の各種所得の金額(給与所得の金額及び退職所得の金額を除くものとし、454が適用される場合には、その適用後の金額をいう。)の合計額のうちに当該年分の事業所得の金額の占める割合を乗じて計算した金額とし、不動産所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入する場合にあっては、事業所得の場合に準じ、それぞれ各別に計算した金額とする。

(注) 必要経費に算入すべき利子税が確定した年において廃業等により不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行っていない場合には、当該利子税は必要経費に算入することはできない。


〔罰金等(第7号関係)

(外国等が課する罰金又は科料に相当するもの)

4552 法第45条第1項第7号かっこ内に規定する「外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するもの」とは、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て外国又はその地方公共団体により課されるものをいう。(平11課所41追加、平21課個2-29、課審4-52、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

(注) いわゆる司法取引により支払われたものも、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て課された罰金又は科料に相当するものに該当することに留意する。


〔損害賠償金等(第8号関係)

(使用人の行為に基因する損害賠償金等)

456 業務を営む者が使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているもの(以下この項において「家族従業員」という。)を含む。以下この項において同じ。)の行為に基因する損害賠償金(これに類するもの及びこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含む。)を負担した場合には、次によるものとする。

1 当該使用人の行為に関し業務を営む者に故意又は重大な過失がある場合には、当該使用人に故意又は重大な過失がないときであっても、当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入しない。

2 当該使用人の行為に関し業務を営む者に故意又は重大な過失がない場合には、当該使用人に故意又は重大な過失があったかどうかを問わず、次による。

イ 業務の遂行に関連する行為に基因するものは、当該使用人の従事する業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。

ロ 業務の遂行に関連しない行為に基因するものは、家族従業員以外の使用人の行為に関し負担したもので、雇用主としての立場上やむを得ず負担したものについては、当該使用人の従事する業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入し、その他のもの(家族従業員の行為に関し負担したものを含む。)については、必要経費に算入しない。

(損害賠償金に類するもの)

457 法第45条第1項第8号かっこ内に規定する「これに類するもの」には、慰謝料、示談金、見舞金等の名目のいかんを問わず、他人に与えた損害をほてんするために支出する一切の費用が含まれる。(平23課個233、課法99、課審446、令元課個222、課法113、課審512改正)

(重大な過失があったかどうかの判定)

458 令第98条第2((必要経費に算入されない貨物割に係る延滞税等の範囲))に規定する重大な過失があったかどうかは、その者の職業、地位、加害当時の周囲の状況、侵害した権利の内容及び取締法規の有無等の具体的な事情を考慮して、その者が払うべきであった注意義務の程度を判定し、不注意の程度が著しいかどうかにより判定するものとし、次に掲げるような場合には、特別な事情がない限り、それぞれの行為者に重大な過失があったものとする。(昭60直所321、直資35、平11課所41改正、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

1 自動車等の運転者が無免許運転、高速度運転、酔払運転、信号無視その他道路交通法第4章第1((運転者の義務))に定める義務に著しく違反すること又は雇用者が超過積載の指示、整備不良車両の運転の指示その他同章第3((使用者の義務))に定める義務に著しく違反することにより他人の権利を侵害した場合

2 劇薬又は爆発物等を他の薬品又は物品と誤認して販売したことにより他人の権利を侵害した場合


〔課徴金等(10号関係)

(外国等が納付を命ずる課徴金及び延滞金に類するもの)

459 法第45条第1項第10((家事関連費等の必要経費不算入等))に規定する「外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するもの」とは、外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が、法令等(市場における公正で自由な競争の実現を目的とするものに限る。)に基づいて納付を命ずるもの(同項第7号に掲げる罰金及び科料を除く。以下この項において「外国課徴金」という。)をいう。(平21課個2-29、課審4-52追加、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

(注) 欧州連合によるカルテル等違反への制裁金は、外国課徴金に該当する。


法第46《所得税額から控除する外国税額の必要経費不算入》関係

(必要経費算入と税額控除との選択方法)

461 外国所得税の額について、必要経費若しくは支出した金額に算入するか、又は外国税額控除をするか若しくは法第138《源泉徴収税額等の還付》の規定により還付を受けるかどうかの選択は、各年ごとに、その年中に確定した外国所得税の額の全部について行わなければならないものとする。

(注) 利子所得、配当所得、給与所得、退職所得又は譲渡所得をその計算の基礎とした外国所得税の額について外国税額控除をするときは、不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得又は一時所得をその計算の基礎とした外国所得税の額についても、必要経費又は支出した金額に算入することはできない。

 

〔棚卸資産の評価の方法(令第99条関係)

(個別法を選定することができる棚卸資産)

471 次に掲げる棚卸資産については、個別法(その評価額を基礎とする低価法を含む。)によりその評価額を計算することができる。

1 商品の取得から販売に至るまでの過程を通じて具体的に個品管理が行われている場合又は製品、半製品若しくは仕掛品の取得から販売若しくは消費までの過程を通じて具体的に個品管理が行われ、かつ、個別原価計算が実施されている場合において、その個品管理を行うこと又は個別原価計算を実施することに合理性があると認められるときにおけるその商品又は製品、半製品若しくは仕掛品

2 その性質上専ら(1)の製品又は半製品の製造等の用に供されるものとして保有されている原材料

472 削除(平21課個2-29、課審4-52削除)

(月別総平均法等)

473 1月ごとに総平均法又は移動平均法により計算した価額を当該月末における棚卸資産の取得価額とみなし、翌月においてこれを繰越価額として順次計算することによりその年1231日における棚卸資産の取得価額を計算する方法は、それぞれ総平均法又は移動平均法に該当するものとする。(平21課個2-29、課審4-52改正)

(半製品又は仕掛品についての売価還元法)

474 製造業を営む者が、原価計算を行わないため半製品及び仕掛品について製造工程に応じて製品売価の何%として評価する場合のその評価方法は、売価還元法に該当するものとする。

(売価還元法の適用区分)

475 売価還元法により評価額を計算する場合には、その種類の著しく異なるものを除き、通常の差益の率がおおむね同じ棚卸資産は、これをその計算上の一区分とすることができるものとする。

(売価還元法により評価額を計算する場合の通常の販売価額の総額の計算)

476 売価還元法により評価額を計算する場合における令第99条第1項第1号ヘに規定する「通常の販売価額の総額」は、その年において販売した棚卸資産について値引き、割戻し等を行い、それを売上金額から控除しているような場合であっても、値引き、割戻し等を考慮しないところの販売価額の総額によることに留意する。(平21課個2-29、課審4-52改正)

(売価還元法により評価額を計算する場合のその年中に販売した棚卸資産の対価の総額の計算)

477 売価還元法により評価額を計算する場合における令第99条第1項第1号ヘに規定する「その年中に販売した当該棚卸資産の対価の総額」は、その年において販売した棚卸資産の実際の販売価額の合計額によるのであるが、その年において従業員、特定の顧客等特定の者に対する販売について値引きを行っている場合において、その者に対する販売状況が個別に管理されており、その値引きの額が明らかにされているときは、その値引きの額をその販売価額に加算して計算することができるものとする。(平21課個2-29、課審4-52改正)

(原価の率が100%を超える場合の売価還元法の適用)

478 売価還元法を適用する場合において、令第99条第1項第1号ヘに規定する原価の率が100%を超えることとなったときでも、その率により期末棚卸資産の評価額を計算することに留意する。(平21課個2-29、課審4-52改正)

(未着品の評価)

4782 未着品(購入した棚卸資産で運送の途中にあるものをいう。以下この項において同じ。)につきその取得のために通常要する引取運賃、荷役費その他の付随費用のうちその年1231日までに支出がされていないためその取得価額に算入されていないものがある場合には、当該未着品については、これと種類、品質及び型(以下この項、479及び4717において「種類等」という。)を同じくする棚卸資産があるときであっても、当該棚卸資産とは種類等が異なるものとして令第99条の規定を適用する。(昭57直所31追加、平19課個231、課審444改正)

(低価法における低価の事実の判定の単位)

479 低価法における低価の事実の判定は、棚卸資産の種類等を同じくするもの(棚卸資産を通常の差益の率の同じものごとに区分して売価還元法を選定している場合には、通常の差益の率の同じものとする。)について行うべきであるが、事業の種類ごとに、かつ、令第100条第1項((たな卸資産の評価の方法の選定))に規定する棚卸資産の区分ごとに一括して計算することができるものとする。(平19課個231、課審444改正)

(時価)

4710 棚卸資産について低価法を適用する場合における令第99条第1項第2号に規定する「その年1231日における価額」は、その年1231日においてその棚卸資産を売却するものとした場合に通常付される価額(以下この項において「棚卸資産の年末時価」という。)による。(平19課個231、課審444追加)

(注) 棚卸資産の年末時価は、通常、商品又は製品として売却するものとした場合の売却可能価額から見積追加製造原価(未完成品に限る。)及び見積販売直接経費を控除した正味売却価額によることに留意する。

47102 削除(昭57直所31追加、平19課個231、課審444削除)

4711 削除(平19課個231、課審444削除)

4712 削除(平19課個231、課審444削除)

4713 削除(平19課個231、課審444削除)

(前年末において低価法により評価している場合の棚卸資産の取得価額)

4714 その年の前年1231日における棚卸資産につき低価法により評価していた場合のその年1231日における棚卸資産の評価額の計算の基礎となるその棚卸資産の取得価額は、当該低価法による評価額ではなく、当該低価法の基礎として選定している原価法により評価した価額によることに留意する。

(準棚卸資産に係る必要経費の算入)

4715 令第81条第1号又は第2《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に掲げる資産(山林を除く。)につきその年分の不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、当該資産につき法第72条第1《雑損控除》の規定の適用を受ける損失が生じた場合を除き、次の算式により計算した金額とすることができる。この場合において、その年11日及び1231日における当該資産の取得価額は、それぞれの日において有する当該資産でまだ業務の用に供されていないものにつき令第99条第1項第1号に掲げる評価の方法に準じて計算する。(平11課所4-1改正)

その年の1月1日において有する当該資産でまだ業務の用に供されていないものの取得金額の合計額+その年中に取得した当該資産の取得価額の合計額-その年の12月31日において有する当該資産でまだ業務の用に供されていないものの取得価額に合計額

 

〔棚卸資産の評価の方法の選定(令第100条関係)

(評価方法の選定単位の細分)

4716 棚卸資産の評価方法は、事業所別に、又は令第100条第1項に規定する棚卸資産の区分を更に細分してその種類の異なるごとその他合理的な区分ごとに選定することができる。(昭57直所31改正)

(注) 同項に規定する棚卸資産の区分又はその種類を同じくする棚卸資産のうちに個別法を選定することができるものがある場合には、これを区分して個別法を選定することができる。


〔棚卸資産の評価の方法の変更手続(令第101条関係)

(評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」)

47162 いったん採用した棚卸資産の評価の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、現によっている評価の方法を変更するために令第 101条第2項の規定に基づいてその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている評価の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加)

(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている評価の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができることに留意する。


〔棚卸資産の取得価額(令第103条関係)

(棚卸資産の取得価額に算入する費用)

4717 令第103条第1項各号に掲げる棚卸資産の取得価額に算入する費用の額には、次に掲げるような費用の額が含まれることに留意する。ただし、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価又は製造原価のおおむね3%以内の金額とする。)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。(昭57直所31改正)

1 買入事務若しくは検収のために要した費用の額又は製造後における検査若しくは検定のために要した費用の額その他その棚卸資産の整理、選別、手入れ等に要した費用の額

2 販売所等又は製造所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額

3 特別の時期に販売するなどのため長期にわたって保管するために要した費用の額

(注)

1 (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、年分ごとに、かつ、種類等を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合又は工場別に原価計算を行っている場合には、事業所又は工場ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。

2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。

(砂利採取地に係る埋戻し費用)

47172 他の者の有する土地から砂利その他の土石(以下この項において「砂利等」という。)を採取して販売(原材料等としての消費を含む。)する場合において、当該他の者との契約によりその採取後の跡地を埋め戻して土地を原状に復することを約しているため、その採取を開始した日の属する年以後その埋戻しを行う日の属する年の直前の年までの各年において、継続して次の算式により計算した金額を当該土地から採取した砂利等の取得価額に算入しているときは、これを認めるものとする。(昭55直所319、直法68追加)

(算式)

〔埋戻しに要する費用の額の見積額-その年の前年以前において砂利等の取得価額に算入した金額の合計額〕×(その年において当該土地から採取した砂利等の数量)÷(当該土地から採取する砂利等の予定数量-その年の前年以前において採取した砂利等の数量の合計)

(注) 算式の「埋戻しに要する費用の額の見積額」及び「当該土地から採取する砂利等の予定数量」は、その年1231日の現況により適正に見積もるものとする。

(翌年以後において購入代価が確定した場合の調整)

4718 令第103条第1項第1号に掲げる棚卸資産でその購入した日の属する年においてその代価が確定していないものについては、その見積額によりその取得価額を計算するものとする。この場合において、その翌年以後の年において確定した代価の額がその見積額と異なることとなったときは、その差額は、その確定した日の属する年分の事業所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。ただし、その差額が多額な場合には、その差額のうち、当該年分に繰り越された棚卸資産に対応する部分は、当該年に取得した棚卸資産の取得価額に加算又は減算し、その他の部分は当該年分の必要経費又は総収入金額に算入する。

(棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)

47182 棚卸資産の取得又は保有に関連して支出する固定資産税、都市計画税、登録免許税(登録に要する費用を含む。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税等は、その取得価額に算入しないことができる。(昭57直所31追加、平5課所41改正)

(製造原価に算入しないことができる費用)

4719 次に掲げるような費用の額は、令第103条第1項第2号イに掲げる製造等のために要した金額に算入しないことができる。(昭51直所31、直法61、直資31、昭52直所333、直法610、直資315、昭63直法67、直所38、平12課所430、平16課個223、課資37、課法88、課審433、平20課個217、課審4186、課法93、令2課個212、課法113、課審56改正)

1 退職給与規程を改正した年において退職給与引当金勘定に繰り入れた金額でその年分の必要経費に算入される金額のうち、その改正後の退職給与規程をその年の前年1231日における退職給与規程とみなして計算した場合におけるその年分の繰入限度を超える部分の金額

2 使用人等に支給した賞与のうち、例えば、創業何周年記念賞与のように特別の場合に支給される賞与であることの明らかなものの額(通常の賞与として支給される金額に相当する金額を除く。)

3 試験研究費のうち、基礎研究及び応用研究の費用の額並びに工業化研究に該当することが明らかでないものの費用の額

4 措置法に定める特別償却の規定の適用を受ける資産の償却費の額のうち法第49条第1((減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法))の規定により計算される償却費の額に相当する金額以外の部分の金額

5 工業所有権等について支払う使用料の額が売上高等に基づいている場合における当該使用料の額及び当該工業所有権等に係る頭金の償却費の額

6 工業所有権等について支払う使用料の額が生産数量等を基礎として定められており、かつ、最低使用料の定めがある場合において支払われる使用料の額のうち生産数量等により計算される使用料の額を超える部分の金額

7 複写して販売するための原本となるソフトウエアの償却費の額

8 事業税の額

9 事業の閉鎖、事業規模の縮小等のために大量に整理した使用人に対し支給する退職給与の額

10 生産を相当期間にわたり休止した場合のその休止期間に対応する費用の額

11 障害者の雇用の促進等に関する法律第53条第1((障害者雇用納付金の徴収及び納付義務))に規定する障害者雇用納付金の額

(少額な製造間接費の配賦)

4720 少額な製造間接費は、半製品及び仕掛品の製造原価に配賦しないで製品の製造原価だけに配賦することができる。

(副産物、作業くず又は仕損じ品の評価)

47202 製品の製造工程から副産物、作業くず又は仕損じ品(以下この項において「副産物等」という。)が生じた場合には、総製造費用の額から副産物等の評価額の合計額を控除したところにより製品の製造原価の額を計算するのであるが、この場合の副産物等の評価額は、継続して当該副産物等に係る実際原価として合理的に見積もった価額又は通常成立する市場価額によるものとする。ただし、当該副産物等の価額が著しく少額である場合には、備忘価額で評価することができる。(昭57直所31追加)

(棚卸資産の取得のために要した借入金の利子)

4721 棚卸資産の取得のために要した借入金の利子は、棚卸資産の取得価額に算入することができる。(昭49直所223改正)

 

〔棚卸資産の取得価額の特例(令第104条関係)

(棚卸資産の著しい陳腐化の例示)

4722 令第104条第2号に掲げる「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば、商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。(昭55直所319、直法68改正)

1いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。

2当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

(棚卸資産の取得価額の特例を適用できる特別の事実の例示)

4723 令第104条第3号に掲げる「特別の事実」には、破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができなくなったような事実が含まれる。(平21課個2-29、課審4-52改正)

(棚卸資産について取得価額の特例を適用できない場合)

4724 棚卸資産の価額が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、令第104条各号に掲げる事実に該当しないことに留意する。


〔棚卸しの手続〕

(棚卸しの手続)

4725 棚卸資産については各年の1231日において実地棚卸しをしなければならないのであるが、その者が、その業種、業態及び棚卸資産の性質等に応じ、その実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法によりその年1231日における棚卸資産の在高等を算定することとしている場合には、継続適用を条件としてこれを認める。(昭57直所31追加)

 

法第48《有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法》関係

(有価証券の種類)

481 令第106条第1《有価証券の評価の方法の選定》に規定する有価証券の種類は、おおむね金融商品取引法第2条第1項第1号から第21号まで(第17号を除く。)の各号ごとの区分によるものとし、外国又は外国法人が発行するもので同項第1号から第9号まで及び第12号から第16号までのいずれかの性質を有するものは、これに準じて区分する。
 ただし、新株予約権付社債は、同項第5号の社債とは種類の異なる有価証券として区分することとし、外貨建ての有価証券と円貨建ての有価証券又は外国若しくは外国法人の発行する有価証券と国若しくは内国法人の発行する有価証券は、それぞれ種類の異なる有価証券として区分することができる。
(昭49直所223、昭55直所319、直法68、昭57直所315、直法613、直資38、平2直所39、直法67、平5課所41、平7課所41、課資31、平7課所416、平11課所425、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(特定譲渡制限付株式等の価額)

4812 令第109条第1項第2((有価証券の取得価額))に規定する特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式のその譲渡についての制限が解除された日における価額は、2335共-54により求めた価額とする。(平28課個222、課審518改正)

(発行法人から与えられた株式等を取得する権利の行使により取得した株式等の価額)

482 令第109条第1項第3号に規定する有価証券のその権利の行使の日(令第84条第3項第3号に掲げる権利の行使により取得した有価証券にあっては、当該権利に基づく払込み又は給付の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当該払込み又は給付をした日))における価額は、2335共-9により求めた価額とする。(昭49直所223、平11課所41、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個218、課資310、課審4114、平28課個222、課審518、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12、令2課個212、課法113、課審56改正)

(株主等として与えられる場合)

4822 令第109条第1項第4号に規定する「株主等として与えられる場合(当該発行法人の他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に限る。)」については、23から35共―8の取扱いに準ずる。(平18課個218、課資310、課審4114追加、平28課個222、課審518改正)

(有価証券の購入のために要した費用)

483 令第109条第1項第5号に規定する「その他その有価証券の購入のために要した費用」とは、有価証券を購入するに当たって支出した謝礼金、交通費、通信費、名義書換料等をいう。(平18課個218、課資310、課審4114追加、平28課個2-22、課審5-18改正)

484 削除(昭49直所223、昭51直所31、直法61、直資31、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118改正、平18課個218、課資310、課審4114削除)

485 削除(平18課個218、課資310、課審4114削除)

(新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)

4862 新株予約権の行使により取得した株式(発行法人から与えられた令第84条第3項第1号又は第2号に掲げる新株予約権で同項の規定の適用を受けるものの行使により取得したものを除く。)1株当たりの取得価額は、次の算式により計算した金額によるものとする。(平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118追加、平18課個218、課資310、課審4114、平18課個218、課資310、課審4114、平28課個222、課審518、令元課個222、課法113、課審512、令2課個212、課法113、課審56改正)

(算式)

株式1株当たりの払込金額+(当該新株予約権の当該行使直前の取得価額)÷(当該行使により取得した株式の数)

(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)

4863 新株予約権付社債に係る新株予約権の内容として定められている新株予約権の行使に際して出資される財産の価額が当該新株予約権付社債の発行時の発行法人の株式の価額を基礎として合理的に定められている場合における当該新株予約権の行使により取得した株式1株当たりの取得価額は、次に定める算式により計算した金額によるものとする。(昭57直所315、直法613、直資38追加、平7課所41、課資31、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個218、課資310、課審4114改正)

(算式)

株式1株につき払い込むべき金額+(当該払込に係る新株予約権付社債の当該行使直前の取得価額が当該払込みに係る新株予約権付社債の額面金額を超える場合のその超える部分の金額)÷(当該行使により取得した株式の数)

(評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」)

487 47162は、有価証券の評価の方法について変更承認申請書の提出があった場合における令第107条第2《有価証券の評価の方法の変更手続》の規定の適用について準用する。(昭55直所319、直法68追加)

(有価証券の取得価額)

488 有価証券を譲渡した場合における事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、法第37条第1項及び第48条の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、有価証券の譲渡による収入金額の100分の5に相当する金額を有価証券の取得価額として事業所得の金額又は雑所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(平5課所41追加)

(注)有価証券を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費については、3816参照

 

法第48条の2《暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法》関係

(一時的に必要な暗号資産を取得した場合の取扱い)

4821 令第119条の2第2項に規定する一時的に必要な暗号資産を取得する場合とは、暗号資産を購入し、若しくは売却し、又は種類の異なる暗号資産に交換しようとする際に、その暗号資産(種類の異なる暗号資産との交換にあっては、その有する暗号資産又はその種類の異なる暗号資産)がいずれの暗号資産交換業者においても、本邦通貨及び外国通貨(以下この項において「本邦通貨等」という。)と直接交換することができないこと(種類の異なる暗号資産との交換にあっては、その有する暗号資産とその種類の異なる暗号資産とが直接交換することができないことを含む。)から、本邦通貨等(種類の異なる暗号資産との交換にあっては、その種類の異なる暗号資産)と直接交換することが可能な他の暗号資産を介在して取引を行うため、一時的に当該他の暗号資産を有することが必要となる場合をいうことに留意する。
 この場合において、一時的に必要な暗号資産の譲渡原価の計算における取得価額は、個別法
(当該暗号資産について、その個々の取得価額をその取得価額とする方法をいう。)により算出することに留意する。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個212、課法113、課審56改正)

(暗号資産の種類)

4822 令第119条の3第1項に規定する暗号資産の評価の方法の選定に当たっては、名称の異なる暗号資産は、それぞれ種類の異なる暗号資産として区分することに留意する。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個212、課法113、課審56改正)

(評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」)

48234716の2の取扱いは、暗号資産の評価の方法について変更承認申請書の提出があった場合における令第119条の4第2項の規定の適用について準用する。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個212、課法113、課審56改正)

(暗号資産の取得価額)

4824 暗号資産を売買した場合における事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、法第37条第1項及び第48条の2の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、暗号資産の売買による収入金額の100分の5に相当する金額を暗号資産の取得価額として事業所得の金額又は雑所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個212、課法113、課審56改正)

 

〔減価償却資産の償却の方法(令第120条及び第120条の2関係)

(取得の意義)

491 令第120条第1項及び令第120条の21項に規定する取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与(以下493において「相続等」という。)によるものも含まれることに留意する。(平11課所41追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(旧定率法を選定している建物、建物附属設備及び構築物にした資本的支出に係る償却方法)

4912 令第120条第1項第1号イ2に規定する旧定率法を選定している建物、建物附属設備及び構築物に資本的支出をした場合において、当該資本的支出につき、令第127条第2項の規定を適用せずに、同条第1項の規定を適用するときには、当該資本的支出に係る償却方法は、次に掲げる資本的支出の区分に応じ、それぞれ次に定める方法によることに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加、平28課個2-22、課審5-18改正)

1 令第120条第1項第3号に規定する鉱業用減価償却資産に該当しない建物、建物附属設備及び構築物にした資本的支出 令第120条の21項第1号イ1に規定する定額法

21以外のもの 同号イ1に規定する定額法又は同項第3号イ2に規定する生産高比例法(これらの償却の方法に代えて納税地の所轄税務署長の承認を受けた特別な償却の方法を含む。)のうち選定している方法


〔減価償却資産の範囲〕

(研究開発のためのソフトウエア)

4913 特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエア(研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除く。)であっても、当該ソフトウエアは減価償却資産に該当することに留意する。(平12課所430追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(注) 当該ソフトウエアが耐用年数省令第2条第2号に規定する開発研究の用に供されている場合には、耐用年数省令別表第六に掲げる耐用年数が適用されることに留意する。


〔減価償却資産の償却の方法(令第120条関係)

(土石採取業の採石用坑道)

49132 土石採取業における採石用の坑道は、令第120条第1項第3号又は令第120条の21項第3号に規定する鉱業用減価償却資産に該当することに留意する。(昭57直所31追加、平11課所41、平12課所430、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)


4914 削除(平11課所41追加、平12課所430、平16課個223、課資37、課法88、課審433改正、平成19課個2-31、課審4-44削除)

4915 削除(平11課所41追加、平12課所430、平16課個223、課資37、課法88、課審433改正、平成19課個2-31、課審4-44削除)

4916 削除(平11課所41追加、平12課所430改正、平成19課個2-31、課審4-44削除)


〔特別な償却の方法(令第120条の3関係)

(特別な償却の方法の選定単位)

4917 令第120条の31項の規定による特別な償却の方法の選定は、令第123条第1((減価償却資産の償却の方法の選定))に定める区分ごとに行うべきものであるが、減価償却資産の種類の区分ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに選定して差し支えない。この場合において、機械及び装置以外の減価償却資産の種類は、耐用年数省令に規定する減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途又は細目の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途又は細目の区分)とし、機械及び装置の種類は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32)による改正前の耐用年数省令(以下4933までにおいて「旧耐用年数省令」という。)に定める設備の種類(その設備の種類につき細目の区分が定められているものについては、その細目の区分)とする。(平20課個217、課審4186、課法93、平20課個2-26、課法9-6、課審4-210改正)

(特別な償却の方法の承認)

492 特別な償却の方法について申請書の提出があった場合には、その申請に係る償却の方法が、申請に係る減価償却資産の種類、構造、属性、使用状況等からみて、その減価償却資産の償却につき適合するものであるかどうか、償却費の計算の基礎となる償却率、生産高、残存価額等が合理的に算定されているかどうかなどを勘案して承認の適否を判定する。この場合において、その方法が次に掲げる条件に該当するものであるときは、これを承認する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 その方法が算術級数法のように旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法に類するものであるときは、その償却年数が法定耐用年数より短くないこと。
 なお、平成19331日以前に取得した減価償却資産については、その残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。

2 その方法が生産高、使用時間、使用量等を基礎とするものであるときは、その方法がその減価償却資産の償却につき旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法より合理的なものであり、かつ、その減価償却資産に係る総生産高、総使用時間、総使用量等が合理的に計算されるものであること。
 なお、平成19331日以前に取得した減価償却資産については、その残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。

3 その方法が取替法に類するものであるときは、申請に係る減価償却資産の属性、取替状況等が取替法の対象となる減価償却資産に類するものであり、その取得価額の50%相当額に達するまで定額法等により償却することとされていること。

(注) 特別な償却の方法の承認を受けている減価償却資産について資本的支出をした場合には、当該資本的支出は当該承認を受けている特別な償却の方法により償却を行うことができることに留意する。


〔減価償却資産の償却の方法の変更手続(令第124条関係)

(償却方法の変更申請があった場合の「相当期間」)

4922 いったん採用した減価償却資産の償却の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、現によっている償却の方法を変更するために令第124条第2項の規定に基づいてその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている償却の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。(昭55直所319、直法68追加)

(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている償却の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができることに留意する。

 

〔減価償却資産の取得価額(令第126条関係)

(減価償却資産に係る登録免許税等)

493 減価償却資産に係る登録免許税(登録に要する費用を含む。)をその資産の取得価額に算入するかどうかについては、次による。(17課個223、課資35、課法86、課審4113、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 特許権、鉱業権のように登録により権利が発生する資産に係るものは、取得価額に算入する。

2 船舶、航空機、自動車のように業務の用に供するについて登録を要する資産に係るものは、取得価額に算入しないことができる。

3 (1)及び(2)以外の資産に係るものは、取得価額に算入しない。

(注)

1 業務の用に供される資産に係る登録免許税等のうち、取得価額に算入しないものについては、375参照

2 業務の用に供されない固定資産に係る登録免許税等については、389及び602参照

3 上記の減価償却資産には、相続等により取得した減価償却資産を含むものとする。

(減価償却資産の取得に際して支払う立退料等)

494 減価償却資産の取得に際し、当該減価償却資産を使用していた者に支払う立退料その他立ち退かせるために要した金額は、当該減価償却資産の取得価額に算入する。

(注) 土地及び減価償却資産でない建物等の取得に際して支払う立退料については、3811参照

(集中生産を行うなどのための機械装置の移設費)

495 集中生産若しくはよりよい立地条件において生産を行うなどのため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合又はガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合(措置法第33条の4《収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除》に規定する収用交換等に伴い移設した場合を除く。)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(移設のための解体の費用を除く。以下この項において「移設費」という。)の額はその機械装置(当該機械装置に係る資本的支出を含む。以下この項において同じ。)の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の未償却残額のうちに含まれている据付費(以下この項において「旧据付費」という。)に相当する金額は、必要経費に算入する。ただし、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の未償却残額の10%に相当する金額以下であるときは、旧据付費に相当する金額を必要経費に算入しないで、その移設費の額を当該移設をした日の属する年分の必要経費に算入することができる。(昭57直所31、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) 主として新規の生産設備の導入に伴って行う既存の生産設備の配置換えのためにする移設は、原則として集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のための移設には当たらない。

(採掘権の取得価額)

496 試掘権の目的となっている鉱物に係る鉱区につき採掘権を取得した場合には、当該試掘権の未償却残額に相当する金額及び当該採掘権の出願料、登録免許税その他その取得のために直接要した費用の額の合計額を当該採掘権の取得価額とする。

(自己の研究に基づき取得した工業所有権の取得価額)

497 自己の研究の成果に基づき取得した工業所有権の取得価額は、その研究のために特別に支出した費用の額の合計額のうちその取得した年の前年以前において必要経費に算入されなかった部分の金額とし、当該工業所有権の出願料、特許料その他登録のために要する費用の額は、当該取得価額に算入しないことができる。(昭46直審(所)19改正)

(譲渡を受けた出願権に基づき取得した工業所有権の取得価額)

498 他から譲渡を受けた出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)に基づき取得した工業所有権の取得価額は、その出願権の取得のために要した金額のうち、その工業所有権を取得した年の前年以前において償却費の額に算入されなかった部分の金額と当該工業所有権を取得するために直接要した費用の額との合計額とする。(昭46直審(所)19改正)

(注) 他から譲渡を受けた出願権に係る発明等を業務の用に供した場合には、その出願権は、無形固定資産に準じその出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができる。

(自己の製作に係るソフトウエアの取得価額等)

4982 自己の製作に係るソフトウエアの取得価額については、令第126条第1項第2号の規定に基づき、当該ソフトウエアの製作のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びに当該ソフトウエアを業務の用に供するために直接要した費用の額の合計額となることに留意する。
 この場合、その取得価額については適正な原価計算に基づき算定することとなるのであるが、原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるものとする。
(平12課所430追加、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(注)

1 他の者から購入したソフトウエアについて、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自己の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、当該ソフトウエアの取得価額に算入することに留意する。

2 既に有しているソフトウエア又は購入したパッケージソフトウエア等(以下この項において「既存ソフトウエア等」という。)の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用の額は、当該新たなソフトウエアの取得価額になるのであるが、その場合(新たなソフトウエアを製作することに伴い、その製作後既存ソフトウエア等を利用することが見込まれない場合に限る。)におけるその既存ソフトウエア等の残存価額は、当該新たなソフトウエアの製作のために要した原材料費となることに留意する。

3 市場販売目的のソフトウエアにつき、完成品となるまでの間に製品マスターに要した改良又は強化に係る費用の額は、当該ソフトウエアの取得価額に算入することに留意する。

(ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用)

4983 次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる。(平12課所4-30追加、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

1 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額

2 研究開発費の額(自己の業務の用に供するソフトウエアに係る研究開発費の額については、その自己の業務の用に供するソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費の額に限る。)

3 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの

(資本的支出の取得価額の特例の適用関係)

4984 資本的支出につき、令第127条第2項、第4項又は第5項の規定を適用した場合には、当該適用した年の翌年以後において、49182による場合を除き、これらの資本的支出を分離して別々に償却することはできないことに留意する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

(温泉をゆう出する土地を取得した場合の温泉利用権の取得価額)

499 温泉を利用する権利を取得するために、温泉をゆう出する土地を取得した場合における当該温泉を利用する権利の取得価額は、当該土地の取得に要した金額から当該土地に隣接する温泉をゆう出しない土地の価額に比準して計算した当該土地の価額を控除した金額とする。

(出漁権等の取得価額)

4910 許可漁業の出漁権、繊維工業における織機の登録権利、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく許可、認可、登録、割当て等に係る権利の取得価額には、これらの権利を取得するために直接要した費用のほか、例えば、当該権利に係る事業を廃止する者に対して残存業者が負担する補償金のように当該権利の維持又は保全のために支出した費用の額が含まれる。(昭55直所319、直法68、平11課所425改正)

4911 削除(昭55直所31、直法61、直資31、昭60直所31、直法61、直資31、昭60直所321、直資35改正)

(未成熟の植物から収穫物があった場合等の取得価額の計算)

4912 令第6条第9号ロ及びハ《減価償却資産の範囲》に掲げる植物につき、その植物が成熟するまでの間に次に掲げる事実が生じた場合には、その植物の取得価額の計算については、それぞれ次によるものとする。

1 収穫物が収穫されたこと。 令第126条第1項第4号イに掲げる金額から当該収穫物の価額に相当する金額を控除して取得価額を計算する。

2 災害等による損害が生じ、又はその損害を防止するための支出をしたこと。 当該損害を回復するために支出した費用(資本的支出に属する費用を除く。)及び当該損害を防止するために支出した費用を除いて取得価額を計算する。

(減価償却資産について値引き等があった場合)

49122 業務の用に供する減価償却資産について値引き、割戻し又は割引(以下この項において「値引き等」という。)があった場合には、次の算式により計算した金額の範囲内でその値引き等のあった日の属する年の11日における当該減価償却資産の取得価額及び未償却残額を減額することができるものとする。(昭57直所31追加)

(算式)

値引き等の額×(当該減価償却資産のその年の1月1日おける未償却残額)÷(当該減価償却資産のその年の1月1日おける取得価額)

(注)

1 当該減価償却資産が法第42条第1項の規定の適用を受ける同項に規定する国庫補助金等をもって取得等されたものである場合には、算式の取得価額及び未償却残額は令第90条第1号の規定により計算した金額によることに留意する。

2 当該減価償却資産についてその年の前年から繰り越された措置法の規定による特別償却額又は割増償却額の償却不足額があるときは、当該償却不足額が生じた時においてその値引き等があったものとした場合に計算される特別償却額又は割増償却額を基礎として当該繰り越された償却不足額を修正するものとする。

3 値引き等の額から取得価額等を減額した額を控除した残額は、値引き等のあった日の属する年分の総収入金額に算入することに留意する。

 

〔耐用年数の短縮(令第130条関係)

(耐用年数短縮の承認事由の判定)

4913 減価償却資産が令第130条第1項各号に掲げる事由に該当するかどうかを判定する場合において、当該各号に規定する「使用可能期間が法定耐用年数に比して著しく短いこと」とは、当該減価償却資産の使用可能期間がその法定耐用年数に比しておおむね10%以上短い年数となったことをいうものとする。

(耐用年数の短縮の対象となる資産の単位)

4914 令第130条第1項の規定は、減価償却資産の種類の区分ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに適用する。この場合において、機械及び装置以外の減価償却資産の種類は、耐用年数省令に規定する減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途又は細目の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途又は細目の種類の区分)とし、機械及び装置の種類は、旧耐用年数省令に定める設備の種類(その設備の種類につき細目の区分が定められているものについては、その細目の区分)とする。
 ただし、次に掲げる減価償却資産については、それぞれ次に掲げる区分によることができる。
(昭55直所319、直法68、平20課個217、課審4186、課法93、平20課個2-26、課法9-6、課審4-210改正)

1 機械及び装置 2以上の工場に同一の設備の種類に属する設備を有する場合には、工場ごと

(注)

1 「2以上の工場に同一の設備の種類に属する設備を有する場合」には、2以上の工場にそれぞれ一の設備の種類を構成する機械及び装置が独立して存在する場合が該当し、2以上の工場の機械及び装置を合せて一の設備の種類が構成されている場合は、これに該当しない。

2 一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産があるときは、当該資産を含めないところにより同項の規定を適用する。

2 建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機又は無形減価償却資産 個々の資産ごと

3 他に貸与している減価償却資産 その貸与している個々の資産(当該個々の資産が借主における一の設備を構成する機械及び装置の中に2以上含まれているときは、当該2以上の資産)ごと

(機械及び装置以外の減価償却資産の使用可能期間の算定)

4915 機械及び装置以外の減価償却資産に係る令第130条第1項に規定する「使用可能期間」は、同項各号に掲げる事由に該当することとなった減価償却資産の取得後の経過年数とこれらの事由に該当することとなった後の見積年数との合計年数1年未満の端数は切り捨てる。)とする。この場合における見積年数は、当該減価償却資産につき使用可能期間を算定しようとする時から通常の維持補修を加え、通常の使用条件で使用するものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新又は廃棄されると見込まれる時期までの年数による。(24課個211、課審48改正)

(機械及び装置以外の減価償却資産の未経過使用可能期間の算定)

49152  機械及び装置以外の減価償却資産に係る令第130条第1項に規定する「未経過使用可能期間」は、当該減価償却資産につき使用可能期間を算定しようとする時から通常の維持補修を加え、通常の使用条件で使用するものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新又は廃棄されると見込まれる時期までの見積年数(1年未満の端数は切り捨てる。)による。(24課個211、課審48追加)

(機械及び装置の使用可能期間の算定)

4916 機械及び装置に係る令第130条第1項に規定する「使用可能期間」は、旧耐用年数省令に定められている設備の種類を同じくする機械及び装置に属する個々の資産の取得価額(再評価を行った資産については、その再評価額とする。ただし、申請の事由が規則第30条第2号に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合には、その再取得価額とする。49162において同じ。)を償却基礎価額とし、4915に準じて算定した年数(当該機械及び装置に属する個々の資産のうち同項各号に掲げる事由に該当しないものについては、当該機械及び装置の旧耐用年数省令に定められている耐用年数の算定の基礎となった個別年数とする。49162において同じ。)を使用可能期間として、耐用年数通達161に従いその機械及び装置の全部を総合して算定した年数による。
 規則第32条第1項第2号に規定する「その取り替えた後の使用可能期間」についても、同様とする。
(平20課個217、課審4186、課法93、平24課個211、課審48改正)

() 「機械及び装置の旧耐用年数省令に定められている耐用年数の算定の基礎となった個別年数」とは、「機械装置の個別年数と使用時間表」の「機械及び装置の細目と個別年数」の「同上算定基礎年数」を基礎として見積もられる年数による。ただし、個々の資産の個別耐用年数がこれらの表に掲げられていない場合には、当該資産と種類等を同じくする資産又は当該資産に類似する資産の個別耐用年数を基礎として見積もられる年数とする。

(機械及び装置の未経過使用可能期間の算定)

49162  機械及び装置に係る令第130条第1項に規定する「未経過使用可能期間」は、個々の資産の取得価額を償却基礎価額とし、4915に準じて算定した年数を使用可能期間として、耐用年数通達1612に従って算定した年数による。(24課個211、課審48追加)

(耐用年数短縮の承認があった後に取得した資産の耐用年数)

4917 令第130条第1項の規定による耐用年数の短縮の承認に係る減価償却資産が規則第30条第2号に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合において、その後その承認の対象となった資産と種類を同じくする資産を取得したときは、その取得した資産についても承認に係る耐用年数を適用する。

(耐用年数短縮の承認を受けている資産に資本的支出をした場合)

49172 耐用年数の短縮の承認を受けている減価償却資産(規則第30条第2号に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものを除く。)に資本的支出をした場合において、当該減価償却資産及び資本的支出につき、短縮した耐用年数により償却を行うときには、令第130条第7項に該当するときを除き、改めて同条第1項の規定による国税局長の承認を受けることに留意する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(耐用年数短縮が届出により認められる資産の更新に含まれる資産の取得等)

49173 規則第32条第1項第2号に規定する「これに代わる新たな資産(………)と取り替えた場合」には、規則第30条第1号に掲げる事由又はこれに準ずる事由により承認を受けた短縮特例承認資産について、次に掲げる事実が生じた場合が含まれるものとする。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

·         1 当該短縮特例承認資産の一部の資産を除却することなく、当該短縮特例承認資産に属することとなる資産(その購入の対価又はその資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びにその資産を業務の用に供するために直接要した費用の額の合計額が当該短縮特例承認資産の取得価額の10%相当額を超えるものを除く。)を新たに取得したこと

·         2 当該短縮特例承認資産に属することとなる資産を新たに取得することなく、当該短縮特例承認資産の一部の資産を除却したこと

·         (注) 本文の取扱いの適用を受ける資産についての令第130条第7項に規定する届出書の提出は、当該資産を新たに取得した日又は当該一部の資産を除却した日の属する年分に係る申告書の提出期限までに行うこととなる。

 

 

 

〔償却費の計算(令第131条関係)

(転用資産の償却費の特例)

4918 減価償却資産(令第6条第9号に掲げる生物を除く。以下この項において同じ。)を年の中途において従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合には、その年において転用した減価償却資産の全部についてその転用した日の属する年の11日から転用後の耐用年数により償却費を計算することができるものとする。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注)

1 その年において転用した減価償却資産の一部についてのみこの方法により償却費を計算することはできない。

2 令第6条第9号に掲げる生物を転用した場合の転用後の償却費の計算については、4930参照

3 償却方法として定率法を選定している減価償却資産の転用前の耐用年数よりも転用後の耐用年数が短くなった場合において、転用した最初の年に、転用後の耐用年数による償却費の額が、転用前の耐用年数による償却費の額に満たないときには、転用前の耐用年数により償却費を計算することができることに留意する。

(転用した追加償却資産に係る償却費の計算等)

49182 令第127条第5項の規定の適用を受けた一の減価償却資産を構成する各追加償却資産(同条第4項に規定する追加償却資産をいう。以下この項及び49463において同じ。)のうち従来使用されていた用途から他の用途に転用したものがある場合には、当該転用に係る追加償却資産を一の資産として、転用後の耐用年数により償却費を計算することに留意する。この場合において、当該追加償却資産の取得価額は、同項の規定の適用を受けた年の11日における当該追加償却資産の未償却残額とし、かつ、当該転用した日の属する年の11日における当該追加償却資産の未償却残額は、次の場合に応じ、それぞれ次による。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

1 償却費の額が個々の追加償却資産に合理的に配賦されている場合  転用した追加償却資産の当該転用した日の属する年の11日における未償却残額

2 償却費の額が個々の追加償却資産に配賦されていない場合  転用した日の属する年の11日における当該一の減価償却資産の未償却残額に当該一の減価償却資産の取得価額のうちに当該追加償却資産の同項の規定の適用を受けた年の11日における未償却残額の占める割合を乗じて計算した金額

(注) 当該転用が年の中途で行われた場合における当該追加償却資産の償却費の計算については、4918による。

(部分的に用途を異にする建物の償却)

49183 一の建物が部分的にその用途を異にしている場合において、その用途を異にする部分がそれぞれ相当の規模のものであり、かつ、その用途の別に応じて償却することが合理的であると認められる事情があるときは、当該建物につきそれぞれその用途を異にする部分ごとに異なる償却の方法を選定することができるものとする。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(定額法を定率法に変更した場合等の償却費の計算)

4919 減価償却資産の償却方法について、旧定額法を旧定率法に変更した場合又は定額法を定率法に変更した場合には、その後の償却費(令第134条第2項の規定による償却費を除く。)は、その変更をした年の1月1日における未償却残額、当該減価償却資産に係る改定取得価額又は当該減価償却資産に係る取得価額を基礎とし、当該減価償却資産について定められている耐用年数に応ずる償却率、改定償却率又は保証率により計算するものとする。(平19課個211、課資31、課法95、課審426、平19課個231、課審444改正)

(定率法を定額法に変更した場合等の償却費の計算)

4920 減価償却資産の償却方法について、旧定率法を旧定額法に変更した場合又は定率法を定額法に変更した場合には、その後の償却費(令第134条第2項の規定による償却費を除く。) は、次の1に定める取得価額又は残存価額を基礎とし、次の2に定める年数に応ずるそれぞれの償却方法に係る償却率により計算するものとする。(平19課個211、課資31、課法95、課審426、平20課個217、課審4186、課法93改正)

1 取得価額又は残存価額は、その減価償却資産の取得の時期に応じて次のイ又はロに定める価額による。

イ 平成19331日以前に取得した減価償却資産  その変更した年の11日における未償却残額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額を残存価額とする。

ロ 平成1941日以後に取得した減価償却資産  その変更した年の11日における未償却残額を取得価額とみなす。

2 耐用年数は、その者の選択により、次のイ又はロに定める年数による。

イ 当該減価償却資産について定められている耐用年数

ロ 当該減価償却資産について定められている耐用年数から選定していた償却方法に応じた経過年数を控除した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)。この場合において、経過年数は、その変更をした年の11日における未償却残額を実際の取得価額(同日前の資本的支出の額を含む。)をもって除して得た割合に応ずる当該耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数とする。

(注)

1 経過年数の計算は、規則第33条の規定により一の償却計算単位として償却費を計算する減価償却資産ごとに行う。

2 経過年数に1年未満の端数がある場合には切り上げる。

(旧定率法を旧定額法に変更した後に資本的支出をした場合)

49202 償却方法について、旧定率法を旧定額法に変更した後の償却費の計算の基礎となる耐用年数につき49202のロによっている減価償却資産について資本的支出をした場合(令第127条第2項の規定の適用を受けた場合に限る。)には、その後における当該減価償却資産の償却費の計算の基礎となる耐用年数は、次の場合に応じそれぞれ次に定める年数によるものとする。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426、平19課個231、課審444改正)

1 その資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%に相当する金額以下の場合 当該減価償却資産につき現に適用している耐用年数

2 1以外の場合 当該減価償却資産について定められている耐用年数


〔鉱業用減価償却資産の償却〕

(鉱業用土地の償却)

4921 石炭鉱業におけるぼた山の用に供される土地のように鉱業経営上直接必要な土地で鉱業の廃止により著しくその価値が減少するものの取得価額のうち、鉱業を廃止した場合において残存すると認められるその土地の価額を超える部分の金額については、当該土地に係る鉱業権について採用している償却方法に準じて計算される金額を必要経費に算入することができるものとする。

(土石採取用土地等の償却)

4922 土石又は砂利を採取する目的で取得した土地については、その取得価額のうち土石又は砂利に係る部分につき旧生産高比例法又は生産高比例法に準ずる方法により計算される金額を必要経費に算入することができる。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(生産高比例法を定額法に変更した場合等の償却費の計算)

4923 鉱業用減価償却資産の償却方法について、旧生産高比例法を旧定額法に変更した場合又は生産高比例法を定額法に変更した場合には、その後の償却費(令第134条第2項の規定による償却費を除く。) は、次の1に定める取得価額又は残存価額を基礎とし、次の2に定める年数に応ずるそれぞれの償却方法に係る償却率により計算するものとする。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 取得価額又は残存価額は、当該減価償却資産の取得の時期に応じて次のイ又はロに定める価額による。

イ 平成19331日以前に取得した減価償却資産  その変更をした年の11日における未償却残額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、ゼロ)を残存価額とする。

ロ 平成1941日以後に取得した減価償却資産  その変更をした年の11日における未償却残額を取得価額とみなす。

2 耐用年数は、次の資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げる年数による。

イ 鉱業権(試掘権を除く。)及び坑道  その変更をした年の11日以後における採掘予定数量を基礎として耐用年数省令第1条第2項第1号、第3号又は第4《鉱業権及び坑道の耐用年数》の規定により税務署長が認定した年数

ロ イ以外の鉱業用減価償却資産  その資産について定められている耐用年数又は次の算式により計算した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)

法定耐用年数×(その変更をした年の1月1日における当該資産の未償却残額)÷(当該資産の実際の取得価額)

(生産高比例法を定率法に変更した場合等の償却費の計算)

4924 鉱業用減価償却資産(令第120条の21項第3号イに掲げる減価償却資産を除く。)の償却方法について、旧生産高比例法を旧定率法に変更した場合又は生産高比例法を定率法に変更した場合には、その後の償却費(令第134条第2項の規定による償却費を除く。)は、4919に準じて計算する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426、平28課個222、課審518改正)

(定額法又は定率法を生産高比例法に変更した場合等の償却費の計算)

4925 鉱業用減価償却資産の償却方法について、旧定額法若しくは旧定率法を旧生産高比例法に変更した場合又は定額法若しくは定率法を生産高比例法に変更した場合には、その後の償却費(令第134条第2項の規定による償却費を除く。)は、当該減価償却資産の取得の時期に応じて次に定める取得価額、残存価額又は残存耐用年数を基礎として計算する。(昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 平成19331日以前に取得した減価償却資産  その変更をした年の11日における未償却残額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、ゼロ)を残存価額として当該減価償却資産の残存耐用年数(当該減価償却資産の属する鉱区の当該変更をした年の11日以後における採掘予定年数がその残存耐用年数より短い場合には、当該鉱区の当該採掘予定年数。以下この項において同じ。)を基礎とする。

2 平成1941日以後に取得した減価償却資産  その変更をした年の11日における未償却残額を取得価額とみなし、当該減価償却資産の残存耐用年数を基礎とする。

(注) 当該減価償却資産の残存耐用年数は49202のロ及び49202の例による。

 

〔温泉利用権の償却〕

(温泉利用権の償却費の計算)

4926 温泉を利用する権利(温泉をゆう出する土地の所有者のその土地からゆう出する温泉を利用する権利を除く。)でその温泉の利用につき定められた契約期間が水利権の耐用年数より短いもの(契約期間を延長しない旨の明らかな定めのあるものに限る。)については、当該契約期間を耐用年数として償却費を計算するものとする。


〔工業所有権の実施権等の償却〕

(工業所有権の実施権等の償却費の計算)

49262 工業所有権の実施権又は使用権で、その存続期間が当該工業所有権の耐用年数より短いものについては、当該存続期間1年未満の端数は切り捨てる。)を耐用年数として償却費を計算するものとする。(昭55直所319、直法68追加)


〔生物の償却〕

(成熟の年齢又は樹齢)

4927 令第6条第9号に掲げる生物の減価償却は、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができる。この場合におけるその成熟の年齢又は樹齢は、次による。

1 牛馬等については、通常業務の用に供する年齢とする。ただし、現に業務の用に供するに至った年齢がその年齢後であるときは、現に業務の用に供するに至った年齢とする。

2 果樹等については、当該果樹等の償却額を含めて通常の場合におおむね収支相償うに至ると認められる樹齢とする。

(成熟の年齢又は樹齢の判定が困難な場合)

4928 4927(1)本文の年齢又は(2)の樹齢を判定する場合においてその判定が困難なときは、表2に掲げる生物又は果樹については、それぞれ同表に掲げる年齢又は樹齢を成熟の年齢又は樹齢とすることができるものとする。

〔表2

種類

細目

成熟の年齢
又は樹齢

2

農業使役用

2

小運搬使役用

4

繁殖用

3

種付用

4

競争用

2

その他用

2

種付用

2

繁殖用

1

綿羊

 

2

かんきつ樹

 

15

りんご樹

10

ぶどう樹

6

梨樹

8

桃樹

5

桜桃樹

8

びわ樹

8

くり樹

8

梅樹

7

柿樹

10

あんず樹

7

すもも樹

7

いちぢく樹

5

茶樹

8

オリーブ樹

8

桑樹

根刈り、中刈り及び
高刈り

3

立て通し

7

こりやなぎ

 

3

みつまた

4

こうぞ

3

ラミー

3

ホップ

3

(牛馬等の転用後の使用可能期間の見積り)

4929 牛、馬、綿羊及びやぎを転用(耐用年数省令別表第4の細目欄に掲げる一の用途から同欄に掲げる他の用途に転用することをいう。以下4930において同じ。)したことにより同令第3条第4《中古資産の耐用年数等》に規定する転用後の使用可能期間の年数を見積もる場合において、その使用可能期間が明らかでないときは、牛については8年、馬については10年、綿羊及びやぎについては6年から転用の日における満年齢1年未満の端数は切り捨てる。)を控除した年数をそれぞれの使用可能期間の年数とするものとする。(平16課個223、課資37、課法88、課審433、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(転用後の償却費の計算)

4930 牛、馬、綿羊及びやぎを転用した場合には、その転用した年の償却費はその転用がなかったものとして計算し、その年の翌年以後の償却費は、その転用した日の属する年の翌年11日の未償却残額を取得価額とみなし、実際の取得価額を基として耐用年数省令第6《残存価額》の規定により計算した金額を残存価額として同日後の使用可能期間の年数に応ずる償却率により計算することができる。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) この取扱いによる場合には、4929中「転用の日における満年齢」とあるのは、「転用の日の属する年の翌年11日における満年齢」と読み替える。


〔リース資産の償却等〕

<所有権移転外リース取引に該当しないリース取引の意義>

(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引に準ずるものの意義)

49302 令第120条の22項第5号に規定する「これらに準ずるもの」として同号に規定する所有権移転外リース取引(以下493011において同じ。)に該当しないものとは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19課個231、課審444追加)

(1) リース期間(法第67条の23項に規定するリース取引(以下この項、49303から49306まで、4930849309493011及び493012において「リース取引」という。)に係る契約において定められたリース資産(同条第1項に規定するリース資産をいう。以下この項、493034930449306から493012までにおいて同じ。)の賃貸借期間をいう。以下493034930449306及び49308から493013までにおいて同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース取引に係る契約において定められているリース取引(リース取引に係る契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)

(2) 賃貸人に対してそのリース取引に係るリース資産の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引

(著しく有利な価額)

49303 リース期間終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を買い取る権利が与えられているリース取引について、賃借人がそのリース資産を買い取る権利に基づき当該リース資産を購入する場合の対価の額が、賃貸人において当該リース資産につき令第129条に規定する財務省令で定める耐用年数(以下4930649308及び493013において「耐用年数」という。)を基礎として定率法により計算するものとした場合におけるその購入時の未償却残額に相当する金額(当該未償却残額が当該リース資産の取得価額の5%相当額未満の場合には、当該5%相当額)以上の金額とされているときは、当該対価の額が当該権利行使時の公正な市場価額に比し著しく下回るものでない限り、当該対価の額は令第120条の22項第5号ロに規定する「著しく有利な価額」に該当しないものとする。(平19課個231、課審444追加)

(専属使用のリース資産)

49304 次に掲げるリース取引は、令第120条の22項第5号ハに規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」に該当することに留意する。(平19課個231、課審444追加)

(1) 建物、建物附属設備又は構築物(建設工事等の用に供する簡易建物、広告用の構築物等で移設が比較的容易に行い得るもの又は賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものを除く。)を対象とするリース取引

(2) 機械装置等で、その主要部分が賃借人における用途、その設置場所の状況等に合わせて特別な仕様により製作されたものであるため、当該賃貸人が当該リース資産の返還を受けて再び他に賃貸又は譲渡することが困難であって、その使用可能期間を通じて当該賃借人においてのみ使用されると認められるものを対象とするリース取引

(専用機械装置等に該当しないもの)

49305 次に掲げる機械装置等を対象とするリース取引は、49304(2)に定めるリース取引には該当しないものとする。(平19課個231、課審444追加)

(1) 一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等

(2) その主要部分が一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等で、その附属部分が特別の仕様を有するもの

(3) (1)及び(2)に掲げる機械装置等以外の機械装置等で、改造を要しないで、又は一部改造の上、容易に同業者等において実際に使用することができると認められるもの

(形式基準による専用機械装置等の判定)

49306 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第120条の22項第5号ハに規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。(平19課個231、課審444追加)

(識別困難なリース資産)

49307 令第120条の22項第5号ハに規定する「当該目的資産の識別が困難であると認められるもの」かどうかは、賃貸人及び賃借人において、そのリース資産の性質及び使用条件等に適合した合理的な管理方法によりリース資産が特定できるように管理されているかどうかにより判定するものとする。(平19課個231、課審444追加)

(相当短いものの意義)

49308 令第120条の22項第5号ニに規定する「相当短いもの」とは、リース期間が当該リース資産について定められている耐用年数の100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるものとする。(平19課個231、課審444追加)

()

1 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産につき耐用年数を加重平均した年数(賃借人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により判定を行っているときは、これを認めるものとする。

2 再リースをすることが明らかな場合には、リース期間に当該再リースの期間を含めて判定する。

(税負担を著しく軽減することになると認められないもの)

49309 リース取引について、賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものは、令第120条の22項第5号ニに規定する「当該リース取引に係る賃借人の所得税の負担を著しく軽減することになると認められるもの」には該当しないことに留意する。(平19課個231、課審444追加)

<賃借人の処理>

(賃借人におけるリース資産の取得価額)

493010 賃借人におけるリース資産の取得価額は、原則として、そのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額による。ただし、そのリース料の額の合計額のうち利息相当額から成る部分の金額を合理的に区分することができる場合には、当該リース料の額の合計額から当該利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とすることができる。(平19課個231、課審444追加)

()

1 再リース料の額は、原則として、リース資産の取得価額に算入しない。ただし、再リースをすることが明らかな場合には、当該再リース料の額は、リース資産の取得価額に含まれる。

2 リース資産を業務の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、リース資産の取得価額に含まれる。

3 本文ただし書によりリース料の額の合計額から利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とする場合には、当該利息相当額はリース期間の経過に応じて利息法又は定額法により必要経費の額に算入する。

(リース期間終了の時に賃借人がリース資産を購入した場合の取得価額等)

493011 賃借人がリース期間終了の時にそのリース取引の目的物であった資産を購入した場合(そのリース取引が令第120条の22項第5号イ若しくはロに掲げるもの又はこれらに準ずるものに該当する場合を除く。)には、その購入の直前における当該資産の取得価額にその購入代価の額を加算した金額を取得価額とし、当該資産に係るその後の償却費は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次により計算する。(平19課個231、課審444追加)

(1) 当該資産に係るリース取引が所有権移転リース取引(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引をいう。)であった場合  引き続き当該資産につき選定している償却の方法により計算する。

(2) 当該資産に係るリース取引が所有権移転外リース取引であった場合  当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産(リース資産に該当するものを除く。以下この項において同じ。)につき選定している償却の方法に応じ、それぞれ次により計算する。

イ その選定している償却の方法が定額法である場合  その購入の直前における当該資産の未償却残額にその購入代価の額を加算した金額を取得価額とみなし、当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産に適用される耐用年数から当該資産に係るリース期間を控除した年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨て、2年に満たない場合には、2年とする。)に応ずる償却率により計算する。

ロ その選定している償却の方法が定率法である場合  当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産に適用される耐用年数に応ずる償却率、改定償却率及び保証率により計算する。

() 当該年の中途にリース期間が終了する場合の当該年分の償却費の額は、リース期間終了の日以前の期間につきリース期間定額法により計算した金額とリース期間終了の日後の期間につき(2)により計算した金額との合計額による。

<賃貸人の処理>

(リース期間の終了に伴い返還を受けた資産の取得価額)

493012 賃貸人がリース期間の終了に伴いそのリース取引の目的物であった資産につき賃借人から返還を受けた場合には、当該リース期間終了の時に当該資産を取得したものとする。この場合における当該資産の取得価額は、原則として、返還の時の価額によるものとする。ただし、当該リース取引に係る契約において残価保証額の定めがあるときにおける当該資産の取得価額は、当該残価保証額とする。(平19課個231、課審444追加)

()

1 リース期間の終了に伴い再リースをする場合においても同様とする。

2 残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額がリース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リース取引に係る賃借人その他の者がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいう。

(リース期間の終了に伴い取得した資産の耐用年数の見積り等)

493013 賃貸人がリース期間の終了に伴いそのリース取引の目的物であった資産を賃借人から取得した場合における当該資産の償却費の計算は、次のいずれかの年数によることができる。(平19課個231、課審444追加)

(1) 当該資産につき適正に見積もったその取得後の使用可能期間の年数

(2) 次の場合の区分に応じそれぞれ次に定める年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨て、2年に満たない場合は、2年とする。)

イ 当該資産に係るリース期間が当該資産について定められている耐用年数以上である場合  当該耐用年数の20%に相当する年数

ロ 当該資産に係るリース期間が当該資産について定められている耐用年数に満たない場合  当該耐用年数から当該リース期間を控除した年数に、当該リース期間の20%に相当する年数を加算した年数

<その他>

(賃貸借期間等に含まれる再リース期間)

493014 令第120条第1項第6号に規定する「賃貸借の期間」には、改正前リース取引(同号に規定する改正前リース取引をいう。以下493016において同じ。)のうち再リースをすることが明らかなものにおける当該再リースに係る賃貸借期間を含むものとする。(平19課個231、課審444追加)

() 令第12021項第6号に規定する「リース期間」及び令第121条の21項に規定する「改定リース期間」についても同様とする。

(国外リース資産に係る見積残存価額)

493015 賃貸人が令第120条第2項に規定する見積残存価額について、リース料の算定に当たって国外リース資産(同条第1項第6号に規定する国外リース資産をいう。以下493016において同じ。)の取得価額及びその取引に係る付随費用(国外リース資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額としている場合は、これを認める。(平19課個231、課審444追加)

(国外リース資産に係る転貸リースの意義)

493016 賃貸人が旧リース資産(改正前リース取引の目的とされている減価償却資産をいう。以下この項において同じ。)を居住者又は内国法人に対して賃貸した後、更に当該居住者又は内国法人が非居住者又は外国法人(以下この項において「非居住者等」という。)に対して当該旧リース資産を賃貸した場合(非居住者等の専ら国内において行う事業の用に供されている場合を除く。)において、当該旧リース資産の使用状況及び当該賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に賃貸人から非居住者等に対して直接賃貸したと認められるときは、当該賃貸人の所有する当該旧リース資産は国外リース資産に該当することに留意する。(平19課個231、課審444追加)

 

〔温泉利用権の償却〕

(温泉利用権の償却費の計算)

4926 温泉を利用する権利(温泉をゆう出する土地の所有者のその土地からゆう出する温泉を利用する権利を除く。)でその温泉の利用につき定められた契約期間が水利権の耐用年数より短いもの(契約期間を延長しない旨の明らかな定めのあるものに限る。)については、当該契約期間を耐用年数として償却費を計算するものとする。


〔工業所有権の実施権等の償却〕

(工業所有権の実施権等の償却費の計算)

49262 工業所有権の実施権又は使用権で、その存続期間が当該工業所有権の耐用年数より短いものについては、当該存続期間1年未満の端数は切り捨てる。)を耐用年数として償却費を計算するものとする。(昭55直所319、直法68追加)


〔生物の償却〕

(成熟の年齢又は樹齢)

4927 令第6条第9号に掲げる生物の減価償却は、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができる。この場合におけるその成熟の年齢又は樹齢は、次による。

1 牛馬等については、通常業務の用に供する年齢とする。ただし、現に業務の用に供するに至った年齢がその年齢後であるときは、現に業務の用に供するに至った年齢とする。

2 果樹等については、当該果樹等の償却額を含めて通常の場合におおむね収支相償うに至ると認められる樹齢とする。

(成熟の年齢又は樹齢の判定が困難な場合)

4928 4927(1)本文の年齢又は(2)の樹齢を判定する場合においてその判定が困難なときは、表2に掲げる生物又は果樹については、それぞれ同表に掲げる年齢又は樹齢を成熟の年齢又は樹齢とすることができるものとする。

〔表2

種類

細目

成熟の年齢
又は樹齢

2

農業使役用

2

小運搬使役用

4

繁殖用

3

種付用

4

競争用

2

その他用

2

種付用

2

繁殖用

1

綿羊

 

2

かんきつ樹

 

15

りんご樹

10

ぶどう樹

6

梨樹

8

桃樹

5

桜桃樹

8

びわ樹

8

くり樹

8

梅樹

7

柿樹

10

あんず樹

7

すもも樹

7

いちぢく樹

5

茶樹

8

オリーブ樹

8

桑樹

根刈り、中刈り及び
高刈り

3

立て通し

7

こりやなぎ

 

3

みつまた

4

こうぞ

3

ラミー

3

ホップ

3

(牛馬等の転用後の使用可能期間の見積り)

4929 牛、馬、綿羊及びやぎを転用(耐用年数省令別表第4の細目欄に掲げる一の用途から同欄に掲げる他の用途に転用することをいう。以下4930において同じ。)したことにより同令第3条第4《中古資産の耐用年数等》に規定する転用後の使用可能期間の年数を見積もる場合において、その使用可能期間が明らかでないときは、牛については8年、馬については10年、綿羊及びやぎについては6年から転用の日における満年齢1年未満の端数は切り捨てる。)を控除した年数をそれぞれの使用可能期間の年数とするものとする。(平16課個223、課資37、課法88、課審433、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(転用後の償却費の計算)

4930 牛、馬、綿羊及びやぎを転用した場合には、その転用した年の償却費はその転用がなかったものとして計算し、その年の翌年以後の償却費は、その転用した日の属する年の翌年11日の未償却残額を取得価額とみなし、実際の取得価額を基として耐用年数省令第6《残存価額》の規定により計算した金額を残存価額として同日後の使用可能期間の年数に応ずる償却率により計算することができる。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(注) この取扱いによる場合には、4929中「転用の日における満年齢」とあるのは、「転用の日の属する年の翌年11日における満年齢」と読み替える。


〔リース資産の償却等〕

<所有権移転外リース取引に該当しないリース取引の意義>

(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引に準ずるものの意義)

49302 令第120条の22項第5号に規定する「これらに準ずるもの」として同号に規定する所有権移転外リース取引(以下493011において同じ。)に該当しないものとは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19課個231、課審444追加)

(1) リース期間(法第67条の23項に規定するリース取引(以下この項、49303から49306まで、4930849309493011及び493012において「リース取引」という。)に係る契約において定められたリース資産(同条第1項に規定するリース資産をいう。以下この項、493034930449306から493012までにおいて同じ。)の賃貸借期間をいう。以下493034930449306及び49308から493013までにおいて同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース取引に係る契約において定められているリース取引(リース取引に係る契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)

(2) 賃貸人に対してそのリース取引に係るリース資産の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引

(著しく有利な価額)

49303 リース期間終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を買い取る権利が与えられているリース取引について、賃借人がそのリース資産を買い取る権利に基づき当該リース資産を購入する場合の対価の額が、賃貸人において当該リース資産につき令第129条に規定する財務省令で定める耐用年数(以下4930649308及び493013において「耐用年数」という。)を基礎として定率法により計算するものとした場合におけるその購入時の未償却残額に相当する金額(当該未償却残額が当該リース資産の取得価額の5%相当額未満の場合には、当該5%相当額)以上の金額とされているときは、当該対価の額が当該権利行使時の公正な市場価額に比し著しく下回るものでない限り、当該対価の額は令第120条の22項第5号ロに規定する「著しく有利な価額」に該当しないものとする。(平19課個231、課審444追加)

(専属使用のリース資産)

49304 次に掲げるリース取引は、令第120条の22項第5号ハに規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」に該当することに留意する。(平19課個231、課審444追加)

(1) 建物、建物附属設備又は構築物(建設工事等の用に供する簡易建物、広告用の構築物等で移設が比較的容易に行い得るもの又は賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものを除く。)を対象とするリース取引

(2) 機械装置等で、その主要部分が賃借人における用途、その設置場所の状況等に合わせて特別な仕様により製作されたものであるため、当該賃貸人が当該リース資産の返還を受けて再び他に賃貸又は譲渡することが困難であって、その使用可能期間を通じて当該賃借人においてのみ使用されると認められるものを対象とするリース取引

(専用機械装置等に該当しないもの)

49305 次に掲げる機械装置等を対象とするリース取引は、49304(2)に定めるリース取引には該当しないものとする。(平19課個231、課審444追加)

(1) 一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等

(2) その主要部分が一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等で、その附属部分が特別の仕様を有するもの

(3) (1)及び(2)に掲げる機械装置等以外の機械装置等で、改造を要しないで、又は一部改造の上、容易に同業者等において実際に使用することができると認められるもの

(形式基準による専用機械装置等の判定)

49306 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第120条の22項第5号ハに規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。(平19課個231、課審444追加)

(識別困難なリース資産)

49307 令第120条の22項第5号ハに規定する「当該目的資産の識別が困難であると認められるもの」かどうかは、賃貸人及び賃借人において、そのリース資産の性質及び使用条件等に適合した合理的な管理方法によりリース資産が特定できるように管理されているかどうかにより判定するものとする。(平19課個231、課審444追加)

(相当短いものの意義)

49308 令第120条の22項第5号ニに規定する「相当短いもの」とは、リース期間が当該リース資産について定められている耐用年数の100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるものとする。(平19課個231、課審444追加)

()

1 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産につき耐用年数を加重平均した年数(賃借人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により判定を行っているときは、これを認めるものとする。

2 再リースをすることが明らかな場合には、リース期間に当該再リースの期間を含めて判定する。

(税負担を著しく軽減することになると認められないもの)

49309 リース取引について、賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものは、令第120条の22項第5号ニに規定する「当該リース取引に係る賃借人の所得税の負担を著しく軽減することになると認められるもの」には該当しないことに留意する。(平19課個231、課審444追加)

<賃借人の処理>

(賃借人におけるリース資産の取得価額)

493010 賃借人におけるリース資産の取得価額は、原則として、そのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額による。ただし、そのリース料の額の合計額のうち利息相当額から成る部分の金額を合理的に区分することができる場合には、当該リース料の額の合計額から当該利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とすることができる。(平19課個231、課審444追加)

()

1 再リース料の額は、原則として、リース資産の取得価額に算入しない。ただし、再リースをすることが明らかな場合には、当該再リース料の額は、リース資産の取得価額に含まれる。

2 リース資産を業務の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、リース資産の取得価額に含まれる。

3 本文ただし書によりリース料の額の合計額から利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とする場合には、当該利息相当額はリース期間の経過に応じて利息法又は定額法により必要経費の額に算入する。

(リース期間終了の時に賃借人がリース資産を購入した場合の取得価額等)

493011 賃借人がリース期間終了の時にそのリース取引の目的物であった資産を購入した場合(そのリース取引が令第120条の22項第5号イ若しくはロに掲げるもの又はこれらに準ずるものに該当する場合を除く。)には、その購入の直前における当該資産の取得価額にその購入代価の額を加算した金額を取得価額とし、当該資産に係るその後の償却費は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次により計算する。(平19課個231、課審444追加)

(1) 当該資産に係るリース取引が所有権移転リース取引(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引をいう。)であった場合  引き続き当該資産につき選定している償却の方法により計算する。

(2) 当該資産に係るリース取引が所有権移転外リース取引であった場合  当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産(リース資産に該当するものを除く。以下この項において同じ。)につき選定している償却の方法に応じ、それぞれ次により計算する。

イ その選定している償却の方法が定額法である場合  その購入の直前における当該資産の未償却残額にその購入代価の額を加算した金額を取得価額とみなし、当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産に適用される耐用年数から当該資産に係るリース期間を控除した年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨て、2年に満たない場合には、2年とする。)に応ずる償却率により計算する。

ロ その選定している償却の方法が定率法である場合  当該資産と同じ資産の区分である他の減価償却資産に適用される耐用年数に応ずる償却率、改定償却率及び保証率により計算する。

() 当該年の中途にリース期間が終了する場合の当該年分の償却費の額は、リース期間終了の日以前の期間につきリース期間定額法により計算した金額とリース期間終了の日後の期間につき(2)により計算した金額との合計額による。

<賃貸人の処理>

(リース期間の終了に伴い返還を受けた資産の取得価額)

493012 賃貸人がリース期間の終了に伴いそのリース取引の目的物であった資産につき賃借人から返還を受けた場合には、当該リース期間終了の時に当該資産を取得したものとする。この場合における当該資産の取得価額は、原則として、返還の時の価額によるものとする。ただし、当該リース取引に係る契約において残価保証額の定めがあるときにおける当該資産の取得価額は、当該残価保証額とする。(平19課個231、課審444追加)

()

1 リース期間の終了に伴い再リースをする場合においても同様とする。

2 残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額がリース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リース取引に係る賃借人その他の者がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいう。

(リース期間の終了に伴い取得した資産の耐用年数の見積り等)

493013 賃貸人がリース期間の終了に伴いそのリース取引の目的物であった資産を賃借人から取得した場合における当該資産の償却費の計算は、次のいずれかの年数によることができる。(平19課個231、課審444追加)

(1) 当該資産につき適正に見積もったその取得後の使用可能期間の年数

(2) 次の場合の区分に応じそれぞれ次に定める年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨て、2年に満たない場合は、2年とする。)

イ 当該資産に係るリース期間が当該資産について定められている耐用年数以上である場合  当該耐用年数の20%に相当する年数

ロ 当該資産に係るリース期間が当該資産について定められている耐用年数に満たない場合  当該耐用年数から当該リース期間を控除した年数に、当該リース期間の20%に相当する年数を加算した年数

<その他>

(賃貸借期間等に含まれる再リース期間)

493014 令第120条第1項第6号に規定する「賃貸借の期間」には、改正前リース取引(同号に規定する改正前リース取引をいう。以下493016において同じ。)のうち再リースをすることが明らかなものにおける当該再リースに係る賃貸借期間を含むものとする。(平19課個231、課審444追加)

() 令第12021項第6号に規定する「リース期間」及び令第121条の21項に規定する「改定リース期間」についても同様とする。

(国外リース資産に係る見積残存価額)

493015 賃貸人が令第120条第2項に規定する見積残存価額について、リース料の算定に当たって国外リース資産(同条第1項第6号に規定する国外リース資産をいう。以下493016において同じ。)の取得価額及びその取引に係る付随費用(国外リース資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額としている場合は、これを認める。(平19課個231、課審444追加)

(国外リース資産に係る転貸リースの意義)

493016 賃貸人が旧リース資産(改正前リース取引の目的とされている減価償却資産をいう。以下この項において同じ。)を居住者又は内国法人に対して賃貸した後、更に当該居住者又は内国法人が非居住者又は外国法人(以下この項において「非居住者等」という。)に対して当該旧リース資産を賃貸した場合(非居住者等の専ら国内において行う事業の用に供されている場合を除く。)において、当該旧リース資産の使用状況及び当該賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に賃貸人から非居住者等に対して直接賃貸したと認められるときは、当該賃貸人の所有する当該旧リース資産は国外リース資産に該当することに留意する。(平19課個231、課審444追加)

 

〔年の中途で業務の用に供した減価償却資産等の償却費の特例(令第132条関係)

(一の減価償却資産について一部の取壊し等又は資本的支出があった場合の定額法又は定率法による償却費の計算等)

4931 年の中途において、一の減価償却資産について一部の取壊し、除却、滅失その他の事由(以下この項において「取壊し等」という。)により損失が生じた場合又は資本的支出があった場合におけるその年の当該減価償却資産の旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法による償却費の額は、それぞれ次に掲げる場合に応じ、それぞれに掲げる金額とする。この場合において、取壊し等があった部分又は資本的支出があった部分の償却費の額は、令第132条第1項の規定に準じて計算した金額とする。(昭52直所333、直法610、直資315、昭54直所324、直資313、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 一の減価償却資産について一部の取壊し等があった場合

イ 当該減価償却資産につき旧定額法又は定額法を選定している場合

次の(イ)及び(ロ)の償却費の額の合計額

(イ) 当該減価償却資産のその年11(当該減価償却資産をその年の中途において取得している場合には、その取得した日。以下この項において同じ。)における取得価額のうち資産損失額(その取壊し等があった直前における未償却残額から取壊し等があった直後における当該減価償却資産の価額を控除した残額をいう。以下この項において同じ。)に対応する金額を取壊し等があった部分に係る取得価額とみなして計算した償却費の額
 この場合において、資産損失額に対応する金額は次の算式により計算する。

当該減価償却資産のその年1月1日における取得金額×(資産損失額)÷(取壊し等直前における当該減価償却資産の未償却残額)

(ロ) 当該減価償却資産のその年11日における取得価額から当該取得価額のうち資産損失額に対応する金額を控除した残額を当該減価償却資産の取得価額とみなして計算した償却費の額

ロ 当該減価償却資産につき旧定率法又は定率法を選定している場合

次の(イ)及び(ロ)の償却費の額の合計額

(イ) 当該減価償却資産のその年11日における未償却残額(当該減価償却資産をその年の中途において取得している場合には、当該減価償却資産の取得価額。以下この項において同じ。)のうち資産損失額に対応する金額を取壊し等があった部分に係るその年11日における未償却残額とみなして計算した償却費の額
 この場合において、資産損失額に対応する金額は次の算式により計算する。

当該減価償却資産のその年1月1日における未償却残額×(資産損失額)÷(取壊し等直前における当該減価償却資産の未償却残額)

(ロ) 当該減価償却資産のその年11日における未償却残額から当該未償却残額のうち資産損失額に対応する金額を控除した残額を当該減価償却資産の未償却残額とみなして計算した償却費の額 

2 一の減価償却資産について資本的支出があった場合
 当該減価償却資産の取得価額を資本的支出の部分とその他の部分とに区分し、それぞれの部分を別個の減価償却資産とみなして各別に計算した償却費の額の合計額

(一の減価償却資産について一部の取壊し等があった場合の翌年以後の償却費の計算の基礎となる取得価額等)

4932 一部の取壊し等があった一の減価償却資産に係る当該取壊し等があった日の属する年の翌年以後の償却費の額の計算の基礎となる取得価額又は未償却残額は、次に掲げる金額によるものとする。(昭52直所333、直法610、直資315追加、昭54直所324、直資313、平11課所41改正)

1 取得価額については、49311のイの(ロ)に掲げる償却費の額の計算の基礎とされた金額

2 未償却残額については、49311のロの(ロ)に掲げる償却費の額の計算の基礎とされた金額から当該償却費の額を控除した残額


〔増加償却(令第133条関係)

(増加償却の適用単位)

4933 令第133条の規定は、機械及び装置につき旧耐用年数省令に定める設備の種類の区分(細目の定めのあるものは、細目の区分)ごとに適用する。ただし、2以上の工場に同一の設備の種類に属する設備を有する場合には、工場ごとに適用することができる。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(注) 上記ただし書の「2以上の工場に同一の設備の種類に属する設備を有する場合」については、49141(注)1参照

(貸与を受けている機械及び装置がある場合の増加償却)

49332 機械及び装置につき1日当たりの超過使用時間を計算する場合において、一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産が含まれているときは、当該資産の使用時間を除いたところによりその計算を行う。(昭55直所319、直法68追加)

 

〔少額の減価償却資産及び一括償却資産(令第138条及び第139条関係)

(少額の減価償却資産又は一括償却資産であるかどうかの判定)

4939 令第138条又は第139条の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。(昭51直所31、直法61、直資31、平11課所41改正)

(使用可能期間が1年未満の減価償却資産の範囲)

4940 令第138条に規定する使用可能期間が1年未満であるものとは、その者の営む業務に属する業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その者の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において、種類等を同じくする減価償却資産のうちに、材質、型式、性能等が著しく異なるため、その使用状況、補充状況等も著しく異なるものがあるときは、当該材質、型式、性能等の異なるものごとに判定することができる。(昭51直所31、直法61、直資31改正)

(注) 平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定する。

(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)

49402 令第139条第1項に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を業務の用に供した年以後3年間の各年においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各年においてその一括償却資産につき必要経費に算入する金額は、同項の規定に従い計算される金額となることに留意する。(平11課所41追加)

(注) 一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。

(一括償却資産につき相続があった場合の取扱い)

49403 令第139条第1項に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている居住者が死亡し、当該規定に従い計算される金額のうち、その死亡した日の属する年以降の各年分において必要経費に算入されるべき金額がある場合には、当該金額は当該居住者の死亡した日の属する年分の必要経費に算入するものとする。
 ただし、居住者が死亡した日の属する年以後の各年分において必要経費に算入されるべき金額があり、かつ、同項に規定する業務を承継した者がある場合の当該金額の取扱いは、同項の規定に従い計算される金額を限度として次によることとして差し支えないものとする。
(平12課所430追加)

1 当該居住者の死亡した日の属する年
 当該居住者の必要経費に算入する。

2 当該居住者の死亡した日の属する年の翌年以後の各年分
 当該業務を承継した者の必要経費に算入する。

(現金主義の場合の少額の減価償却資産の取得価額)

4941 法第67《小規模事業者の収入及び費用の帰属時期》の規定の適用を受けている者が令第138条に規定する減価償却資産を取得した場合には、当該減価償却資産の取得価額に相当する金額のうちその支出した金額を当該支出をした日の属する年分のその業務に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入する。(昭51直所31、直法61、直資31追加、平11課所41改正)

〔減価償却資産の除却等〕

(総合償却資産について一部の除却等があった場合の償却費の計算)

4942 総合償却資産(機械及び装置並びに構築物で、当該資産に属する個々の資産の全部につき、その償却の基礎となる価額を個々の資産の全部を総合して定められた耐用年数により償却することとされている減価償却資産をいう。以下4947までにおいて同じ。)の一部について除却、取壊し又は滅失(以下4946までにおいて「除却等」という。)があった場合には、その後における当該資産に係る償却費の計算の基礎となる取得価額及び未償却残額は、その除却等があった直前の取得価額及び未償却残額から当該除却等に係る個々の資産の取得価額及び未償却残額を控除した金額によることに留意する。

(注) 除却等があった後、その除却等に係る個々の機械等を補充した場合には、その補充のために要した金額は、その総合償却資産の取得価額に加算される。

(総合償却資産の償却費の計算)

49422 旧定額法、旧生産高比例法、定額法又は生産高比例法により総合償却資産の償却費の額を計算している場合には、その総合償却資産につき計算された償却費の額を合理的基準により個々の資産に配賦するものとし、その者が合理的基準により配賦をしていないときは、その総合償却資産につき適用される耐用年数を基礎として、個々の資産ごとに償却費の額を計算するものとする。(昭46直審(所)19追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(総合償却資産の除却価額)

4943 旧定額法、旧生産高比例法、定額法及び生産高比例法以外の方法により償却費の額を計算している総合償却資産の一部について除却等があった場合に当該総合償却資産の未償却残額から控除する当該除却等に係る個々の資産の未償却残額は、その除却等に係る個々の資産が含まれていた総合償却資産の総合耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額とする。ただし、当該未償却残額に相当する金額が当該個々の資産の通常の使用可能期間を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に満たないことが明らかな場合には、当該通常の使用可能期間を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額とする。(昭46直審(所)19、平19課個211、課資31、課法95、課審426、平20課個217、課審4186、課法93、平24課個211、課審48改正)

(注) 個々の資産の通常の使用可能期間とは、機械及び装置については「機械装置の個別年数と使用時間表」の「機械及び装置の細目と個別年数」の「同上算定基礎年数」を基礎として見積もられる耐用年数により、構築物については耐用年数通達付表3又は付表4に定める個別耐用年数による。ただし、その除却等に係る個々の資産がこれらの表に掲げられていない場合には、当該資産と種類等を同じくする資産又は当該資産に類似する資産の個別耐用年数を基礎として見積もられる通常の使用可能期間の年数とする。
 なお、個々の資産の属する総合償却資産について耐用年数の短縮の承認を受けているものがある場合には、その承認を受けた耐用年数の算定の基礎となった個々の資産の耐用年数とする。

(個々の資産ごとの償却費が計算されている場合の除却価額の特例)

4944 旧定額法、旧生産高比例法、定額法及び生産高比例法以外の方法により償却費の額を計算している総合償却資産の一部について除却等があった場合において、その除却等に係る個々の資産が、その総合償却資産につき適用される耐用年数を基礎として償却費を計算している資産であるとき、又はその総合償却資産につき計算された償却費を合理的基準により除却等に係る個々の資産に配賦した資産であるときは、その資産に係る未償却残額は、4943にかかわらず、その計算又は配賦されている償却費を基として計算することができるものとする。(昭46直審(所)19、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(個々の資産ごとの取得価額等が明らかでない個別償却資産の除却価額)

4945 個別償却資産(総合償却資産以外の減価償却資産をいう。以下4947において同じ。)のうち、多量に保有している工具、器具及び備品のような資産で、個々の資産ごとのその取得時期及び取得価額を明らかにすることが困難なため規則第33条第1項に規定する区分ごとに償却費を計算しているものについて、その一部の除却等があった場合には、当該除却等に係る資産の当該除却等の時における未償却残額は、1円とする。(平19課個211、課資31、課法95、課審426、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(注) 多量に保有する減価償却資産のうちその除却等をした資産と種類、構造又は用途及び細目を同じくするもの(以下この項において「多量保有資産」という。)の前年の1231(以下この項において「基準時」という。)における未償却残額からその除却等に係る多量保有資産の本文の取扱いによった未償却残額を控除した残額が、次に掲げる算式により計算した金額を超える場合には、その超える部分の金額を当該除却等のあった年の必要経費に算入しているときは、これを認める。

(当該除却等のあった年の前年中に取得した多量保有資産の取得価額の合計額)÷(当該年の前年中に取得した多量保有資産の数量)×基準時における多量保有資産の数量のうち除却等の対象とならなかった数量

(除却数量が明らかでない貸与資産の除却数量の推定)

4946 著しく多量に保有され、かつ、その相当部分が貸与されている資産で、その貸与されているものの実在、除却等の状況を個別に管理することができないためその年において除却等のあったものの全部を確認することができないものについては、過去における除却等の実績を基にするなど、合理的な方法により、その年において除却等のあった数量を推計することができるものとする。

(個別管理が困難な少額資産の除却処理等の簡便計算)

49462 その取得価額が少額(おおむね40万円未満)で個別管理が困難な工具又は器具及び備品について、例えば、種類、構造又は用途及び細目、年分並びに償却方法の区分(以下この項において「種類等の区分」という。)ごとの計算が可能で、その除却数量が明らかにされているものについて、その種類等の区分を同じくするものごとに一括して償却費を計算するとともに、その取得の時期の古いものから順次除却するものとして計算した場合の未償却残額によりその除却価額を計算する方法により継続してその減価償却費の額及び除却価額の計算を行っている場合には、これを認める。(昭55直所319、直法68追加、平元直所314、直法69、直資38、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(追加償却資産に係る除却価額)

49463 令第127条第5項の規定の適用を受けた一の減価償却資産を構成する各追加償却資産の一部に除却等があった場合には、当該除却等に係る追加償却資産を一の資産として、その除却等に係る資産の当該除却等の時における未償却残額を計算することに留意する。この場合において、その未償却残額は、49182(1)又は(2)の取扱いに準じて計算した金額による。(平19課個211、課資31、課法95、課審426追加)

 

〔償却累積額による償却費の特例及び堅牢な建物等の償却費の特例(令第134条及び第134条の2関係)

(償却費が一定の金額に達したかどうかの判定)

4947 減価償却資産の償却費が令第134条第1項第1号イからホ及び第2号イからハに定める金額に達したかどうかは、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げる区分ごとに判定するものとする。(昭46直審(所)19、平19課個211、課資31、課法95、課審426、平19課個231、課審444、平20課個217、課審4186、課法93改正)

1 旧定額法、旧生産高比例法、定額法若しくは生産高比例法により償却費の額を計算している総合償却資産又はその総合償却資産につき計算された償却費の額を合理的基準により個々の資産に配賦している総合償却資産  個々の資産

2 (1)以外の総合償却資産  1個の総合償却資産とされる設備又は構築物

3 49-45に定める個別償却資産  規則第33条に規定する区分

4 (3)以外の個別償却資産  個々の資産

(償却累積額による償却限度額の特例の償却を行う減価償却資産に資本的支出をした場合)

4948 令第134条第2項の規定の適用を受けた減価償却資産について資本的支出をし、令第127条第2項の規定を適用した場合には、その適用した後の取得価額及び未償却残額を基礎として減価償却を行うのであるから留意する。(昭55直所319、直法68追加、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

() 令第127条第2項の規定を適用した後の未償却残額が、その適用した後の取得価額の5%相当額を超える場合には、令第134条第2項の規定の適用を受けることができないことに留意する。

(堅牢な建物等に資本的支出をした場合の減価償却)

49482 令第134条の21項の規定により償却をしている減価償却資産について、資本的支出をし、令第127条第2項の規定を適用した場合には、その後の償却費は、次により計算するものとする。(昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 令第127条第2項の規定を適用した後の未償却残額が当該適用した後の取得価額の5%相当額以下となるときは、当該未償却残額を基礎とし、その時から法定耐用年数の30%に相当する年数により計算する。

2 令第127条第2項の規定を適用した後の未償却残額が当該適用した後の取得価額の5%相当額を超えるときは、その5%相当額に達するまでは法定耐用年数により計算し、その5%相当額に達した後は令第134条の21項により法定耐用年数の30%に相当する年数により計算することができる。


〔劣化資産〕

(劣化資産)

4949 生産設備の本体の一部を構成するものではないが、これと一体となって繰り返し使用される資産で、数量的に減耗し、又は質的に劣化する次のようなもの(以下4953までにおいて「劣化資産」という。)に係る取得価額の必要経費算入等については、4950から4953までに定めるところによる。

1 冷媒

2 触媒

3 熱媒

4 吸着材及び脱着材

5 溶剤及び電解液

6 か性ソーダ製造における水銀

7 鋳物製造における砂

8 亜鉛鉄板製造における溶融鉛

9 アルミニューム電解用の陽極カーボン及び氷晶石

(棚卸資産とすることができる劣化資産)

4950 劣化資産のうち、製造工程において生産の流れに参加し、かつ、中間生産物の物理的又は化学的組成となるものについては、これを棚卸資産として経理することができる。

(注) 4949(5)又は(6)に掲げるものがこれに該当する。

(一時に取り替える劣化資産の取得価額の必要経費算入)

4951 劣化資産4950により棚卸資産として経理したものを除く。以下4953までにおいて同じ。)のうち、主として質的に劣化するなどのため一の設備に使用されている数量の全部が一時に取り替えられるものの取得価額については、次により必要経費に算入する。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

1 事業の開始又は拡張に際し投入したものについては、その取得価額を資産に計上し、その取得価額から取替えの時における処分見込価額を控除した金額をその投入の時から取替えの時までの期間を基礎として旧定額法、旧生産高比例法、定額法又は生産高比例法に準じて償却する。

2 一の設備に使用されている数量の全部を取り替えた場合には、その取替えに際し投入したものの取得価額を資産に計上して(1)により償却し、取り除いたものについてはその未償却残額からその取替えの時における処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入する。

3 劣化等による減耗分の補充をした場合には、その補充のために投入したものの取得価額をその投入の都度必要経費に算入する。

(一時に取り替えないで随時補充する劣化資産の取得価額の必要経費算入)

4952 劣化資産のうち、主として数量的に減耗し、その減耗分を補充することにより長期間にわたりおおむね同様な状態において事業の用に供することができるものの取得価額については、継続して同一の方法によるときは、次のいずれかの方法により必要経費に算入することができる。

1 事業の開始又は拡張に際し投入したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充のために投入したものの取得価額をその投入の都度必要経費に算入する方法

2 事業の開始又は拡張に際し投入したものの取得価額を資産に計上し、その取得価額の50%相当額に達するまで減耗率により計算した減価の額を各年分の必要経費に算入するとともに、その資産の減耗分の補充のために投入したものの取得価額をその投入の都度必要経費に算入する方法

3 事業の開始又は拡張に際し投入したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充をしたときは、その補充のために投入したものの取得価額を資産に計上するとともに、その投入の直前までに投入した資産の取得価額の累計額のうちの減耗分に対応する金額を必要経費に算入する方法

4 各年の1231日において有する劣化資産を棚卸資産の評価方法に準じて評価する方法

(少額な劣化資産の必要経費算入)

4953 劣化資産のうち、一の設備に通常使用される劣化資産の取得価額が少額(おおむね60万円未満)なものは、その投入の都度その取得価額を必要経費に算入することができる。(昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38改正)


〔その他〕

(年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費の計算)

4954 年の中途において、一の減価償却資産について譲渡があった場合におけるその年の当該減価償却資産の償却費の額については、当該譲渡の時における償却費の額を譲渡所得の金額の計算上控除する取得費に含めないで、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入しても差し支えないものとする。(13課個230、課資33、課法89追加)

(注) 当該減価償却資産が令第6条第1号、第2号及び第8号に掲げる建物及びその附属設備、構築物及び無形固定資産である場合には、当該償却費の額について譲渡所得の金額の計算上控除する取得費に含める場合とその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する場合では、事業税における所得の計算上の取扱いが異なる場合があることに留意する。

 

〔繰延資産の償却費の計算(令第137条関係)

(効果の及ぶ期間の測定)

501 令第137条第1項第2号に規定する「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」(以下504までにおいて「償却期間」という。)は、504までに定めるもののほか、固定資産を利用するために支出した繰延資産については当該固定資産の耐用年数を、一定の契約をするに当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積もった期間による。

(繰延資産の償却期間の改訂)

502 固定資産を利用するために支出した繰延資産で当該固定資産の耐用年数を基礎として償却期間を算定しているものにつき、その後当該固定資産の耐用年数が改正された場合には、その改正された年以後の当該繰延資産の償却期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した期間による。

(繰延資産の償却期間)

503 令第7条第1項第3《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産のうち表3に掲げるものの償却期間は、それぞれ同表に掲げる年数による。(昭46直審(所)19、昭49直所223、昭55直所319、直法68、平12課所430、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

〔表3

該当条項

種類

細目

償却期間

令第七条第一項第三号イ《公共的施設等の負担金》に掲げる費用

公共的施設の設置又は改良のために支出する費用224参照)

(1)

 その施設又は工作物がその負担をした者に専ら使用されるものである場合

その施設又は工作物の耐用年数の70%に相当する年数

(2)

 (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合

その施設又は工作物の耐用年数の40%に相当する年数

共同的施設の設置又は改良のために支出する費用225参照)

(1)

 その施設がその負担をした者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合

 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の70%に相当する年数

 土地の取得に充てられる部分の負担金については、45

(2)

 商店街における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん燈等その負担をした者の共同の用に供されるとともに、併せて一般公衆の用にも供されるものである場合

5(その施設について定められている耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数)

令第七条第一項第三号ロ《資産を賃借するための権利金等》に掲げる費用

建物を賃借するために支出する権利金等227(1)参照)

(1)

 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で、当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上その建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合

その建物の耐用年数の70%に相当する年数

(2)

 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになっているものである場合

その建物の賃借後の見積残存耐用年数の70%に相当する年数

(3)

 (1)及び(2)以外の権利金等である場合

5(契約の賃借期間が5年未満であり、かつ、契約の更新をする場合に再び権利金等の支払を要することが明らかであるものについては、当該賃借期間の年数)

電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用227(2)参照)

 

その機器の耐用年数の70%に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、当該賃借期間の年数)

令第七条第一項第三号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に掲げる費用

ノーハウの頭金等228参照)

 

5(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、当該有効期間の年数)

令第七条第一項第三号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に掲げる費用

広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用229参照)

 

その資産の耐用年数の70%に相当する年数(その年数が5年を超えるときは、5年)

令第七条第一項第三号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に掲げる費用

スキー場のゲレンデ整備費用2292参照)

 

12

出版権の設定の対価2293参照)

 

設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年)

同業者団体等の加入金2294参照)

 

5

職業運動選手等の契約金等2295参照)

 

契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年)

(注)

1 道路用地をそのまま又は道路として舗装の上、国又は地方公共団体に提供した場合において、その提供した土地の帳簿価額に相当する金額(舗装費を含む。)が繰延資産となる公共施設の設置又は改良のために支出する費用に該当するときは、その償却期間の計算の基礎となる「その施設又は工作物の耐用年数」は15年として、この表を適用する。

2 償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。

(港湾しゅんせつ負担金等の償却期間の特例)

504 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち企業合理化促進法第8《産業関連施設の整備》の規定に基づき負担する港湾しゅんせつに伴う受益者負担金及び共同的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち負担者又は構成員の属する協会等の本来の用に供される会館等の建設又は改良のために負担するものについては、503に定める償却期間が10年を超える場合には、当分の間、503にかかわらず、その償却期間を10年とするものとする。

(公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例)

5042 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業として公共下水道を設置する場合において、その設置により著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、503にかかわらずその償却期間を6年とする。(昭51直所31、直法61、直資31追加)

(注) 下水道法第19《工事負担金》の規定により負担する負担金の取扱いは、221《公共下水道施設の使用のための負担金》によることに留意する。

(分割払の繰延資産)

505 令第7条第1項第3号に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。(昭51直所335、昭55直所319、直法68、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(長期分割払の負担金の必要経費算入)

5052 公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合において、当該負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その負担金として支出した金額は、その支出をした日の属する年分の必要経費に算入することができるものとする。(昭54直所32追加、昭55直所319、直法68改正)

1 その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。

2 その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。

3 その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。

(固定資産を利用するための繰延資産の償却の開始の時期)

506 繰延資産となるべき費用を支出した場合において、当該費用が固定資産を利用するためのものであり、かつ、当該固定資産の建設等に着手されていないときは、その固定資産の建設等に着手した時から償却する。


〔少額の繰延資産(令第139条の2関係)

(少額の繰延資産であるかどうかの判定)

507 令第139条の2の規定を適用する場合において、支出する金額が20万円未満であるかどうかは、令第7条第1項第3号イに掲げる費用については一の設置計画又は改良計画につき支出する金額2回以上に分割して支出する場合には、その支出する時において見積もられる支出金額の合計額)、同号ロ及びハに掲げる費用については契約ごとに支出する金額、同号ニに掲げる費用についてはその支出の対象となる資産の1個又は1組ごとに支出する金額により判定する。(平11課所41、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

 

〔固定資産等の損失〕

(建設中の固定資産等)

511 法第51条第1項に規定する「事業の用に供される固定資産」又は同条第4項に規定する「業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産」には、その事業又は業務の用に供されることが明らかであると認められる建設(製作又は製造を含む。)中の固定資産も含まれるものとする。

(損失の金額)

512 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失の金額とは、資産そのものについて生じた損失の金額をいい、当該損失の金額は、当該資産について令第142《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143《昭和271231日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定を適用して計算した金額からその損失の基因となった事実の発生直後における当該資産の価額及び発生資材の価額の合計額を控除した残額に相当する金額とする。

(有姿除却)

5122 次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の未償却残額からその処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができるものとする。(昭55直所319、直法68追加)

1 その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

2 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

(ソフトウエアの除却)

5123 ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後業務の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの未償却残高から処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができる。(平12課所430追加)

1 自己の業務の用に供するソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアをオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合

2 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが販売流通業者への通知文書等で明らかな場合

(原状回復のための費用)

513 法第51条第1項又は第4項に規定する資産が損壊した場合において、当該資産の修繕その他の原状回復のために支出した費用の額があるときは、その費用の額のうち、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損壊直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額までの金額は資本的支出とし、残余の金額を当該支出をした日の属する年分の必要経費に算入するものとする。

(スクラップ化していた資産の譲渡損失)

514 法第51条第1項又は第4項に規定する資産の譲渡により損失が生じた場合において、当該資産が当該譲渡前に既にスクラップ化していたと認められるときは、当該損失の金額は、これらの規定により必要経費に算入すべき当該資産に係る損失の金額とする。

(親族の有する固定資産について生じた損失)

515 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む者が自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する固定資産又は繰延資産を当該事業の用に供している場合には、当該事業を営む者が当該資産を所有しているものとみなして法第51条第1項の規定を適用することができるものとする。ただし、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族が法第72条第1《雑損控除》の規定の適用を受ける場合は、この限りでない。

(雑所得の基因となる山林の資産損失)

5152 保有期間が5年以下である山林(事業所得の基因となる山林を除く。)について生じた法第51条第3項に規定する損失の金額は、山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。(昭52直資314、直所322追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(保険金、損害賠償金に類するものの範囲)

516 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「その他これらに類するもの」には、次に掲げるようなものが含まれる。(平23課個233、課法99、課審446改正)

1 損害保険契約又は火災共済契約に基づき被災者が支払を受ける見舞金

2 資産の損害のほてんを目的とする任意の互助組織から支払を受ける災害見舞金

(保険金等の見込控除)

517 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」(以下この項において「保険金等」という。)の額が損失の生じた年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、当該保険金等の見積額に基づいてこれらの規定を適用する。この場合において、後日、当該保険金等の確定額と当該見積額とが異なることとなったときは、そ及して各種所得の金額を訂正するものとする。(昭49直所223改正)

(注) 山林に係る保険金等の額のうち法第51条第3項に規定する損失の金額を超える部分の金額は、令第94条第1《事業所得の収入金額とされる保険金等》の規定により、その確定した年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上総収入金額に算入される。

(盗難品等の返還を受けた場合のそ及訂正)

518 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する資産について盗難又は横領による損失が生じた場合において、当該盗難又は横領に係る資産の返還を受けたときは、そ及して各種所得の金額を訂正する。

(損失が生じた資産の取得費等)

519 資産につき法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失が生じた場合には、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損失が発生した直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。

1 減価償却資産及び繰延資産  当該損失が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。

2 固定資産(減価償却資産を除く。)  当該資産の取得費から控除する。

3 山林  当該山林の法第37条第2《必要経費》に規定する費用の額から控除する。

 

〔貸倒損失〕

(事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等に準ずる債権)

51-10 法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権」(以下5112までにおいて「貸金等」という。)には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。(平11課所41改正)

1 自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権

2 自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金

3 事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の債権

4 使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等

(貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)

5111 貸金等について次に掲げる事実が発生した場合には、その貸金等の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭57直所31、平11課所425、平12課所430、平16課個223、課資37、課法88、課審433、平18課個218、課資310、課審4114、平22課個216、課法91、課審430改正)

1 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があったこと。  これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

2 特別清算に係る協定の認可の決定があったこと。  この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

3 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げるものにより切り捨てられたこと。  その切り捨てられることとなった部分の金額

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの

4 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額を書面により通知したこと。  その通知した債務免除額

(回収不能の貸金等の貸倒れ)

5112 貸金等につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、当該債務者に対して有する貸金等の全額について貸倒れになったものとしてその明らかになった日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。この場合において、当該貸金等について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとすることはできない。(昭57直所31改正)

(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。

(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)

5113 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下この項において同じ。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、当該売掛債権に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(昭46直審(所)19、昭57直所31改正)

1 債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過したこと(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)

2 同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。

(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

(更生債権者が更生計画の定めるところにより株式を取得した場合)

5114 更生債権者が更生計画の定めるところにより、新たに払込み又は現物出資をしないで更生会社(新会社を含む。以下5115において同じ。)が発行する株式を取得した場合において、当該取得した株式の価額の合計額が当該株式の割当ての基礎とされた債権額に満たないときは、その差額に相当する金額を貸倒れとすることができる。(平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(更生債権者が更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合)

5115 更生債権者が更生計画の定めるところにより更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合において、払込みをしなかったとき又は当該株式を取得する権利の価額が当該割当ての基礎とされた更生債権の金額に満たないときは、それぞれ当該更生債権の金額又は当該更生債権の金額と当該株式を取得する権利の価額との差額を貸倒れとすることができる。(昭50直所34、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)

5116 指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生手続の対象とされなかった更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。

(金銭債権の譲渡損失)

5117 金銭債権を譲渡したことにより生じた損失の金額については、当該損失が当該譲渡により実質的に贈与したと認められる場合に生じたものである場合を除き、当該損失の金額に相当する金額の貸倒れによる損失が生じたものとして、法第51条第2項若しくは第4項、第63《事業を廃止した場合の必要経費の特例》又は第64《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定を適用する。

 

 

 

〔返品〕

(返品により減少した収入金額の処理)

5118 令第141条第1《必要経費に算入される損失の生ずる事由》に規定する販売した商品の返戻により減少することとなる収入金額は、その商品の返戻につき、その発送をした旨の通知を受けた日(その商品の返戻について承諾を必要とする場合には、その承諾をした日)の属する年分の総売上高から控除する。ただし、その者が継続して同一の経理を行うときは、その商品を受け取った日の属する年分の総売上高から控除して差し支えない。(平11課所41改正)

(農地の転用、移転が不許可になったことなどにより返還した仲介手数料等)

5119 不動産売買業者の仲介又は譲渡に係る農地についてその転用若しくは移転の許可が得られなかったこと、又はその転用若しくは移転の届出が受理されなかったことにより、その不動産業者が返還した仲介手数料又は譲渡代金は、令第141条第3号の規定によりその返還した日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。(平11課所41改正)


〔返品債権特別勘定〕

(返品債権特別勘定の設定)

5120 出版業を営む者で青色申告書を提出する居住者のうち、常時、その販売する出版業に係る棚卸資産の大部分につき、一定の特約を結んでいるもの(以下この項において「特定事業者」という。)が、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物に限る。以下5121までにおいて同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この項においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に次の(1)及び(2)に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した年において5121に定める繰入限度額以下の金額を返品債権特別勘定に繰り入れ、その繰り入れた金額に相当する金額をその年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(平11課所41、平30課個219、課審52改正)

(1) その年1231日において販売業者がまだ販売していない雑誌(その年最後の発行に係るものを除く。以下51-21までにおいて「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を同日において免除すること。

(2) 店頭売れ残り品をその年1231日において当該特定事業者に帰属させること。

()  一定の特約とは、次に掲げる事項を内容とする特約とする。

(1) 販売業者からの求めに応じ、その販売した棚卸資産を当初の販売価額によって無条件に買い戻すこと。

(2) 販売業者において、当該特定事業者から棚卸資産の送付を受けた場合にその注文によるものかどうかを問わずこれを購入すること。

(返品債権特別勘定の繰入限度額)

5121 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次のいずれかの金額とする。(平11課所41、平30課個219、課審52改正)

(1) その年1231日における雑誌の販売に係る売掛金(その年最後の発行に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に当該雑誌の返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額

(2) その年1231日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(その年最後の発行に係るものを除く。)の合計額に当該雑誌の返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額

() 上記(1)及び(2)の返品率とは、その年及びその前年における当該雑誌の販売の対価の額の合計額のうちに5120()1に規定する特約に基づく当該雑誌の買戻しに係る対価の額の合計額の占める割合をいう。

(返品債権特別勘定の金額の総収入金額算入)

5122 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた年の翌年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(平11課所41改正)

(明細書の添付)

5123 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う年分に係る確定申告書に、返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付するものとする。(平11課所41改正)

 

〔個別評価による繰入れ(第1項関係)

(その有する売掛金、貸付金等に準ずる金銭債権で事業の遂行上生じたもの)

52-1 法第52条第1項に規定する「その有する売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる金銭債権・・・・・・で当該事業の遂行上生じたもの」には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平24課個2-11、課審4-8、令2課個2-23、課審512改正)

1 自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る金銭債権

2 自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金

3 事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の金銭債権

4 使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等

(貸倒損失として計上した金銭債権に係る個別評価による貸倒引当金)

52-12 法第52条第1項の規定の適用に当たり、確定申告書に「個別評価による貸倒引当金に関する明細書」の添付、及び青色申告決算書又は収支内訳書に個別評価による繰入額の記載がない場合であっても、それが貸倒損失を計上したことに基因するものであり、かつ、当該確定申告書及び青色申告決算書又は収支内訳書の提出後にこの明細書が提出されたときは、同条第5項の規定を適用し、当該貸倒損失の額を当該債務者に係る個別評価による貸倒引当金の繰入額として取り扱うことができるものとする。(平12課所4-30追加)

(注) 本文の規定は、同条第1項の規定に基づく個別評価による貸倒引当金の繰入れに係る必要経費の認容であることから、同項の規定の適用に関し、その事由が生じていることを証明する書類の保存がある場合に限られる。

(裏書譲渡をした受取手形)

52-2 事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等について取得した受取手形で当該売掛金、貸付金等に係る債務者が振り出し、又は引き受けたものを裏書譲渡(割引を含む。以下52-16において同じ。)した場合には、当該受取手形に係る売掛金、貸付金等の金銭債権(以下52-16において「既存債権」という。)を法第52条第1項に規定する貸金等(以下52-15までにおいて「貸金等」という。)に該当するものとして取り扱う。(平11課所4-1追加)

(貸倒れに類する事由)

52-3 法第52条第1項に規定する「貸倒れその他これに類する事由」には、貸金等の貸倒れのほか、例えば、事業に係る保証金や前渡金等について返還請求を行った場合における当該返還請求債権が回収不能となったときがこれに含まれる。(平11課所4-1追加)

52-4 削除(13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)

52-5 令第144条第1項第1号及び第3《個別評価貸金等に係る貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいうことに留意する。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(相当期間の意義)

52-6 令第144条第1項第2号に規定する「債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと」における「相当期間」とは、「おおむね1年以上」とし、その債務超過に至った事情と業務好転の見通しをみて、同号に規定する事由が生じているかどうかを判定するものとする。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(人的保証に係る回収可能額の算定)

52-7 令第144条第1項第2号に規定する「当該貸金等の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められること(当該貸金等につき、前号に掲げる事実が生じている場合を除く。)当該一部の金額に相当する金額」は、その貸金等の額から担保物の処分による回収可能額及び人的保証に係る回収可能額などを控除して算定するのであるが、次に掲げる場合には、人的保証に係る回収可能額の算定上、回収可能額を考慮しないことができる。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平24課個2-11、課審4-8改正)

1 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき

2 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、抵当権(以下この項において「質権等」という。)が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれない場合

3 保証人について令第144条第1項第3号に掲げる事由が生じている場合

4 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)で、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれないとき。

5 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合

イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により、当該資産からの回収が見込まれないとき。

ロ 当該保証人のその年分の収入金額が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る貸金等につき担保物がある場合には当該貸金等の額から当該担保物の価額を控除した金額をいう。以下この項において同じ。)5%未満であるとき。

(注)

1 当該保証人に係る保証債務の額の合計額には、当該保証人が他の債務者の貸金等につき保証をしている場合には、当該他の債務者の貸金等に係る保証債務の額の合計額を含めることができる。

2 上記ロの当該保証人のその年分の収入金額については、その算定が困難であるときは、その前年分の収入金額とすることができる。

(担保物の処分以外に回収が見込まれない貸金等の個別評価による繰入れ)

52-8 令第144条第1項第2号に規定する「その他の事由により、当該貸金等の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められること(当該貸金等につき、前号に掲げる事実が生じている場合を除く。)」には、その貸金等の額のうち担保物の処分によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収できないことが明らかになった場合において、その担保物の処分に日時を要すると認められるときが含まれることに留意する。この場合において、同号に規定するその取立て等の見込みがないと認められる金額とは、その回収できないことが明らかになった金額をいう。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平24課個2-11、課審4-8改正)

(実質的に債権とみられない部分の金額)

52-9 令第144条第1項第3号かっこ内に規定する「当該貸金等の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額」とは、次に掲げるような金額がこれに該当する。(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平24課個2-11、課審4-8改正)

1 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合のその売掛金又は受取手形の金額のうち、買掛金の金額に相当する金額

2 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合において、当該買掛金の支払のために他から取得した受取手形を裏書譲渡したときのその売掛金又は受取手形の金額のうち、当該裏書譲渡した手形(支払期日の到来していないものに限る。)の金額に相当する金額

3 同一人に対する売掛金とその者から受け入れたその事業に係る保証金がある場合のその売掛金の額のうち、保証金の額に相当する金額

4 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた借入金がある場合のその売掛金の額のうち、借入金の額に相当する金額

5 同一人に対する完成工事の未収金とその者から受け入れた未成工事に対する受入金がある場合のその未収金の額のうち、受入金の額に相当する金額

6 同一人に対する貸付金と買掛金がある場合のその貸付金の額のうち、買掛金の額に相当する金額

7 使用人に対する貸付金とその使用人から受け入れた預り金がある場合のその貸付金の額のうち、預り金の額に相当する金額

8 専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上した場合のその受取手形の金額のうち、借入金の額に相当する金額

9 同一人に対する未収地代家賃とその者から受け入れた敷金がある場合のその未収地代家賃の額のうち、敷金の額に相当する金額

(第三者の振り出した手形)

52-10 令第144条第1項第3号の規定を適用する場合において、債務者から他の第三者の振り出した手形(債務者の振り出した手形で第三者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合における当該手形の金額に相当する金額は、取立て等の見込みがあると認められる部分の金額に該当することに留意する。(平11課所4-1追加)

(手形交換所等の取引停止処分)

52-11 その年の1231日までに債務者の振り出した手形が不渡りとなり、当該年分に係る確定申告書の提出期限までに当該債務者について規則第35条の21《更生手続開始の申立て等に準ずる事由》に規定する手形交換所による取引停止処分が生じた場合には、当該年において令第144条第1項第3号の規定を適用することができる。
 その年の1231日までに支払期日の到来した電子記録債権法第2条第1
《定義》に規定する電子記録債権に係る債務につき債務者から支払が行われず、当該年分に係る確定申告書の提出期限までに当該債務者について同条第2項に規定する電子債権記録機関(規則第35条の22号イ及びロに掲げる要件を満たすものに限る。)による取引停止処分が生じた場合についても、同様とする。(平11課所4-1追加、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平24課個2-11、課審4-8、平25課個2-8、課法9-3、課審5-28改正)

(国外にある債務者)

52-12 国外にある債務者について、令第144条第1項第1号又は第3号に掲げる事由に類する事由が生じた場合には、これらの規定の適用があることに留意する。(平11課所4-1追加)

(中央銀行の意義)

52-13 令第144条第1項第4号に規定する「中央銀行」とは、金融機関でその本店又は主たる事務所の所在する国において、通貨の調節、金融の調整又は信用制度の保持育成の業務その他これに準ずる業務を行うものをいう。(平11課所4-1追加)

(繰入れ対象となる公的債務者に対する貸金等)

52-14 令第144条第1項第4号に掲げる貸金等は、次に掲げる貸金等とする。
 ただし、債務者が外国の地方公共団体である場合において、その貸金等の元本の返済及び利息等の支払に係る債務不履行の原因が当該地方公共団体の属する国の外貨準備高の不足によるものであることが明らかなときは、当該地方公共団体に対する貸金等については、この限りではない。
(平11課所4-1追加、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平24課個2-11、課審4-8改正)

1 債務者たる外国の政府、中央銀行及び地方公共団体(以下52-15までにおいて「公的債務者」という。)に対して有する貸金等につき債務不履行が生じたため、当該公的債務者との間の貸金等に係る契約において定められているところに従い、当該公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合で、次に掲げる要件のすべてを満たすとき 当該公的債務者に対して有する貸金等の額

イ 当該債務不履行宣言を行った日以後その年1231日までの間において、当該債務不履行の状態が継続し、かつ、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で貸金等に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。

ロ その年1231日において、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で貸金等に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。

(注)

1 債務不履行宣言とは、債務者に対する貸金等につき債務不履行が生じた場合に、当該貸金等に係る期限の利益の喪失を目的として債権者が行う宣言をいう。

2 他の者が外国の公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合において、当該債務不履行宣言の効果が自己に及ぶことが貸金等に係る契約書において定められているときであっても、当該公的債務者に対して有する貸金等につき債務不履行が生じていないときは、同号に掲げる事由に該当しないことに留意する。

2 外国の公的債務者が次に掲げるすべての要件を満たす場合 当該公的債務者に対して有する貸金等のうち元本等の返済及び利息等の支払に係る債務不履行期間がその年1231日以前3年以上の期間にわたっているものの金額

イ その年1231日以前3年間において、当該公的債務者に対する貸金等につき元本等の返済及び利息等の支払がないこと。

ロ その年1231日以前3年間において、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で貸金等に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。

ハ その年1231日において、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で貸金等に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。

(取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)

52-15 令第144条第1項第4号かっこ内に規定する「取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、次に掲げる金額をいう。(平11課所4-1追加)

1 当該貸金等につき他の者(自己が有する当該他の者に対する貸金等につき債務不履行が生じている者を除く。以下(4)において同じ。)により債務の保証が付されている場合の当該保証が付されている部分に相当する金額

2 当該貸金等につき債務の履行不能によって生ずる損失をてん補する保険が付されている場合の当該保険が付されている部分に相当する金額

3 当該貸金等につき質権、抵当権、所有権留保等によって担保されている場合の当該担保されている部分の金額

4 当該公的債務者から他の者が振り出した手形(当該公的債務者の振り出した手形で他の者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合のその手形の金額に相当する金額等実質的に債権と認められない金額

 

〔一括評価による繰入れ(第2項関係)

(裏書譲渡をした受取手形)

5216 事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等の金銭債権について取得した受取手形につき裏書譲渡をした場合には、当該受取手形に係る既存債権が法第52条第2項に規定する貸金(以下5221までにおいて「貸金」という。)に該当するものとして取り扱う。(平11課所41、平30課個219、課審52改正)

(注) 金融業等を営む者が当該事業の遂行上裏書譲渡により取得した受取手形(手形法第18条第1項本文《取立委任裏書》又は同法第19条第1項本文《質入裏書》に規定する裏書により取得したものを除く。)でその取得の原因が既存債権と関係のないものを裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は、貸金の額に該当しないこととなる。

(貸金に該当しない金銭債権)

5217 次に掲げるようなものは、事業所得を生ずべき事業の遂行上生じたものであっても貸金には該当しない。(昭57直所31、昭60直所321、直資35、昭63直法67、直所38、平11課所41、平12課所430改正、平30課個2‐29、課法12104、課審5‐8改正)

1 保証金、敷金(土地、建物等の賃借等に関連して無利息又は低利率で提供した建設協力金等を含む。)、預け金その他これらに類する金銭債権

2 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出した金額

3 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として一時的に仮払金、立替金等として支出した金額

4 雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基づき交付を受ける給付金等の未収金

5 仕入割戻しの未収金

(注) 仮払金等として計上されている金額については、その実質的な内容に応じて貸金に該当するかどうかを判定することに留意する。

(実質的に債権とみられないもの)

5218 令第145条第1《貸金に係る貸倒引当金勘定への繰入限度額》かっこ内に規定する「当該貸金に係る債務者から受け入れた金額があるためその全部又は一部が実質的に債権とみられないもの」には、債務者から受け入れた金額と相殺適状にある債権だけでなく、債務者から受け入れた金額と相殺的な性格をもつ債権及び債務者と相互に融資している場合などのその債務者から受け入れた金額に相当する債権も含まれるのであるから、次に掲げるような金額は、貸金の額に含まれない。(平11課所41改正)

1 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金又は支払手形がある場合のその売掛金又は受取手形の金額のうち、買掛金又は支払手形の金額に相当する金額

2 専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出した場合のその受取手形の金額のうち、借入金又は支払手形の金額に相当する金額

3 529(2)から(7)までに掲げる場合に該当する貸金の額のうち、それぞれ529(2)から(7)までに掲げる額に相当する金額

(実質的に債権とみられないものの簡便計算を適用できる場合)

5219 令第145条第2項の規定は、平成27年及び平成28年の各年分の所得税につき青色申告書の提出の承認を受けていたかどうか、又は貸倒引当金勘定を設けていたかどうかに関係なく適用があることに留意する。(平11課所425改正、平27課個211、課法1016、課審57、平30課個219、課審52改正)

(リース取引に係る貸金)

5220 法第67条の21項により売買があったものとされたリース取引(同条第3項に規定するリース取引をいう。)に係るリース料のうち、その年1231日において支払期日の到来していないリース料の額の合計額は貸金に該当するものとする。(平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

(返品債権特別勘定を設定している場合の貸金の額)

5221 返品債権特別勘定を設定している場合には、貸金の額は、その年1231日における返品債権特別勘定の金額に相当する金額を控除した金額による。(平11課所41改正)

5222 削除(平11課所41改正、平30課個219、課審52削除)

(青色申告の承認を受けている者等の範囲)

5223 令第146《貸倒引当金勘定への繰入れが認められない場合》及び第147条第2《死亡の場合の貸倒引当金勘定の金額の処理》に規定する「青色申告書を提出することについて税務署長の承認を受けているもの」又は「法第144(青色申告の承認の申請)の申請書を提出したもの」とは、その死亡の日の属する年分の所得税につき、その被相続人についての準確定申告書(法第125《年の中途で死亡した場合の確定申告》に規定する申告書をいう。以下同じ。)の提出期限(その相続人についての当該年分の確定申告書の提出期限が先に到来する場合には、当該提出期限とし、これらの期限が到来する前に被相続人についての準確定申告書を提出する場合には、その提出の日とする。以下5224までにおいて「準確定申告書の提出期限」という。)現在において当該承認を受けている者又は当該申請書を提出している者(準確定申告書の提出期限までにその申請を却下された者を除く。)をいうものとする。(平11課所41改正)

(注) 青色申告者の業務を相続した相続人が提出する青色申告の承認申請書の提出期限については、1441参照

(相続人の青色申告の承認の取消し等があった場合)

5224 令第147条第2号に規定する相続人が、準確定申告書の提出期限後に被相続人の死亡の日の属する年分の所得税につき青色申告の承認を取り消され、又は青色申告の承認申請を却下された場合であっても、被相続人についての法第52条第2項本文の規定の適用があり、当該相続人についての令第147条の規定の適用があることに留意する。(平11課所41改正)

 

〔退職給与規程の範囲(令第153条関係)

(労働協約による退職給与規程)

541 令第153条第1号に掲げる規程については、次のことに留意する。(昭49直所223改正)

1 労働協約により定められた退職給与規程は、労働組合法第5条第1《労働組合として設立されたものの取扱》の規定による手続を経ていない労働組合との間に締結したものであっても、これに該当する。

2 労働協約により定められている退職給与規程は、労働協約による協定事項の一条項(その条項に基づき別に規程が定められている場合のその規程を含む。)として定められているものであると退職給与の支給に関する事項だけの協約によるものであるとを問わないが、労働協約において単に「退職給与の支給については就業規則に定めるところによる」旨だけを規定している場合には、その就業規則における退職給与の支給に関する規程は、これに該当しない。

(税務署長に届け出た退職給与規程の改正の効力)

542 税務署長にあらかじめ届け出た退職給与の支給に関する規程による退職給与引当金勘定を設けている者が、当該規程を改正したことによりその改正に係る令第158条第2《改正等があった場合の退職給与規程に関する書類の提出》に規定する書類を税務署長に提出する場合において、当該書類をその提出の基因となる事実の生じた年分に係る確定申告書の提出期限までに提出したときは、その提出期限に係る年分以後の各年分における繰入限度額は、その提出した書類に記載されたところにより計算する。(昭51直所31、直法61、直資31改正)

(退職給与規程に係る書面の提出)

5422 令第158条第2項の規定により同項に規定する書類を提出する場合において、令第154条第2《退職給与引当金勘定への繰入限度額》かっこ書の規定の適用を受けようとするときは、同項かっこ書に規定する書面を当該書類に添付する必要があるのであるが、当該書面を当該書類の提出後に提出した場合には、当該書面の提出後最初に到来する確定申告書の提出期限に係る年分以後の各年分につき同項かっこ書の規定を適用する。(昭51直所31、直法61、直資31追加)

(最低限度の支給率が定められていない場合の不適用)

543 退職給与規程において、退職給与の支給率又は支給額について「何%以内を支給する」、「減額することができる」のように、その最低限度が定められていない場合には、法第54条の規定の適用はないことに留意する。


〔退職給与引当金勘定への繰入限度額(令第154条関係)

(自己都合により退職する場合の退職給与の額の計算)

544 令第154条第1項第1号に規定する自己の都合により退職するものと仮定した場合の退職給与の額を計算する場合において、退職給与規程に自己の都合による退職につき「病気のため」、「結婚のため」などの細目が定められているときは、当該退職給与の額は、そのうちの無条件任意退職の場合の支給率又は支給額により計算する。

(支給基準等が改正された場合の繰入限度額の計算)

545 退職給与の支給基準又は給与ベースの改正が行われた場合には令第154条第1項第1号ロの規定により計算される前年1231日における退職給与の額(以下54-14までにおいて「前年末退職給与の要支給額」という。)は、その改正の効果が前年にさかのぼるかどうかを問わず改正前の支給基準又は給与ベースにより計算する。

(労働協約による退職給与規程と就業規則による退職給与規程とがある場合の繰入限度額の計算)

546 使用人の一部については労働協約による退職給与規程の適用があり、他の使用人については就業規則による退職給与規程の適用がある場合には、令第154条第1項第1号に規定する金額は、退職給与規程の適用の異なる使用人ごとにそれぞれの退職給与規程に基づいて計算する。この場合において、就業規則による退職給与規程の適用がある使用人については、同条第2項の規定を適用する。

(注) 令第154条第2項の規定を適用する場合のその計算の基礎となる給与の総額は、就業規則による退職給与規程の適用がある使用人に係る給与の合計額に限られる。

(使用人の一部について就業規則による退職給与規程が適用される場合の繰入限度額)

547 使用人の一部については労働協約による退職給与規程の適用があり、他の使用人については就業規則による退職給与規程の適用がある場合においても、それぞれの退職給与規程の内容が同一のものであり、かつ、当該労働協約の適用がある使用人の数が、労働組合法第17《一般的拘束力》に規定する一の工場、事業場に常時使用される同種の労働者の数の75%以上であるときは、就業規則による退職給与規程の適用がある使用人についても、労働協約による退職給与規程の適用があるものとして、令第154条の規定を適用することができるものとする。

(退職給与の支給の対象となる使用人の範囲)

548 令第154条第2項に規定する使用人には、退職給与の支給の対象となる在職年限に達していないため退職給与の支給されない者も含まれる。

(退職金共済契約等に基づく給付金だけを受ける者)

549 令第156《退職金共済契約等を締結している場合の繰入限度額の特例等》に規定する退職金共済契約等又は適格退職年金契約等に基づく給付金だけの支給を受ける者は、令第154条第2項かっこ内に規定する「退職給与の支給の対象とならないもの」に該当することに留意する。

(給与総額に算入する外交員等の報酬等)

5410 使用人である外交員、集金人等で固定給と歩合給の支払を受ける者に対し退職給与を支給することとしている場合において、退職給与引当金勘定への繰入限度額の計算上当該外交員等と他の使用人とを区分してそれぞれにつき令第154条第1項第1号及び第2項の規定を適用するときは、当該外交員等に係る同項の金額は、法第204条第1項第4《源泉徴収義務》に掲げる報酬等とされる金額を給与の額に含めて計算することができる。(昭60直所31、直法61、直資31改正)


〔退職給与引当金勘定の金額の取崩し(令第155条関係)

(支給基準等がさかのぼって改正された場合の取崩し)

5411 退職給与の支給基準又は給与ベースの改正が行われた場合には、当該改正が行われた年の1231日までに退職した使用人に係る令第155条第1項第1号に規定する退職給与引当金勘定の金額の取崩しは、その改正の効果が前年にさかのぼるかどうかを問わず、改正前の規定又は給与ベースに基づく前年末退職給与の要支給額による。

(使用人の退職による退職給与引当金勘定の金額の取崩しに当たっての留意事項)

5412 令第155条第1項第1号の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。(昭57直所31改正)

1 退職した使用人に対して退職給与を支給する場合でも、その使用人が前年1231日において退職給与の受給資格に達しなかったことなどのため前年末退職給与の要支給額がないときは、退職給与引当金勘定の金額を取崩す必要はないこと。

2 使用者の都合により退職させるなどのため前年末退職給与の要支給額を超えて退職給与を支給する場合でも、その使用人に係る前年末退職給与の要支給額に相当する金額を取崩せば足りること。

3 懲戒解雇などのため退職した使用人に対して退職給与を支給しない場合でも、その使用人に係る前年末退職給与の要支給額があるときは、その要支給額に相当する金額を取崩さなければならないこと。

4 使用人に支給すべき退職給与の額の全部又は一部につき退職金共済契約等若しくは適格退職年金契約等に基づく給付金又は厚生年金基金からの給付金に移行した場合においても、その移行した日の属する年において使用人が退職したときは、その移行前の退職給与規程に基づく当該使用人に係る前年末退職給与の要支給額に相当する金額を取崩さなければならないこと。

(退職給与を支給しない正当の理由の範囲)

5413 令第155条第1項第3号の「正当の理由」がある場合には、例えば、使用人に不正があったなどのため解雇した場合のように、社会通念上退職給与を支給しないことが相当であると認められる場合が該当する。

(要支給額を超えて退職給与引当金を取崩した場合)

5414 使用人の退職に伴い、その退職した使用人に係る前年末退職給与の要支給額を超えて退職給与引当金勘定の金額を取崩した場合であっても、その取崩した金額が実際に支給した退職給与の額に相当する金額以下であるときは、その取崩しは令第155条第1項第7号に規定する取崩しには該当しないものとする。


〔死亡の場合の退職給与引当金勘定の金額の処理(令第157条関係)

(青色申告の承認を受けている者等の範囲)

5415 令第157条に規定する「青色申告書を提出することについて税務署長の承認を受けているもの」及び「法第144(青色申告の承認の申請)の申請書を提出したもの」の範囲については、5223の取扱いに準ずる。(平11課所41改正)

 

法第56《事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例》関係

(親族の資産を無償で事業の用に供している場合)

561 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその有する資産を無償で当該事業の用に供している場合には、その対価の授受があったものとしたならば法第56条の規定により当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなる金額を当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入するものとする。


法第57《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》関係

571 削除(昭63直所33、直法62、直資32改正)

(事業が2以上ある場合の所得限度額の計算の基礎となる事業所得等の金額の合計額)

572 令第166条第2《事業専従者控除の限度額の計算》に規定する事業専従者が従事する事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の合計額は、これらの所得の金額のうちに赤字の金額がある場合には他の黒字の所得の金額と相殺して計算することに留意する。

(変動所得又は臨時所得がある場合の青色専従者給与等の配分)

573 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業に係る所得のうちに変動所得又は臨時所得の金額が含まれている場合において、同一の青色事業専従者又は事業専従者が変動所得又は臨時所得に係る事業とその他の所得に係る事業とに従事しているときは、青色専従者給与額又は事業専従者控除額を令第1672以上の事業に従事した場合の事業専従者給与等の必要経費算入額の計算》に規定するところに準じ、それぞれ変動所得又は臨時所得及びその他の所得に配分するものとする。

 

法第57条の3《外貨建取引の換算》関係

(いわゆる外貨建て円払いの取引)

5731 法第57条の31((外貨建取引の換算))に規定する外貨建取引(以下5734までにおいて「外貨建取引」という。)は、その取引に係る支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引をいうのであるから、例えば、債権債務の金額が外国通貨で表示されている場合であっても、その支払が本邦通貨により行われることとされているものは、ここでいう外貨建取引には該当しないことに留意する。(平18課個27、課資32、課審489追加)

(外貨建取引の円換算)

5732 法第57条の31((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下5737までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下5737までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下5737までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。
 ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額
(以下5733までにおいて「不動産所得等の金額」という。)の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む。以下5734までにおいて同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。 (平18課個27、課資32、課審489追加)

()

1 電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。

2 不動産所得等の金額の計算においては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下573-7までにおいて「為替相場」という。)も使用することができる。

(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値

(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値

3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この()3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下573-7までにおいて同じ。

(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。

(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときもこれを認める。

4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。

5 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は当該債権債務の決済をした日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。

(多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算)

5733 不動産所得等の金額の計算において、外貨建取引を取引発生時には外国通貨で記録し、各月末等一定の時点において損益計算書又は収支内訳書の項目を本邦通貨に換算するといういわゆる多通貨会計を採用している場合において、法第57条の31((外貨建取引の換算))の規定の適用に当たり、各月末等の規則性を有する1月以内の一定期間ごとの一定の時点において本邦通貨への換算を行い、当該一定の時点を当該外貨建取引に係る取引発生時であるものとして5732の取扱いを適用しているときは、これを認める。この場合、円換算に係る為替相場については、当該一定期間を基礎として計算した平均値も使用することができるものとする。(平18課個27、課資32、課審489追加)

(先物外国為替契約等がある場合の収入、経費の換算等)

5734 外貨建取引に係る売上その他の収入又は仕入その他の経費につき円換算を行う場合において、その計上を行うべき日までに、当該収入又は経費の額に係る本邦通貨の額を先物外国為替契約等(法第57条の32項に規定する先物外国為替契約等をいう。以下この項において同じ。)により確定させているとき(当該先物外国為替契約等の締結の日において、当該個人の帳簿書類に規則第36条の82((先物外国為替契約等により円換算額が確定している旨の記載の方法))に規定する記載事項に準ずる事項の記載があるときに限る。)は、その収入又は経費の額については、57325733により準用して適用する場合を含む。以下5737までにおいて同じ。)にかかわらず、その確定させている本邦通貨の額をもってその円換算額とすることができる。この場合、その収入又は経費の額が先物外国為替契約等により確定しているかどうかは、原則として個々の取引ごとに判定するのであるが、外貨建取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結してその予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど合理的に振り当てているときは、これを認める。(平18課個27、課資32、課審489追加)

(前渡金等の振替え)

5735 5732により円換算を行う場合において、その取引に関して受け入れた前受金又は支払った前渡金があるときは、当該前受金又は前渡金に係る部分については、5732にかかわらず、当該前受金又は前渡金の帳簿価額をもって収入又は経費の額とし、改めてその収入又は経費の計上を行うべき日における為替相場による円換算を行わないことができるものとする。(平18課個27、課資32、課審-89追加)

(延払基準の適用)

5736 令第188((延払基準の方法))の規定による延払基準の方法を適用する法第65条第1項に規定するリース譲渡(以下この項において「リース譲渡」という。)の対価の一部につき前受金を受け入れている場合において、その対価の全額につき5732により円換算を行い、これを基として延払基準を適用しているときは、当該前受金の帳簿価額と当該前受金についての円換算額との差額に相当する金額は、当該リース譲渡の日の属する年分の事業所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入し、令第188条第1項第1号に規定する賦払金割合の算定に含めることに留意する。(平18課個27、課資32、課審489追加、平30課個219、課審52改正)

(国外で業務を行う者の損益計算書等に係る外貨建取引の換算)

573-7 国外において不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う個人で、当該業務に係る損益計算書又は収支内訳書を外国通貨表示により作成している者については、継続適用を条件として、当該業務に係る損益計算書又は収支内訳書の項目(前受金等の収益性負債の収益化額及び減価償却資産等の費用性資産の費用化額を除く。)の全てを当該年の年末における為替相場により換算することができる。(平18課個27、課資32、課審489追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

() 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、収入金額及び必要経費の換算につき、その年において当該業務を行っていた期間内における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値を使用することができる。

 

法第57条の4《株式交換等に係る譲渡所得等の特例》関係

(一株に満たない数の株式の譲渡等による代金が交付された場合の取扱い)

574-1 法第57条の41項及び第2項の規定を適用する場合において、同条第1項に規定する株式交換完全親法人又は同条第2項に規定する株式移転完全親法人が、同条第1項に規定する株式交換又は同条第2項に規定する株式移転に際し株主に対し交付しなければならない株式に一株に満たない端数が生じたため、会社法第234条第1《一に満たない端数の処理》の規定等によりその端数の合計数に相当する株式を他に譲渡し、又は買い取った代金として株主に金銭が交付されたときは、その一株に満たない端数に相当する株式の株主に対して当該株式交換完全親法人又は当該株式移転完全親法人の株式が交付されたものとして取り扱う。
 なお、この場合において、その株主に交付された一株に満たない端数に相当する数の株式については令第167条の7の規定による取得価額の計算が行われ、その上で譲渡があったものとして措置法第37条の10、第37条の11、第37条の12又は第37条の122の規定が適用されることに留意する。
 ただし、その交付された金銭が、その交付の状況その他の事由を総合的に勘案して実質的に株主に対して支払う法第57条の41項又は第2項に規定する旧株の取得の対価であると認められるときは、当該取得の対価として金銭が交付されたものとして取り扱う。
(平18課資3-12、課個2-20、課審6-12追加、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平20課資3-4、課個2-33、課審6-18、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平成26課資3-8、課個2-15、課審7-15、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

(一に満たない数の株式又は新株予約権の譲渡等による代金が交付された場合の取扱い)

574-2 法第57条の43(同項第1号及び第4号を除く。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合において、株式、新株予約権又は新株予約権付社債の発行会社が、同項に規定する事由により株主又は新株予約権者(以下この項において「株主等」という。)に対し交付しなければならない株式又は新株予約権(以下この項において「株式等」という。)に一に満たない端数が生じたため、会社法第234条第1項の規定等によりその端数の合計数に相当する株式等を譲渡し、又は買い取った代金として株主等に金銭が交付されたときは、その一に満たない端数に相当する株式等の株主等に対して当該発行会社の株式等が交付されたものとして取り扱う。
 なお、この場合において、その株主等に交付された一に満たない端数の株式等については令第167条の7の規定による取得価額の計算が行われ、その上で譲渡があったものとして措置法第37条の10、第37条の11、第37条の12又は第37条の122の規定が適用されることに留意する。
 ただし、その交付された金銭が、その取得の状況その他の事由を総合的に勘案して実質的に株主等に対して支払う法第57条の43項第2号に規定する取得条項付株式、同項第3号に規定する全部取得条項付種類株式、同項第5号に規定する取得条項付新株予約権又は同項第6号に規定する取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債の取得の対価であると認められるときは、当該取得の対価として金銭が交付されたものとして取り扱う。
(平18課資3-12、課個2-20、課審6-12追加、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平20課資3-4、課個2-33、課審6-18、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平26課資3-8、課個2-15、課審7-15、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6改正)

(注) 法第57条の43項第1号に規定する取得請求権付株式に係る請求権の行使又は同項第4号に規定する新株予約権付社債に付された新株予約権の行使により、株式等の発行会社が、株主等に交付する株式の数に一株に満たない端数がある場合において、会社法第167条第3項又は第283条に規定する一株に満たない端数に相当する部分は、令第167条の78項の規定により法第57条の43項第1号又は第4号に規定する取得をする法人の株式に含まれることに留意する。
 なお、この場合において、その株主等に交付された一株に満たない端数の株式については令第167条の7の規定による取得価額の計算が行われ、その上で譲渡があったものとして措置法第37条の10、第37条の11、第37条の12又は第37条の122の規定が適用されることに留意する。

 

法第58《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》関係

(所有期間の起算日)

581 法第58条第1項に規定する「1年以上有していた固定資産」であるかどうかを判定する場合における当該固定資産の取得の日については、339の取扱いに準ずる。

(取得時期の引継規定の適用がある資産の所有期間)

5812 交換により譲渡又は取得した固定資産が次に掲げる資産である場合における法第58条第1項に規定する「1年以上有していた固定資産」であるかどうかの判定は、次に掲げるところによる。(昭52直資314、直所322追加)

(1) 法第60条第1《贈与等により取得した資産の取得費等》又は措置法第33条の61《収用交換等により取得した代替資産等の取得価額の計算》の規定の適用がある資産・・・・・・引き続き所有していたものとして判定する。

(2) 令第168《交換による取得資産の取得価額等の計算》の規定の適用がある資産・・・・・・その実際の取得の日を基礎として判定する。

(交換の対象となる土地の範囲)

582 法第58条第1項第1号に規定する土地には、立木その他独立して取引の対象となる土地の定着物は含まれないが、その土地が宅地である場合には、庭木、石垣、庭園(庭園に附属する亭、庭内神し(祠)その他これらに類する附属設備を含む。)その他これらに類するもののうち宅地と一体として交換されるもの(同項第2号に該当するものを除く。)は含まれる。

(交換の対象となる耕作権の範囲)

5822 法第58条第1項第1号に規定する「農地法(昭和27年法律第229号)2条第1《定義》に規定する農地(同法第43条第1《農作物栽培高度化施設に関する特例》の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第2条第1項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第43条第1項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利」とは、同号に規定する耕作を目的とする地上権、永小作権又は賃借権で、これらの権利の移転、これらの権利に係る契約の解約等をする場合には農地法第3条第1《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》、第5条第1《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》又は第18条第1《農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限》の規定の適用があるものをいうのであるから留意する。(昭46直審(所)19追加、平21課資38、課個224、課審623、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6改正)

() したがって、これらの条の規定の適用がないいわゆる事実上の権利は含まれないことに留意する。

(交換の対象となる建物附属設備等)

583 法第58条第1項第2号かっこ内に規定する建物に附属する設備及び構築物は、その建物と一体となって交換される場合に限り建物として同条の規定の適用があるのであるから、建物に附属する設備又は構築物は、それぞれ単独には同条の規定の適用がない。

2以上の種類の資産を交換した場合)

584 2以上の種類の固定資産を同時に交換した場合、例えば、土地及び建物と土地及び建物とを交換した場合には、法第58条第2項の規定の適用については、土地は土地と、建物は建物とそれぞれ交換したものとする。この場合において、これらの資産は全体としては等価であるが土地と土地、建物と建物との価額がそれぞれ異なっているときは、それぞれの価額の差額は同項に規定する差額に該当することに留意する。

(交換により取得した2以上の同種類の資産のうちに同一の用途に供さないものがある場合)

585 交換により種類を同じくする2以上の資産を取得した場合において、その取得した資産のうちに譲渡直前の用途と同一の用途に供さなかったものがあるときは、法第58条の規定の適用については、当該用途に供さなかった資産は同条の規定の適用がある取得資産には該当せず、当該資産は交換差金等となる。

(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかの判定)

586 法第58条第1項に規定する資産を交換した場合において、取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかは、その資産の種類に応じ、おおむね次に掲げる区分により判定する。(平20課資3-4、課個2-33、課審6-18改正)

(1) 土地 宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分

(2) 建物 居住の用、店舗又は事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分

() 店舗又は事務所と住宅とに併用されている家屋は、居住専用又は店舗専用若しくは事務所専用の家屋と認めて差し支えない。

(3) 機械及び装置 その機械及び装置の属する減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の耐用年数省令別表第2に掲げる設備の種類の区分

(4) 船舶 漁船、運送船(貨物船、油そう船、薬品そう船、客船等をいう。)、作業船(しゅんせつ船及び砂利採取船を含む。)、その他の区分

(譲渡資産の譲渡直前の用途)

587 法第58条第1項に規定する譲渡資産の譲渡直前の用途は、例えば、農地を宅地に造成し、又は住宅を店舗に改造するなど当該譲渡資産を他の用途に供するために造成又は改造に着手して他の用途に供することとしている場合には、その造成又は改造後の用途をいう。
 なお、例えば、農地を宅地に造成した後、他人が所有する固定資産である宅地と交換したような場合において、その譲渡による所得が335により譲渡所得又は事業所得若しくは雑所得として取り扱われるときは、その土地のうち、当該譲渡所得の基因となる部分についてのみ固定資産に該当するものとして同条の規定を適用することができる。
(昭56直資32、直所33改正)

() 当該事業所得又は雑所得に係る収入金額に相当する金額は、交換差金に該当することとなることに留意する。

(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供する時期)

588 固定資産を交換した場合において、取得資産をその交換の日の属する年分の確定申告書の提出期限までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したとき(相続人が当該用途に供した場合を含む。)は、法第58条第1項の規定を適用することができるものとする。この場合において、取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供するには改造等を要するため、当該提出期限までに当該改造等に着手しているとき(相当期間内にその改造等を了する見込みであるときに限る。)は、当該提出期限までに同一の用途に供されたものとする。(昭56直資32、直所33改正)

(資産の一部分を交換とし他の部分を売買とした場合)

589 一の資産につき、その一部分については交換とし、他の部分については売買としているときは、法第58条の規定の適用については、当該他の部分を含めて交換があったものとし、売買代金は交換差金等とする。(昭56直資32、直所33改正)

(交換費用の区分)

5810 交換のために要した費用の額を令第168条第1《交換による取得資産の取得価額等の計算》に規定する「譲渡資産の譲渡に要した費用」の額と同条第3号に規定する「取得資産を取得するために要した経費の額」とに区分する場合において、仲介手数料、周旋料その他譲渡と取得との双方に関連する費用(受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)の信託財産に属する資産(信託財産に属する資産が譲渡所得の基因となる資産である場合における当該資産をいう。)を交換した場合において、当該交換に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払う金額を含む。)でいずれの費用であるか明らかでないものがあるときは、当該費用の50%ずつをそれぞれの費用とする。(平19課資35、課個215、課審69改正)

(借地権等の設定の対価として土地を取得した場合)

5811 自己の有する土地に借地権等の設定(その設定による所得が譲渡所得とされる場合に限る。)をし、その設定の対価として相手方から土地等を取得した場合には、法第58条第1項第1号に掲げる土地の交換があったものとして同条の規定を適用することができるものとする。(昭56直資32、直所33追加)

(交換資産の時価)

5812 固定資産の交換があった場合において、交換当事者間において合意されたその資産の価額が交換をするに至った事情等に照らし合理的に算定されていると認められるものであるときは、その合意された価額が通常の取引価額と異なるときであっても、法第58条の規定の適用上、これらの資産の価額は当該当事者間において合意されたところによるものとする。(昭56直資32、直所33追加)

 

 

法第59《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》関係

(財産の拠出)

591 法第59条第1項第1号に規定する贈与には、一般財団法人の設立を目的とする財産の拠出を含むものとする。(平19課資35、課個215、課審69、平20課資34、課個233、課審618改正)

(低額譲渡)

592 法第59条第1項第2号に規定する「対価」には、法第36条第1《収入金額》に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれるから、贈与名義による法人に対する資産の移転であっても、当該移転に伴い債務を引き受けさせることなどによる経済的な利益による収入がある場合には、当該移転については、法第59条第1項第1号の規定の適用はなく、当該経済的な利益による収入に基づいて同項第2号の規定の適用の有無を判定する。(昭50直資311、直所319改正)

(同族会社等に対する低額譲渡)

593 山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、法第59条第1項第2号の規定の適用はないが、時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が法第157《同族会社等の行為又は計算の否認》の規定に該当する場合には、同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。(昭50直資311、直所319追加)

(一の契約により2以上の資産を譲渡した場合の低額譲渡の判定)

594 法人に対し一の契約により2以上の資産を譲渡した場合において、当該資産の譲渡が法第59条第1項第2号に掲げる低額譲渡に該当するかどうかを判定するときは、たとえ、当該契約において当該譲渡した個々の資産の全部又は一部について対価の額が定められている場合であっても、当該個々の資産ごとに判定するのではなく、当該契約ごとに当該契約により譲渡したすべての資産の対価の額の合計額を基として判定する。(昭50直資311、直所319追加)

(借地権等の設定及び借地の無償返還)

595 法第59条第1項に規定する「譲渡所得の基因となる資産の移転」には、借地権等の設定は含まれないのであるが、借地の返還は、その返還が次に掲げるような理由に基づくものである場合を除き、これに含まれる。(昭56直資32、直所33追加)

(1) 借地権等の設定に係る契約書において、将来借地を無償で返還することが定められていること。

(2) 当該土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用していたものであること。

(3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。

(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)

596 法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式(株主又は投資主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含む。以下この項において同じ。)及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。以下この項において同じ。)である場合の同項に規定する「その時における価額」は、2335共-9に準じて算定した価額による。この場合、2335共-9(4)ニに定める「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」については、原則として、次によることを条件に、昭和39425日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)178から189-7まで((取引相場のない株式の評価))の例により算定した価額とする。 (平12課資38、課所429追加、平14課資3-11、平16課資33、平18課資312、課個220、課審612、平21課資35、課個214、課審612、平26課資38、課個215、課審715、令2課資42、課審713改正)

(1) 財産評価基本通達178188188618921893及び1894中「取得した株式」とあるのは「譲渡又は贈与した株式」と、同通達18518921893及び1894中「株式の取得者」とあるのは「株式を譲渡又は贈与した個人」と、同通達188中「株式取得後」とあるのは「株式の譲渡又は贈与直前」とそれぞれ読み替えるほか、読み替えた後の同通達185ただし書、18921893又は1894において株式を譲渡又は贈与した個人とその同族関係者の有する議決権の合計数が評価する会社の議決権総数の50%以下である場合に該当するかどうか及び読み替えた後の同通達188(1)から(4)までに定める株式に該当するかどうかは、株式の譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。

(2) 当該株式の価額につき財産評価基本通達 179の例により算定する場合(同通達189-3(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、当該株式を譲渡又は贈与した個人が当該譲渡又は贈与直前に当該株式の発行会社にとって同通達188(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。

(3) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、当該譲渡又は贈与の時における価額によること。

(4) 財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。

 

法第60《贈与等により取得した資産の取得費等》関係

(昭和47年以前に贈与等により取得した資産の取得費)

601 法第60条第1項及び第4項の規定は、昭和4811日以後に贈与、相続若しくは遺贈又は低額譲渡により取得した資産について適用され、昭和471231日以前に贈与、相続若しくは遺贈又は低額譲渡により取得した資産については、所得税法の一部を改正する法律(昭和48年法律第8号)による改正前の所得税法又は旧所得税法(昭和22年法律第27号をいう。)の規定が適用されることに留意する。(昭49直所223、令2課資37、課個218、課法114、課審79改正)

() 贈与等の時期に応じ、従前の法律の規定を示すと表4のようになる。

表4 贈与等の時期に応じた、従前の法律の規定

(贈与等の際に支出した費用)

602 法第60条第1項第1号に掲げる贈与、相続又は遺贈(以下この項において「贈与等」という。)により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、当該贈与等に係る受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときには、当該費用のうち当該資産に対応する金額については、375及び493の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できることに留意する。(平17課資37、課個225、課審613追加、令2課資37、課個218、課法114、課審79改正)

() 当該贈与等以外の事由により非業務用の固定資産を取得した場合の登録免許税等については、389参照

(法第60条第2項の適用範囲)

603 法第60条第2項の規定は、配偶者居住権の設定に係る同条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下6010までにおいて同じ。)を取得した居住者が当該建物又は当該土地を譲渡した場合について適用があるのであるが、当該居住者から同号に掲げる贈与、相続又は遺贈により当該建物又は当該土地を取得した居住者が当該建物又は当該土地を譲渡した場合においても、その譲渡した当該建物又は当該土地の取得費については、同項の規定により、引き続きこれを所有していたものとみなされることから、同条第2項の規定の適用があることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(「配偶者居住権等を取得した時」の意義)

604 法第60条第3項第1号に規定する「配偶者居住権を取得した時」及び同項第2号に規定する「当該権利を取得した時」とは、配偶者居住権が設定された時をいうことに留意する。

() 配偶者居住権が設定された時については、昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達の全部改正について」通達23の2-2《「配偶者居住権が設定された時」の意義》参照(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権等の取得費)

605 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下6010までにおいて「配偶者居住権等」という。)が消滅した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、法第60条第3項の規定により計算した金額となるのであるが、当該収入金額の100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権等の取得費に算入する金額)

606 法第60条第3項の規定により配偶者居住権等の取得費を計算する場合において、配偶者居住権等を取得した後に、当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地について改良、改造等が行われたときであっても、当該改良、改造等に要した費用の額は、同項の規定による配偶者居住権等の取得費の計算上加算されないことに留意する。ただし、配偶者居住権等を取得した場合に、60-2において資産の取得費に算入できることとされる金額については、令第169条の2第1項又は第3項《贈与等により取得した資産の取得費等》の規定により計算した金額に加算して、配偶者居住権等の取得費を計算して差し支えない。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(令第169条の2第5項第1号及び第6項第1号に規定する配偶者居住権等の「取得費とされた金額」)

607 令第169条の2第5項第1号及び第6項第1号に規定する配偶者居住権等の「取得費とされた金額」については、配偶者居住権を有していた居住者が配偶者居住権等の消滅による譲渡所得の金額の計算上控除した取得費について、60-5の定めにより計算した場合又は60-6ただし書の定めにより加算した金額がある場合であっても、法第60条第3項の規定により計算した金額によることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権等の消滅につき対価を支払わなかった場合における建物又は土地の取得費)

608 配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者が、配偶者居住権等の消滅につき対価を支払わなかった場合において、その消滅後にその居住者が当該建物又は当該土地を譲渡したときにおける当該建物又は当該土地の取得費は、当該配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈の時から配偶者居住権が設定されていなかったものとした場合において計算される取得費の額となることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地の購入後に配偶者居住権等の消滅につき対価を支払った場合における当該建物又は当該土地の取得費)

609 配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者から当該建物又は当該土地を購入した居住者が、対価を支払って配偶者居住権等を消滅させた後に当該建物又は当該土地を譲渡した場合における当該消滅の対価の額については、当該建物又は当該土地の取得費の計算上、令第169条の2第5項第2号又は第6項第2号の規定を準用するものとする。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権を有する居住者が贈与等により建物又は土地を取得した場合における当該建物又は当該土地の取得費)

6010 配偶者居住権を有する居住者(以下この項において「配偶者」という。)が、当該配偶者居住権の設定に係る法第60条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を取得した居住者から同号に掲げる贈与、相続又は遺贈により当該建物又は当該土地を取得したことにより配偶者居住権等が消滅した場合において、その消滅後に配偶者が当該建物又は当該土地を譲渡したときにおける当該建物又は当該土地の取得費は、当該配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈の時から配偶者居住権が設定されていなかったものとした場合において計算される取得費の額となることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)


法第60条の2《国外転出をする場合の譲渡所得等の特例》関係

(国外転出時に譲渡又は決済があったものとみなされた対象資産の収入すべき時期)

602-1 対象資産(法第60条の21項に規定する有価証券等(以下604-1までにおいて「有価証券等」という。)、同条第2項に規定する未決済信用取引等602-4において「未決済信用取引等」という。)及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引602-4において「未決済デリバティブ取引」という。)をいう。以下603-4までにおいて同じ。)について、これらの規定により、同条第1項に規定する国外転出(以下602-13までにおいて「国外転出」という。)の時に、譲渡があったものとみなされた場合又は決済したものとみなして算出された利益の額若しくは損失の額が生じたものとみなされた場合における事業所得、譲渡所得又は雑所得(以下602-12までにおいて「譲渡所得等」という。)に係る総収入金額(同条の規定の適用を受ける部分の金額に限る。)の収入すべき時期は、その居住者が当該国外転出をした日となることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(国外転出直前に譲渡した有価証券等の取扱い)

602-2 国外転出をする居住者が譲渡した有価証券等で当該国外転出の日までに引渡しの行われていないものについては、原則として、法第60条の21項の規定の適用があることに留意する。ただし、納税者の選択により、当該有価証券等の譲渡に関する契約の効力発生の日により実際に譲渡したことによる譲渡所得等として申告があったときは、これを認める。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加)

(注) 国外転出をする居住者が取得した有価証券等で当該国外転出の日までに引渡しを受けていないものについては、原則として、法第60条の21項の規定の適用はないが、納税者の選択により、当該有価証券等の取得に関する契約の効力発生の日を取得をした日として当該有価証券等について同項の規定を適用して申告があったときは、これを認める。

(有価証券等の範囲)

602-3 法第60条の2の規定の適用がある有価証券等とは、国外転出の時において、当該国外転出をする居住者が有している有価証券等をいうのであるが、例えば、次に掲げる有価証券など、その譲渡による所得が当該居住者の譲渡所得等として課税されるものについては、当該有価証券等に含まれることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加)

1.   1 受益者等課税信託(法第13条第1《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。602-4において同じ。)の信託財産に属する有価証券

2.   23637-19に定める任意組合等の組合財産である有価証券

3.   3 質権や譲渡担保の対象となっている有価証券

(デリバティブ取引等の範囲)

602-4 法第60条の2の規定の適用がある未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引(以下この項において「未決済デリバティブ取引等」という。)とは、国外転出の時において、当該国外転出をする居住者が契約を締結している未決済デリバティブ取引等をいうのであるが、例えば、次に掲げる未決済デリバティブ取引等など、その取引に係る決済による所得が当該居住者の事業所得又は雑所得として課税されるものについては、当該未決済デリバティブ取引等に含まれることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加)

1.   1 受益者等課税信託に係る信託契約に基づき受託者が行う未決済デリバティブ取引等

2.   23637-19に定める任意組合等の組合事業として行われる未決済デリバティブ取引等

(非課税有価証券の取扱い)

602-5 法第60条の21項及び第5項の規定の適用に当たっては、措置法第37条の141《非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税》に規定する非課税口座内上場株式等、措置法第37条の1421《未成年者口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税》に規定する未成年者口座内上場株式等及び措置法第37条の151《貸付信託の受益権等の譲渡による所得の課税の特例》の規定により譲渡による所得が非課税とされる有価証券についても、国外転出の時に有している有価証券に含まれることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、平27課資3-6、課個2-25、課法10-14、課審7-15改正)

(令第84条第3項各号に掲げる権利で当該権利の行使をしたならば同項の規定の適用のあるもの)

602-6 法第60条の21項に規定する有価証券等の範囲から除かれる令第170条第1項第2号に規定する「第84条第3項各号に掲げる権利で当該権利の行使をしたならば同項の規定の適用のあるもの」には、当該権利のうち、措置法第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》の規定の適用を受けるものも含まれることに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3、令2課資37、課個218、課法114、課審79改正)

(国外転出の時における有価証券等の価額)

602-7 法第60条の21項第1号の国外転出の時における当該有価証券等の価額又は同項第2号の国外転出の予定日から起算して3月前の日における当該有価証券等の価額602-8において「国外転出時の価額」という。)については、原則として、2335-9及び59-6(公社債及び公社債投資信託にあっては、昭和39425日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2《公社債》の取扱いに準じて算定した価額による。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(注)

1.   1 法第60条の21項第2号の国外転出の予定日から起算して3月前の日後に取得をした有価証券等の当該取得時の価額については、原則として、当該有価証券等の取得価額によることに留意する。

2.   2 法第60条の28項に規定する限定相続等による移転があった場合における当該限定相続等の時における当該有価証券等の価額についても、上記と同様に算定した価額による。

(外貨建ての対象資産の円換算)

602-8 法第60条の21項から第3項までの規定により対象資産の譲渡又は決済をしたものとみなされた場合における譲渡所得等の金額の計算に当たり、外貨建てによる対象資産の国外転出時の価額又は利益の額若しくは損失の額(以下602-12までにおいて「国外転出時の価額等」という。)を算定する場合における円換算については、573-2に準じて計算するものとする。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(修正申告等をする場合における対象資産の国外転出時の価額等)

602-9 国外転出の日の属する年分の所得税につき、法第60条の21項から第3項までの規定の適用を受けるべき個人が、対象資産の一部についてこれらの規定の適用を受けずに確定申告書を提出している場合において、当該個人が当該対象資産について修正申告をするときは、当該対象資産に係る国外転出時の価額等については、当該確定申告書の提出の際に適用した同条第1項から第3項までの各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額による。ただし、対象資産の全てについて同条第1項から第3項までの規定の適用を受けずに確定申告書を提出している場合において、当該個人が当該対象資産について修正申告をするときは、当該対象資産に係る国外転出時の価額等については、同条第1項第1号、第2項第1号又は第3項第1号に定める金額による。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(注) 税務署長が更正を行う場合の国外転出時の価額等についても同様の取扱いとなることに留意する。

(総収入金額に算入されていない対象資産)

602-10 法第60条の24項ただし書に規定する「同日の属する年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上第1項各号、第2項各号又は前項各号に掲げる場合の区分に応じ第1項各号、第2項各号又は前項各号に定める金額が総収入金額に算入されていない有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引」とは、国外転出の日の属する年分の所得税につき確定申告書の提出はしているものの、同条第1項から第3項までの規定の適用を受ける対象資産に係る国外転出時の価額等の全部又は一部が、譲渡所得等に係る総収入金額に算入されていないものをいうことに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加)

(対象資産を贈与により居住者に移転した場合の課税取消しと価額下落との関係)

602-11 法第60条の21項から第3項までの規定の適用を受けた個人が、国外転出の日から5年を経過する日(法第137条の22《国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予》の規定により同条第1項の規定による納税猶予を受けている場合には、10年を経過する日)までに当該国外転出の時に有していた対象資産の全部又は一部を贈与により居住者に移転した場合で当該対象資産の当該贈与の時の価額又は利益の額若しくは損失の額が法第60条の28項各号に掲げる場合に該当するときは、同条第6項又は第8(同条第9項において準用する場合を含む。)のいずれかの規定の適用を受けることを選択することができることに留意する。ただし、そのいずれかの規定の適用を受けた後においては、たとえ法第153条の21項又は第2《国外転出をした者が帰国をした場合等の更正の請求の特例》に規定する更正の請求をすることができる期間内であっても、他の一方の規定の適用を受ける旨の変更はできないことに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(国外転出後に譲渡又は決済をした際の譲渡費用等の取扱い)

602-12 法第60条の28(同条第9項において準用する場合を含む。)の規定は、同条第8項各号に掲げる場合に該当するときに、対象資産の国外転出時の価額等を対象資産の実際の譲渡価額又は利益の額若しくは損失の額とすることができる規定であるから、同項の規定の適用に当たっては、当該国外転出の時後に同項に規定する譲渡又は決済をした際に実際に要した費用については、当該国外転出の日の属する年分の同条第1項から第3項までの規定により譲渡又は決済をしたものとみなされた対象資産に係る譲渡所得等の金額の計算上控除することはできないことに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(納税猶予期限が繰り上げられた場合等の価額下落の適用除外)

602-13 法第60条の210項の規定は、国外転出の日から5年を経過する日(法第137条の22項の規定により同条第1項の規定による納税猶予の適用を受けている場合にあっては、10年を経過する日)において同項の規定による納税猶予の適用を受けている個人に限り適用があることに留意する。したがって、例えば、同条第9項の規定により同条第1項の規定による納税猶予に係る期限が繰り上げられた場合には、法第60条の210項の規定の適用はないことに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

 

法第60条の3《贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例》関係

(非居住者である相続人等が限定承認をした場合)

6031 居住者の有する有価証券等が、相続(限定承認に係るものに限る。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)により非居住者である相続人又は受遺者へ移転した場合には、法第60条の31項の規定の適用はなく、法第59条第1項第1《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》の規定の適用を受けることに留意する。(平27課資32、課個27、課審7-6、徴管6-12追加)

(贈与等の時に有している対象資産の範囲)

6032 法第60条の35項に規定する贈与等の時に有している対象資産とは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げるものをいうことに留意する。(平27課資32、課個27、課審7-6、徴管6-12追加)

(1) 贈与(死因贈与を除く。)の場合
当該贈与の時において贈与者が所有していた対象資産
(当該贈与により非居住者に移転した対象資産を含む。)

(2) 相続又は遺贈(死因贈与を含む。)の場合
当該相続又は遺贈に係る相続開始の時において被相続人が所有していた対象資産
(当該相続又は遺贈により居住者に移転した対象資産を含む。)

(非居住者からの譲渡等をした旨の通知がなかった場合)

6033 法第60条の39項に規定する非居住者が、猶予適用贈与者(同条第8項に規定する猶予適用贈与者をいう。以下この項において同じ。)から贈与を受けた対象資産について同条第9項に規定する譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした場合は、同項の規定による通知がなかったとしても、法第137条の36《贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予》の規定により当該猶予適用贈与者の同条第1項の規定による納税猶予に係る期限が確定することに留意する。(平27課資32、課個27、課審7-6、徴管6-12追加)

(遺産分割等の事由により非居住者に移転しないこととなった対象資産)

6034 法第60条の31項から第3項までの規定の適用を受けた居住者について生じた法第151条の61《遺産分割等があった場合の修正申告の特例》に規定する遺産分割等の事由により、非居住者に移転した対象資産の全部又は一部が非居住者に移転しないこととなった場合におけるその移転しないこととなった対象資産は、同項に規定する修正申告書の提出又は法第153条の5《遺産分割等があった場合の更正の請求の特例》に規定する更正の請求に基づく更正により、法第60条の31項から第3項までの規定の適用を受けないものとなることに留意する。したがって、当該居住者がその後において、当該対象資産を譲渡した場合における当該対象資産の取得価額については同条第4項の規定は適用されないこととなり、法第60条第1項第1《贈与等により取得した資産の取得費等》の規定により被相続人から引き継いだ取得価額となることに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加)

(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に関する取扱いの準用)

6035 法第60条の3の規定の適用に当たっては、6022から6028まで及び60210から60213までの取扱いを準用する。(平27課資32、課個27、課審7-6、徴管6-12追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

 

 

法第60条の4《外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例》関係

(有価証券等の取得費とされる金額等の円換算)

6041 令第170条の31《外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例》の規定による有価証券等の取得に要した金額(法第60条の41項に規定する収入金額に算入することとされた金額をいう。)及び同条第2項に規定する利益の額に相当する金額又は損失の額に相当する金額の法第57条の31《外貨建取引の換算》に規定する円換算については、5732に準じて計算するものとする。(平27課資32、課個27、課審7-6、徴管6-12追加)

 

法第62《生活に通常必要でない資産の災害による損失》関係

(災害損失の控除の順序)

621 法第62条第1項の規定により譲渡所得の金額の計算上控除すべき損失の金額は、法第33条第3《譲渡所得》に規定する譲渡益の計算上、同項に規定する残額から控除することに留意する。

(固定資産等の損失に関する取扱いの準用)

622 法第62条第1項の規定により譲渡所得の金額の計算上控除すべき損失の金額等については、512及び516から519までの取扱いに準ずる。

 

法第63《事業を廃止した場合の必要経費の特例》関係

(個人事業を引き継いで設立された法人の損金に算入されない退職給与)

63-1 個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その支給した金額のうちに、個人事業当時の事業主の負担すべきものとして当該法人の所得の金額の計算上損金に算入されなかった金額があるときは、その金額については、その事業主が支出した退職給与として法第63条の規定を適用する。

(確定している総所得金額等の意義)

63-2 令第179条第1号イ又は第2号イ《事業を廃止した場合の必要経費の特例》に規定する当該必要経費に算入されるべき金額が生じた時の直前において確定している当該廃止した日の属する年分(又はその前年分)の総所得金額、山林所得金額及び退職所得金額は、法第63条に規定する費用又は損失が生じた時の直前における事業を廃止した日の属する年分(又はその前年分)の確定申告、修正申告、更正若しくは決定又は当該更正若しくは決定についての不服申立てに基づく決定、裁決若しくは判決に係る当該年分の総所得金額、山林所得金額及び退職所得金額をいうのであるが、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。

1.   1 法第63条に規定する費用又は損失が生じた時までに同条に規定する事業を廃止した日の属する年分(又はその前年分)について確定申告書の提出及び決定がない場合には、これらの年分について同条の規定の適用をしないで計算した総所得金額、山林所得金額及び退職所得金額をいう。

2.   2 法第121条第2《確定所得申告を要しない場合》に規定する所得税に係る退職所得金額で確定申告がされていないものがある場合には、これらの年分の退職所得金額をいう。

(法第63条の規定を適用した場合における税額の改算)

63-3 法第63条の規定を適用した場合における所得税の額の改算に当たっては、同条の規定により改算を要することとなる各種所得の金額から同条の規定により当該各種所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなる金額を控除し、その控除後の各種所得の金額を基として法第2編第2《課税標準及びその計算並びに所得控除》(第3《損益通算及び損失の繰越控除》及び第4《所得控除》に限る。)から第4《税額の計算の特例》までの規定を適用するものとする。この場合において、同条の規定を適用したことにより新たに法第90条第1《変動所得及び臨時所得の平均課税》の規定の適用を受けられることとなる者が法第152《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》の規定により提出した更正の請求書に法第90条第4項に規定する事項を記載しているときは、同条第1項の規定の適用があるものとする。(昭46直審(所)19改正)

(注) 事業所得に係る源泉徴収の対象となる報酬、料金等が貸倒れとなった場合には、当該報酬、料金等に係る源泉徴収をされるべき所得税の額はなくなるから、法第120条第1項第5《確定所得申告》に規定する源泉徴収をされるべき所得税の額の改算を行う。

法第64《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》関係

(回収不能の判定)

64-1 法第64条第1項に規定する収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を回収することができなくなったかどうか、又は同条第2項に規定する求償権の全部若しくは一部を行使することができなくなったかどうかの判定については、51-11から51-16までの取扱いに準ずる。(昭48直資4-6、直所2-22追加)

(収入金額の返還の意義)

64-12 法第64条第1項に規定する返還とは、退職金等をその支給した者に返還する場合をいうのであるから、子会社に再就職する際、親会社から受けた退職金をその子会社に提供したような場合は、これに当たらない。(昭48直資4-6、直所2-22改正)

(注) 退職金等をその支給者以外の者に提供したことにより、その後その提供先から支給を受ける退職金等の金額がその提供した金額を含めて計算されている場合における当該退職金等に係る所得の収入金額は、その支給を受けた退職金等の金額からその提供した退職金等の金額を控除して計算する。

(役員が未払賞与等の受領を辞退した場合)

64-2 役員が、次に掲げるような特殊な事情の下において、一般債権者の損失を軽減するためその立場上やむなく、自己が役員となっている法人から受けるべき各種所得の収入金額に算入されるものでまだ支払を受けていないものの全部又は一部の受領を辞退した場合には、当該辞退した金額につき法第64条第1項の規定の適用があるものとする。(平11課所4-25、平12課所4-30、平16課個2-23、課資3-7、課法8-8、課審4-33、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30改正)

1.   1 当該法人が特別清算開始の命令を受けたこと。

2.   2 当該法人が破産手続開始の決定を受けたこと。

3.   3 当該法人が再生手続開始の決定を受けたこと。

4.   4 当該法人が更生手続の開始決定を受けたこと。

5.   5 当該法人が事業不振のため会社整理の状態に陥り、債権者集会等の協議決定により債務の切捨てを行ったこと。

(各種所得の金額の計算上なかったものとみなされる金額)

64-22 法第64条の規定により各種所得の金額の計算上なかったものとみなされる金額は、措置法令第4条の29《上場株式等に係る配当所得等の課税の特例》、第19条第24《土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例》、第20条第5《長期譲渡所得の課税の特例》、第21条第7《短期譲渡所得の課税の特例》、第25条の816《一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》、第25条の913《上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》、第25条の11220《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》、第25条の12224《特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等》、第26条の236《先物取引に係る雑所得等の金額の計算等》及び第26条の2611《先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除》の規定により読み替えられた令第180条第2項の規定により、次に掲げる金額のうち最も低い金額となることに留意する。(昭48直資4-6、直所2-22追加、昭50直資3-11、直所3-19、昭56直資3-2、直所3-3、昭63直所3-3、直法6-2、直資3-2、昭63直法6-7、直所3-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平8課所4-10、課資3-4、平11課所4-1、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9、平15課個2-23、課資3-7、課法8-11、課審4-37、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平22課資3-4、課個2-14、課審6-20、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

1.   1 令第180条第2項に規定する回収不能額等

2.   2 当該回収不能額等が生じた時の直前において確定している法第64条第1項に規定する年分の総所得金額、土地等に係る事業所得等の金額、短期譲渡所得の金額、長期譲渡所得の金額、上場株式等に係る配当所得等の金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額

3.   3 当該回収不能額等に係る2に掲げる金額の計算の基礎とされる各種所得の金額

(回収不能額等が生じた時の直前において確定している「総所得金額」)

64-3 令第180条第2項第1《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》に規定する「総所得金額」とは、当該総所得金額の計算の基礎となった利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額(損益通算の規定の適用がある場合には、その適用後のこれらの所得の金額とし、赤字の所得はないものとする。)の合計額(純損失の繰越控除又は雑損失の繰越控除の規定の適用がある場合には、当該合計額から総所得金額の計算上控除すべき純損失の金額又は雑損失の金額を控除した金額とする。)をいうものとする。(昭50直資3-11、直所3-19改正)

(注) 上記の譲渡所得の金額とは、長期保有資産(法第33条第3項第2《譲渡所得》に掲げる所得の基因となる資産をいう。)に係る譲渡所得であっても、2分の1する前の金額をいうことに留意する。また、一時所得の金額についても同様である。

(譲渡所得に関する買換え等の規定との関係)

64-32 譲渡所得の金額の計算につき、法第58《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》又は措置法第33《収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例》(措置法第33条の22《交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》において準用する場合を含む。)、第36条の2《特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例》、第36条の5《特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例》、第37《特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例》、第37条の4《特定の事業用資産を交換した場合の譲渡所得の課税の特例》、第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》、第37条の6《特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例》、第37条の8《特定普通財産とその隣接する土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例》若しくは第37条の9《平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例》の規定64-33までにおいて「買換え等の規定」という。)と法第64条の規定の適用を受ける場合には、まず、買換え等の規定を適用し、次に同条の規定を適用することに留意する。(昭48直資4-6、直所2-22追加、昭57直所3-15、直法6-13、直資3-8、昭60直所3-21、直資3-5、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平7課所4-1、課資3-1、平11課所4-25、平16課資3-9、課個2-27、課審6-17、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平22課資3-4、課個2-14、課審6-20、平25課資3-4、課個2-14、課法9-4、課審7-15、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6改正)

(買換え等の規定の適用を受ける場合の回収不能額等)

64-3364-32の場合において、買換え等の規定の適用を受ける譲渡資産に係る譲渡対価のうち回収することができなくなった部分の金額(法第64条第2項に規定する保証債務の履行に伴う求償権のうち当該求償権を行使することができなくなった部分の金額を含む。)が、当該買換え等の規定により当該譲渡資産のうち譲渡があったものとされる部分の収入金額を超えるときは、当該譲渡資産に係る令第180条第2項に規定する「回収不能額等」は、当該収入金額に相当する金額に限られ、当該超える部分の金額は、同項に規定する「回収不能額等」に含まれないことに留意する。(昭48直資4-6、直所2-22追加)

2以上の譲渡資産に係る回収不能額等の各資産への配分)

64-34 令第180条第2項に規定する回収不能額等が2以上の資産の譲渡に係る譲渡所得の収入金額について生じた場合において、当該回収不能額等がいずれの資産の譲渡に係る収入金額について生じたものであるか明らかでないときは、当該回収不能額等を当該回収不能額等に係る各資産の譲渡に係る収入金額の比によりあん分して計算した金額を当該各資産の譲渡に係る収入金額に対応する回収不能額等として、同項の規定を適用するものとする。ただし、当該明らかでないときに該当する場合であっても、納税者が2以上の資産のうちいずれか一の資産又は2以上の資産を選択し、当該選択した資産の譲渡に係る収入金額について当該回収不能額等が生じたものとして計算をして申告したときは、その計算を認めて差し支えない。法第152《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》の規定による更正の請求をする場合においても、同様とする。(昭48直資4-6、直所2-22追加、昭57直資3-3、直所3-6改正)

(概算取得費によっている場合の取得費等の計算)

64-35 譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費につき措置法第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》の規定の適用を受ける場合において、令第180条第2項第2号に規定する「回収不能額等に相当する収入金額又は総収入金額がなかったものとした場合」に計算される譲渡所得の金額を計算するときは、当該譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、当該回収不能額等が生じた時の直前において確定している譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費によるものとする。
 山林所得の金額の計算につき措置法第30
《山林所得の概算経費控除》の規定の適用を受ける場合における山林所得の金額の計算上控除する必要経費についても、また同様とする。(昭48直資4-6、直所2-22追加、昭60直所3-21、直資3-5、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平3課所4-7改正)

(保証債務の履行の範囲)

64-4 法第64条第2項に規定する保証債務の履行があった場合とは、民法第446《保証人の責任等》に規定する保証人の債務又は第454《連帯保証の場合の特則》に規定する連帯保証人の債務の履行があった場合のほか、次に掲げる場合も、その債務の履行等に伴う求償権を生ずることとなるときは、これに該当するものとする。(昭56直資3-2、直所3-3、平17課資3-7、課個2-25、課審6-13改正)

1.   1 不可分債務の債務者の債務の履行があった場合

2.   2 連帯債務者の債務の履行があった場合

3.   3 合名会社又は合資会社の無限責任社員による会社の債務の履行があった場合

4.   4 身元保証人の債務の履行があった場合

5.   5 他人の債務を担保するため質権若しくは抵当権を設定した者がその債務を弁済し又は質権若しくは抵当権を実行された場合

6.   6 法律の規定により連帯して損害賠償の責任がある場合において、その損害賠償金の支払があったとき。

(借入金で保証債務を履行した後に資産の譲渡があった場合)

64-5 保証債務の履行を借入金で行い、その借入金(その借入金に係る利子を除く。)を返済するために資産の譲渡があった場合においても、当該資産の譲渡が実質的に保証債務を履行するためのものであると認められるときは、法第64条第2項に規定する「保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合」に該当するものとする。
 被相続人が借入金で保証債務を履行した後にその借入金を承継した相続人がその借入金
(その借入金の利子を除く。)を返済するために資産を譲渡した場合も、同様とする。(昭56直資3-2、直所3-3改正)

(注) 借入金を返済するための資産の譲渡が保証債務を履行した日からおおむね1年以内に行われているときは、実質的に保証債務を履行するために資産の譲渡があったものとして差し支えない。

(保証債務を履行するため山林を伐採又は譲渡した場合)

64-52 法第64条第2項の規定の対象となる所得は、保証債務を履行するため行った資産の譲渡による所得のうち棚卸資産(令第81条各号《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に掲げる資産を含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得以外の所得に限られるから、山林の伐採又は譲渡による所得であっても、営利を目的として継続的に行われる山林の伐採又は譲渡による所得については、法第64条第2項の規定は適用されない。(昭50直資3-11、直所3-19追加)

(保証債務に係る相続税法第13条と法第64条第2項の規定の適用関係)

64-53 被相続人の保証債務を承継した相続人が、当該保証債務を履行するために資産を譲渡した場合には、当該資産の譲渡は、その保証債務を被相続人の債務として相続税法第13《債務控除》の規定の適用を受けるときであっても、法第64条第2項に規定する「保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合」に該当するものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)

(確定している総所得金額等の意義及び税額の改算)

64-6 令第180条第2項第1号に規定する「確定している法第64条第1項に規定する年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額」の意義及び法第64条の規定を適用した場合における所得税の額の改算については、63-2及び63-3の取扱いに準ずる。

 

法第65《リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期》関係

651 削除(昭55直所319、直法68、平11課所41、平19課個231、課審444改正、平30課個219、課審52削除)

(売買があったものとされたリース取引)

652 賃貸人が受取リース料を賃貸料として収入金額に計上しており、かつ、法第67条の21((リース取引に係る所得金額の計算))の規定の適用によりリース資産(同項に規定するリース資産をいう。以下658までにおいて同じ。)の売買があったものとされた場合には、賃貸人はそのリース取引(同項に規定するリース取引をいう。以下この項において同じ。)に係る収入金額及び費用の額の計算につき、法第65条第1((リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期))の規定を適用することができる。この場合には、そのリース期間(リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間をいう。以下658において同じ。)中に収受すべきリース料の額の合計額を令第188((延払基準の方法))に規定する「リース譲渡の対価の額」として取り扱う。(平19課個231、課審444追加、平30課個219、課審52改正)

()

1 そのリース取引が行われた日の属する年の翌年以後の年分において、当該リース取引について売買があったものとして処理すべきことが明らかになった場合には、当該明らかになった日の属する年の前年以前の各年分についての当該リース取引に係る収入金額及び費用の額は、原則として、令第188条に規定する延払基準の方法により計算した収入金額及び費用の額とする。

2 再リース料の額は、再リースをすることが明らかな場合を除き、リース譲渡(法第65条第1項に規定する「リース譲渡」をいう。以下6510までに おいて同じ。)の対価の額に含めないで、その収受すべき日の属する年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。

(延払損益計算の基礎となる手数料の範囲)

653 令第188条第1項第1号に規定する手数料には、外部に支払う販売手数料のほか、使用人である外交員等に対して支払う歩合給、手数料等で法第204条第1項第4((源泉徴収義務))に規定する報酬等に該当するものも含まれるが、その支払うべき手数料の額が賦払金の回収の都度その回収高に応じて確定することとなっている場合(頭金又は一定回数までの賦払金の回収を条件として手数料の額が確定することとなっている場合を除く。)における当該手数料を含まないものとする。(昭和49直所223、昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38、平11課所41、平19課個231、課審444改正)

() この場合において、延払損益の計算の基礎となる手数料に含めないものの額は、その額が確定する都度その確定した日の属する年分の必要経費に算入するのであるから留意する。

654 削除(昭49直所223、昭55直所319、直法68、平元直所314、直法69、直資38、平11課所41、平19課個231、課審444改正、平30課個219、課審52削除)

(延払基準の計算単位)

655 令第188条第1項の規定による延払基準の方法による収入金額及び費用の額の計算は、原則としてそのリース譲渡ごとに行うのであるが、継続して差益率のおおむね同じものごとその他合理的な区分ごとに一括してその計算を行っている場合には、これを認める。(昭55直所319、直法68追加、平元直所314、直法69、直資38、平11課所41、平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

(時価以上の価額で資産を下取りした場合の対価の額)

656 リース譲渡を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産をその時における価額を超える価額をもって下取りした場合には、その超える部分の金額は、取得した資産の取得価額に含めないで値引きをしてリース譲渡を行ったものとする。(平11課所41、平30課個219、課審52改正)

(支払期日前に受領した手形)

657 リース譲渡に係る賦払金のうちその年の翌年以後に支払期日の到来するものについて手形を受領した場合には、その受領した手形の金額は、令第188条第1項第1号に規定する支払を受けた金額には含まれない。(昭49直所223、平11課所41、平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

(賦払金の支払遅延等により販売した資産を取り戻した場合の処理)

658 相手方の代金の支払遅延等の理由により、リース期間の中途においてリース譲渡をしたリース資産を取り戻した場合には、そのリース資産を取り戻した日の属する年において、まだ支払の行われていないリース料の額の合計額から当該合計額のうちに含まれる利息に相当する金額を控除した金額をもってそのリース資産を取得したものとする。ただし、まだ支払の行われていないリース料の額の合計額又はそのリース資産を取り戻した時における処分見込価額をもって取得したものとして計算して差し支えない。(平11課所41、平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

(契約の変更があった場合の取扱い)

659 法第65条第1項の規定によりその収入金額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用しているリース譲渡についてその後契約の変更があり、リース料の支払期日又は各支払期日ごとのリース料の額が異動した場合は、その変更後の支払期日及び各支払期日ごとのリース料の額に基づいて同項の規定による延払基準の計算を行う。ただし、その変更前に既に支払期日の到来したリース料の額については、この限りでない。(昭55直所319、直法68追加、平11課所41、平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

() 法第65条第2項の規定の適用においても同様とする。

(対価の額又は原価の額に異動があった場合の調整)

6510 法第65条第1項の規定によりその収入金額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用しているリース譲渡に係る対価の額又は原価の額につきその後値増し、値引き等があったため当該リース譲渡に係る対価の額又は原価の額に異動を生じた場合には、その異動を生じた日の属する年(以下この項において「異動年」という。)以後の各年における当該対価の額又は原価の額に係る延払基準の方法の適用については、その異動後の対価の額又は原価の額(異動年の前年以前において計上した部分の金額を除く。)及び異動年の11日以後に受けるべきリース料の額の合計額を基礎として659によりその計算を行うものとする。ただし、その者が、その値増し、値引き等に係る金額をこれらの事実の生じた日の属する年分の総収入金額又は必要経費に算入するとともに、延払基準の方法についてはその異動前の契約に基づいてその計算を行うこととしているときは、これを認める。(昭55直所319、直法68、平11課所41、平19課個231、課審444、平30課個219、課審52改正)

() 法第65条第2項の規定の適用においても同様とする。

 

法第66《工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期》関係

(工事の請負の範囲)

661 法第66条第1項に規定する工事(以下669までにおいて「工事」という。)の請負には、設計、監理等の役務の提供のみの請負は含まれないのであるが、工事の請負と一体として請け負ったと認められるこれらの役務の提供の請負については、当該工事の請負に含まれることに留意する。(平11課所41追加、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(契約の意義)

662 法第66条第1項に規定する「契約」とは、当事者間における請負に係る合意をいうのであるから、当該契約に関して契約書等の書面が作成されている必要はないのであるから留意する。(平11課所41追加)

(契約において手形で請負の対価の額が支払われることになっている場合の取扱い)

663 令第192条第2《支払条件に係る長期大規模工事の判定》に規定する「支払われること」には、契約において定められている支払期日に手形により支払われる場合も含まれることに留意する。(平11課所41追加)

(長期大規模工事に該当するかどうかの判定単位)

664 請け負った工事が法第66条第1項に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該工事に係る契約ごとに判定するのであるが、複数の契約書により工事の請負に係る契約が締結されている場合であって、当該契約に至った事情等からみてそれらの契約全体で一の工事を請け負ったと認められる場合には、当該工事に係る契約全体を一の契約として長期大規模工事に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。(平11課所41追加)

(工事の目的物について個々に引渡しが可能な場合の取扱い)

665 工事の請負に係る一の契約においてその目的物について個々に引渡しが可能な場合であっても、当該工事が法第66条第1項に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該一の契約ごとに判定することに留意する。
 ただし、その目的物の性質、取引の内容並びに目的物ごとの請負の対価の額及び原価の額の区分の状況などに照らして、個々に独立した契約が一の契約書に一括して記載されていると認められる工事の請負については、当該個々に独立した契約ごとに長期大規模工事の判定を行うことができる。
(平11課所41追加)

(長期大規模工事に該当しないこととなった場合の取扱い)

666 長期大規模工事に該当する工事について、請負の対価の額の減額や工事期間の短縮があったこと等により、その着工の年の翌年以後において長期大規模工事に該当しないこととなった場合であって、その工事について工事進行基準の適用をしないこととしたときであっても、その適用しないこととした年の前年以前の各年分において計上した当該工事の請負に係る収入金額及び費用の額を既往にさかのぼって修正することはしないのであるから留意する。(平11課所41追加)

(長期大規模工事の着手の日の判定)

667 令第192条第7(同条第10項の規定により準用される場合を含む。)に規定する「その請け負つた工事の内容を完成するために行う一連の作業のうち重要な部分の作業」を開始した日がいつであるかについては、当該工事の種類及び性質、その工事に係る契約の内容、慣行等に応じてその「重要な部分の作業」を開始した日として合理的であると認められる日のうち継続して判定の基礎としている日によるものとする。(平11課所41追加、平20課個217、課審4186、課法93改正)

668 削除(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用)

669 その年の1231日の現況において見込まれる工事損失の額(その時の現況により見積もられる工事の原価の額が、その請負の対価を超える場合における当該超える部分の金額をいう。)のうち当該工事に関して既に計上した損益の額を差し引いた額(以下「工事損失引当金相当額」という。)を当該年分に係る工事原価の額として計上している場合であっても、そのことをもって、法第66条第2項に定める「工事進行基準の方法により経理したとき」に該当しないとは取り扱わない。
 この場合において、当該工事損失引当金相当額は、同項の規定により当該年分において必要経費に算入されることとなる工事の請負に係る費用の額には含まれないことに留意する。(平20課個217、課審4186、課法93追加)


法第67《小規模事業者の収入及び費用の帰属時期》関係

(前前年分の所得金額の判定)

671 令第195条第1《小規模事業者の要件》に規定する「前前年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額……の合計額が300万円以下」であるかどうかは、法第67条の規定の適用を受けようとする年の前年末現在において確定しているところにより、また、当該前前年分の不動産所得又は事業所得のいずれかに赤字が生じている場合には、当該赤字の金額は他の黒字の金額と相殺したところにより判定するものとする。ただし、当該前年末現在において確定している金額が300万円を超える者であっても、不服申立てに対する決定等により、令第197条第1《収入及び費用の帰属時期の特例を受けるための手続等》に規定する届出書の提出期限(前年分の所得税につき法第67条の規定の適用を受けていた者については、その年の315) までに300万円以下となった者については、令第195条第1号に規定する要件を満たすものとして差し支えない。(昭46直審(所) 19、昭49直所223、平11課所41改正)

(手形又は小切手取引の収入金額又は必要経費算入の時期)

672 法第67条の規定の適用を受けている者が手形取引又は小切手取引を行った場合における当該取引に係る金額の収入金額又は必要経費の算入については、次によるものとする。(平11課所41改正)

(1) 手形取引

イ 受取手形にあっては、その手形の支払を受けたものについてはその支払を受けた時にその金額を収入金額に算入し、割引したものについてはその割引した時にその手形金額を収入金額に算入するとともに割引料を必要経費に算入する。この場合において、割引した手形が不渡りとなったことによりそ求に応じて支払ったときは、その支払った時の属する年分の収入金額からその支払った金額に相当する金額を減額する。

ロ 支払手形にあっては、その手形の支払をした時にその金額を必要経費に算入する。

(2) 小切手取引

 小切手取引にあっては、その小切手金額をその受取又は振出しの時の収入金額又は必要経費に算入する。この場合において、その小切手が不渡りとなったときは、その不渡りとなった時の属する年分の収入金額又は必要経費からその小切手金額に相当する金額を減額する。

(貸付金等の貸倒損失の必要経費算入)

673 法第67条の規定の適用を受けている者の事業所得を生ずべき業務の遂行上生じた債権のうち、例えば、金融業者の貸付金の元本のように損益取引以外の取引に係るものの貸倒れによる損失は、当該損失の生じた年分の令第196条第2《小規模事業者の収入及び費用の帰属時期》に規定する必要経費に算入すべき金額に含まれるものとする。(平11課所41改正)

(不動産所得を生ずべき業務及び事業所得を生ずべき業務のいずれか一方を廃止した場合)

674 不動産所得を生ずべき業務及び事業所得を生ずべき業務を併せ営んでいた者が、これらの業務のうちいずれか一方を譲渡し又は廃止した場合には、当該譲渡し又は廃止した業務に係る各種所得の金額の計算については、当該譲渡し又は廃止した年において規則第40《収入及び費用の帰属時期の特例の適用の細目》の規定を適用することに留意する。(平11課所41改正)

(業務を承継した相続人が提出する届出書の提出期限の特例)

675 法第67条の規定の適用を受けていた被相続人の不動産所得を生ずべき業務又は事業所得を生ずべき業務を承継したことにより、新たに同条に規定する業務を開始した相続人が提出する令第197条第1項に規定する届出書については、当該被相続人についての所得税の準確定申告書の提出期限(当該期限が法第147《青色申告の承認があったものとみなす場合》の規定により青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに提出して差し支えない。(平11課所41改正)


法第67条の2《リース取引に係る所得の金額の計算》関係

<リース取引の意義>

(解除をすることができないものに準ずるものの意義)

6721 法第67条の23項第1号に規定する「これに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19課個231、課審444追加)

(1) 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として100分の90以上)を支払うこととされているもの

(2) 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの

イ 賃貸借資産(当該賃貸借の目的となる資産をいう。以下この項及び6722において同じ。)を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。

ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。

(おおむね100分の90の判定等)

6722 令第197条の22項に規定する「おおむね100分の90」の判定に当たって、次の点については、次のとおり取り扱うことに留意する。(平19課個231、課審444、平29課個213、課資33、課審55改正)

(1) 資産の賃貸借に係る契約等において、賃借人が賃貸借資産を購入する権利を有し、当該権利の行使が確実であると認められる場合には、当該権利の行使により購入するときの購入価額をリース料の額に加算する。この場合、その契約書等に当該購入価額についての定めがないときは、残価に相当する金額を購入価額とする。

(注) 残価とは、賃貸人におけるリース料の額の算定に当たって賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用(賃貸借資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額をいう。

(2) 資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部に相当する金額を賃借人が支払うこととなる金額に加算する。

(注) 6721(1)の判定においても同様とする。

(3) 賃貸借資産の取得者である賃貸人に対し交付された補助金等(当該補助金等の交付に当たり賃借料の減額が条件とされているものに限る。)がある場合には、令第197条の22項の「賃借人が支払う賃借料の金額の合計額」は、当該賃貸借に係る契約等に基づく賃借料の金額の合計額に当該減額相当額を加算した金額による。

(注) 「減額相当額」は、賃借人における賃貸借資産の取得価額には算入しない。

(これらに準ずるものの意義)

6723 令第197条の21項に規定する「これらに準ずるもの」として同項第1号及び第2号に掲げる要件に準ずる土地の賃貸借とは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19課個231、課審444追加)

(1) 賃貸借期間の終了後、無償と変わらない名目的な賃料によって賃貸借に係る契約の更新をすることが賃貸借に係る契約において定められている賃貸借(契約書上そのことが明示されていない賃貸借であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)

(2) 賃貸人に対してその賃貸借に係る土地の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人の賃借料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっている賃貸借

<金銭の貸借とされるリース取引>

(金銭の貸借とされるリース取引の判定)

6724 法第67条の22項に規定する「一連の取引」が同項に規定する「実質的に金銭の貸借であると認められるとき」に該当するかどうかは、取引当事者の意図、その資産の内容等から、その資産を担保とする金融取引を行うことを目的とするものであるかどうかにより判定する。したがって、例えば、次に掲げるようなものは、これに該当しないものとする。(平19課個231、課審444追加)

(1) 譲渡人が資産を購入し、当該資産をリース取引(同条第3項に規定するリース取引をいう。以下6725において同じ。)に係る契約により賃借するために譲受人に譲渡する場合において、譲渡人が譲受人に代わり資産を購入することに次に掲げるような相当な理由があり、かつ、当該資産につき、立替金、仮払金等として経理し、譲渡人の購入価額により譲受人に譲渡するもの

イ 多種類の資産を導入する必要があるため、譲渡人において当該資産を購入した方が事務の効率化が図られること。

ロ 輸入機器のように通関事務等に専門的知識が必要とされること。

ハ 既往の取引状況に照らし、譲渡人が資産を購入した方が安く購入できること。

(2) 業務の用に供している資産について、当該資産の管理事務の省力化等のために行われるもの

(借入金として取り扱う売買代金の額)

6725 法第67条の22項の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲渡人が譲受人から受け入れた金額は、借入金の額として取り扱い、譲渡人がリース期間(リース取引に係る契約において定められたその資産の賃貸借期間をいう。以下6726において同じ。)中に支払うべきリース料の額の合計額のうちその借入金の額に相当する金額については、当該借入金の返済をすべき金額(以下この項において「元本返済額」という。)として取り扱う。この場合において、譲渡人が各年分に支払うリース料の額に係る元本返済額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲渡人が当該リース料の額のうちに元本返済額が均等に含まれているものと処理しているときは、これを認める。(平19課個231、課審444追加)

(貸付金として取り扱う売買代金の額)

6726 法第67条の22項の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲受人が譲渡人に支払う金額は、貸付金の額として取り扱い、譲受人がリース期間中に収受すべきリース料の額の合計額のうちその貸付金の額とした金額に相当する金額については、当該貸付金の返済を受けた金額として取り扱う。この場合において、譲受人が各年分に収受するリース料の額に係る貸付金の返済を受けたものとされる金額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲受人が、当該リース料の額のうち貸付金の返済を受けたものとされる金額が均等に含まれているものとして処理しているときは、これを認める。(平19課個231、課審444追加)


法第67条の3《信託に係る所得の金額の計算》関係

(受益者等課税信託の委託者がその有する資産を信託した場合の譲渡所得の収入金額等)

6731 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)の委託者(居住者に限る。以下この項において同じ。)がその有する譲渡所得の基因となる資産を信託し、当該受益者等課税信託の受益者等となる者が法人である場合における法第67条の33項の規定の適用に関しては、次の点に留意する。(平19課資35、課個215、課審69追加)

(1) 当該法人が対価を負担せずに受益者等課税信託の受益者等となる者であるときは、法第59条第1項の規定により、当該資産を信託した時における価額に相当する金額を収入金額として当該委託者の譲渡所得の金額を計算する。

(2) 当該法人が対価を負担して受益者等課税信託の受益者等となる者であるときは、当該対価の額を収入金額として当該委託者の譲渡所得の金額を計算する。
 なお、この場合において、当該対価の額が法第59条第1項第2号に規定する額であるときは、同項の規定が適用される。

() 法第67条の34項から第6項までの規定の適用に関しても同様となる。

 

〔被災事業用資産の損失の金額の計算等〕

(被災事業用資産に含まれるもの)

701 法第70条第3項に規定する棚卸資産には、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業に係る令第81条第1《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に掲げる資産が含まれるものとする。

(棚卸資産の被災損失額)

702 棚卸資産(まだ収穫しない水陸稲、麦、野菜等の立毛、果実等(703において「未収穫農作物」という。)を除く。)が災害により滅失し又はその価値が減少したために生じた損失の金額は、次に定める区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額に相当する金額とする。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 滅失した棚卸資産 当該棚卸資産について被災直前において法第47条第1《棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》の規定に準じて評価した金額

(2) 価値が減少した棚卸資産 当該棚卸資産につき(1)により評価した金額が被災直後における当該棚卸資産の価額を超える場合における当該超える部分の金額

(未収穫農作物の被災損失額)

703 未収穫農作物が災害により枯死、倒伏、流失、冠水等をしたことにより滅失し又はその価値が減少したために生じた損失の金額(災害により農作物が減産し又は収穫皆無となったため生じた損失の金額を含む。)は、当該農作物に係る種苗費の額並びに成熟させるために要した肥料費、労務費及び経費の額(冷害、干害等の自然現象の異変又は害虫その他の生物による災害の発生に伴い農作物の肥培管理のために特別に支出した費用の額を含む。)の合計額が収穫できた部分の農作物の収穫時の価額の合計額を超える場合における当該超える部分の金額に相当する金額とする。

(固定資産等の損失に関する取扱いの準用)

704 事業用固定資産の災害による損失の金額及び法第70条第3項かっこ内に規定する「その他これらに類するもの」については、512及び516の取扱いに準ずる。

(災害損失特別勘定を設定した場合の被災事業用資産の損失の範囲等)

7042 不動産所得、事業所得又は山林所得(以下この項において「事業所得等」という。)を生ずべき事業を営む居住者が、災害のあった日の属する年分において3637共-75の災害損失特別勘定に繰り入れた金額を有する場合には、当該金額は、法第70条第3項に規定する災害による損失の金額(以下この項において「被災事業用資産の損失の金額」という。) に含まれることに留意する。
 この場合において、当該災害のあった日の属する年の翌年以後の各年の11日において災害損失特別勘定の金額を有するときには、当該各年分において被災資産に係る修繕費用等
3637共-76に定める「修繕費用等」をいう。)の額として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額(保険金等3637共-76に定める「保険金等」をいう。)によりほてんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、被災事業用資産の損失の金額に該当する部分の金額に限る。) の合計額から当該各年の11日における災害損失特別勘定の金額を控除した残額が当該各年分における被災事業用資産の損失の金額となることに留意する。(平29課個213、課資33、課審55追加)


〔災害関連費用(令第203条関係)

(災害のあった年の翌年以後に支出した災害関連費用)

705 法第70条第3項かっこ内に規定する災害に関連するやむを得ない費用は、513により資本的支出とされるものを除き、当該費用を支出した日の属する年分の必要経費とされるのであるから、災害のあった年の翌年以後に支出した当該費用は、災害による資産そのものの損失及び災害のあった年において支出した当該費用とは区分して同条第2項の規定を適用することに留意する。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(災害後1年以内に取壊し等をした資産に係る損失額の特例)

706 災害により損壊し又は価値が減少した資産を取壊し又は除去した場合であっても、それが災害後相当な期間使用した後に行われたときは、その資産につき取壊し又は除去により生じた損失はもちろん、その資産の取壊し又は除去に要する費用その他の付随費用も災害損失には含まれないのであるが、災害後おおむね1年以内(大規模な災害の場合その他やむを得ない事情がある場合には、3年以内)に取壊し又は除去したときは、その資産の取壊し又は除去により生じた損失及びその資産の取壊し又は除去に要する費用その他の付随費用の全てを災害損失に含まれるものとして差し支えない。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(登記登録の抹消費用)

707 災害により滅失した被災事業用資産又は損壊し若しくは価値が減少したことにより取壊し若しくは除去した被災事業用資産につき要する登記登録の抹消費用は、令第203条第1号に掲げる「その他の付随費用」に含まれるものとする。

(第三者に対する損害賠償金等)

708 次に掲げるような場合において、損害賠償金、見舞金、弔慰金等として支出する費用は、法第45条第1項第8《必要経費に算入されない損害賠償金》に該当するものを除き、令第203条に規定する費用に含まれるものとする。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

(1) 災害により事業用の建物又は構築物等が倒壊し、その倒壊により第三者に損害を与えた場合

(2) 災害により事業に関連して保管している第三者の物品について損害が生じた場合

(取壊し、除去等に従事した使用人の給与等)

709 災害を受けたことにより使用人を専ら被災事業用資産の取壊し若しくは除去又は原状回復若しくは障害物の除去の作業に従事させることにより支払う給与等は、令第203条に規定する費用に含まれる。

(損壊等を防止するための費用)

7010 事業用資産の災害による損壊等を予測して事前に当該損壊等を防止するために支出する費用(資本的支出に該当するものを除く。)は、その支出した日の属する年分の必要経費に算入されるのであるが、現実に災害による損壊等の事実が生ずるに至らなかった場合又は当該費用が令第203条第3号に掲げる費用に該当しない場合には、当該費用は被災事業用資産の損失とはならないことに留意する。(昭57直所31改正)

(災害関連費用に含まれる被害の発生防止費用)

7011 令第203条第3号に規定する被害の発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用とは、切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいうものとする。
 したがって、被害の発生を予測して支出する費用であっても、修繕等を施す費用は、原則として、同号に規定する費用には該当しないことに留意する。
(昭57直所31、平29課個213、課資33、課審55改正)

(船舶等の捜索費用)

7012 災害により行方不明になった船舶若しくは航空機又は牛馬等の事業用資産の捜索費用等は、令第203条第2号に規定する「その他これらに類する費用」に含まれるものとする。


〔繰越控除の適用要件〕

(更正の請求による更正により純損失の金額があることとなった場合)

7013 法第70条第4項に規定する「純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、」には、提出された確定申告書につき通則法第23((更正の請求))に規定する更正の請求に基づく更正により新たに純損失の金額があることとなった場合も含まれることに留意する。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(更正により純損失の金額が増加した場合)

7014 純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出した場合において、当該確定申告書に記載された純損失の金額又は法第70条第2項各号に掲げる損失の金額が過少であるため更正が行われたときは、その更正後の金額を基として同条第1項又は第2項の規定を適用することに留意する。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(居住者が死亡した場合の繰越控除の適用関係)

7015 法第70条第1項及び第2項に規定する純損失の金額を有する者が死亡した場合には、これらの純損失の金額については、これらの規定の適用はないこととなるのであるから、被相続人の事業を承継した相続人があった場合であっても、当該相続人の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除することができないことに留意する。

() 被相続人の死亡した日の属する年及びその前年において生じた純損失の金額については、法第141条第1項又は第4《相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求》の規定により当該被相続人の死亡した日の属する年の前年分又は前前年分に繰り戻して還付の請求ができることに留意する。


法第71《雑損失の繰越控除》関係

(更正の請求により雑損失の金額があることとなった場合)

711 法第71条第2項に規定する「雑損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、」には、提出された確定申告書につき通則法第23条に規定する更正の請求に基づく更正により新たに雑損失の金額があることとなった場合も含まれることに留意する。(昭57直所315、直法613、直資38追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(更正により雑損失の金額が増加した場合)

712 雑損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出した場合において、当該確定申告書に記載された雑損失の金額が過少であるため更正が行われたときは、その更正後の金額を基として法第71条第1項の規定を適用することに留意する。(昭57直所315、直法613、直資38追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

 

法第72《雑損控除》関係

(事業以外の業務用資産の災害等による損失)

721 不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務(事業を除く。)の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(令第81条第1《譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産》に規定する資産を含み、山林及び生活に通常必要でない資産を除く。)につき災害又は盗難若しくは横領(以下727までにおいて「災害等」という。)による損失が生じた場合において、居住者が当該損失の金額及び令第206条第1項各号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲》に掲げる支出(資本的支出に該当するものを除く。)の額の全てを当該所得の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。この場合において、当該損失の金額の必要経費算入については法第51条第4《資産損失の必要経費算入》の規定に準じて取り扱うものとし、法第72条第1項の規定の適用はないものとする。(平23課個233、課法99、課審446改正)

() この取扱いの適用を受けた資産につき、修繕その他原状回復のため支出した費用の額があるときは、51-3の適用がある。

(資産について受けた損失の金額の計算)

722 令第206条第3項各号に掲げる資産について受けた損失の金額は、個々の資産ごとに、次に掲げる金額のいずれかを基礎として計算することに留意する。(26課個29、課審514追加、令2課個212、課法113、課審56改正)

(1) 損失を生じた時の直前におけるその資産の価額

(2) 令第206条第3項各号に定めるその資産の取得費とされる金額に相当する金額

(原状回復のための支出と資本的支出との区分の特例)

723 災害等により損壊した法第72条第1項に規定する資産について支出した金額で、その金額を当該資産の原状回復のための支出の部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、その金額の30%に相当する額を原状回復のための支出の部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。(昭57直所31改正)

() 上記により計算された原状回復のための支出の額であっても、令第206条第1項第2号ロかっこ書の規定により、法第72条第1項に規定する損失の金額に含まれないものがあることに留意する。

(雑損控除の適用される親族の判定)

724 居住者の配偶者その他の親族が法第72条第1項に規定する「その者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるもの」に該当するかどうかは、次による。

(1) 生計を一にする親族であるかどうかは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の現況により判定する。

イ 資産そのものについて生じた損失につき当該居住者が雑損控除の適用を受けようとする場合 当該損失が生じた日

ロ 令第206条第1項各号に掲げる支出につき当該居住者が雑損控除の適用を受けようとする場合 当該損失が生じた日又は現実に当該支出をした日

(2) 当該親族のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が基礎控除の額に相当する金額以下であるかどうかは、(1)のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ(1)のイ又はロに掲げる日の属する年の1231日の現況により判定する。この場合において、当該居住者が年の中途において死亡し又は出国をしたときは、その死亡又は出国の日において見積もった当該日の属する年分の当該合計額を基礎として法第72条第1項の規定を適用する。

(災害等関連支出の控除年分)

725 令第206条第1項各号に掲げる支出をした場合には、当該支出をした金額はその支出をした日の属する年分の法第72条第1項に規定する損失の金額となるのであるが、その年11日から315日までの間に支出をした金額については、その支出をした日の属する年の前年分(災害等のあった日の属する年以後の年分に限る。)の同項に規定する損失の金額として確定申告を行っている場合は、これを認めるものとする。(平23課個233、課法99、課審446改正)

() 当該確定申告を行っている場合には、その支出をした金額は、その支出をした日の属する年分の当該損失の金額に含まれないことに留意する。

(大規模な災害の意義)

726 令第206条第1項第2号に規定する「大規模な災害」とは、同号イからハまでに掲げる支出その他これらに類する支出が1年を超えて支出されると認められる災害をいうのであるが、大規模災害からの復興に関する法律(平成25年法律第55号)2条第1((定義))に規定する「特定大規模災害」は、同項第2号に規定する「大規模な災害」に該当することに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加)

() この取扱いは、令第203条第2((被災事業用資産の損失に含まれる支出))に規定する「大規模な災害」についても同様であることに留意する。

(保険金等及び災害等関連支出の範囲等)

727 法第72条第1項に規定する「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」の範囲等、盗難品等の返還を受けた場合の処理及び令第206条第1項各号に掲げる支出の範囲等については、37153516から518まで及び706から7012までの取扱いに準ずる。(平30課個219、課審52改正)

(損失の生じた資産の取得費)

728 災害等により法第72条第1項に規定する資産が損壊し、又はその価値が減少した場合において、当該事由が生じた直後における当該資産の価額が、当該事由が生じた直前において当該資産の譲渡又は消滅があったものとして計算した当該資産の取得費に相当する金額に満たないこととなったときは、当該満たない部分の金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。(令2課個212、課法113、課審56改正)

(1) 減価償却資産及び繰延資産 当該事由が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。

(2) (1)以外の資産 当該資産の取得費から控除する。


法第73《医療費控除》関係

(生計を一にする親族に係る医療費)

731 法第73条第1項に規定する「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし、かつ、親族である者に係る医療費をいう。

(支払った医療費の意義)

732 法第73条第1項に規定する「その年中に支払った当該医療費」とは、その年中に現実に支払った医療費をいうのであるから、未払となっている医療費は現実に支払われるまでは控除の対象とならないことに留意する。

(控除の対象となる医療費の範囲)

733 次に掲げるもののように、医師、歯科医師、令第207条第4《医療費の範囲》に規定する施術者又は同条第6号に規定する助産師(以下この項においてこれらを「医師等」という。)による診療、治療、施術又は分べんの介助(以下この項においてこれらを「診療等」という。)を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれるものとする。(平11課所425、平14課個222、課資35、課法810、課審3197、平19課個211、課資31、課法95、課審426改正)

(1) 医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの

(2) 自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用

(3) 身体障害者福祉法第38《費用の徴収》、知的障害者福祉法第27《費用の徴収》若しくは児童福祉法第56《費用の徴収》又はこれらに類する法律の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの並びに(1)及び(2)の費用に相当するもの

(健康診断及び美容整形手術のための費用)

734 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。

(医薬品の購入の対価)

735 令第207条第2号に規定する医薬品とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第1《医薬品の定義》に規定する医薬品をいうのであるが、同項に規定する医薬品に該当するものであっても、疾病の予防又は健康増進のために供されるものの購入の対価は、医療費に該当しないことに留意する。(平26課法1014、課個222、課審527改正)

(保健師等以外の者から受ける療養上の世話)

736 令第207条第5号に掲げる「保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話」とは、保健師助産師看護師法第2《保健師》、第5《看護師》又は第6《准看護師》に規定する保健師、看護師又は准看護師がこれらの規定に規定する業務として行う療養上の世話をいうのであるが、これらの者以外の者で療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話も、これに含まれるものとする。(平14課個222、課資35、課法810、課審3197改正)

(助産師による分べんの介助)

737 令第207条第6号に掲げる「助産師による分べんの介助」には、助産師が行う保健師助産師看護師法第3《助産師》に規定する妊婦、じょく婦又は新生児の保健指導も含まれるものとする。(平14課個222、課資35、課法810、課審3197改正)

(医療費をほてんする保険金等)

738 法第73条第1項かっこ内に規定する「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」(以下7310までにおいて「医療費をほてんする保険金等」という。) には、次に掲げるようなものがあることに留意する。(昭55直所319、直法68、昭60直所321、直資35、平7課所41、課資31、平15課個223、課資37、課法811、課審437、平21課個2-29、課審4-52、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 社会保険又は共済に関する法律その他の法令の規定に基づき支給を受ける給付金のうち、健康保険法第87条第2((療養費))、第97条第1((移送費))、第101((出産育児一時金))、第110((家族療養費))、第112条第1((家族移送費))、第114((家族出産育児一時金))、第115条第1((高額療養費))又は第115条の21((高額介護合算療養費))の規定により支給を受ける療養費、移送費、出産育児一時金、家族療養費、家族移送費、家族出産育児一時金、高額療養費又は高額介護合算療養費のように医療費の支出の事由を給付原因として支給を受けるもの

(2) 損害保険契約又は生命保険契約(これらに類する共済契約を含む。)に基づき医療費のほてんを目的として支払を受ける傷害費用保険金、医療保険金又は入院費給付金等(これらに類する共済金を含む。)

(3) 医療費のほてんを目的として支払を受ける損害賠償金

(4) その他の法令の規定に基づかない任意の互助組織から医療費のほてんを目的として支払を受ける給付金

(医療費をほてんする保険金等に当たらないもの)

739 次に掲げるようなものは、医療費をほてんする保険金等に当たらないことに留意する。(昭57直所38、平7課所41、課資31、平15課個223、課資37、課法811、課審437、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 死亡したこと、重度障害の状態となったこと、療養のため労務に服することができなくなったことなどに基因して支払を受ける保険金、損害賠償金等

(2) 社会保険又は共済に関する法律の規定により支給を受ける給付金のうち、健康保険法第99条第1《傷病手当金》又は第102《出産手当金》の規定により支給を受ける傷病手当金又は出産手当金その他これらに類するもの

(3) 使用者その他の者から支払を受ける見舞金等738(4)に該当するものを除く。)

(医療費をほてんする保険金等の見込控除)

7310 医療費をほてんする保険金等の額が医療費を支払った年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、当該保険金等の見込額に基づいて同項の規定を適用する。この場合において、後日、当該保険金等の確定額と当該見込額とが異なることとなったときは、遡及してその医療費控除額を訂正するものとする。(平23課個233、課法99、課審446改正)

 

法第74《社会保険料控除》及び第75《小規模企業共済等掛金控除》関係

(その年に支払った社会保険料又は小規模企業共済等掛金)

7475-1 法第74条第1項又は第75条第1項に規定する「支払った金額」については、次による。(昭46直審(所)19、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(1) 納付期日が到来した社会保険料又は小規模企業共済等掛金(以下7475-3までにおいてこれらを「社会保険料等」という。)であっても、現実に支払っていないものは含まれない。

(2) 前納した社会保険料等については、次の算式により計算した金額はその年において支払った金額とする。

前納した社会保険料等の総額(前納により割引された場合には、その割引後の金額)×(前納した社会保険料等に係るその年中に到来する納付期日の回数)÷(前納した社会保険料等に係る納付期日の総回数)

() 前納した社会保険料等とは、各納付期日が到来するごとに社会保険料等に充当するものとしてあらかじめ納付した金額で、まだ充当されない残額があるうちに年金等の給付事由が生じたなどにより社会保険料等の納付を要しないこととなった場合に当該残額に相当する金額が返還されることとなっているものをいう。

(前納した社会保険料等の特例)

7475-2 前納した社会保険料等のうちその前納の期間が1年以内のもの及び法令に一定期間の社会保険料等を前納することができる旨の規定がある場合における当該規定 に基づき前納したものについては、その前納をした者がその前納した社会保険料等の全額をその支払った年の社会保険料等として確定申告書又は給与所得者の保険料控除申告書に記載した場合には、7475-1(2)にかかわらず、その全額をその年において支払った社会保険料等の金額として差し支えない。
 なお、この前納した社会保険料等の特例
(以下この項において「特例」という。)を適用せずに確定申告書を提出した場合には、その後において更正の請求をするときにおいても、この特例を適用することはできないことに留意する。(平25課個2-8、課法9-3、課審5-28改正)

(給与から控除される社会保険料等に含まれるもの)

7475-3 健康保険、厚生年金保険若しくは雇用保険の保険料又は確定拠出年金法の規定による個人型年金加入者掛金のように通常給与から控除されることとなっているものは、たまたま給与の支払がないなどのため直接本人から徴収し、退職手当等から控除し、又は労働基準法第76《休業補償》に規定する休業補償のような非課税所得から控除している場合であっても、給与から控除される社会保険料等に含まれるものとする。(平2直法6-5、直所3-6、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(使用者が負担した使用人等の負担すべき社会保険料)

7475-4 役員又は使用人が被保険者として負担すべき社会保険料を使用者が負担した場合には、その負担した金額は、役員又は使用人が支払った又は給与から控除される社会保険料の金額には含まれないものとする。ただし、その負担した金額でその役員又は使用人の給与等として課税されたものは、給与から控除される社会保険料の金額に含まれるものとする。(昭46直審(所)19、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

() 36-32により課税されない少額の社会保険料は、社会保険料控除の対象とはならないが、使用者が負担した小規模企業共済等掛金は、全て給与等として課税され、小規模企業共済等掛金控除の対象となることに留意する。

(在勤手当に係る保険料、掛金等)

7475-5 法第74条第2項本文かっこ内に規定する「第9条第1項第7(在勤手当の非課税)に掲げる給与に係るもの」とは、同号に掲げる給与を含めた給与等の総額について計算される保険料、掛金等の金額から、同号に掲げる給与を支払わないものとした場合に計算される保険料、掛金等の金額を控除した金額に相当する保険料、掛金等をいうものとする。

(被保険者が負担する療養の費用)

7475-6 国民健康保険に基づく療養の給付を受けた者が負担する療養の費用は、告知書等に基づいて保険者(市町村、特別区又は国民健康保険組合をいう。)に納付する場合においても、法第74条第2項第2号に掲げる国民健康保険の保険料又は国民健康保険税ではないことに留意する。(昭60直所3-21、直資3-5改正)

() 上記により納付した費用は、医療費控除の適用に当たっては、支払った医療費となる。

 

法第76《生命保険料控除》関係

(控除の対象となる生命保険料等)

761 法第76条第1項に規定する「新生命保険料」(766において「新生命保険料」という。)、同項に規定する「旧生命保険料」(762において「旧生命保険料」という。)、同条第2項に規定する「介護医療保険料」、同条第3項に規定する「新個人年金保険料」(768において「新個人年金保険料」という。)又は同項に規定する「旧個人年金保険料」(768において「旧個人年金保険料」という。)に該当するかどうかは、保険料又は掛金を支払った時の現況により判定する。(昭60直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36、平23課個233、課法99、課審446改正)

(旧個人年金保険契約等の特約に係る保険料等)

762 疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等(法第76条第1項に規定する保険金等をいう。)を支払う旨の特約(766において「疾病等に係る特約」という。)が付されている旧個人年金保険契約等(法第76条第9項に規定する「旧個人年金保険契約等」をいう。763766及び768において同じ。)に係る保険料又は掛金のうち、当該特約に係る保険料又は掛金は、旧生命保険料に該当することに留意する。(平2直法65、直所36追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(支払った生命保険料等の金額)

763 法第76条第1項第1号に規定する「支払った新生命保険料の金額」、同項第2号に規定する「支払った旧生命保険料の金額」、同条第2項各号に規定する「支払った介護医療保険料の金額」、同条第3項第1号に規定する「支払った新個人年金保険料の金額」又は同項第2号に規定する「支払った旧個人年金保険料の金額」については、次による。(昭60直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 生命保険契約等(法第76条第5項に規定する「新生命保険契約等」(766において「新生命保険契約等」という。)、同条第6項に規定する「旧生命保険契約等」(766において「旧生命保険契約等」という。)、同条第7項に規定する「介護医療保険契約等」(766において「介護医療保険契約等」という。)、同条第8項に規定する「新個人年金保険契約等」(766及び768において「新個人年金保険契約等」という。)及び旧個人年金保険契約等をいう。765767及び768において同じ。)に基づく保険料又は掛金(以下766までにおいて「生命保険料等」という。)で払込期日が到来したものであっても、現実に支払っていないものは含まれない。

(2) その年中にいわゆる振替貸付けにより生命保険料等の払込みに充当した金額は、その年において支払った金額とする。

()

1 いわゆる振替貸付けとは、払込期日までに生命保険料等の払込みがない契約を有効に継続させるため、保険約款等に定めるところにより保険会社等が生命保険料等の払込みに充当するために貸付けを行い、その生命保険料等の払込みに充当する処理を行うことをいう。

2 いわゆる振替貸付けにより生命保険料等に充当した金額を後日返済しても、その返済した金額は支払った生命保険料等には該当しない。

(3) 前納した生命保険料等については、次の算式により計算した金額をその年において支払った金額とする。

前納した生命保険料等の総額(前納により割引された場合にはその割引後の金額)×(前納した生命保険料等に係るその年中に到来する払込期日の回数)÷(前納した生命保険料等に係る払込期日の総回数)

() 前納した生命保険料等とは、各払込期日が到来するごとに生命保険料等の払込みに充当するものとしてあらかじめ保険会社等に払い込んだ金額で、まだ充当されない残額があるうちに保険事故が生じたなどにより生命保険料等の払込みを要しないこととなった場合に当該残額に相当する金額が返還されることとなっているものをいう。

(4) いわゆる団体扱いにより生命保険料等を払い込んだ場合において、生命保険料等の額が減額されるときは、その減額後の額を支払った金額とする。

(使用者が負担した使用人等の負担すべき生命保険料等)

764 役員又は使用人の負担すべき生命保険料等を使用者が負担した場合には、その負担した金額は役員又は使用人が支払った生命保険料等の金額には含まれないものとする。ただし、その負担した金額でその役員又は使用人の給与等として課税されたものは、その役員又は使用人が支払った生命保険料等の金額に含まれるものとする。(昭和60直所31、直法61、直資31、昭63直法67、直所38、平2直法65、直所36改正)

() 3631から36316までにより給与等として課税されない生命保険料等及び3632により給与等として課税されない少額の生命保険料等は、いずれも生命保険料控除の対象とはならない。

(保険金等の支払とともに又は保険金等の支払開始の日以後に分配を受ける剰余金等)

765 生命保険契約等に基づく剰余金の分配又は割戻金の割戻しで、その契約に基づく生命保険料等の払込みを要しなくなった後において保険金、年金又は共済金等の支払開始の日以後に支払を受けるものは、法第76条第1項第1号イ若しくは第2号イ、同条第2項第1号又は同条第3項第1号イ若しくは第2号イのかっこ内に規定する剰余金の分配又は割戻金の割戻しには該当しないものとする。(昭60直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36、平23課個233、課法99、課審446改正)

(支払った生命保険料等の金額の合計額の計算)

766 2口以上の新生命保険契約等(新個人年金保険契約等を除く。以下この項において同じ。)を締結している者に係る法第76条第1項第1号に規定する「その年中に支払った新生命保険料の金額の合計額」は、例えば、甲生命保険会社と締結したAの契約については剰余金の分配を受けるだけであり、乙生命保険会社と締結したBの契約については新生命保険料を支払っているだけであるような場合、Bの契約について支払った新生命保険料の金額からAの契約について受けた剰余金の額を控除して計算することに留意する。
 2口以上の旧生命保険契約等
(旧個人年金保険契約等を除き、当該旧個人年金保険契約等に付されている疾病等に係る特約を含む。以下この項において同じ。)を締結している者に係る同項第2号に規定する「その年中に支払った旧生命保険料の金額の合計額」の計算、介護医療保険契約等を締結している者に係る同条第2項第1号に規定する「その年中に支払った介護医療保険料の金額の合計額」の計算、新個人年金保険契約等を締結している者に係る同条第3項第1号に規定する「その年中に支払った新個人年金保険料の金額の合計額」の計算及び旧個人年金保険契約等(当該旧個人年金保険契約等に付されている疾病等に係る特約を除く。以下この項において同じ。)を締結している者に係る同項第2号に規定する「その年中に支払った旧個人年金保険料の金額の合計額」の計算についても、それぞれ同様とする。(昭60直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36、平23課個233、課法99、課審446改正)

() 新生命保険契約等について受けた剰余金又は割戻金(当該剰余金又は割戻金をもって生命保険料等の払込みに充てた場合の当該剰余金又は割戻金を含む。)は、旧生命保険契約等、介護医療保険契約等、新個人年金保険契約等又は旧個人年金保険契約等に係る保険料又は掛金からは控除しないことに留意する。
 旧生命保険契約等、介護医療保険契約等、新個人年金保険契約等及び旧個人年金保険契約等について受けた剰余金又は割戻金についても、それぞれ同様とする。

(保険会社等に積み立てられた剰余金等で生命保険料等の金額から控除するもの)

767 生命保険契約等に基づき分配又は割戻しを受けるべきことが確定した剰余金又は割戻金で、保険約款等に定めるところにより保険会社等に積み立てておき、契約者から申出のあったときに随時払い戻すこととしているものは、その積み立てた時に分配又は割戻しがあったものとして法第76条第1項第1号イ若しくは第2号イ、同条第2項第1号又は同条第3項第1号イ若しくは第2号イのかっこ内の規定を適用する。(昭60直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36、平23課個233、課法99、課審446改正)

(生命保険料の金額を超えて剰余金の分配を行うこととなっている場合の取扱い)

768 保険約款等に定めるところにより、その年において支払うべき保険料又は掛金の金額を超えて剰余金の分配が行われることとなっているため、令第211条第1号ニの要件に該当しない契約であっても、当該契約を締結している保険会社等に新個人年金保険契約等又は旧個人年金保険契約等(以下この項において「個人年金保険契約等」という。)を締結している場合で、当該保険約款等の定めるところによりその超える部分の剰余金の額を当該個人年金保険契約等に係る一時払の新個人年金保険料又は旧個人年金保険料に充てることとなっているときは、当該契約は同号ニの要件に該当するものとして取り扱って差し支えない。
 この場合において、法第76条第3項第1号イに規定する「その年中に支払った新個人年金保険料の金額の合計額」又は同項第2号イに規定する「その年中に支払った旧個人年金保険料の金額の合計額」は、それぞれ同項第1号又は第2号の規定にかかわらず766に準じて計算するものとする。
(昭60直所31、直法61、直資31追加、平2直法65、直所36、平13課個230、課資33、課法89、平23課個233、課法99、課審446改正)

 

法第77《地震保険料控除》関係

(賦払の契約により購入した資産)

771 賦払の契約により購入した資産で、その契約において代金完済後に所有権を移転する旨の特約が付されているものであっても、常時その居住の用又は日常の生活の用に供しているものは、その者が所有する資産として、法第77条第1項の規定を適用することができるものとする。

(居住の用に供する家屋)

772 法第77条第1項に規定する居住の用に供する家屋については、次のことに留意する。(平18課個27、課資32、課審489改正)

(1) 居住の用と事業等の用とに併用している家屋は、居住の用に供している部分だけが居住の用に供する家屋に該当すること。

(2) 次に掲げるようなもので居住の用に供する家屋と一体として居住の用に供していると認められるものは、居住の用に供する家屋に含まれること。

イ 門、塀又は物置、納屋その他の附属建物

ロ 電気、ガス、暖房又は冷房の設備その他の建物附属設備

() 通常の損害保険約款等によれば、イに掲げるものは保険証券等に明記されていない限り保険等の目的に含まれないものとされ、ロに掲げるものは特約のない限り保険等の目的に含まれるものとされている。

(損害保険契約等に基づく責任開始日前に支払った地震保険料)

773 損害保険契約等(法第77条第2項に規定する損害保険契約等をいう。以下この項及び77-5において同じ。)に基づく責任開始日(保険会社等において損害についててん補責任を生ずる日をいう。以下この項において同じ。)前に支払った当該損害保険契約等に係る地震保険料(法第77条第1項に規定する地震保険料をいう。以下777までにおいて同じ。)については、現実の支払の日によらず、その責任開始日において支払ったものとする。(平18課個27、課資32、課審489改正)

(一の契約に基づく地震保険料のうちに控除の対象となるものとならないものとがある場合の区分)

775 法第77条第1項に規定する家屋又は資産(以下この項及び次項において「居住用資産」という。)と事業用の家屋、商品等とが一括して保険又は共済(以下この項及び次項において「保険等」という。)の目的とされている場合のように一の損害保険契約等に基づく保険等の目的とされた資産のうちに居住用資産とそれ以外の資産とが含まれている場合には、その契約に基づいて支払った地震保険料のうち居住用資産に係るものだけが控除の対象となることに留意する。この場合において、保険等の目的とされた資産ごとの地震保険料が保険証券等に明確に区分表示されていないときは、次の算式により計算した金額を居住用資産に係る地震保険料の金額とする。(昭63直所33、直法62、直資32、平18課個27、課資32、課審489改正)

(1) 居住の用と事業等の用とに併用する資産が保険等の目的とされた資産に含まれていない場合

その契約に基づいて支払った地震保険料の金額×(居住用資産に係る保険金額又は共済金額)÷(その契約に基づく保険金額又は共済金額の総額)

(2) 居住の用と事業等の用とに併用する資産が保険等の目的とされた資産に含まれている場合

居住用資産につき(1)により計算した金額+〔その契約に基づいて支払った地震保険料の金額×(居住の用と事業等の用とに併用する資産に係る保険金額又は共済金額)÷(その契約に基づく保険金額又は共済金額の総額)×その資産の居住の用に供している割合〕

() 店舗併用住宅のように居住の用に供している部分が一定しているものについては、次の割合を居住の用に供している割合として差し支えない。

(居住の用に供している部分の床面積)÷(その家屋の総床面積)

(店舗併用住宅等について支払った地震保険料の特例)

776 保険等の目的とされている家屋を、店舗併用住宅のように居住の用と事業等の用とに併用している場合であっても、その家屋の全体のおおむね90%以上を居住の用に供しているときは、その家屋について支払った地震保険料の全額を居住用資産に係る地震保険料の金額として差し支えない。(平18課個27、課資32、課審489改正)

(支払った地震保険料の金額等)

777 法第77条第1項に規定する支払った地震保険料の金額、使用者が負担した使用人等の負担すべき地震保険料及び同項かっこ内に規定する剰余金又は割戻金については、763から767までの取扱いに準ずる。(平2直所39、直法67、平18課個27、課資32、課審489改正)

 

法第78《寄附金控除》関係

(支出した場合の意義)

781 法第78条第1項に規定する「特定寄附金を支出した場合」とは、同条第2項に規定する特定寄附金を現実に支払ったことをいうから、当該特定寄附金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)は、現実の支払には該当しないことに留意する。(昭51直所31、直法61、直資31、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(入学に関してする寄附金の範囲)

782 法第78条第2項本文かっこ内に規定する「学校の入学に関してするもの」とは、自己又は子女等の入学を希望する学校に対してする寄附金で、その納入がない限り入学を許されないこととされるものその他当該入学と相当の因果関係のあるものをいうものとする。この場合において、入学願書受付の開始日から入学が予定される年の年末までの期間内に納入したもの(入学決定後に募集の開始があったもので、新入生以外の者と同一の条件で募集される部分を除く。)は、原則として、「入学と相当の因果関係のあるもの」に該当するものとする。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(入学に関してする寄附金に該当するもの)

783 法第78条第2項本文かっこ内に規定する「入学に関してするもの」については、次のことに留意する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

1 自己又は子女等の入学を希望して支出する寄附金は、入学辞退等により結果的に入学しないこととなった場合においても、これに該当すること。

2 自己又は子女等が入学する学校に対して直接支出する寄附金のほか、当該学校と特殊の関係にある団体等に対して支出するものもこれに該当すること。

(国等に対する寄附金)

784 法第78条第2項第1号に規定する国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体(以下787までにおいて「国等」という。)において採納される寄附金をいうのであるが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に関する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものは、これに該当する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等)

785 災害救助法が適用される市町村の区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条第1《都道府県地域防災計画》の都道府県地域防災計画又は同法第42条第1《市町村地域防災計画》の市町村地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対して、拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第78条第2項第1号の地方公共団体に対する寄附金に該当するものとする。(平13課個230、課資33、課法89、平20課個217、課審4186、課法93、令元課個222、課法113、課審512改正)

(注) 海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることに留意する。

(最終的に国等に帰属しない寄附金)

786 国等に対して採納の手続を経て支出した寄附金であっても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかであるなど最終的に国等に帰属しないと認められるものは、国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(公共企業体等に対する寄附金)

787 日本中央競馬会等のように全額政府出資により設立された法人又は日本下水道事業団等のように地方公共団体の全額出資により設立された法人に対する寄附金は、国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。(昭63直所33、直法62、直資32、平11課所425、平17課個223、課資35、課法86、課審4113、平20課個217、課審4186、課法93改正)

(個人の負担すべき寄附金を法人が支出した場合)

788 個人の負担すべき法第78条第2項各号に掲げる寄附金を法人が支出した場合において、当該法人又は個人に対する法人税法又は所得税法の適用上当該寄附金が当該個人に対する給与等とされたときは、当該給与等とされた金額は当該個人が支出した寄附金として同条の規定を適用する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金)

789 法第78条第2項第3号に規定する「出資に関する業務に充てられることが明らかなもの」とは、例えば、次のようなものが該当する。(令3課個2-10、課法11-28、課審5-4追加)
 (1) 寄附金の使途を出資業務に限定して募集されたもの
 
(2) 出資業務に使途を指定して行われたもの

 

法第79《障害者控除》関係

(障害者控除を受ける場合の配偶者控除等)

791 障害者である同一生計配偶者又は扶養親族が居住者の控除対象配偶者に該当し、かつ、他の居住者の控除対象扶養親族に該当する場合又は2以上の居住者の控除対象扶養親族に該当する場合において、当該障害者である控除対象配偶者又は控除対象扶養親族につき、一の居住者が配偶者控除又は扶養控除の規定の適用を受け、他の居住者が障害者控除の規定の適用を受けるようなことはできないことに留意する。(平22課個216、課法91、課審430、平29課法1013、課個222、課審58改正)

(年の中途で死亡した居住者等の障害者である扶養親族等とされた者に係る障害者控除)

792 年の中途において死亡し又は出国をした居住者の障害者である同一生計配偶者又は扶養親族について、その居住者が障害者控除の適用を受けた場合であっても、その後その年中において相続人等他の居住者の同一生計配偶者又は扶養親族にも該当するときは、当該他の居住者が自己の障害者である同一生計配偶者又は扶養親族として障害者控除の適用を受けることができることに留意する。(平22課個216、課法91、課審430追加、平29課法1013、課個222、課審58改正)


法第80《寡婦控除》関係

(配偶者控除を受ける場合の寡婦控除)

801 年の中途において夫と死別した妻でその年において寡婦に該当するものについては、たとえその者が死別した夫につき配偶者控除の規定の適用を受ける場合であっても、寡婦控除の規定の適用があることに留意する。(昭57直所31、令2課個212、課法113、課審56改正)

法第81《ひとり親控除》関係

(配偶者控除を受ける場合のひとり親控除) 

811 年の中途において夫又は妻と死別した妻又は夫でその年においてひとり親に該当するものについては、たとえその者が死別した夫又は妻につき配偶者控除の規定の適用を受ける場合であっても、ひとり親控除の規定の適用があることに留意する。(令2課個2-12、課法11-3、課審5-6追加)


法第83条から第84条まで(配偶者控除、配偶者特別控除及び扶養控除)関係

(年の中途で死亡した居住者等の控除対象扶養親族等とされた者に係る扶養控除等)

83から841 年の中途において死亡し又は出国をした居住者の控除対象配偶者若しくは法第83条の21項に規定する生計を一にする配偶者(控除対象配偶者を除く。以下この項において「配偶者」という。)又は控除対象扶養親族として控除された者であっても、その後その年中において相続人等他の居住者の控除対象配偶者若しくは配偶者又は控除対象扶養親族にも該当する者については、当該他の居住者が自己の控除対象配偶者若しくは配偶者又は控除対象扶養親族として控除することができることに留意する。(昭63直所33、直法62、直資32、平22課個216、課法91、課審430改正)


法第85《扶養親族等の判定の時期等》関係

(年の中途において死亡した者等の親族等が扶養親族等に該当するかどうかの判定)

851 年の中途において死亡し又は出国をした居住者の配偶者その他の親族(法第2条第1項第34((定義))に規定する児童及び老人を含む。以下この項において「親族等」という。)がその居住者の同一生計配偶者若しくは法第83条の21項に規定する生計を一にする配偶者(控除対象配偶者を除く。以下この項において「配偶者」という。)又は扶養親族に該当するかどうかの判定に当たっては、次によるものとする。(昭60直所321、直資35、昭63直所33、直法62、直資32、平元直所314、直法69、直資38、平22課個216、課法91、課審430、平29課法1013、課個222、課審58改正)

(1) 当該親族等がその居住者と生計を一にしていたかどうか、及び親族関係(法第2条第1項第34号に規定する児童及び老人にあっては、同号に規定する関係)にあったかどうかは、その死亡又は出国の時(その年11日から当該時までに死亡した親族等については、当該親族等の死亡の時)の現況により判定する。

(2) 当該親族等が同一生計配偶者若しくは配偶者又は扶養親族に該当するかどうかは、その死亡又は出国の時の現況により見積もったその年11日から1231日までの当該親族等の合計所得金額により判定する。

(扶養親族等の所属の変更)

852 令第218条第1項ただし書((2以上の居住者がある場合の同一生計配偶者の所属))又は第219条第1項ただし書((2以上の居住者がある場合の扶養親族の所属))の規定により同一生計配偶者又は扶養親族(以下この項において「扶養親族等」という。)の所属を変更しようとする場合には、自己の扶養親族等を増加させようとする者及び減少させようとする者の全員がその所属の変更を記載した令第218条第1項に規定する申告書等を提出しなければならないことに留意する。(平22課個216、課法91、課審430追加、平29課法1013、課個222、課審58改正)

() したがって、確定申告書の提出によりその所属を変更しようとする場合には、自己の扶養親族等を減少させようとする者のうちに確定申告書の提出を要しない者がいるときであっても、その者を含めた全員が確定申告書を提出しなければならない。

 

 

法第120《確定所得申告》関係

(総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の意義)

120-1 法第120条第1項本文に規定する「その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額」とは、法及びその他の法令の規定により確定申告書の提出又は確定申告書への記載若しくは明細書等の添付を要件として適用される特例等は、全て適用しないで計算した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいうものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

215日以前に提出された確定申告書の受理)

120-2 その年分の確定申告書(法第122条第1《還付等を受けるための申告》に規定する申告書を除く。)がその年の翌年215日以前に提出された場合には、当該申告書は通則法第17条第2《期限内申告》に規定する期限内申告書に該当するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平29課個213、課資33、課審55、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(記載事項の一部を欠いた申告書が提出された場合)

120-3 法第120条第1項各号及び規則第47((確定所得申告書の記載事項))に規定する記載事項の一部を欠いた確定申告書又はその申告書に記載されたところによれば法第120条第1項の規定に該当しない者から提出された申告書は、通則法第2条第6((定義))に規定する納税申告書に該当するものとする。したがって、当該申告書に係る年分の課税標準等又は税額等につきその後に行う処分は、決定ではなく、更正となることに留意する。(平24課個2-32、課審5-27改正)

(注) 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関 する特別措置法(以下124125-3において「復興財確法」という。)17条第1項各号及び復興特別所得税に関する省令第3((課税標準及び税額の申告))に規定する記載事項に関しても同様とする。

(同一人から2以上の申告書が提出された場合)

120-4 法定申告期限内に同一人から法第120条に規定する申告書、法第122条に規定する申告書又は法第123《確定損失申告》に規定する申告書のうち種類を異にするものが2以上又は種類を同じくするものが2以上提出された場合には、特段の申出(法定申告期限内における申出に限る。)がない限り、当該2以上の申告書のうち最後に提出された申告書をもって、それぞれの規定により提出された申告書とする。

(注) 上記の取扱いは、法定申告期限内においては、事務に支障のない限り、申告書の差替えを認める趣旨のものであるから、先に提出された申告書に還付金が記載されており、かつ、その還付金につき既に還付の処理が行われていたような場合には、この取扱いは適用できないことに留意する。

(農業と農業以外の業務を営む場合の収支内訳書の作成)

120-5 事業所得を生ずべき業務のうち農業と農業以外の業務を営む場合には、収支内訳書は各別に作成するものとする。(昭60直所3-21、直資3-5追加)

(注) 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務に係る収支内訳書は、各別に作成することに留意する。

(学術、技芸の習得のため国外に居住することとなった親族が国外居住親族に該当するかどうかの判定)

120-6 学術、技芸の習得のため国外に居住することとなった親族が、法第120条第3項第2((確定所得申告))に規定する非居住者である親族に該当するかどうかについては、3-2((学術、技芸を習得する者の住所の判定))により判定することに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加)

2以上の書類により居住者の親族に該当する旨が証明される場合の親族関係書類)

120-7 規則第47条の25((確定所得申告書に添付すべき書類等))に規定する書類(以下この項において「親族関係書類」という。)について、国若しくは地方公共団体又は外国政府若しくは外国の地方公共団体が発行した2以上の書類により令第262条第3項第1号イからハまで((確定申告書に関する書類等の提出又は提示))に掲げる者(以下120-9までにおいて「国外居住親族」という。)が確定申告書を提出する居住者の親族に該当する旨が証明される場合における当該2以上の書類は、親族関係書類に該当することに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加、平28課個2-22、課審5-18改正)

(注) 規則第47条の25項第2号に掲げる書類について、外国政府又は外国の地方公共団体が発行した2以上の書類により国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所が明らかとなる場合における当該2以上の書類は、同号に掲げる書類に該当することに留意する。

(送金関係書類の範囲)

120-8 規則第47条の26項各号に掲げる書類(以下120-9までにおいて「送金関係書類」という。)は、同項の居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人別に行ったことを明らかにするものをいうのであるから、居住者が一の国外居住親族に対して他の国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を行った場合における当該支払に係る送金関係書類については、他の国外居住親族に係る送金関係書類には該当しないことに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加、平28課個2-22、課審5-18改正)

(その年に3回以上の支払を行った居住者の送金関係書類の提出又は提示)

120-9 居住者が国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、その年に同一の国外居住親族に3回以上行った場合の送金関係書類の提出又は提示については、その年の全ての送金関係書類の提出又は提示に代えて、次に掲げる事項を記載した明細書の提出及び各国外居住親族のその年の最初と最後の支払に係る送金関係書類の提出又は提示として差し支えない。
 この場合において、居住者は提出又は提示しなかった送金関係書類を保管するものとし、税務署長は必要があると認める場合には当該送金関係書類を提出又は提示させることができるものとする。
(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加、平28課個2-22、課審5-18改正)

1. 1 居住者の氏名及び住所

2. 2 支払を受けた国外居住親族の氏名

3. 3 支払日

4. 4 支払方法(規則第47条の26項第1号又は第2号の支払方法の別)

5. 5 支払額

(注) 支払日とは、次に掲げる書類の区分に応じ、それぞれ次に定める日をいう。

1.      1 規則第47条の26項第1号に掲げる書類 居住者が国外居住親族に生活費又は教育費に充てるための金銭を送金した日

2.      2 規則第47条の26項第2号に掲げる書類 国外居住親族が同号に規定する特定の販売業者又は特定の役務提供事業者に同号に規定するクレジットカ-ド等を提示又は通知をした日


法第121《確定所得申告を要しない場合》関係

(確定所得申告を要しない者から提出された確定申告書)

121-1 申告書に記載されたところによれば法第121条各項の規定に該当することとなる者から提出された次に掲げる申告書は、法第123条第1《確定損失申告》の規定に該当するものを除き、当該申告書の記載内容に応じ、それぞれ次に掲げる申告書に該当するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

1.   1 還付金の額(法第122条第1項第1号から第3号まで《還付等を受けるための申告》に掲げる金額をいう。)が記載されている申告書 同条の規定により提出された申告書

2.   21以外の申告書 法第120《確定所得申告》の規定により提出された申告書

(確定所得申告を要しない者から提出された確定申告書の撤回)

121-2 申告書に記載されたところによれば法第121条各項の規定に該当することとなる者から提出された申告書で第3期分の税額が記載されているものにつき、これらの者から当該申告書を撤回したい旨の書面による申出があったときは、その申出の日に当該申告書の撤回があったものとし、当該申告書に係る既納の第3期分の税額を還付する。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(注)

1

申告書を撤回した者は、改めて確定申告書を提出するまでの間は、無申告者となることに留意する。

2

当該第3期分の税額に係る過誤納金については、その撤回の日に更正の請求に基づく更正があったものとして通則法第58条第1《還付加算金》の規定を適用するものとする。

(役員から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者の意義)

121-3 令第262条の24《給与所得以外の所得が少額であっても確定申告書の提出を要する場合》に規定する「役員から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者」とは、同族会社の役員から給付を受ける金銭その他の資産又はその給付を受けた金銭その他の資産の運用によって生ずる収入を日常生活の資の主要部分としている者をいう。

(一の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合)

121-4 法第121条第1項第1号に規定する一の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合とは、その年中の同一時点においては2以上の給与等の支払者から給与等の支払を受けることがない場合をいうのであるが、2以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合であっても、当該給与等の全部について法第190《年末調整》の規定が適用されるときは、これに該当するものとする。

(確定所得申告を要しない規定が適用されない給与所得者)

121-5 次に掲げる者については、その年中に支払を受けるべき給与等の金額の合計額が法第121条第1項本文に規定する金額以下である場合であっても、同項の規定は適用されないことに留意する。

1.   1 法第184《源泉徴収を要しない給与等の支払者》の規定により源泉徴収をすることを要しない常時2人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者から給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者

2.   2  国際慣例により源泉徴収をする義務がないものとされる在日大公使館又は在日外交官から給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者

3.   3 国外において給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者

(給与所得及び退職所得又は公的年金等に係る雑所得以外の所得金額の計算)

121-6 法第121条第1項第1号に規定する「給与所得及び退職所得以外の所得金額」又は同条第3項に規定する「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」とは、法及びその他の法令の規定により確定申告書の提出又は確定申告書への記載若しくは明細書等の添付を要件として適用される特例等を適用しないで計算した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額から、給与所得の金額及び退職所得の金額の合計額又は公的年金等に係る雑所得の金額及び退職所得の金額の合計額を控除した金額をいうものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

 

法第122《還付等を受けるための申告》関係

(還付等を受けるための申告書に係る更正の請求)

1221 法第122条に規定する申告書についても、通則法第23《更正の請求》の規定の適用があることに留意する。この場合において、同条第1項に規定する「当該申告書に係る国税の法定申告期限」とあるのは、「当該申告書を提出した日」と読み替えるものとする。


法第124《確定申告書を提出すべき者等が死亡した場合の確定申告》及び
125《年の中途で死亡した場合の確定申告》関係

(相続人が提出する還付を受けるための申告書の記載事項)

1241251 法第122条第1《還付等を受けるための申告》に規定する申告書を提出することができる者がその年の翌年11日以後当該申告書を提出しないで死亡した場合において、その相続人が当該申告書を提出しようとするときは、当該申告書に令第263条第1《死亡の場合の確定申告の特例》に規定する事項を記載し、同条第2項及び第3項に規定するところにより提出することに留意する。(平20課個217、課審4186、課法93改正)

(提出期限後に死亡した場合の相続人の申告)

1241252 法第120条第1《確定所得申告》に規定する申告書を提出すべき者又は第123条第1《確定損失申告》に規定する申告書を提出することができる者がこれらの申告書を提出しないでこれらの申告書の提出期限後に死亡した場合には、法第124条の規定の適用はなく、相続人が提出するこれらの申告書は、期限後申告書となることに留意する。

(注) 被相続人につき災害その他やむを得ない理由があったため通則法第11《災害等による期限の延長》の規定によりこれらの申告書の提出期限が延長されていた場合において、その者がその延長された提出期限までの間に死亡したときは、その相続人が法第124条の規定によりこれらの申告書を提出することとなることに留意する。

(あん分税額の端数計算)

1241253 規則第49条第3((死亡の場合の確定申告書の記載事項))に掲げる額(復興特別所得税に関する省令第3条第2項において準用する場合を含む。)は、所得税の確定金額及び復興特別所得税の確定金額の合計額に復興財確法第24条第2項の規定を適用した後の金額を規則第49条第1号の各相続人の相続分によりあん分して計算した額に相当する額とする。
 この場合において、当該相当する額に100円未満の端数がある場合又はその全額が100円未満である場合は、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
(平24課個232、課審527改正)

(年の中途で死亡した場合における所得控除)

1241254 法第125条の規定により確定申告書を提出する場合において、次に掲げる所得控除額については、それぞれ次によるものとする。(昭46直審(所)19、昭63直所33、直法62、直資32、平18課個27、課資32、課審489、平20課個217、課審4186、課法93、平23課個233、課法99、課審446、平29課法1013、課個222、課審58改正)

1 雑損控除額 死亡の日までに生じた損失の金額及び同日までに支出した令第206条第1項各号((雑損控除の対象となる雑損失の範囲))に掲げる支出の金額の合計額(保険金、損害賠償金等によりほてんされる部分の金額を除く。)を基礎として計算する。

2 医療費控除額 死亡の日までに支払った医療費の合計額(保険金、損害賠償金等によりほてんされる部分の金額を除く。)を基礎として計算する。

3 社会保険料控除額、小規模企業共済等掛金控除額、生命保険料控除額及び地震保険料控除額 死亡の日までに支払ったこれらの保険料又は掛金のそれぞれの合計額(同日までに支払を受ける剰余金等の額に相当する金額を除く。)を基礎として計算する。

4 寄附金控除額  死亡の日までに支出した特定寄附金の額の合計額を基礎として計算する。

(注) 年の中途において死亡した者の配偶者その他の親族等がその者の同一生計配偶者若しくは法第83条の21項に規定する生計を一にする配偶者又は扶養親族に該当するかどうかの判定については、851参照


法第127《年の中途で出国をする場合の確定申告》関係

(年の中途で出国をする場合における所得控除)

1271 法第127条の規定により確定申告書を提出する場合における所得控除額の計算については、1241254の取扱いに準ずる。


法第132《延払条件付譲渡に係る所得税額の延納》関係

(延払条件付譲渡に係る譲渡に含まれるもの)

1321 法第132条第3項に規定する譲渡には、令第79《資産の譲渡とみなされる行為》に規定する行為が含まれるものとする。


法第140《純損失の繰戻しによる還付の請求》及び第141《相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求》関係

(青色申告書を提出する居住者の意義)

1401411 法第140条第1項に規定する「青色申告書を提出する居住者」には、法第124条第1項又は第2《確定申告書を提出すべき者等が死亡した場合の確定申告》の規定に該当して青色申告書を提出する相続人も含まれることに留意する。この場合において、当該相続人が提出する法第142条第1《純損失の繰戻しによる還付の手続等》に規定する還付請求書(以下1421までにおいて「還付請求書」という。)の記載事項等については、令第273《相続人等による還付の請求》及び規則第54条第2《純損失の繰戻しによる還付請求書の記載事項》の規定に準ずるものとする。

(還付金の限度額となる前年分の所得税の額)

1401412 法第140条第1項各号に掲げる所得税の額は、各種の税額控除前の所得税の額をいうのであるが、同条第2項に規定する還付金の限度額となる前年分の所得税の額(附帯税を除く。)は、法第120条第1項第3《確定所得申告》に掲げる各種の税額控除後の所得税の額をいうことに留意する。

(繰戻しによる還付請求書が青色申告書と同時に提出されなかった場合)

1401413 還付請求書が青色申告書と同時に提出されなかった場合でも、同時に提出されたかったことについて税務署長においてやむを得ない事情があると認めるときは、これを同時に提出されたものとして法第140条第1項又は第141条第1項の規定を適用して差し支えない。

(端数計算)

1401414 法第140条第1項各号又は第141条第1項各号に掲げる所得税の額を計算するに当たっては、通則法第118条第1《国税の課税標準の端数計算等》及び第119条第1《国税の確定金額の端数計算等》の規定を準用する。


法第142《純損失の繰戻しによる還付の手続等》関係

(その年分に生じた純損失の金額又は前年分の総所得金額等が異動した場合)

1421 法第142条第2項の規定により所得税の額を還付した後において、その年分に生じた純損失の金額又は前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額若しくは課税山林所得金額に異動が生じた場合には、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次によるものとする。この場合において、還付すべき税額を増額し又は減額するときは、還付請求書について更正することに留意する。

1 その年分に生じた純損失の金額が異動した場合

イ 純損失の金額が増加した場合
 当該増加した部分の純損失の金額は繰戻しをすることができないものとし、当該金額については、法第70条第1
《純損失の繰越控除》の規定を適用する。

ロ 純損失の金額が減少した場合
 既に還付した金額のうち、当該減少した部分の純損失の金額に対応する部分の金額を徴収する。ただし、純損失の金額の一部を繰り戻している場合には、まず、法第70条第1項の規定により繰越控除の対象となる純損失の金額を減額し、なお減額しきれない部分の金額があるときに限り、当該減額しきれない部分の金額に対応する還付金の額を徴収する。

2 前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額が異動した場合

イ 所得金額が増加した場合
 当該増加した後の所得金額及び既に還付した金額の計算の基礎とされた純損失の金額を基として、法第140条第1項から第3項まで
《純損失の繰戻しによる還付の請求》及び第141条第1項から第3項まで《相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求》の規定により計算した金額と既に還付した金額との差額を還付する。

ロ 所得金額が減少した場合
 当該減少した後の所得金額及び既に還付した金額の計算の基礎とされた純損失の金額を基として、法第140条第1項から第3項まで又は第141条第1項から第3項までの規定により計算した金額と既に還付した金額との差額を徴収する。この場合において、当該差額を徴収することにより繰戻しの利益を受けないこととなった部分の純損失の金額については、法第70条第1項の規定を適用する。

 

法第143《青色申告》関係

(業務を行う居住者)

1431 法第143条に規定する「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者」とは、不動産所得の基因となる資産を貸付け(地上権の設定その他他人に当該資産を使用させることを含む。)、事業所得を生ずべき事業を経営し、又は山林を保有している居住者をいうことに留意する。


法第144《青色申告の承認の申請》関係

(業務を承継した相続人が提出する承認申請書の提出期限)

1441 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けていた被相続人の業務を相続したことにより新たに法第143《青色申告》に規定する業務を開始した相続人が提出する法第144条に規定する申請書については、当該被相続人についての所得税の準確定申告書の提出期限(当該期限が法第147《青色申告書の承認があったものとみなす場合》の規定により青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに提出して差し支えない。


法第148《青色申告者の帳簿書類》関係

2以上の業務を営む場合の損益計算書及び貸借対照表の作成)

1481 不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務のうち2以上の業務を営む場合又は事業所得を生ずべき業務のうち農業と農業以外の業務を営む場合には、損益計算書はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成し、貸借対照表は全ての業務に係るものを合併して作成するものとする。 (平23課個233、課法99、課審446改正)


法第150《青色申告の承認の取消し》関係

(青色申告の承認を取り消した場合の事業専従者控除)

1501 既に確定申告書の提出又は通則法第25《決定》の規定による決定のあった年分につき青色申告書の提出の承認を取り消した場合には、当該年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上法第57条第1《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》の規定の適用を受けていた親族で同条第3項に規定する事業専従者に該当する者については、同条第6項に規定する「やむを得ない事情がある」ものとして同条第3項に規定する事業専従者控除を認めるものとする。

 

法第151条の6《遺産分割等があった場合の修正申告の特例》関係

(「民法の規定による相続分」の意義)

1516-1 法第151条の61項第1号に規定する「民法(明治29年法律第89号)(第904条の2《寄与分》を除く。)の規定による相続分」とは、民法第900《法定相続分》から第902《遺言による相続分の指定》まで及び第903《特別受益者の相続分》に規定する相続分をいうことに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3改正)

(「その他の事由により相続人に異動が生じたこと」の意義)

1516-2 法第151条の61項第2号に規定する「その他の事由により相続人に異動が生じたこと」とは、民法第886《相続に関する胎児の権利能力》に規定する胎児の出生、相続人に対する失踪の宣告又はその取消し等により相続人に異動を生じた場合をいうことに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加)

(「判決があったこと」の意義)

1516-3 令第273条の21号に規定する「判決があったこと」とは、判決の確定をいい、具体的には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる日に判決があったこととなることに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加)

1 敗訴の当事者が上訴をしない場合 その上訴期間を経過した日

2 全部敗訴の当事者が上訴期間経過前に上訴権を放棄した場合 その上訴権を放棄した日

3 両当事者がそれぞれ上訴権を有し、かつ、それぞれ別々に上訴権を放棄した場合 その上訴権の放棄があった日のうちいずれか遅い日

4 上告審の判決のように上訴が許されない場合 その判決の言渡しがあった日

 

法第152《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》関係

(事業を廃止した年の前年分の所得税に係る更正請求書の提出期限)

1521 法第63《事業を廃止した場合の必要経費の特例》の規定により事業の廃止後に生じた必要経費に算入すべき金額を、当該事業を廃止した日の属する年の前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入する場合において、当該必要経費に算入すべき金額が生じた日の翌日から2月を経過する日が当該事業を廃止した日の属する年分の確定申告書の提出期限前となるときは、法第152条に規定する更正請求書は、当該提出期限までに提出して差し支えないものとする。

 

 

 

法第190《年末調整》関係

(中途退職者等について年末調整を行う場合)

190-1 次に掲げる場合には、それぞれの場合に該当することとなった時において法第190条の規定を適用するものとする。(昭57直所3-15、直法6-13、直資3-8、昭63直法6-1、直所3-1改正)

1.   1 給与等の支払を受ける者が死亡により退職した場合

2.   2 給与等の支払を受ける者が海外支店等に転勤したことにより非居住者となった場合

3.   3 給与等の支払を受ける者が著しい心身の障害のため退職した場合で、その退職の時期からみてその年中において再就職することが明らかに不可能と認められ、かつ、退職後その年中に給与等の支払を受けることとなっていないとき。

4.   4 給与等の支払を受ける者が12月に支給期の到来する給与等の支払を受けた後に退職した場合

(その年中に支払うべきことが確定した給与等の計算)

190-2 法第190条第1号及び第2号に規定する「その年中に……支払うべきことが確定した給与等」の金額は、次に掲げる場合には、それぞれ次により計算することに留意する。(昭49直所2-23、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32改正)

1.      1 その年の中途までその支払者から法別表第2若しくは第3の乙欄又は別表第4の乙欄を適用する給与等(以下この項において「乙欄給与等」という。)の支払を受けていた場合 その者に対しその年中に支払う乙欄給与等と法別表第2若しくは第3の甲欄又は法別表第4の甲欄を適用する給与等(以下この項において「甲欄給与等」という。)とを通算する。

2.      2 その年の中途までその支払者から法別表第3の丙欄を適用する給与等(以下この項において「丙欄給与等」という。)の支払を受けていた場合 その者に対しその年中に支払う丙欄給与等と甲欄給与等とを通算する。

3.      3  法第190条第1号かっこ内の規定により他の給与等の支払者が支払う給与等を通算する場合  当該他の給与等の支払者が支払う甲欄給与等(当該他の給与等の支払者がその年11日以後給与所得者の扶養控除等申告書の提出を受けるまでの間にその者に対し支払う乙欄給与等又は丙欄給与等があるときは、これらの給与等を含む。)と自己がその者に対しその年中に支払う甲欄給与等(他にその年中にその者に対し支払う乙欄給与等又は丙欄給与等があるときは、これらの給与等を含む。)とを通算する。

(その年最後に支払う給与等に対する税額計算の省略)

190-3 年末調整を行う場合には、その年最後に支払う給与等に対する法第185《賞与以外の給与等に係る徴収税額》又は第186《賞与に係る徴収税額》の規定による税額の計算を省略し、当該給与等から徴収する税額はないものとして、法第190条本文に規定する超過額又は不足額を計算することができるものとする。

(注) 上記の取扱いを適用した場合に生じた不足額について法第192条第2《不足額の徴収》の規定を適用する場合には、当該不足額から当該給与等につき法第185条又は第186条の規定により徴収すべき税額に相当する金額を控除した残額が、同項の「第190条に規定する不足額」となることに留意する。

(給与等の追加払をする場合の再調整)

190-4 年末調整を行った後予期しなかった事由によりその年分の給与等の追加払をすることとなった場合には、当該追加払をする給与等を含めたところにより計算した法第190条第2号に掲げる税額と先に年末調整を行った際に計算した同号に掲げる税額との差額を、次により精算する。

1.         1 先に年末調整を行った際同条本文に規定する超過額190-3の取扱いを適用しないで年末調整を行った場合には、その年最後に給与等の支払をする際に徴収すべき税額に充当した残額をいう。以下190-6までにおいて「超過額」という。)が生じている場合

·           イ 当該超過額について既に還付を終わっている場合には、当該差額に相当する金額を当該追加払をする給与等の支払の際徴収する。

·           ロ 当該超過額についてまだ還付を終わっていない場合には、次による。

·                 (イ) 当該差額に相当する金額がまだ還付を終わっていない部分の超過額よりも少ない場合には、当該還付を終わっていない部分の超過額から当該差額に相当する金額を控除した金額について、じ後の還付を行う。

·                 (ロ) 当該差額に相当する金額がまだ還付を終わっていない部分の超過額よりも多い場合には、その超える部分の金額を当該追加払をする給与等の支払の際徴収し、残存する超過額はないものとする。

1.         2 先に年末調整を行った際同条本文に規定する不足額(以下190-6までにおいて「不足額」という。)が生じている場合

·           イ 当該不足額について既に徴収を終わっている場合には、当該差額に相当する金額を当該追加払をする給与等の支払の際徴収する。

·           ロ 当該不足額についてまだ徴収を終わっていない場合には、次による。

·                 (イ) 当該不足額につき法第192条第2項の税務署長の承認を受けるための申請(以下この項において「徴収繰延べの申請」という。)がされていない場合には、当該差額に相当する金額と当該不足額のうちまだ徴収をしていない部分の金額との合計額を当該追加払をする給与等の支払の際徴収する。ただし、当該合計額が当該追加払をする給与等の金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その後に給与等の支払をする際徴収する。

·                 (ロ) 当該不足額につき徴収繰延べの申請がされている場合には、次による。

·       A 当該追加払をする給与等の支払を受けることにより徴収繰延べの要件に該当しないこととなったときは、当該差額に相当する金額と前の徴収繰延べの申請をした不足額のうちまだ徴収をしていない部分の金額との合計額を当該追加払をする給与等の支払の際徴収する。ただし、当該合計額が当該追加払をする給与等の金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その後に給与等の支払をする際徴収する。

·       B 当該追加払をする給与等の支払を受けてもまだ徴収繰延べの要件を満たしているときは、当該差額に相当する金額と前の徴収繰延べの申請により徴収繰延べが承認されている金額のうち減額されることとなる部分の金額との合計額を当該追加払をする給与等の支払をする際徴収する。

(年末調整後に所得控除に異動があった場合の再調整)

190-5 法第190条第2号の規定により同号に規定する税額を計算する場合には、所得控除はその年最後に給与等の支払をする時の現況により行うのであるが、その年最後に給与等を支払った時後その年1231日までの間にその控除に異動があった場合において、その年分の給与所得の源泉徴収票が作成される時までにその異動に関する申告があったときは、給与等の支払者はその異動後の状況により同号に規定する税額を再計算し、その差額は法第191《過納額の還付》の規定に準じ還付(先に年末調整を行った際に生じた不足額でまだ徴収していないものがあるときは、当該不足額のうちまだ徴収していない部分の金額に充当)して差し支えない。

(注) 年末調整後に異動した所得控除については、上記によらないで、確定申告により精算することができることに留意する(法第120《確定所得申告》、第122《還付等を受けるための申告》及び第123《確定損失申告》参照)

(その年最後の給与等が賞与以外の通常の給与等である場合の年末調整)

190-6 その年最後に給与等の支払をする月中に通常の給与等のほかに賞与を支払い、かつ、最後に支払う給与等が通常の給与等である場合には、次により年末調整を行うことができる。

1. 1 当該賞与をその年最後に支払うものとみなして当該賞与を支払う際年末調整を行う。この場合におけるその年分の給与等の金額及び当該給与等に対する徴収税額の合計額の計算に当たっては、当該賞与を支払う時後その月中に支払うべき通常の給与等の見積額及び当該給与等に対する徴収税額の見積額をそれぞれ含めるものとする。

2. 2 当該賞与を支払った時後その月中に支払う通常の給与等につき徴収する税額は、当該通常の給与等の金額が1による見積額に比し増減したかどうかに応じ、それぞれ次による。

·             イ 増減がなかった場合には、1による徴収税額の見積額とする。ただし、1により行った年末調整の際に生じた超過額又は不足額でまだ精算されていない部分の金額があるときは、当該金額を充当又は加算した金額とする。

·             ロ 増減があった場合には、次による。

·             (イ) 増加した場合には、1による徴収税額の見積額とその増加した部分の金額を追加払の給与等とみなした場合に190-4により徴収すべきこととなる税額との合計額とする。

·             (ロ) 減少した場合には、その減少後の状況により法第190条第2号に掲げる税額を計算し、当該税額からその年中の給与等につき法第183条第1《源泉徴収義務》の規定により徴収した又は徴収すべき税額の合計額(先に行った年末調整により生じた超過額を還付しているときは既に還付した金額を控除した金額とし、先に行った年末調整により生じた不足額を徴収しているときは既に徴収した不足額を加算した金額とする。)を控除して計算した税額(当該税額につき法第192条第2項の規定の適用がある場合には、その適用がある部分の税額を除く。)と当該減少後の通常の給与等の金額につき法第183条第1項の規定により徴収すべき税額との合計額とする。

(送金関係書類の提出又は提示が年末調整後にあった場合の再調整)

190-7 法第190条第2号の規定により同号に規定する税額の計算をする場合において、法第194条第6((給与所得者の扶養控除等申告書))に規定する書類又は法第195条の22((給与所得者の配偶者控除等申告書))に規定する書類が、その年最後に給与等を支払った時後その年分の給与所得の源泉徴収票が作成される時までに提出又は提示がされたときは、190-5に準じた再計算を行って差し支えない。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加、平29課法1013、課個222、課審58改正)

 

法第191《過納額の還付》関係

(過納額の計算上控除された未徴収の税額)

1911 法第191条に規定する過納額の計算上同条かっこ内の規定により超過額から控除されたまだ徴収されていない部分の金額に相当する税額は、その後においてはその徴収を要しないものとする。この場合において、当該税額をその後において徴収したときは、その徴収の時に当該徴収した金額に相当する当該過納額が生じたものとする。

(過納額が著しく過大である場合の還付の特例)

1912 法第191条に規定する過納額がその給与等の支払者の徴収して納付すべき税額よりも著しく過大であるため、当該過納額を還付することとなった日の属する月の翌月1日から起算して2月を経過する日までの間にその支払者においてその全額を還付することが極めて困難であると認められるときは、当該2月を経過する日前においても、令第313条第1《給与等の支払者が還付できなかった場合の処理》の規定に準じ、還付すべき金額について同条第2項に規定する書面を提出させて還付することができるものとする。


法第192《不足額の徴収》関係

(徴収繰延額の計算)

1921 法第192条第2項の規定により不足額の徴収繰延べをする場合において、同項に規定する「その承認に係る金額」の2分の1に相当する金額に1円未満の端数を生ずるときは、通則法第119条第3《国税の確定金額の端数計算等》の規定により、翌年1月に徴収すべき税額に係るものは切り上げ、翌年2月に徴収すべき税額に係るものは切り捨てることに留意する。

 

法第194条から第198条まで《給与所得者の源泉徴収に関する申告》共通関係

(申告書の記載事項に誤りがあったため徴収不足税額を生じた場合の支払者の措置)

194から198-1 給与等の支払者は、その提出を受けた給与所得者の扶養控除等申告書、従たる給与についての扶養控除等申告書、給与所得者の配偶者控除等申告書、給与所得者の基礎控除申告書又は給与所得者の保険料控除申告書の記載事項に誤りがあったことにより生じた徴収不足税額があることを知った場合には、直ちにその不足税額を徴収し、納付するものとする。この場合において、当該徴収不足税額が前年分以前の給与等につき生じたものであるときは、当該徴収不足税額は、183から193-8に定めるところに準じて計算することができるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1、平29課法1013、課個222、課審58、令元課個222、課法113、課審512改正)

(申告書の記載事項に誤りがあったことによる徴収不足税額の強制徴収)

194から198-2194から198-1の場合において、給与等の支払者が当該徴収不足税額を徴収して納付しないときは、法第221条第1《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により、当該徴収不足税額を当該給与等の支払者から徴収することに留意する。ただし、給与等の支払者に当該徴収不足税額を生じたことについて過失がないと認められ、かつ、当該徴収不足税額を徴収して納付することができないことについて正当な事由があると認められる場合には、強いて追求しないものとする。(令2課個212、課法113、課審56改正)

(確定所得申告に係る取扱いの準用)

194から198-3 学術、技芸の習得のため国外に居住することとなった親族が、給与所得者の扶養控除等申告書、従たる給与についての扶養控除等申告書又は給与所得者の配偶者控除等申告書に非居住者である旨を記載すべき親族(給与所得者の配偶者控除等申告書にあっては非居住者である配偶者)に該当するかどうかの判定については、120-6の取扱いに準じ、法第194条第4項、同条第6項、第195条第4項又は第195条の22項の規定により提出又は提示しなければならない書類の取扱いについては、120-7から120-9までの取扱いに準ずる。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7追加、平29課法1013、課個222、課審58改正)


法第194《給与所得者の扶養控除等申告書》及び第195《従たる給与についての扶養控除等申告書》関係

(給与所得者の扶養控除等申告書等の期限後提出)

194195-1 給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書が所定の期日後に提出された場合には、その提出後最初に支払う給与等から、これらの申告書に記載されたところにより徴収税額を計算する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

(注) これらの申告書に法第194条第1項第7号又は第195条第1項第4号に規定する非居住者である親族の記載がある場合において、法第194条第4項又は第195条第4項に規定する書類の提出又は提示が所定の期日後にされたときは、上記に準じて徴収税額を計算する。

(源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者等の控除を受けない者の申告)

194195-2 給与所得者の扶養控除等申告書を提出すべき者が、源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者等の控除を受けないため、給与等の支払者に関する事項だけを申告する場合には、連記式その他の簡易な方法により申告することができる。(平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平29課法1013、課個222、課審58改正)

(申告書に記載する源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者等の判定)

194195-3 給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載すべき源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者等に該当するかどうかは、当該申告書を提出する日の現況により判定する。この場合において、次に掲げる事項については、それぞれ次による。(平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平29課法1013、課個222、課審58改正)

1. 1 その判定の要素となる所得金額  これらの申告書を提出する日の現況により見積もったその年の合計所得金額による。

2. 2 その判定の要素となる年齢  その年1231(これらの申告書を提出する時までに死亡した者については、その死亡の時)の現況による。

(注)2の年齢は、法第2条第1項第34《定義》に規定する児童(いわゆる里子)に該当するかどうかを判定する場合等に必要となることに留意する。

(障害者である源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族に係る控除を従たる給与等から行う場合)

194195-4 従たる給与についての扶養控除等申告書を提出して従たる給与等から控除することができるのは、源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の控除に限られ、障害者、寡婦、ひとり親及び勤労学生の控除は主たる給与等(法第185条第1項第1号((賞与以外の給与等に係る徴収税額))及び第186条第1項第1((賞与に係る徴収税額))に掲げる給与等をいう。以下194195-5までにおいて同じ。)からのみ控除することができるのであるから、障害者である源泉控除対象配偶者(同一生計配偶者に該当する者に限る。)及び控除対象扶養親族については、障害者の控除は主たる給与等から行い、源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の控除は従たる給与等から行うことができることに留意する。(昭57直所3-15、直法6-13、直資3-8、平16課個2-23、課資3-7、課法8-8、課審4-33、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平29課法1013、課個222、課審58、令2課個212、課法113、課審56改正)

(主たる給与等と従たる給与等との間の源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の移替え)

194195-5 従たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族として従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された者については、同一年中においてその者を主たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族に移し替えることはできないのであるが、主たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族として給与所得者の扶養控除等申告書に記載された者については、その者の主たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族から除外する旨の記載をした当該申告書に係る異動申告書を提出し、かつ、その除外した者を従たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族に追加する旨の記載をした従たる給与についての扶養控除等申告書を提出することにより、従たる給与等に係る源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族に移し替えることができることに留意する。(平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平29課法1013、課個222、課審58改正)

(年の中途で退職した者に係る給与所得者の扶養控除等申告書等の効力)

194195-6 給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した者が年の中途においてその提出を経由した給与等の支払者のもとを退職した場合には、これらの申告書はその退職により効力を失うものとする。ただし、その退職後その年中に当該支払者がその退職した者に給与等の追加払等をする場合において、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げることが明らかなときは、当該追加払等をする給与等に係る源泉徴収税額は、これらの申告書が退職後も引き続き効力を有するものとして計算して差し支えない。(平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、平29課法1013、課個222、課審58改正)

1. 1 その退職した者が給与所得者の扶養控除等申告書を提出した者である場合 その追加払等をする時において、その退職した者が他の給与等の支払者を経由して給与所得者の扶養控除等申告書を提出していないこと。

2. 2 その退職した者が従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した者である場合 その追加払等をする時において、その退職した者が他の給与等の支払者を経由して当該申告書に記載されている源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族を記載した給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書を提出していないこと。

 

法第195条の2《給与所得者の配偶者控除等申告書》関係

(申告書に記載する配偶者の判定等)

19521 給与所得者の配偶者控除等申告書を提出する場合において、当該申告書に記載された配偶者が控除対象配偶者又は法第83条の21《配偶者特別控除》に規定する生計を一にする配偶者に該当するかどうか等は、当該申告書を提出する日の現況により判定する。この場合において、当該申告書を提出する給与所得者のその年の合計所得金額の見積額及び当該配偶者のその年の合計所得金額の見積額は、当該申告書を提出する日の現況により見積もったその年の合計所得金額による。(昭63直法61、直所31追加、平29課法1013、課個222、課審58改正)

(注) 「配偶者」及び「生計を一にする」については、それぞれ246及び247参照


法第196《給与所得者の保険料控除申告書》関係

(保険料等の金額等を証する書類の添付又は提示のない給与所得者の保険料控除申告書を受け取った場合の支払者の措置)

1961 給与等の支払者が法第196条第2項に規定する書類の添付又は提示のない給与所得者の保険料控除申告書を受け取った場合には、翌年131日までに当該書類を提出し又は提示することを条件として、当該申告書に記載された社会保険料のうち法第74条第2項第5号に掲げるもの、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料についてその控除を行って差し支えない。この場合において、翌年131日までに当該書類の提出又は提示がなかったときは、これらの掛金又は保険料を控除しないところにより年末調整の再計算を行い、その不足税額は、21日以後に給与等の支払をする際順次徴収するものとする。(昭46直審(所)19改正、平17課法8-2、課個2-19、課審4-89、平19課法91、課審411、平23課個233、課法99、課審446改正)

(保険料の金額等を証する書類の提出又は提示に代わるもの)

1962 次に掲げる生命保険料等については、給与所得者の保険料控除申告書に記載したその年中に支払った新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料の金額及び規則第76条各項《保険料控除申告書に関する書類の提出又は提示により証明する事項》に掲げる事項に誤りがないことについて当該勤務先の代表者又はその代理人の確認を受けている場合には、法第196条第2項に規定する書類の提出又は提示があったものとする。(昭49直所223、昭60直法68、直所312、平4課法85、課所43改正、平13課法86、課個217、課審389改正、平14課法85、課個27、課審3142、平19課法91、課審411、平23課個233、課法99、課審446、令2課個212、課法113、課審56改正)

1 法第76条第1項に規定する「新生命保険料」若しくは「旧生命保険料」、同条第2項に規定する「介護医療保険料」若しくは同条第3項に規定する「新個人年金保険料」若しくは「旧個人年金保険料」(以下1964までにおいて「生命保険料等」という。)で勤務先を対象とする団体特約により払い込んだもの又は同条第5項第4号に掲げる確定給付企業年金規約若しくは適格退職年金契約に係るもの

2 法第77条第1《地震保険料控除》に規定する地震保険料で勤務先を対象とする団体特約により払い込んだもの

(生命保険料等の金額等を証する書類の範囲)

1963 生命保険料等に係る法第196条第2項に規定する「証する書類」には、保険会社等が、その年中に支払った生命保険料等の金額及び規則第76条第1項から第5項までに規定する事項を証するため特に発行した書類又はこれらの事項が記載されている保険料領収証書のほか、契約時に払い込んだ第一回の生命保険料等(月払契約に係るものを除く。)に係る保険料仮領収証書も含まれるものとする。
 なお、この場合における書類又は領収証書には、主契約又は特約ごとの適用を受ける生命保険料控除の区分及びその支払保険料の金額が記載されている必要があることに留意する。
(平19課法916、課個227、課審440、平23課個233、課法99、課審446改正)

(月払契約の生命保険料等に係る証する書類)

1964 月払契約の生命保険料等に係る法第196条第2項に規定する「証する書類」は、次に掲げる書類で足りるものとする。(平21課法9-3、課個2-17、課審4-31、平23課個233、課法99、課審446改正)

1 その年930日以前に締結された契約に係る生命保険料等については、その年中に支払った生命保険料等の金額の記載に代え、次に掲げる事項を記載した書類

イ その契約に基づき支払うべき1か月分の生命保険料等の金額。ただし、その年中において1か月分の生命保険料等の金額に異動があった場合(保険期間が1年ごとに更改される契約(以下この項において「短期保険」という。)について更改があった場合を含む。)には、その異動前及び異動後の1か月分の生命保険料等の金額並びにその異動があった月

ロ その年中において分配を受けた剰余金又は割戻しを受けた割戻金の額

ハ その年中に締結された契約(短期保険の場合にあっては、旧契約の期間の満了により更改された契約を除く。)については、その契約締結の月

ニ その年中に失効、解約又は契約期間の満了(短期保険の場合にあっては、旧契約の期間の満了後契約が更改される場合を除く。)により払込みがなくなったものについては、最終の支払月

2 その年101日以後に締結された新規契約に係る生命保険料等については、第1回の保険料仮領収証書

() 上記書類については、主契約又は特約ごとの適用を受ける生命保険料控除の区分及びその支払保険料の金額が記載されている必要があることに留意する。

(旧個人年金保険契約等の特約に係る生命保険料の金額を証する書類等)

1965 疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金、共済金その他の給付金を支払う旨の特約が付されている法第76条第3項に規定する「旧個人年金保険契約等」のうち、当該特約に係る保険料又は掛金については、令第319条第4《保険料控除申告書に関する書類等の提出又は提示》の規定の適用があることに留意する。(平2直法65、直所36追加、平23課個233、課法99、課審446、平28課法10-5、課審5-15改正)

(地震保険料の金額等を証する書類の範囲)

1966 地震保険料に係る法第196条第2項に規定する「証する書類」には、保険会社等が、その年中に支払った地震保険料の金額及び規則第76条第6項に規定する事項を証するために特に発行した書類のほか、これらの事項が記載されている保険料領収証書も含まれることに留意する。(昭63直法67、直所38、平2直法65、直所36、平19課法91、課審411、平23課個233、課法99、課審446改正)

(月払契約の地震保険料に係る証する書類に記載する金額)

1967 月払契約の地震保険料に係る法第196条第2項に規定する「証する書類」には、その年中に支払った地震保険料の金額の記載に代え、次に掲げる事項を記載することができるものとする。(平2直法65、直所36、平19課法91、課審411改正)

1 その契約に基づき支払うべき1か月分の地震保険料の金額。ただし、その年中における契約の更改等に伴い1か月分の地震保険料の金額に異動があった場合には、その異動前及び異動後の1か月分の地震保険料の金額並びにその異動があった月

2 その年中において分配を受けた剰余金若しくは割戻しを受けた割戻金の額又はこれらの金額を控除した後のその年中の実際払込金額の計算方法

3 その年中に締結された契約(旧契約の期間の満了により更改された契約を除く。)については、その締結の月

4 その年中に失効、解約又は契約期間の満了(旧契約の期間の満了後契約が更改される場合を除く。)により払込みがなくなったものについては、最終の支払月

(地震保険料の金額等を証する書類の記載事項)

1968 地震保険料に係る法第196条第2項に規定する「証する書類」には、その年中に支払った地震保険料の金額及び規則第76条第6項に規定する事項のほか、その契約に基づく保険等の目的とされた資産が法第77条第1項本文に規定する家屋又は資産(居住の用と事業等の用とに併用しているものを含む。以下この項において「居住用資産」という。)とそれ以外の資産とを含むものである場合において、居住用資産に係る地震保険料とそれ以外の資産に係る地震保険料とを区分することが困難であるときは、その契約に基づく保険金額又は共済金額の総額及び居住用資産に係る保険金額又は共済金額を記載するものとする。(昭63直法67、直所38、平2直法65、直所36、平19課法91、課審411、平23課個233、課法99、課審446改正)

 

法第201《徴収税額》関係

(通報書の送付があった場合の退職手当等に対する税額の計算)

2011 一の勤務先を退職することにより2以上の支払者から退職手当等の支払を受ける者が、一の退職手当等について退職所得の受給に関する申告書を提出し、その後に受ける退職手当等について当該申告書を提出していない場合であっても、その提出を受けた一の退職手当等の支払者が順次後順位の退職手当等の支払者に対して法第201条第1項第2号に掲げる税額の計算に必要な事項の一切を記載した通報書を送付し、その送付を受けた支払者が更に後順位の支払者に対して同様の事項を記載した通報書を送付しているときは、これらの通報書の送付を受けた支払者は、それぞれその送付を受けた通報書に記載されているところに基づき同号に掲げる税額を計算するものとする。

(第2回以後の退職手当等に係る税額が赤字となる場合)

2012 同一年中に2以上の支払者から退職手当等の支払を受ける場合において、第2回目以後に支払を受ける退職手当等の額につき法第201条第1項第2号の規定により計算した税額が赤字になるときは、当該退職手当等から徴収する税額がないにとどまり、その赤字の金額は当該退職手当等の支払者からは還付しないことに留意する。

() 当該赤字の金額の還付を受けるためには、その年分の退職手当等について確定申告書の提出を要することに留意する(法第122《還付等を受けるための申告》参照)

(退職手当等を分割して支払う場合の税額の計算等)

2013 退職手当等の分割払、概算払等をする場合の源泉徴収税額の計算及び派遣役員等に支払う退職手当等に対する源泉徴収については、183193共-1から183193共-3までの取扱いに準ずる。


法第203《退職所得の受給に関する申告書》関係

(同一年中に2以上の退職手当等の支払を受ける場合の退職所得の受給に関する申告書の提出方法等)

2031 同一年中に2以上の支払者から退職手当等の支払を受ける場合において、退職所得の受給に関する申告書をその2以上の支払者に同時に提出しようとするときは、それぞれの支払者に提出する当該申告書にその提出の順序を記載するものとする。この場合において、その記載された順序が先順位である支払者から支払を受ける退職手当等は、その順序が後順位である支払者に提出する当該申告書に法第203条第1項第2号に規定する「支払済みの他の退職手当等」に該当するものとして記載するものとする。

(簡易な方式による退職所得の受給に関する申告)

2032 法第201条第1項第1《徴収税額》に規定する「支払済みの他の退職手当等」を受けたことがなく、かつ、法第30条第6項第1《退職所得》に掲げる場合に該当しない者が提出する退職所得の受給に関する申告書は、連記式その他の簡易な方法により提出することができる。(平24課法96、課個244、課審540、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(申告書の記載事項に誤りがあったため徴収不足税額を生じた場合の支払者の措置等)

2033 退職所得の受給に関する申告書の記載事項に誤りがあったことにより徴収不足税額が生じた場合の支払者の措置については、194198共-1の取扱いに準ずる。(平24課法96、課個244、課審540、令3課個2-10、課法11-28、課審5-改正)

 

法第203条の3《徴収税額》関係

(公的年金等を併給する場合の税額の計算)

2033-1 法第203条の2《源泉徴収義務》に規定する公的年金等の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の公的年金等を支給する場合(法第203条の37号に掲げる公的年金等と同条第1号から第6号までに掲げる公的年金等を併せて支給する場合を除く。)の法第203条の3の規定の適用に当たっては、当該2以上の公的年金等の金額の合計額を基礎として公的年金等の金額及び当該公的年金等に係る控除額の計算(当該2以上の公的年金等が、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に定める方法により計算)を行うものとする。
 ただし、この場合において、当該2以上の公的年金等が、それぞれ異なる法律に基づくもので、かつ、当該2以上の公的年金等が相互に関連又は補完関係を有しないことなどにより支払に関する事務及び支払がそれぞれ別に行われている場合には、同条第3号又は第6号に掲げる公的年金等を除き、当該2以上の公的年金等の別に計算して差し支えないものとする。
(昭63直法61、直所31追加、平27課法1011、課審58、令元課個222、課法113、課審512改正)

1.   1 一の受給者に支給する種類の異なる2以上の公的年金等が、法第203条の31号に掲げる公的年金等と同条第2号に掲げる公的年金等又は同条第4号に掲げる公的年金等と同条第5号に掲げる公的年金等に該当する場合((2に該当する場合を除く。) 当該公的年金等の金額の合計額をそれぞれ同条第1号又は第4号に掲げる公的年金等の金額として、控除額の計算を行う。

2.   2 一の受給者(令第319条の62項第1号イからハまでに規定する退職年金又は旧職域加算年金給付の受給者を除く。)に支給する種類の異なる2以上の公的年金等が、同条第1項第1号ハからホまでに規定する退職共済年金と厚生年金保険法第32条第1号に掲げる老齢厚生年金に該当する場合 当該公的年金等の金額の合計額を法第203条の32号又は第5号に掲げる公的年金等の金額として、控除額の計算を行う。

(新旧公的年金等の差額等に対する税額の計算)

2033-2 公的年金等の改定、裁定等が既往に遡って実施されたため、既往の期間に対応して支払われる公的年金等に対する法第203条の3の規定の適用に当たっては、次に掲げる公的年金等の区分に応じそれぞれ次によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平27課法10-11、課審5-8、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

1.         1 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約又は規程(以下この(1において「法令等」という。)の改正又は改訂が既往に遡って実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額

·           イ 新旧公的年金等の差額の収入すべき日36-14の(1のロに掲げる日をいう。以下この1において同じ。)の属する月が支払期月(法令等により定められた支払を行うべき月をいう。以下この項において同じ。)と同一である場合には、当該差額を当該支払期月に支払うこととなる公的年金等の金額に加算する。

·           ロ 新旧公的年金等の差額の収入すべき日の属する月と支払期月とが異なる場合には、当該差額を当該収入すべき日の属する月の直前又は直後の支払期月(当該収入すべき日の属する年の支払期月に限る。)に支払うこととなる公的年金等の金額に加算する。

·                   (注) 新旧公的年金等の差額が、当該収入すべき日の属する月の翌月以後において支払われる場合(当該収入すべき日の属する年に支払われる場合に限る。)には、その支払をする月を当該収入すべき日の属する月として上記イ又はロを適用して差し支えない。

1.         2 裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往に遡って支払われる公的年金等

·           イ 当該公的年金等は、その支給額の計算の対象とされた期間に係る各々の支払期月の公的年金等とする。この場合において、法第203条の31号、第2号又は第3号の規定による控除額は、当該公的年金等の収入すべき日36-14の(1のイに掲げる日をいう。以下この2において同じ。)において提出されている公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(新規裁定の場合には、当該公的年金等の支払をする日の前日までに提出された公的年金等の受給者の扶養親族等申告書)に基づいて計算する。

·           ロ 上記の場合において、当該公的年金等が改定等に伴う新旧公的年金等の差額である場合には、上記のイの方法に代え、同一月割額グループ(当該差額の収入すべき日の属する年の異なるごとに、かつ、当該新旧公的年金等の改定等後及び改定等前の月割額の異なるごとに区分されたグループをいう。以下このロにおいて同じ。)別に、次の算式により計算して差し支えない。

(算式)

{(A)同一月割月グループにおける改訂等後の公的年金等の月割額(a)×同一月割額グループに係る支給対象月数(b)-(B)(a)の金額を基に法第203条の3第1号から第6号までの規定により計算した控除額×(b)}×5%(10%)-{(C)同一月割額グループにおける改訂等前の公的年金等の月割額(c)×(b)-(D)(c)の金額を基に法第203条の3第1号から第6号までの規定により計算した控除額×(b)}×5%(10%)

(注)

·         1 { }内の金額が赤字となる場合には、0とする。

·         2 B又はDにおける法第203条の31号、第2号又は第3号の規定による控除額の計算については、2のイの取扱いに準ずる。

·         3 法第203条の33号又は第6号に掲げる公的年金等について、A-B又はC-Dの残額が162,500円×bの金額を超える場合には、その超える部分の金額に税率10%を適用して計算する。


法第203条の6《公的年金等の受給者の扶養親族等申告書》関係

(給与所得者の扶養控除等申告書に係る取扱いの準用)

2036-1 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下この項において「申告書」という。)の記載事項に誤りがあったため徴収不足税額を生じた場合の支払者の措置、申告書の記載事項に誤りがあったことによる徴収不足税額の強制徴収、確定所得申告に係る取扱いの準用、申告書の期限後提出、申告書に記載する扶養親族等の判定については、194198-1から194198-3まで、194195-1及び194195-3の取扱いに準ずる。(昭63直法6-1、直所3-1追加、平24課法9-6、課個2-44、課審5-40、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)


法第203条の7《源泉徴収を要しない公的年金等》関係

(公的年金等を併給する場合の源泉徴収を要しない金額の判定)

2037-1 法第203条の2《源泉徴収義務》に規定する公的年金等の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の公的年金等を支給する場合おいて、その年中に支払うべき公的年金等の額が、法第203条の7に規定する「政令で定める金額」に満たないかどうかは、2033-1により判定する。(昭63直法6-1、直所3-1追加、令元課個2-22、課法11-3、課審5-12改正)

 

〔共通関係〕

(支払を受ける者が法人以外の団体等である場合の法第204条の規定の適用)

2041 法第204条第1項各号に掲げる報酬、料金、契約金又は賞金の支払を受ける者が、官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称のものであって、人格のない社団等に該当するかどうかが明らかでない場合には、その支払を受ける者が次のいずれかに掲げるような事実を挙げて人格のない社団等であることを立証した場合を除き、同項の規定の適用があるものとする。(平13課法82、課個27改正)

(1) 法人税を納付する義務があること。

(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。

(報酬、料金等の性質を有するもの)

2042 法第204条第1項第1号、第2号及び第4号から第7号までに掲げる報酬、料金又は契約金の性質を有するものについては、たとえ謝礼、賞金、研究費、取材費、材料費、車賃、記念品代、酒こう料等の名義で支払うものであっても、同項の規定が適用されることに留意する。

(報酬、料金等の性質を有する経済的利益)

2043 法第204条第1項第1号、第2号及び第4号から第7号までに掲げる報酬、料金又は契約金の性質を有する経済的利益(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をいう。以下この項において同じ。)については、次によるものとする。

(1) 職業野球の選手、外交員、集金人、ホステス等のように一定の者に専属して役務を提供する者がその役務の提供先から受ける経済的利益については、給与等とされる経済的利益の取扱いに準ずる。

(2) (1)以外の経済的利益については、令第321《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》の規定に準じて評価し、その評価した金額が少額なものについては、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(報酬又は料金の支払者が負担する旅費)

2044 法第204条第1項第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる報酬又は料金の支払をする者が、これらの号に掲げる報酬又は料金の支払の基因となる役務を提供する者の当該役務を提供するために行う旅行、宿泊等の費用も負担する場合において、その費用として支出する金銭等が、当該役務を提供する者(同項第5号に規定する事業を営む個人を含む。)に対して交付されるものでなく、当該報酬又は料金の支払をする者から交通機関、ホテル、旅館等に直接支払われ、かつ、その金額がその費用として通常必要であると認められる範囲内のものであるときは、当該金銭等については、2042及び2043にかかわらず、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(報酬、料金等に係る源泉徴収義務者の範囲等)

2045 法第204条第2項第2号に規定する「第183条第1(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」には、実際に徴収して納付する税額がない者も含まれることに留意する。この場合において、法第204条第1項各号に掲げる報酬、料金等の支払をする者が当該個人に該当するかどうかは、当該報酬、料金等を支払うべき日の現況により判定する。

 

〔原稿等の報酬又は料金(第1号関係)

(原稿等の報酬又は料金)

2046 法第204条第1項第1号に掲げる原稿の報酬その他の報酬又は料金に該当するかどうかについては、おおむね表6のとおりである。(昭46直審(所)19、昭49直所223、平5課法82、課所46、平19課法99、課個220、課審432改正)

〔表6

報酬又は料金の区分

左の報酬又は料金に該当するもの

左の報酬又は料金に類似するが該当しないもの

原稿の報酬

演劇、演芸の台本の報酬
口述の報酬
映画のシノプス(筋書)
文、詩、歌、標語等の懸賞の入賞金
書籍等の編さん料又は監修料

懸賞応募作品の選稿料又は審査料
試験問題の出題料又は各種答案の採点料
クイズ等の問題又は解答の投書に対する賞金等

()

 法第204条第1項第8号に掲げる賞金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行うことに留意する。


いわゆる直木賞、芥川賞、野間賞、菊池賞等としての賞金品
鑑定料

()

 法第204条第1項第2号に規定する者の業務に関する報酬又は料金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行うことに留意する。

ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬

作曲の報酬

編曲の報酬

 

レコード、テープ又はワイヤーの吹き込みの報酬

映画フィルムのナレーションの吹き込みの報酬

 

デザインの報酬

映画関係の原画料、線画料又はタイトル料
テレビジョン放送のパターン製作料
標章の懸賞の入賞金

織物業者が支払ういわゆる意匠料(図案を基に織原版を作成するに必要な下画の写調料)又は紋切料(下画を基にする織原版の作成料)字又は絵等の看板書き料

著作権の使用料

映画、演劇又は演芸の原作料、上演料等

 

著作隣接権の使用料

 

著作権法第95条第1《商業用レコードの二次使用》及び第97条第1《商業用レコードの二次使用》に規定する二次使用料

講演料

 

ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬

()

 法第204条第1項第1号に掲げる放送謝金に該当するものについては、同項の規定により源泉徴収を行うことに留意する。

技芸、スポーツその他これらに類するものの教授若しくは指導又は知識の教授の報酬又は料金

生け花、茶の湯、舞踊、囲碁、将棋等の遊芸師匠に対し実技指導の対価として支払う謝金等
編物、ペン習字、着付、料理、ダンス、カラオケ、民謡、語学、短歌、俳句等の教授又は指導及び各種資格取得講座に係る講師謝金等

()

 法第204条第1項第1号に掲げる講演料及び同項第4号に規定する報酬又は料金に該当するものについては、これらの規定により源泉徴収を行うことに留意する。

脚色の報酬又は料金

潤色料(脚本の修正、補正料)又はプロット料(粗筋、構想料)

 

翻訳又は通訳の報酬又は料金

 

手話通訳の報酬

書籍の装丁の報酬又は料金

 

製本の料金

版下の報酬又は料金

 

織物業者が支払ういわゆる意匠料又は紋切料
図案等のプレス型の彫刻料

() 上記の表中の原稿の報酬に該当する「文、詩、歌、標語等の懸賞の入賞金」及びデザインの報酬に該当する「標章の懸賞の入賞金」に対する源泉徴収については、20410参照

(デザインの範囲)

2047 法第204条第1項第1号に規定するデザインには、次のようなものがある。

(1) 工業デザイン(自動車、オートバイ、テレビジョン受像機、工作機械、カメラ、家具等のデザイン及び織物に関するデザイン)

(2) クラフトデザイン(茶わん、灰皿、テーブルマットのようないわゆる雑貨のデザイン)

(3) グラフィックデザイン(広告、ポスター、包装紙等のデザイン)

(4) パッケージデザイン(化粧品、薬品、食料品等の容器のデザイン)

(5) 広告デザイン(ネオンサイン、イルミネーション、広告塔等のデザイン)

(6) インテリアデザイン(航空機、列車、船舶の客室等の内部装飾、その他の室内装飾)

(7) ディスプレイ(ショウウインドー、陳列棚、商品展示会場等の展示装飾)

(8) 服飾デザイン(衣服、装身具等のデザイン)

(9) ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン

(デザインとその施工の対価を一括して支払う場合)

2048 ネオンサイン、広告塔、ショーウインドー、陳列棚、商品展示会場又は庭園等のデザインとその施工とを併せて請け負った者にその対価を一括して支払うような場合には、その対価の総額をデザインの報酬又は料金と施工の対価とに区分し、デザインの報酬又は料金について源泉徴収を行うべきであるが、そのデザインの報酬又は料金の部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(版下の報酬又は料金の範囲)

2049 令第320条第1《報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収》に規定する版下の報酬又は料金には、原画又は原図から直ちに凸版、凹版、平版等を製版することが困難である場合において、当該原画又は原図を基として製版に適する下画又は下図を写調する報酬又は料金のほか、原画又は原図を基として直接亜鉛版(ジンク版)に写調する報酬又は料金及び活字の母型下を作成する報酬又は料金も含まれる。

(懸賞応募作品の入選者に支払う少額な報酬又は料金)

20410 法第204条第1項第1号に掲げる報酬又は料金のうち次のいずれかに該当するもので、同一人に対して1回に支払うべき金額が少額(おおむね5万円以下)のものについては、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(1) 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等

(2) 新聞、雑誌等の読者投稿欄への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う謝金等(あらかじめその投稿又は提供を委嘱した者にその対価として支払うものを除く。)

(3) ラジオ又はテレビジョン放送の聴視者番組への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う謝金等(あらかじめその投稿又は提供を委嘱した者にその対価として支払うものを除く。)

 

〔弁護士等の報酬又は料金(第2号関係)

(登録免許税に充てるため支払われた金銭等)

20411 法第204条第1項第2号に掲げる報酬又は料金の支払者が、同号に規定する者に対し委嘱事項に関連して支払う金銭等であっても、当該支払者が国又は地方公共団体に対し登記、申請等をするため本来納付すべきものとされている登録免許税、手数料等に充てるものとして支払われたことが明らかなものについては、同項の規定は適用しない。

(測量士等の資格のない測量業者等に支払う報酬又は料金)

20412 法第204条第1項第2号に掲げる報酬又は料金のうち測量士、測量士補、不動産鑑定士、不動産鑑定士補、建築士又は建築代理士(以下この項においてこれらを「測量士等」という。)の業務に関するものには、測量士等の資格を有しない者で測量士等の資格を有する使用人を使用しているものが支払を受けるこれらの業務に関する報酬又は料金も含まれる。

(建築士事務所未登録の建築士)

20413 法第204条第1項第2号に規定する建築士には、建築士法第23《登録》に規定する建築士事務所の登録を受けていない者も含まれる。

(設計等とその施工の対価を一括して支払う場合)

20414 建築士の業務と建築の請負とを併せて行っている者に設計等とその施工とを併せて請け負わせた対価を一括して支払うような場合には、その対価の総額をその建築士の業務に関する報酬又は料金と建築の対価とに区分し、建築士の業務に関する報酬又は料金について源泉徴収を行うべきであるが、建築士の業務に関する報酬又は料金の部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(企業診断員の範囲)

20415 令第320条第2項に規定する企業診断員には、中小企業支援法に基づく中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則(平成12年通商産業省令第192号)により登録された中小企業診断士だけでなく、直接企業の求めに応じ、その企業の状況について調査及び診断を行い、又は企業経営の改善及び向上のための指導を行う者、例えば、経営士、経営コンサルタント、労務管理士等と称するような者も含まれる。(昭46直審(所)19改正、平13課法82、課個27改正、課法86、課個217、課審389、平16課法83改正)

(火災損害鑑定人又は自動車等損害鑑定人の範囲)

20416 令第320条第2項に規定する火災損害鑑定人とは、社団法人日本損害保険協会に登録されている火災損害登録鑑定人及び火災損害登録鑑定人補をいい、同項に規定する自動車等損害鑑定人とは同協会に登録されているアジャスターをいうことに留意する。(昭52直所333、直法610、直資315改正)

(火災損害鑑定人又は自動車等損害鑑定人の業務に関する報酬又は料金で源泉徴収を要しないもの)

20417 令第320条第2項に規定する火災損害鑑定人又は自動車等損害鑑定人の業務に関する報酬又は料金で、損害保険会社(損害保険に類する共済の事業を行う法人を含む。)以外の者が支払うものについては、源泉徴収をしなくて差し支えない。(昭52直所333、直法610、直資315改正)

(技術士の行う業務と同一の業務を行う者の意義)

20418 令第320条第2項に規定する「技術士又は技術士補以外の者で技術士の行う業務と同一の業務を行う者」とは、技術士法第2《定義》に規定する技術士又は技術士補の資格を有しないで、科学技術(人文科学だけに係るものを除く。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいうことに留意する。(昭60直法68、直所312、平16課法83改正、平17課法82、課個219、課審489、平26課法1014、課個222、課審527、平30課個219、課審52、令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

() 上記かっこ内の「他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務」には、次のようなものがある。

(1) 電気事業法第43《主任技術者》に規定する主任技術者の業務

(2) ガス事業法第25《ガス主任技術者》、第65《ガス主任技術者》又は第98《ガス主任技術者》に規定するガス主任技術者の業務

(3) 医師法第17《非医師の医業禁止》に規定する医師の業務

(4) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第7《薬局の管理》、第17《医薬品等総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項》、第23条の214《医療機器等総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項》又は第23条の34《再生医療等製品総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項》の規定により薬剤師等が行うべき管理の業務

(5) 電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)47条各号《エックス線作業主任者の職務》に規定するエックス線作業主任者の業務

(6) 食品衛生法第48条第1《食品衛生管理者》 に規定する食品衛生管理者の業務

 

〔診療報酬(第3号関係)

(診療報酬の意義)

20419 法第204条第1項第3号に掲げる「社会保険診療報酬支払基金法の規定により支払われる診療報酬」とは、同法の規定により社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬をいうのであるから、当該基金が支払う診療報酬である限り、同法第15条第2《業務》の規定により委託を受けて支払うものもこれに該当するが、いわゆる社会保険制度に基づく診療報酬であっても、健康保険組合、国民健康保険を行う市町村又は国民健康保険組合が直接支払う診療報酬は、これに該当しないことに留意する。(平16課法83改正)


〔職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金(第4号関係〕

(職業野球の選手の業務に関する報酬又は料金)

20420 法第204条第1項第4号に掲げる「職業野球の選手の業務に関する報酬又は料金」には、職業野球の選手、監督、コーチャー、トレーナー又はマネージャーに対し、選手契約に定めるところにより支払われる全ての手当、賞金品が含まれる。(平23課個233、課法99、課審446改正)

(自動車のレーサーの範囲)

204202 令第320条第3項に掲げる「自動車のレーサー」とは、自動車(原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車をいう。以下この項において同じ。)の競走及び競技に出場する者をいうのであるから、四輪自動車のレーサーのほか、二輪自動車及び三輪自動車のレーサーもこれに含まれることに留意する。(平5課法82、課所46追加、平21課法9-3、課個2-17、課審4-31改正)

() 令第320条第3項に掲げる「小型自動車競走の選手」とは、小型自動車競走法第11条第1((小型自動車競走の審判員等の登録))に規定する選手をいう。

(給与等とすることができるモデルの業務に関する報酬又は料金)

20421 いわゆるファッションモデル又はマネキン等のうちデパート等において常時役務を提供し、かつ、その役務の提供の状態が当該デパート等の職員の勤務の状態に類似しているものに対する報酬又は料金については、給与等として源泉徴収をして差し支えない。(平14課法85、課個27、課審3142改正)

() マネキン紹介所に求職登録されたマネキンが求人者たる企業の指示のもとにデパート等で職務に従事して企業から対価の支払を受ける場合において、企業が当該対価をマネキン紹介所経由でマネキン個人に支払い、マネキン紹介所はマネキン個人に代わって対価を受領したにすぎないときは、企業が当該対価を支払う際に源泉徴収を要することに留意する。

(外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金)

20422 外交員又は集金人がその地位に基づいて保険会社等から支払を受ける報酬又は料金については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。

(1) その報酬又は料金がその職務を遂行するために必要な旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合  法第9条第1項第4《非課税所得》に掲げる金品に該当する部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とする。

(2) (1)以外の場合で、その報酬又は料金が、固定給(一定期間の募集成績等によって自動的にその額が定まるもの及び一定期間の募集成績等によって自動的に格付される資格に応じてその額が定めるものを除く。以下この項において同じ。)とそれ以外の部分とに明らかに区分されているとき。  固定給(固定給を基準として支給される臨時の給与を含む。)は給与等とし、それ以外の部分は法第204条第1項第4号に掲げる報酬又は料金とする。

(3) (1)及び(2)以外の場合  その報酬又は料金の支払の基因となる役務を提供するために要する旅費等の費用の額の多寡その他の事情を総合勘案し、給与等と認められるものについてはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を法第204条第1項第4号に掲げる報酬又は料金とする。

(特約店等のセールスマン又は従業員等に取扱数量等に応じて支出する費用)

204222 製造業者又は卸売業者等が、特約店等に専属するセールスマン又は専ら自己の製品等を取り扱う特約店等の従業員に対し、その取扱数量又は取扱金額に応じてあらかじめ定められているところにより交付する金員は、法第204条第1項第4号に規定する外交員の報酬に該当することに留意する。(昭63直法67、直所38追加)

(特約店等のセールスマン又は従業員等のレクリエーションの費用)

204223 製造業者又は卸売業者等が、特約店等に専属するセールスマン又は専ら自己の製品等を取り扱う特約店等の従業員等のために次に掲げる費用を支出することにより、当該セールスマン又は従業員等が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えない。(昭63直法67、直所38追加)

(1) 当該セールスマン又は従業員等の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

(2) 当該セールスマン若しくは従業員等又はこれらの者の親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って交付する金品の費用

(団体扱保険料の集金手数料等)

20423 次に掲げるものは、法第204条第1項第4号に掲げる報酬又は料金には該当しないものとする。

(1) 保険会社が団体の代表者に対して支払う団体扱いに係る保険料の集金手数料

(2) 保険会社がその代理店に対して支払う集金手数料

() 生命保険会社がその代理店に対し生命保険契約の募集に関して支払うものは、外交員の業務に関する報酬又は料金に該当する。

 

〔映画、演劇等の出演等の報酬又は料金(第5号関係)

(ラジオ放送又はテレビジョン放送に係る出演の報酬又は料金に含まれるもの)

20424 法第204条第1項第5号に規定する「ラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演」の報酬又は料金には、クイズ放送又はいわゆるのど自慢放送の審査員に対する報酬又は料金も含まれる。

(出演の報酬又は料金に含まれないもの)

20425 料理屋、旅館等において特定の客(団体客を含む。)の求めに応じ、日本舞踊、三味線等の伎芸をもって客に接し酒興を添えるために軽易な芸を披露した者(当該料理屋、旅館等に専属して芸を披露している者又は常時出演している者など専ら客に対して芸能の提供を行う者を除く。)に対し、その客が直接に又は当該料理屋、旅館等を通じて支払うその報酬又は料金は、法第204条第1項第5号に掲げる報酬又は料金に含まれないものとする。(昭6367、直所38、平5課法82、課所46改正)

(映画、演劇に係る製作又は編集の報酬又は料金に含まれるもの)

20426 令第320条第4項に規定する「映画若しくは演劇の製作、……編集」の報酬又は料金には、映画又は演劇関係の監修料(カット料)又は選曲料も含まれる。

(芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金に含まれるもの)

20427 法第204条第1項第5号に掲げる「芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金」には、芸能人の役務の提供を内容とする事業を営む者が自ら出演するとともに他の芸能人の役務を提供した場合に受ける報酬又は料金も含まれる。

(芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金の意義等)

20428 法第204条第1項第5号に掲げる「芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金」とは、不特定多数の者から受けるものを除き、芸能人の役務の提供に関して受ける対価たる性質を有する一切のものをいうのであるから、その報酬又は料金には、演劇を製作して提供する対価及び芸能人を他の劇団、楽団等に供給し、又は芸能人の出演をあっせんすることにより受ける対価はもちろん、次に掲げるようなものも含まれる。(昭46直審(所)19、昭63直法67、直所38、平15課法83、課個213、課審319、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) テレビジョン若しくはラジオの放送中継料又は雑誌、カレンダー等にその容姿を掲載させるなどのために芸能人を供給し、若しくはあっせんすることにより受ける対価

(2) 芸能人の実演の録音、録画、放送又は有線放送につき著作隣接権の対価として受けるもの(当該実演に係る録音物の増製又は著作権法第94条第1項各号《放送のための固定物等による放送》に掲げる放送につき支払を受けるもので、当該実演に係る役務の提供に対する対価と併せて支払を受けるもの以外のものを除く。以下204282において「録音、録画等の対価」という。)

(3) 大道具、小道具、衣装、かつら等の使用による損耗のほてんに充てるための道具代、衣装代等又は犬、猿等の動物の出演料等として受けるもの(これらの物だけを貸与し、又はこれらの動物だけを出演させることにより受ける対価を除く。)

(報酬又は料金に著作権の対価が含まれている場合)

204282 芸能人の役務の提供を内容とする事業を営む個人(以下204285までにおいて「個人事業主」という。)に所属する芸能人が自ら作曲するとともにその曲目の演奏を指揮したこと、又は自ら脚本を作成するとともにその演出を行ったことなどにより当該個人事業主が受けるその報酬又は料金については、その報酬又は料金が契約上作曲料、脚本料等のような著作権の対価に相当する部分と出演料、指揮料、演出料等のような役務の対価(録音、録画等の対価を含む。以下この項において同じ。)に相当する部分とに明確に区分され、かつ、それぞれの評価が適正に行われていると認められる場合には、役務の対価に相当する部分だけが法第204条第5号に掲げる報酬又は料金に該当するものとし、その他の場合には、その全てが同号に掲げる報酬又は料金に該当するものとする。(平15課法83、課個213、課審319追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(映画又はレコード製作の対価等)

204283 映画若しくはレコードの製作を依頼した場合に製作者に対して支払うその製作の対価又は広告宣伝等の放送若しくは印刷物の作成、頒布を依頼した場合に放送業者若しくは広告業者に対して支払うその放送若しくは印刷物の作成、頒布の対価は、たとえその対価の構成部分に芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金が含まれている場合であっても、その対価は法第204条第5号に掲げる報酬又は料金に該当しない。(平15課法83、課個213、課審319追加)

() 上記の場合には、映画若しくはレコードの製作者、放送業者又は広告業者等でその製作、放送又は印刷物の作成のために芸能人の役務の提供を受けたものが、その提供に関する報酬又は料金を支払う際、一般の例により源泉徴収を行うことになることに留意する。

(不特定多数の者から受けるものの範囲)

204284 法第204条第5号かっこ内に規定する「不特定多数の者から受けるもの」とは、個人事業主が自ら主催して演劇その他の芸能の公演を行うことにより観客等から受ける入場料、観覧料等をいい、当該個人事業主がその公演に係る客席等の全部又は一部の貸切契約を締結することにより支払を受けるその貸切契約に係る対価(興行場等の経営者又は主催者が、いずれの名義でするかを問わず、興行場等の入場者から領収すべきその入場の対価をいう。)もこれに該当するものとする。(平15課法83、課個213、課審319追加)

(個人事業主が芸能人の役務の提供のあっせん等をした場合等の課税関係)

204285 個人事業主が芸能人の役務の提供をした場合又は芸能人の役務の提供のあっせんをした場合にその個人事業主又はその役務を提供した個々の芸能人が支払を受ける報酬又は料金に対する所得税の課税関係は、その役務の提供に関する契約及び報酬又は料金の支払の態様に応じ、それぞれ次のとおりとなることに留意する。(平15課法83、課個213、課審319追加)

(1) その役務の提供に関し、芸能人の役務の提供を受ける者(以下この項において「出演先」という。)と個人事業主との間に芸能人の役務の提供又は芸能人の役務の提供のあっせんに関する契約(以下この項において「役務提供契約」という。)が締結されているほか、出演先と役務を提供する個々の芸能人(以下この項において「出演者」という。)との間にもその役務の提供に関する契約(以下この項において「出演契約」という。)が締結されている場合において、個人事業主が支払を受ける報酬又は料金と出演者が支払を受ける報酬又は料金とが分別してそれぞれに支払われるとき。  個人事業主が支払を受ける当該報酬又は料金については、当該個人事業主が法第206条第1((源泉徴収を要しない報酬又は料金)) に規定する証明書(以下この項において「証明書」という。)を提示した場合を除き、法第204条第1((源泉徴収義務)) の規定により源泉徴収が行われ、出演者が支払を受ける当該報酬又は料金についても、法第204条第1((源泉徴収義務)) の規定により源泉徴収が行われる。

() 上記の場合には、当該報酬又は料金の支払者は、法第225条第1((支払調書及び支払通知書))の規定により提出する支払調書を、個人事業主が支払を受ける報酬又は料金と出演者が支払を受ける報酬又は料金とに区分して作成し提出しなければならない。

(2) その役務の提供に関し、出演先と個人事業主との間に役務提供契約が締結され、出演先と出演者との間に出演契約が締結されていない場合において、その報酬又は料金の全額が個人事業主に支払われ、出演者に対しては、当該支払を受けた個人事業主から報酬、料金又は給与等が支払われるとき。  個人事業主が出演先から支払を受ける報酬又は料金については、当該個人事業主が、証明書を提示した場合を除き、その支払を受ける段階においてその全額につき法第204条第1項の規定により源泉徴収が行われ、出演者が個人事業主から支払を受ける報酬、料金又は給与等についても、その支払を受ける段階において法第204条第1項又は第183条第1((源泉徴収義務)) の規定により源泉徴収が行われる。

(3) その役務の提供に関し、出演先と出演者との間に出演契約が締結され、出演先と個人事業主との間に役務提供契約が締結されていない場合において、その報酬又は料金の全額が出演者に支払われ、個人事業主に対しては当該支払を受けた出演者から出演のあっせん等の報酬又は料金が支払われるとき。  出演者が出演先から支払を受ける報酬又は料金については、その支払を受ける段階においてその全額につき法第204条第1項の規定により源泉徴収が行われる。この場合において、出演者が個人事業主に対して支払う出演のあっせん等の報酬又は料金については、源泉徴収を要しないものとする。

 

〔契約金(第7号関係)

(役務の提供の対価が給与等とされる者の受ける契約金)

204-29 法第204条第1項第7号に掲げる契約金には、役務の提供の対価が給与等とされる者が当該役務の提供契約を締結するに際して支払を受ける契約金も含まれる。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)

(注) 上記の契約金は、雑所得35-1の(9参照)となり、法第2条第1項第24《定義》に規定する臨時所得に該当する場合があることに留意する。

(契約金の範囲)

204-30 法第204条第1項第7号に掲げる契約金には、一定の者のために役務を提供し又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に支払を受ける契約金、支度金、移転料等の全てのものが含まれる。ただし、その役務の提供の対価が給与等とされる者の就職に伴う転居のための費用で、他の契約金と明確に区分して支払われ、かつ、法第9条第1項第4号に掲げる金品に該当すると認められるものについては、この限りではない。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)


〔広告宣伝のための賞金(第8号関係)

(事業の広告宣伝のために賞として支払う金品等)

204-31 令第320条第7項に規定する「事業の広告宣伝のために賞として支払う金品その他の経済上の利益」とは、事業を営む者が商品又は事業の内容等を広く一般に知らせ顧客を誘引するために支払う賞金品等をいい、事業を営む者が自己の事業の広告宣伝のために直接支払うもののほか、次に掲げるものもこれに含まれることに留意する。

1. 1 商店会、同業組合等の業者団体がその所属する事業者の営む事業の広告宣伝のために支払う賞金品等

2. 2 事業を営む者又は事業を営む者の組織する団体から寄贈(低額譲渡を含む。以下204-33において同じ。)を受けた者が支払う賞金品等で、その寄贈者等の事業の広告宣伝のために支払うものと認められるもの

(素人のクイズ放送等の出演者に対する賞金品等)

204-32 いわゆる素人のクイズ放送又はのど自慢放送の出演者に対する賞金品等は、法第204条第1項第1号に掲げる放送謝金及び同項第5号に規定する「ラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演」の報酬又は料金には該当しないで、同項第8号に掲げる広告宣伝のための賞金に該当することに留意する。

(事業の広告宣伝のための賞金に該当しないもの)

204-33 次に掲げる賞金品等は、それが他から寄贈を受けたものであって、その寄贈者等の事業の広告宣伝のための賞金品等であると認められるものを除き、法第204条第1項第8号に掲げる広告宣伝のための賞金に該当しない。

1. 1 社会的に顕彰される行為、業績等を表彰するために支払う賞金品等で、社会通念上それが支払者の営む収益事業と密接な関連があると認められないもの

2. 2 使用者が自己の使用人等を対象とし又は団体が自己の構成員を対象として、その使用人等又は構成員の勤務、業務、競技又は演技等の成績を表彰するために支払う賞金品等

3. 3 行政官庁又はその協力団体が行政上の広報を目的として支払う賞金品等

(同一人に対して2以上の者が共同して賞金を支払う場合に源泉徴収を行う者)

204-34 同一人に対し2以上の者が共同して法第204条第1項第8号に掲げる賞金を支払う場合には、これらの者のうち授賞等の事務を主宰している者が源泉徴収を行うものとする。

 

法第205《徴収税額》関係

(同一人に対し1回に支払われる金額の意義)

2051 法第205条第1号かっこ内及び令第322《支払金額から控除する金額》の表に規定する「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいう。ただし、法第205条第1号かっこ内に規定する税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えない。

(同一人に対し1回に支払われるべき金額の意義)

2052 令第322条の表に規定する司法書士、土地家屋調査士若しくは海事代理士の業務に関する報酬若しくは料金又は馬主が受ける競馬の賞金に係る2051の「同一人に対し1回に支払われるべき金額」とは、それぞれ次に掲げる金額をいう。

(1) 司法書士、土地家屋調査士又は海事代理士の業務に関する報酬又は料金  一の委託契約ごとに支払われる金額。ただし、一定期間ごとにその期間中の委託契約に基づく報酬又は料金がまとめて支払われる契約となっている場合には、そのまとめて支払われる金額

(2) 馬主が受ける競馬の賞金  1回の競走ごとに、かつ、出走馬1頭ごとに支払われる金額

(同一人に対しその月分として支払われる金額の意義)

2053 令第322条の表に規定する「同一人に対しその月分として支払われる金額」とは、診療機関からその月分として社会保険診療報酬支払基金に提出された診療報酬請求書に対応する診療報酬の額をいい、その月前に支払われた報酬の額に誤り等があったため、その誤り等をその月分の診療報酬請求書に対応する診療報酬の額で調整した場合には、その調整後の金額をいう。

(同一人に対しその月中に支払われる金額の意義)

2054 令第322条の表に規定する「同一人に対しその月中に支払われる金額」とは、同一人に対しその月中に支払われるべき金額をいう。ただし、その金額の計算の基礎となった期間が1月を超え、かつ、その期間が明示されている場合には、当該計算の基礎となった期間に応じ各月分ごとに区分した金額を、それぞれの月中に支払われる金額として差し支えない。

(同一人に対しその月中に報酬又は料金と給与等とを支払う場合)

2055 同一人に対しその月中に外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金と給与等とを支払う場合における法第204条第1項及び第205条第2号の規定に適用に当たっては、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次によるものとする。(昭49直所223、昭51直所31、直法61、直資31、平2直法65、直所36改正)

(1) 当該報酬又は料金と給与等とをその月中に同時に1回に支払う場合  12万円から当該給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。

(2) 当該報酬又は料金を当該給与等よりも先に支払う場合  12万円から当該報酬又は料金を支払う際における当該給与等の見積額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。この場合において、実際に支払う給与等の金額がその見積額と異なることとなったことにより当該報酬又は料金に対する源泉徴収税額について過不足額が生じたときは、当該過不足額を当該給与等を支払う際に当該給与等から徴収し又は当該給与等に対する源泉徴収税額から控除する方法により精算する。

() 上記により過納額を給与等に対する源泉徴収税額から控除した場合には、当該給与等に係る所得税徴収高計算書の摘要欄にその旨及び控除した金額を記載するものとする。

(3) 当該給与等を当該報酬又は料金よりも先に支払う場合  12万円から当該給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行う。

(確定申告書に記載された源泉徴収をされるべき税額と現実に源泉徴収された税額とが異なる場合の精算)

2056 法第205条第1号に規定する報酬若しくは料金又は契約金の支払を受ける者が、確定申告書を提出する時までにまだ支払を受けていないこれらの報酬若しくは料金又は契約金につき当該確定申告書に記載する法第120条第1項第4《確定所得申告》に規定する源泉徴収をされるべき所得税の額は、その支払の確定した金額の多寡、過去における支払の状況等を勘案して、法第205条第1号に規定するところに従い適正に見積もるものとする。この場合において、当該報酬若しくは料金又は契約金についてその支払を受ける際に現実に徴収された所得税の額が当該確定申告書に記載した所得税の額と異なることとなったときは、その差額は修正申告又は更正により精算するものとする。(令3課個2-10、課法11-28、課審5-4改正)

(未払の報酬、料金等について支払調書に記載すべき源泉徴収税額)

2057 法第205条第1号に規定する報酬若しくは料金又は契約金について法第225条第1《支払調書及び支払通知書》の規定により提出する支払調書を作成するに当たり、当該報酬若しくは料金又は契約金のうちその支払調書を作成する日においてまだ支払っていないものに係る源泉徴収税額は、その支払の確定した金額の多寡、過去における支払の状況等を勘案して、法第205条第1号に規定するところに従い適正に見積もった金額を記載するものとする。この場合において、当該報酬若しくは料金又は契約金についてその支払をする際に現実に徴収した所得税の額が当該支払調書に記載した源泉徴収税額と異なることとなったときは、改めて正当税額を記載した支払調書を作成し、既に提出した支払調書を訂正するものであることを適宜表示して再提出するものとする。

(賞品を受けることとなった日の意義)

2058 令第321《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》に規定する「その受けることとなった日」とは、賞品の支払を受けた日をいうものとする。ただし、支払者が賞品を送付する場合には、特に弊害のない限り、その発送の日をいうものとして差し支えない。

(賞品の評価)

2059 次に掲げる物等に係る令第321条に規定する「金銭以外のものを譲渡するものとした場合にその対価として通常受けるべき価額」は、それぞれ次による。(平4課法85、課所43、平8課法82、課所45改正、平13課法82、課個27、平19課法99、課個220、課審432改正)

(1) 公社債、株式又は貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権  その受けることとなった日の価額

(2) 商品券  券面額

(3) 貴石、貴金属、真珠、さんご等若しくはこれらの製品又は書画、骨とう、美術工芸品  その受けることとなった日の価額

(4) 土地又は建物  その受けることとなった日の価額

(5) 定期金に関する権利又は信託の受益権  相続税法第24条若しくは第25条又は昭和39425日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第3《定期金に関する権利》若しくは同章第5《信託受益権》に定めるところに準じて評価した価額

(6) 生命保険契約に関する権利  その受けることとなった日においてその契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)。ただし、その契約に係る保険料でその後に支払うこととなっているものを当該権利の支払者において負担する条件が付されている場合には、その負担することとなっている金額につき(5)に準じて評価した金額を加算した金額

(7) (1)から(6)までに掲げるもの以外の物  そのものの通常の小売販売価額(いわゆる現金正価)60%相当額

(金銭以外のものと金銭とのいずれかを選択することができる場合の意義等)

20510 令第321条に規定する「金銭以外のものと金銭とのいずれかを選択することができる場合」とは、あらかじめ公表されている懸賞等の募集要綱等に選択できる金銭の額が定められている場合をいう。

() あらかじめ選択できる金銭の額が定められていない場合において、受賞者の希望その他の事情により金銭を支払うときは、その金銭の支払を受けた受賞者に限りその金額の支払を受けたものとする。

(旅行その他の役務の提供と物品とのいずれかを選択できる場合の評価)

20511 事業の広告宣伝のために賞として支払われるものが旅行その他の役務の提供を内容とするものである場合において、それが物品との選択をすることができることとなっているときは、たとえ旅行その他の役務の提供を受けたためその選択できる物品の支払を受けない場合であっても、その物品の価額をその賞金の額とする。

(賞金に対する税額を支払者が負担する場合の税額の計算)

20512 賞金に対する源泉徴収税額(所得税及び復興特別所得税の額をいう。以下この項において同じ。)をその賞金の支払者が負担する場合には、当該税額は次の算式により計算することに留意する。(昭51直所31、直法61、直資31、平24課法96、課個244、課審540改正)

(実際に支払う金銭の額又は商品の評価額-50万円)÷0.8979×10.21%

() 上記の場合には、支払調書に記載する支払金額は、実際に支払った金銭の額又は賞品の評価額と源泉徴収税額との合計額となることに留意する。

(受賞者が2人以上の1組である場合の賞品に対する税額の計算)

20513 2人以上の者が1組となって応募したことにより受けるクイズ放送等の賞金品で各人ごとの支払金額が区分されていないものに対する源泉徴収税額は、当該支払金額の総額から、50万円にその支払を受ける者の人数を乗じて計算した金額を控除した残額に税率を適用して計算するものとする。(昭51直所31、直法61、直資31改正)

 

法第206《源泉徴収を要しない報酬又は料金》関係

(報酬又は料金を帳簿に明確に記録しているものとして証明書を交付する場合)

2061 令第323条各号《報酬又は料金に係る源泉徴収の免除を受ける者の要件》のいずれか一の要件を備えている者から令第324《報酬又は料金に係る源泉徴収の免除を受けるための手続》に規定する申請書が提出された場合において、当該申請書を提出した者が次に掲げる条件の全てを満たしているときは、法第204条第1項第5《源泉徴収義務》に掲げる「芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金」をその備え付ける帳簿に明確に記録しているものとして、法第206条第1項に規定する証明書を交付するものとする。
  既に証明書の交付を受けていた者の事業を相続により承継したような者から当該申請書が提出された場合においても、その者の現に有する施設の状況等から判断して、その者が令第323条各号のいずれか一の要件を備えるものと認められ、かつ、次に掲げる条件の全てを充たすことが確実であると認められるときは、同様とする。
(平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 過去おおむね1年間を通じ、その備え付ける帳簿にその報酬又は料金の発生順に従い、役務の提供に関する契約ごとにその提供年月日、役務の内容、報酬又は料金の金額及びその支払を受けた年月日等を漏れなく記録していること。この場合において、過去2年分以上にわたり青色申告書を提出している者については、これらの記録をしているものとして差し支えない。

(2) 過去おおむね1年間における所得税の申告、納付及び源泉所得税の徴収、納付が正確に行われており、かつ、今後においてもその状態が継続できると認められること。

(映画の製作等を主たる事業としているかどうかの判定)

2062 その者が令第323条第1号、第3号又は第4号に規定する行為を主たる事業としているかどうかは、その者のその事業のための施設の状況、過去におけるこれらの号に規定する行為に従事した期間とその他の行為に従事した期間との比較及び過去におけるこれらの号に規定する行為から生じた収入金額とその他の収入金額との比較等を総合勘案して判定する。ただし、次のいずれかに該当する者については、これらの号に規定する行為を主たる事業としているものとする。

(1) 芸能人の役務の提供に関する事業とそれ以外の事業とを併せ営む者で、芸能人の役務の提供に関する事業の経理が他の事業の経理と明確に区分されており、かつ、同条第3号又は第4号に規定する行為から生じた収入金額が芸能人の役務の提供に関する全収入金額(芸能人の役務の提供に関する事業に関連する収入金額を含む。)50%を超えていると認められるもの

(2) 同条第1号に規定する行為を行う者で、当該行為を行うため相当大規模、かつ、恒久的な施設を有し、常時これらの施設を使用して当該行為を行っていることが明らかなもの

(3) 同条第3号に規定する行為を行う者で、自己及び自己に専属する芸能人の総か働日数のうちの50%を超える日数がその者の自ら主催して興行場において行う演劇の公演又はそのための練習にのみ充てられていることが明らかなもの

(4) 同条第4号に規定する行為を行う者で、当該行為に必要な芸能人の大部分が自己及び自己に専属している者であり、かつ、自己及び自己に専属する芸能人の総か働日数のうちの50%を超える日数がその者の製作した演劇の公演又はそのための練習にのみ充てられていることが明らかなもの

(5) 同条第3号及び第4号に規定する行為を併せ行う者で、当該行為に必要な芸能人の大部分が自己及び自己に専属している者であり、かつ、自己及び自己に専属する芸能人の総か働日数のうちの50%を超える日数がその者の自ら主催して興行場において行う演劇の公演若しくはそのための練習又はその者の製作した演劇の公演若しくはそのための練習にのみ充てられていることが明らかなもの

()

1 上記の(3)から(5)までの場合において、「自己及び自己に専属する芸能人の総か働日数」には、その者の定める休日があるときのその日数のほか、芸能人の個人的な事情(病気、事故等)による休暇の日数及び公演、練習等の予定がないためこれらに従事しなかった日数も算入しないことに留意する。

2 例えば、午前はその者の製作した演劇の公演のための練習に従事し、午後は他の者の公演する演劇に出演するというような場合には、その日はその者の製作した演劇の公演のための練習にのみ充てられることにはならないことに留意する。

(演劇の範囲等)

2063 令第323条第2号から第4号までに規定する演劇とは、一定の脚本等に基づき個々の芸能人の演技を超越して全体が一つの芸能として演出、構成された芝居等をいうのであるから、芸能人個人の演技を主とする講談、落語、浪曲、漫談、腹話術、漫才、歌唱(歌唱に伴う演奏を含む。)、奇術、曲芸、物まね及び舞踊等は、これに含まれないことに留意する。ただし、次の芸能については、それぞれ次によるものとする。(平15課法83、課個213、課審319改正)

(1) 一定の脚本に基づいた独自の芸能的な価値を持つ芝居等の芸能は、そのなかでたまたま歌唱、演奏又は舞踊等が行われるものであっても、演劇に該当する。

(2) たとえ歌唱、演奏又は舞踊等をもって構成する芸能であっても、出演する芸能人個々の口演、歌唱、演奏又は演技がその芸能の一構成部分たるにとどまり、かつ、それに出演する芸能人を変更した場合でも一個の芸能として公演できる程度に演出、構成されているものは、演劇に該当する。

(3) 次のすべての条件を満たす者が製作する歌唱(歌唱に伴う演奏を含む。)を主たる内容とする芸能は、演劇に該当するものとして差し支えない。

イ 自己に専属する作曲者、編曲者を有すること。

ロ 自己の製作する芸能に必要な演奏を主として自己に専属する楽団により行うことができる程度の楽団を有すること。

ハ 自己の製作する芸能に必要な芸能人のうちの主要なものを自己に専属させていること。

(4) いわゆる歌謡曲大会、漫才大会等として多数の芸能人をもって公演する芸能であっても、各芸能人が出演順、持ち時間を定めたにすぎない程度の筋書きにより出演するにとどまるようなものは、演劇に該当しない。

(自己に専属する芸能人の意義)

2064 令第323条第4号に規定する「自己に専属する芸能人」とは、芸能人としての役務の提供の全てが自己のためにのみ行われることが雇用契約又はいわゆる専属契約において明らかに定められ、かつ、その約定が実行されている芸能人をいうのであるが、次に掲げる芸能人は、自己に専属する芸能人に含まれるものとする。(平15課法83、課個213、課審319追加、平23課個233、課法99、課審446改正)

(1) 他の者のために役務の提供を行う場合には許可を要する旨が約されている芸能人で、当該他の者のために役務を提供することが極めて少ないもの

(2) 芸能人としての役務の提供のうち主要なものは自己のために提供することが約され、他の者のために芸能人個人の意思により提供できる役務の範囲が極めて限定され、かつ、当該他の者のために役務を提供することが極めて少ない芸能人

(3) 令第323条第1号から第3号までに規定する行為を行う者(以下この項において「出資者」という。)が株式又は出資の全部を所有する法人で演劇の製作を行うもの(以下この項において「支配法人」という。)に所属する芸能人で、当該芸能人としての役務の提供のうち主要なものが出資者又は支配法人のために提供することが約され、他の者のために芸能人としての役務を提供することについて(1)又は(2)と同様の事情にあるもの

 

法第212《源泉徴収義務》関係

(不特定多数の者から支払われるものの範囲)

2121 令第328条第1《源泉徴収を要しない国内源泉所得》に掲げる「不特定多数の者から支払われるもの」の範囲については、1781の取扱いに準ずる。(昭51直所31、直法61、直資31、昭63直法67、直所38、平2直法65、直所36改正)

(源泉徴収を要しない居住用土地家屋等の貸付けによる対価)

2122 令第328条第2号に掲げる「自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるもの」の範囲については、1782の取扱いに準ずる。(平2直法65、直所36改正)

(内部取引から生じる所得)

2123 非居住者又は外国法人が恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該恒久的施設と当該非居住者の事業場等(法第161条第1項第1号((国内源泉所得))に規定する事業場等をいう。以下この項において同じ。)又は当該恒久的施設と当該外国法人の本店等(法人税法第138条第1項第1号((国内源泉所得))に規定する本店等をいう。以下この項において同じ。)との間の内部取引(法第161条第1項第1号及び法人税法第138条第1項第1号に規定する内部取引をいう。以下この項において同じ。)から生じる所得については、源泉徴収を要しないことに留意する。
 なお、事業場等又は本店等が他から借入れ等をして恒久的施設の事業の用に供している事業資金、工業所有権その他の資産について、当該事業場等又は本店等がその使用の対価を支払っている場合において、当該資産を事業の用に供している恒久的施設が、当該事業場等又は本店等との内部取引として、当該事業場等又は本店等が対価として支払う金額のうち、当該恒久的施設を通じて行う事業に係る部分の金額をいわゆる内部利子、内部使用料等として計上しているときは、当該内部利子、内部使用料等のうち法第161条第1項第6号から第16号までに掲げる国内源泉所得に該当するものについては、法第212条第2項の規定により源泉徴収を要することに留意する
(平2824、課法118、課審55追加)

(対価又は報酬の支払者が負担する旅費)

2124 16119に規定する場合16140において準用する場合を含む。)において、その負担する費用として支出する対価又は報酬が、その人的役務を提供する非居住者又は外国法人に対して交付されるものでなく、当該対価又は報酬の支払をする者から航空会社、ホテル、旅館等に直接支払われ、かつ、当該対価又は報酬がその費用として通常必要であると認められる範囲内のものであるときは、当該対価又は報酬については、源泉徴収をしなくて差し支えない(平2824、課法118、課審55追加)

(給与等の計算期間の中途で非居住者となった者の給与等)

2125 給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった者に支払うその非居住者となった日以後に支給期の到来する当該計算期間の給与等のうち、当該計算期間が1月以下であるものについては、その給与等の全額がその者の国内において行った勤務に対応するものである場合を除き、その総額を国内源泉所得に該当しないものとして差し支えない。

(注)

1 この取扱いは、その者の非居住者としての勤務が令第285条第1項各号《国内に源泉がある給与、報酬又は年金の範囲》に掲げる勤務に該当する者に支払う給与等については、その適用がないことに留意する。

2 給与等の計算期間の中途において国外にある支店等から国内にある本店等に転勤したため帰国した者に支払う給与等で、その者の居住者となった日以後に支給期の到来するものについては、当該給与等の金額のうちに非居住者であった期間の勤務に対応する部分の金額が含まれているときであっても、その総額を居住者に対する給与等として法第183条第1《源泉徴収義務》の規定を適用することに留意する。

(組合契約事業から生ずる利益に係る源泉徴収義務者)

2126 法第212条第5項に規定する「配分をする者」とは、法第161条第1項第4号に規定する国内源泉所得につき同号に規定する組合契約に基づき共同事業により配分する者をいうのであるから、その全ての組合員(法第212条第5項に規定する組合員をいう。以下2127までにおいて同じ。)は、同号に規定する利益につき源泉徴収をする義務があることに留意する(平2824、課法118、課審55改正)

(注) 源泉徴収義務者となる組合員は、通則法第9《共有物等に係る国税の連帯納付義務》に定める「連帯納付義務」を負うことに留意する。

(交付の意義)

2127 法第212条第5項に規定する「交付」には、現実に金銭を交付する行為のほか、占有改定による組合契約事業(法第161条第1項第4号の2に規定する組合契約に基づいて行う事業をいう。)に係る財産から組合員各自の財産への振替え、金銭の出資への繰入れ又は預金口座への振替えなど同号に規定する「組合契約」に基づいて配分を受けるべき利益に係る債権の額が消滅する一切の行為が含まれることに留意する。(平17課法8-2、課個2-19、課審4-89追加、平2824、課法118、課審55改正)


法第213《徴収税額》関係

(外貨で表示されている額の邦貨換算)

2131 非居住者又は外国法人に支払う法第161条第1項第4号から第16号までに掲げる国内源泉所得のうち、その支払うべき金額が外貨で表示されているものに係る法第213条第1項の国内源泉所得の金額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額によるものとする。(昭51直所31、直法61、直資31、昭63直法67、直所38、平2直法65、直所36、平10課法82、課所45改正、平2824、課法118、課審55改正)

1 外貨で表示されている額に相当する金額を邦貨により支払う場合
その支払に関する契約等において定められている換算方法等に従って支払うこととなる邦貨の金額

2 外貨で表示されている額を外貨により支払う場合

イ その支払に関する契約等においてその支払期日が定められているとき(支払うべき時期が月、週等の期間をもって定められている場合を含む。)外貨で表示されている額をその支払うべき日(支払うべき時期が月、週等の期間をもって定められている場合は、当該期間の末日とし、同日前にその支払が行われた場合は、当該支払が行われた日とする。以下2133までにおいて同じ。)におけるその外貨に係る電信買相場により邦貨に換算した金額。ただし、その支払が著しく遅延して行われている場合を除き、その外貨で表示されている額を現に支払った日における電信買相場により邦貨に換算した金額によることとしても差し支えない。

ロ その支払に関する契約等においてその支払期日が定められていないとき外貨で表示されている額を現に支払った日における電信買相場により邦貨に換算した金額

(換算の基礎となる電信買相場)

2132 21312の「電信買相場」は、その支払をする者の主要取引金融機関(その支払をする者がその外貨に係る対顧客直物電信買相場を公表している場合には、当該支払をする者)におけるその支払うべき日又は支払った日のその外貨に係る対顧客直物電信買相場によるものとする。(昭51直所31、直法61、直資31追加、平10課法82、課所45改正)

(邦貨換算の特例)

2133 21312の場合において、外貨で表示されている額に相当する対外支払手段(外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)6条第1項第8《定義》に規定する対外支払手段をいう。)をその支払うべき日以後において外貨の売買業務を行う者から邦貨により購入して支払うときは、その支払が著しく遅延して行われる場合を除き、その支払うべき外貨で表示されている額をその対外支払手段の購入に際して適用された外国為替相場によって換算した金額をその国内源泉所得の金額として差し支えないものとする。(昭51直所31、直法61、直資31追加、平10課法82、課所45改正)

(居住者等に支払う場合の準用)

2134 居住者又は内国法人に支払う源泉徴収の対象となる所得で、その支払うべき金額が外貨で表示されているものに係る邦貨換算については、2131から2133までの取扱いに準ずる。(昭51直所31、直法61、直資31追加)

(年金を併給する場合の税額の計算)

2135 法第161条第1項第12号ロに掲げる年金(以下2136までにおいて「年金」という。)の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の年金を支給する場合の法第213条第1項第1号イの規定の適用に当たっては、当該年金の支払者ごとに、当該2以上の年金の金額の合計額を同号イに規定する年金の額として税額の計算を行う。
  ただし、この場合において、当該2以上の年金が、それぞれ異なる法律に基づくもので、かつ、相互に関連又は補完関係を有しないことなどにより支払に関する事務及び現実の支払がそれぞれ別に行われている場合には、当該2以上の年金の別に計算して差し支えない。
(平2直法65、直所36追加)

(新旧年金の差額等に対する税額の計算)

2136 年金について、改定、裁定等が既往にさかのぼって実施されたため、既往の期間に対応して支払われる年金に対する法第213条第1項第1号イの規定の適用に当たっては、20332の取扱いに準ずる。(平2直法65、直所36追加)


法第214《源泉徴収を要しない非居住者の国内源泉所得》関係

(届出書を提出していない非居住者)

2141 非居住者で既に過去数年分にわたり引き続き確定申告書を提出しているものについては、法第229《開業等の届出》の規定による届出書を提出していない場合であっても、令第330条第1《非居住者が源泉徴収の免除を受けるための要件》に掲げる要件を満たしているものとして差し支えない。

 

法第216《源泉徴収に係る所得税の納期の特例》関係

(常時10人未満であるかどうかの判定)

2161 法第216条かっこ内に規定する「給与等の支払を受ける者が常時10人未満である」かどうかは、給与等の支払を受ける者の数が平常の状態において10人未満であるかどうかにより判定するものとし、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 繁忙期には臨時に使用した人数を含めると10人以上となるが、平常は10人未満である場合には、常時10人未満であるものとする。

(2) 建設業者のように労務者を日々雇い入れることを常態とする場合には、たとえ常雇人の人数が10人未満であっても、日々雇い入れる者を含めると平常は10人以上となるときは、常時10人未満ではないものとする。

(納期の特例の承認の効果)

2162 法第216条の規定は、法第217条第4《納期の特例に関する承認の申請等》の規定による承認の通知が到達した日又は同条第5項の規定により承認があったものとみなされる日以後に法定納期限が到来する源泉徴収に係る所得税から適用する。(昭49直所223改正)


法第219《承認の取消し等があった場合の納期の特例》関係

(納期の特例の承認の取消し等があった場合の納期限の例示)

2191 法第217条第3《納期の特例に関する承認の申請等》に規定する承認の取消し(以下この項において「承認の取消し」という。)又は法第218《納期の特例の要件を欠いた場合の届出》に規定する届出書の提出(以下この項において「届出書の提出」という。)があった場合の法第219条に規定する納期限を例示すれば、次のとおりとなることに留意する。

(1) 例えば、71日から同月31日までの間に承認の取消し又は届出書の提出があった場合には、1月から6月までの分については710日、7月分については810日が納期限となる。

(2) 例えば、51日から同月31日までの間に承認の取消し又は届出書の提出があった場合には、1月から5月までの分については610日、6月分については710日が納期限となる。

 

法第221《源泉徴収に係る所得税の徴収》関係

(支払者が税額を負担する場合の税額計算)

2211 法第221条第1項の規定により同項に規定する者から源泉徴収に係る所得税を徴収する場合において、その者がその徴収すべき税額を徴収していなかったときは、同項の規定により徴収すべき税額は、次により計算することとなることに留意する。(令2課個212、課法113、課審56改正)

(1) 当該税額を徴収していなかった理由が、当該徴収すべき税額を支払者が負担する契約となっていたことによるものである場合には、取引手取額により支払金額が定められていたものとして、181223共-4により計算する。

(2) 当該税額を徴収していなかった理由が、(1)の理由以外のものである場合には、既に支払った金額のうちから当該税額を徴収すべきであったものとし、既に支払った金額を基準として計算する。この場合において、その計算した税額を納付した支払者が、その納付した税額につき法第222《不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等》に規定する控除又は請求をしないこととしたときは、当該控除又は請求をしないこととした時においてその納付した税額に相当する金額を税引き手取額により支払ったものとし、その支払ったものとされる金額に対する税額を181223共-4により計算する。